2008年03月20日

映画鑑賞感想文『変態村』

さるおです。
『CALVAIRE/変態村』(THE ORDEAL)を観たよ。
ベルギー・フランス・ルクセンブルグの映画です。
監督・脚本は、またもや怖そうな『Vinyan』にとりかかっているファブリス・ドゥ・ヴェルツ(Fabrice Du Welz)。
出演は、マルク・ステヴァンス役に『POLA X/ポーラX』のローラン・リュカ(Laurent Lucas)、バルテル役に『BRODEUSES/クレールの刺繍』のジャッキー・ベロワイエ(Jackie Berroyer)、ロベール・オルトン役に『HAUTE TENSION/ハイテンション』で殺人鬼だった『CARNE/カルネ』のフィリップ・ナオン(Philippe Nahon)。

ぐちゃぐちゃに気味悪く意味不明におぞましい閉鎖的サイコ映画、ひゃっほーい!
なんだこの話は!と思ってびっくらこけましたね。監督さん、気は確かかと。
しかしまぁ、ぶっちゃけ、こりゃ『三枚のお札』っす。日本の昔話そのもの(笑)。
道に迷った旅人が一夜の宿を借りようっちゅーと親切に泊めてくれるんだけど、それだけじゃ済まない。逃がさないぞと、そーゆーことです。

閉鎖的も何も、完全に隔離された不思議な村が舞台。閉ざされたその村は、あたかも何百年も閉ざされた家のように、つまり近親相姦を繰り返した人々の館のように、常軌を逸した人々によってすっさまじい狂気を隠している。完全にイカレテますわー。
そこにやむなく現れる突然の来訪者マルク。彼だけがまともです。が、彼が引き金となって、恐ろしい狂気が加速していく。バルテルの、歪み切って異常に暴走した愛(支配)が襲いかかる。
何日も囚われてから彼は必死こいて逃げます。途中、氷の湖にその狂気を沈めて、ついに逃げる。

衝撃的なのは、序盤の、バルテルの忠告を無視して散歩に出たマルクが近くの村でものすごい光景を見てしまうシーンかな。

思えば、各地を巡るキャバレーシンガーのマルクがこの作品のオープニングでショーをしていた街、あそこも同じでした。そこがおもしろい!
彼が旅する先々には異常な人々が常にいる。彼の逃避行には終わりがないのかもしれんです。単なる狂気映画ではなく、"あるひとつの舞台で起きる呪われた惨劇"にとどまらない、連続する異常性。逃れられない倒錯。あの村が呪われているのではなく、彼が背負っているのだと、そこがええですわー。おもしろかったです。

心ゆくまでさるお、もんち!
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2008年03月11日

映画鑑賞感想文『不都合な真実』

さるおです。
『AN INCONVENIENT TRUTH/不都合な真実』を観たよ。
監督・脚本は『TRAINING DAY/トレーニング デイ』のデイヴィス・グッゲンハイム(Davis Guggenheim)。
出演は、アル・ゴア(Al Gore)

賛否両論あると思います。
地球温暖化は本当。わたしも何かできることをやらなきゃ。地球を守らなきゃ。
地球温暖化は本当。でも、プレゼンでは不都合なデータは隠しておくもの。壊滅的な状況にはならない。大統領になり損なったゴアは手法を政治から映画に変えただけで、やっぱり結局センセーショナリズムに走った政治だ。
あるいは、地球は温暖化などしていない。

これについてさるおがどう考えているかというと、これは非常に長い話になります(笑)。
人間が好き勝ってやりすぎなのは真実だと思う。けど、「地球を守るために何かしろ」というのは環境と引き換えに儲けている人に言ってくれ、さるおの小さな1歩はほんとに小さいぞ、やらなくてもいいくらいに、と思います、よく考えた末に。怒られそうですが(笑)、くれぐれも、よく考えた末に、です。

ところで、ものすごい完成度の高いプレゼンテーションで、衝撃的な映画なのは間違いない。このプレゼンというのはさるおにとってはとても懐かしい世界っす。リーマン時代、英語のプレゼンは日常的でしたねー。
アル・ゴアさんはうまい。ま、あたりまえなんですが。
立ち方、服装、姿勢、手の動かし方、目線、表情、話すスピード、語気、抑揚、あんたは完璧。惚れ惚れするようなプレゼンですよ。あーゆーふーにできないもんなんだよなぁ。
スティーブ・ジョブズ(Steven Paul Jobs)さんとかもうまい。ま、あたりまえなんですが。

ということで(なにが)、作品が提起する問題の中身についての考察はここではやめておきます。また別の機会にね。
もっともっと偏って情報不足で歪んだ啓蒙活動が山ほどある中、この作品(プレゼン)は価値があると思います。地球について、環境について、未来について、多くの人々が賛否両論持つことができたということに、この作品(プレゼン)は甚大なる功績を残したと思います。素晴らしいっすね。

心ゆくまでさるお、もんち!
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2007年11月18日

映画観賞感想文『SAW IV』(ネタバレなし)および完全解読とまさかの『SAW V』予想

さるおです。
見えるところにネタばれは書きません。これからご覧になる方は、リンク部分(オレンジ色の文字)もクリックしないようにしてください。
ネタばれコメントは大歓迎です。これからご覧になる方はコメント欄にも気をつけてねー。
"ネタばれてもいいから続きを読む"をクリックすると(あるいは反転文字の部分)、思いっきりネタばれた上に完全解読&『V』予想が読めます。


