スーパーポッタリアンなので、愛を込めて、さるおのハリポタツアーは、ネビルやみんなに励まされてロウェナのもとに辿り着きますが・・・。
『DH』の完全ネタバレです。コメント欄も含めて、すごーくご注意ください。
ハリポタ辞典のもくじはこちらです。
29:The Lost Diadem
トリオはびっくり。さるおもびっくり。
ハリーに挨拶したあとロンとハーを抱きしめるネビル、傷だらけで片方の瞼が腫れあがり、ゴングマークをつけたボクサーみたいです。でもそんなの気にしてない。「"ハリー・ポッターは逃げた"なんて言うやつもいる。でもぼくは、絶対戻ってくる、時間の問題だって、シェーマスと話してたんだ!」待ち望んだ再会によろこびを爆発させます。
「シェーマスはもっとひどい怪我してるよ。すぐ会える。行こう!」そしてアバフォースに「ねぇアブ、あと何人か来るから、よろしく」
そっか、アバフォースじいさんとはもうすっかり打ち解けてるんすね。そうだよな、戦友だもんなぁ。
「あと何人か来る?村中に外出禁止令が出てんだぞ!」
「わかってるってば。だからみんな直接このバーに来るんだ。仲間が来たらこの通路で城まで通してやって。たのんだよ」
ネビルはさっそくハーが暖炉によじ登るのをたすけ、トリオをトンネルに招き入れます。
最後にハリーは振り返り「アバフォースさん、あなたはぼくらの命を2度も救ってくれた。ありがとう」とお礼を言います。アバフォースは「せいぜい気をつけろ。3度目は救ってやれないかもしれないんだから」と、ぶっきらぼうに返事をします。ハートがこもってますねぇ。
トンネルは古くないようです。せいぜいここ1年のうちにできたもののよう。なめらかな石段のあとは踏み固められた地面です。真鍮のランプが壁に並び、歩くと影が扇形にゆらゆらと揺れます。
「この通路、Marauder's Mapにはなかったよ。たしか通路は7本なのに」と質問するロンに答えながら、ネビルはホグワーツの近況を話してくれます。
「新学期が始まる前にすべての通路が塞がれた。DEとディメンターに遭遇せずに城を抜け出す方法は残ってない。この1本だけなんだ。ところで、グリンゴッツに侵入したってほんと?ドラゴンに乗って脱出したの?すげぇじゃん!まじすげぇじゃん!みんなその話に夢中でさ、テリー・ブート(Terry Boot)は夕飯んときにそのことを叫んでさ、カロウにひどい目に遭ってたよ」
強盗話を笑って褒めるネビル、反抗してみせるテリー、みんな戦ってます。
「ホグワーツは変わっちゃったよ」ネビルは笑うのを止めます。「カロウって兄妹のDE、懲罰はすべてあいつらが担当してる。アンブリッジのほうがぜんぜん可愛いよ。他の先生はみんな反カロウ派で、必死で生徒を守ろうとしてるけど。アミカス(Amycus Carrow)が生徒におしえてるのはDADAじゃなくてDA(Dark Artsそのもの)でさ、生徒はみんな授業で拷問の練習なんかやらされてる、懲罰を受けることになった子を実験台にするんだ」
「なんですとーっ!」思わずハモるトリオです。
「そのせいでこうなった」ネビルは頬の深い切り傷を指差します。「友達を拷問する練習なんてイヤだって断ったんだんだよ。おもしろがってるやつもいるけど、クラッブとゴイルとかね、あいつらは授業に夢中」
ひどい状況っすねー。
「アミカスの妹のアレクト(Alecto Carrow)はマグル学。マグルがどんだけ知能が低くて動物的で汚らわしいか、そんなのを聞かされるんだ。で、今度はこうなった」今度は顔面のムチの跡を見せます。「『あなたとあなたのお兄さんにはどれくらいマグルの血が流れてるんですか?』って聞いてやったんだよ」
「すげーじゃん、ネビル!」ネビルに惚れ惚れっすね。
「立ち上がって戦うのって、意味があるんだ、みんなの希望になるんだよ。ぼく、それに気づいたんだよ、ハリーはそれをやってたんだって」
ネビル、おまえって、おまえって。
