2005年05月01日

映画鑑賞感想文『ドッグヴィル』

さるおです。
『DOGVILLE/ドッグヴィル』を観たよ。すごいね。この映画はすごいっす。
監督は『THE KINGDOM/キングダム』シリーズ、『BREAKING THE WAVES/奇跡の海』『DANCER IN THE DARK/ダンサー・イン・ザ・ダーク』のデンマーク人、ラース・フォン・トリアー(Lars von Trier)。
出演はニコール・キッドマン(Nicole Kidman)、ポール・ベタニー(Paul Bettany)クロエ・セヴィニー(Chloe Sevigny)、ローレン・バコール(Lauren Bacall)。ステラン・スカルスガルド(Stellan Skarsgard)も出てるな。

 美しき逃亡者があらわれ、一つの村が消えた。
 審判の日がくる。

う〜ん、いいコピー。

山あいの小さな村ドッグヴィルに逃げ込んだ美女グレース(ニコール・キッドマン)と村の人々の関係を、簡素な(黒い床にチョークで描いた線以外何もない)舞台セット上で描いた異色の作品です。小説を読んでるような、舞台をごく間近で観てるような、おもしろい体験でしたよ。

よそ者グレースを、匿うべきか、追い出すべきか。信用するか、信用しないか。
孤独で都会的な美しさの見知らぬ女を前に、閉じた世界の住人の心の中で刻々と変化する、不信、怒り、嫉妬、動揺、確執、憎悪、秘密、暴力・・・あらゆる負の感情と緊張感が、シンプルな舞台の上でストレートに浮き彫りになる。善良さというベールの下に隠された、不快で痛々しい人の本質とは何か。侮蔑心とは何か。そして、傲慢さとは一体何なのか。
この作品は、他人事では済まねーな。

可憐なグレースの最後のあの暴れっぷり。復讐というよりは、カタルシス(浄化)であり、審判なのだろうと思います。
"目には目を、歯には歯を"で決着をつけるのではない。
"傲慢さには死を!"
神のようであり、悪魔のような振る舞い。

テーマは傲慢さ(Arrogance)。寛容、許し、協調、親切、信頼・・・あらゆる善意に鏤められた醜い傲慢さは、人の原罪とでも呼ぶべきモノであって、"人を許す"などという"行為"自体が傲慢さそのものなわけです。ほんと、他人事ではないよね。"Arrogant"と言う言葉が何度も出てくるので、しばらく頭んなかでグルグルしてましたよ。

グレースは傲慢さの象徴。その父は権力の象徴。たしかにこれはアンチ・アメリカ・ムービーなのかもしれないですが、そんなことを差っ引いてもこの映画はおもしろいのです。

そして、この映画をより理解しようと思ったら、『ドッグヴィル』のもうひとつの顔を理解しなければ、と思いました。

GRACE/グレース
それは女神の名。恩寵、恵み、感謝、そして優美さの女神。

その美しき恵みの神は、なぜ裁きの神でもあったのか。
ほぼ無神論者のさるおですが、無理矢理書いてしまいます。

裁きの神は、旧約聖書の住人ではなかったか?
だって、イエスを地上に遣わせた神様は"許しの神"だもんね。
人を裁くグレース、あんたいったい何者よー。

旧約聖書に『ナホム書』というのがあるんすよね。
神の恵みについて説明してるチャプターがあってね、「神様("主"って呼ぶのがいいの?)は恵み深くて、苦しい時にはたすけてくれる。神様に身を寄せる者を気づかってくれる」というんすね。いい人だ。
誰に向けた言葉かというと、苦しめられる者、つまり神様に身を寄せざるを得ない"弱者"に向けた言葉です。困ってる人には優しいよ、というわけ。
大事なのは、"どんな人にも"やさしいわけではないということ。
神様は、人それぞれの相違をちゃんと見ている。富める者と貧しき者、権力者と無力な者、特権のある者と何の権利ももたない者、抑圧する者と抑圧される者、内側の者とよそ者・・・その違いですね。
弱者に対する恵みゆえ、強き者に対しては厳しい審判をもって裁くというわけです。
神様の正義は、貧しくて、弱くて、脅かされていて、疎外されている人の側に公然と立つのです。