まずはよかったと思ったことを書きます。
ジョナサン・クレイマーには泣けました。悲劇と屈辱と怒りと淋しさと、そーゆーものが形成した彼のパーソナリティが掘り下げられて、あまりの感動に、さるおも弟子入りしそうです。
そして、大好きなブタマスクのルーツがわかって、あまりの感動に、さるおもかぶりそうです。
あとは冒頭、ジョンのヒゲが伸びているのがよかったです。

次に本音を書きます。
ソリッド・シチュエーション・スリラーから逸脱しました。ただのクライム・サスペンス。
"ただの"ということは、おもしろくなかったです。さらに"サスペンス"ということは、えっと、水野晴郎さんによれば、最初から犯人がわかっているのがサスペンス、最後に犯人がわかるのがミステリーということで、つまり、びっくりするようなこともないし、痛くもないし、おもしろそうな謎もあんまり残らないし、えっと、ひじょーにわかりやすい映画ということで、要は、おもしろくなかったです。
SAWシリーズだと思わなければ凡作、SAWシリーズだと思うと駄作だと思います。"クライマックス"らしく盛り上がるとこ、ないし。『II』のトリックと『I』のラストの再現をしただけなんだよなぁ。
登場人物が一気にぐわぁーっと増えて、みんなあちこちをばらばらに駆けずり回り、みんな一気にいなくなります。何のために出てきたんだか、ここまで話を広げておいて、最終章(『V』あるいは『VI』)ですべての関連性を明らかにしてまとめてくんないと、こりゃまずいっす。ジョンの心中を語るための『IV』だったとしたら、この点だけにおいて、『IV』は素晴らしい。

最初から犯人がわかっていたサスペンス、要はこのまんまですが、仮にそんなことを考えなかったとしても、序盤からバレバレなんじゃないかな。ま、"ネタばれてもいいから続きを読む"に詳しく書きます。
『IV』が生み出した謎といえば、ケリーの最後のメッセージっすねー。これも、"ネタばれてもいいから続きを読む"に詳しく書きます。
というわけで、最終章(『V』あるいは『VI』)は何が何でもリーとジェームズが撮っとけよと、いい意味での今後への期待を胸に秘めつつ、えっと、これは正直、借りて観ればいいんじゃないかな(汗)。
でもまぁ、ご覧になったよい子のみなさん、語らいましょうね(笑)。

ネタばれてもいいから続きを読む
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2007年07月15日

映画鑑賞感想文『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』

さるおです。
『HARRY POTTER AND THE ORDER OF THE PHOENIX/ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』を劇場で観て、たった今帰ってきたYO!(眠いです)

うまいね、デヴィッド・イェーツ(David Yates)は、省き方っちゅーか、短くすんのが。登場人物が多くなりすぎるのを防ぐため、マリエッタを省略してチョウに裏切らせたり、ロンはすでにハーとラブラブとか、RoRをネビルがみっけたり、他にもいろいろ。
チョウが裏切り者になったっちゅーことは、『DH』ではもうチョウはあまり重要ではないと、そーゆーことっすね。
ロンとハーがラブラブなのは、オレは次の『HBP』でもメガホンとるぞと(笑)、そーゆーことだしな。

トリオの関係は急にオトナになりましたね。ロンがハーを見つめる眼差しが優しいっす。
取り巻くネビル、ルナも、それぞれに深いことを言っている。ジニーちゃん嫉妬してるし。
いやぁー、青春でござる。おもしろかったな。

バトルがあっさりだったですけど、しょーがない。戦況は本とずいぶん違ったし、「渡すな」と殺されそーなのに抵抗したのはネビルで、割ったのがまるほいぱぱ。
知らんうちにポッター戦隊ロクレンジャーの話になってましたが、もうしょーがねーっす。

本を読んでない観客に特にわかりづらかったのは、突然通りかかって裁判で証人になったあのおばちゃんは何なんだと、そんくらいでしょーか。あとはせいぜい、あの可愛い不思議ちゃんは重要なのかな、とか。
後の2作の伏線になる"大事なセリフ"もとてもわかりやすくしゃべらせてると思いました。

本だと、シリウスがベラ姐さんの何の呪文に当たったのか厳密にはわからないですけど、映画ではAK。これもまぁ、マニアたちよ、"生きてるんじゃないか"とか言っちゃって騒ぐなかれと(笑)、とってもシンプルにわかりやすくしたなーと思う。

ぜんぜんさりげなくないために気になったシーンがひとつ。校長とヘビ男のバトルですが、本と違って、きっぱりと、"ヘビ男は火を、校長は水を"使ってました。
みなさんご存知のように、校長は炎の使い手です。で、『HBP』読んだらわかるとおり、ヘビ男は水の使い手です。
それをきっちりと、とてもわかりやすく逆に見せている。なんでかな。
さるおは勝手に、イェーツは映画『DH』まで監督務めるんだなーと思いましたよ。『DH』はもうわかってて、『OotP』で準備を始めてるんだなーと。つまりあれは伏線なんじゃないか?(いつもの妄想癖)
ヘビ男はなんだかだんだんと気安い感じになってきて、軽いんですが(笑)。

