さるおです。
これはもう、5作目がどうこうじゃなくてね、シリーズ全体に関することです。
藁にもすがる思いで考えてみた究極のセオリーっすよ、シリーズ全体の時間軸がまるごと覆りそうです。
このシリーズにはあちこちに、とても意味深な矛盾が鏤められています。作り手の緻密さを思えばミスだなんてありえねー、きっとこれは矛盾じゃなくてこれから明かされるヒミツの布石なんだ、と思うことがとてもたくさんある。
その中で、さるおが特に気になっていることはこの2つです。
1.
アダムの足枷が、生前とミイラで左右逆になっていること
2.
ジョンの脳に重さがないこと
で、1についてはもう書いたので、2っすね。というか、1には"役者の都合がつかなかったらリー・ワネルで"的な、別次元での布石の可能性があり(汗)、ま、もしも"役者の都合がついちゃった場合"であっても落とし前はつけろよと、そーゆー気持ちで見守ることしかできそうにありません(笑)。
なので2っす。1と同様に、ミスとは思えない、とても異様なあの映像の真意を考えてみたいと思います。
『SAW IV』のオープニングはジョンの解剖でした。
メトロポリタン・モルグのタグにはこう書いてあります。
Date : 10/21/06ジョンの頭皮をひっぺがす。そして電ノコで、リンによるオペの跡も生々しい頭蓋骨をぽっかりと取り外し、脳ミソを取り出します。そして検死官ヘフナーからもうひとりの検死官("pathologist"とクレジットされているので病理学者らしい)に手渡される。デヴィッド・ボイス(David Boyce)演じるパソロジスト先生は、両手で脳ミソを持って後ろにある"量り"に乗せます。
量りの目盛りは、上に0、時計回りに進んで2時半あたりに1、5時過ぎのところに2、8時に3、10時半ごろが4です。針は0.4付近を指しています。この後のシーンで量りから脳ミソをおろすので、0.4というのは脳ミソが乗っているときの数値です。
そして量りから脳ミソをおろすと、針が指している数値は・・・ぐわぁーっ、まさかの変化なし!
でもまるで驚かない病理学者さん。あやしー。
そうですか、空っぽになっても0.4ですか。すると脳ミソの重さは0だということになりますよ。
じつに奇妙。
そして今度は胴体の部分を切り開くわけですが、ここでもあり得ないまさかです。ジョンの自殺未遂事件の傷跡、左わき腹付近にあるはずの傷跡が、どーも見当たらん。
このシーンは衝撃的です。じつに奇妙っす。現実離れしている、そんな感じがします。解剖室に入ってきた2人目の解剖医さんのあの表情はなんだろう。やっぱり、どーしても、何かがオカシイ。
まずは日付です。
こちらの記事に詳しく書きましたが、この時系列はおそらく訂正せざるを得なくなるんだろうと思います。いや、記事そのものは直さないけど。
さるおは、"○○から何ヶ月後"だということがわかるセリフなどをもとにですね、2006年2月はじめに、あらゆるゲームが一気に始まったと思っているわけです。トロイの爆死から、その夜にケリーの拉致、その翌日ケリー死亡、4日後にケリーの遺体発見で、その日はジェフが拉致されコーベットが行方不明に、同日の夜にはリンも拉致、夜中になるとリグが襲われ、翌日はジェフもリグも3つのテストで忙しいと。そんな感じに慌ただしい1週間。で、ジョンが死んだ日に少なくともストラームはギデオンビルに応援を要請しているので、ジョンの遺体解剖は2006年2月だろうと思うわけです。
ところが、エンジェルトラップは4月28日のようです。指紋照合の報告書にあった日付は"04/24/06"。そしてジョンの解剖は2006年10月21日。あんなにフレッシュそうに見えるのに。多忙な1週間に思えた一連のできごとは、じつは数ヶ月かけて起きたことなんでしょーか。
かなーり大幅に時間軸を見直したとして、ほんとにこれでいいのか。観客の勝手な観方(印象)が間違っていただけのことなんでしょーか。
たしかに、長らく何も起きてないと思いきや忙しい1週間とか、ゲーム大会を開催する間隔にはムラがありすぎる。怪我やストレスからの回復が異様に早かったりもするし。
でも、それにしても変です。だから、まさかね、と思うわけです。
次に脳ミソ。
一般成人の脳ミソの重量は約1350〜1400g。仮に天才ジョンの脳ミソが一般的だとして(笑)、1400gが0.4ということは3500gで1なわけですが、3500gで1になる単位なんてありません。この量りはオカシイ。
そしてそもそも、量りに脳ミソを乗せても乗せなくても0.4じゃ、その量り、壊れてますて。
もしかしたら角度にして1度とか2度とか、針の位置が変わっているかもしれませんが、それじゃあまりに機材の選択ミスっす。100kg量れる量りで1gのものを量ろうとしたってうまくできないよ。もっとスケールの小さい量りじゃないとだめだ。だからこのシーンは決定的にオカシイんです。
もしジョンの脳の重さが0.4で、この数値の単位が"kg"なら、それは"出生時の脳の重さ"なんです。赤ちゃんには見えないっすねぇ(笑)。
この、"脳ミソは0g"という点、重さが"無い"という点についてだけ考えると、どうしてもこの結論にしか至りません。この解剖シーンは現実ではない。
最後に、アマンダが消えた、ということ。
正確にはリンも、死んでればジェフもです。解剖室に無い、という意味です。
ストラームは突入前にギデオンビルに応援を要請した。ホフマンだって『SAW IV』の後で素知らぬ顔で通報しているはず。ということは、あのビルには間もなくケーサツが踏み込みます。それでジョンの遺体を回収したわけですよね。だからジョンはモルグに寝かされているわけだし、遺体解剖も行われるわけです。
ならば他のみんなの遺体は?
