『TRON: LEGACY/トロン:レガシー』を劇場で観たよ。
監督はジョセフ・コシンスキ(Joseph Kosinski)さんという、Xbox360のゲームビデオなんかを作ってた若い人。いきなりこんな映画作っちゃって、すげぇ。次回作は12年の『THE BLACK HOLE』という作品っす。楽しみっすね。
出演は、サム・フリン役にギャレット・ヘドランド(Garrett Hedlund)、ケヴィン・フリン役は1作目からのジェフ・ブリッジス(Jeff Bridges)、クオラちゃんはTVドラマ『Dr.HOUSE』のオリヴィア・ワイルド(Olivia Wilde)。
これは続編っすね。1作目『トロン』は28年前なので時間経ってますが、トロンの舞台でも時間経ってるわけで、"きちんと"ジェフ・ブリッジスで完結するという、父の時代から子の時代へ、ね、とても素晴らしい。
さるおは3Dというのにとても消極的なのです。だってさるおは3D初体験が『SAW 7』だから。3Dなんて、邪魔なんだよと、余計なんだよと、そう思っているのがベース。だからこそ、期待して観に行きました。3Dって、きっとほんとはすごいんだ、初体験は相手を間違えたからひどい目に遭っただけで、ほんとはすごいに決まってる。
で、結果から言うと、楽しかったっすー。ちゃんと立体に見えておもしろいし、2Dのシーンとの境目というか、平面のときと立体のときがあることを意識しないで観ることができてストレスを感じない。とても美しくて上手に作ってあるのです。
ただ、さるおが3Dで観たいのは飛び出す映像なんだけれど、あれは、"飛び出す映画"ではない。"引っ込む映画"なのですね。わたくしにとっての"飛び出す映画"はやはり『キャプテンEO』なのです。なんか飛んできて、よけちゃったりしたいのです。
こーゆーね、デジタル話は観てていつも思うんすよね、景色として、爆発とかってちょっと違和感あるだろーと。あるプログラムが破壊されたり消去されたりというのを、爆発だとか粉々になっちゃうだとかで描くのは、なんだかすっきりしない。突然消えちゃうとか、グリッドと同化して吸い込まれるように消えちゃうとか、そーゆーのにして見せてほしいわけです。
『トロン:レガシー』の世界の風景なんかも、クルーがいるあたりは質感もあり色もある、けれど、そこから離れたあの山道みたいなとこなんかは、やっぱ線画でなくちゃだめだ、とか思うわけです。荒涼とした大地に居住区がある世界の話ではなくて、登場人物は"設計図の中"にいるんだな、とわからなくちゃいけない。今観ている世界はグリッドで、このレイヤーにいるんだな、と感じたいのでございます。
あとはですね、ケヴィン・フリンがなんと最後に"気合い"でスーパーパワーをぼかんと出してしまうわけで、ここも惜しいなと、納得しづらいなと、思ってしまった。ケヴィン・フリンは気合いだとか感情だとかでクルーを引っぱり戻したわけではなく、テクニカルな作業をしたはずで、何かそーゆー描写がほしかったっす。
1作目から長い年月を経た『トロン:レガシー』が、そんなふうに描かれていたら、もっとステキでしたよ。
デジタル話といえば、たとえば『MATRIX/マトリックス』なんかでも、マトリックスがとてもリアルに作られているんすよね。でも、こーゆー事情で仮想社会がこの感じで現実の世界では人間電池でもう大変だ、という説明があるので、んまーあれはあれでいい。しかも、身体に電線ぶっ刺して眠っているリアル世界でもトラブルは起きるわけで、こっちの身体がどーかなっちゃうと向こうの自分も大変だ、という2つの世界で同時にてんやわんやするスリルがある。登場人物はあっち行ったりこっち来たり、とても忙しい。
そーいえば、『マトリックス』のこのてんやわんやをもっと極端にしてスピードアップしたのが『INCEPTION/インセプション』っすよね。こっちで眠ってる登場人物も危機一髪、あっち(夢の中)に行っても危機一髪、しかも2つの世界はきちんとリンクしているので、あっちが大変なのはこっちがこーなっちゃってるからでこっちをこうしないとあっちもどーにもならない、とかでとにかく忙しく、てんやわんや。
なんでこんなに話がいろいろになっているかというと、"あっちとこっちを行き来する"映画がとても多いなということを考えていたからです。あっちの世界というのは、デジタルな世界だったり、夢の中だったり、他の星だったり、おとぎの国だったりと様々ですが、物語の構図は同じ。自分はこっちに属するんだけど、あっちの世界にミッションがあって、それをコンプリートするために大冒険して戦って、最後はこっちに帰ってくるというもの。
デジタルだとこの『トロン』や『マトリックス』だし、夢なら『インセプション』、星なら『AVATAR/アバター』、おとぎの国なら『NARNIA/ナルニア』。
未来や過去なら『BACK TO THE FUTURE/バック・トゥー・ザ・フューチャー』とか『THE BUTTERFLY EFFECT/バタフライ・エフェクト』もあるし、他にもいろいろ、たっくさんある。
主人公があっちとこっちを行ったり来たり頻繁にしている忙しいやつと、映画の最後にこっちに戻ってくるやつ、という分け方もある。
おとぎの国系だと『PAN'S LABYRINTH/パンズ・ラビリンス』という大傑作がありますが、あれはまた独特で、こっちの世界が過酷を極める。
『ハリポタ』も同系だと思いますが、これも特殊で、魔法の世界とこっちの世界は同時に混ざって存在している。だから登場人物は、他の作品のように魔法で(身体に電線ぶっ刺したりデロリアンに乗ったりも魔法っす)移動するわけではなくて、ただ歩いて行けば着いちゃう。
"あっちに、やらなくちゃいけないことがある"というのは、定番なんだけれども、これぞ映画。そう思いましたよ。
心ゆくまでさるお、もんち!