2009年01月26日

さるお的BBツアー The Fountain of Fair Fortune

さるおです。
スーパーポッタリアンなので、『The Tales of Beedle the Bard』を"さるお訳"で一緒に旅しましょう。

The Fountain of Fair Fortune(幸運の泉)

強力な魔力で封印され高い塀にかこまれたその広大な庭園には丘があり、丘を登るとそこには幸運の泉があるといいます。その水を浴した者には幸運がおとずれるのです。
1年に1度、日の出から日の入りまでが最も長い夏至の日、不幸な者がただひとりだけ、その泉に辿り着くチャンスを与えられるのです。

その日の夜明け前、王国のあちこちから数えきれないほどの人々が丘をめざしはるばる旅してきました。老若男女、富める者も貧しい者も、選ばれる1人が自分であることを期待して、暗がりの中に寄り集まって夜明けを待ちながら立っていました。
群衆の中には3人の魔女もいました。
1人目のアーシャ(Asha)は、どのヒーラーにも治すことのできない病にかかっていました。アーシャは思っていました、泉の水が病を追い払ってくれるかもしれない。
2人目のアルチダ(Altheda)は、杖とすべての財産を盗まれてしまいました。アルチダは思っていました、泉の水が無力と欠乏から解放してくれるかもしれない。
3人目のアマタ(Amata)は、恋人に捨てられもう立ち直ることはできないと思っていました。アマタは思っていました、泉の水が心の傷を癒してくれるかもしれない。
3人の魔女は互いの不幸に心を痛めました。私たちはともにあの塀の中に入りましょう、ともに泉をめざしましょう。
地平線から、太陽の最初の輝きが差し込み、塀に裂け目が開きました。群衆は泉の祝福を求めてその裂け目に押しかけました。
這う者がくねくねと群衆をすり抜け、1人目の魔女アーシャに巻き付きました。アーシャは2人目の魔女アルチダの手をとりました。アルチダは3人目の魔女アマタの手をとりました。アマタは、痩せこけた馬に乗りみじめな顔をした騎士の鎧にひっかかってしまいました。
這う者が3人の魔女を塀の裂け目から中にひっぱると、騎士は馬から引きずり下ろされ一緒に中に入りました。
塀の外から人々の叫びが聞こえ、塀の裂け目が閉じるとあたりは静まり返りました。
「ひとりしか水浴びできんのにまぁ、よけいなん連れてきてー。何やっとるの、あんたはー!」
アーシャとアルチダはアマタを怒りました。
ラクレス卿(ミスター不運)は自分と一緒にいる3人が魔女だと気づきました。塀の外なら騎士で通るけれど、今は魔法の使い手が相手です。泉を奪いあったところで、どー考えても分が悪い。やめとこう。「ぼくかえる」
ところが今度はアマタが怒りはじめましたよ。
「弱虫やわぁ、あにさんは!それでもお侍か!さぁ刀を抜いて、手伝うてよねっ!」

3人の魔女と騎士は幸運の泉めざして歩き出しました。
その庭園は見たこともないような薬草や果物であふれていました。4人は日に照らされた小道を進み、丘のふもとまでやってきました。
すると、巨大で真っ白で、まるまる太って盲目のイモ虫が、丘の周囲に巻きついていました。4人が近づくとイモ虫は頭をもたげてこちらを向き、こう言いました。
「その痛みを証明せよ」
ラクレス卿は剣を振りおろし、アルチダは石を投げ、アーシャとアマタは知っているすべての呪文を使ってイモ虫をやっつけようとしましたが、びくともしません。太陽はもうすっかり高くのぼり、アーシャが泣き出しました。
イモ虫は、頬を伝って流れるアーシャの涙を飲みました。イモ虫は渇きが癒され、大地にあいた穴の中に消えて行きました。
3人の魔女と騎士は丘を登りはじめました。お昼には泉に辿り着けるかもしれません。
半分ほど登ると、足元の地面に言葉が現れました。
「労働の成果を捧げよ」
ラクレス卿は、たった1枚しかない全財産のコインを地面に置きましたが、それは転がり見えなくなってしまいました。
4人は丘を登り続けました。ところが、歩いても歩いても丘の頂上は近づきません。見ると足元の地面にはまたあの言葉が。
太陽が頭上をこえ西に傾きはじめると、もうだめかもと思えてきます。それでもアルチダは歩きました。他の誰よりも、もっと速く、もっとがんばって歩き続けました。丘の頂上はぜんぜん近づいて来ないけれど。
「ふんばりなはれ!」
アルチダの汗が地面に落ちました。すると地面に刻まれた言葉は消え去り、ついに丘の頂上に近づいてきました。
4人はよろこんで進みました。花々や木々の木かげに、水晶のように輝く幸運の泉が見えます。
するとそこには泉を囲むように小川がありました。澄んだ水の底の石には言葉がありました。
「過去の宝を捧げよ」
ラクレス卿は、楯を踏んで川を渡ろうとしましたが、楯は沈んでしまいました。魔女たちは騎士を川から引き上げると、川を飛び越えようとしましたが、渡ることはできませんでした。太陽は地平線に近づいています。
4人はかがみこみ、水の底の言葉の意味を考えました。するとアマタが最初にそれを理解しました。アマタは杖を出すと、去ってしまった恋人との幸せな思い出を取り出し、水に落としました。川は記憶を流しました。すると飛び石が現れ、3人の魔女と騎士はついに川を渡ることができました。

それまでの道にあったものより一層めずらしく美しい薬草や花々に囲まれ、幸運の泉はキラキラと輝いていました。空は赤く灼けていました。いったい誰が泉に入るのか決めるときがきたのです。
ところがかわいそうな病気のアーシャは今にも死にそうに倒れてしまいました。3人の友人はアーシャを泉の近くまで運ぼうとしましたが、アーシャは苦痛のあまり、触らないでほしいと言いました。アルチダは、効きそうだと思えるあらゆる薬草を摘み、水の入ったラクレス卿の水筒に入れて混ぜるとアーシャの口に垂らしました。
するとすぐにアーシャは立ち上がりました。それどころか、今までアーシャを苦しめていた痛みがすっかり消えてしまったのです。
「治ったでー!わたしもう、泉なんか必要あらへんわ。アルチダねーさんに譲ったるわぁ!」
ところがアルチダはエプロンによりたくさんの薬草を集めるのに忙しく、こう言いました。
「その病気が治せたんや。もう心配いらん、これで商売したる。アマタねーさんに泉は譲るわぁ!」
ラクレス卿はアマタにどうぞと道を譲りましたが、アマタは首を振りました。川の流れがアマタの哀しい気持ちをすべて消し去ってしまったからです。アマタには、ラクレス卿こそかわいそうに見えました。
「あにさん、風呂入りー。お世話んなったんやしな、せめてものお礼やー」
そこでラクレス卿は、あの数えきれない群衆の中から自分が選ばれたということに驚きながら、前へ進み出ると泉の水を浴びました。太陽は今まさに地平線に沈もうとしていました。
日が沈むと、ひとっ風呂浴びたラクレス卿は栄光に満ちていました。そして、それまで出会った誰よりも心優しく美しいアマタの手をとりました。アマタも、その騎士が自分にふさわしい人だと気づきました。

3人の魔女と騎士は、肩を組み仲良く丘を下りました。4人とも、長く幸せな一生をおくりました。そして4人のうちの誰もが、あの泉の水には魔力などはじめからなかったのだということに、気づきもしないのです。

心ゆくまでさるお、もんち!


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