フットボールファンのよい子のみんなはよく知ってることですから読んでもしょーがないんですが、これからファンになるよい子のために、サッカー選手がつける背番号について書いてみます。
「10番をつけてます、さすがですねー!」とか言われても、それがすごいんだかすごくないんだか、わかんないとつまんないからな。
背番号ってゆーのは、ただの番号ではない。っちゅーか、ただの番号では"なかった"。昔はね、背番号といえば11番までしかなかったんだよね。サッカーは11人でやるから、1番から11番まで。ということは、選手にくっついてるものじゃなくて、ポジションにくっついてるものだった。
昔のサッカーは、フォーメーション(システム)といえば2-3-5がジョーシキだったわけです。こんな感じに(上方向に攻めていきます)。

2番と3番は守備です。今みたいに、センターバックだサイドバックだっちゅーのはなくて、フルバックだった。攻撃参加はしない、守備の専門家です。
4番〜6番までは中盤でプレーするミッドフィールダーで、ハーフバックと呼ばれてました。
攻撃するのはなんと5人。7番と11番はサイド攻撃の専門家で、7番が"右ウィング"、11番が"左ウィング"です。9番は今で言えばセンターフォワードで、"ゴールにボールをぶち込むことだけがシゴト"の点取り屋、8番と10番は"1.5列目"なんて呼ばれるセカンドアタッカーです。
うーん、今どきのシステムとはずいぶん違うな。今だとほら、たまに5バックなんちゅーのをやってるとこもあったりして、5-4-1とかね、まるで逆です。
で、背番号はポジション固定だった。つまり、普段は選手には背番号はついてなくて、「よし、今日はおまえ、スタメンだ」なんて監督さんに言われてはじめて、その都度背番号がつくわけです。もちろん、点取り屋タイプの選手が2番をつけることはたぶんないので、たいていその選手は、試合に出るならいつも9番、っちゅーことになるんですが。
今はどこの国でも背番号は選手固定です。
どうしてそうなったかというと、レプリカユニが売れるから(爆)!ロナウジーニョといえばFCバルセロナの10番で、ユニフォームに『Ronaldinho 10』って書いてあるのを買えばもう、オレはロナウジーニョなんじゃないのかっちゅーことで、かっこええわけです。
もっと表向きの理由は、システムの変化(進化)とクラブがでっかくなったこと。
今では2-3-5なんてやってるチームはありません。あるかもしんないけど、劇レアっすよね。4-4-2とか、3-5-2とか、4-2-3-1とか、4-3-3とか、いろんなことになってます。そーすると、ゴールキーパーから見て近い順に右から23456・・・って番号をつけていく、という全世界共通の決まりごとははもう成り立たない。そして今ではどのクラブも選手をたくさん抱えていて試合毎にとっかえひっかえしてるからね、背番号が選手固定というのは、観ているお客さんにとっても解説しているおじさんにとっても、何番はだれそれっちゅーことで覚えやすい。
そーゆーわけで、今では背番号が30なんていう選手もいるし、その30をつけたまま先発出場しています。
最近のシステムでは2バックなんて見かけない。
たとえば、かわりに見かける4バックだと、右のサイドバックは2番、左のサイドバックは3番、センターバックは4番と5番という場合があったとします。するとこれは、昔の中盤(ハーフバック)から2人が下がってきた感じがしますね。
あるいは、左のサイドバックが6番だと、これも昔の中盤(ハーフバック)から下がってきた感じです。こうしてルーツを想像しながらフォーメーションを見るのは楽しい。
昔のシステム2-3-5の前線を見てみると、これはもう9番というのが圧倒的なチームのエースです。今の日本では10番とか7番とかがかっこええイメージですが、本当は、点取り屋、ゴールゲッター、ゴールハンターなんて呼ばれるエースは9番。いつでもゴール前に飛び出せるように身構えていて、誰かがパスを出してくれると、ゴールキーパーと1対1で勝負をする。これぞエースの仕事っす。