「外にいる友達とか親戚が狙われてる子のほうがあぶない。ゼノがいろいろ書いてたからって、やつらはルナをホグワーツ特急から引きずり降ろして行ったんだから。そうだ、ルナから連絡があったよ、無事だって。ねぇねぇ、これってすごいよ、ハーちん」
ネビルはハーがDA用に創った偽ガリオンを取り出して見せます。ハーの大傑作を、ずっと使い続けていたんだなぁ。
「ぼくら、夜中に抜け出してさ、"Dumbledore's Army, Still Recruting"(DAメンバー募集中)って壁に落書きしたもんさ。でも、クリスマスにルナが消え、イースターにジニーが去った。ぼくら3人がリーダー役でがんばってたのに。カロウのやつら、いろいろ騒ぎを起こす犯人はぼくだって考えて、すんげーいじめてきたんだ。マイケル・コーナーもやつらに鎖で繋がれた1年生を逃がしたら、捕まってひどい拷問にかけられたんだよ。今じゃみんな怖がってる。マイケル・コーナーと同じ目に遭えなんて、ぼくには言えない。だから騒ぎを起こすのはやめた。でも、あきらめてない。今でも戦ってるよ。こっそり動き続けてる。だから、ぼくを止める方法はもうこれしかないって、やつら、ぼくのおばぁちゃんを襲撃したんだ」
「なにぃーっ!ほんでばーちゃんどした?」またハモるトリオです。ちっくしょう、卑怯者めー、さるおも激怒です。
「コドモを誘拐して痛めつければ親は言うことを聞く。その反対もありだと思ったのさ。だけど」
悲劇を聞かされるのかと思ったハリーさん、ネビルがにやりと笑ってこちらを見てますよ。
「小柄なヨボヨボのばーさんだ、ちょろいもんさ、そう思って、うちのおばぁちゃんをなめてたね(笑)。おばぁちゃん、DEを返り討ちにしたよ!ダウリッシュは病院送りで今も入院したまま。うちのおばぁちゃんは逞しく逃亡生活に入った。あとで手紙くれたよ、『おまえはフランクとアリスの子だ。誇りに思う。その調子でふんばり続けろ』って」
「かっけー!」ロンも感動。さるおも感動しすぎて号泣。
「やつらにはもうぼくを止める方法がないとわかった。そしたら次は、ぼくを殺すか、アズカバン送りだ。だから、姿を隠すことにしたんだ」
トンネルの終わりが見えてきました。アリアナの肖像画に描いてあったようなドアがあります。ネビルはドアを開けました。
「ハリー!」「ポッターだ、ポッターが戻ってきた!」「ロンちーん!」「ハーちーん!」
沸き上がる歓声。なんとそこには大勢がいます。
ログハウスのような、船室のような、窓のない巨大な部屋です。色とりどりのハンモックが吊るされ、グリフィンドールとハッフルパフとレイヴンクロウのバナーで飾られています。本棚があり、ほうきが壁に立て掛けられ、部屋の隅にはなんと木箱に入ったワイヤレス(ラジオのことです)。
「ここ、RoRだよ。カロウに追いかけられてさ、隠れる場所はひとつしかないってわかってた。始めはもっと小さい部屋だったんだ。ハンモック1つとグリフィンドールのバナーだけ。だけどDAが増えるたびに、こんなに大きくなったんだ」
ごはん以外はなんでも出てくるRoRで、みんな2週間近くも生活してたんですね。(ごはんが出てこないのは"Gamp's Law of Elemental Transfiguration"のためですね)
「カロウはここに入れない」と言ったのはシェーマス・フィニガン。かわいそうに、痣だらけで顔を腫らせてます。「ネビルのおかげさ。"カロウ派には入ることができない隠れ場所"をみつけたんだ。ぼくらはここに逃げ込んで、ループホールを閉じることができる。ネビルってすげーだろ!」
ネビルはRoRに立てこもった。そして、空腹に耐えられなくなったとき、ホッグズヘッドへ続くトンネルのドアが現れて開いた。それ以来、ごはんはアバフォースがたすけてくれているわけです。
