2007年09月16日

さるおのハリポタツアー Harry Potter and the Deathly Hallows Chapter 18

さるおです。
スーパーポッタリアンなので、愛を込めて、さるおのハリポタツアーは"そうではない"と信じていますが、ハリーさんはモーレツに怒っています。
『DH』の完全ネタバレです。コメント欄も含めて、すごーくご注意ください。
ハリポタ辞典のもくじはこちらです。

18:The Life and Lies of Albus Dumbledore

朝が来ました。ハリーが直面している大ピンチとは無関係の、とても透明な朝です。生きてこの朝日を見る、それはとてつもない宝なのだろうけれど、ハリーはそんな気になれません。杖を失い、心中穏やかではない。
額の稲妻型の傷跡と、手の甲にカエルおばばのせいでできた傷跡、今ではそれに、ロケットで焼かれた胸の傷跡とナギニちゃんに噛まれた腕の傷跡が加わっています。傷だらけになっても、それでもハリーは、自分は弱くなんかないと、まだ戦えると、自分に言い聞かせてきた。でも、とうとう杖を失った今、もうだめぽ、と弱気です。自分の手の中で磁石の針のようにスピンして敵を見つけどっかーんと金色の光を放った杖が、もうない。力のすべてを、守護のすべてを、失ってしまった。
ハグリッドがくれたロバ皮のポーチに折れた杖をしまい、皮の上から、スニッチに触れ、またダンブルドアのことを考えます。なして、なしてダンブルドアは何にも言ってくれなんだ。他のあらゆる感情を押し流すほどの怒りが、心を満たしています。ゴドリックホロウに答えがあると思ったけれど、ダンブルドアがどこかに導いてくれると思ったけれど、何もかも無駄じゃんか。ダンブルドアは、地図もなく宛てもない真っ暗闇に、何の説明もなくぼくを置き去りにした。杖はないわ剣はないわ、写真は落としてくるわで、ちくしょう、もうだめぽ。

ハーは泣き顔のまま、二人分の紅茶のカップを持って、テントから出てきました。「まだ怒ってる?話してもいいかな」
「だめ」
本当はハリーはハーのことを怒っているわけじゃない。ダンブルドアのことを怒っているんです。けど、なんだかハーに八つ当たりしそうな気分です。「杖が折れたのは事故だってわかってる。ハーちんはさ、ふたりで生還しようと必死でがんばってさ、んで、ぼくをたすけてくれてさ、すごかったんだ。ハーちんいなかったら死んでたもん」
ハーはハリーに本を差し出します。バチルダの家にあったリタの暴露本『The Life and Lies of Albus Dumbledore』です。
ページを開いた痕跡のまったくないその本をめくり、ハリーはカエル部屋で見た写真を探します。こないだは読んでる時間がなかったけれど、今度はその注釈を読む。

ケンドラの死から間もないころの、アルバス・ダンブルドアとゲラート・グリンデルバルド(Gellert Grindelwald)

なぬーっ!この爽やか極まりないニコニコ顔のハンサム青年が、悪名名高いグリンデルバルド?ダンブルドアの"ダチ"なのかよーっ!
びっくらこけるハリーとハー。暴露本の"The Greater Good"の章を読みます。