それから、シリウスから写真しかもらってないけど、えっと、他のモノはあんまり大事じゃないんでしょーかね。
ブラック家の家系図はずいぶんかっこええです。気に入った。

誰かを守り、誰かに守られる。それが強さ。
友達がいる。愛しいと思う人がいる。それが強さ。
素晴らしいっす。

心ゆくまでさるお、もんち!
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2007年07月01日

映画鑑賞感想文『トランスアメリカ』

さるおです。
『TRANSAMERICA/トランスアメリカ』を観たよ。
監督・脚本は、2000年の初監督作品『The Mountain King』以来となるダンカン・タッカー(Duncan Tucker)。
出演は、ブリー役にフェリシティ・ハフマン(Felicity Huffman)、彼女はこれでゴールデン・グローブ賞女優賞を獲得、さらにアカデミー賞主演女優賞にノミネートされました。それだけのことはある。すごいっすよ!性転換手術の途中(最後の手術がまだ残っている)で女子になりかけの中年(まだ)男性という主人公を、不思議な声で、不思議な仕草で、不思議な哀しさと不思議な情熱で、本当にきっちり演じ切りました。
ブリーの息子トビーは『WRONG TURN/クライモリ』『DAWN OF THE DEAD/ドン・オブ・ザ・デッド』のケヴィン・ゼガーズ(Kevin Zegers)、23歳でエロいくらいにセクシーな美形さんっす。

トランスセクシュアル(性同一性障害)で女子になりかけのおとうちゃんと、愛を知らずに育った息子。擦れ違い、ぶつかり合い、傷つけ合いながら、アメリカ大陸を横断するロードムービーっす。
おとうちゃんの名前はスタンリー。でも今はもう、女性として、ロスで慎ましい一人暮らしをしている、ブリーという名の女子っす。あとはもうおちんちんをとるだけで、その手術の許可が下りた矢先、ニューヨークの拘置所にいるトビーという少年から電話が掛かってくる。トビーはまだ見ぬ"スタンリー"を探しているわけです。しょーがないから身元引受人になるわけですが、おとうちゃんはなかなか本当のことが言えない。で、ずるずると、トビーにひっぱりまわされて、アメリカ大陸横断おとうちゃん探しの旅に出る。
途中でさまざまな、心を引っかき回されるようなできごとに遭遇します。そして傷つき、それでも長い旅の果てに、性別なんか超えた"親子"になる。
ええ話だ。トランスセクシュアルの人が、どう社会と関わっていくか、どう家族と関わっていくか、あるいは社会が彼らをどう認めていくか、そーゆーことはたしかにテーマのひとつだと思うけれど、それ以前に、これは親子の物語です。親子が、理解し合い、赦し合い、親子になるまでの心のロードムービー。
おもしろかったっす。微笑ましいシーンもたくさん。泣けて笑えて幸せな感じがする、いい作品だな。

心ゆくまでさるお、もんち!
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2007年06月14日

映画鑑賞感想文『穴』

さるおです。
『THE HOLE/穴』を観たよ。
監督はニック・ハム(Nick Hamm)、原作はガイ・バート(Guy Burt)。
出演は『AMERICAN BEAUTY/アメリカン・ビューティー』のゾーラ・バーチ(Thora Birch)、『RIDING IN CARS WITH BOYS/サンキュー、ボーイズ』のボビー役とか怖い映画にもけっこう出てるデズモンド・ハリントン(Desmond Harrington)、ダニエル・ブロックルバンク(Daniel Brocklebank)、ローレンス・フォックス(Laurence Fox)、キーラ・ナイトレイ(Keira Knightley)

ミステリー・サスペンスです。
さるお原作は読んでないですが、これはひょっとして、原作より映画のほうがおもしろいんじゃないかなー?
原作だとさ、鍵がどーなってるかとかで、答えがわかっちゃいそう。
ところが映画は、『LOLA RENNT/ラン・ローラ・ラン』的な別バージョンが何度も何度も繰り返され、だんだんと、巧みに、真相へ近づいていきます。これがすごいおもしろい!

イギリス屈指の名門パブリック・スクール、プレイボーン学園の生徒4人が、ある日忽然と姿を消す。なんだか『THE BLAIR WITCH PROJECT/ブレア・ウィッチ・プロジェクト』みたいっす。
失踪から18日。4人のうちの1人だけが、ぼろぼろに汚れ、疲れ切って生還する。
3人に何が起きたのか。事故なのか。犯罪なのか。誰が仕掛けたのか。

ってここまで書いたらフツー、あれですよね(笑)。
とにかく、ソーラ・バーチだということで、彼女はただ者ではねーですから、ね。楽しんでください。

心ゆくまでさるお、もんち!
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2007年06月08日

映画鑑賞感想文『ブロークバック・マウンテン』

さるおです。
『BROKEBACK MOUNTAIN/ブロークバック・マウンテン』を観たよ。
監督は、映画賞総なめですごすぎるアン・リー(Ang Lee)。原作は『THE SHIPPING NEWS/シッピング・ニュース』のアニー・プルー(E. Annie Proulx)。
出演は、イニス・デ・ルマーに『THE BROTHERS GRIMM/ブラザーズ・グリム』のヒース・レジャー(Heath Ledger)、ジャック・ツイストに『DONNIE DARKO/ドニー・ダーコ』『JARHEAD/ジャーヘッド』『ZODIAC/ゾディアック』のジェイク・ギレンホール(Jacob Gyllenhaal)。イニスの妻アルマ役はミシェル・ウィリアムズ(Michelle Williams)、ジャックの妻ラリーン役はアン・ハサウェイ(Anne Hathaway)。