アマンダの遺体も隣に寝かされていて、解剖されなければオカシイ。なのに、どっかいっちゃったー。
リンだって。ジェフだってそうです。
やはりどーしても、あの解剖シーンは現実味がありません。変だよねぇ。
さてと、困ったな。
SAWシリーズはファンタジーではありません。これほどまでに緻密で完全で恐ろしくて崇高なSAWの世界観は、決して"夢オチ"などでは片づけられない。"現実ではないモノ"が描かれていたらちょっと腹立つわけですよ。ここまで来て、すべて誰それの夢でした、なんて言われたらもう金返せって感じです。夢オチというのは一部の作品にのみ許される荒技であって、んまー、反則っすよね。
・・・
あれ?
果たしてそーでしょーか?
むむむ?
夢オチが反則にならない解釈が、SAWに限って成立するかもしれません。
ジョンは脳腫瘍を患っていたんでした。前頭葉に腫瘍ができたら思考力が低下します。SAWシリーズが全編通してジョン目線の物語だとしたら。
いやいや、本当はジョンが側頭葉も患ってればよかったんですが(それはあんまり)。側頭葉なら記憶力も低下っす。
でもまぁこの事情を踏まえると、あり得るぞ、正統派の夢オチが。もちろん、ほんとに眠って夢を見てた、という意味じゃないです。ジョン目線のスクリプトですべてが綴られた、という意味です。
例の時系列をよくよく見れば、丁亥(ひのとい・ていがい)の2007年に向かってすべて収束していくようにさえ見える。例のブタ年です。
正確には、1995年のブタ年の前年"1994年"にすべてが始まり、金ブタ(60年に1度の、ブタ年の中でもスーパーな年っすね)の2007年の前年"2006年"に終結。12年間の物語なわけです。
この12年間の範囲内で時系列は入り乱れ、もしかしたらループするかもしれない。12年周期でジグソウは現れるとかいうわけじゃないですが、つまり、観客は、物語の最初へ、またはある時点へと連れて行かれるのかもしれません。いや、どこが始まりなのか、終わりはあったのか、"ジグソウの12年"(どのジグソウかはわかりませんが)は今始まるのかもしれないぞと、シリーズはそんな終わり方をするんじゃないか。
そういえばジョンは、腕時計を投げ捨てました。お気に入りの古い置き時計も叩き壊してしまった。この行動の真意はまだわかりません。でもとにかく、時間というものに腹を立て、時間という概念を捨てた、そうなんだろうとは思います。それまでの人生を"計画すること"で生きてきたのに、それらはすべて台無しになり、皮肉なことにジョンの命のデッドラインは決まってしまった。もうね、時をきざむ、などということはもう、ジョンの中ではくそったれなわけです。
時間を捨てた前頭葉腫瘍患者の物語、時間を失った死に行く男の裁きと救済。それが、観客を時間の迷宮へと連れて行ってくれるのかもしれませんよ。
ま、そーとでも考えない限り収拾つかねぇ、ということでもありますが(笑)。
いずれにしても、落胆させない奇跡の夢オチ、というのは想像するとわくわくします。(あぶない)
時系列については、
例の"4の倍数"になっている日付だけを信じてみる(それ以外は協力者が行ったゲームだとか、あるいは虚構とか)とか、もうちょっと考えてみないといかんけど。
ジョン目線のスクリプト。じつはさるおはここに別の期待もしています。作り手からすればまぁ"役者の都合"というのがあるわけで、3人が候補だろうとも思っています。つまり、都合がつけばローレンス・ゴードン、あるいはディヴィッド・タップ(この展開はステキ)、そして都合がつかなければ
アダムさん。それぞれに、狂気の語り手となり得る。妄想ですが、わくわくします。(とてもあぶない)
心ゆくまでさるお、もんち!