スーパーポッタリアンなので、『The Tales of Beedle the Bard』を"さるお訳"で一緒に旅しましょう。
『The Fountain of Fair Fortune』についてのダンブルドアさんの解説
この物語は、ホグワーツ魔法学校のクリスマスのお祝いでパントマイム劇にもなってます。人気のある物語ですね。
アマチュア演劇の熱心な愛好家でありホグワーツで薬草学の教師だったハーバート・ビアリー(Herbert Beery)が、クリスマスのために選んだ題材がこれでした。当時私は変身術の教師で、ハーバートに頼まれ、"大道具さん"をやったものです。舞台に、ちゃんと水が流れる"幸運の泉"と草に覆われた丘を造ったわけです。
私の泉と丘はうまくいったと思う。でも、大変なことになってしまいました。
監督をつとめたビアリー先生は、彼の目の前にある感情のもつれに気づかなかった。アマタ役の学生とラクレス卿役の学生は、ステージに上がる1時間前までは恋人同士だったのです。ところが本番直前に電撃破局。劇がはじまるころには、ラクレス卿が恋していたのは"アーシャ"だったのです。
さらに、魔法生物学のシルヴァヌス・ケトルバーン(Silvanus Kettleburn)先生が提供した"巨大なイモ虫"です。まさに幕が開いたとき巨大イモ虫は、- "巨大イモ虫"だと思ったのはつまり、Engorgement Charmのかかったアシュワインダー(Ashwinder)*だったわけですが - 火花と埃のなかでぼっかーんと大爆発。大広間には煙がたちこめ、粉々に破壊されたセットの破片が降りました。私が造った丘に残った"巨大イモ虫"の灼熱の卵からは炎が床に燃え移り、アマタとアーシャはたがいに振り向くと、なんと舞台で決闘をはじめましたよ。すっさまじい集中砲火のちょうど真ん中で動けなくなっているのはビアリー先生。ほかのスタッフたちは大急ぎで生徒たちを大広間から避難させました。大広間のステージは、吹き上げるような炎に包まれてしまいましたよ。
涙出ますね。かなしいかな、幸運の泉を求めるホグワーツの魔女たちと騎士は、目的地に辿り着くことはありませんでした。
楽しいはずの夕時の催し物は、保健室の大混雑で幕を閉じることになったのです。校長(Armando Dippet)はパントマイム演劇を禁止し、それは現在まで続いています。
私たちのこの劇的ともいえる大失態にもかかわらず、『The Fountain of Fair Fortune』の人気は衰えていません。でもこの物語を悪く言う人もいるのです、『The Wizard and the Hopping Pot』のときとまったく同じように。この物語をホグワーツの図書館から排除すべきだと書面を送りつけてきた父兄が少なくとも1人いましたよ、奇しくも、あのブルータス・マルフォイ(Brutus Malfoy)の子孫、かつてはホグワーツの理事をつとめた人物、ルシウス・マルフォイ(Lucius Malfoy)です。
創作であろうとフィクションであろうと、魔法族とマグルを交配させる描写のある物語は、ホグワーツの本棚から排除すべきであーる。マグル婚を啓蒙する本なんか読んで、うちの子にヘンな影響があったらやだもん。純血なのに。
まるほいより
私はこの要求を拒否しました。その考えは多くの理事にも支持されました。
純血なんて言ってる家はさ、マグルやマグル生まれをごまかしたり家系図から追放したり、ほんとはやってんじゃん。そんで真実のほうを隠せとか言って、認めたくないだけじゃん、偽善じゃん。純血なんてほんとはもういないもん。『The Fountain of Fair Fortune』を本棚から排除するなんて非論理的で非道徳的だから、あの本は捨てませーん。
だんぶるどあより
ルシウス・マルフォイとのこのやりとりは、私をホグワーツの校長の座から引きずり下ろそうという、後々まで続く彼の活動のはじまりでした。私にとっては、彼をヴォルデモート卿のお気に入りのデス・イーターの座から引きずり下ろそうという活動のはじまりになるのですが。
* アシュワインダー(Ashwinder):魔法でおこした火を放っておくと出てきてしまう生物。赤く光る目を持った、うすい灰色の細いヘビ。火の燃えかすから現れ、ひとすじの灰を残しながら暗闇を求めてにょろにょろ這い回る。1時間しか生きないが、隔離された暗い場所を探し、そこに真っ赤な卵を産む。産卵後、親は消えて埃となる。アシュワインダーの卵は相当の熱を帯びているため、ただちに発見し凍結できなかった場合は、周囲の可燃性物を発火させる。凍結した卵は"Love Potions"に使われるか、あるいは全体を食してマラリアの治療薬に利用する。
危険度:XXX (スキルのある有能な者が対処すべき)
(出典『Fantastic Beasts & Where to Find Them』)
心ゆくまでさるお、もんち!
ダンブルドアさんの解説最高です!!
Joの頭の中は、妄想だらけなんでしょうねぇ〜
それを筋道だてて文章に出来るのが素晴らしい!!!
ほんと、Joはすげぇ。
> Joの頭の中は、妄想だらけなんでしょうねぇ〜
彼女、ハリポタにどっぷりなんだろうなぁ。それが商売ってゆーのがうらやましいっすね(笑)。
「ロウェナ・レイブンクロウとアルバニアの聖樹」(母娘の確執と首無しニックの陰謀)が読みたい。すっごく昔のこと、魔法界のルーツか、それに近い物語を読みたいっす。
> 「トム・リドルとヴォルデモート卿の暗号」
トムさんについてはほんと必須だよなぁ。『DH』での記述がとっても浅い感じになってしまったのがやや不満なのでした。