2007年12月18日

さるおのハリポタツアー Harry Potter and the Deathly Hallows Chapter 28

さるおです。
スーパーポッタリアンなので、愛を込めて、さるおのハリポタツアーは、哀しい過去を胸にきざみ、人の心を射貫く青く燃える瞳で本を読みながらクライマックスへ向かって突き進んで行きますよ。
『DH』の完全ネタバレです。コメント欄も含めて、すごーくご注意ください。
ハリポタ辞典のもくじはこちらです。

28:The Missing Mirror

透明マントをかぶって、ぼかん!とホグスミードに到着。見慣れた商店街、ホグワーツ城へと続く道・・・The Three Broomsticksには明かりが灯っています。1年前、ヨボヨボの校長先生を支えながら必死で辿り着いた場所もちょうどこのあたりだったなぁ。と思ったのもつかの間、The Three Broomsticksのドアがばーんと開き、10数人のDEが杖をかまえて飛び出してきた。見えないトリオをきょろきょろと捜しています。思わず杖をかまえるものの、敵が多すぎる、今魔法を使ったら居場所を知られるだけだ。
"Accio Cloak!"
DEの1人が大声で叫びます。これは効かない。ルナパパが言ったとおり、本物の透明マントにはどんな魔法も効きません。でもやつらには、ハリーが透明マントをかぶってここにいることがわかってるわけですね。
「ガキは近くにいるぞ。手分けして捜せー!」
6人がこちらに走ってくる。トリオは慌てて近くの路地に後退します。「やつら、待ち伏せてたんだ!ぼくらが来たらすぐわかるように、魔法をかけてたんだよ!罠に誘い込んで逃がさない気だ!」ひそひそ声のトリオです。
「ポッターめ、いるのはわかってるぞ!逃げ場はない!見つけてやるぅーっ!」
「ディメンターに捜させるか!」
「ヘビ男様は生け捕り希望じゃね?」
「ヘビ男様がほしがってるのはポッターの命。ディメンターはポッターの魂を持ってくだけさ」
「そうだそうだ」
「んだべんだべ」
ということで相談がまとまるや否やディメンターを解放しました。
まずーい!ディメンターにはめっぽう弱いハリーさん、パトロナスを呼ぶ以外に道はないわけですが、それじゃ居場所がばれちゃう。
トリオは瞬間移動を試します。ところが・・・できないじゃんか!どうやらDEのみなさんは、ホグスミードにプロテクションをかけたんですね。
音を立てないようにじっと縮こまってみたけれど、ディメンターには通用しません。絶望感と冷気が身体を満たします。トリオはたくさんのディメンターに取り囲まれてしまいました。
ええい、ままよ。"Expecto Patronum!"
銀の牡鹿が出てきました。ディメンターが散って行く。だけど。
「牡鹿のパトロナスだ!ポッターみーっけ!」
DEたちが足音を響かせて走ってくる。ひゃー。
そのときです、路地に面したドアが開き、「ポッター、中に入れ!急げ!」と荒っぽく呼ぶ声がします。
迷っている時間はありません。誰だか知らないけれど、いてまえー。
「2階に上がれ!マントは脱ぐなよ。音も立てるな!」
背の高いその人物は代わりに通りに出ると、後ろ手にドアを閉めました。

