2008年01月22日

さるおのハリポタツアー Harry Potter and the Deathly Hallows Chapter 34

さるおです。
スーパーポッタリアンなので、愛を込めて、さるおのハリポタツアーは、ついに真実を思い知らされてしまいましたが、やっぱ怖いよな。
『DH』の完全ネタバレです。コメント欄も含めて、すごーくご注意ください。
ハリポタ辞典のもくじはこちらです。

34:The Forest Again

ついに、真実を知るときがきた。
かつて、勝利のためのヒミツを学んだはずの校長室の、埃っぽいカーペットに突っ伏して横たわったままのハリーは、ついに、はじめから自分には生き残る選択肢がなかったことを知ります。彼の使命は、両手で迎える死神のもとへ、ただ静かに歩いて行くことでした。
ヴォルディの待つ森へ、杖など構えず、己を守ろうともせず、ただ歩いて行く。ヴォルディを生かし続けたてきた自分のこの命が終わると同時に、あの夜ゴドリックホロウでなされるはずだった終焉が訪れる。
Neither would live, neither could survive.
定められた運命に逆らいハリーを生かそうとするかのように、心臓がドキドキと暴れています。
死ぬのって、痛いのかな。
思えば、ハリーはこれまで生き延びてきました。なぜなのか、考えもしませんでした。ハリーの生きたいという意志は、常に死の恐怖を上回っていた、けれどもう、それも終わり。逃げる道は残されていません。ハリーを待つのは、死です。
もし、プリベット通り4番地を出たあの夏の夜に死んでいたら、ヘドウィグのように一瞬で死ねたら、この真実を知らずに済んだのに。あのとき不死鳥の杖はハリーを救いました。
もし、この戦闘で失った自分が愛する誰かのために、杖の前に立ちはだかって代わりに死ねていたら、この真実を知らずに済んだのに。それを行えた両親が、今では羨ましく感じます。
知っている勇気とはまったく別の勇気、異なる種類の勇敢さ、それが必要。指先がかすかに震えています。喉も口の中もカラカラです。

ゆっくり、とてもゆっくり起き上がる。ゆっくりと、深く呼吸する。そうすれば、今はまだ生きていると感じることができるから。ぼくが今日まで生き延びてきた奇跡を、ぼくは今までなんとも思ってなかった。
ダンブルドアの裏切りは、もうどーでもよかった。そこにあったのはとても大きなプラン。ぼくがただ愚かで、気づかなかっただけ。なぜぼくに生きていてほしいのか、聞いたこともなかった、当然だって思い込んで。
今でははっきりわかります、ハリーの寿命は、ハリーがすべてのホークラックスを破壊するのにどれだけ時間がかかるかによって決まっていたのだと。
ダンブルドアはそのシゴトをハリーに引き継がせ、ハリーは従順にヴォルディを追い詰めているつもりが、自分の命のろうそくを削ってきたのです。なんと完全なプランだろう。なんと美しいプランだろう。多くの命を失うことなく、殺される運命の少年にキケンなシゴトをやらせる。そしてその少年の死は、不幸な損失ではなく、ヴォルディへの最後の反撃となる。
ダンブルドアにはわかっていた。たとえそれが自分の死を意味しても、ハリーは決して立ち止まらないと。
ダンブルドアにはわかっていた。ヴォルディも知っていた。誰かが自分のために死ぬなんて、ハリーには決して我慢できないと。
でも、ダンブルドア、あなたはぼくを買いかぶりすぎた。ぼくは失敗したんだ。ナギニちゃんがまだ生きている。ぼくが死んでも、まだヴォルデモートにはヘビがいる。
ぼくが死んだら、誰が続きをやるのかな。もちろん、ロンとハーに決まってる。だからダンブルドアはぼくに、きみには友達が必要だなんて言ったんだ。誰かが続きをできるように。
ロンとハーが、なぜか手の届かないほど遠くにいる気がします。別れてから、長い時間が経っているような気がします。
さよならは言わない。説明はしない。ふたりはきっとぼくを止めようとするから。
最初から、彼らと一緒にゴールすることなんてできない旅路だったのです。
モリーにもらった金時計を見る。30分が過ぎました。死ななければならない。終わらせなければならない。
心臓はドキドキと、暴れる小鳥のように鳴っています。残された時間を知り打ち急いでいるのかもしれません。
ハリーは振り返ることなく校長室を後にしました。

