2006年09月24日

映画鑑賞感想文『Vフォー・ヴェンデッタ』

さるおです。
『V FOR VENDETTA/Vフォー・ヴェンデッタ』を観たよ。
監督は『STAR WARS: EPISODE II - ATTACK OF THE CLONESスター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃』『THE MATRIX RELOADED/マトリックス・リローデッド』のアシスタント・ディレクター、ジェームズ・マクティーグ(James McTeigue)!
脚本はウォシャウスキー兄弟(Larry Wachowski & Andy Wachowski)!
うん、これだけでもうすごいですよね(笑)。
出演はイヴィー役にナタリー・ポートマン(Natalie Portman)、V役にヒューゴ・ウィーヴィング(Hugo Weaving)。
うん、これでもうファミリーですよね(笑)。
フィンチ警視はスティーブン・レイ(Stephen Rea)、サトラー議長はジョン・ハート(John Hurt)、クリーディはティム・ピゴット=スミス(Tim Pigott-Smith)ゴードン・ディートリッヒはスティーブン・フライ(Stephen Fry)。

いやぁ、こりゃおもしろかったっす!壮大で、映像的にも精神的にも影の多い、大スクリーン向きの大作です。ポリティカル・ファンタジー万歳!

舞台は近未来のイギリス。ヨーロッパ各地でぼかんぼかんと核戦争をやったら、ファシズムによる最悪の全体主義国家になっちゃった。アメ〜リカなんてイギリスの植民地ですから。メディアも支配され、プロパガンダしか流れません。秘密警察が大威張りで乱暴をはたらいたりしている。マイノリティや同性愛者は問答無用で強制収容所送りですよ。こわい。
こーゆー権力構造を象徴するエライ人のスピーチなんかの場面はほとんどナチス・ドイツのパロディですが、ハイテク国家になっているあたりがナチスの雰囲気を一歩進めた感じで、近未来ナチスです。
この政府に立ち向かうのがアナーキストの"V"さん。ガイ・フォークスのにんまり顔マスクで現れて、異様なまでにドラマチックさにこだわり、チャイコフスキーの『1812年』の調べにのって暴力的に体制を崩壊させるヒーローですね。というかほとんど爆破アーティスト(爆)。

People should not be afraid of their governments. Governments should be afraid of their people.

そうそう、Vさんは過激な破壊活動家っす。自由のためなら、国会議事堂をぼっかーんだ!ということで、V自身が"正義"とスレスレのところにいます。世が世ならただのテロリストですが、劇中では世が世なのでヒーローです。Vさん登場シーンの爆裂マシンガン自己紹介もかっこええですが、電波ジャックして流すスピーチの内容もまさに"正義"、説得力ありすぎてまじめに聞いてしまいました。
ちなみにVさんのあのシンボルはアナーキストのシンボルの○の中にAが書いてあるやつのパロディっすよね。他にもいろいろ細かいところにこだわってそうだなぁ、丁寧に観るときっとさらにおもしろいっすよ。

Vさんの過去がすごく知りたいんですけど、あんまり明かされないね。かつて強制収容所に入れられていて、そこではおそろしい人体実験をやっていて、Vさんも被験者にされてて、実験の結果スーパーマンになっちゃった人。すさまじい悲劇の結果生まれたヒーローらしいぞと、そんくらいしかわからん。何しろ、V視点の物語ではないです。イヴィーちゃんやらデカさんやら、あるいは官僚視点です。
名前は"V"1文字しかないんだなぁ、ということは、強制収容所の独房の"V"であって、「5番君」と呼ばれていたと思われる。本人も本当の名前は覚えていないと思われます。うーん、そーいえばあちこちが"V"だらけだ。

で、イヴィーを使った強制収容所の再現シーンは迫力あっていいっすね。自分が"V"になるまでの追体験の設定で、イヴィーをじゃんじゃんいじめるわけです。イヴィーが自分と同じ高みに上ってくるまで、追いつめていきます。ある意味、二代目Vの誕生。身体的には同じにできないので、まぁハートだけは二代目V。イヴィーの方もいじめられて怒ったけれど、ついに自身の内にある"正義"に気づきます。
Vさんの本気度がわかりますねー。
10年もかけてひとりでコツコツと、線路をなおしたYO!
つくづく、Vさんの本気度がわかりますねー。途中で「何やってんだ、V」と自問自答しないあたりがド根性野郎です。

最後のシーンはまるで、全体主義国家の新バージョンに見えちゃいましたけど、いいのかな、あれで。"自由"に向かったはずなんだけど、あんなに整然としていて、この人たちだいじょうぶかな。そこだけが気になりましたね。

しかしまぁ、アメ〜リカが近未来ナチスの植民地んなってる映画をイギリス・ドイツで共同製作してるあたりがおもしろいっすね(笑)。

ところで、ヒューゴ・ウィービングにはびっくらこけた。顔なんか1度も出てきませんから。このシゴト受けただけでもすごいっすけど、いやぁ、演技がすごすぎてまいったYO!これはねー、説明できないっす。とにかくすごい。背負ってるものと温かみと使命感と色気と、あらゆるものを発散してます。あんたが大将!

残念ながら、モデルとなった本物のガイ・フォークスは、Vのような死に方はしてません。"首吊り・内臓抉り・四つ裂きの刑"って聞くだけでもう許してほしくなる極刑に処されたようですが(泣)、実際には処刑の日までの拷問で衰弱しすぎて絞首台に自力で上れず、拷問死です(大泣)。
Remember, remember the 5th of November.
11月5日(ガイ・フォークス・ナイト)は、彼が拷問され、本名(Guido Fawkes/グイド・フォークス)と火薬陰謀事件に関わったことを自白した日ですね。

心ゆくまでさるお、もんち!
posted by さるお at 19:48| Comment(4) | TrackBack(44) | 映画の感想文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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