これがだんだんと、"9番にゴールさせる選手=エース"という図式に変わってきます。9番の選手に走ってほしい"空いている場所"をうまく探してパスを出す。つまり、頭を使って攻撃の仕方を決めていく選手がチームのエースだということになる。ということで、9番にパスを出す、最前線より少し後ろの選手が"司令塔"と呼ばれるようになります。昔の2-3-5システムでいえば8番と10番で右インサイドとか左インサイドと呼ばれた攻撃の一角です。
8番と10番は、左右が逆なだけで役割は同じです。ところが"司令塔"は10番。これは単純に言ってしまえば、これまでのサッカー史において、9番と10番の選手がよく得点していたっちゅーだけのことです。ただし、右利きの選手にとって、左右どっちの脚でもゴールを狙う(または9番へのパス)のに、左からのほうが蹴りやすいという背景があります。相手ゴールにずいぶん近づいたゴールの左側からなら左足で、相手の守備をかわして突破してゴール正面に走って来られれば右足で、うまく蹴れる。ということで、右利きで、利き足をしっかり軸にして左右どちらでもうまく蹴れる選手、というのがいると、これはもう10番の位置で大活躍っす。
サッカーの神様、ペレ。この人は伝説的な10番ポジションの選手です。ジーコも、マラドーナも、ミシェル・プラティニも10番。ということで、10番はヒーローの番号です。たいていは"トップ下"とか"1.5列目"と呼ばれる位置にいて、"ゲームをつくる"攻撃の核です。ロベルト・バッジオ、デル・ピエロ、中田英寿、中村俊輔、これはあげるときりがないですが、みなさんファンタジスタです。
司令塔10番。昔はフォワードだったけど、ピッチを全部を見回して頭を使え、っちゅーことで、最近はポジションがどんどん下がってきてるね。トップ下どころか、ピッチの中央。そのうち、ボランチ("中盤の底"と呼ばれる守備的ミッドフィールダーで、ディフェンダーのひとつ前でどこから攻撃を始めようか考えて最初のパスを出す役目、昔の2-3-5システムで言えば5番のような位置です。)といえば10番、なんちゅー時代が来るかもしれない(笑)。
※ドイツのマテウスなんかが好例っすよね。
もちろん10番ばかりじゃありません。その国、その地域、そのチームのヒーローがかつて活躍した背番号を、自分もつけたいなぁということになる。たとえばヨハン・クライフの14番はオランダではエースです。ミシェル・プラティニもつけていた番号っすね。
右サイドなら負けないぞ、という選手には7番が人気。これもあげるときりがないないっすけど、いつでもどこでも7番をつける男ルイス・フィーゴとか、本当は7番がつけたくってしょーがないのにフィーゴとかぶるから代表では先輩を立てて17番に追いやられているクリスチアーノ・ロナウドとか(笑)。ヒデさんも代表では7番でした。
オレこそ点取り屋だ、という選手には9番が人気で、ロナウドとかイブラヒモビッチとかは典型っすね。
でも選手はたっくさんいるわけで、しかたがないから空いている番号をもらう場合もあるし、こだわり方は人それぞれです。
当然クラブ側にも考え方とか伝統があって、「うちは6番は永久欠番と決めているんだよ」という場合もあるし、「今度来る選手が7番を欲しがっているから、ちょっとキミ、譲ってやってくれませんか?」ということもある。代表では4番だけどクラブチームでは8番とか、代表とクラブで自分に課せられる役割が違うから番号も違うとか、これはよくあることです。
たとえばさるおなんかはFCバルセロナのデコが大好きなので、20という数字はもうキラキラと輝いて見えているわけです(笑)。
ということで、話がどんどん細かい方へ行きそうなので、ここで終わりにします。
ほんとはチームのエースといえば9番なので、それは忘れてしまわないようにしたい。とにかく、昔の2-3-5システムの番号のつけかたを頭にいれてシステムを見てみると系譜がうかがえて楽しいし、背番号の意味を知っているとまた選手の見方も変わって楽しいっすよ。
心ゆくまでさるお、もんち!