城は静まり返り、肖像画も空のままです。
ハリーは透明マントをかぶり、大理石の階段を降り、エントランスに向かいます。
心のどこか、心のほんの小さな一部分が、願っています。誰かぼくを見つけて、誰かぼくに行かなくてよいと言って。
ネビルがオリバー・ウッドとともに、校庭に横たわる遺体を運び込んでいます。
あ、コリン・クリービーだ。未成年なのに、きっとこっそり戻ってきたんです、ハリーと一緒に戦おうとして。小さなコリンをオリバーが担ぎ上げて歩いています。
手の甲で額を拭い、一瞬立ち止まるネビルが、まるで年老いたように見えます。
ドア越しに大広間をちらりと見ると、労り合う傷ついた人々が見えます。ハーもロンもジニーも、他のウィーズリーも、ルナもいません。もう1度だけ、みんなの姿が見たいのに。いや、このほうがいいんだ。みんなと向き合うなんてできない。
校庭に出ます。まだ暗いけど、もうすぐ明け方の4時です。
別の遺体の上にかがみこむネビルに近づき、ハリーは声をかけました。
「ネビル」
「わぁ、びっくりした、ハリー、心臓が止まったと思ったよ!」
ハリーは、透明マントを脱ぎました。
「ひとりでどこ行くの?」
「こーゆープランなんだ。やらなきゃいけないことがあるから。聞いて、ネビル」
「ハリー!」感のいいネビル、はっとしてこう聞きます。「ヘビ男んとこ行く気じゃないよね?」
「ま、まさか」嘘をつくハリー。「ちょっとの間姿を消すけど。・・・ネビル、ナギニちゃんって知ってるよね?」
「うん。聞いたことある」
「殺さなくちゃいけないんだ。そのことはロンとハーが知ってる。もしも彼らが・・・」
言えません。そんなこと、言えない。息が苦しい。
どれほど残酷であっても、ぼくは今ダンブルドアみたいにならなきゃ、落ち着いて、バックアップが必要なんだ、誰かが続きをやらなきゃ。ダンブルドアはホークラックスのヒミツを知る人間を3人残して死んだ。ネビルがぼくの代わりになる。そーすれば、ぼくも3人残せる。
くじけそうになりながら、自分を励まし、言葉を続けます。「もしも彼らが・・・たとえば忙しくて・・・きみにチャンスがあれば・・・」
「ヘビを殺すんだね」
「うん」
「わかった」
「ありがとう、ネビル」
ハリーが歩き出そうとしたとき、ネビルがハリーの手首をつかみました。
「ぼくらはみんな、戦い続ける。ハリー、そうだろ?」ハリーの肩を叩いてくれました。
「うん。ぼく・・・」
もう言葉が出てきません。
ハリーは透明マントをかぶり、再び歩き出しました。少し離れたところにジニーがいます。
「だいじょうぶ、心配ないわ、すぐ中に連れて行ってあげるから」
「家に帰りたいの。これ以上戦いたくないの!」
「わかるわ。家に帰ろう」傷を負った女の子を励ましているんですね。
大声で叫びたい衝動に押し流されそうです。ぼくがここにいるって気づいて!ぼくがこれから行くところを、知っておいて!ジニー、ぼくを止めて、引きずり戻して、ぼくを家に連れ帰ってよ。
でも、それでも、ホグワーツこそがハリーの"家"。ハリー、ヴォルディ、スネイプ、見捨てられた少年たちの、家。
ハリーは歩きます。苦しくても、そしてこれが最後でも、ジニーに知られないまま、横を通りすぎる。
ジニーは振り返りました。まるでハリーを感じたかのように。でもハリーは振り返らない。
銅のやかんにお湯が沸き、お茶とケーキが並び、ヒゲだらけの大きな顔がいつも迎えてくれたハグリッドの、静まり返った小屋を過ぎ、森までやってきました。
そのとき、ディメンターの一団が木々の間を飛んでいるのに気づきました。もうパトロナスを呼ぶ力はありません。身体中が震えています。
戦って、苦しんで、真実を知った今になっても、死神の待つ森へ歩い行くことは簡単ではありません。
緑の香りが、冷たい空気が、ひとつひとつの呼吸が、とても貴重に思えます。みんなは、これから何年も生きて行く。ぼくにはもう費やすべき時間がない。無理だ、森へなんて行けない。でも行かなければなりません。
長い長いゲームは終わりました。スニッチはもう飛んでいません。地上に降りる時間です。
そして突然思い出しました。
I open at the close.(私は閉じるときに開く)
今が"閉じるとき"。"終わり"を意味しているんだ。今がそのときだ。
ハリーはハグリッドのポーチからスニッチを出し、口づけしたままこう囁きます。「ぼく、死ぬことにした」