この映画に置き換えて言うならば、神の正義は、グレースの側に公然と立つ。
グレース自身の傲慢さを権力を描いた反米映画の側面と、もうひとつの側面。ドッグヴィル村の世界観は旧約聖書のそれではないかと思いました。審判のため、浄化のために、彼女はこの村にやってきたのではないか。

いや〜、いろいろ考えさせられる作品っすね。もう疲れたましたが(笑)。

そういえばニコちゃんが、「業界は年を取る場ではない。5年のデッドラインを引いたので、将来はベトナムあたりでコドモらの教師になりたい」とおっしゃっていたのを思い出します。ニコちゃん映画の仕事辞めちゃうのかな?
「人々に人生を捧げる意向だ」
本気かな。コドモに何を教えるんでしょう。ニコちゃんちって、おとうちゃんは理科の先生でおかあちゃんは看護婦さん、ニコちゃんは演劇学校出身の女優さん。えーっと、演劇史とかなら教えられそうだけど、人生を捧げる相手が"人々"ならば、演劇史っていうニーズは少なそう。

クラシックな風格のある希有な女優ニコール・キッドマン。大輪の花が、まさに咲き誇る時期に銀幕を去る、というのは英断ですが寂しいっすよー。

心ゆくまでさるお、もんち!
posted by さるお at 18:13| Comment(29) | TrackBack(33) | 映画の感想文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
うーん。おもしろい解釈ですね。
破壊者でもある神という考え方ですか。たしかに「傲慢」ということばが何度も出てきて引っかかりました。それに旧約聖書に限らず、シヴァ神の他、日本のスサノオの尊などにもそういう考え方がありますものね。

映画館で1度見ただけだったのですが、とても感動した映画です。さるおさんの文章を読んでいて、もう一度ゆっくりビデオで見てみたいと思いました。
Posted by ちんとん@ホームビデオシアター at 2005年05月01日 22:24
ちんとん@ホームビデオシアターさん
核心は"傲慢さ"と"審判"、そういう観かたでいいんだろうとは思いますが・・・じつはさるおも1回しか観ていません。さるおももう1回観たくなってきています。(2度目に解釈が変わっちゃったらどうしよう?)
Posted by さるお at 2005年05月02日 00:07
興味深く読ませて頂きました。

…なるほど。
傲慢と審判。
映画館で一回見ただけ&見た後は考え込んで異常に気分が悪くなってしまったので
そこまで考えが及びませんでした。

ちょっとさるおさんの解釈をアタマにいれて再度見てみようと思います。

メイキングの方が見られました?
Posted by チカ at 2005年05月02日 21:11
いやぁ、面白いですね。
キリスト以前の神様というのは(旧約の神様たち)、なにかというと、人々に裁きを下される方々ですが・・・この映画のグレースを、そういう存在として解釈するのはかなり目からうろこ、です。

この監督自体、これまでの作品でも、なにかというと傲慢な裁きを下すお方ではありますが・・・
その裁きが、どうでしょう・・・ぬるま湯の日本人的体質の自分には、かなりきついもんがありますね。

DOG-VILLE、犬の村。DOGを逆さにするとGODだったりするとこが、昔から気になっていたのだが。忠実な犬の村に、尊大な神の裁きを・・・個人的には、旧約の神様、なんてもんはもういらないや。と思っています。
Posted by おかぽん at 2005年05月03日 03:29
チカさん
観賞後"後味悪い"っていう人と"すっきりした"っていう人と、意見が2分してるような気がしますね。
さるおはひたすら"おもしろかったなぁ"と感心してました。
メイキングって、みんなして文句たれるやつですよね?
メイキングもまた"ドラマ"ですね。
トッド・フィリップスの『スタスキー&ハッチ』(ベン・スティラーとオーウェン・ウィルソン出演)のそれ(本編DVDに収録されている特典映像ですけど)も似てるな〜と思いましたが・・・大ちがいですね(笑)
Posted by さるお at 2005年05月03日 13:50
おかぽんさん

