2006年09月19日

映画鑑賞感想文『ロード・オブ・ウォー』

さるおです。
『LORD OF WAR/ロード・オブ・ウォー』を観たよ。
監督は『GATTACA/ガタカ』『THE TRUMAN SHOW/トゥルーマン・ショー』『S1M0NE/シモーヌ』のアンドリュー・ニコル(Andrew Niccol)。
出演は、製作にも名を連ねるニコラス・ケイジ(Nicolas Cage)と、『ALEXANDER/アレキサンダー』(←コリンがまさかのパツキン)でヘファイスティオン役を演じた思いっきり美貌の男(さるおと同い年なのにね、ものすごい違い(泣))ジャレッド・レトー(Jared Leto)、商売敵のおじやんはビルボ・バギンズ、違った、イアン・ホルム(Ian Holm)。そして、なんだか最近むさむさの表情でいい演技してますが今回は目立たないイーサン・ホーク(Ethan Hawke)。

おもしろいね、この映画。
シニカルに、コミカルに、「ちゃんと戦争やってくれー」なんて言いながら、軽快なフットワークで快進撃を続ける史上最強の成り上がり武器商人ユーリー・オルロフの物語。
「今、世界には12人に一丁の銃がある。次の課題は、ひとり一丁の世界だYO!」
そうですよね。それ行けユーリー!商売熱心でエライあんたは、あきんどの鑑だ。

これもね、実話に基づいた作品です。ユーリー・オルロフが笑えるほどに淡々としたスゴ腕セールスマンだったかどうかは知らないけど、大事なところは、彼の存在が"悪"ではなく"必要悪"だという点。つまり、お客がいる。単なるビジネスです。"これがやっとみつけた天職だから辞められないという葛藤"などなありません。"必要悪"を体現する道を選ぶという、ブレない存在としての"個人"です。
本当の武器商人は安全保障理事会を構成する常任理事国(アメリカ、イギリス、フランス、ロシア、中国)だと、これはもう今さらわざわざ映画で言われなくてもわかっていることとはいえ、これだけコミカルな作品ではっきり言っていただけると気持ちがスッキリしますね(笑)。
ま、そんなことを言ってしまう作品だからハリウッド資本に締め出されてしまいましたが(涙)、そんなもんに屈しちゃだめずら。その意味でこの作品は骨太コメディ、えらいっす。

もうひとつ重要なのは、少数民族が武器を必要としている点。
彼らの、力を拡大しようとする欲と、恐怖心や罪悪感の欠如はリアルな感じしますねぇ。あれは単なる"麻痺"ではないような気がします。モラルから切り離された地域があり、モラルから切り離されて生きる人々がいる。その事実をまずは受け止めないといけません。
こう言ってはなんですが、あれは"統治"という社会システムのひとつの側面なんじゃないかな。
今も世界のあちこちで戦争やってます。そのうちのいくつかには、第3者による"正義"なる大義名分がある。ある地域の内戦状態を解決しようという正義があります。でも、その正義のための戦争を経て、国や地域がよくなるのかというと必ずしもそうではない。
あるいは、国内の2大勢力がぶつかって片方が勝ち、ある種の独裁がはじまるわけですが、それが上記のように"仲裁された場合"と比べて不幸なのかというと、そうでもない。
支配構造、権力構造というものには、そもそも"悪"が内包されてしまっているわけです。だからその"悪"の部分だけを取り除こうとしても無理なんだよね。
これはものすごく哀しい話ですけど、とにかくそーゆー"悪"なるシステムが、そこでは機能してしまう。

なぜここに銃があるのか。なぜそこに銃があるのか。どうしてそれを手に取るのか。その銃はどこから来たのか。
感情論などでは一切解決しない、現実があるねぇ。

さるおが少しおもしろいと思ったのは終盤のひこうき。大型輸送機が置き去りにされて1晩で、すっかり分解されて骨組みしか残ってねーずら!
あれを住民が持つ生きるため強さだと思って終わるのか、それとも、きっかけさえあれば、その逞しい強さは経済的な二極化を解決する原動力になると感じるか、そのへんも深いっすね。