普遍的な純愛ストーリー。素晴らしいです。
だけど、素晴らしすぎ、美しすぎると思いました。
「異性愛であれ同性愛であれ、愛することは素晴らしい。私には偏見などない。」
そう言ってみせるだけなら、あまりに単純すぎる。たしかに、"愛するということ"は素晴らしいけれど、同性愛者にとって、異性愛と同性愛には"社会が生み出した"違いがあると思います。同性愛は、嫌でも"社会が生み出した"苦痛を伴う。この作品は、本来あるべきではないその痛みを描いているけれども、それよりも"愛の素晴らしさ"が優先してしまい、あまりに美しく、あまりにシンプルに哀しすぎると思います。

理由は、よくわからないけれども、たぶん、主人公ふたりがブロークバック・マウンテンで異性愛と同性愛の境目を失ってしまったから、かな。
ブロークバック・マウンテンは、下界と完全に切り離された、ふたりにとっての楽園です。世界には、自分たちふたりだけしかいないわけです。そしてお互いに恋に落ちるけれど、特にイニスは"いけないこと"だと思ってるから、山から下りると別れるわけです。ほんでそれぞれに結婚して、子供を持つ。ところがそれで終わらない。"本当に好きな人は他にいるんだけど、障害があるから、この人と結婚した"んだけど本当に好きな人が忘れられない、という状況。つまり、性別というカテゴリを越えた物語です。
愛は素晴らしい。愛は美しい。
でも、(もしかしたら)一般ウケを狙いすぎて、「愛は素晴らしい、愛は美しい」に終始してしまった。キレイに作りすぎたよなぁ。そんな簡単に片づけられない。できすぎた話だ。

しかしまーそれでも、愛が素晴らしいのは真実で、その愛を"禁断"と呼ぶ敵があまりに巨大な"社会"であるがゆえにものすごい悲恋なわけで、感動して泣いちゃうわけですが。

「男二人で暮らすなんて問題外。どうにもならないよ。堪えるしかないんだ。」
「いつまで?」
「堪えられる限り。終わりはないんだ。」

そうっすね、この痛みには終わりがない。苦しいっす。

よかったのは、この作品が寡黙だということ。鈍感に観ていると、感動できない可能性ありじゃないかと思うほどに(笑)。そこがリアルでよろしいなと思います。社会を怖れて感情を押し隠し、自分自身ですらその押し隠した感情について行けず、自分と社会に振り回され続けるのが人生です、昔も今も、そして誰でも。

怖いものなしで天衣無縫にみえるロマンチシストのジャック。彼は楽園ブロークバック・マウンテンを追い続ける。一緒に農場やって暮らせばいいじゃんとか言って、資金の出所は、大繁盛しているロデオクィーン妻の実家。つまり、自分が同性愛者だということは妻のパパさんにもバレてて、金ならやるから離婚してくれと、そう思われている。ジャックがリッチな奥さんをもらったこと自体も運命的というか、ジャック目線ではそれなりに、"イニスと生きていくプラン"ができあがっている。
長距離恋愛で長距離移動するのもジャック。苦しさのあまり"イニスの代わり"を求めてメキシコに行ってしまうのもジャック。そして、イニスのシャツを自分のシャツで包むようにして持ち続けてるわけです、死ぬまで。ジャックの恋は炎のようっすね。

イニスはどうかというと、(直接ではないにせよ)同性愛者を殴って引きずって殺した男の息子です。9歳で、"教育のために"その惨殺死体をわざわざパパに見せられた。今考えればこりゃとんでもない父ちゃんですが、1963年はそーゆー時代だった。"バレたら殺される"ぐらいに思ってます。
ところがジャックとは運命の出会い。ブロークバック・マウンテンを去るとき、あっさり「じゃあな」とか言いつつ、物陰に隠れて号泣。あの泣き方はもう悲痛を通り越し、胸が張り裂けそう、というより裂けちゃった、ぐらいに痛々しい。抑えようとすればするほどに、痛いっす。おとなしいイニスは、本当は心の底に激情を押さえつけています。切ないなぁ。
だけれど、人に知られるわけにはいかない。知られたら、社会で生きていけない。家庭もあるし、仕事を見つけるののも大変だし、休暇ばっかりもらってられないし、会えないよ、ということになる。切ないなぁ。

お互いに思いが募りすぎて「忘れられたらどんなにいいか」「おまえに会って人生めちゃめちゃだ」っちゅーことになる。
そしてジャックは死んじゃいますが、あれはリンチのあげくの殺害っすね。イニスの想像として描かれてますが、ロデオクィーンのパパさんですね。9歳のイニスが見せつけられた"社会が襲いかかる"という恐怖が、また起きてしまいました。恐ろしい皮肉が、イニスの人生に再び起こってしまうところが、なんともかわいそうです。

感動的なのは、分骨した骨をあずかりにイニスがジャックの実家をたずねたシーンっすね。パパさんは、その事件を許していない。なぜうちの子はこんなことになったんだ、誰がうちの子を殺したんだ、そう思って、息子も、"うちの子が愛したイニス・デ・ルマー"も呪っている。おまえに骨はやらん、と言う。
しかーし、ママさんというのはえらい。そんなことは、すべてのことは、自分が許し、自分が守り、自分が愛してやればいい。そういう確信に満ちた包容力で、世界中が敵でも、自分だけは我が子を見捨てない。だから、「また遊びに来てね」とシャツを譲ってくれます。パパもママも、なんとも泣けます。
今度はジャックのを内側に、自分のシャツで包むわけっすね。今度はイニスがジャックを守っていく、ずっと俺たちは一緒だと。

