2007年03月25日

さるお発 映画『SAW III』完全解読マニュアル5 She swims in my sea.

さるおです。
ネタばれ記事です。ネタばれコメントも大歓迎です。これから映画をご覧になる方はコメント欄にも気をつけてねー。

She swims in my sea.
いいねー、このセリフ。アマンダは、ジョンの海で泳いでいる。いいねー。

【封筒は過去にも渡された】
アマンダは2004年7月23日にヘッドギアのゲームを勝ち抜き、2004年のクリスマス前に、ジョンに弟子入りしました。
アマンダは、ジョンについていこうと決心をします。
You will give everything to me. Every cell in your body. Is that understood?(すべてを私にゆだねろ。細胞のひとつひとつに至るまで、すべてを私に捧げろ。いいか?)
アマンダはYes.と答える。
The marks on your arms, they're from another life. We'll leave that life behind.(腕の傷は過去のモノ、その傷は過去とともに置いて行く)When you go down that corridor ... there is no turning back. Do you understand that?(あのドアを出て廊下に降りたら、もう後戻りはできない。それでもいいか?)
アマンダはYes.と答える。
美しいシーンだなぁ。ほとんどウェディングです。
そしてジョンは黄色い封筒を渡します。Let's start with this.(はじめよう)
アマンダは無言で封筒を受け取る。
Go.(行きなさい)
そして一度だけ振り返り、出て行く。
美しいなぁ。師弟誕生。
アマンダは、アダムを拉致り、待ち合わせ場所のバスルームに連れて行きます。そして、緊張した感じで一息つくと、バスルームの扉を3回はっきりと聞こえるようにノックして、つまり私だよーと合図して、入っていきます。
この様子から、アマンダは封筒を受け取って以来バスルームに到着するまで、ジョンとの連絡が絶たれていたと思う。アマンダはとにかく指令をこなすのみで、途中経過の報告もなし。質問も、変更も、一切できない。そこまで私を信じろと、ジョンはアマンダに要求している。
それは裏を返せば、ジョンがアマンダを信じていることの証ですね。そう、ジョンもまた、自分のすべてを賭けてアマンダを信じた。
いいねー。美しい師弟誕生。
ということで、封筒には、アマンダへの指示が入っていたはずです。「ブタをかぶってアダムを拉致れ。アダムはクスリで眠らせて、下水処理場の地下のバスルームに連れてこい」
バスルームに入ると、アマンダは「アダムの左足に鎖付けろなー」と言われ、その通りにします。そして指示通りバスタブにアダムを入れ、鍵を入れ、水を出す。ジョンが筋弛緩剤を注射するのを見ると「それなぁに?」と質問してるから、ゲームの詳細は知らないですね、アマンダはあくまでもアシスタント。

【アマンダ宛の封筒の中身】
『SAW』シリーズは伏線に満ちた作品です。繰り返しを多用している。
ならば『SAW III』の封筒の中身も、2004年のクリスマス頃ジョンに渡されたものと酷似しているはず。つまりゲームのインストラクションです。封筒に入っていたのは、何かを箇条書きにタイプ打ちした数ページに及ぶ書類と、手書きされたルーズリーフ1枚。アマンダ、苦しそうですね、ずいぶん動揺しちゃってます。

【インストラクション】
この時点ですでに手術は終わっていることから、"術中にジョンが死んだ場合"の可能性はなくなってます。"病死用"テープも必要なくなった。この段階で、リンはゲームに勝ったことになる。
リンを解放しろ。ルールを破りたい気持ちになっても、ジョンを信じて、ルールを守れるか。アマンダに与えられた試練です。ジョンはどんどん弟子を追い込んでいくんだけど。
さて、ここから先の指示が封筒の中に入っていた。ジェフが病室までやってくるのをアマンダは知っていた。次に起きることは、いろいろ考えられます。
1. アマンダがリン解放→4人生存
2. アマンダがリンをまだ解放していない→4人生存
3. リンを解放するまえにジョンが容体急変で死亡=リン死亡→2人生存(アマンダとジェフ)
4. アマンダがリン殺害→3人生存(アマンダとジェフとジョン)
5. アマンダがリン殺害=ジェフがアマンダ殺害→2人生存(ジョンとジェフ)
6. アマンダがリン殺害=ジェフがアマンダとジョン殺害→1人生存(ジェフ)
7. アマンダがリン殺害=ジェフがジョン殺害→2人生存(アマンダとジェフ)でたぶん大バトル
8. ジェフが3つのテストで救った3人(の中の誰か)もやってきて全員集合→5〜7人生存
などなど。実際には6になりました。
ただし、ジョンはゲームの展開について、かなりの予測をしていたみたいっすね。アマンダにとってリンを解放するのは難しい。そしてリンを傷つけてしまえば、そのことに対してジェフは復讐してしまうだろう。さらにジェフにとって自分を赦すことも難しい。つまり、人は激情に流されやすく、流されてしまえば、4人の運命はここで終わる。6の展開を予想していた。"難しいテスト"だからこそ、合格すれば生まれ変われる、ジョンの理論では。
アマンダがリンを撃ち、ジェフが病室に入って来たとき、ジョンはおかしなことを言います。You just destroyed four lives. You just murdered Jeff's wife.(キミは4つの命を破滅させた。キミはジェフの妻を撃った。)
えっと、もしこれを言わないと、ジェフは迷うはず、復讐の相手はどっちなのかと。どっち殺せばええのかなと。
ということは、「キミはジェフの妻を撃った」は、ジェフに聞かせる言葉ですね(笑)。"予想していた通りになるように仕向けた"感は否めませんが、自分が先に殺されちゃうとその後がぐだぐだんなっちゃうので、ま、しょーがないか(爆)。
もしもこのゲームにジョンを含めたみんなで勝てれば、"ジェフの娘探しゲーム"には最低でも4人、最大で7人が参加します。
ということで"ジェフの娘探しゲーム"におけるアマンダの役割が、いろいろ書いてあったはずですが、えーっとこれは『SAW IV』の大予想になると思うので、もうちょっと後で書きます(笑)。じつは予想できていないというのはヒミツ(爆)。

