2008年01月11日

さるおのハリポタツアー Harry Potter and the Deathly Hallows Chapter 32 (2)

さるおです。
スーパーポッタリアンなので、愛を込めて、さるおのハリポタツアーは、この章は深いなと、いろいろ考えちゃいますねぇ。
『DH』の完全ネタバレです。コメント欄も含めて、すごーくご注意ください。
ハリポタ辞典のもくじはこちらです。

"The Whomping Willow"へと走りながら、フレッド、ハグリッド、自分が愛した人々のことを考える。もう犠牲は嫌です。もう誰も失いたくありません。でも、走らなきゃ。今は走らなきゃ。
呪文が飛んできても無視して走る。後ろは見ません。
湖が海のように波立ち、風もないのに森がきしむ。
息もつかず、脇目も振らず、死に物狂いで走ります。
暴れ柳に辿り着き、「クルックシャンクスがまたいればいいのに」と言うロンに、ハーが名ゼリフを言いますね。
Are you a wizard, or what?
あんたそれでも魔法使いかと。
ロンは杖を"Swish-and-Flick"、Wingardium Leviosa! 小枝はスピンして柳の幹にヒットしました。
「待って」
いざ敵地に乗り込もうと鼻息荒いふたりをハリーが止めます。
ヴォルデモートはぼくを待ってる。ロンとハーを、みすみす罠の只中に連れて行く気?ハリーは自問自答します。
残酷で、同時に明確な現実が、このトンネルの先で待っている。ナギニちゃんを殺す、他に道はありません。そしてナギニちゃんはヴォルディと一緒にいるわけです。
友達を道連れにすまいと葛藤するハリーに、ロンが言います。「はやく行こ」
杖に明かりを灯し、トリオは、今ではずいぶん狭く感じるトンネルを進みます。
トンネルが終わりに近づいたとき、ハーに言われてハリーは透明マントをかぶり、杖の明かりを消しました。静かに、静かに、"Shrieking Shack"へ忍び込む。声が聞こえます。ドアは開いているようです。ドアの近くの隙間から、こっそりと部屋を覗いてみましょう。

薄暗い部屋です。宙に浮いた、星のようにキラキラ光る半透明の球体の中で、ナギニちゃんがとぐろを巻いてます。
テーブルの上に、杖をもてあそぶ白く長い指が見えます。こちらに背中を向けて、すぐそこに立っているのはスネイプさんです。
「彼らの抵抗もこれまでですな」
「ほならもう、おまえが行かへんでも、ええよね」
「私にポッターを見つけさせてください。ポッターを連れてまいります」
ハリーはナギニちゃんを見ています。ここからやっつける方法ってあるかな?失敗したら居場所がばれちゃうし。
立ち上がったヴォルディが見えます。薄闇の中でもヘビ似の顔の赤い目が見える。
「ちょっとな、問題があるんや」ヴォルディの穏やかさが不気味です。静かに杖を持ち上げました。「この杖、思うようにならへんのや。セヴルス、なんでやと思う?」
「とても素晴らしい杖、ちゃんと使ってらっしゃるのに」
「あかんねん。平凡なことしかでけへん。私の魔力はバツグンやのに、この杖はぜんぜん特別やないで。オリバンダーのじっちゃんが作った杖と変わらんわー」
ヴォルディの口調はとても冷静で、会話を楽しんでいるかのようです。でも、額の激痛でわかります。ヴォルディは内心、はらわたが煮えくり返ってますよ。
スネイプは、黙ったままです。
ヴォルディは部屋の中を行ったり来たり。
「セヴルス。おまえを戦場から呼んだ理由、わかっとるんか?」
一瞬、スネイプさんの表情が見えました。彼は、親方ではなくナギニちゃんをじっと見据えています。
「ポッターを探しに城に戻ってもよろしいでしょーか。うっかり死んじゃうかもしれないし」
「おまえもルシウスも、わかっとらんわ。ポッターはほっといたってわしんとこ来る。あのガキは、仲間が死んでいくのに耐えられへんのや。どんな代償を支払うことになろうと、それを止めようとするんや。それがやつの弱点やね。手下全員に言ってあるんや、ポッターは殺さず仲間を殺せ、できるだけ多くやって。でな、おまえと話したいんは別件なんやけど」
「行かせてください。私がポッターを見つけて来ます。卿、お願いです」
「しつっこいな!」ヴォルディ怒っちゃった。赤い目が光ってます。「ガキのことより、この杖やて!」
ヴォルディは杖を手に、スネイプさんを見ています。「なんでやろ、どの杖もポッターに勝てへん、なんでやろな?」
「私には・・・」
「ははーん、わからへんか?」
激痛に襲われるハリー、叫びそうになるのを懸命にこらえ、思わず目を閉じます。ハリーの意識はヴォルディの中へ。
「イチイの杖は思い通りやった、ポッターを殺すことを除いてやけど。2度失敗して、オリバンダーがわしに兄弟杖のことを話して、他の杖使うたらええっちゅー話になって、ルシウスの杖借りてな、けどそれも無駄やったん」
スネイプはヴォルディを見ていません。ナギニちゃんをじっと見ています。
「このニワトコの杖が3本目や。運命の杖、死の杖やで。私はこれを前の持ち主から奪ったんや。そう、アルバス・ダンブルドアの墓から奪ったんやで」
スネイプの目がヴォルディをとらえます。デスマスクのような白い顔。黒い目は何も語りません。「卿、ポッターを見つけに、私を行かせてください」
ヴォルディはスネイプの頼みを無視します。不気味な囁くような声で話し続けます。
「ずっとな、ずっと考えとってん。なんでこの杖は思いどおりにならへん?真の所有者の言うことを聞く、それが伝説や。それでな、わしには答えがわかった。おまえ、知ってたんやろ。おまえは賢いヤツや。そして、たしかに忠実なよい僕やった。セヴルス、こうなったんが残念やわ。ニワトコの杖が私に仕えようとせぇへんのは、私が真の所有者ではないからや。伝説の杖は、前の所有者を殺すことで手に入るんやったな。ダンブルドアを殺したのは、おまえや。おまえが生きている限り、この杖はわしのものにはならん。他に方法はないんや。私は杖を手に入れる、そしてハリー・ポッターに勝つんや!」
ヴォルディは杖を一振り。ナギニちゃんが解き放たれます。
「やってまえ」ヘビ語です。
すさまじい悲鳴。ナギニちゃんの鋭い牙がスネイプの喉に深く食い込みます。スネイプさんの顔はみるみる色を失い、目は見開かれ、床に倒れてしまいました。
「あー、残念や、ほんま残念」 
ヴォルディ、そんなこと言って、ほんとは哀しみも後悔もありません。振り向きもせず、さっさと部屋から出て行っちゃいましたよ。ナギニちゃんが追って行きます。

