1988年の邦画『ドグラ・マグラ』を劇場で観たよ。
原作はあの(どの?)頭のオカシイ(←褒めている)夢野久作。
監督は松本俊夫。この人の作品(『薔薇の葬列』『修羅』『十六歳の戦争』など)の中では本作はきわめて評価低いです(涙)。
出演は、桂枝雀、松田洋治、三沢恵里、室田日出男、江波杏子、森本レオ、小林かおり、渡辺文雄、灰地順。
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夢野久作っていうのはもう亡くなった作家さんの名前。気狂った話ばっかり書いたヘンな作家さんである。「この小説を書くために生まれてきた」なんつって、『ドグラ・マグラ』を書いたら本当に死んじゃった。
勇気をふりしぼって言ってしまうが、ハリポタに次ぐ(笑)さるおの愛読書だYO!
おもしろくって、数年あけてまた読み返したりしている。
映画化不可能といわれた『○○○』が、ついに待望の映画化!
という言葉はよく聞くぞ(笑)。映画化不可能っぽい小説って、きっといっぱいあるんだな。けど、ほんとにほんとに不可能なのは、とにかく、奇書『ドグラ・マグラ』です。(断言)
本読んで、カネ払って映画館で観てさ、映像化できてねーな、としみじみ思いましたよ(涙)。
原作を読んでみればわかる、こりゃ無理だ。
なぜ無理なのかというと、言語というより、中枢神経に直接語りかける幻惑そのものだからです。読みながら、なんとか思考を経由しようとふんばるんですけど、おもしろすぎて複雑すぎて恐ろしすぎる、ぐるぐると果てしない倒錯の迷宮小説なんだわ。
世界観は直接タイトル『ドグラ・マグラ』に反映されている。どうどうめぐりのめくらまし。メビウスの輪のように、終わりのない夢と狂気と倒錯した快楽の物語。
映画『ドグラ・マグラ』は怪奇探偵小説『ドグラ・マグラ』を映像化した"意欲作"。意欲は感じるが、映画を観ても話はぜんぜんわからない(笑)。不思議なままで終わります(笑)。
人を殺して記憶喪失になった青年、ふたりの精神科医の謎の接点、衝撃的な論文・・・現実に起きたのか、頭の中のできごとなのか、果たして終わりはあるのか・・・ほらね、さるおもまるで表現できない。
スタメンのみんな!たった今、「どんな話かわかんねーよ」って思いましたね!
この本は本当は人に勧めたいんだけど、とにかくあなたの脳にぐいぐい入り込んで入りきらなくて溢れて困るのは間違いない。
デヴィッド・リンチ(David Lynch)のTVドラマ『TWIN PEAKS/ツインピークス』とフランソワ・オゾン(Francois Ozon)の『SWIMMING POOL/スイミング・プール』を足して、スケールを20倍にした感じ(笑)。
スタメンのよい子のみんな!たった今、「わかんねーつってんだろーが」ってまた思いましたね!
夢野久作原作の映画は他にもある(『夢野久作の少女地獄』『瓶詰め地獄』『ユメノ銀河』)が、まぁミステリーということで片づくものばかり。究極の不思議ワールドを体験するなら『ドグラ・マグラ』だぜ!(本のがいいけどね。)
小説『ドグラ・マグラ』についてもう少し書いてみたのでこちらをご覧ください。
心ゆくまでさるお、もんち!
映画のほうは相当なキワモノ好きじゃないと薦められませんが、小説の方はすっごくおもしろかったぞ。エロ・グロ・ナンセンスとか言われたりしてますが、そーゆーんじゃないし、ちょっと長いけど語り口が軽いから読みやすいし。"今どき"の本と比べれば多少は粘着質だけど、気になるほどじゃねーずら。お読みになったら感想聞かせてくれー。
本のほう読んだのかー(嬉)。さすがっす。
ほんと不思議な物語だよね。混乱して、読み終わったとたんに「読み返さないとまずいかな」なんて思う(笑)。
> こわいもの見たさで見てみたいです。
映画のほうは、"こわいもの見たさ"であればおもしろいかも。映像的にはとっても頭に残る、印象的な作品です。でっかい大仏の頭とか、こわいし(笑)。あの不思議ワールドが描き切れないのは、これはもうあたりまえというか、しょーがないもんなー。
小説のほうが断然素晴らしいけど、映画も変わってて、一見の価値はあるかなーと思います。お勧めはできないけど(笑)、期待しないでみればまぁまぁじゃないかなー。
夢野久作はおもしろいですよね。グロテスクで論理的で、グラグラします。
松本俊夫監督とお話ししたのー?握手もしたのー?それはすごいなぁ。松本俊夫作品も理論的というか実験的というか、おもしろいのが多いですね。