17歳の終わりに、ダンブルドアは栄光に包まれてホグワーツを卒業した。Head Boyで、Prefectで、Barnabus Finkley Prize for Exceptional Spell-Castingの勝者で、Wizengamotの若者代表に選ばれて、カイロで行われたGround-Breaking Contribution to the International Alchemical Conferenceの金メダリストとして。
卒業旅行で次の朝ギリシャに発つ予定で、エルファイアス・"犬の息"・ドージとリーキー・カルドロンに宿泊していたダンブルドアのもとへふくろう便がやってきて、母親の死を告げた。ダンブルドアは"超尊い自己犠牲とやらを払って"卒業旅行を中止し、っちゅーかほんとは嫌々ながら断念し、弟と妹の面倒をみるためにゴドリックホロウへ戻った。"面倒をみた"かどうかは怪しいもんだけど。
実際、ゴドリックホロウ郊外に住んでいたEnid Smeekはこう言っている。「両親を亡くして、まぁ気の毒だとは思うけど、やりたい放題だったよね。アバフォースなんか私の頭にヤギのうんち投げて遊んでたし。アルバスはそんな弟に興味なしだし。兄弟で一緒にいるとこなんて観たことないや」
ならばいったいアルバスは何をしてたのかというと、親から引き継いだシゴト、妹の監禁。
ダンブルドア家を最初に歓迎しようとしてケンドラに拒否られた、著名な歴史家バチルダ・バグショットは、Transfiguration Today誌に掲載されたアルバスの論文 『Trans-Species Transformation』に感銘を受けホグワーツのアルバスにふくろう便を送ったこともある人物で、ケンドラが亡くなったころ、ゴドリックホロウでただひとり、ダンブルドア家と交流があった。バチルダは今じゃもう、Ivor Dillonsby流に言えば"火はついてるけど鍋はからっぽ"、エニド・スミーク流に言うと"イカレててほとんどリスの糞"。そのバチルダから、私はダンブルドアのスキャンダラスな過去の全貌を明らかにした。まったく、ヴェリタセラムを手に入れた甲斐があったというものだ。彼女だけが、アルバス・ダンブルドアのファンがびっくらこけて落胆するような、病んだ側面を知っているのだから。
孤児として、一家の長として、ダンブルドアが実家に戻った夏、バチルダは大甥にあたるゲラート・グリンデルバルドを家に滞在させていた。ヘビ男が現れるまでは"最も危険なDark Wizards"のトップに君臨していたグリンデルバルドを。
グリンデルバルドは、ダンブルドアと同じくらいに"早熟な天才"だった。しかしその才覚が向かう先は、あまりに異常な実験の数々。ついに16歳のとき、ダーク・アーツに寛容なダームストラング校ですらグリンデルバルドを見逃せなくなり、なんと退学に。グリンデルバルドはその後大伯母バチルダを訪ね、アルバス・ダンブルドアとお友達になったのである。
バチルダはこう言っている。「ゲラートはいい子だったよ、後にあの子がどうなったにせよ。アルバスとゲラートはすぐに仲良くなった。アルバスは同世代の友達を必要としてたから」
そして保管していた一通の手紙を見せてくれた。ふくろう便は夜中に届くこともあった。ふたりの"早熟の天才"は、夢と理論を語り合い、アイデアがひらめくと時間などかまわずにすぐに知らせあっていたのだ。
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ゲラートへ
魔法使いによる支配が"FOR THE MUGGLES' OWN GOOD"(マグルの利益のため)だという論点は、極めて重要だよね。実際、ぼくらには力が与えられている。その力はつまり、ぼくらが持つ"支配する権利"だよね。
だけど同時にそれは、支配される者(マグル)に対する責任でもある。ここがいちばん大事。これを基礎としてプランを考えなくちゃ。
ぼくらは"FOR THE GREATER GOOD"(より善きもののため)に支配する側になるんだよ。
抵抗勢力にあっても、必要最低限の力だけしか使っちゃいけないんだ。(キミが"必要最低限の力"に満足しなくて退学になったことを責めるつもりはないけど。おかげでぼくらは出会えたんだからさ)
アルバスより
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これが"17才のヒーロー"の手紙である。驚きだろう。マグル擁護のために行われた数々のスピーチが、まるで空虚。ケンドラの死を悼みアリアナの世話をすべきときに、支配者になるプランを練っていたなんて!
ダンブルドアとグリンデルバルドは、一夏で袂を分かつ。そしてあの伝説的な決闘のときまで、再び会うことはなかった。
「アリアナの死が原因。それが起きたとき、ゲラートはあの家にいた。すっかり動揺して慌てて戻って来てね、明日実家に帰りたいって言うから、ポートキーを用意してやって、あの子はぼかんと飛んで帰った。それがゲラートを見た最後だね。とっても悲惨なできごとで、アルバスは取り乱してた。兄弟だけを残して、みんな死んじゃったわけだから。アバフォースはアルバスを責めた。アバフォースはもともとちょっと乱暴にしゃべる子だったけど、とにかく、アリアナの葬儀でアルバスの鼻を折っちゃった。もしもケンドラが、娘の遺体を間にはさんでケンカする息子たちを見ていたら、おどろいて死んじゃうわね。ゲラートが葬式に出られなかったのは残念。アルバスの慰めくらいにはなったのに」と語るバチルダ。
なぜ、アバフォースはアリアナの死についてアルバスを責めたのだろうか?単に深い哀しみゆえなのだろうか?
学校の友達にキケンすぎる攻撃をして放校になったグリンデルバルドは、少女の死から数時間後には国外へ。それ以来、アルバスは魔法界の要請で強制されるまで、彼に会わず、彼について語らなかった。
ダンブルドアが、5年におよぶ社会の混乱状態と多くの死傷者や行方不明者とひきかえにグリンデルバルドを放置していたことは、過ちだったかもしれないのである。
なぜダンブルドアは躊躇したのか?グリンデルバルドに対する友愛のせいか、それともそれが露見するのを恐れたのか?出会えたことをよろこんだのに、その友を葬るために、しかたなく出発したのだろうか?
そして、アリアナの死の真相は?闇の儀式の犠牲者?あるいは、栄光へと向かうふたりの"早熟の天才"の"実験"にたまたま出くわしてしまったのだろうか?
バチルダも、兄弟も、アリアナの死因は呪文のバックファイアーによるものだと言っている。
アリアナ・ダンブルドアが、"FOR THE GREATER GOOD"(より善きもののため)に死んだ最初の人物であった可能性は、はたしてあるのだろうか?