火の灯ったキャンドルが1本、なんとここはうす汚い"Hog's Head Inn"です。たすけてくれたの、ここのバーテンダーのおじいさんだ!
トリオは奥へと進み、言われるがままに慌てて階段を上がります。小さな暖炉と、うつろな表情のブロンドの女の子が描かれた大きな油絵のある、擦り切れたカーペットの小部屋に身を潜めると、窓の外の通りから怒鳴り合う声が聞こえてくる。
「だからなんだ!だからどーした!おまえらがホグスミードにディメンターなんか連れて来るからじゃねぇか!パトロナスで追い返したぞ、文句あっか!ふざけんなこら!」
「じーさんのパトロナスじゃねーだろ!牡鹿だったぞ!ポッターのだ!」
「牡鹿!牡鹿だと!おめーはバカか!これのどこが牡鹿なんだ!Expecto Patronum!」
バーテンダーのおじいさんの杖からパトロナスが出現します。とても大きいパトロナスです。頭を下げて、ぽくぽくと歩いてっちゃいました。
「違う!さっき見たのはこれじゃない!」
「ホンモノのバカかおめーは!鹿じゃねぇ。ヤギだ!」おじいさんは強気です。
「夜間外出禁止令が破られたんだぞ。じーさんも音を聞いただろ。誰かが通りに現れた証拠だ!」
「おまえらの勝手な夜間外出禁止令なんか関係ねぇんだ!ネコを外に出してやらなきゃなんねーからな!文句あっかこら!」
「"Caterwauling Charm"(警報)を鳴らしたのじーさんか!」
「だったら、なんだ!アズカバン行きか?じぶんちの玄関から鼻先を出した罪で殺されるんか?あん?やりたきゃ、やれや!勝手にしろい!だがな、"じぶんちの玄関から顔を出した罪のじーさん"のために、腕のちっこいヘビマークなんか押さねぇほうが身のためだ。じーさんとネコちゃんのために呼び出されるのを、彼は気に入らないだろうからなっ!けっ!」
うはー。じーさん強ぇ。DEに囲まれても怯むことなく、"口論"で圧勝。
「おぼえてやがれー」「今日はこのへんで勘弁してやるー」「今度やったら承知しねーぞ」などなど、捨て台詞を残してDEの一団は去って行きましたとさ。

バーテンダーのおじいさんが2階に上がってきます。ハリーは女の子の肖像画が気になり始めています。おじいさんは部屋に入ってくるなり言いました。「おまえらまったくー、何しにこんなとこに来た?」
まずは救ってくれたことにお礼を言いながら、おじいさんに近づくハリー。おじいさんはメガネをかけています。汚れたレンズの向こうには、人の心を射貫くような、青く輝く瞳。ついに登場、ダンブルドア
「ぼくが鏡で見てたのは、あなたの瞳だったんだ。あなたがドビーを送ってくれた」
見つめ合うハリーとおじいさん。
おじいさんはドビーがベラ姐に殺されたと聞くと、「あのエルフは好きだった」と残念がります。

さて、ここでアバフォースはいろんなことを話してくれますね。
"もう片方の鏡"はDung(マンダンガス・フレッチャー)から1年ほど前に買った。アルバスは、その鏡が何なのかを自分に話した。それ以来、鏡を使ってきみを見守っていたと。
ここでロンは「雌鹿!アバフォースさんのなの?」と聞きますが、「ぼうず、あったま悪いなぁ。さっきのDEと変わらんな。ヤギだっちゅーの」と指摘され、「えっと、えっと、おなか減って頭が回らない」と可愛い言い訳を(笑)。アバフォースはパンやらチーズやら蜂蜜酒やらをかわいそうなコドモたちに食わせてくれるわけです。ぶっきらぼうな人ですが、至れり尽くせり。
「おまえらをここから無事に脱出させる方法を考えないとな。村を出たら、山に行け。そしたら瞬間移動が使える。その前にハグリッドに会えるかもよ。Grawpと一緒に洞窟に隠れてっから」帰り道の心配もしてくれて、まさにぶっきらぼうでも至れり尽くせり。
「ぼくらは逃げない。ホグワーツに行くんだ」
「バカ言うな、ぼうず」
「行かなきゃなんないの。時間がないんだ。ダンブルドアが、あなたのお兄さんが、ぼくらに・・・」
コドモの訴えを遮るアバフォースさん。
「兄はあらゆるものをほしがった。偉そうなプランを実行に移すそのたびに、人々は傷ついた。逃げろ、ポッター。国を出ろ。兄のことは忘れるんだ。兄の"どえらいプラン"などほうっておけ。借りなんてないんだぞ」
「わかってないよ・・・」
「わかってない?私が兄を知らないとでも?おまえより、兄のことを理解してないとでも言うのか」
「そーじゃなくて、校長先生はぼくにシゴトを遺して・・・」
「そうかい。そんなに大事な使命かい。楽しいシゴトか?簡単か?普通の魔法使いのコドモが、無理なく成し遂げられる使命か?」
「簡単じゃないけど、やらなきゃ」
「やらなきゃ?なぜ"やらなきゃ"なんだ?兄は死んだ。そうだろ?そのことはもうほっとけ。同じ道を辿るな。生き延びろ」
「ほっとけないよ。戦ってるんだ。あなただって戦ってるんでしょ?不死鳥の騎士団のメンバーでしょ?」
「かつてはな。・・・騎士団は終わりだ。ヘビ男の勝ち、もう終わったんだよ。ヤツは血眼でおまえを捜してる。おまえにとって安全な場所はこの国にはもうない。この2人を連れて国を出ろ。死ぬんじゃない」
「逃げるわけにはいかない。やらなきゃいけないことが・・・」
「そんなもんは誰かにやらせとけ!」
「ぼくじゃなきゃだめなんだって、ダンブルドアが」
「それらしいことを説明して聞かせたんだろ?兄貴は全部しゃべったか?兄貴はおまえさんに正直だったか?」
ハリーは"Yes,"と答えようとします。でもなぜか、その一言が言えない。
それでもハリーは心の中でふんばりますね。ドビーと永遠に別れたあの日、決めたんだ、シンプルに、ただシンプルに、アルバス・ダンブルドアを信じると。彼の用意した道がどんなにキケンでも、最後までそこを歩き抜くって決めたんだ。
アバフォースの目が肖像画をとらえます。
「ミスター・ダンブルドア、あの絵は妹のアリアナさんですか?」口を開いたのはハーです。
アバフォースはそうだと言い、そしてハリーを見つめます。明るく輝く青い瞳が、心を射貫く、兄と同じ瞳が、じっとハリーを見ています。
「校長先生は、ハリーを大切にしてたわ、とても」
ハーが低い声で言います。
「兄が大切にした人々は、なぜみんなひどい目に遭うんだ」
「どーゆー意味?それはアリアナさんのこと?」
今度はハーを見つめるアバフォース。そして、いままでずっと語らずにいたヒミツを、堰を切ったようにトリオに聞かせます。

