1作目から2作目につながる最重要セリフは、アマンダの"He helped me."でした。他のあらゆる伏線とはケタ違いの重要さでした。それに匹敵するかもしれない、そんくらいのシーンが、6作目DVDディレクターズカットにはあります。
そのシーンから想像できること、そしてあらためて現実味を帯びてきたかもしれないと感じるいろいろな可能性について書こうと思います。えっと、最後には(次のエントリーになると思います)けっこうすごいことを書きますよ。
※超ネタばれ記事です。ネタばれコメントも大歓迎です。これからご覧になる方は気をつけてねー。
6作目のDVD(ディレクターズカット版)をお持ちの方はエンドロール後をご覧ください。
あるいはこちらを。
Remember...
Remember...
Remember...
Don't trust the one who saves you...
Don't trust the one who saves you...
(あなたを救う人を、信じちゃだめ)
アマンダが泣きながら、コーベットにそう告げています。
これは時間軸で言うと『SAW III』中のできごとっすね。このシーンの少し後に、アマンダはこの世を去る。なんだか遺言のようで、アマンダ姐さんが好きなさるおとしては、その胸中を勝手に察して涙を流しております。
アマンダの言う"あなたを救う人"というのは、ホフマンです。コーベットちゃんは自分を拉致った人物の名前がホフマンだということを知らないはずだし、後でたすけに来る人とやらが名乗るとは限らない。だから、アマンダがここで余計なことを言わず、"あなたを救う人"とだけ言ったのは賢いっすよね。コーベットちゃんは、保護される時点でホフマンの名前を知らなくてよい。アマンダは、ちゃんと考えてからしゃべっているわけです。
で、まぁ、意味合いとしては、「ホフマンは、ワルモノ」だということを話したことになる。つまり、アマンダがホフマンをやっつけようとしているわけですから、これは例の手紙を読んだ後だろうと考えられるわけです。
Amanda,
You were with Cecil the night Jill lost Gideon. You killed their child. You know it, and I know it, so do exactly as I say.
Kill Lynn Denlon, or I will tell John what you did.
(リン・デンロンを殺せ。さもなければ、ギデオンを殺したのはおまえだとジョンにばらすぞ)
ホフマンはこの脅迫状によって、アマンダを追い込みました。ジョンの命はもう先がない。けれど、ジョンにすべてを捧げ心底傾倒しているアマンダは、このことをジョンに知られるのを嫌がるだろうと、ホフマンなりに読んでいた。で、アマンダがリンを殺せば、アマンダもおしまい。つまり、3作目のほぼ終了時に、ジョンとアマンダを同時に葬る手筈をととのえたわけです。んで、自分は安泰だね、と。
アマンダはこの脅迫状を読んで覚悟を決めた。ジョンから読めと言われた"アマンダ宛て"の封筒の中にホフマンがしのばせた1枚のルーズリーフで絶体絶命になった。でも、このままでは終わらせません。ホフマンと刺し違えてやろう。
So when's your test, Detective?
(刑事さん、あんたのテストはいつ?)
I don't need one.
(オレにテストは必要ない)
そうはいくかよ。そーゆーことですね。
ジョンのファミリーの中には、"アマンダvs.ホフマン"という構図がたしかにありました。だからですね、これは渾身の、蜂の一刺しだろうと思うわけです。毒蜂アマンダが、ホフマンにとどめを刺したシーンだろうと。
ということは、"リンとジェフの娘をホフマンが拉致って、どこに閉じこめているか、ドアを開けられるのはホフマンで、後でその娘をホフマンが素知らぬ顔で救出することになっている"ということを、どこかの時点でアマンダは知ったことになる。一方で、それをアマンダに知られた、ということをホフマンは知らない。そーゆー状況なはずっすよね。
リンとジェフが夫婦であることは、ホフマンが知っていてアマンダは知らなかった。その逆に、ホフマンがコーベットを拉致ってギデオンビル内のある部屋に閉じこめ、後で素知らぬ顔で救出することになっている、ということをアマンダは知っていて、アマンダに知られているということをホフマンは知らなかった。
ジョンは、アマンダとホフマン、それぞれに、相手を仕留められる強力なカードを配っていたわけです。
コーベットちゃんへの告げ口は、ちゃんと結果を出したと思います。
5作目でホフマンを追ったのはストラームひとりでした。5作目でストラームを犯人だと思い込んでいたエリクソンと、特に復活したペレズは、6作目になるといきなり夢中でホフマンを囲い込んでいる。まだセス用テープが見つかってなくて、エディ(6作目冒頭の腹のぜい肉切り男)とセスの皮膚を切り取った刃物はギザギザした刃で、手術用メスではないということだけしかわかっていない時から、思いっきり露骨にホフマンに迫っていますよ。
ストラームが言った「ペレズの最期の言葉はホフマン」というのが本当かどうかはわかりません。ペレズひとりだけはなぜか最初からホフマンが犯人という確信を持てたのか、あるいはストラームがものすごい勘を発揮してペレズをダシに使ったのか。いずれにしても、ホフマンだと思った、というのは何の証拠にもならない。
ということは、エリクソンとペレズが、6作目でがらりと捜査の方向性を変えた理由は、コーベットちゃんっすよね。ケーサツに保護されて、何があったか話してごらんと言われて、彼女はアマンダのオファーを選択した。自分を救ったおじさんと、拉致ったおじさんは、同じ人だと思う。そー証言したんじゃないかと思うわけです。
ストラーム、ペレズ、エリクソン、ジョンもジルも、アマンダも、コーベットちゃんも、みんなで外堀は埋めましたよ。ペレズの"本当の"最期の言葉、ホフマンに、Who else knows about me? Who else fucking knows about me?!(オレが犯人だと誰が知ってる?ほかに誰が知ってる?)と聞かれたときの、Everyone!(みんなよ!)は本当だったかもしれません。このEveryone!をふまえて3作目を観てみると、あのリグが"犯人"と言いながらホフマンを指差す名シーンなんていうのはもう、すごいなと、感動すらするわけです。
心ゆくまでさるお、もんち!
> ドンドンSAWの色々なシーンがフラッシュバックしてきます!
7作目を観た後で過去6作品のDVDを引っぱり出したら、どのシーンを観直しても「ここも伏線だったんじゃん!」と思いたいっす。フラッシュバックのすべてが実は意味深で、ゾクゾクしちゃった、と言いたいんだ〜い。
ありがとーう。