スーパーポッタリアンなので、愛を込めて、さるおのハリポタツアーはもうほとんど取り憑かれたような状態になりつつも、懐かしい声でリフレッシュしたい!
『DH』の完全ネタバレです。コメント欄も含めて、すごーくご注意ください。
ハリポタ辞典のもくじはこちらです。
22:The Deathly Hallows
草の上に落っこちたハリーがすぐに起き上がってあたりを見回すと、さらに素早いハーがもう小走りでプロテクションを張りめぐらせています。"Protego Totalum(完全防御) ... Salvio Hexia(呪文保護) ..."
夕闇がせまってますね。
まずはロンが「あのおっさんめー、裏切りやがってー」とまずは文句をたれてからですが(笑)、ふたりしてハーをベタ褒めですわ。「ハーちん天才!あの状況から脱出なんてもう、ミラクル!」
「エランペントの角だっつったのにまったくぅー、ラブグッド家、吹っ飛んじゃったわー」
ハーはちょっと微笑んだものの、すぐに真顔に戻ります。
「おじさんが嘘ついたんじゃないってわからせるためにハリーを一瞬見せて、ほんで脱出しなきゃと思ったんだけど、おじさん、殺されないといいなぁ」
まだわからないロンが「なんでぼくがマントかぶったの?」と聞くと、ハーは「あんたはThe Burrowでビョーキで寝てんでしょーが。ルナパパはハリー派だったせいでルナを誘拐されたんだもん、あんたがハリーと一緒だなんて知られたら、家族みんな大変なことんなっちゃうよ」
「えー、ほんじゃハーちんのパパママは?」
「うちの親はオーストラリアだし、何も知らないからきっと平気なはずよ」
ハーったら、泣かせるなぁ。ルナパパに加え、ロンとロンの家族をしっかり守ったんですね。マグル生まれでハリーと一緒にいるなんて、自分(とパパママ)がいちばんキケンかもしれないのに。
「ルナ、どーしてるかな」
まだおまえは人の心配をするのか、ハー、あんたって子は、あんたって子は。(涙目)
ルナの生死を案ずるロン、生きてると信じようとするハー、そしてハリーは「ルナって強いもん。すごく強いもん。たとえアズカバンに入れられたって、囚人仲間に"Wrackspurts"とか"Nargles"のこと話して聞かせてるさ」
そうっすね、ルナは強い。彼女は負けない。さるおも信じてますよ。
テントを張ると、ロンちんがお茶を煎れてくれました。大ピンチを乗り切った後では、寒くてカビ臭いテントですら"我が家"っすね。
ハー:「行くんじゃなかった。ですりーはろうずなんてバカバカしい話聞かされて、時間の無駄。おじさん、時間稼ぎに作り話したのよ」
ロン:「そうかな。切羽詰まってるときに作り話ってうまくいかないもんじゃん。ぼくスナッチャーに捕まったときそーだったもん。おっさんもさ、ぼくらを引き止めようと必死んなってたはずだから、少なくとも自分が真実だと信じていることを話したんじゃないかな」
ハー:「だとしても、あの話はナンセンスよねー」
ロン:「待って、"秘密の部屋"だって作り話って思われてたのに、ほんとだったじゃん」
ハー:「でもですりーはろうずの方は"存在するはずがない"のよ!」
ロン:「マントがあるじゃんか」
ハー:「とにかく作り話なのよ!人がどれほど死を怖れるか、そーゆー話なの。マントで死神から逃げ回れるなら、うちら、もう足りてんでしょーが」
ハリー:「でもさ、無敵の杖なんてあったらよくね?」
ハー:「そんなもんは"無い"んだってばー」
ロン:「いろんな名前で、いっぱいあるって言ったのハーちんじゃん」
ハー:「ほんじゃ"復活の石"はどうなのよ?死んだ人を生き返らせる魔法なんか無いんだからね」
ハリー:「でもあの話に出てきた"次男坊の恋人さん"は戻ってきたわけでしょ?"この世に属する者ではない"っつっても、いちおう戻って来たってことでしょ?」
ハーがちらりとロンを見ます。ははーん、ハーちん、"ハリーが死人と暮らしたがってる"と思って怖がってるんですね。
「それじゃさ、ペヴェレルは?何か知らないの?」話題を変えつつ、正気だとアピールするハリーさんです。
ハー:「調べたんだけどさ、わかんないんだよねー。『Nature's Nobility : A Wizarding Genealogy』にしか載ってない。あ、その本はクリーチャーから借りたんだわ。消滅した純血一族のリストが載ってる本なんだけど、明らかにペヴェレル一族は、最も早く消滅した一族のひとつなのよ。ペヴェレルの名はもう存在しない。姓が変わって、子孫はいるかもしれないけど」
このときです。思い出したぁーっ!