【アマンダはどこまで知っていたか】
アマンダはジェフとリンが夫婦であることを知っていたのかと思ってました。理由はアマンダがリンの前で、"a man"とか"he"とか言っちゃって、決してジェフの名前を呼ばないから。
でもあらためて観ると、アマンダの知らない"何か"はたしかにありました。
ジェフが病室にやってきたのは必然で、それはアマンダも知っていた。でも、ジェフとリンが夫婦であることは知らなかった。ジョンが隠していたから。
さて、問題は、アマンダがその後の展開、つまり娘を救出するためのゲームが始まる、ということを知っていたかどうかです。そしてその"娘探しゲーム"に、共犯者がいたかどうかです。
前者については、途中で知らされた可能性が高いかな。あの封筒で。

【アマンダの心理】
アマンダがルールを破ってしまう理由は、ジョンを独り占めしたい、という気持ちだろうと思います。自分以外の誰かがもしゲームに勝って生き延びてしまったら、ジョンはその人を大事にしてしまうかもしれない。だから、誰も勝たせるわけにはいかない。虐待された過去を持ち、親に見放された不幸な子供時代を過ごし、"悪いこと"をたくさんするようになって、濡れ衣を着せられ投獄され、ついにクスリに溺れ、自殺未遂を繰り返したアマンダが見つけたのは、"a savior and a father figure"でした。父親だと思って慕い、たよりにしている。やっと"ひとりぼっち"ではなくなったのに、これから妹や弟ができて、取られるのは嫌なんだ。後継者は自分ひとりでいい。
なのに、それなのに、アマンダにしてみれば、ジョンが自分を裏切った。
リンに自分を支配させるなんて、そんじゃ立場が反対じゃんか!自分だけが、動けないジョンを手伝って、状況を支配するはずなのに!だって私がジョンの後継者なんだもん!
どうせあたしなんて殺人者なんだ。ちくしょー、哀しすぎて寂しすぎて、怒ったぞー。
うーん、かわいそうっすね、アマンダ。涙出ます。
Because nobody fucking changes. Nobody is reborn. It's all bullshit.(人なんて変わらない。生まれ変われるなんて嘘だ。嘘っぱちだ)
So help me. Fix me. I'm standing right here.(たすけようとしたんならたすけてよ。私はあなたの目の前にこうして立ってるのに)
ふたりともかわいそうだ。涙出ます。とことん破滅型のふたり。

【ジョンの心理】
Amanda... it's okay. This was your test. Your game. I was testing YOU. I took you in. I selected YOU to the honor of carrying on my life's work. But you didn't. You didn't test anyone's will to live. Instead you took their only chance. Your games were unwinnable, your subjects merely victims. In my desperation, I decided to give you one last chance. So I put everything in place. You didn't know that Lynn and Jeff were husband and wife. I had to keep that from you for the purposes of my game. I had to leave out the ruining marriage, the cheating wife, the vengeful husband, the neglected daughter and I let you make your own choice. I wanted you to succeed... but you couldn't.
もういいんだ。キミのテストだったけど。私のライフワークを引き継ぐ栄誉に、キミを選んだけど。キミは、人の"生きる意志"を試すことができなかった。彼らのチャンスを奪った。だから最後にもう1度キミを試すために準備して、リンとジェフが夫婦だとか、デンロン家の家庭内の問題とかは全部隠して、キミに選択をまかせた。成功してほしかったけど、だめだったね。
Oh, God...
神よ。
Game over.
ゲームオーバー。
師弟の愛が、親子の愛が、すれちがう。ジョンもすべてを賭けたけど、負けちゃって、泣いてます。ふたりともかわいそうだ。涙出ます。ほんとにどこまでも破滅型のふたり。

自分は生まれ変わり、人は生まれ変われると信じて夢を捨てず、絶望して死んでいくロマンチシストのジョン。
夢を信じてみたけれど、人は所詮変わることはできないと、怒り哀しみ苦しんで、さみしがり屋のまま死んでいくアマンダ。
あまりにも破滅型の、相容れないふたり。涙出るわぁー。
『SAW』シリーズで泣ける人はめずらしいかもしれませんが、身体がちぎれたり首がふっとんだりするのを観ながら、今日も肉が美味いなと、牛肉はレアがいちばんだなと、かわいそうなふたりだなと、さるお号泣。ジョンに真っ先に狙われそうなメタボさるおでした。

心ゆくまでさるお、もんち!
posted by さるお at 22:59| Comment(2) | TrackBack(0) | さるお発『SAW III』解読 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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