2008年03月20日

映画鑑賞感想文『変態村』

さるおです。
『CALVAIRE/変態村』(THE ORDEAL)を観たよ。
ベルギー・フランス・ルクセンブルグの映画です。
監督・脚本は、またもや怖そうな『Vinyan』にとりかかっているファブリス・ドゥ・ヴェルツ(Fabrice Du Welz)。
出演は、マルク・ステヴァンス役に『POLA X/ポーラX』のローラン・リュカ(Laurent Lucas)、バルテル役に『BRODEUSES/クレールの刺繍』のジャッキー・ベロワイエ(Jackie Berroyer)、ロベール・オルトン役に『HAUTE TENSION/ハイテンション』で殺人鬼だった『CARNE/カルネ』のフィリップ・ナオン(Philippe Nahon)。

ぐちゃぐちゃに気味悪く意味不明におぞましい閉鎖的サイコ映画、ひゃっほーい!
なんだこの話は!と思ってびっくらこけましたね。監督さん、気は確かかと。
しかしまぁ、ぶっちゃけ、こりゃ『三枚のお札』っす。日本の昔話そのもの(笑)。
道に迷った旅人が一夜の宿を借りようっちゅーと親切に泊めてくれるんだけど、それだけじゃ済まない。逃がさないぞと、そーゆーことです。

閉鎖的も何も、完全に隔離された不思議な村が舞台。閉ざされたその村は、あたかも何百年も閉ざされた家のように、つまり近親相姦を繰り返した人々の館のように、常軌を逸した人々によってすっさまじい狂気を隠している。完全にイカレテますわー。
そこにやむなく現れる突然の来訪者マルク。彼だけがまともです。が、彼が引き金となって、恐ろしい狂気が加速していく。バルテルの、歪み切って異常に暴走した愛(支配)が襲いかかる。
何日も囚われてから彼は必死こいて逃げます。途中、氷の湖にその狂気を沈めて、ついに逃げる。

衝撃的なのは、序盤の、バルテルの忠告を無視して散歩に出たマルクが近くの村でものすごい光景を見てしまうシーンかな。

思えば、各地を巡るキャバレーシンガーのマルクがこの作品のオープニングでショーをしていた街、あそこも同じでした。そこがおもしろい!
彼が旅する先々には異常な人々が常にいる。彼の逃避行には終わりがないのかもしれんです。単なる狂気映画ではなく、"あるひとつの舞台で起きる呪われた惨劇"にとどまらない、連続する異常性。逃れられない倒錯。あの村が呪われているのではなく、彼が背負っているのだと、そこがええですわー。おもしろかったです。

心ゆくまでさるお、もんち!


posted by さるお at 23:21| Comment(2) | TrackBack(3) | 映画の感想文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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