スーパーポッタリアンなので、『The Tales of Beedle the Bard』を"さるお訳"で一緒に旅しましょう。
The Wizard and the Hopping Pot(魔法使いと飛び跳ねる鍋)
ある村に、とても親切なおじーさんがいました。これは魔法だぞなんて威張るかわりに、"幸運のおなべ"で作ったおクスリだよ、なんつって、魔法薬を村人たちに分けてあげてました。困ったことがあると、人々は遠くからでもやってくる。するとおじーさんは喜んで魔法薬を作ってあげる。いい人っす。
おじーさんもついにヨボヨボんなって、一人息子に"幸運のおなべ"を遺し、天に召されました。ところがこいつが、パパさんとはぜんぜん似ても似つかないバカ息子なわけです。「うちのおとんはマグルなんかたすけて、どーゆーつもりや。マグルなんて何の価値もないわ、けっ!」かなんか思ってる。
バカ息子はおなべの中に小さな包みがあるのに気づきます。「さては金やなー」なんて浮かれて中を見るとがっかり。小さすぎて履けない、しかも片方しかないスリッパ(上履き)が入ってるー。何じゃこりゃ。スリッパと一緒に入っていたメモには「息子はん、使わんですむとええけど」という遺言が書かれています。
「なんやおとんは、あほんだら。んなもん、クズカゴにしたるわ!」
その夜、村の農家のおばぁちゃんが、トントントンと扉を叩きました。
「うちの孫娘が大変なんや。おかしなイボができてしもーた。あんたとこのおとん、古いなべで湿布薬つくってくれたやろ、な、あれでたすけてくれんか・・・」
「やかましいわ!ガキのイボなんかしらん!」
バカ息子はバタンと扉を閉めました。
するとすぐにキッチンで大きな音がします。
ぼかん!ガラガラ!
バカ息子が杖に明かりを灯して見ると、なんと、"幸運のおなべ"から1本の真鍮の足がにょっきりと生え、やかましい音を立てながら床でぴょんぴょん跳ねている。近づいてよーく見たらびっくりです、だっておなべの表面がイボだらけなんだもん。
「なんやねん!気味わるっ!」
しかもおなべはバカ息子が行くところどこへでも、ガチャンガチャンと彼を追ってついてくる。バカ息子はそのおなべを元通りにしようとしましたが、だめ。消そうとしても、だめ。せめて家から放り出そうとしても、だめ。どの魔法も効きませーん。あきらめて寝ようにも、おなべはベッドの脇まで追ってきて跳ね続けるわけです。ガチャンガチャンガチャン。
眠れないまま朝がきて、また誰かがトントントンと扉を叩きました。
「うちの老いたロバがいなくなってしもうた。あの子がおらんと荷物を市場に運べんのです。そしたら今夜の飯が食えんのです。どうかたすけてもらえんじゃろうか。」とおじーちゃんが言います。
「腹へっとるんはわしじゃ、ぼけぇ!」
バカ息子はバタンと扉を閉めました。
ガチャンガチャンガチャン。足元で跳ねているイボだらけのおなべの底から、ロバの鳴き声と、人が空腹を訴えるうめき声も聞こえてきました。
ガチャンガチャン。ヒーホー、ヒーホー。ぐーぐー腹減ったー。1日中おなべに追われてぐったりのバカ息子。
夜になるとまた誰かがトントントンと扉を叩きました。今度は号泣する若いママさん。
「私のあかちゃんが病気なんです。死にそうなんです。お願いですからたすけてください。あなたのおとうさんが、困ったらおいでって・・・」
でも、バカ息子はバタンと扉を閉めてしまいました。
跳ねるおなべが、みるみる塩水でいっぱいになります。そしてその涙を、跳ねるたびに家中に撒き散らしながら、ガチャンガチャン、ヒーホー、ヒーホー、ぐーぐー腹減ったー。
もう訪ねてくる村人はいませんでした。
バカ息子は耐えていますよ(笑)。
ガチャンガチャン、ヒーホー、ヒーホー、ぐーぐー腹減ったー、ゴホゴホ、おぇー、おぎゃーおぎゃー。そしてやがて、涙のほかに、腐ったチーズと腐ったミルクとおなかをすかせたナメクジも撒き散らすようになりました。"幸運のおなべ"は村人たちの病気を知らせてくれてるんすね。
ある夜、疲れきったバカ息子は、ついにこう言いました。
「もうええわ!やればええんやろ!」
そして村へ歩いていきます。ガチャンガチャン、ヒーホー、ヒーホー、ぐーぐー腹減ったー、ゴホゴホ、おぇー、おぎゃーおぎゃー。おなべのお供を連れて。「治しに来たでー!おとんのなべもあるー!治しに来たでー!」大きな声でこう叫びながら村に入って行きました。
バカ息子は、あっちの家にもこっちの家にも魔法をぶん投げながら通りを歩いて行きます。
ある家では眠っている少女のイボが消え、べつの家には遠いところにいたロバが戻り、またべつの家ではあかちゃんの病気が治りました。
バカ息子はできるかぎりのことをして、やがておなべは、泣くのをやめ、咳もとまって、ピカピカのキレイなおなべに戻りました。
「これでええわ。な?」
バカ息子がおなべに話しかけるころには白々と夜が明けはじめました。
おなべは"げっぷ"をしてスリッパを中からポンと放り出し、真鍮の1本足に履かせてもらいました。ふたりで家に帰ります。もう、ガチャンガチャンという足音はしません。
バカ息子は、かつておとんがそうしたように、村人をたすけるようになりました。でないとまた、"幸運のおなべ"がスリッパを脱ぐかもしれません。
心ゆくまでさるお、もんち!