「マーヴォロ・ゴーントだっ!ユーノーフーのじっさま!」
その記憶についてハリーが話すと、ハーちん、指輪に彫られていた"ペヴェレルの紋章"に反応します。「それどんなの?」
でもハリーが覚えているのは"ひっかき傷"みたいなかすかな模様だけ。実際に間近で指輪を見たのはすでに割られた後のことです。
ハーが目を丸くします。ハリーの考えていることがわかった(その紋章が、例のですりーはろうずのマークだ!かなんか思ってるんでしょ、あんた)、というように。
ハリーは、じっさまがその紋章の本当の意味を知らなかっただろうと考えています。"おとぎ話"をコドモに聞かせるような家庭じゃないもんな。
「ハリー、もしあなたが、私と同じこと考えてるんだったら・・・」
「あれが石って意味でしょ、ハーちん!ね!ね!」勢い込んでハリーが答える。
ロンもあんぐりですわ。「ダンブルドアが壊しても、まだちゃんと機能すんのかな?」
「機能?機能て、ロン、あんたまで!そんな石は無いんだってばよ!ハリー、あんた何でもかんでもですりーはろうずに結びつけて考えすぎじゃね?」
「べつにぼくが何でもですりーはろうずに結びつけてんじゃなくてさ、話がそーゆー流れかなと。だってじっさまが自分でペヴェレルの末裔だって言ったんだもん」
「さっきは石にあったのひっかき傷だ、かなんか言ったくせに」
もうハリーの頭の中はひとりでに大暴走。
ですりーはろうずを3つ集めたら、死すら征服できる。そう、パパママの墓石には"The last enemy that shall be destroyed is death."の文字が。もしぼくが、ですりーはろうず3つ持ってヘビ男と戦ったら?"Neither can live while the other survives."(一方が生きるかぎり、他方は生きられぬ) これってひょっとして、ですりーはろうずvs.ホークラックスってこと?ぼくが勝ち残れる確実な方法ってこと?
ハリーは透明マントを引っぱり出して感触をたしかめます。
水のようにしなやかで、空気のように軽く、どんな呪文にも耐える、今も古びていない透明マント。やっぱこれ、ホンモノだよ。
そしてまた、思い出したぁーっ!
「ぼくのパパママが死んだとき、これ、ダンブルドアが持ってたんじゃん!ママがシリウスに書いた手紙に書いてあったじゃん!ダンブルドアはこれを確かめたかったんだ。ホンモノだって。イグノートゥス・ペヴェレルのお墓もゴドリックホロウだし・・・ぐわぁーっ!わかっちゃった!イグノートゥス・ペヴェレルて人、ぼくのご先祖だ!ぼく、三男坊の子孫じゃん!」
ハリーさん、大コーフンっす。
「ちょっとあんた暴走してね?」と言いかけるハーに、ハリーはリリーがシリウスに書いた手紙を押し付けます。「読んで、読んで。よく読んで。ダンブルドアはマント無しでも透明になれるのに、これを持ってたんだ」
すると、手紙を出した拍子に、キラキラ光るスニッチが転がり落ちます。
そしてまたまた、わかっちゃったぁーっ!
「こんなかにゆびわがあるんだぁーっ!」
そう、そうだよ、これで辻褄が合うじゃん。ハリーはマントを持ってて、ほんでスニッチを開けたら石も手に入る。あとは杖だけだNE!
ひゃっほーい!と思いましたが、ここには重大な問題があることに突然気づきます。そう、ヘビ男が追っているのは"その杖"なんだと。がっくし。
ヘビ男は、新しい杖を探していたんじゃない。いにしえの杖を探していたんだ。
ヘビ男は『だんご三兄弟物語』を知っていただろうか。いいえ、マグルの孤児院にいたんだもん、知らないはずです。もし知っていたなら、ホークラックスなんか作ってないで、さっさとですりーはろうずを探せばいいわけです。そもそも石を一度は手にしておきながら、それをホークラックスに使っちゃうなんておかしいもん。やっぱヘビ男はですりーはろうずを知らないんだ。ただ"無敵の杖"だから欲しいだけなんだ。
止まらないハリーの大暴走。ふたりがまるで置き去りになっていることに気づいて、ちょっと歯がゆい思いです。説明してふたりにわかってもらおうとするハリーですが、「ハリー、こんなこと言ってごめん。でもあたし、あんた間違ってると思うよ」とハーったらつれないお言葉ですわ。
「だってこれって辻褄が合うじゃん」
「そーじゃなくてさ、お願いだから我を忘れて大暴走しないで。もしもですりーはろうずが実在して、ダンブルドアもそれについて知ってたなら、なんで生前にあなたに教えなかったの?どう思う?」
「そんなの、ハーが言ったんじゃんか、"自力で辿り着かなきゃならない"んだって。クエスト(探求)なんだよ、これ。ダンブルドアはいつだってぼくを試してた。ぼくの力を試してたんだよ。その続きなんだ」
「ハリー、これは遊びじゃないのよ。練習でもない。ダンブルドアはあなたに、ものすごい明確な指示を残した、ホークラックスを見つけて壊せ、と。私たちがやらなきゃいけないのはそれよ。ですりーはろうずを追ってる余裕はないんだってば」
「えっと、よくわかんないけどさ、たしかに辻褄は合うよね、だけど、えっと、なんちゅーか、やっぱぼくらはホークラックスを壊すほうをやらないといけないんじゃないかと思う。ハリー、ダンブルドアがぼくらにやれって言ったことをやろうよ。ですりーはろうずのことはとりあえず忘れようよ」ためらいながらですが、ロンもハーと同意見です。
ハリーさん、大コーフンで夜も眠れません。
"I open at the close."