> DOG-VILLE、犬の村。DOGを逆さにするとGODだったりする

さるおもちょっと気になってました。犬の(ような人間の)村の話なのか、村に神様が来んのか、どっちなんだろう?って。さるおは、両方かぁって解釈しました。
人間の方も懲りないけど、旧約の神様って、ちょっとやりすぎだよね(笑)。
Posted by さるお at 2005年05月03日 13:56
TBありがとうございます(〃∇〃)
こちらの記事を読んでから観ればもっと楽しめた!と思いました!!すごく興味深いです!他のエントリも読ませていただきます(〃∇〃)
Posted by nicoco at 2005年05月03日 15:58
裁きの神という感じは確かにありますね。旧約聖書のことはよく知りませんが…。
この映画はすごい作品だと思います。凄すぎて、なかなかもう一度観ようという気になりません。でもいつまでも心に残る作品です。
トリアー監督の作品は毒がありますが、人間の極限の状況をよく描いていると思います。
Posted by ハモ at 2005年05月03日 19:52
nicocoさん
こんにちは。さるおね、こーゆーメッセージ性のある映画だと、自分なりでいいからちゃんと理解しようって思うの癖なんです。そのほうがおもしろいんだなー。
nicocoさんがおっしゃるように、エンドロールは強烈だったね。やっぱり映画って、エンドロールまでちゃんと観て、劇場が明るくなるまで、全てが作品の"部分"ですよね。
ところで、ポール好きなんですか?『キス★キス★バン★バン』のポールってすげーかっこよくない?
Posted by さるお at 2005年05月04日 03:56
ハモさん

> 凄すぎて、なかなかもう一度観ようという気になりません。でもいつまでも心に残る作品です。

さるおの感じていることと全く同じだ!さるおが1回しか観てない理由も、凄すぎて観る気にならないって思ったからなんです。
最近やっと、もう1回観てみようかなって考え始めました。
Posted by さるお at 2005年05月04日 04:00
さるおさん、通りがかりですが、とても興味深い感想文だったので、コメントしたくなりました。

『傲慢』、『裁き』

人間同士で裁く方と裁かれる方なんて……。
私は、最後のグレースの決断は、父(=権力=エデンの園の蛇)にそそのかされて追放されてしまう最初の人間(アダムとイブ)そのものに見えました。
キリスト教に限ったことではないですけどね、分かりやすいと思って例えました。

映画を見ている人が『神』の役をしているのかとも思いました。それぞれ抱いた感想が各々の倫理を自ずと照らし出す映画。

いつの世でも、人間は大小なりとも罪深いのですね。

親子の愛情、宗教戦争、結婚など。
人間の関係性に於いて、善悪やモラルなんてものは、基準があると、逆に翻弄されてしまうのかもしれません。
虚無感を抱いてしまいました。


『ドッグヴィル』はそれらを端的に切り取って見せてくれたと思いました。
考えはじめる切っ掛けの作品として捉えると良い映画だと思いました。
Posted by oioi at 2005年05月04日 20:34
oioiさん
人が人を裁くというのは所詮無理な話だと思います。その社会のおおまかな常識に見合った、ある方向からの判断で、ある程度秩序を保つという意味では司法機関はそれなりに機能していますが、神様の代役は無理ですよね。
この映画を反米映画ととらえれば、アメリカの"権力"や"正義"や"軍事力"を擬人化している、ということになるのでしょうが、さるおは、グレース親子はもともとこの村を試しにやってきた神様なんだなぁと思いました。そして同時に、許し続けるグレース自身が傲慢であり、神を創造(想像)した人間の傲慢さが描かれているこの作品を観て、すべては人の傲慢さが創り出した物なんだと思いました。

> 善悪やモラルなんてものは、基準があると、逆に翻弄されてしまうのかもしれません。

常識というのは、多数の意見というだけで、正義ではありませんよね。常識があるから非常識と言われたり、倫理があるから不倫という概念ができただけのこと。自分自身がそれに翻弄されたり、それに照らし合わせて物事を判断したりしないように、しっかりしなきゃと思います。

oioiさん、貴重なコメントどうもありがとう。よかったらいつでも遊びに来てね。待ってます。
Posted by さるお at 2005年05月06日 10:07
トラックバック、ありがとうございます。

