『THE BRAVE/ブレイブ』を観たよ。1997年、大好きなジョニーの借金をこのわたくしが少しでも返そうと、劇場で観たよ。
監督はジョニー・デップ(Johnny Depp)、脚本もジョニー・デップ、出演もジョニー・デップ。
共演者は1995年に『DON JUAN DEMARCO/ドンファン』でもジョニーと共演したマーロン・ブランド(Marlon Brando)と、『THE HONORARY CONSUL/愛と名誉のために』(主演はリチャード・ギア(Richard Gere))という劇場未公開作品が案外評判のいいエルピディア・カリーロ(Elpidia Carrillo)。

この映画は、ジョニーの最初(で最後かもYO!)の監督作品です。がんばったよな、デップ、あんたはえらかった。が、思ったほどにお客は入らず、一瞬にして借金まみれになったのでございます。
日本で公開するするころには早くも"ジョニー首がまわらず"っていうリアリティ溢れる噂が聞こえておりましたので、さるお、劇場行ったよ〜!
そしたらね、意外や意外(意外でいいのか)、感動作でした。
単館上映だからお客の絶対数が少ないのはしょーがないとして、劇場がすいているのに腹が立った覚えがありますな。さるおはジョニーが大好きなので、なんでみんな観に来てやらねーんだ、ニッポンのジョニデ(←当時はまだ略してなかったかも)ファンはなにやってんだ、人気ねーのか、まだまだか、って歯がゆい気持ちになりましたよ。
ジョニデ〜♪キャ〜♪なんつって恋をしているファンが増えた今なら、顔見たさにお客も入るんだろうか。なぜならこの映画のジョニーはめっぽう美しい。『DON JUAN DEMARCO/ドンファン』のジョニーも美しかったが、『THE BRAVE/ブレイブ』の方がやばい。やばいてー(笑)。恋に落ちますな。あとね、エルピディア・カリロがジョニーに負けないものすごい美しさ。恋に落ちますて。
では、ジョニーが撮った、ジョニーが美しい映画、つまり、ジョニーのジョニーによるジョニーのための映画か?というとそうでもなくて、もう少し深いっすね。
この映画には3つの側面がありそうです。
ジョニー・デップにはネイティヴ・アメリカンの血が流れていて、ジョニーもそれを気に入っています。たしかにジョニーの顔は少しエキゾチックで、ネイティヴ・アメリカンらしい強さがある。
この映画は、家族に金を残すため、自分の命を売る覚悟を決めたネイティヴ・アメリカンの青年ラファエルの、最後の7日間家族孝行を描いたドラマ。なんだかやるせない話っすねー。社会から冷遇され貧困にあえぐネイティヴ・アメリカンを記憶に残すための"記録"だということっす。
もうひとつは、愛の物語だということ。家族のために、家族に残すお金のために、自分の命を売る。自分はもうそれで死んじゃって終わりなんだけど、生き残る家族にはできるだけ多く役に立つものを遺したい。最期の7日間は、おっかなくて迷うけれど、家族にはそんな素振りを見せずにできるだけたくさんの思い出と愛を健気に残そうとするわけです。
主人公ふたりが美しすぎるので恋愛の話のように見えるシーンがかなり多いんだけれども、純然たる家族愛の物語っすよね。
そして、例えば現代の日本にも通じる"お金のために死ぬ"という発想の、もっとも極端な例なわけです。
自分が使うお金のためじゃなくて家族に遺すお金のためだからね、"生命保険に入る"というのをある意味で説明しているわけです。ただし、"自分が死んだら"という受け身の防護策ではない。待っていないでお金を取りに行く、という能動性がなんとも切ない。
保険金殺人は別としても、自殺と、自ら殺される(『ブレイブ』はこれね)というのは広義(自分の選択という意味)において同じなんだよね。
『ブレイブ』は世界中の誰にとっても他人事じゃない作品。
なんで映画館がすいてんだ。
目のつけ所は最高だったのに、デップ、おまえは何に失敗したんだ。人気がないのか。そうなのか。(大粒の涙)

ここから先はストーリーを交えつつ、さるおが軽〜く泣いたことをご報告いたしますよ。
明日の糧を得るため仕事を探し続けるラファエル青年が古いビルの一室である取引を持ちかけられる。
ホンモノの殺害映像を観せるスナッフ・ムービーにあなたも出てみませんか?
出演料は5万ドル。
出ないかもクソもない。出演て。殺されますから。
家族と過ごす残された時間は1週間。あらかじめもらってきた3分の1のお金で、ふたりの子供フランキーとマルタのために庭に小さな遊園地をつくる。奥さんのリタは最初、どっから出てきたカネだい?なんて不信がっていますが、だんだんと、やさしすぎる夫に、何か良くないことが起きそうで、寂しくなったりし始めている。村は大企業の買収に合い立ち退きが迫られていて、ラファエルは息子フランキーに、もし自分がいなくなってもおかあちゃんと妹を守れよ、なんつって、わたくしはだんだんと泣きたくなってきているわけです(笑)。
祭りの日、ラファエルはリタに愛を語るんすね、これじゃまるで最後みたいで哀しいじゃん。ほとんどバレバレっすよ。
迷いはあっただろうか、それとももう決めたのだろうか、こわいだろうな、でも愛する人にはそういうリアルな話はもちろんしなくて、自分ひとりで抱えたままで、あのビルに行くんだろうな。
ラファエルにはかつての犯罪仲間がいてね、カネ貸してくれよぅ、なんて来ても追い返したりなんかしていると、そいつが腹いせに家族を襲ったりしてね、ちょっとした事件になる。怒ってそいつをぶち殺すことになるんだけどね、このときのジョニーの表情がいい。素晴らしくいい怒りっぷりっす。なんつったって自分は命を捨てることを決めてるんだから、強いっすよね。
これから死にに行く人間には、いろいろとやることがある。老父んとこでネイティヴ・アメリカンが伝えてきたスピリチュアルな瞑想をやってみるとか、神父をたずねて懴悔して、自分の命の値段5万ドルで家族と村を救ってくれるように頼んどくとか。
さて最期の日の朝、ラファエルはいつものように、ただ出かけて行く。わたくしはどんどん泣いていますよ(笑)。子供たちと妻にキスをして、ただ出かけて行く。落ち着いて静かに、死に場所に向かう。
もう決めたんだもん引き返せないよね、こわいだろうな、今はもう落ち着いているといいけど。ここまで来たらもうしかたがない、早く撮影が終わればいいな、楽に死ねるほうがいい。映画だもん、そういうわけにもいかないのかな。やっぱり自分ひとりで抱えて行っちゃった。早く楽になるといいね。結局わたくしは相当に泣いているのでございます(笑)。
さるおの好きな絶望的な話。見ごたえのあるいい作品っす。初めてにしてはいいシゴトしたと思うんですが、はやり人気が・・・。いえいえ、わたくしはあなたを応援しますよ。
心ゆくまでさるお、もんち!