自分には、ブロークバック・マウンテンしかないんだ。
下界の倫理と切り離された楽園、ブロークバック・マウンテン。青い鳥が歌ってウイスキーが噴水になってるような、夢の場所だったんだな、本当に。でも、彼らには、そこしかなかった。地上に生きる場所は、ありませんでした。
いったいどーすればよかったのか。ふたりで牧場をやればよかったのか、ふたりでメキシコに逃げればよかったのか、どーすればよかったというのか。
うーん、悲恋だ。胸が痛いっす。
求め続けあきらめられない愛しい思いと、捨て去ることができない現実が衝突し合い、もがき続け、どんどん押しつぶされて、削られていく。恋は素晴らしいけれど、それ以上に苦しいもんす。

イニスの奥さんもなぁ、悩んだろうなぁ。それでもなんとか家庭を守ろうとがんばります。彼女も痛々しいです。離婚した後も、心配してますね。
チュー目撃のシーンは余計だと思いましたが(爆)。

ということで、愛は素晴らしい。けれど、恋するカウボーイがジェイクだというだけでなんだか笑ってしまうのはどーしてなのか(笑)。ジェイク、大好きですが、あの顔でカウボーイになられると、コメディではないかと構えてしまうさるおです。

心ゆくまでさるお、もんち!
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2007年06月05日

映画鑑賞感想文『ミュンヘン』

さるおです。
『MUNICH/ミュンヘン』を観たよ。
監督はスティーブン・スピルバーグ(Steven Spielberg)。
原作は、暗殺チーム元メンバーの告白をもとにしたジョージ・ジョナス(George Jonas)の『標的は11人 モサド暗殺チームの記録』。
出演は、主人公アヴナーに『TROY/トロイ』のエリック・バナ(Eric Bana)。

暗くてちょっと粗いトーンがけっこう雰囲気あります。重苦しくて好き。
1972年、ミュンヘン・オリンピック。さるおは1歳なので当時はぜんぜん知らないわけで、"ブラック・セプテンバー"なんて後から「へぇ〜」と聞いたことがある、それだけの印象の事件ですが、今になって映画で観るとまた、何やってんだ人間は、と思いますね。

たとえばこれが個人的な報復なのであれば、本人はやる気まんまん。ところが、国の報復に、安全な警備くらいしかやったことのない、もうすぐパパになる普通の男が、巻き込まれる。今の世の日本人が考えれば傍迷惑な指令ですが、当時のイスラエルで、明日からキミ殺し屋でよろしく、と白羽の矢が立ってね、断ってもいいんだけどまぁ、断れないわけです。かつての日本もそうだったように"お国のために"命の取り合いをする、そーゆー社会がある。
暗殺者さんとかスパイさんとかって映画だとたいていかっこよさそうですが、"トレーニングされてないホンモノ"はやっぱり"ぜろぜろせぶん"とはほど遠く、金がいくらでも自由に使えるわけじゃないし、最新の武器が手に入るわけじゃないし、人も武器も寄せ集めで日々緊張しながらやってかないといけない。大変っす。
で、パレスチナ人VIPを殺していくわけですが、居場所を知る情報提供者ファミリーは、あたりまえだけど向こうともつながっているわけですわ。1個いくらの商売をしてるんだから、こりゃしょーがないっすよね。当然、報復は報復を生み、仲間を殺され、次は俺かと、どんどん追いつめられて行く。最後なんかもう、おとうちゃんクタクタっす(涙)。

物語は、いや、物語じゃなくて事実ですが、『仁義なき戦い』っすね。このおとうちゃんは、ヤクザ映画でいう"てっぽうだま"にされたわけです。ちゃらら〜、ちゃらら〜♪という音楽が流れないだけで、文太じゃけん、おぅ?というセリフがないだけで(『仁義なき戦い』にもありません)、『仁義なき戦い』があたりまえの社会がある。政府なんてどこも、かたぎの世界じゃないですが。

ひとりの父親が暗殺者になる。
これはもう充分に悲劇ですが、映画『MUNICH/ミュンヘン』は、この悲劇を生んだ世界情勢の是非を問う作品です。11人のアスリートはなぜ殺されたのか。なぜ報復するのか、誰に報復するのか、背後に誰がいるのか、報復に終わりはあるのか。

映画としておもしろかったのは、食事のシーンが多いこと。食べるという"生きる行為"と交互に繰り返される、暗殺暗殺、また暗殺。
笑い語らい、ときに命の駆け引きをしながら、それでもまた食べ、また殺す。
食事、家族、誕生、"個人が知りえないほど巨大な"報復の裏側、"国"の上に乗っかっているだけの"てっぽうだま"、この明暗が、作品の深みを増したな。

心ゆくまでさるお、もんち!
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2007年05月19日

映画鑑賞感想文『太陽』

さるおです。
『SOLNTSE/LE SOLEIL/THE SUN/太陽』を観たよ。
監督はカンヌでパルムドールを毎年のように持って行くアレクサンドル・ソクーロフ(Aleksandr Sokurov)。
出演は昭和天皇にイッセー尾形、マッカーサーにロバート・ドーソン(Robert Dawson)、侍従長に佐野史郎、老僕につじしんめい、香淳皇后に桃井かおり。

続きはココだYO!
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2007年05月09日

映画鑑賞感想文『ブラッド・ダイヤモンド』

さるおです。
『BLOOD DIAMOND/ブラッド・ダイヤモンド』を劇場で観たよ。
監督は『SHAKESPEARE IN LOVE/恋におちたシェークスピア』『TRAFFIC/トラフィック』『I AM SAM/アイ・アム・サム』『THE LAST SAMURAI/ラストサムライ』のエドワード・ズウィック(Edward Zwick)。
出演はレオナルド・ディカプリオ(Leonardo Wilhelm DiCaprio)、ジャイモン・フンスー(Djimon Hounsou)ジェニファー・コネリー(Jennifer Connelly)

