『THE DA VINCI CODE/ダ・ヴィンチ・コード』を劇場で観たよ。
観終わってすぐ、愕然としましたね(涙)。
ヒミツを知ってるの、ソニエール館長さんたちだけじゃなかったぁーっ!
ミッテランも、イオ・ミン・ペイ(貝聿銘)も、けっこう知ってる人いっぱいいたぁーっ!
まいった、と思いました。周知のヒミツかよ、と思ってうなだれましたね。これについては後で書きます。
しかーし、おもしろかったです。フツーにね、すごくおもしろかった。
ゴージャスなエンターテイメントとして、RPG的謎解きミステリーアドベンチャーとして、申し分ないとさるおは思います。難しくないし、飽きさせずにほどよいスピードでぐんぐん引っぱってってくれるからね、楽しかったよ。
監督は、最近親子でどっかーんと稼いでいるロン・ハワード(Ron Howard)、脚本もどっかーんと稼いでいる男アキヴァ・ゴールズマン(Akiva Goldsman)、で、原作は時の人ダン・ブラウン(Dan Brown)。
出演はトム・ハンクス(Tom Hanks)、オドレイ・トトゥ(Audrey Tautou)、イアン・マッケラン(Ian McKellen)、ジャン・レノ(Jean Reno)、ポール・ベタニー(Paul Bettany)、そしてさるおが好きなアルフレッド・モリナ(Alfred Molina)。ご、豪華だ!
ロケ地はルーブル。豪華絢爛だ!ふんがー。
ただ、「だびんちってだれ?」ぐらいの知識で観てしまうとついていけないと思います。とっとと謎解きが進んじゃうから。
知識というよりも、たとえば、レオナルドの描いたモノ(できれば『最後の晩餐』)を(ホンモノじゃなくていいから)観たことがある人じゃないと楽しめないかな。あと、バチカンがとる立場と、それに対立する思想も、ある程度理解しないとまずいっす。
観客が理解しなくても済むものはスルーさせてくれるスピードもあります(笑)。そのへんもね、ちょうどいいと思いました。ちゃんと一般的なレベルに合わせてある感じがしました。これくらいがアベレージなんだな、きっと。
原作はね、これから読むところです。あれだけ長い原作だと、人物の背景とか、本来ならメインディッシュの推理の部分が、映画ではずいぶん端折られてるんだろうとは思う。でも、映画を観ていて疑問はなかったし、ついていけない個所もなかったから、上手に思い切って短くしたんだろうと思います。
さるおはたまたま、現地でホンモノの『最後の晩餐』を観ています。1度目は10年以上昔で、修復中。
さるおが絵を描くときは是非まねっこしようと決めている一点透視図法で用いた消失点の穴ぼこ(イエスのこめかみあたり)と、レオナルドだけが描き得た生きた人間の表情と切り取られたドラマを、思う存分眺めてやろうと思ったわけです。
ところが、いざホンモノの前に立ったら、今までは絵そのものを"見ようと思って観た"ことがなかったことに気がついた。自分でもちょっと驚きました。で、今日はホンモノと対峙しているわけだから、まずはちゃんと眺めようと思って、ぐるっと見回して初めに思ったことは、「イエスのこっち側空きすぎだろー、あんたあっちに寄っ掛かりすぎ、エライ人(ヨハネ)用の席なのに。あ、あれ女の人だ」、つまり映画『ダ・ヴィンチ・コード』のコアの部分です。
で、現地人風のおやじをつかまえて話しかけたわけです。「初めてここ(サンタ・マリア・デレ・グラツィエ教会)に来たんですけど、名画があるのにショボイ教会ですね」(開口一番まさかの教会冒涜)←修道院は
「あんた日本から来たのか?クリスチャンか?」
「ちがうちがう、僕はイエスなんてどーでもいーんです(続けざまに神の子冒涜)。レオナルドに会いに来た」
で、ここから絵についての話がはじまるわけですが、そのおじさんはあっさり言いました。「イエスの隣のヤツ、女に見えるだろー」「うん、女っぽい」「あれ女なんだ」「マグダラのマリア?」「そう言われてるよ」「彼女はほんとは使徒だよね」「そうだけど、レオナルドとイエス以外からは無視だな」「かわいそうだね」「ここ(絵を指して)にいるからよかったんじゃないかな、着てるもの、イエスとおそろだし」
その他の話はフツーの『最後の晩餐』解説でしたが、映画観たあとそのおじさんを懐かしく思い出しましたよ、あんたもしや、ラングドン?
ちなみに、このときさるおがその女性を観てマグダラのマリアだと思ったのにも理由がある。聖書にあるからっす、イエスとマリアがピクニックして丘の上で仲良く話するデートの場面が。だから、仲良かったんだなーと思っていたわけです。ついでに、聖書に出てくるマグダラのマリアって、イエスのことものすごい大好きだってよく言ってるし、ずっと離れなかったわけだから、ガキくらいいてあたりまえっすね。
そのおじさんは、ふたりのシルエットが"V"型になってるHoly Grail説のヨタ話まではさすがにしませんでしたが(笑)、とにかく、ヨハネがいるべき位置に座っているのがマリアだという説自体は、めずらしくも何ともないんじゃないかなぁ。
ということで、自らのイタリア珍道中を思い出しつつ、アメリさん(名前がわかってない)って細いなーとびっくらこけつつ、夢中になってラングドンについてスコットランドのロズリン礼拝堂に行って、地下で一輪の薔薇を見つけたところまではよかった。で、アメリの正体がわかったあたりもよかったっす。
ところが!
ぐわぁー、戻って来ちゃったよ、ルーブルに!
ストーリーとしてはおもしろい。はじめから、すぐ近くにあったんだぁ!こりゃキレイなまとめです。
しかーし、1985〜1989年のグラン・ルーブル・プロジェで地下を掘って大蔵省のオフィスとか売店とか食堂とか作ってガラスのピラミッド(内部に逆ピラミッド)で蓋をした中国人建築家イオ・ミン・ペイ(貝聿銘)君も、ペイ君に「かっこよくたのむよ、キミ」と発注してしてしまったフランソワ・ミッテラン君も、みんなこの重大なヒミツを知ってたことになるぅーっ!
しかもあれですか、ジャック・ソニエール館長が、グラン・ルーブル・プロジェに乗じて、マグダラのマリアの棺を手元に置いておきたいからこっそりスコットランドから移送して逆ピラミッドの真下に埋めようぜとか言い出したということですか?よし、工事だ。大工さんまでが、この重大なヒミツを知ってたかもしれないYO!
何やってんだ、ラングドン。涙出ましたね。
さるおはこれから原作を読むので、そのへんをどう決着つけたのか、気になります。もう涙は流したくありません。
そうそう、ひとつだけ決定的な文句があるとすれば、パンフやポスターに『モナリザ』を使うのははっきり言って詐欺です(泣)。
ダ・ヴィンチは、その微笑みに、何を仕組んだのか。
そーゆー話じゃねーじゃねーか!
最後に。
ポール・ベタニーがぐ〜んと大きかったですね(笑)。唐突な安さが最高でしたよ(泣)。
ひとりで暴れまくって去っていくイアン・マッケラン、好きだなーとあらためて思いました(笑)。
心ゆくまでさるお、もんち!