スーパーポッタリアンなので、愛を込めて、さるおのハリポタツアーは第2章へ突入して冒険の準備です。
『DH』の完全ネタバレです。コメント欄も含めて、すごーくご注意ください。
ハリポタ辞典のもくじはこちらです。
2:In Memoriam
17歳まであと4日。
ハリーは旅支度の最中です。6年間、いろんなものを詰めっぱなしだったトランクを初めて空にして、その中から必要そうなモノだけをリュックサックに入れようとしてます。
トランクの奥のほうには古い羽ペン、desiccated beetle eyes(乾燥したカブトムシの目)、もう履けない靴下、などなど。もっと底をさらってみると、懐かしの"CEDRIC DIGGORY and POTTER STINKS"バッジ、そして、R.A.B.のメモがが入った金のロケットと、シリウスの忘れ形見の鏡・・・。鏡は割れちゃってますね。あー、指が切れちゃった。
鏡の破片を見つめるハリーですが、自分の明るい緑色の目が映ってこっちを見ているだけです。今朝のDaily Prophet新聞の上に破片を置いて、また旅支度にとりかかる。クィディッチのユニも学校の制服も、薬品鍋も、羊皮紙も羽ペンも、ほとんどの教科書も、置いて行くつもりで部屋の隅に積み上げて行きます。
マグルの着替え、透明マント、薬品キット、何冊かの本、ハグリッドがくれたアルバム、もらった手紙、そして杖をリュックに入れました。
一息ついて今度は古新聞の片づけ。ホグワーツのマグルスタディのチャリティ・バーベッジ先生が退職したという記事も小さく載ってます。そして読もうと思ってた記事をやっと見つけて読みはじめる。
『ALBUS DUMBLEDORE REMEMBERED』by Elphias Doge
さて、記事の内容です。
アルバス・ダンブルドアと私が出会ったのは11歳のとき、もちろん場所はホグワーツ。会った瞬間から、アウトサイダー同士、仲良くなれると思ったものです。
当時の私は"ドラゴン水泡(dragon pox)"を患ったばかりで顔中が緑色のボツボツだらけでした。それでみんなは私に近寄ろうとしなかった。アルバスも、おとうちゃんのパーシバルが3人の若いマグルを襲ってタイーホされるという重圧の中でホグワーツにやってきていました。
そのおとうちゃんはアズカバンで獄中死。アルバスは学校中から白い目で見られても反論することはありませんでした。私が思い切ってそのことを聞くと、おとうちゃんの罪を認め、それ以降その話をしなくなったのです。
友人たちははじめ、アルバスもマグル嫌いだと思っていた。けれど実際は、アルバスはマグル擁護派だったから、それは間違いだとすぐに知れ渡りました。それにアルバスはホグワーツ史上最も優秀な生徒で、瞬く間に、ニコラス・フラメルや歴史家バチルダ・バグショットや魔法理論の権威Adalbert Wafflingらと並んで魔法界全体から注目される人物となりました。
アルバスの残した文献は"Transfiguration Today"、"Challenges in Charming"、"The Practical Potioneer"などに掲載されました。政治に興味は持たず、教職が好きだと言っていたものです。
入学から3年経つと、似ても似つかぬ弟のアバフォースがホグワーツに来ました。アバフォースはすぐに口論するような子で、アルバスとは仲良くありませんでした。
ホグワーツを卒業して、私たちは一緒に世界中を回る卒業旅行に行く予定でした。ところが、アルバスのおかあちゃんケンドラが亡くなった。アルバスには弟も妹もいて、旅行どころではなくなってしまったのです。
私だけが旅に出て、別々の道を歩むようになり、私は彼への手紙に旅のことを書きました。ギリシャのキメラからぎりぎりで逃れたことや、エジプトの錬金術のことや、いろいろ。
一方で彼からの手紙には、日々の暮らしのことが綴られていた。あれほどの聡明さを持った人物が平凡に暮らしているなんて、かわいそうだと思ったものです。そして、もっとかわいそうなことに、私が旅行している間に、妹のアリアナまで亡くなっていた。アルバスは妹の死に責任を感じていて、それは生涯彼につきまとっていたのでしょう。苦労人のアルバスにはもはや、気楽さなどありませんでした。
後にも彼は成功をおさめ、ドラゴンの血液の12の使い方を発見したり、WizengamotのChief Warlockの職にもついた。いちばん有名なのは1945年のグリンデルバルドとのバトルでしょうか。ふたりのスゴ腕が決闘し、アルバスが勝った、あの瞬間が魔法界の転換点だったわけです。
アルバスは功績を自慢することなどありませんでした。青年期の多くの悲劇が、彼の温かい人間性を形成したのだと思います。彼がいなくなって淋しいけれど、私が感じる淋しさなどより、魔法界が失ったモノのほうがはるかに大きく計り知れない。
ホグワーツで最も愛された校長は、偉大なる善のために働き、いつものように教師であり続け、教師のまま死んだ。私と出会ったときと同じ、"ドラゴン水泡だらけの"その小さな少年を救おうと、手を差し伸べながらこの世を去ったのです。
【メモ】
このエルファイアス・ドージさんという人は、『OotP』でハリーを迎えに来てGrimmauld Placeまで送ってくれた"wheezy-voiced"(ぜいぜいいう声)で"silver-haired"(銀髪)の騎士団のメンバーです。マッドアイによれば"stupid hat(くだらない帽子)"をかぶってます(笑)。ダンブルドア擁護派で、なんと、ダンブルドアと同い年!ホグワーツの同級生です。
ぶわぁー、うっかりしてました。そう何人も校長と同年代の人が出てきてしまうとこんな推理はしてられませんね(汗)。
ところで、歴史学者のBathilda Bagshotさんというのは"A History of Magic"の著者です。『PS』第5章で紹介されてます。彼女は、ダンブルドア家とは家族ぐるみの古いお付き合いで、なんと、ゴドリックホロウに住んでたらしい。
ダンブルドアがホグワーツ入学と同時にdragon poxだらけの友達を持ったことは、後々の"the twelve uses of dragon blood(ドラゴンの血の12の使い方)"発見のきっかけになってるんじゃないかな。
心ゆくまでさるお、もんち!