2006年02月28日

映画鑑賞感想文『プレイス・イン・ザ・ハート』

さるおです。
『PLACES IN THE HEART/プレイス・イン・ザ・ハート』を観たよ。1984年の映画です。
監督は、『BONNIE AND CLYDE/俺たちに明日はない』『THERE WAS A CROOCKED MAN/大脱獄』の脚本家、『KRAMER VS. KRAMER/クレイマー、クレイマー』『THE HUMAN STAIN/白いカラス』の監督、明日はない映画ばかり作っているロバート・ベントン(Robert Benton)。
出演は、『NORMA RAE/ノーマ・レイ』で1度目のオスカーに輝き、本作で2本目を手に入れ、後に『STEEL MAGNOLIAS/マグノリアの花たち』『FORREST GUMP/フォレスト・ガンプ -一期一会-』に出演する大女優サリー・フィールド(Sally Field)。本作でアカデミー助演女優賞にノミネートされたリンゼイ・クローズ(Lindsay Crouse)、昔から名優だが最近特にさるおの好きな映画『SAW/ソウ』『THE ROYAL TENENBAUMS/ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』に出てくれているダニー・グローバー(Danny Glover)、本作で共演してたら役どころ同様恋に落ちてしまって撮影中に結婚することになったエド・ハリス(Ed Harris)とエイミー・マディガン(Amy Madigan)、デビュー作である本作でアカデミー助演男優賞にノミネートされたジョン・マルコヴィッチ(John Malkovich)など。

1930年代の古き良きアメリカ南部の、本当は古いだけで決して良くない厳しい時代そのものを真摯に綴った感動作でござる。
それまでだんなの給料すら知らず家事と子育て以外やったことのない奥さんが、だんなを事故で失って、借金があることを知って、その分割返済期限が迫っていることを知る。2人の子供を抱えて、途方にくれますよ、そりゃ泣きたくなる。
ところが、母は強しです。物乞いにやってきた黒人に畑で綿花を育てよう、かなんか言われて一大奮起。家族を守りたい一心で、時代に挑戦していく。
彼女は何をやるにしても"はじめてのおつかい"。小切手の書き方も知らないし、種の買い方も知らない。元物乞いの綿摘み黒人にたすけられて、どうにかこうにか、損をしないようにずる賢い種屋と交渉で渡り合う。そして、竜巻の被害に遭ったりして散々な目にあいながらも、ついに、泣けてくるようなド根性で綿花を摘みます。

時代はまだまだKKK全盛期(クー・クラックス・クランは南北戦争後(1865年)に登場したノルディック(金髪碧眼)至上主義団体で、他の民族の人をつかまえちゃ、殴り殺す蹴り殺すやりたい放題の狂った人々。政府にテロリスト団体と認定されたのは1871年ですが、こーゆーのは無くならない。今も活動を続けています)。黒人はひどい扱われようで、ハンデを持った社会的弱者にも生きる道はなかった、そーゆー苛酷な社会です。
だんなをうっかり撃ち殺してしまったのは黒人なのに、未亡人は通りすがりの黒人を警戒しながらも信用していく。というか、他に家族を守る方法がないので悲壮な覚悟で清水の舞台から飛び降りるわけっすね。
ところが、物語の終わりになってみれば、綿摘み黒人とも友情、心を閉ざす盲目の下宿人とも友情。同じく弱者であり生きる術を持たない未亡人の周りには、人と人の絆が形成されている。いい映画でござる。弱者同士が手を取り合い、あたかも本当の家族であるかのように、時代を生き抜く。
実際の現代アメリカは理想とかけ離れてしまったが、少なくとも、理想だった未来の(現代の)アメリカの黎明のような作品ではないかと思います。人種を問わない真の開拓精神が描かれている。

しかーし、ラストがまた今後の生活苦をうかがわせて哀しくなるなぁ。綿摘み黒人はKKK風に顔を隠した種屋とご近所にボコられてしかたなく出て行きます。また物乞いになるわけです。まぁ、それでもどーにか生きていける。
奥さんは困っちゃう。今年はたすけてもらってなんとか凌いだけれど、来年畑はどーすりゃいいんだ。本当の孤軍奮闘は来年から始まるんですよ(涙)。
いちばん心配なのは、KKK風なみなさんの名前を言い当ててしまった盲目の下宿人。白人だけど、殺されるよなぁ。彼のお兄さんは銀行の人で、金を貸している側です。いやー、ほんと心配っす。
このラストも含めて、いい映画です。こーゆー社会派人間ドラマはめでたしめでたしで終わったらだめです。

奥さんのお姉ちゃんのだんな(エド・ハリス)と女教師(エイミー・マディガン)の不倫エピソードさえなければ、もっと本題に集中できる素晴らしい映画になったのに・・・まー、ほんとに結婚したわけだから、そーゆーギラギラした観方をすればそれなりにおもしろいのかもしれないけどね、とにかくまったく必要ないエピソードとしか思えません。

心ゆくまでさるお、もんち!
posted by さるお at 00:33| Comment(0) | TrackBack(1) | 映画の感想文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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