これはJoさんに対する疑問ですが、何故唐突に「腹ぺこナメクジ」が出てくるのでしょうか?そもそもナメクジが「腹ぺこ」かどうかはどうやったら分かるのでしょうか?「ハリポタ」でもロンがナメクジをオェッとなちゃいましたが、もしかしてJoさん、ナメクジに対してトラウマ(干支ではありません)でもあるのでしょうか?
あ、申し遅れました、またクレーム係のルートヴィッヒどすけど、遺言は「好きにしなはれ」ではなく「でけたら、使わんときや」ではないんでっしゃろか?
私は今回どちらの本も買っていないので
こちらで全てお世話になります。
とても昭和の邦訳ではこのおとぎばなしな
感じは出てないでしょうね。イラッとしそうなのであちらは見ないことにします。
そういえば世間は年賀状の季節ですが今年もピカッと光るマシンで作られるのですか?あの話題この時期楽しみなんです(笑)
絵本では、何処の時点で、本人が良心に目覚めるくだりが書かれていたりするんだけれども、そこが無い!!
メッチャ強制的に良い人させられているのが凄いし笑える!!(笑) 笑
確かに自分の為に、仕方なく良い人になってる人もいるもんねぇ〜
なかなか斬新だわぁ〜
アハハ
さるおさんの訳だから尚いいんだろうなぁ〜
うんうん
↑の記事
>何処の時点で
じゃなくて、
>何処かの時点で
です!!
では… ふぇ… ‥; ッふんがー!!! あ!? (照ッ;)
ちがう… 私が哮るんじゃないんですね;
ちょっとやってみたかったです。すみません。すみません;
The Wizard and the Hopping Pot 本日一応読み終えました。
なんだかとっても思っていたのとちがって; おもしろい心境です。
‘Well,Pot?’で、つまずきました。そこかい;と、思われますよね‥;
私は常に至る所が???…です。 だからさるおさんがありがたい(T-T)
これは前文に対して‘そうだねぇ とか いいねぇ’のような感じなのか。 後文か?‘それで とか さ〜て’みたいな感じなのか。 …なにゆえか? まるでとんちんかんです。
さるおさんに追いついてみて、あ〜この人やっぱりすごいや〜と思いました。
自分で読んだのと同じ内容なのに全然違うょ.....って。伝え方がステキです。ポッ‥
関西弁バージョン嬉しいです♪
なき声、うめき声や騒音は私も読みながらやかましく頭の中で響きまくってました。
それが、さるおさんのまんまで焦りました(笑)
!!また走ります。
> 何故唐突に「腹ぺこナメクジ」が出てくるのでしょうか?
Joのトラウマ(笑)はおもしろいっすねー。さるおは"イボ"にもコーフンしました(爆)。
魔法界って、そーゆーとこなのかな。なじみの深い生き物がマグル界で犬猫ならむこうはナメクジ、病気っつったらこっちで"おなかが痛い"でもむこうはイボ、とか。
クレーム係は大歓迎。「これが必要にならなければいいけど」という遺言、深刻にならないほうがいいし、パパさんは京都弁の人と決めていた(笑)ので「〜にしなはれ」というのをどこかに入れてみたかったです。「使うな」という能動的な文章でもないし。
"必要になってしまった"という状況説明は最後にちゃんと省かないで書けばいいやーと。
でも直してよくなったっすね。どうもありがとうです。これからもばんばんアドバイスください。
昭和の邦訳、どーなってるんだろう!ものすごい気になります。でもなぁ、さすがに買う気にはなれないしー。
> そういえば世間は年賀状の季節ですが今年もピカッと光るマシンで作られるのですか?
むっはっはー。ピカッとふんばりましたよ。息も絶え絶えっす。
あけましておめでとーう!今年もどうぞ遊んでください。
ゆうこりんのって、絵本なのかー。
> 本人が良心に目覚めるくだりが書かれていたりする
むむむ?どーゆーこと?邦訳の主人公は、鍋のプレッシャーじゃなく自力で改心しちゃうとか?
詳しくおしえてくだされー。
あけましておめでとーう!今年もさるおと遊んでください。
> やっとこさです!
> ッふんがー!!!
今ごろは、追いつかれて追い抜かれてさるおなどはるか後方にいると思うと、ふんがー、さるおが追いつかなくちゃ(汗)。
このお話、おもしろいっすね。さすが魔法界、童話らしい教訓を、マグルの童話では詰めきれない方法で聞かせてくれる。
> ‘Well,Pot?’で、つまずきました。
それ、すごくよくわかる。
誰がとか、何をとか、そーゆーのがわからない"自然な言葉"ほど難しいね。
なき声とか騒音とか想像しながら読むからさ、このまま鳴りっぱなしだったらまずいや、と思ってね、最後にはさるおも改心しましたよ(笑)。
>むむむ?どーゆーこと?この主人公は、鍋のプレッシャーじゃなく自力で改心しちゃうとか?
自力で改心しないのが、他の人が書いている絵本と違って、Joのは面白いというのを書きたかったんです・・・・
が、文章力足らず、大変失礼致しました
トホホ
> 自力で改心しないのが、他の人が書いている絵本と違って、
思ったんだけどね、ハリポタでは賢者(たとえばDD)ですら過ちを繰り返すわけで、"人は変われず罪を背負って生きる"という超リアルな人の性が描かれている。自分の進む道を自分で選んで切り拓くことができる、というのと同時に、"変われない"という現実も目の当たりにするわけです。
で、このお話もね、超リアルだなぁと思いました。
ある意味、グリム童話なんかと同じような残酷さでもあるしねー。