2006年05月01日

映画鑑賞感想文『アメリカン・アウトロー』

さるおです。
『AMERICAN OUTLAWS/アメリカン・アウトロー』を観たよ。
西部のロビン・フッド!ジェシー・ジェイムズ(Jesse Woodson James)って知ってるでござる?
大人気の無法者、実在の強盗です。ジェシー・ジェイムズの物語はもうずいぶんたくさんの映画になってるぞ。
タイロン・パワー(Tyrone Power)の『JESSE JAMES/地獄への道』(1939)
ロバート・ワグナー(Robert Wagner)の『THE TRUE STORY OF JESSE JAMES/無法の王者』(1957)
クリフ・ロバートソン(Cliff Robertson)の『THE GREAT NORTHFIELD, MINESOTA RIDE/ミネソタ大強盗団』(1972)
そして、ヤンガー3兄弟を、デイヴィッド・キャラダイン(David Carradine)&キース・キャラダイン(Keith Carradine)&ロバート・キャラダイン(Robert Carradine)というキャラダイン3兄弟が演じ、ジェイムズ2兄弟をジェームズ・キーチ(James Keach)&ステイシー・キーチ(Stacy Keach)のキーチ兄弟が演じた『THE LONG RIDERS/ロング・ライダーズ』(1980)
クリス・クリストファーソン(Kris Kristofferson)のTV映画『THE LAST DAYS OF FRANK AND JESSIE JAMES/荒野のアウトロー』(1985)
ビル・パクストン(Bill Paxton)の『WILD GUNS/ワイルド・ガンズ』(1995)
他にもあるかな、さるおが知ってるのはこんくらいです。

ほんでこの『アメリカン・アウトロー』(2001)。
監督は『CALIFORNIA MAN/原始のマン』(ENCINO MAN)のレス・メイフィールド(Les Mayfield)。
出演は、ジェシー・ジェームズ役にさるおが大好きなかっこええコリン・ファレル(Colin Farrell)
コール・ヤンガー役に『OCEAN'S ELEVEN/オーシャンズ11』と『OCEAN'S TWELVE/オーシャンズ12』のターク・モロイ役でジェームズ・カーン(James Caan)の息子スコット・カーン(Scott Caan)。
ジー役にアリ・ラーター(Ali Larter)、フランク・ジェームズ役にガブリエル・マクト(Gabriel Macht)、ジム・ヤンガー役にグレゴリー・スミス(Gregory Smith)、アラン・ピンカートン役にティモシー・ダルトン(Timothy Dalton)、ボブ・ヤンガー役にウィル・マコーマック(Will McCormack)。

何度も映画になっているということは、それだけ多くの解釈が存在するということです。そしてそれは、ジェシー・ジェイムズというアウトローが、様々に解釈してみたくなる魅力的な人物像を有していると、そーゆーことっすよね。
できるだけ史実に忠実なものもあれば、無法者ならではの苦悩に焦点を当てたものもあります。ヒーロー(ロビン・フッド)として扱ったかと思うと、それ行け皆殺しだ!というのもある。

『アメリカン・アウトロー』はね、西部劇だけど、爽やか青春ムービーです。
ええですよ!この映画はええです。
ちょっと『アメリカン・アウトロー』の物語を書いてみるね。

