スーパーポッタリアンなので、愛を込めて、さるおのハリポタツアーは、バトルに備えながら、レイヴンクロウ母娘のお話を聞きましょう。
『DH』の完全ネタバレです。コメント欄も含めて、すごーくご注意ください。
ハリポタ辞典のもくじはこちらです。
31:The Battle of Hogwarts
大広間の暗い天井には星が瞬き、4つの長テーブルには各寮ごとに生徒が座っています。ゴーストも集まっています。生きている者も死んでいる者も、すべての目が教壇のマクゴナガル先生にそそがれています。先生たちの席には、パロミノ・ケンタウロスのフィレンツェもいるし、戦闘のために駆けつけたオーダーのメンダーもいます。
「避難通路にフィルチさんとマダム・ポンフリーがいます。私の合図で、プリフェクトは務めを果たしなさい。自分の寮の生徒をまとめ、並んで通路まで連れて行くのです」
「ここに残って一緒に戦うって言ったら?」立ち上がって叫んだのはハッフルパフのアーニー・マクミラン。歓声が湧き上がります。
「成人しているなら、残ってかまいませんよ」
「荷物とペットは?」この質問はレイヴンクロウからです。
「持ち物を運ぶ時間はありません。あなた方が安全に非難することが最優先なの」
「スネイプ先生は?」これはもちろんスリザリンから。
「逃亡しましたよ」マクゴナガルさんの答えに、グリフィンドール、ハッフルパフ、レイヴンクロウから歓声が湧きます。
ハリーはロンとハーを探し、グリフィンドールのテーブルを見て回ってます。こんなときにどこ行っちゃったのかな?
「城の周囲にプロテクションを施しました。でも、補強し続けない限り、長くはもたない。ですから、プリフェクトに倣って素早く冷静に行動す・・・」
マクゴナガルさんの言葉は遮られました。冷たく甲高く恐ろしい声に。壁から床から天井から、その声は響き渡ります。
「おまえらが戦いの準備をしてるゆーことはわかっとるで。空しい努力や。おまえら、わしには勝てへんよーだ。おまえらを殺したいわけやあらへん。わしはホグワーツの職員に敬意を持っとるんや。魔法族の血を流したいわけでもない。ハリー・ポッターをよこせ、そうすればおまえらを傷つけへん。ハリー・ポッターをよこせ、そうすれば学校は無傷や。ハリー・ポッターをよこせ、そうすればおまえらにも報いはある。タイムリミットは午前0時や」
大広間は静まり返ります。鼓膜を圧迫するような、なんとも濃厚な静寂です。
スリザリンのパンシー・パーキンソンが立ち上がりました。「そこにいるわ!ポッターを捕まえて!」
パンシーに答えたのは、ハリーではなく巨大なうねりです。グリフィンドールの生徒がみんな立ち上がり、ハリーではなく、スリザリンと向き合いました。ハッフルパフ生も立ちました、ほとんど同時にレイヴンクロウ生も立ち上がった。みんなが、ハリーに背を向け、パンシーに向かい、杖をかまえています。さるおは早くも号泣っす。
「もうけっこうです、パーキンソンさん。あなたはフィルチさんと一緒に真っ先にここを出なさい。その後にスリザリンが続きます」
スリザリンの生徒たちは大広間から出て行きました。
「レイヴンクロウ、行きなさい!」
ゆっくりと、レイヴンクロウ生も席を立ちます。次はハッフルパフ、最後がグリフィンドールです。
スリザリンのテーブルには誰も残っていません。何人かのレイヴンクロウ生が、座ったまま、戦うことを決意しました。それより多くのハッフルパフ生が、戦うことを決めました。そしてグリフィンドールの半数が、残りました。
マクゴナガルさんは「だめでしょ、クリーヴィー、行きなさい。ピークス、あなたもよ!」と未成年を追い払ってます。
