2008年12月17日

さるお的BBツアー The Wizard and the Hopping Pot

さるおです。
スーパーポッタリアンなので、『The Tales of Beedle the Bard』を"さるお訳"で一緒に旅しましょう。

The Wizard and the Hopping Pot(魔法使いと飛び跳ねる鍋)

ある村に、とても親切なおじーさんがいました。これは魔法だぞなんて威張るかわりに、"幸運のおなべ"で作ったおクスリだよ、なんつって、魔法薬を村人たちに分けてあげてました。困ったことがあると、人々は遠くからでもやってくる。するとおじーさんは喜んで魔法薬を作ってあげる。いい人っす。
おじーさんもついにヨボヨボんなって、一人息子に"幸運のおなべ"を遺し、天に召されました。ところがこいつが、パパさんとはぜんぜん似ても似つかないバカ息子なわけです。「うちのおとんはマグルなんかたすけて、どーゆーつもりや。マグルなんて何の価値もないわ、けっ!」かなんか思ってる。
バカ息子はおなべの中に小さな包みがあるのに気づきます。「さては金やなー」なんて浮かれて中を見るとがっかり。小さすぎて履けない、しかも片方しかないスリッパ(上履き)が入ってるー。何じゃこりゃ。スリッパと一緒に入っていたメモには「息子はん、使わんですむとええけど」という遺言が書かれています。
「なんやおとんは、あほんだら。んなもん、クズカゴにしたるわ!」

その夜、村の農家のおばぁちゃんが、トントントンと扉を叩きました。
「うちの孫娘が大変なんや。おかしなイボができてしもーた。あんたとこのおとん、古いなべで湿布薬つくってくれたやろ、な、あれでたすけてくれんか・・・」
「やかましいわ!ガキのイボなんかしらん!」
バカ息子はバタンと扉を閉めました。
するとすぐにキッチンで大きな音がします。
ぼかん!ガラガラ!
バカ息子が杖に明かりを灯して見ると、なんと、"幸運のおなべ"から1本の真鍮の足がにょっきりと生え、やかましい音を立てながら床でぴょんぴょん跳ねている。近づいてよーく見たらびっくりです、だっておなべの表面がイボだらけなんだもん。
「なんやねん!気味わるっ!」
しかもおなべはバカ息子が行くところどこへでも、ガチャンガチャンと彼を追ってついてくる。バカ息子はそのおなべを元通りにしようとしましたが、だめ。消そうとしても、だめ。せめて家から放り出そうとしても、だめ。どの魔法も効きませーん。あきらめて寝ようにも、おなべはベッドの脇まで追ってきて跳ね続けるわけです。ガチャンガチャンガチャン。
眠れないまま朝がきて、また誰かがトントントンと扉を叩きました。
「うちの老いたロバがいなくなってしもうた。あの子がおらんと荷物を市場に運べんのです。そしたら今夜の飯が食えんのです。どうかたすけてもらえんじゃろうか。」とおじーちゃんが言います。
「腹へっとるんはわしじゃ、ぼけぇ!」
バカ息子はバタンと扉を閉めました。
ガチャンガチャンガチャン。足元で跳ねているイボだらけのおなべの底から、ロバの鳴き声と、人が空腹を訴えるうめき声も聞こえてきました。
ガチャンガチャン。ヒーホー、ヒーホー。ぐーぐー腹減ったー。1日中おなべに追われてぐったりのバカ息子。
夜になるとまた誰かがトントントンと扉を叩きました。今度は号泣する若いママさん。
「私のあかちゃんが病気なんです。死にそうなんです。お願いですからたすけてください。あなたのおとうさんが、困ったらおいでって・・・」
でも、バカ息子はバタンと扉を閉めてしまいました。
跳ねるおなべが、みるみる塩水でいっぱいになります。そしてその涙を、跳ねるたびに家中に撒き散らしながら、ガチャンガチャン、ヒーホー、ヒーホー、ぐーぐー腹減ったー。

もう訪ねてくる村人はいませんでした。
バカ息子は耐えていますよ(笑)。
ガチャンガチャン、ヒーホー、ヒーホー、ぐーぐー腹減ったー、ゴホゴホ、おぇー、おぎゃーおぎゃー。そしてやがて、涙のほかに、腐ったチーズと腐ったミルクとおなかをすかせたナメクジも撒き散らすようになりました。"幸運のおなべ"は村人たちの病気を知らせてくれてるんすね。
ある夜、疲れきったバカ息子は、ついにこう言いました。
「もうええわ!やればええんやろ!」
そして村へ歩いていきます。ガチャンガチャン、ヒーホー、ヒーホー、ぐーぐー腹減ったー、ゴホゴホ、おぇー、おぎゃーおぎゃー。おなべのお供を連れて。「治しに来たでー!おとんのなべもあるー!治しに来たでー!」大きな声でこう叫びながら村に入って行きました。
バカ息子は、あっちの家にもこっちの家にも魔法をぶん投げながら通りを歩いて行きます。
ある家では眠っている少女のイボが消え、べつの家には遠いところにいたロバが戻り、またべつの家ではあかちゃんの病気が治りました。
バカ息子はできるかぎりのことをして、やがておなべは、泣くのをやめ、咳もとまって、ピカピカのキレイなおなべに戻りました。
「これでええわ。な?」
バカ息子がおなべに話しかけるころには白々と夜が明けはじめました。

おなべは"げっぷ"をしてスリッパを中からポンと放り出し、真鍮の1本足に履かせてもらいました。ふたりで家に帰ります。もう、ガチャンガチャンという足音はしません。
バカ息子は、かつておとんがそうしたように、村人をたすけるようになりました。でないとまた、"幸運のおなべ"がスリッパを脱ぐかもしれません。

心ゆくまでさるお、もんち!

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