2009年06月29日

映画鑑賞感想文『チャーリー・ウィルソンズ・ウォー』

さるおです。
『CHARLIE WILSON'S WAR/チャーリー・ウィルソンズ・ウォー』を観たよ。
監督は、自身の2作目『THE GRADUATE/卒業』でオスカー監督になった、社会風刺が得意な巨匠マイク・ニコルズ(Mike Nichols)。
出演は、『MAMMA MIA!/マンマ・ミーア!』の制作総指揮までやってしまって稼ぎまくりのトム・ハンクス(Tom Hanks)、おばちゃんになっても大好きですジュリア・ロバーツ(Julia Roberts)、なんと言っても『CAPOTE/カポーティ』の名優フィリップ・シーモア・ホフマン(Philip Seymour Hoffman)。

えっとこれはだいたいんとこ実話だと思うので、感想っつってもアレなんですが、おもしろかったです。でもまぁ、アメリカ学ね、アメリカ学。
なので、知っておいたら映画がおもしろく観られる、っちゅーようなことを書いてみようと思います。

エロ議員とそのカノジョさんとヤクザなCIAという3人が、ソ連という強大な帝国を打ち倒した、アフガニスタンで、という話です。
でもこれは、常に911テロのことなどを念頭において観ないといけない。WTCに飛行機が突っ込む秒読みがはじまった瞬間を描いている作品なんですね。

チャーリー・ウィルソン(Charles Nesbitt Wilson)、またの名を"Good Time Charlie"、この人は政治家さんです。いかにもテキサスっぽい顔つきの(笑)おじさん。劇中で描かれているのは事実で、彼が雇った秘書さんたちはみな"Charlie's おっぱいAngels"です(笑)、わっはっはー。ラブホのような家に住み、アル中&コカイン中。
このチャーリーにアフガン支援をもちかけたのが、カノジョさんのジョアン・へリング(Joanne Johnson King Herring Davis)、またの名を"世界を股にかけるスカーレット・オハラ"さん。3度ケッコンするたびに旦那は大金持ち、自分はてれびの仕事なんかをして政財界の大物をゲスト出演させまくり、人脈を広げながら世界中を飛び回る。自宅では"ローマ貴族の乱交"風わたしのおたんじょうび会をやってキリスト教徒の火あぶりショー開催。す、すごいお人だ。いつもギラギラのド派手衣装なんですが、中身は超コンサバなキリスト教原理主義者で、共産主義が何より憎くてしょーがない。ソ連によるアフガン侵攻に怒った彼女は、息子をカメラマンとして連れて命がけでアフガン闇入国、ソ連のハインド(大きくて強いヘリコプター)と戦うムジャヒディンの勇姿を撮影させ、アメリカに戻るとレーガンやらパパ・ブッシュやらを相手に上映会をやっています。でも当時のレーガンはゲリラ支援に消極的だった。それで彼氏のチャーリーに極秘予算を通させることにしたわけですね。チャーリーのほうは、遊び人なのに正義のために戦う英雄、ボンドみたいでかっこいいから夢中であちこちに話をつけて回る。
この動きに乗っかったのが、作戦実行係として動いたヤクザなCIA、ガスト・アヴラコトス(Gustav Lascaris "Gust" Avrakotos)さん。ギリシャ移民の二世で、母国ギリシャに反共産主義政権を樹立しようとクーデターを仕掛けたんだけれどもうまくいかずに自分が命を狙われるはめになっちゃった。そこで一念発起、アフガン解放作戦に再起を賭けるわけです。
で、なんだかんだと年間7億5000万ドルにのぼる極秘予算を使い、イスラエルがふんだくったソ連のAK47とか、パキスタンで調達できるAK47の中国コピーとか、エジプトの国防省をベリーダンスでメロメロにさせておいて弾薬を買うとか、それでも間に合わないから、ええい、新兵器スティンガーもくれてやれー、とか大奮発して、ついにソ連軍は数万人の死者を出しアフガン撤退、そして帝国崩壊へとなだれこんでくわけです。めでたしめでたし。
そしてその後、自由を勝ち取ったアフガニスタンでは、数の膨れ上がったムジャヒディン同士が、アメリカに調達してもらった武器を使ってケンカをはじめました。最後に勝った(政権をとった)のはタリバン。聖戦士オサマ・ビン・ラディンのアルカイーダと同盟を組んで、ある9月11日、アメリカ全土に飛行機で特攻をかけるわけですね。

うーん、アメリカって。ほんとにデタラメな国だなぁ。
これはまぁ中東をめぐる1側面でしかありませんが。

ひとつだけ、知りたいなぁと思うのは、チャーリーがほんとに「あと100万ドル使ってアフガニスタンに学校を作ろう」と言ったかどうか、です。
チャーリーは民主党の下院議員。トム・ハンクスは言わずと知れた民主党の大物サポ。チャーリーは、英雄気取りで特権大好きなアメリカそのものの大バカ野郎なのか、それともミスを犯した英雄なのか。

ところで、この映画のキャッチコピー、『たったひとりで世界を変えた、本当にウソみたいな話』というのはてっきり怒っているランボーさんのことだとばかり思っていましたが、ちがいましたよ。

心ゆくまでさるお、もんち!
posted by さるお at 23:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画の感想文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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