教壇のキングスレーが、残った勇敢な戦士たちに作戦を話します。「ミッドナイトまで30分しかない。急ごう。バトルプランはホグワーツの先生たちとオーダーで決めた。フリットウィック先生、スプラウト先生、マクゴナガル先生はそれぞれグループを率いて、レイヴンクロウ・タワー、天文タワー、グリフィンドール・タワーへ。そこからなら校庭が見渡せる。上から攻撃するんだ。リーマス、アーサー、そして私はそれぞれグループを率いて校庭に出て敵の侵入を食い止める。それから、外とつながってるいくつかの通路に防衛戦が必要なんだが・・・」
「ぼくらのシゴトじゃん!」手を挙げた双子にキングスレーは頷いてみせ、さっそくグループ分けにとりかかります。
「ポッター、何をグズグズしてるんですか!早く行きなさい、ほら!」とハリーに声をかけたのはマクゴナガル先生。そりゃそうだ、あんたの捜しモノのためにみんな命がけで時間稼ぎをやろうとしてるわけですよ。
オドオドしながら大広間を出るハリーさん、ロンとハーなしには、なんと頼りない自分、とか思ってパニック寸前です。どこを捜せばいいかわからないわけだから、行くあてがない。Marauder's Mapでロンとハーを見つけようとしますが、RoRへ殺到する無数の点が見えるばかりです。
ヘビ男はぼくがレイヴンクロウ・タワーに行くと考えた。だからそこにアレクト・カロウを配置した。ヘビ男は、ハリーがすでにそのホークラックスについて知っていると考えて恐れたわけです。でも、ほんとに王冠であってるのかな、だって、スリザリンのヘビ男がレイヴンクロウの宝を見つけられるわけないもん。そもそもヘビ男はどーやって王冠のことを知ったって言うんだ、生きている者の記憶にないのに。
!!!
わっ、わかりたぁーっ!
ひらめいちゃったハリーは来た道を引き返します。
低学年の子は泣いちゃって、他の子もみんな友達の名前を叫びながら、RoRの避難通路へ急ぐ喧騒の向こう、エントランスを横切るほとんど首なしニック発見!
ハリーは「ニック!ニック!」と大声で呼びながら人込みをかき分けて進みます。ハリーはニックと氷のような握手をかわし、「ニック、たすけて。レイヴンクロウのゴーストって誰なの?会わせてよ」と頼みます。これは本来ならニックに失礼なわけですね、グリフィンドールの子の世話を焼くのがニックのシゴトですから。「彼女じゃなきゃだめなんだ!」と言うとニックは「The Gray Lady、向こうにいる髪の長い若い女の子」とおしえてくれました。
ハリーは今度はグレイ・レイディを追いかけて走り、去ろうとするそのゴーストをなんとか呼び止めます。
「あなたはグレイ・レイディさん?レイヴンクロウ・タワーのおばけさんだよね?たすけてください、お願い、失われた王冠のことおしえてほしいんだ」
"The Lost Diadem"
この言葉を聞いたおばけさんは冷たく微笑み、「たすけられないと思うけど」と言うと背中を向けました。
「待って!」ハリーはちらりと時計を見ます。23:45、真夜中まであと15分です。
「緊急事態なんだ!もし王冠がホグワーツにあるなら、それを見つけなきゃならないんだ」
「そのことを質問してきたのはあなただけじゃないわ」グレイ・レイディは軽蔑したように言います。
「王冠がほしいんじゃない!ヘビ男に関することなんだ!ヘビ男をやっつけるためなんだ!関心ないの?たすけてってば!」
「ママの王冠のことじゃないのね?」
「ママ?あなたはロウェナ・レイヴンクロウの娘さんなの?」
「そう、私、ヘレナ・レイヴンクロウ。あの王冠は理知を与える、とか言ったって、自分のことをヴォルデモート卿なんて呼ぶ人を倒すのに役立つとは思えないけどな・・・」
「かぶりたいんじゃないってば!説明してる時間がないけど、とにかく、学校のことが心配なら、ヘビ男をやっつけたいなら、王冠のこと話してってばおしえてよーっ!」
ヘレナは黙ってハリーを見ています。だめかな、だって、このおばけさんが王冠のこと知ってるんなら、とっくにダンブルドアかフリットウィックに話してるはずじゃね?