妹は6歳のとき、3人のマグルの少年に襲われた。その少年たちは、アリアナが魔法を使うのを垣根越しにこっそり見ていたんだ。きっと怖かったんだろう、自分たちの見たモノが。アリアナは、自分の魔力をコントロールできなかった。小さいころはそーゆーもんだ。少年たちは庭に入ってきてアリアナにもう1度トリックを見せろと言ったが、アリアナにはそれができなかった。少年たちは小さな怪物におかしなことをさせまいと夢中になっていじめた。
少年たちがしたことによって、アリアナは壊れてしまった。魔法が使えず、かと言って魔力を取り除くこともできず、もう正常ではいられなくなった。魔力が爆発するとコントロールがきかない。それでも普段は可愛らしくて怖がりの、おとなしい子だったんだ。
私の父は、やつらに仕返しをした。そしてアズカバンに入れられた。彼女のように不安定で魔法の暴発ばかり起こしていたら深刻な"International Statute of Secrecy"違反だ。そんなアリアナを魔法省に知られれば病院送りだ。だから父は決してマグルを襲った理由をしゃべらなかった。
アリアナには静けさと平穏が必要だったから、一家で引っ越したよ、彼女は病気だと言って。アリアナに、落ち着いた気持ちで幸せでいてほしくて、母が世話をした。
アリアナのお気に入りは私だった。アルバスではなかった。兄は部屋に閉じこもって本を読み、自分が獲得したトロフィーを数えて過ごしてた。妹に邪魔されたくなかったんだ。アリアナは私の言うことなら聞いてくれたし、落ち着いているときは私がヤギにエサをやるのを手伝ってくれたりした。
そして彼女が14歳になったとき、私はそこに居合わせなかった・・・もしそこにいたらなだめることができたのに・・・アリアナは怒っていたんだ。そして母は年老いていた。あれは・・・あれは、事故だった。アリアナには自分の力が止められなかった。結果として母は殺された。
兄はドージとの卒業旅行を中止した。兄とドージは母の葬儀にやってきて、ドージはひとりで旅に出て、兄はご立派な長男として家におさまったのさ。
私は妹の世話をした。学校などはどーでもよかった。ところが兄は私に学校を卒業しろと言った、まるで母親のように。狂った妹の世話にご褒美は出ない。それでもミスター・ブリリアントはうまくやったさ、彼が来るまでは。
グリンデルバルド。兄が待っていた、兄と同等の聡明さを持つ誰か。兄はついに"自分と会話するに値する"人物と出会った。とたんに妹は二の次だ。はろうず探し、魔法界の新しい秩序、そんな計画ばかりに夢中になった。"偉大なる計画"は魔法界の利益だと、"より大いなる善(the greater good)のために"は、無視されるかわいそうな妹なんて屁だとね。
夏休みが終わるころ、私は兄とその友人にはっきり言ったんだ。もうあきらめろ、妹のことはこれ以上任せられない、とね。偉大な計画とやらをどこで実行に移すにしろご立派な演説会をするにしろ、おまえらだけで勝手やれ、家族は巻き込むなと言った。兄は私の態度が気に入らなかった。グリンデルバルドも同じだった。グリンデルバルドは怒ってこう言ったよ、聡明な自分たちに向かって意見するとは愚か者だと。自分たちが世界を変えて、アリアナも隠れずに済む、すべての魔法使いが隠れずに済む世の中にするんだと。
口論になった。私は杖を抜いた。グリンデルバルドも同時に杖を抜いた。私は、兄の親友のCruciatus Curseで拷問された。兄は止めようとしたが、三つ巴の決闘になってしまった。そして閃光が、ぼかんと、妹に当たった。誰の呪文かわからない、3人全員に可能性があった。
