FCバルセロナにはやっぱり、クライフ以前とクライフ以後があるように思います。選手時代ではなくて、つまり、ドリームチーム(1989〜95年)前と後です。
もちろんクライフはまず選手としてスーパースターだったわけだし、セレブはクライフだけじゃなくて、"トータルフットボール"で有名な、クライフが選手だったときのリヌス・ミケルスとか、選手としてもセレブで後にレオを入団させたレシャックとか、文字通り名を残しているサモラとか、名選手なんて星の数で、とてもたくさんいる。けれどもやっぱり、あの、溢れるほどに夢がつまった"El Dream Team"が、現在のバルサの出発点だと、そう感じるわけです。
以前さるおは、バルサの守備は4人だと書きました。4-3-3はバルサの定番。ボランチは基本1人っすから、4-1-2-3と呼んでもいいっすね。この定番は今も変わりません。きっとこれからも定番であり続けるとも思う。けれどそろそろ、別のオプションを持つ頃なんだなと、最近ペップが挑んでいる3-4-3を観て、考えたりしていますよ。システムというのは流動的なもので、バルサだっていろんなことやってますが、やはり3-4-3というシステムには情熱を感じてしまいます。もちろん、それが新システムではなく、旧システムだからです。昔のように、3-4-3も持っていたいんだよ。
FCバルセロナで、3-4-3を、もう一度やる。
それはきっと、みんなの夢なんだよね。
このところ4-3-3でやってきて、別のオプションを持とうと考えたとき、3-4-3というのはやっぱり選択肢として優先的に出てくる。
ライカーも3バックに挑戦してた。中盤4枚の底にラファ・マルケスを置いて、チャビ、イニ坊、デコの3人を同時に使ったりして、うまく機能したこともある。一方で、3バックが混乱状態に陥り中盤のサイドが下がりっぱなしで、こりゃ5-2-3かということもあったし、3-4-3て結局サイドは誰なわけよという曖昧さからサイドアタックを放棄する結果になったり、まだまだ場当たり的だった。うまくいかない3-4-3を観て、歯がゆくもあり、でも同時に、いつかこれができるようになりたいとも思ったものです。
さて、空飛ぶオランダ人が指揮した夢のチームはどうだったか。
ゴールを守るのはアンドニ・スビサレッタ。
3バック中央のリベロはロナルド・クーマン。右にアルベルト・フェレール、左はミゲル・アンヘル・ナダルかフェルナンド・ムニョス。
中盤4枚で底にペップ、右にギジェルモ・アモールかエウゼビオ、左にセルジ・バルフアン、ダイアモンドの頂点はホセ・マリア・バケーロ。
前線中央にラウドルップ(後にロマーリオ)、右の翼がストイチコフで、左の翼がチキ。
こんな感じの3-4-3です。ワイドな感じで。
左右の翼は俊足で、その間のラウドルップもロマーリオも華麗なテクニシャンで、ペップが長短さまざまなパスで自在にゲームを組み立て、セルジやフェレールが攻撃陣に加わり、クーマンのロングシュートもありという、とてもおもしろいチームっすね。
リーガは4連覇、CL(91-92)も獲って、圧倒的な強さだった。でも、「強かったのか」と聞かれたら、こう答えたくなるのです、「美しかったのだ」と。ワンタッチこそ最高の技術。ボールをまわせ、ボールは汗をかかない。それがクライフサッカー。そう、今も同じ。
ペップバルサの、例えば最近のでルビン・カザン戦(2010年12月7日)はどうだったか。
ゴールを守るのはバルデス。
3バックの中央にブスケ、右にピケ、左にアンドレウ・フォンタス。
中盤4枚ダイアモンドの底にハビエル・マスケラーノ、右にジョナタン・ドス・サントス、左にマックス、ダイアモンドの頂点はチアゴ・アルカンタラ。
前線中央にぼやん、右の翼がジェフレン・スアレス、左の翼がアドリアーノ・コレイア。
おもしろいっすねー。もちろん、ブスケとクーマンは違う。ペップとマスケラーノも違う。みんな違うけれども、サイドを放棄したりはしていない。ロングレンジのパスはピケから、逆サイドに大きく展開したりね。マクスウェルを中盤の左に、アドリアーノをウィングに配して、中央はマスケラーノとチアゴのライン。左右のウィングも縦方向にドリブルしてたしな。
これはこれで、もっと観てみたいと思わせる。試合自体はほら、勝てたことがない大の苦手チームが相手っすから、まぁ、苦労はしましたが、フォンタスとビクトル・バスケスでついに勝ったからいいわけで、とにかく、今のバルサの3-4-3はやっぱり磨いてみたいのですよ。
今のバルサは、もうとっくにドリームチームになっている。そんなことはわかっています。史上最高のチームは、今のチームだ。クライフのバルサは、もう超えた。だって、カンテラーノが作るチームだもん。
この冬は、イブラヒム・アフェレイという、バルサが持っていなかった"弾丸系"のミドルも手に入れたことだし。
だからね、夢のチームよ、もう一度。
3-4-3のときも、やっぱりドリームチームだぜ!ということになりたいのです。それをやってほしいのです、ペップ、あんたに。
夢のチームよ、もう一度。
バルセロニスタというのは、なぜか悲観的で、とても感傷的。システムなんてゆーのはただの"選手の配置"であって、それを論じるのはまぁある意味どーでもいいことだと、わかってはいるのですが。
あの時代を、広義で再現できるのは、今かもしれない。そうだろ、ペップ。
心ゆくまでさるお、もんち!