ハリーが諦めかけたとき、ついにヘレナは囁くように話し始めました。
私は王冠を盗んだのよ。ママより私の方が賢いと、私の方が重要だと、証明したくてね。盗んで逃げたんだわ。ママにだって届くはずのない、遠い森に逃げた。
ママは王冠を失ったことを恥じて隠してた。ちゃんと手元にあるってフリをし続けたの。損失も私の裏切りも、すべてを隠して、ホグワーツの創始者たちにも言わなかった。
ママはあるとき病気になってね、ものすごい重病で死にそうで、最後にもう1度だけ私に会いたいと願った。ママは、私を連れ戻すために、私を愛するある人物を送ってきたわけ。ママはその人物が、目的を達するまで決して立ち止まらないと知っててね。
その人は私が隠れていた森に来た。で、私は帰らないと言った。カッとなるタイプだからさ、パニクって怒って、そして私の自由を羨んで、男爵(Baron)は私を刺し殺したのよ。
そうそう、The Bloody Baronさん。彼は自分がしたことに気づくと、それを悔やんで、私を刺した剣を引き抜き、自殺しちゃった。
そして王冠は、アルバニアの森の、中が空洞の木の中に残ったままになったの。
「この話、誰かにした?」
「えっと、だって、わかってくれる子だって思ったからんだもん・・・」
そうだよ、トム・リドルはたしかに彼女を理解しただろう。そしてトム・リドルなら、ほしいモノを手に入れるためにヘレナに好かれるように振る舞うなんて得意中の得意さ。
ヘビ男は卒業したらさっそくアルバニアに行ったんかも。B&Bに就職するより前に、王冠捜しに行ったんじゃないか。行ってみたら「ここ静かでいいな」って思って、後々の潜伏先にしたんだ。
でも、大事な大事なホークラックスをそんなとこに置き去りにするわけない。王冠は人知れず我が家に戻った。いったいどこに隠したんだろう・・・
「あの晩だ!」
またしてもひらめいちゃうハリーさん。「就職面談でダンブルドアんとこに来た夜、どっかに隠したんだ。校長室に行く途中とか、帰る途中とか。でも就職面談も大事だった。剣を校長室から盗めるかもしれないから」
ヘレナにお礼を言い、ハリーは歩きながら考えます。
【メモ】
ついに、みんながハリーを守りました。このシーンは感動的っす。守り、守られて、信頼しあうホグワーツのコドモたち、素晴らしいっす。
前の記事でも書きましたが、やっぱグリフィンドールに続くのはハッフルパフなんすねぇ。これもステキ。
さて、避難しないで戦うことにした生徒は何人いるのかな、とか考えますよね。各寮の各学年はおそらく10名程度だろうし、ここでは成人した学生が対象なので、実質7年生しか残れないわけですね。レイヴンクロウから2人、ハッフルパフから3人、グリフィンドールから5人、計10人、そんなもんなんでしょうかね。
これについては、Joの説明と食い違うみたいです。彼女はもっとたくさん学生がいるってコメントしてるから。まぁ、また今度詳しく書きます。
前から思ってたんですが、ヘレナ・レイヴンクロウがレイヴンクロウ・タワーのおばけさんだということは、ブラディー・バロンはサラザール・スリザリンと血縁関係に、ニックはゴドリック・グリフィンドールと血縁関係にあるってことなんでしょーか。その可能性はあります。もちろんThe Fat Friarとヘルガ・ハッフルパフの関係も然りです。
ヴォルディが潜伏したアルバニアの森がイギリス魔法界からみてブラックボックスなのがよくわかりましたねー。ロウェナの娘ヘレナが"ママにだって届くはずのない"森と考えたわけだから。
心ゆくまでさるお、もんち!