私はこの映画を観た後、2,3日引きずりました。
グレースの傲慢さに我慢ならなかったのか、村の住民の変貌振りがショックだったのか。

さるおさんの解釈、興味深く読ませていただきました。
グレースの名の通り、神として村人を試しにやって来た…。確かに映画としてその狙いはあったのかもしれません。
でも私はもっと人間の本質を照らし出すことが目的であってほしかったので、あのエンディングは単なる反米映画だったのかとガッカリしました。
最後に至るまでの緊迫感が嘘のようにあっさり引導渡してしまったので、神と言うよりは水戸黄門に見えました。

私は無神論者なので思うのですが、わざわざ善良な村人を試すような神様なんて…、それこそ傲慢です。
最後まで傲慢だったグレースが神の代理だなんて、面白い解釈だと思いました。

>映画を見ている人が『神』の役をしているのかとも思いました。それぞれ抱いた感想が各々の倫理を自ずと照らし出す映画。

人によって解釈が異なるという点において、oioiさんの感想はすごくピッタリきました。
Posted by kettle at 2005年05月07日 22:10
TBありがとうございます♪
裁き感ありますよね。おかげで非常にすっきりしたんですが、これですっきりしてしまうという自分も恐ろしかったです。なんとも複雑な気持ちにさせてくれる映画でしたよ。
信仰のことはよくわからないけど、以前読んでおもしろいと思ったギリシャ神話の神々もかなり傲慢でした。私はてっきりこの映画はギリシャ神話をベースにしてると思ってましたよ。旧約聖書にもこういうお話があるんですね。ちょっと読んでみたくなりました。
Posted by 烏龍 at 2005年05月09日 00:33
kettleさん

> 私はもっと人間の本質を照らし出すことが目的であってほしかったので、あのエンディングは単なる反米映画だったのかとガッカリしました。

ラース・フォン・トリアーって神様気分な監督ですよね。裁きたがり屋さんなので"負"の側面ばかり描くんでしょうか(笑)・・・とにかく、人間の本質を、率直に描けていたと思います。"単なる"反米映画でもないように感じましたよ。

> 私は無神論者なので思うのですが、わざわざ善良な村人を試すような神様なんて…、

さるおも無神論者に限りなく近いですが・・・
あの村人たちはぜんぜん善良じゃないですよね。

> それこそ傲慢です。

そうですね、それがこの映画に描かれていることですね。

謎解きではないので正解を求める必要はないと思います。『ドッグヴィル』は光のあて方しだいで異なる風景に見える村なんだと思います。
Posted by さるお at 2005年05月09日 02:28
烏龍さん

> 非常にすっきりしたんですが、

すっきりした方ってきっと多いと思います。あの可憐なグレースが、ものすごい暴れっぷりでしたもんね。

> 以前読んでおもしろいと思ったギリシャ神話の神々もかなり傲慢でした。

さるおはギリシャ神話はあんまり詳しくないんですが、わかる範囲で考えても、神様って傲慢だよね!
それに、とんでもなく失礼だったり(笑)、罪も犯すし、反省とか後悔とかもするし、まるで人間。昼メロみたいに話が展開してびっくりしますよね。

神様とか神話って、その地域とか時代のニーズにあわせてあるんだろうな、なんて思います。ドラマが必要だったり、規律が必要だったり、許しが必要だったりね。

> 私はてっきりこの映画はギリシャ神話をベースにしてると思ってましたよ。

それも合ってるんだと思う。ギリシャ神話で理解する方がいいのかもしれないな、と思いました。

旧約聖書の神様も、人間を勝手に試して(失礼な!)過剰に罰して(むごい!)いるような・・・でも人間側も負けずに懲りずに傲慢なので、いい勝負だなと思いました。
Posted by さるお at 2005年05月09日 02:50
>神様って傲慢だよね!
それに、とんでもなく失礼だったり(笑)、罪も犯すし、反省とか後悔とかもするし、まるで人間。昼メロみたいに話が展開してびっくりしますよね。

そうそう。そんなところがとても人間らしくって魅力的です。それに、そんな神様みてると考えさせられます。人間作った神様がこんなですから…。(実際は人間が神様作ったんですが。)
反米映画であることも含めてこの映画をみると、これが人間の性なのかと思い、虚無感におそわれますね…。
Posted by 烏龍 at 2005年05月09日 10:56
烏龍さん