「女子が加わったらバスルームもできたしね」これはラベンダー・ブラウン。見れば、パティル・ツインズ、テリー・ブート、アーニー・マクミラン、アンソニー・ゴールドシュタイン、そしてマイケル・コーナーもいます。
「計画は?これからどーする?」アーニー、早くも戦う気まんまん。嬉しいっすね。「噂がたくさん流れてる、キミたちの動きをラジオで追ってたけど。まさか、グリンゴッツに押し入ったって、嘘だよね?」
「ほんとなんだよ!ドラゴンのことも、ほんとなんだ!」トリオに代わってネビルが答えると、RoRは大歓声に包まれます。
「何を探してるの?」シェーマスもやる気まんまん。嬉しいっす。
ところがそのとき、また額の傷跡が痛みだすハリーさん。
石の廃虚。床板が剥がされ、金の小箱が開いています。中身は空。ヘビ男が怒りまくってます。
倒れそうなハリーをロンが支えます。ネビルはハリーが疲れているんだろうと椅子をすすめます。
時間がない。
ハリーは無言でロンとハーを見つめます。
「行かなきゃ」
ロンとハーにはわかりました。
「何を手伝えばいい?計画は?」シェーマス、おまえ、一緒に戦ってくれるんだな。
ハリーは痛みに耐えながら言います。「ぼくとロンとハーでやらなきゃいけないことがあるんだ。行かなきゃ。もうここには戻らない。理由は言えないんだ」
もう誰も笑っていません。「おしえてよ。ヘビ男と戦うんだろ」「手伝うよ」
「ダンブルドアがぼくら3人にシゴトを遺した。話しちゃいけないことになってるんだ。3人だけでやらなきゃいけないんだ」
「彼の部隊だぞ。ダンブルドアの軍団なんだ。ぼくらは1つなんだ。3人がいない間だって、ぼくらはDAをやめなかった。どうしてここにいるみんなを信用できないんだよ。ここにいる全員が戦い続けてる。みんなカロウに狩られてここに来た。全員が、ダンブルドアへの忠誠を証明してる、きみへの忠誠を証明してるんだぞ」手伝わせろとせまるネビル、あんたは正しい。
そこへ、ドアが開いて、合流したのはルナとディーン。ディーンはシェーマスと抱き合ってます。
「ぼく、ルナとジニーに約束したんだ。ハリーが戻ってきたら偽ガリオンで知らせるって。きみが戻ってきたときが反撃の合図だって」
「そうよね、ハリー。スネイプとカロウを追い出すのよ」と明るいルナ。「戦うんだろ。"ハリーが戻った、戦うぞ!"ってメッセージが来たんだ。ぼくはまず杖を手に入れないと」ディーンも戦う気迫が漲ってます。「ぼくらを置いて行くのかよ」マイケル・コーナーも詰め寄ります。「手伝わせろって!役に立ちたいんだ!」ネビルはほとんど怒ってます。
続いて現れるF&Gとリー・ジョーダン、愛しのジニーと元カノのチョウ・チャン。ハリーは忘れていたことに気づきます、ジニーのなんと美しいことか、でも、彼女とここで会うわけにはいかなかったのに。チョウはハリーに微笑みかけてます(汗)。
「アバフォースが、不機嫌だよ。休みたいのに、ここは駅か!って」と、フレッド。
「プランはどーなってる、ハリー?」とジョージ。
ハリーは困ってネビルに言います。「とめてよ。なんでこんなおおごとにしちゃったんだよ」
そのときロンがこっそり言いました。「手伝ってもらおうよ。ぼくら、それがどんなモノでどこにあるかも知らないんだ。みんなにはホークラックスだって言わなきゃいい」
ハーも言います。「ロンが正しいと思う。あたしら、何を探しているのかもわかってないんだもん。あなたひとりで背負い込むことない」
そうだね、ふたりの言うとおりだ。
「えっと、探してるモノがあるんだ。ヘビ男をやっつけるのに必要で、それはホグワーツのどこかにある。レイヴンクロウに関係あるモノなんだけど、何か知ってる人いませんか?鷲の紋章がついたモノを見たことあるとか」
「失われた王冠がある。あなたに話したことあるよ、ハリー。パパが復刻させようってがんばってるやつ」答えたのはルナです。
「いつ失われたの?」
「数百年前。レイヴンクロウの談話室のロウェナの像がその王冠をかぶってるから、見せてあげられるけど」この提案はチョウからです。