スニッチは割れました。震える手でドラコの杖をとり明かりを灯すと、中にあったのは、ひび割れた黒い石です。ゴーントの指輪の石、あのシンボルが刻まれた"The Resurrection Stone"です。
ハリーにはわかります。死者を呼び戻すんじゃない、ぼくが仲間に加わるんだ。呼んでいるのはぼくではなく、彼らなんだな。
目を閉じて、手のひらで石を3度転がします。
人の気配がします。
来てくれたんだね、ぼくが会いたい人たちが。
目を開けると、ゴーストと人間の中間ぐらいの姿で、でもちゃんと見えます、微笑んでこちらに歩いてくるみんなが。
ハリーと同じ身長で、死んだ夜の服装で、はねた黒髪にメガネがかすかに曲がっている、ジェームズ。
背が高くてハンサムで、ポケットに手を入れて大股で優美に歩き、いたずらっぽく笑う、シリウス。
若々しくて、髪が多くて、この懐かしい場所に戻ってきたのが嬉しそうな、幸せな顔のリーマス。
にっこりと笑い、長い髪を手でまとめながら、緑の瞳でハリーをしっかりとみつめるリリー。
リリーが言います。「すごく勇敢だったわ」
ジェームズが言います。「もうすぐだよ。あとほんの少し。ぼくらはきみを誇りに思う」
「痛いの?」予想もしていなかったコドモっぽい質問が、ハリーの口から出ます。
答えてくれたのはシリウスとリーマスです。「痛くも何ともない。眠るより簡単さ」「向こうも早く終わらせたがってる」
思わずハリーはこう言います。「みんな、死なないでいてほしかったのに」、特にリーマスを見つめて「ベビーちゃんがいるのに。リーマス・・・ぼく・・・ぼく・・・」
「うちの子をもう見られないのは残念だけど、いつかあの子にはわかる、私がなぜ死んだのか。私はこの世界を、彼が幸せになれる世界にしようとしたんだと」
森からの風がハリーの髪を撫でます。ぼくを呼んでる。4人は何も言いません。ハリーの決断を待っています。
「そばにいてくれる?」
「最後まで」ジェームズが答えます。
「見えないよね?」
「私たちはきみの一部だ。誰にも見えないよ」シリウスが答えます。
「近くにいて」これはハリーが母親にする、最初で最後のお願いです。
ハリーは透明マントを身体に巻きつけるようにして歩き出しました。ディメンターは寄ってきません。きっと4人がパトロナスになって守ってくれているんです。
森の奥へ奥へ、ただひたすら歩く。ヴォルデモートに辿り着くことはわかっています。
ハリーの両隣を4人が並んで歩いています。彼らがそばにいる。それだけが、ハリーの勇気です。それだけが、ハリーの足を1歩ずつ動かしています。ずっとずっと奥まで。死神が待つ森の奥まで。

「誰かいるぞ」「ガキは透明マントを持ってる」
囁き声がします。
ハリーが立ち止まると、4人も立ち止まりました。
杖を構えて木の陰から飛び出してきたのはヤクスリーとドロホヴです。ハリーが見えない2人は森の奥へと歩き出しました。ハリーは跡を追います。
前方に、明かりが見える。焚き火を中央に、ある者はマスクをかぶり、ある者はフードをかぶり、DEが輪を作って座っています。巨人が2人、フェンリルは爪を噛んで、ベラ姐はもちろん、まるほいパパ・まるほいママもいます。全員がヴォルディを見つめています。
そこはかつてアラゴグがいた場所、巨大な巣が今も残っています。アラゴグのコドモたちはいません。
リリーがハリーに微笑み、ジェームズがハリーに頷きます。だいじょうぶ、そばにいるよと。
ヴォルディは立って祈るように頭を垂れ、ニワトコの杖を握っています。背後に浮かぶ球体にはナギニちゃんがいる。
「ガキの気配はありません」ヤクスリーの報告にヴォルディが顔を上げます。
「来ると思ったんやけどな」目は焚き火の炎を見つめています。
誰も何も言いません。DEたちも恐れているんだな。
ハリーは少し離れた場所に立ったまま、透明マントを脱ぎ、杖と一緒にポケットに入れました。
「思い違いか」ヴォルディが静かに言います。
ハリーは、できるかぎりの大声で言いました。「思い違いじゃないYO!」
怖れていると知られたくない。
汗で、"The Resurrection Stone"が手から滑り落ちます。一瞬、ハリーの視界の隅に4人が見え、そして消えました。
ハリーはゆっくりと明かりに近づきます。静かだったDEたちは、立ち上がって叫びながら、笑いながら、ハリーを見ています。
ヴォルディは動きません。赤い瞳が、ただハリーを凝視しています。
「ハリー!来るなー!」
その絶叫は、近くの木に縛りつけられたハグリッドでした。
「静かにしろやー」
ロウルが杖を振り、ハグリッドは黙らされました。
ベラ姐は呼吸も荒くギラギラした目でヴォルディとハリーを見ています。
メラメラと燃える焚き火の炎と球体の中を蠢くナギニちゃん以外、すべてが静止しています。
杖を出すつもりはありません。もしここからヘビを狙えるとしても、ハリーが呪文を唱えるより先に、15発の呪文が飛んでくるのはわかっています。
見つめ合う、ヴォルディとハリー。
「ハリー・ポッター。生き残った少年か」ヴォルディは小首をかしげ、やがて口元に、よろこびとは無縁の恐ろしい笑みを浮かべました。
誰も動かない。みんな待っています。すべてが、ヴォルディの次の動きを待っている。
ハリーはなぜかジニーのことを思います。ジニーの、あの炎のように激しく燃える瞳を。そしてジニーとのチューを。
ヴォルディが杖を上げました。何が起こるのかとコドモのように小首をかしげたまま。
ハリーはヴォルディの赤い瞳を見つめ返します。心の中では、ぼくが泣き出さないうちに、早くやっちゃってー、と思いながら。
ヴォルディの唇が動くのが見えました。そして緑色の閃光に包まれ、すべては終わりました。