> 人間らしくって魅力的

わかるわかる。神様って人間らしい。すべては、傲慢な人間の傲慢さが創り出した物、神様だって例外じゃないです。もうドロドロ(笑)

虚無感かぁ・・・ぐったりくる感じ、ありますもんね、この映画。さるおが感じたのも似た感覚だったと思いますが、ぐったりと同時に、痛いな、って思いました。ドッグヴィルはどこにでもあって、さるおもドッグヴィルの住人だから、本当のことを見せられて苦しかったんだと思います。
Posted by さるお at 2005年05月09日 21:39
>あの村人たちはぜんぜん善良じゃないですよね。

グレースさえ現れなければ、ドッグヴィルの住人達はいたって善良な人々だったと思いますよ。普通に人生を送って、自分の中にあんな凶悪な人間性を持っていたことにも気付かずに人生を終える。

私にしても、あんな集団状況下ならどんな行動をするやら想像できませんもん。

神様は気まぐれですよね。
Posted by kettle at 2005年05月11日 00:50
> グレースさえ現れなければ

おもしろずぎる!
思い切った発言ですね。映画がなくなっちゃうよ。
Posted by at 2005年05月11日 04:02
kettleさん

グレースがいなければよかったのに、という話はたしかにちょっと思い切りがいいですねぇ(笑)
人の性質としての善し悪しを論議するんであれば、○○さえいなければ、という前提の違いで結果が変わるのは少し変な感じがします。自分の凶暴性に気づかなければ善良である、というのはちょっと・・・

『男はつらいよ』だって、いつも旅に出ている寅さんが、たまに帰ってくるから"とらや"をとりまく人々の均衡が影響を受けちゃうんです。それでいいんじゃないですかね。
Posted by さるお at 2005年05月13日 04:10
こんにちは〜さるおさん。
こっちに来るのが遅くなってゴメンナサイ。
トラックバックありがとうございます〜!

まさに底なし沼のような映画でしたね。

観る者すべてにいろいろな顔を見せる。人それぞれ抱く感想は違っていて解釈もさまざま。何が残ったかはその人その人によって微妙に違う…

でもたぶん、これが正解!ということが大切ではなく、何を感じたか…自分の心に耳をすますことをさせたい映画じゃないかなぁ〜と思います。

グレースはキリスト教文化圏の神を下敷きに描かれていた、と私も感じました。そしてやはり神のではなく、さるおさんのいう人間の”傲慢さ”がグレースも含めて(!)誰にとっても他人事ではなかった…そこが気に入った映画デシタ。誰一人として自分は無関係だ、と棚に上がることは許されない、厳しい映画。

グレースが被害者のままでなく権力を行使して復讐をした結末(村人と同じように、或いはそれ以上に”暴力”にうったえる)。

賛否も多い、キツくツライビックリな展開でしたが、あの場面を省くことはできなかったでしょうね。…あの行動の是非も考えてしまうけれど、そもそも是非を問うこと自体、私にできるのだろうか…?ということも強く感じました。

人が人を裁くことの難しさ。
正義の暴力…(『デッドマン・ウォーキング』も思い出しますね)

うう〜ん深い。
でも、監督には感謝の映画でした。
かなり重いけれどね。
たまにはいいかな(笑)
Posted by ヨウヨウ at 2005年05月16日 14:06
ヨウヨウさん
来てくれてありがとう!

> まさに底なし沼のような映画でしたね。

ほんとにそんな感じでしたねー。

ドラマ系の作品は、人それぞれ解釈と感じ方が違っていいんだと思います。そうやってバラバラな感受性の人間の集合体(自分たち)が作り出すものこそがドラマで、我が事だからこそ、考えさせられるし、溜め息も出ちゃうし、痛々しいんですよね。そこをストレートに、歯に衣着せずに描いたのがこの作品ではないかと思います。