閉じるときに開く。どーゆー意味だろう。スニッチは開かずじまいです。
ヘビ男はどこにいるのかな。あーあ、こーなったらもう、額の傷が痛ければいいのに。ヘビ男のことが見えればいいのに。
たしかに、今初めて、ハリーとヘビ男は同じモノを探し求めています。
朝が近づくころ、ハリーはルナのことを考えます。アズカバンの独房にひとりぼっちで、ディメンターに囲まれてるのかもしれない。なのにぼくは宝探しでコーフンしてたなんて、なんだか恥ずかしい。ルナを救出できたらいいのに。起きたらあのリンボク(blackthorn)の杖でパトロナスの練習しなきゃ。杖かぁ、杖と言えば、やっぱ"無敵の杖"、ほしいなぁ。
ということで、巡り巡ってコーフンしっぱなし。
朝になると、トリオは雨の中また引っ越しです。来る日も来る日も、春の雨の中を移動し続ける。
ハリーはですりーはろうずのことしか考えられなくなりました。ハーが信じなくても、ロンが信じなくても、それでもハリーの心はですりーはろうずに奪われたままです。「ですりーはろうずがほしい」その思いは消えない炎のように、どんどん燃え上がっていきます。信じてくれないなんて、ロンもハーもひどいや。心の中でふたりを責めます。そしてだんだん、ひとりでいることが多くなり、しゃべらなくなり、ふたりとの間にずいぶん距離ができてしまいました。
ある夜、ハーがついにハリーを叱り飛ばします。「ホークラックスへの妄執に捕らわれてる場合じゃないの!あたしらはね、ダンブルドアがあたしらにやらせようとしたことを、ただやり遂げようとしてんのよ!」
ハリーに言わせれば、ですりーはろうずのマークを解読させようとハーに本を遺したのはダンブルドアなわけだし、予言によれば自分は命がかかってるわけだし、こっちだって大事だろうと思うわけで、「The last enemy that shall be destroyed is death.(滅ぼす最後の敵は死)って・・・」なんて言いかけようもんなら、「滅ぼす最後の敵はユーノーフーかと思ってたけど!」なんてまた怒られてます。
ふたりは雌鹿のパトロナスのことも考え続けていたけれど、ハリーはこれにもだんだん興味がなくなっていってます。
最近は、ヘビ男のヴィションが、パッとしません。頭蓋骨みたいなモノや、影というか山というか、とにかくはっきりしないモノばかり。ハリーの杖が折れてからというもの、ハリーとヘビ男をつなぐインターフェースはどーなっちゃったんでしょう。
出て行ったことの埋め合わせをしようと決めたのか、それとも真のリーダーシップなのか、今ではトリオを率いているのはロンちんです。ハーとハリーを励まし、おしりを叩いて前に進ませようとがんばっている。
「まだ3つ残ってるんだ、行動しなきゃ、計画立てて、がんばらなきゃ。あちこち行って、探し回るんだよ」
孤児院、ダイアゴン横町、ホグワーツ、リドル実家、B&B、アルバニア・・・ロンとハーはそれらを何度も検討しなおします。そしてトリオで出かけて行っては歩き回る。行く先々でスナッチャーたちを見かけます。
「スナッチャーの中にはDEぐらい危ないやつらもいるんだってビルは考えてる。"Potterwatch"でも言ってたよ」
「ぽったーうぉっちぃ?」
「うん。ぼくが聴こうとし続けてるラジオ番組。何が起きているか、本当のことを報道する唯一の番組!今じゃほとんどのラジオ局がユーノーフーの傘下なんだ、ただひとつ、ポッターウォッチを除いてね。ハリーにも聴かせたいんだけど、チューニングがちょっと難しくて・・・」
毎晩、杖でラジオをこつこつ叩きながら、ぶつぶつ言い続けるロンちん。5月になって、努力の甲斐あって、ついにポッターウォッチのチューニング・パスワードに辿り着いた!「やたっ!やたっ!パスワードは"アルバス"だっ!やたっ!ハリー!来て来て!」
グリフィンドールの剣を磨いていたハーも手を休め、トリオはラジオを囲んで座ります。
リスナーのみなさん、しばらくオンエアできなくて淋しかっただろ。
可愛いDEちゃんたちがぼくらの地元で家庭訪問しまくってくれたおかげさ、まったく。
!!!
ぶわぁーっ!この声は!懐かしいこの声は!
ヘビ男を"ユーノープ〜"呼ばわりした勇気あるF&G同様、DEを"チャーミング"だと言う、勇気あるこの明るい声!
【メモ】
『Nature's Nobility : A Wizarding Genealogy』は魔法使い一族の系譜が載った本です。これ、読んでみたいなぁ。
心ゆくまでさるお、もんち!