まず、さるおがすごく確信したことですが、これはロードムービーですね。
ダニー・アーチャーとソロモン・バンディ、育ちも職業も価値観も道徳心も、何もかもが違いすぎるふたりが、旅をする。ずっと、ずっと、過酷な道を、どこまでも旅する。
後半になってマディと別れ、ソロモンがダニーに「Yes, boss.」と言ったあたりから、苦しいほどに加速するロードムービー。友情とよぶにはあまりに静かで激しく切ない、特別な絆が生まれます。
だから、なんちゅーか、きっつい話なんだけど、ものすごい爽やかな作品。

ダニーはいわゆる"死の商人"なわけですが、その裏側に、わずか9歳で人間性を根こそぎ剥ぎ取られたという残酷すぎる過去を持ってます。きついっす、こりゃかわいそうだ。9歳の子が、母親をレイプされ殺され、父親は首を切られて木に吊るされた、それを見るなんて、だめだよ。この作品はフィクションだけど、その現実はノンフィクションです。アフリカ大陸で、実際に起きている。そんなの、だめなのに。いや、たぶん本当はもっとむごいことが起きている。この作品でもコドモがマシンガンを乱射して人殺しするシーンが何度も出てきます。コドモらが、クスリ漬けにされ、狂気などという言葉では表現できないような試練を与えられ、果てには村人を皆殺しにしろと命令される、泣き叫ぶ自分の家族の身体を切り刻めと命令される。そんなの、だめなのに。
泣けますねー。
一方で、絶体絶命の状況になっても嘘がつけない"善人"として登場する漁師ソロモン。ジャイモン・フンスーはすげーっす!家族を奪われた男の魂を引き裂く悲痛な叫びが、息子を取り戻そうとする鬼気迫る執念が、素晴らしい!まいった、と思いました。

ダニーにとってそのダイヤは、救いのない現実から脱却するための最後のチケット。ソロモンにとってそのダイヤは、家族を取り戻すためのなけなしの切り札。マディにとってそのダイヤは、暴かなければならない真実の証拠。
思い切ってさるおの希望を書いてしまうと、最後に、最後の最後に、"それはダイヤではなかった"んだとよかったな。

ということで、"漁師"が本物のダイヤを見分ける目を持っていて、特大のを見つけ、隠す勇気があって、適材適所な人々が出会い、苦労の果てにだけどダイヤは無事2億円以上のキャッシュに変わります。つまり、紛争ダイヤが闇で覆った過酷なシエラレオネの、これでも"いちばん運のいい人々"を描いている。おそらく、真実は、むごすぎて描けないから。

神は、とうの昔にアフリカを見放した。神は、人の行いを赦すだろうか。

ダニーはアフリカ大陸から逃れようと死に物狂いで戦い、そして最後に、自分がアフリカの一部であることを知るんですね。

心ゆくまでさるお、もんち!
posted by さるお at 00:35| Comment(2) | TrackBack(0) | 映画の感想文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月08日

映画鑑賞感想文『スパイダーマン3』

さるおです。
『SPIDER-MAN 3/スパイダーマン3』を劇場で観たよ。もちろん前2作も観て、けっこう感動してます。
監督はサム・ライミ(Sam Raimi)。この人はアラン・スミシー・Jr.(Alan Smithee Jr.)だったこともありますね、わはは(笑)!
ところで、この"アラン・スミシー"とは誰かというと、実在しない、架空の映画監督の名前。"Alan Smithee"は"The Alias Men"(偽名の人)のアナグラム。アメリカでは、監督さんが諸事情(制作者と意見が合わずに降板)により降板した場合や、諸事情によりその作品に関する責任を負いたくなくてクレジットから自分の名前を削除すると、全米監督協会の審査・認定によりこの"架空の名前"が使われます。ということは、アラン・スミシー作の作品は、何かトラブルがあったんだなーと言うことになる(笑)。この名前が有名になりすぎちゃったので、全米監督組合の取り決めで、最近はトーマス・リー(Thomas Lee)を使うようになりました。
ということで雑学はここまで。
原作はスティーヴ・ディッコ(Steve Ditko)とスタン・リー(Stan Lee)。
出演はトビー・マグワイア(Tobey Maguire)、『若草物語/LITTLE WOMEN』の頃から顔が変わらないキルステン・ダンスト(Kirsten Dunst)、ジェームズ・フランコ(James Franco)、『SIDEWAYS/サイドウェイ』のトーマス・ヘイデン・チャーチ(Thomas Haden Church)、『TOM & VIV/愛しすぎて -詩人の妻-』の名女優ローズマリー・ハリス(Rosemary Harris)、『OCEAN'S/オーシャンズ』シリーズにも出ているトファー・グレイス(Christopher Grace)、そしてあまりに濃い化粧で最初誰だかわからなかったブライス・ダラス・ハワード(Bryce Dallas Howard)

スパイダーマンは好きです。大好き!ちっちゃい頃マンガ持ってたよ。
さるおがちっちゃい頃はアメコミなんて身近じゃなかったと思うのに、なんか、うちには1冊だけあった。時期的に、たぶん、『THE AMAZING SPIDER-MAN』(1963年創刊)か『SPECTACULAR SPIDER-MAN』(1978年創刊)のどっちかじゃなかったかな。(見つけたら写真載せます)
少しね、赤と青のコスチュームが怖くて、外壁なんかに貼り付けちゃうのも気味が悪かった。でも、なぜか必死でマネして、廊下の幅なら、手足をぐーっと広げて、天井付近まで軽々と登れるようになって、意味無くしばらくそこにいたりして、今度は家族に気味悪がられたもんです。(まさかの泣ける展開)