【メモ】

やっぱり、やっぱりそーだったんだ。ハリーは死神の腕の中に歩いて行かなければならなくなった。勝つために苦難を乗り越えてきたのに、それは違った。運命は最初から決まっていたなんてー。えーん。
Neither would live, neither could survive.
シビルの予言では"neither can live while the other survives ..."ですね。
ハリーというホークラックスが死んで、ロンかハーかネビルがナギニちゃんを殺して、ヴォルディが残る。でももうヴォルディは"不死"ではないから、たとえ力で勝てる人が現れなくても、年とったら死ぬわけです。
でも、ほんとにそうかな。
Joが言ってました。ハリーは最後にリリーがやったことと同じことをやるんだって。ダンブルドアが言ってました。ハリーはジェームズよりもリリーに似ていると。
さるおはそれを"自己犠牲"かと思ってましたが、違います。リリーのしたことは"ハリーを守った"ということです。リリーがハリーを運命のこの日まで生かし続けた。ならばハリーにも、誰かを守れるんじゃないか。丸腰でただそこに立ち、ジニーを思い、緑色の閃光に包まれたハリー。守護をジニーに。あるいは、守護を愛する者たちに。そーゆーことじゃないかと思います。
さらに、これでハリーが死んじゃうんなら、"the Deathly Hallows"が出てきた意味がない。
透明マントは持ってます。石も手に入れた(落としちゃったけど)。そしてニワトコの杖は、ほんとはハリーが持ち主のはず。
ニワトコの杖の持ち主が代わるたび血が流れたのは、オリバンダーさんの言ったとおり、杖のせいではなく人間の愚かさのせいだと思います。だとすれば、杖の持ち主はダンブルドアからドラコへ、そしてハリーへと受け継がれているはずなんだよね。
"the Deathly Hallows"を3つ集めたら死神を退けることができる。だからハリーはこのまま死んだりするはずないさ。(まだページが残ってるし)

ホグワーツは、ハリーの家。ハリー、ヴォルディ、スネイプ、見捨てられた少年たちみんなの家。これでまた号泣なのです、わたくしは。

ダンブルドアが知っていたように、ヴォルディが知っていたように、やっぱりハリーは決して立ち止まらなかった。誰かが自分のために死ぬなんて、決して我慢できなかった。素晴らしいっす。そして、死ぬのを怖がり、怯え、止めてほしいと心の中で懇願しています。素晴らしい。
でももう試合は終わる。ほうきから降りる時間がきた。長い、とても長いクィディッチを、戦ってきたんだなぁ。
親を知らないハリーが、甘えたことのないハリーが、17年の生涯でただ1度だけ、自分が殺されに行くと知り、天国にいる親たちに、そばいてくれと、もう、涙で字が読めねーずら。

長い指が"クモのような"手をしたヴォルディ、アラゴグのネットの下で待ちかまえてるなんて、またしてもハリポタは美しいっすね。

心ゆくまでさるお、もんち!


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