『BLOOD DIAMOND/ブラッド・ダイヤモンド』を劇場で観たよ。
監督は『SHAKESPEARE IN LOVE/恋におちたシェークスピア』『TRAFFIC/トラフィック』『I AM SAM/アイ・アム・サム』『THE LAST SAMURAI/ラストサムライ』のエドワード・ズウィック(Edward Zwick)。
出演はレオナルド・ディカプリオ(Leonardo Wilhelm DiCaprio)、ジャイモン・フンスー(Djimon Hounsou)、ジェニファー・コネリー(Jennifer Connelly)。
まず、さるおがすごく確信したことですが、これはロードムービーですね。
ダニー・アーチャーとソロモン・バンディ、育ちも職業も価値観も道徳心も、何もかもが違いすぎるふたりが、旅をする。ずっと、ずっと、過酷な道を、どこまでも旅する。
後半になってマディと別れ、ソロモンがダニーに「Yes, boss.」と言ったあたりから、苦しいほどに加速するロードムービー。友情とよぶにはあまりに静かで激しく切ない、特別な絆が生まれます。
だから、なんちゅーか、きっつい話なんだけど、ものすごい爽やかな作品。
ダニーはいわゆる"死の商人"なわけですが、その裏側に、わずか9歳で人間性を根こそぎ剥ぎ取られたという残酷すぎる過去を持ってます。きついっす、こりゃかわいそうだ。9歳の子が、母親をレイプされ殺され、父親は首を切られて木に吊るされた、それを見るなんて、だめだよ。この作品はフィクションだけど、その現実はノンフィクションです。アフリカ大陸で、実際に起きている。そんなの、だめなのに。いや、たぶん本当はもっとむごいことが起きている。この作品でもコドモがマシンガンを乱射して人殺しするシーンが何度も出てきます。コドモらが、クスリ漬けにされ、狂気などという言葉では表現できないような試練を与えられ、果てには村人を皆殺しにしろと命令される、泣き叫ぶ自分の家族の身体を切り刻めと命令される。そんなの、だめなのに。
泣けますねー。
一方で、絶体絶命の状況になっても嘘がつけない"善人"として登場する漁師ソロモン。ジャイモン・フンスーはすげーっす!家族を奪われた男の魂を引き裂く悲痛な叫びが、息子を取り戻そうとする鬼気迫る執念が、素晴らしい!まいった、と思いました。
ダニーにとってそのダイヤは、救いのない現実から脱却するための最後のチケット。ソロモンにとってそのダイヤは、家族を取り戻すためのなけなしの切り札。マディにとってそのダイヤは、暴かなければならない真実の証拠。
思い切ってさるおの希望を書いてしまうと、最後に、最後の最後に、"それはダイヤではなかった"んだとよかったな。
ということで、"漁師"が本物のダイヤを見分ける目を持っていて、特大のを見つけ、隠す勇気があって、適材適所な人々が出会い、苦労の果てにだけどダイヤは無事2億円以上のキャッシュに変わります。つまり、紛争ダイヤが闇で覆った過酷なシエラレオネの、これでも"いちばん運のいい人々"を描いている。おそらく、真実は、むごすぎて描けないから。
神は、とうの昔にアフリカを見放した。神は、人の行いを赦すだろうか。
ダニーはアフリカ大陸から逃れようと死に物狂いで戦い、そして最後に、自分がアフリカの一部であることを知るんですね。
心ゆくまでさるお、もんち!
はっきりいいまして、かなり侮ってました。
宣伝用でよく見かける画像がいけないのだと思うのですが、もっとドンパチばかりしてる映画だと思っていました。
想像以上にキャラクターそれぞれが練られていて、すごく感動した作品です。
さるおさんのレビューを読ませていただいて、そのときの悲しさとか感動がよみがえってきました。
たしかに、予告観たらドンパチ映画っぽいねー。
> 想像以上にキャラクターそれぞれが練られていて、
特にダニーの背景はしっかり語られててよかったっす。彼も必死なんだと、ひどい目に遭ったんだと、そう思ったら泣けてきました。
本当は、これが現実、これよりひどいことが起きている。神は、とうの昔にこの世界を見放した。そう思う。哀しいっす、人の世は。