スーパーポッタリアンなので、裏切るな!という祈りを込めて、第6巻『HBP』の"あの事件"について検証してみたいと思います。ということはこのエントリーはおもっきりネタばれてますけど、とにかく、『HBP』の解釈から『HP7』の大予想へとつながる、大事なとこっす。ネタばれコメントも大歓迎なので、そっちも気をつけてね。記事は反転色にしてあります。
訳本は読まないので日本語訳がたまにヘンだと思いますが、それは許してください。
ハリポタ辞典のもくじはこちらです。
it really is like going to bed after a very, very long day. After all, to the well-organised mind, death is but the next great adventure.
これは『PS』の最後です。フラメル(Flamel)夫妻の死についての、ダンブルドアの見解です。
死は、冒険の第2章であって、長い長い1日の終わりにすぎないんだと、本当の終わりではないんだと言ってます。
『HBP』の最後、アルバス・ダンブルドアも長い1日を終えました。
第2章のはじまりだから、ハリーが一瞬だけ見た大空に羽ばたく不死鳥は、嬉しそう(joyful)だったのかな、とも思えます。
でまぁ、1日を終えさせたあの一連のできごとは何だったんだろうなーとさるおなりに考えたりもしてみてね、スネイプ先生はシロだろうと、そーゆー結論になってます、今んとこ。
さて、まずはDADAの職のことを考えてみます。えーっと、あの仕事は呪われてるんだよね。1年経ったらさよならなんです。
もちろんダンブルドアもそれは知ってる。呪わせたのは自分だから。
You see, we have never been able to keep a Defense Against the Dark Arts teacher for longer than a year since I refused the post to Lord Voldemort.
で、DADA担当にしちゃったよ、スネイプ君を。
ちゅーことは、とりあえず何かが起きて、スネイプ先生はホグワーツを去る。少なくとも、そこまでは事前に了解済みだと思われる、両者間(校長とスネイプ)で。スネイプ先生は覚悟して引き受けたはず。
『HBP』のSpinner's Endに戻ってみましょう。ベラ(Bellatrix Lestrange)とナルシッサ(Narcissa Malfoy)とスネイプ先生が怪しい会談中。
ナルシッサが言ってます。"The Dark Lord has forbidden me to speak of it. He wishes none to know of the plan. It is... very secret. But-"(しゃべるなって言われた、"誰にも"知られたくないからって、だけど・・・)
それをスネイプ先生が遮りますね。「んじゃ言わないほうがええよ」と忠告。あの人が言うことは絶対服従だから、と言っている。
で、カーテンを閉めて、苦々しい表情で振り返ってから、"It so happens that I know of the plan."(その計画のことは知ってる)と。
えーっ!ちょっとわざとらしくないかな?「そうそう、その計画、知ってるんだったぁー」みたいに聞こえる気がするんですが(笑)。
で、その後、計画の詳細は避けつつも、うまいぐあいに女子2人が続きをどんどん喋る(笑)。スネイプ先生は思わせぶりな誘導尋問に終始しています。
で、ナルシッサが、うちの子には無理だから代わってやってくれと言いだすと、セヴルスったらこんなふうに答えてるぅー。
"He intends me to do it in the end, I think. But he is determined that Draco should try first. You see, in the unlikely event that Draco succeeds, I shall be able to remain at Hogwarts a little longer, fulfilling my useful role as spy."
(まぁね、どうせ最後には私がやることになると思うんだけれども、彼としては最初にドラコに挑戦してみてほしいと、そーゆーふーに考えてるわけよ。んで、もしドラコが成功すれば、私はもうちょっとの間スパイとしてホグワーツにいられるわけだしね。)
ほらぁーっ!ちょっとわざとらしくない?卿の偉大なプランを、"I think"とか"he is determined"とか"I shall be"とか、なにげに曖昧に扱っています(笑)。
そもそも、ドラコには2つの大きなタスクが課せられていました。DEを城に誘導するためのvanishing cabinetをきちんと設置することと、校長暗殺です。
どっちも難しそうだけど、これが具体的に会話の中に出てこないので、どっちのタスクについて話してるのか、はたまた両方か、まるでわかりません。
ただ、スネイプ先生はスゴ腕のレジリメンス(Legilimence)だからね、ナルシッサの心を読んだとすれば、ナルシッサにとってどっちがより深刻かによってスネイプの読み取る内容が違ってくる可能性があり、話の内容がかわってくることになる。おそらく両方について話しているんでしょーが、後者(暗殺計画)のほうが深刻なのは間違いねーずら。だとすると、カーテンを閉めながら、スネイプ先生はナルシッサの思考を読み、暗殺計画を知ってびっくらこけつつ、とりあえずスパイだってバレないように話についてかなきゃ、なんて内心ひやひやしとったかもしれん。
この場合は、"ドラコが成功すれば"というのは、"ダンブルドアを殺せれば"という意味になります。が、続く言葉( I shall be able to remain at Hogwarts a little longer, fulfilling my useful role as spy.)がまたオカシイ。私はもう少しの間スパイとしてホグワーツに残れる?
