2005年02月24日

映画鑑賞感想文『キング・オブ・パイレーツ』

さるおです。
34年も人生やってりゃ300回や500回はずっこけたことがあるが、さるおの人生でいちばんずっこけた出来事はひょっとしたらこの映画じゃないのか!
『KING OF PIRATES/キング・オブ・パイレーツ』を観たよ。2002年のデンマーク映画。原題は『JOLLY ROGER』という。
監督・脚本・編集は『IN CHINA THEY EAT DOGS/ゼイ・イート・ドッグス』のラッセ・スパング・オルセン(Lasse Spang Olsen)。
出演はキム・ボドゥニア(Kim Bodnia)、クララ・ハルボーセン、ブライアン・パターソン、ニコライ・リー・カース(Nikolaj Lie Kaas)、リカルド・ウォルフ、ヤンス・オッキン。ってぜんぜんわかんないぞ。

キング・オブ・パイレーツ

ジャケはかなり海の男の香りがしてかっこいい。大海原に帆船が浮かび、伝説の海賊と運命を握る男達の精悍な顔が、これから始まる壮絶な戦いを予感させる。
 世界の海は俺のもの!
 伝説の海賊ジョリー・ロジャーが地球を救う!
 七つの海をまたにかけて、
 世界の運命を決める闘いが始まった!
いいぞ、いい感じだ。ビデオ屋での棚の位置も完璧だ、『MASTER AND COMMANDER: THE FAR SIDE OF THE WORLD/マスター・アンド・コマンダー』や『PIRATES OF THE CARIBBEAN: THE CURSE OF THE BLACK PEARL/パイレーツ・オブ・カリビアン』と並んでいるぞ。すごい戦いになるにちがいない!泣くかもな。

ところがである。始まんない始まんない。救ってくれなくてけっこう。こりゃなんだ。
とりあえず、海賊の話だとか七つの海だとか、そんなものはまったく出てこない(笑)。ジャケとコピーとストーリーはお互い何の関係もなかった(笑)。
本当にびっくらずっこけて、素早く気持ちを(心の準備を)切り替えたさるお、そ〜ゆ〜つもりで観たら意外とおもしろい映画だった。これはD級かE級か、とにかく安い。人形劇か、紙芝居か、そんな雰囲気。笑える。設定と手法がめちゃめちゃで、けっこうおもしろい。
2002年になって何もそんなにストップモーションばかり駆使しなくてもいいものを、よっぽど気に入った夢の技術か、オルセンよ!

物語は完全なおとぎ話。
天国(といっても安いただの部屋である)では天使たちが、未来を予測するタコの言葉を翻訳してそのとおりに世界を動かす、という作業をしている。 天使のみなさんはコーヒー飲んだりタバコ吸ったり不真面目きわまりない。ある日、地球(地球儀)にコーヒーをこぼしてしまって慌てた天使の手違いで、天国にブラック・ビルという海賊一味が迷い込み、地球の未来(つまりそのタコ)を奪ってしまった!地上には現在しかなくなり、静止したままだ。このままでは世界が滅んでしまうぞ。困った天使たちは、天国と地獄のすき間にいる伝説の海賊ジョリー・ロジャーを復活させて、未来を取り戻させようとする。300年前に沈んだ海賊船ベラ・ドンナ号で、ロジャーは、敵の船"悪魔号"を探しに出発したが次々とピンチが訪れる。タコを取り戻せ!世界を救え!残された時間はあとわずかだ!

ってどうでもいいような手に負えない話である。なぜタコなのか、オルセンよ!ストーリーさえおぼつかない感じなので、感動とか興奮とか涙とか勇気とか愛とか冒険とか、そういったいわゆる映画に必要なものが、あるわけないじゃん、この映画に(笑)。
タコでもなんでも、ちょっと見たことないくらいの激しい手作り感。デンマークはいい国だ。心が暖まる。天国から地球を見ている、というシーンを学芸会でやるならこの程度、というのが映画になるあたりも、デンマークはいい国だ。微笑ましい。
忘れていた童心をすっかり取り戻したさるお君、この映画に出てくる"神様"がいたく気に入ったのでした。

う〜ん。映画というものに対して普通の期待感を持っている人におすすめはしない。さるおはけっこう気に入ったけど。

心ゆくまでさるお、もんち!
posted by さるお at 01:07| Comment(2) | TrackBack(1) | 映画の感想文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
さるおさん

はじめまして。
「キング・オブ・パイレーツ」の感想を楽しく拝見しました。
私も同感です。
憎めない映画ですよね。
さるおさんの「ずっこけ」という表現がとてもぴったりで気に入ってしまいました。
突然で申し訳ないのですが、共感できた事がうれしくトラックバック(実はそのシステムも意味もよく分かっていない)と、私の日記にこちらの記事をリンク(リンクの仕方も分からなかったためアドレスを掲載しただけなのですが)させて頂きました。
何か不都合がありましたらお知らせ下さい。
Posted by 音の葉 at 2005年08月26日 10:47
音の葉さん
この作品(と呼んでいいのかよーっ)を観た(観てしまった)方がいて、同感ってわかちあえる(なぐさめてもらえる)だなんて夢のようです!音の葉さんも一緒に"ずっこけ"てくれたんだね!
共感が嬉しいのはさるおの方です。トラックバックどうもありがとう。トラックバックも記事リンクもありがたいです。ぜんぜん不都合なんてない。
あたたかくて笑っちゃう、いい意味で"安い映画"だったよね!さるお、これけっこう好きです。

これからもよろしくお願いします。ときどき遊びに行きますね!
Posted by さるお at 2005年08月28日 10:08
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Weblog: 夕景
Tracked: 2005-08-26 10:28
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