2010年08月02日

映画鑑賞感想文『インセプション』

さるおです。
『INCEPTION/インセプション』を劇場で観たよ。
監督・脚本・製作はクリストファー・ノーラン(Christopher Nolan)。この人はすごい。やばすぎる。『メメント』から10年でここまできてしまいました。いや、その2年前の『FOLLOWING/フォロウィング』ですでにわたくしたちはノーラン節に躍らされているのですが。『INSOMNIA/インソムニア』はまぁまぁぐらいだったとして、『THE PRESTIGE/プレステージ』もまぁ秀作くらいだったとして、『THE DARK KNIGHT/ダークナイト』はもうとんでもない映画だし、そして今作、ノーラン節炸裂で踊らされまくりです。
出演は、レオ様(Leonardo DiCaprio)、渡辺謙(Ken Watanabe)、ジョセフ・ゴードン=レヴィット(Joseph Gordon-Levitt)、マリオン・コティヤール(Marion Cotillard)、エレン・ペイジ(Ellen Page)、トム・ハーディ(Tom Hardy)、ディリープ・ラオ(Dileep Rao)キリアン・マーフィ(Cillian Murphy)、トム・ベレンジャー(Tom Berenger)、マイケル・ケイン(Michael Caine)。

おもしろかったっす。とてもとても、おもしろかった!
最近はあれっすね、とても頭を使わせる作品が多い。お客さんは騙されないように緊張して観てないと、わかんなくなっちゃう。この作品もそのよーに難しいんだと聞いていたので、とても緊張して観ましたよ。観てみたら、そんなにわかりにくくなかったけど(笑)。

頭の中に入る、というか、機械につながれた全員が、合同で1つの夢を見るわけですね。だから、"ロバートの夢"なんだけれども、そーでもなくて、ロバートが違和感なく見ることができる夢の舞台はアーキテクチャーが作る、で、参加者全員もそれぞれ個々の事物や状況を持ち込む場合がある。だからまぁ、ロバートのための、みんなの夢、という感じ。夢の主役のロバートから離れた場所でも、夢は続いているわけです。
で、浅いほうからレイヤー1、2、3と3段階の夢があるわけですが、映画をおもしろくしているのは、深いレイヤーほど時間の進み方が速いということ。正確には、潜在意識という深いレイヤーでは脳を活発に使えるということですね。起きている世界の1分が、レイヤー1では20分、レイヤー2では20時間、レイヤー3なら10年、とか、そーゆー感じらしい。レイヤー1で真っ逆さまに橋から落っこちても、その2秒かそこらの間に、より深い階層ではいろいろやってる時間があるわけです。うーん、おもしろい。スリリングっすねー。
ほかにもルールはたくさんあって、起きる(1つ浅いレイヤーに戻る)ためには"キック"が必要。で、夢は常に1つ上のレイヤーの影響を受ける。レイヤー1で無重量力になってしまったら、レイヤー2も無重力になっちゃうわけで、そこにいる人たちのキックはどーするんだと、そこもおもしろかったっす。登場人物がバラバラに別の階層に行っちゃってて、みんな一気に現実まで起きなくちゃいけないとなると、各レイヤーでのキックのタイミングを合わせる必要がある。すごい脚本っすねー。

さらに、もうひとつ重要なのが"limbo"です。生と死の狭間、奈落です。
夢から覚めるには"死ぬ"という方法もある。けど、強力な睡眠薬を飲んでいると、夢の中で死んだはいいが身体が起きられないということになる。心と身体が離れてしまうわけですね、で、こーなるとそれがずっと続いちゃう、肉体が死ぬまで。現実世界ではコーマでしょーか。要は夢の中で何十年も、たったひとりで肉体の死を待つしかない。

コブ(レオ様)はこの状態のサイトー(謙さま)をたすけに、サイトーの"limbo"に行って、「帰ろう」と言う。で、機内で無事に全員(コブもサイトーも)が目覚めて、ミッションもコンプリート。犯罪歴もすっかり消えてコドモと再会。ハッピーエンディングそのもそっす。
でも、コブの(モルの)トーテムであるコマはまだ回ってた、バランスを崩しそうになったのに、持ち直して回り続けていました。コブがコマを見届けずにコドモたちのもとに歩いて行く、あのシーンはすごくクラシックなバレバレ感で好きです。
だからね、映画を観た直後、さるおはこう思っていました。コブとサイトーは目覚めることができなかったと。機内で全員目覚めた、というのはコブの夢で、それが夢であることに気づいていないコブは、現実の機内ではコーマなんだろうと。