???
ダンブルドア殺害後、いったい誰をスパイするためにホグワーツに残るというのか、セヴルスよ。
うーん、やっぱり計画を知らないみたいにも見えますね。じつはこのとき諸事情によりレジリメンシー(Legilimency)を使ってなくて、ダンブルドア暗殺計画だとは思ってないから、その後もホグワーツに残ってダンブルドアの様子を探ろう、なんてバカなことを言ってしまったのかもしれません。
でまぁ、取り乱しまくるナルシッサに、んじゃ手伝うよって言っちゃいます。
するとナルシッサが「破られざる誓い(Unbreakable Vow)ちゅーことでよろしく」と言い出して、スネイプ先生はもうポカーンとなっちゃうわけです。が、ここまで来たら辻褄を合わせるしかありません(汗)。で、とっとと約束させられちゃう。
レジリメンシーを使ったかどうかにかかわらず、とにかく、これはもうどーしよーもなくその場凌ぎな展開の会話です(泣)。DADAを担当する以上、ホグワーツに残れるのはどうせあと1年と決まっていますが、スネイプ先生も「よりによってこれで失業かぁーっ」って泣きたくなったと思います(笑)。
で、このその場凌ぎな会話は、後々の口論に発展します。Unbreakable Vowで約束した内容が、キャビネット設置の手伝いではなく、暗殺の幇助(肩代わり)だということもここでわかります。
I was comin' outta the forest the other evenin' an' I overheard 'em talking -- well, arguin'. ... I jus' heard Snape sayin' Dumbledore took too much fer granted an' maybe he -- Snape -- didn' wan' ter do it anymore ... Dumbledore told him flat out he'd agreed ter do it an' that was all there was to it.
ハグリッドが立ち聞きした、スネイプ先生とダンブルドア校長の言い争いです。「こりゃおおごとです。やりたくないです」「いいからちゃんとやんなさい」、そーゆー会話です。
もしも、Unbreakable Vowがキャビネットの設置に関するものならば、ダンブルドアは校長として阻止した気がします、生徒が危険にさらされるから。つまり、DDは生きている!証拠1に書いたように、DE侵入時にハリーに呼びに行かせようとしたのが、スネイプ先生ではなくマクゴナガル先生だったはずじゃないかと思います。
ダンブルドア殺害に関するUnbreakable Vowだったからこそ、自分が死んですむんならまぁいいか、それで生徒(ドラコ)もたすかるし、セヴルスも死なずに済むなら、まぁいいや、そう思ったんじゃないか。
これらをふまえてこの口論を読むと、「ドラコがあなたを殺さないといけなくて、無理ならドラコのかわりに自分がやらなきゃいけなくなっちゃった。やりたくないんですけど。もういやなんですけど」「Unbreakable Vowは破れない。約束したんだからそのとおりにしなさい。私を殺していいよ、心配しないで」というふうに読めます。
次に、これは証拠としてちょっと弱いですけど、ハリーがあわやドラコを殺しかけてしまった場面を思い出してください。Sectumsempraのシーンです。このシーンは怖いね。ハリーも怖かったろうと思う。
で、駆けつけたのはスネイプ先生で、怒りまくって「教科書を持ってこい」とかなんとか言いながらも、レジリメンシーですべてお見通しです。
自分が発明した呪文だからね、そこに責任を感じたかどうかはわからない。けれど、殺人が起きかけたというのに、罰(detentions)で対応してくれている。これはちょっと優しいです(笑)。そっとしておいてくれてる感じがします。
そして、やっぱダンブルドアの最期です。
...somebody else had spoken Snape's name, quite softly.
"Severus..."
The sound frightened Harry beyond anything he had experienced all evening. For the first time, Dumbledore was pleading. Snape said nothing, but walked forward and pushed Malfoy roughly out of the way. ... Snape gazed for a moment at Dumbledore, and there was revulsion and hatred etched in the harsh lines of his face.
"Severus... Please..."