> 誰にとっても他人事ではなかった…そこが気に入った映画デシタ。

さるおもそこが気に入ったんだ。自分のこと、ほじくり返されたなって思って、おっかないと思った。

ヨウヨウさんがおっしゃるグレースの"復讐"、賛否を問う類いのものではないですよね。さるおも、あの場面は省けないなぁと思います。

『デッドマン・ウォーキング』またじっくりと観たくなりました。暗いな(笑)
Posted by さるお at 2005年05月16日 17:29
初めまして
前々から気になっていたドッグヴィルを観て、
感情を持て余してというか、複雑な気持ちをどうしたものかと思い、
ネットをウロウロ…

第9章を繰り返し観ました
どう傲慢なのか、何が傲慢なのか?
どこで攻撃に転じたのか?
無防備だったのは、匿われているからではなく、
赦している…それは傲慢なのかな?と
女性にとって性処理の扱いを受けるというのは、かなりくるハズ しかも首輪付き
それでも赦せるのだろうか?と不思議でした 
人間の尊厳は?と思って観ていました
で、あの父親の「いいことか?」
苦しい環境で必死に生きている村人には同情しても、グレースにした行いは「いいことか?」
それを誰も嫌な思いしながら肯定している状況は
「いいことか?」「お前を愛してるか?」
これに凝縮されてるんでは?と思いました
相手を思っての辛い仕打ちでもなく、弱い者への
鬱憤ばらしを赦しだと思っていたグレースは、傲慢というより滑稽かもしれないな、と…
だから、あのラストなんだろうな、と感じました

あの月明かりに照らされるシーンが一番好きですね
今まで、そう感じませんでしたが、ニコールが女優として力を見せてるな と思いました
『デッドマン・ウォーキング』も、これまた重い…色々考えさせられる映画ですよね
こういう映画は気持ちのしっかりした時にしか観られないから…
『モンスター』は当分お預けだな
Posted by at 2005年06月19日 23:29
TBさせていただきました
&TBありがとうございます!
すばらしい解釈の感動というか
びっくりしました!!!
神様につながっているとは!!!
参考になりましたありがとうございます。
Posted by ケイティ at 2005年07月21日 16:32
6月19日のビジターさん

> 赦している…それは傲慢なのかな?
> 人間の尊厳は?

なんとなく、"ゆるす"と"ゆるしてあげる"の違いを感じる作品でしたね。命に尊厳はあっていいけれど、"人間の尊厳"と考えるならば、それとはずいぶん離れたところにある映画だなぁと思いました。
この作品には"いいこと"や"愛"が出てきませんね。

> グレースは、傲慢というより滑稽かもしれないな、

これはわかる気がします。グレースだけではなく、皮肉に満ちた作品のすべてが、滑稽だったように思います。
Posted by さるお at 2005年07月23日 21:53
ケイティさん

『ドッグヴィル』は解釈がおもしろいですね。読み込んで自分なりに解釈して見極める、そういう類いの作品ですよね。さるおも、"理解しなければいけない作品"はがんばって考えることにしています。観て楽しむ映画だと、まるで頭が働かず、雄叫びあげたり爆笑してるうちに終わっちゃうんだけど(笑)
Posted by さるお at 2005年07月23日 21:58
お久しぶりです。
レンタルで観たのですが、なんとも言えない斬新な映画でしたね・・・
テーマはおおいに興味がありますが、疲れました・・・(笑)
Posted by blue at 2005年08月03日 20:08
blueさん
たしかに疲れるね。物語は痛々しいわ、自分も怒られてるみたいだわで(笑)、ぐったりしました。
Posted by さるお at 2005年08月04日 22:27
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Excerpt: 「ドッグヴィル」レンタルで観る。うは〜っ・・・・・なんという映画だろう!(u_u:奇抜な演出、奇抜なストーリー、奇抜な展開、そして奇抜なラスト・・・二コール・キッドマンはこの役をとてもやりたがっていた..
Weblog: 誰もが十字架を背負っている
Tracked: 2005-08-03 20:06

『ドッグヴィル』(☆☆☆☆)
Excerpt: いや〜、何か強烈な映画だった・・『ドッグヴィル』。 途中までは、今年のワーストムービー『キングダム・オブ・ヘブン』を 超えるのではないかというくらい、嫌な展開だったんだけど、 終わってみたら☆4つ..
Weblog: ど風呂グ
Tracked: 2005-08-09 22:09