ですが、その後も考えているうちに、いや、そんなもんじゃねーなと、別の結論に達しましたよ。
コブが最後に辿り着いた世界はもちろん夢です。
で、劇中の別のシーンで、コブは仲間にlimbo経験者だと言われているんすね。
ということは、すべては、コブの"limbo"内で起きたことかもしれない。
"limbo"から戻ってくることができないコブを誰かがたすけようとして、ある人物を夢の中に送り込んだ。そーかもしれないぞ!
コブをたすけようとしているのは、パパさんのマイルス教授(マイケル・ケイン)で、マイルスが"インセプション"というミッションを与えた相手が、天才アーキテクチャーのアリアドネ(エレン・ペイジ)ちゃんではないのか。だから彼女はコブの潜在意識についてまわった。"limbo"にいるコブに、アリアドネちゃんは「もう起きないとだめぽ」というアイデアを植え付けようとした。
でもまぁ、アリアドネちゃんは任務を失敗してしまったわけですが。

さて、このストーリーの素晴らしさ以外にも秀逸だったのはやっぱ、"奇想天外なものすごい映像"!
これはほんと、素晴らしかったっすねー。
普通さ、映画の予告編なんか観てるとすごそうで、よーしこのスペクタクルを大画面で観るぞーなんつって劇場に行ってみたら、へ?こんだけ?とかね、よくあるじゃんか。あの騙された感など微塵もありません。ひじょーにバランスよく、"ものすごいアイデア"の"ものすごい映像"が全編にわたって鏤められています。

あとは、ドラマ部分。
作品を通して、つらい現実を生きるか、信じたいものの中で生きるか、が問われます。
毎晩夢を見るためにユスフ(ディリープ・ラオ)のもとに眠りに集まる人たちがいる。これとまったく同じことをしているのがコブです。ロバートもまた、父の失望と"自分でがんばれよという父の愛情"の狭間にいる。
しかしまぁ、コブとモルの愛憎ぐちゃぐちゃのメロドラマはくどかった(笑)!そうそう、コブとアリアドネは、レイヤー3から別のレイヤーに行きますが、あれはコブとモルのアパートっすから、コブのレイヤー3の舞台ということっすね。ここで、モルもアリアドネと同じアーキテクチャーだったということがわかります。でまぁ、あれがほかの女優だったら"くどかった"というだけですが、マリオン・コティヤールの美しさがもうやばすぎなので、さるおとしましては、全部ゆるしてしまう。あなたはおキレイな方だ。

ちなみに、渡辺謙さんの役どころは、なんというか、なんだろうあれは。航空会社は買ってあるぞと、すげーな。そんな都合のいい話あるかと、ここだけ少し笑ってしまいました。"limbo"でおじーさんになったシーンではゆっくりした英語のおかげで、えー、とてもよかったと思いましたよ。

心ゆくまでさるお、もんち!
posted by さるお at 20:25| Comment(2) | TrackBack(3) | 映画の感想文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは!
INCEPTION観ました〜。さるおさんすごい!奈落ですよ!虚無ではなく絶対奈落だと思う!!!
パリの街が折り重なってくる映像アトラクションみたいでした。
毎度思うんですが、さるおさん記憶力良いですね。私なんか初めのシーンさえ・・・要は最後謙さんを迎えに行ったとこだったんですよね?
最後コマ倒れろ!と思ったけど、そこはやっぱ色々含ませた感のラストがベストですね(≧∇≦)
sawの感想、予想にはもうついていけないので他のとこからコメいたしました。
(秋にsawはちゃんとみますよ)
PS・Joseph Gordon-Levittカワイイ☆では
Posted by ハリボー at 2010年08月03日 19:54
ハリボーさん

> 奈落ですよ!虚無ではなく絶対奈落だと思う!!!

!!!そーいえば、虚無って字幕出てましたね!
なんか変だよなぁ。虚無って、なーんもないって感じがして、「夢見てねーよ、熟睡だよ」、みたいなね(笑)。
さるいは"虚無"と言われると『ネバーエンディング・ストーリー』だと思っちゃう。

> パリの街が折り重なってくる映像アトラクション

うんうん!あの不思議街空間、すごく好きっす。まーるくなるのかと思ったら、すっかり折り畳まれちゃって、おもしろかった。

> 要は最後謙さんを迎えに行ったとこ

あの場所が、サイトーさんの"奈落"なんすよね。
三途の川の、かろうじてこっち側の、川岸。

> 最後コマ倒れろ!と思ったけど、そこはやっぱ色々含ませた感のラストがベストですね(≧∇≦)

あーゆーあからさまな(いい意味で)おまかせ感も好きだし。

> PS・Joseph Gordon-Levittカワイイ☆

線が細い感じで、ほんで、カワイイ、それわかる気がする(笑)。
Posted by さるお at 2010年08月06日 17:14
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インセプション
Excerpt: 普通に見に行きました。マトリックスに似ている気がします。レオさんが、人の頭の中に
Weblog: うろうろ日記
Tracked: 2010-08-05 00:00

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Tracked: 2010-11-06 22:42

映画を観るなら インセプション
Excerpt: 突拍子も無い理論をネタにして無理矢理映像化してみたような内容だった。何度も何度も「ありえねー」と思ってしょうがなかったけれど発想がユニークで引き込まれてしまう不思議な映画でした。もっとアクション性の強..
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Tracked: 2010-12-29 23:57