肩にナギニちゃんを乗せ、空を飛んでいます。次は湖か、ホグワーツか。時間がない。
「ヘビ男が動いた」ハリーは小声でロンとハーに知らせます。
「ルナがハリーを連れて行く。そうよね、ルナ?」これはハリー&チョウの復活を阻止するジニーの意地のセリフです。チョウはがっくし。
ネビルがふたりをカップボードの出口へと連れて行きます。「出入口は毎日変わる。だからやつらにはみつからない。ぼくらもいったん出ると戻るのが大変だけどね。ハリー、気をつけろ、あいつらパトロールしてるから」
ハリーとルナは透明マントをかぶりRoRを出ました。「ここ、5階だ」Marauder's Mapを見ながら暗い廊下を進み、レイヴンクロウ・タワーを目指します。絶対に会いたくないのはピーヴスっすね。「こっちよ」ルナはハリーを連れて狭い螺旋階段をどこまでも上がります。そして談話室へ通じるドアの前に立ちました。
取っ手も鍵穴もない、古い木のドアです。ただひとつ、鷲のかたちをしたブロンズのノッカーだけがついています。
ルナがノッカーを1回鳴らしました。
ブロンズの鷲はくちばしを開き、こう問いかけました。
「不死鳥と炎、どちらが先か?」
さすがは知性のレイヴンクロウ。パスワードじゃなく謎かけで、頭の中を試されるわけですね。
ルナは少し考えてから「始まりのない円だわ」
ドアは開きました。ルナちん、さっすがー!
そこは、風のような軽快さを持った幻想的な真円の広間。優美なアーチ型の窓が壁を美しく切り取り、青とブロンズ色に織られたシルクのカーテンがかかっています。昼間なら、城を囲む山々を見渡せるはずです。ドーム型の円天井には星がきらめき、カーペットはミッドナイトブルーです。
ありましたよ、白い大理石のロウェナの像。ルナんちでも見たからすぐにわかります。
ふたりは像に近づきます。美しいけどちょっと怖いロウェナは謎めいた微笑みを浮かべてこちらを見ているようです。
繊細な冠が、頭の上に乗ってます。フラーがかぶったティアラとはずいぶん違います。
ハリーは透明マントから出ると、よく見ようと台座に上りました。
Wit beyond measure is man's greatest treasure.
「なんと無防備で愚かなこと」
後ろから、はしゃいだようなまさかの声が!ハリーは振り向き、台座から落ちてしまいます。顔を上げたハリーの目の前にいるのは、アレクト・カロウ。ハリーが杖をかまえるより先に、彼女のずいんぐりした人差し指は、腕のヘビマークに触れていました。
【メモ】
スゴ腕のオーガスタばーちゃん、最高で最強!
やっぱロングボトム家はただもんじゃないっすね。
Diadem
1 王冠(crown);(東邦諸国の王・女王が頭に巻いた)小環;花冠、(月桂樹の)葉の冠
2 王位、王権
もともとは、王様が権威を表すために頭に巻いた白いリボンのことですが、転じて、今では王冠を指します。
ということは、"The Lost Diadem"というのは"失われた王冠"ということになります。あるいは"失われた王位"で、こっちの意味がかけてあるとおもしろいなぁと思いますが、ま、今のところ"王冠"ですね。
で、どんな冠かというと、本には"a delicate-looking circlet"だと書いてあります。優美な、上品な、あるいは精巧な、あるいは壊れやすい、そーゆー冠で、アーチやキャップになっていない、つまり頭のてっぺんを覆うようにはなっていない、"環状"のやつですね。とても古いスタイルです。
さるおはレイヴンクロウの宝は杖じゃないかと言ってましたが、それはハロウズの1つで、予想ははずれちゃいました。"ロウェナ"と言ったら伝説の"Rowena, Queen of Britain"ですから、彼女の"持ち物"が冠なのは今にして思えばけっこういい感じっすねー。
心ゆくまでさるお、もんち!