ユーリーの弟ヴィタリー、笑えるくらい悪循環を繰り返すヤク中男ですが、観ている側にとっては彼がいちばん感情移入の対象になると思います。溺れてしまう弱さと、激情型だけれど最後は自分の良心に従う強さが、彼の中で共存している。いやぁ、彼の最期にはちょっと切なくなりました。
で、それがユーリーに与えたインパクトがまた苦しい。それでもユーリーは"必要悪"であり続けるわけで、それがこの映画が訴えかけてくるメッセージなんだと思います。無くならない"必要悪"。"必要悪"で食い続ける社会。足を洗えない、人の強さと弱さ、したたかさと脆弱さ。

ちなみに、ウクライナ生まれの1発の弾丸目線(生産ラインから西アフリカで少年の頭を貫通するまで)で描かれた"弾丸の一生"みたいなオープニングが、えっと、チョコレート工場長のヒミツ、じゃなくて、何だっけ、えーっと、『CHARLIE AND THE CHOCOLATE FACTORY/チャーリーとチョコレート工場の秘密』!あれにそっくりで飽きました(笑)。
食品の生産ラインは絵にすると可愛くておもしろいんだけど、うーん、弾丸はつまんないです。しかも何も訴えてない感じで、あのオープニング映像の役目は、コミカルな映画だよっちゅー紹介のみですね(涙)。もっと深い(明るさはあのままで)オープニングだったらよかったなぁ。
で、『チャーリーとチョコレート工場の秘密』は2005年9月公開作品、『ロード・オブ・ウォー』は2005年12月公開作品。ほんとに、似たモノって同じ時期に作られますね(泣)。そーゆーところはつまんねーなぁ。

関係ないですが、みなさんご存知だと思いますけど、ニコラス・ケイジの家ってすごいよね。本名はニコラス・キム・コッポラ(Nicholas Kim Coppola)、そうっす、あのコッポラっす。叔父さんがフランシス・フォード・コッポラ(Francis Ford Coppola)でその娘はソフィア・コッポラ(Sofia Coppola)息子はロマン・コッポラ(Roman Coppola)、ロマンのお母ちゃんがエレノア・コッポラ(Eleanor Coppola)におじいちゃんのカーマイン・コッポラ(Carmine Coppola)、叔母さんはタリア・シャイア(Talia Shire/Talia Rose Coppola)で、おにいちゃんはクリストファー・コッポラ(Christopher Coppola)、弟さんはマーク・コッポラ(Marc Coppola)、ほかの従兄弟はジェイソン・シュワルツマン(Jason Schwartzman)で、ケイジ元妻はパトリシア・アークエット(Patricia Arquette)。はぁはぁはぁ。すごいっす。

心ゆくまでさるお、もんち!
posted by さるお at 23:13| Comment(4) | TrackBack(35) | 映画の感想文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
あの飛行機は、見る見るうちに残骸になっていきましたね〜。見事に綺麗に!

ところで、ニコラスさんってコッポラ家でしたか!
それはしらなかったです〜〜。
驚き!!!
Posted by ぷちてん at 2006年09月20日 19:12
ぷちてんさん
飛行機が見る見る残骸になっちゃうシーンは、けっこう多くのことを物語っているようで好きですねー。

さるおは昔、ニコラス・ケイジってニコラス刑事だと思ってましたが(大泣)、ものすごいサラブレッドですよね。
Posted by さるお at 2006年09月21日 11:57
こんばんは。TBサンクスです。
私好きな監督は?って聞かれたらアンドリュー・ニコルと答えるほど好きな監督さんです。
この作品も彼らしい個性があって、おもしろい映画だなーって思いました。まあ、ガタカが一番ですが。

ニコラス・ケイジの家系って確かにすごいですねぇぇ。
Posted by goma at 2006年09月21日 23:51
gomaさん
アンドリュー・ニコルは本当におもしろい作品を作るね。さるおも大好きです。

> ガタカが一番ですが。

そうね。『ガタカ』はおもしろかったっす!

ニコラス・ケイジは"冴えない凡人"風の役をやらせると光りますが(笑)、正真正銘のサラブレッドですね。
Posted by さるお at 2006年09月26日 01:02
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