南北戦争の終結を目前に、ジェシーを含む南軍のゲリラが北軍に追いつめられるシーンから映画ははじまります。ジェシーの機転の利いた大活躍でどうにか生き延びておうちに帰ると、新時代の到来を告げる鉄道事業が、政策を楯に汚い手を使っちゃぁ故郷を用地買収をしている。サデュウス・レインズが率いるロック・アイランド鉄道です。
ロック・アイランド鉄道は用心棒と称してピンカートン探偵局を雇ってて、その人たちがやりたい放題の恐喝みたいなことをやっている。で、ジェシーもマイホームを売るのは癪なので、嫌だよって追い返すんだけど、すったもんだして、仲間のコール・ヤンガーが探偵局員を殺してしまった。ここで決定的な対立関係になるわけです。
処刑寸前のコールをたすけるんだけど、ジェシーは撃たれちゃって、介抱してくれたジー(ゼレルダ・ミムズ)と恋に落ちます。が、大事件だぞ!団結してロック・アイランド鉄道に対抗していた住民たちの結束を崩そうと、ピンカートン探偵局がジェームズ家を爆破!おかあちゃん死亡ですわ。んで、ちくしょう、復讐だ!っちゅーことで強盗団を結成する。その名もジェイムズ強盗団、ジェイムズ3兄弟だからね。
ジェームズ強盗団がやることは、お金のあるところからお金を盗るだけ。人は傷つけない。爆破事件だけでも同情心を煽るのに、敵(ロック・アイランド鉄道&ピンカートン探偵局)に真っ向勝負を挑んでいるとなると、こりゃもちろんみんなが応援し始める。
ジェームズ強盗団の襲撃は成功し続け、向かうところ敵なし。ところがピンカートン探偵局も黙ってられないので、ジェシー・ジェームズばっかり目立ってて嫉妬しているコール・ヤンガーに目をつけて、罠を仕掛けます。
「なんだか変だぞ、うまくいかないぞ」と思うジェシーは計画に反対しますが、コールに押し切られて計画実行。まんまと乗せられたコールのせいでハイパリオン銀行の襲撃は失敗、末っ子ジム・ヤンガーと多くの仲間が死んでしまう。で、いったんは、もうやめようと、強盗団は解散。ジェシーも強盗を卒業してジーと結婚。幸せがやってきたかに見える。しかーし、ピンカートン探偵局がジェシー逮捕っす。
ジェシーを移送中の列車内、ジェシーは看守から拳銃を奪い、ばんばんばんっ!って看守を皆殺し。そのとき、ジーの知らせを受けたジェイムズ強盗団が再び結集して列車を待ち伏せ、ジェシー救出!ハッピーエンド!

史実によれば、ジェシーはミズーリのタバコ農園兼牧師の子。大怪我をするのは南北戦争からの帰郷中(介抱してくれたゼレルダ・ミムズと結婚するのは本当)です。
ジェシーの家は用地買収の対象ではなかったし、宿敵アラン・ピンカートンの登場はジェームズ強盗団が銀行や鉄道を襲うようになった後のことです。ピンカートン探偵局がジェームズ家を爆破したのは事実だけれど、亡くなったのはおかあちゃんではなくて、わずか8歳の異父弟。おかあちゃんは片腕を失って重傷を負いますが生きてます。この事件でアラン・ピンカートンは民衆からの支持を失い、反対にジェームズ兄弟に同情が集まる。
実際にジェイムズ兄弟はなかなか捕まりませんでした。多額の賞金をかけても捕まらない。アラン・ピンカートンという共通の"南部の敵"がいたから、民衆はジェイムズ兄弟を守っていたわけっすよね。
事件現場となるハイパリオン銀行は、ミネソタ州ノースフィールドのファースト・ナショナル銀行がモデルだろうな。壮絶な射ち合いになってヤンガー兄弟は捕まり、ジェームズ兄弟は逃げ、残りは射ち殺されてしまう。
本当のジェシーは34歳で死にます。
自分を裏切った仲間に、背後から銃で撃たれて死んだということになっている。ところが、これも史実と違うって聞いたことがあるし、ジェシーの死は謎でござる。"背後から銃で撃つ"というのは卑怯なわけで、仲間だと思ってた憶病者にやられてしまうっていう筋書きがエンターテイメントとして大ウケだっただけかもしれん。

映画は、本当のジェシーと違い、鉄道のないテネシーでジーと幸せに暮らせそうな雰囲気で終わります。
西部劇はさ、ヒーローが強くてかっこよくてぜんぜん悩んでない、んで、ほろ苦いけどハッピーエンド。それがいい。原点っすよ、これが!
最近は西部劇って減っちゃったけど、数少ない西部劇もなんちゅーか、まじめに深刻な話が多い。50年代、60年代のような典型的に明るい理屈抜きのB級西部劇が、ここにあります。素晴らしい!

余談ですけど、ガトリング機関銃とかヘンリー・ライフルとか出てきて、楽しいっす。
というわけで、ガンマンのコリンもめちゃめちゃかっこええしね、素晴らしい映画です。

心ゆくまでさるお、もんち!
posted by さるお at 10:30| Comment(6) | TrackBack(2) | 映画の感想文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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