アリアナは永遠に去ってしまった。
グリンデルバルドは逃げ出した。やつにはちょっとした前科があったからな、関わりたくなかったんだ。
兄も自由を奪われなかった。気楽なもんさ、兄は"偉大なる魔法使い"になる自由をついに失わなかった。
ここでハリーは反論します。「校長先生は決して自由じゃなかったよ」
そしてあの洞窟で苦しんだダンブルドアのことを話します、重い十字架を背負って生き、背負って死んだと。
「なぜわかる、ポッター?おまえが妹のように使い捨てではないと、なぜ言い切れる?」
「私は信じない。校長先生はハリーを愛してた」言い切るハー。
「だったらどうして、隠れろとこの子に言わなかった?生き延びろと、なぜ教えない?」
「自分の安全よりも大切なものがあるから。"大いなる善(the greater good)"のほうが大事なときもあるんだ!これは戦争なんだ!」ハリーも必死で食ってかかります。
「ぼうず、おまえはたかが17歳だ!」
「オトナだもん!たとえあなたが諦めても、ぼくは戦う!」
「誰が諦めると言った!」
「さっき自分で言ったんじゃん!」
アバフォースも燃えてきましたね。
「あなたのお兄さんはヘビ男をやっつける方法を知ってた。その知識を、ぼくに遺した。ぼくはヘビ男をやっつけるまであきらめない、ぼくが死ぬまであきらめない!だからホグワーツに行く。手伝ってくれないんなら、自分たちでなんとかする」
ついに、アバフォースが動きます。明るく青く、燃える瞳でハリーを見つめます。そしてアリアナの肖像画の前に立つとその絵に話しかけました。「わかってるな」
アリアナは微笑み、背中を向けると、絵の奥へ奥へと歩き去って行きます。彼女の背景に描かれていたのは暗いトンネルなんですね。
「他に方法はない。秘密の通路はすべて見張られている。ディメンターも城を取り囲んでいる。かつてない厳戒態勢だ。スネイプとカロウズ(the Carrows)が待ちかまえてるぞ。これでいいな、ポッター、おまえは死ぬ覚悟があると言ったんだぞ」
肖像画の中、トンネルの遥か向こうから、白い点が近づいてきます。
あれ?アリアナちゃんひとりじゃない。髪が伸び、頬にいくつもの切り傷を負って、服もぼろぼろの誰かを連れてきた。
突然ホンモノのトンネルの入り口が現れ、部屋に入ってきたのは、満身創痍のネビル・ロングボトム!
「来ると思ってた!絶対戻って来るって信じてたよ、ハリー!」
傷だらけだけど嬉しそうな明るい笑顔です。

【メモ】

トリオを救ったアバフォースの切り札が"彼"だというのはおもしろいっすねー。

"Caterwauling Charm"は、あらかじめ設定したエリア内に誰かが侵入すると甲高い警報が鳴るという魔法。ホラスが使った"Intruder Charm"ともよく似ています。

International Confederation of Warlocks' Statute of Secrecy これは"秘密保持ワーロック法国際連合"っていうのかな。ワーロックっていうのは"魔法使い"とほぼ同義語だということにして、つまり、国際的な秘密保持法です。"マグルに魔力の存在(魔法使いの存在と魔法の行使そのもの)を知られてはならない"ということを詠ってます。

心ゆくまでさるお、もんち!

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