『NOTES ON A SCANDAL/あるスキャンダルの覚え書き』を観たよ。
監督は2001年に『アイリス』を撮ったリチャード・エアー(Richard Eyre)。原作はゾーイ・ヘラー(Zoe Heller)。
出演は、その『アイリス』で主演を務めたジュディ・デンチ(Judi Dench)とケイト・ブランシェット(Cate Blanchett)、ビル・ナイ(Bill Nighy)、そしてちょっと刺激的なスクリーンデビューとなったアンドリュー・シンプソン(Andrew Simpson)。
すごいっすね。この作品はすごいっす。
ベンチにただ座る、後ろ姿のジュディ・デンチ。これでもうやられてしまいました。この女優さんはすごい。この人はすごい人だ。
ま、"さみしいくせに頑固なばぁさん"を演らせたらもう、なんともたまらん演技を見せる人ですが、いやぁー、つくづく、この人はすごい。
しかも今回は、"さみしいくせに頑固なばぁさん"の中に、"恋する乙女"、しかも"屈折した"異常性が存在している。
ついに脱いじゃったし(笑)。ケイトが脱いでもどーってことないですが、いや、ジュディのあの場面は感動しました。
バーバラ・コヴェットが友情と呼んだモノ。それはとてもとても女らしい、計算と独占欲と執着と渇望で、地獄と呼ぶにふさわしい愛憎なわけで、ストーカーばぁさんなんだけれど、あまりにかわいそうだ。そこに重なって描かれるシーバ・ハートの孤独と欠落と無防備さ。バーバラとシーバ、どっちが何を間違えたのか、どっちもどこで間違えたのか、ふたりの人生はとても残酷にとても醜く崩れていきます。
ひゃぁー、苦しいっす。名作っす。
物語的にね、唯一の救いはリチャード・ハート。シーバは、とにかく形だけは、なんとか元の形態におさまるわけで。
バーバラのほうも、この苦行を繰り返して生きていく。
映画の終盤になったらなぜか忘れ去られてしまった(笑)スティーヴン・コナリー少年が、じつはいちばん悲惨なことになっとるわけですが、ま、大女優2人の迫力に押されて「まぁいいや」ということになってしまいました。
誰でも抱えている、でも個人的な、リアルな地獄。そーゆーモノを描いた作品は好きです。苦しくて痛いから。
終盤はなんだかね、音楽とかシーンの切り替わりとかが『めぐりあう時間たち』にそっくりでしたが、とにかく大傑作っすよ。
心ゆくまでさるお、もんち!