スパイディはすごい。
10tの物体を持ち上げ、常人の40倍の敏捷性を持ち、跳躍力・平衡感覚・身の軽さは驚異的、動体視力も超人的。壁や天井にクモのようにくっついて、超感覚(スパイダーセンス)で危険を感知する。クモ糸投射器ウェブシューターを自分の手の中に持っていて、脱皮して蘇生する。すっげー!
しかーし、相対的にはじつはそれほどすごくないところが、さるおがスパイディを愛する最大の理由です。
たとえばスーパーマンは、クラーク・ケントの視点とスーパーマンの視点でさるおたちを見てるわけですが、スーパーマンの視点ちゅーのは、異星人(エイリアン)の視点で、"救世主の視点"に近いものがある。彼は、空を飛んで、宇宙を飛んで、さるおたちを"地球規模"で見てるわけです。
ところが、スパイディは空を飛べないフツーの子で、どんなに高く登ったところでビルのてっぺん、その街しか見えない。"ヒーローの視点"でニューヨークだけを見ている。スパイディにはニューヨークがすべてっす。そして自分もニューヨークの人と街と、自分自身に振り回されて、悪戦苦闘している。そこがええんですわー!
がんばれスパイディ、と思います。

えーっと、3作目『スパイダーマン3』に関しては、たしかまだMJに指輪をあげてないと思うので、話がぜんぜん終わってません。ワイズクラッキング(Wisecracking)を駆使して、がんばれスパイディ、と強く思いますね。

心ゆくまでさるお、もんち!
posted by さるお at 08:06| Comment(0) | TrackBack(2) | 映画の感想文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年04月22日

映画鑑賞感想文『カポーティ』

さるおです。
『CAPOTE/カポーティ』を観たよ。
監督はまだ『The Cruise』しか撮っていないベネット・ミラー(Bennett Miller)、脚本はジェラルド・クラーク(Gerald Clarke)、ということで、"初めて"尽くし。しかし勇気ある作品に仕上がったなぁと、すごいと思います。
出演はカポーティ役にフィリップ・シーモア・ホフマン(Philip Seymour Hoffman)、ネル・ハーパー・リーは大好きなキャサリン・キーナー(Catherine Keener)、ペリー・スミス役にクリフトン・コリンズ・Jr.(Clifton Collins Jr.)、そして小松政夫なクリス・クーパー(Chris Cooper)

"Capote" is the kind of film that whispers in your ear. That can have as profound an effect on someone as watching a speech with pomp and circumstance.
『カポーティ』は耳元でささやくような映画。それは、威風堂々としたスピーチのように、深遠な影響を与える。

これはベネット・ミラーの言葉です。そのとーりだな。
耳元でささやかれた、と感じる理由はカポーティの声音や話し方のせいではなく、劇中のペリー・スミスがみせたように、カポーティの倒錯ぶりを誰しもほんのわずかに持っているからではないかと思います。

自信過剰な俗物、トルーマン・ガルシア・カポーティ(Truman Garcia Capote)。
残酷で純粋で下世話なカポーティ。ヤク中でアル中の孤独な天才カポーティ。
こんな男を愛せない。第2代ロチェスター伯爵(ジョン・ウィルモット)と同じくらいに、愛せない。

いきなり思い切ったことを書いてしまいますが、じつはさるおは、カポーティは、作家などではないと思っています。
詩人だと思う。
彼が書いたのは自伝であり、ノンフィクションであり、告発であり、"物語"を紡ぐのではない。
ただ、美しすぎるほどの言葉を紡ぐ人間として、やっぱり天才だったと思います。
その、書いて良ししゃべって良しの才能は、カポーティを社交界のアイドルたらしめた。ぶっとんだ個性と高すぎる知能とゴシップで時代の寵児となり、自分をさらけ出しつつ、自分を隠して生きてきたのではないかと思います。
トルーマン・ストレックファス・パーソンズ(Truman Streckfus Persons)だった少年は、家庭の事情できらびやかな俗物になってしまった。

カポーティの真意は、常にわかりません。一家惨殺事件の犯人ペリーにのめり込んでいくのも、"ペリーの中に自分自身を見つけたから"だとは思いません。そんなキレイ事ではないのがカポーティの歩んだ道だと思う。裏切られ、裏切る、それがカポーティの真実なんじゃないかと思います。
ところが、『IN COLD BLOOD』を書くことで、底なしの闇にはまってしまった。優しいことを言ってみたり金脈呼ばわりしたり、真意のわからない倒錯ぶりで、早く死刑になっちゃえよーという、自分がまさかの"冷血"っす。小説の一部が発表されると、死刑は延期。死刑が執行されなければ、小説は完結しない。もはや、"救いたいけど救えない"のではなく、"逃れたい"。
そして、ペリーの死刑執行を目前に、自分の闇に触れる、知ることの対価としての苦痛に気づく。文学や絵画の才能があるペリーについての「同じ家で育ち、ある日ペリーは裏口から、自分は玄関から出て行った」という言葉は、結局正しかったわけです。"ペリーの中の自分自身"、理解されない人生、誤解され続ける人生、それをやっぱり見つけていた。ここで初めて、利己的な俗物の心が引き裂かれることになる。カポーティは、二股の道を同時に歩みはじめます。
もし彼が、本当に"ただの俗物"ならば、死刑の瞬間に立ち合わず、冷たく帰ってしまったはずなのに、彼はそうしなかった。絞首台に上がるペリーの孤独が、そのままカポーティの孤独に重なる。名声が幸福とイコールではない、愛に飢えた少年の姿が重なる。