【審判の日】「ドッグヴィル」/ラース・フォン・トリアー
Excerpt: 醜悪なカタストロフ  ベルトルト・ブレヒト(Eugen Berthold Friedrich Brecht;1898-1956)の三文オペラに、「海賊ジェニー」という劇中歌が登場する。 皆さ..
Weblog: Augustrait
Tracked: 2005-08-14 03:45

ドッグヴィル(DVD) 
Excerpt: 審判の日がくる。 CAST:ニコール・キッドマン/ポール・ベタニー/クロエ・セヴィニー/パトリシア・クラークソン 他 ニコール・キッドマン主演としか知らずに借りたらビックリ! まず時間にビックリ..
Weblog: ひるめし。
Tracked: 2005-09-12 20:55

『ドッグヴィル』 ラース・フォン・トリアー監督
Excerpt: 鬼才トリアー監督が造った、「地味な日常から表面的な落ち着きを剥ぎ取り、その奥に潜むどろどろした人間の本性を裏の裏の裏まで引きずり出して見せつける」入魂の一作。日本では「いやぁ、すんげー激濃で重い..
Weblog: ~Aufzeichnungen aus dem Reich~ 帝国見聞録
Tracked: 2005-11-22 00:58

ドッグヴィル
Excerpt: DOGVILLE レンタルDVD ¥420 2006/4/1 うひい! こりゃ...
Weblog: メディア見たもん負け!☆pop270
Tracked: 2006-04-12 01:10

ドッグヴィル/ラース・フォン・トリアー
Excerpt: 白線で区切られただけの空間が村を表現しています。人間の傲慢さや残酷さを強調する異様な映像。それはまさに社会の縮図でした。 田舎の小さな村に突然現れた美しい女性グレース(ニコール・キッドマン)。平..
Weblog: 文学な?ブログ
Tracked: 2006-06-06 00:42

真・映画日記『ドッグヴィル』
Excerpt: 7月21日(金) 朝、相当眠かったのか? 日記の日付を20日と書かなければいけないところを21日と書いてしまう。 後で日記を見て愕然とした。 朝の更新はいつも眠い中でやる。 誤字脱字がち..
Weblog: CHEAP THRILL
Tracked: 2006-08-15 19:03

DVD「ドッグヴィル」
Excerpt: あまりいい評判を聞かなかったこの作品。 そういう作品って、やっぱり映画好きとしてみると観ない訳にはいかないのですよねぇ??。 チョークで道路に書いたイタズラ書きのようなドッグヴィルの町並み。セ..
Weblog: ☆ 163の映画の感想 ☆
Tracked: 2006-09-24 11:04

真・映画日記『ドッグヴィル』
Excerpt: 7月21日(金) 朝、相当眠かったのか? 日記の日付を20日と書かなければいけないところを21日と書いてしまう。 後で日記を見て愕然とした。 朝の更新はいつも眠い中でやる。 誤字脱字がち..
Weblog: CHEAP THRILL
Tracked: 2006-09-27 22:11

ドッグヴィル
Excerpt: 賛否両論のこの映画。 私の本業である、役者の先輩が 「役者なら見ておいた方がいい」と言うので 見てみることに。 「ダンサー・イン・ザ・ダーク 」のラース・フォン・トリアーが監督なんですよね..
Weblog: 映画、言いたい放題!
Tracked: 2008-12-14 13:05

映画評:ドッグヴィル
Excerpt: ドッグヴィル。 その町はロッキー山脈の麓に置かれ、廃坑になった銀鉱山で道は行き止っていた。 町の中央通りを&ldquo;楡通り&rdquo;と呼んだが、そこには楡の木は一本もなかった。 どの家も..
Weblog: 映画と写真のブログ
Tracked: 2009-03-13 16:20

ドッグヴィル/Dogville(映画/DVD)
Excerpt: [ニコール・キッドマン] ブログ村キーワードドッグヴィル(原題:Dogville)キャッチコピー:美しき逃亡者があらわれ、一つの村が消えた。審判の日がくる。製作:2003年(デンマーク)配......
Weblog: 映画を感じて考える〜大作、カルトムービー問わず映画批評
Tracked: 2010-01-11 15:42
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