あぁ、ロンが去っていったときとまるで同じ感じ。ショックっす。
ダンブルドアは善と英知に満ちていたと信じていたのに。なにもかも、灰になってしまった。ロンを失い、ダンブルドアを失い、フェニックスの杖を失い、すべてを失った。
ハーは「リタが書いたのなんて信じたらあかーん」と言うけれど、そんなこと言ったって、あの手紙はだめぽ。
「"FOR THE GREATER GOOD"ってゆーのさ、後の、グリンデルバルドのスローガンなんよ。おっかないことしておいて、その言葉で正当化して。たしかにダンブルドアがアイデアを与えちゃったのかもしんないけど。"FOR THE GREATER GOOD"って、グリンデルバルドが抵抗勢力を収監するために作った刑務所"Nurmengard"のエントランスにも刻まれててさ、でも自分がそこへ入ることになっちゃったんだってー。結果としてダンブルドアがグリンデルバルドを手伝っちゃったってゆーのは残念だけど、もとは一夏のできごとじゃん、ふたりとも、ただ若かったんよ。ママさんが死んでさ、きっとひとりで大変で、こんな馬鹿げたこと考えついたんよ」
「ハーちんどうせそう言うと思ってたもん。"彼らは若かった"。でもぼくらだって、当時の彼らと同い年じゃんか。ぼくらは命がけでわるもんと戦ってるのに、ダンブルドアは友達つくってマグルを支配する計画を練ってたんじゃん!それに彼はひとりぼっちじゃなかったもん!弟もいたし、スクイブの妹もいたじゃん!」
思わず立ち上がるハリー。
「あたいは信じない」ハーも立ち上がる。「アリアナちゃんがスクイブだったとは思わない。うちらの知ってるダンブルドアは、スクイブだから閉じこめろだなんて、そんなこと絶対許さない人だもん」
「ぼくらが"知ってると思い込んでた"ダンブルドアは、マグルを力で征服しようなんて考える人じゃなかったよ!」
ハリーの叫び声が静かな丘に響く。クロウタドリが真珠色の空に舞い上がる。
「ダンブルドアは変わったんよ、ハリー、変わったんよ!17歳んときはちとオカシかったかもしれんけど、残りの人生はわるもんとの戦いに捧げられてきたんだもん!グリンデルバルドをぶっとばしたのも、マグル保護法やマグル生まれの権利のためにふんばったのも、ヘビ男と戦ってやっつけようとしたのも、ダンブルドアだもん!」
「ダンブルドアがぼくに何を望んだのか、考えてみてよ、ハーちん!『命をかけろハリー、何度でも、何度でも!説明はなしだ、私が何も明かさなくても私を信じろ!目なんか閉じたままでいいから、私を信じろ!たとえ私がキミを信じていなくても、キミは私を信じろ!ほんとのことは教えない!』こんなのひどいじゃん!」
真っ白な、そしてなんだかとても空っぽの、雪の丘に立ち尽くすハリーとハー。ぼくたちなんて、この広い空の下、虫みたいなもんだ。
「ダンブルドアはあなたを愛してた。私はそれを知ってる」
「彼が誰を愛してたか、ぼくは知らない、だけどそれは、ぼくじゃなかった。こんなところにぼくを残して、こんなのは愛じゃない。クソったれなプランをグリンデルバルドと共有したんだよ、ぼくなんかよりもさ」
ハーは、雪の上に落ちた本を拾い上げ、テントに向かって歩き出しました。ハリーとすれちがう瞬間、ハリーの頭を手でそっとなでて。
ハリーはとっさに目と閉じました。「ダンブルドアはあなたを愛してた」それが本当だったらよかったのに・・・。

【メモ】

Barnabus Finkley Prize for Exceptional Spell-Castingは、"例外的な魔法"のスキルがすげーっちゅことで与えられる賞のようです。
そして若者世代を代表して、在学中からWizengamotのメンバーになってたんですね。
さらに、カイロで行われた国際練金術コンファレンスへの革新的な貢献(Ground-Breaking Contribution to the International Alchemical Conference(革新的なConributiontoの国際練金術のコンファレンス)を評価されて金メダリスト。
なんだかわかんねー。けど凄そうです。

イヴォール・ディロンスビーさん、また出てきたな。

クロウタドリ(blackbird)は、悪の象徴、誘惑の象徴です。(スウェーデンの国鳥でもありますが(汗))

すべてを失った。
そうかもしれない。たしかにそうかもしれないんだけど、ハリーさんにはこう言い換えていただきたい気持ちっすね、「ぼくにはまだハーがついてる」と。

心ゆくまでさるお、もんち!


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