ヴォルディを振り切るように目を開くと、床の血だまりの中で震えるブーツの足先が見えます。ヴォルディはもういません。
ハリーは透明マントを脱ぎ捨て、隠れていた暗がりの隙間から飛び出しました。ハリーには、自分が何をしようとしているのかわかりません。血の海に倒れ、スネイプさんの指が喉元で溢れる血を止めようともがいています。ずっと憎み続けてきた男の黒い瞳がハリーをとらえる。ハリーは夢中でその男のそばへ屈み込みました。
スネイプさんの喉がザラザラと音を立て、血が溢れます。
「これを・・・これを持って行け・・・」
血ではない何かが流れています。青みがかった銀色の、気体とも液体とも言えない"記憶"が、口からも耳からも目からもほとばしる。
ハーが呪文でフラスコを出し、ハリーに手渡しました。ハリーは杖で記憶をからめとり、フラスコに入れます。
もう流す血は残っていません。ハリーのマントをつかんでいたスネイプさんの手から力が抜けます。
「私を・・・見てくれ・・・」
緑色の瞳と黒い瞳が、一瞬だけ見つめ合います。黒い瞳の中で、何かが消え、空虚だけがそこにありました。スネイプさんの手が床に落ち、もう動くことはありませんでした。

【メモ】

"ポッターを連れてくる"にこだわったセヴルス。もしもヴォルディがそれを認めていたら、彼はどーしたんでしょう。きっと記憶を渡しに行きたかったんだろうなぁ。
セヴルスには、呼ばれたときにわかったと思います。何が起きて、自分がどーなるか。
"ポッター"にこだわり、ナギニちゃんを見つめ続けたセヴルス。反撃の可能性をどこまで考えていたでしょうか。そしてこの牙によって自分は息絶えると、どこまで知っていたでしょうか。
胸が痛いっすね。
最後まで負けなかったセヴルス。壮絶な生き様だったと思います。切ないなぁ。
彼の最後の言葉はこうです。
"Look ... at ... me ..."(私を見ろ)
"see"でも"watch"でもなく、Look at me. 今すぐ自分を見ろと言っている。
最後にもう1度だけ、その緑色のリリーの瞳を見せてくれと、そう言ってるんですね。
もう涙が止まりませーん。

心ゆくまでさるお、もんち!

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