2005年02月12日

映画鑑賞感想文『アバウト・シュミット』

さるおです。
『ABOUT SCHMIDT/アバウト・シュミット』を観たよ。
監督は『ELECTION/ハイスクール白書 〜優等生ギャルに気をつけろ!〜』のアレクサンダー・ペイン(Alexander Payne)。
出演はジャック・ニコルソン(Jack Nicholson)、キャシー・ベイツ(Kathy Bates)。

一流企業の計理士で66歳のウォーレン・シュミット(ジャック・ニコルソン)、仕事にも同僚にも恵まれた。家族にも恵まれた。子供の頃の夢は叶わなかったけれど、平凡にやってきた、悪くない人生。満足だ。
そんな彼が定年退職する。
これからは夫婦水入らず、キャンピングカーで旅に出よう、と思った矢先、42年間連れ添った妻との永遠の別れが訪れてさぁ大変。通勤以外したことのない男が家の中でひとりぼっち、何もできない。追い討ちをかけるように一人娘のジーニーがバカ野郎と結婚。次々とピンチに見舞われ、孤独に気づいたシュミットだが、まったく対処できないのだね。
アフリカに住む6歳の少年との文通でのみ語られるシュミットの本音が、決して"できた人間"ではない凡人シュミットの、"変われない哀しさ"を、哀しく可笑しくおしえてくれる。
初めて孤独を知ったシュミットが妻と乗るはずだったキャンピングカーでさすらい一人旅。人生を見つめ直す定年退職者のロード・ムービー。人と人のつながりとは何か、人とのつながりの質とは何か。
シュミットのはてしないネガティブ・シンキングのスパイラルも哀しく可笑しい。皮肉満載のこの映画、そこはかとなくおもしろい秀作コメディなのでした。

さすがはオスカー3冠男、ただものではない。
情けなくって寂しくって意地っ張りで見栄っ張りな冴えない男を、ジャージ姿に爆発ヘアの情けない姿で演じている。愛すべき男、ウォーレン・シュミット。愛すべき男、ジャック・ニコルソン。

一見の価値はあります。おもしろいよ。
さるおもまた観たい。よくできた映画、大好きな作品です。

心ゆくまでさるお、もんち!
 
posted by さるお at 03:56| Comment(4) | TrackBack(2) | 映画の感想文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「凄く感動した」とか
「腹かかえて笑った」はいえないけれど、
仕事に流されて生きている時に見ると
「自分の楽しみを後回しにするのはやめよう」と
思ったりしますね。
Posted by る at 2005年02月13日 12:41
るさん
全体的に、ほのぼの笑えてしみじみする映画ですよね。けっこう真実を描いているようで、自分はどうなることやら、こわいなぁとも思います。少し前のリストラブームを考えると、定年を待つまでもなく、すでに人ごとじゃないですねぇ。
Posted by さるお at 2005年02月15日 07:18
TBありがとうございます。
シュミットの内に秘める激情と外へ表す感情との違いが自分には他人事じゃないなぁと焦りました。過ぎてみないと分からない、でも失う前に気づかなければいけない、人生ってこんなに難しいものだったんですね、と改めて確認させられました。後悔しないうちに一度くらい見ておきたい映画ですね。
Posted by タチヨ at 2005年04月06日 00:53
タチヨさん
2面性を"さりげなく極端に"描いたあたりがコメディとして秀逸ですよね。周りもふりまわされるし本人もつらい、そんなことより正直に素直に生きればいのに、それができない。シュミットはさるお自身です。不器用で困ります。それでも人生は続いていくんですが・・・生きていくって難しいですね。
さるおは笑って観てしまいましたが・・・もっと反省しなければ(笑)!
Posted by さるお at 2005年04月06日 07:44
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