ありがとうございます。これ観ます。
こんな映画だったとは知らなかった。
今までスルーしていた事が悔やまれます。
心ゆくまで観ます。でわ、股。
私が奥さんだったら、貧しくても旦那と一緒に居たいなぁ。
残された方は切ないよ。そう思って泣きました。
夕日の中でのラブシーンも、美しかったです。
うっとり。
って、最近キアヌ・リーブスの「コンスタンティン」を見たときに、クリスチャンの自殺に対する罪については知ったのですが。
日本人がときには歌舞伎や映画で美学みたいに心中のストーリーを扱ったりしているけど、それも外国の人には伝わらないこともあるようです。ニュースで親が子を連れて自殺することを「心中」という言葉を使うけれど、アメリカ人のデイブ・スペクターは、「はっきり殺人と言うべきだ。」と言ってました。
それにしても悲しい話ですよねぃ。お金をもらうために死ぬなんて、何のために生まれてきたのかわからなくなるじゃないですか。
ジョニーの優しげなだったり悲しそうな目を見るたび辛くなります。うぅ。
でもまだ借金ってあるんですか。さるおさん、相当な情報通ですね。面白いジョニデ情報あったらまた教えてくださいね♪
そういえば9月5日でしたっけ、ジョニデが六本木ヒルズでレッドカーペット敷いてなんだかレセプションがあるみたいですね。
ジョニーのファンはともかく、それ以外の人はスルーしていてもおかしくない、冷静に考えれば"まぁまぁ"な映画というか、一般受けはしにくい映画だぞ。脚本まで書いて意欲作だし、初監督にしてはいい仕事だと思う。(さるおは泣いたけど、ま、泣くほどかどうかはともかく)感動作なのも間違いないし。
スナッフ・ムービーっていうタブーの世界を、リアルに哀しい映画に持ち込んでいるところはおもしろいねー。
> 私が奥さんだったら、貧しくても旦那と一緒に居たいなぁ。
そりゃそうだよねー。残る側にとっては、ものすごく切ない記憶になっちゃうよね。
> 夕日の中でのラブシーンも、美しかったです。うっとり。
うん、それわかる。うっとり映画の典型的なシーンだね。
哀しいけれど、基本的には、あの夕日のシーンみたいに美しい愛の物語。観てよかったなーと思います。
さるお、ジョニー大好き!
敬虔な(?)カトリックのみなさんにとって自殺って悪いことなんだろうね。自殺を美しいとは思わないけれど、『ブレイブ』で描いてるのは"愛"とか"生活"の方で、それは美しいよね。
"心中"っていう発想は日本独自のものなの?
「はっきり殺人と言うべきだ」って、たしかにそうなんだけど、やっぱりひとくくりにはできないよなぁ。
> お金をもらうために死ぬなんて、何のために生まれてきたのかわからなくなるじゃないですか。
ラファエルにとっては、ラファエルの唯一できること、殺されるかわりに愛する者にせめてお金を残せることのために生まれてきた、そんな覚悟があったかもしれません。だから、生まれてきた意味くらいはあった、そう思って決めたんじゃないかな。
いずれにしても哀しいよね。ため息出るね。
> でもまだ借金ってあるんですか。
さすがに現在は借金返し終わってると思います(笑)。この程度の映画(この程度の借金って意味ね、ビッグな俳優使っちゃったとか、特撮がすごいとかじゃないから)だし。
> そういえば9月5日でしたっけ、ジョニデが六本木ヒルズでレッドカーペット敷いてなんだかレセプションがあるみたいですね。
お〜、もうすぐだね。会いたいな。できれば(できないってば!)じっくり話込んでみたいな。
私はジョニー・デップが好きで観たのですが、
ストーリーは一般的にはちょっとウケない内容かなぁ、という感じでした。
スナッフ・ムービーという設定はすごいのですが、前半では微妙に分かりにくかったです。
(私だけかもしれませんが。笑)
でも後半にいくにつれて、だんだんラファエルの感情が伝わってきて良かったです。
そういえば、ジョニー・デップが来日していますね♪
そうねー、一般ウケはしないよねー。スナッフ・ムービーって超過激なのに、映画のトーンは淡々と静か。そこにリアリティを追及したんだと思うけど・・・一般ウケはしないよねー(笑)。
後半はもうせつないばかり。哀しい結末であっても、これがラファエルの愛し方か〜って、泣けてきました。
ジョニーの来日、10年ぶり?
年を追うごとにかっこよくなっているぞ。