さるお訳:誰かがスネイプの名前を、場違いなほど優しく呼んだ。「セヴルス・・・」
その声は、ダンブルドアが初めて懇願するその声は、ハリーが今夜体験したすべてのできごとよりずっと怖かった。スネイプは何も言わず、前へ踏み出してドラコを乱暴に押しやった。一瞬ダンブルドアを見つめたスネイプの顔には憎悪が深く刻まれていた。
「セヴルス、お願いだ・・・」ダンブルドアが言った。
さて、これをどう解釈するか。revulsion and hatred(嫌悪/憎悪)、これが問題です。誰に対する憎悪なのか。
その手前に、softly(静かに/優しく/寛大に)って書いてあります。人が誰かに対して、静かに優しく話しかけるときというのはどーゆーときか。それを考えれば想像できます。つまり、「私を殺していいんだよ、心配しないで」っていう気持ちなんじゃないかな、ダンブルドアは。
もちろん"Severus... Please..."には2つの可能性があり、ひとつは"Please don't kill me."、もうひとつは"Please kill me."です。で、前者であるならば、最期の言葉は"Severus... Don't..."になるように思えます。
"Please..."で終わっているということは、否定の内容が続くんじゃなくて、肯定の内容が続くんじゃないのか。ということで、"Severus, please kill me, as you promised you would."(私を殺しなさい。約束したとおりに)と言おうとしたはずだと思う。
肯定だからと言って、ダンブルドアのような賢者が"Please help me."なんておまぬけなことを言うとは思えません。なぜなら"help"の意味が定義できないから。
これには、ストーリー中に伏線と思われる個所があると思います。なんつってもハリポタには繰り返しが多用されている。つまり、このシーンとそっくりなのを少し前に目撃しています。
"You...you can't stop, Professor," said Harry. "You've got to keep drinking, remember? You told me you had to keep drinking. Here..." Hating himself, repulsed by what he was doing, Harry forced the goblet back toward Dumbledore's mouth ...
(「先生止めちゃだめだってば。飲み続けないといけないんだ。ほら、グーッと行きましょう」(←酒か?)自分のしていることが嫌だったけれど、ハリーはどんどん飲ませようとした)
似てます!
ハリーは、なんとしても失いたくない校長先生に自分が毒を飲ませなければならない、その役目を苦しがっている。
スネイプ先生も、自分がダンブルドアを殺さなければならない自分の運命を呪っている。自分が背負ったものに対するrevulsion and hatred(嫌悪/憎悪)だったのではないか。こんなことになるなんて、こんなことをしなきゃならないなんて!そーゆーかわいそうなシーンなんじゃないか。
ということでさるおは、DDは生きていないかもしれないがスネイプ先生は味方だ!と思っています。
アルバス・ダンブルドアとセヴルス・スネイプ、信頼し合うスゴ腕のレジリメンス(Legilimence)同士、一瞬見つめ合い、片方がもう片方を、意に反して運命的に殺さなければならない。
その一瞬に、目と目を合わせて、はたしてどんな会話をしたのか。
ハリポタはあなどれないっす。胸がつぶれる思いです。
さて、最後になりましたが、スネイプさんにまつわる最大の、そして最初からある究極の矛盾点、『PS』に戻りましょう。
『PS』でクィレル先生(Quirinus Quirrell)はハリー殺害を企んでいます。クィディッチの試合中にほうきから落とそうとした。それを阻止したのはスネイプ先生でした。また、クィレル君を呼び出して、夜の廊下で口論もしています。
で、この間ずっと、ヴォルディはクィレルの頭の後ろにへばりついてるわけだよね。仮にハリー殺害計画は"主人に気を遣った下僕"が勝手にやったことだとしても、少なくともクィレル-スネイプ間の口論は親方が全部聞いちゃってるはずなわけです。
"...d-don't know why you wanted t-t-to meet here of all p-place, Severus..."
"Oh, I thought we'd keep this private, Students aren't supposed to know about the Philosopher's Stone, after all. Have you found out how to get past that beast of Hagrid's yet?"
"B-b-but Severus, I-"
"You don't want me as your enemy, Quirrell"
"I-I don't know what you-"
"You know perfectly well what I mean. -your little bit of hocus-pocus. I'm waiting."
"B-but i d-d-don't-"
"Very well, We'll have another little chat soon, when you've had time to think things over and decided where your loyalties lie."
「今日も二重スパイご苦労さん!賢者の石をとる予定だYO!」と頭の後ろから言わなかったのはなぜなのか?そっか、ハリーはそばにいることがわかってたから静かにしてたんですね。では、スネイプさんのセリフをどう思って聞いてたんですか、ヴォルディ君?
ヴォルディとセヴルス・スネイプ。こちらもスゴ腕のレジリメンス(Legilimence)同士。
これらのやりとりの真意を、"以心伝心"でどう決着させたというのか。スネイプさんはちゃんとヴォルディを騙せているんでしょーか?心配です。
心ゆくまでさるお、もんち!