美談などではなく醜聞である、武装した天才カポーティの華やかな人生は、臨界点をこえて、傷つきやすい天才の破滅へのカウントダウンとなるわけですが、表の顔とは裏腹な孤独と苦しみが、"見えないところに"見える。
ペリー・スミスもまた、優しさを持ち合わせた凶悪犯であり、カポーティを利用するしたたかさも持っている。理解されない人生、誤解され続ける人生を歩んだ、似た者同士。
What's in cold blood?と思いましたが、Cold blood in cold blood.だと気づきました。

良し悪しでは決して量れない人の複雑さ、それをついにさらけ出した、カポーティのこの人生はありだと思います。美しすぎるほどの言葉の波と、その美しさよりもさらに美しいみっともない下世話な人生、ありだと思いますね。

万人受けをのぞまない真摯な映画づくりだと思います。いいね、こーゆー作品は。
名脇役フィリップ・シーモア・ホフマンね、カポーティかと思いました。オスカー主演獲っただけのことはあります。

心ゆくまでさるお、もんち!
posted by さるお at 02:52| Comment(7) | TrackBack(30) | 映画の感想文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年03月19日

映画鑑賞感想文『ホステル』

さるおです。
『HOSTEL/ホステル』を観たよ。
監督・脚本は『CABIN FEVER/キャビン・フィーバー』のイーライ・ロス(Eli Roth)で、クェンティン・タランティーノ(Quentin Tarantino)プレゼンツ。
出演は『THE ROOKIE/オールド・ルーキー』『LADDER 49/炎のメモリアル』『TORQUE/トルク』『WORLD TRADE CENTER/ワールド・トレード・センター』のジェイ・ヘルナンデス(Jay Hernandez)、TVドラマにけっこう出ているのデレク・リチャードソン(Derek Richardson)、エイゾール・グジョンソン(Eythor Gudjonsson)。カメオ出演は三池崇史。

とりあえず、デレク・リチャードソンが出てきたとき、FCバルセロナのサッカー選手リオネル・メッシ(Lionel Andres Messi)かと思いました。
ちなみに、同じくFCバルセロナのエイドゥル・グジョンセン(Eidur Smari Gudjohnsen)みたいなエイゾール・グジョンソンはこれで俳優デビューですが、もとは2度の優勝経験を持つハンドボール選手でやっぱりアイスランド人。
さるおにとってはなぜかバルサな映画でした。

レオ似のデレク.jpg ←デレクと レオ.jpg ←レオ

すべてが切断される。
というまさかのキャッチコピーの血みどろ映画ですが。

意外とほんとにありそーなビジネス、ちゅー意味では『OLD BOY/オールド・ボーイ』的。
お金持ちはさすがだなと。遊び方もハンパねーなと。スロバキアははじけてるなと。おもしろかったです。
期待してたほど痛くないですが、前半はゆるゆると楽しく遊んで後半は一気に"すべて切断"、ええね。こーゆーの好きです。
ところであの、『DONNIE DARKO/ドニー・ダーコ』銀色のうさぎみたいなの、あいつが悪モンだと、あいつが残虐な殺人者だと、すっかり決めつけていましたが、違いましたね(泣)。

心ゆくまでさるお、もんち!
posted by さるお at 19:47| Comment(4) | TrackBack(2) | 映画の感想文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年03月03日

映画鑑賞感想文『ブロークン・フラワーズ』

さるおです。
『BROKEN FLOWERS/ブロークン・フラワーズ』を観たよ。
監督・脚本は、なんといっても『STRANGER THAN PARADISE/ストレンジャー・ザン・パラダイス』のジム・ジャームッシュ(Jim Jarmusch)。
出演は、ドン・ジョンストン役にビル・マーレイ(Bill Murray)、ウィンストン役にジェフリー・ライト(Jeffrey Wright)。ドニーを取り巻くかつての恋人たちにシャロン・ストーン(Sharon Stone)、フランセス・コンロイ(Frances Conroy)、ジェシカ・ラング(Jessica Lange)ティルダ・スウィントン(Tilda Swinton)。ジュリー・デルピー(Julie Delpy)、クロエ・セヴィニー(Chloe Sevigny)

哀愁まるだしのオフビート・コメディ。おもしろいっす。切なく笑える。
3着のジャージを着回すかつての"ドンファン"が、「あなたには息子がいるの。19歳。父親探しの旅に出たわよ」というピンク色の謎の手紙を受け取って、探偵気取りのお隣さんに背中を押され、スーツに着替えて花束片手に昔の恋人たちを訪ね歩いてけっこう切ない目に遭います。
昔の女のリスト作れなんて言われると、そんなことやらない、かなんか言いいながら作っちゃう。旅には出ない、かなんか言って、それでも行っちゃう。ピンクの花束持って、そんなのばかげてる、かなんか言って、それでも行っちゃう。唯一の手がかりはピンク色。っつっても登場する女子はもうみんなピンク色なわけです。
傷心旅行から街に戻ってくると、やっぱアレですわー。ジャージですわー。
女たちは総ピンク、少年たちは総ジャージ、もうすべてが怪しい。

http://brokenflowersmovie.com/

ジム・ジャームッシュの作品って久々に観ましたが、音のない"間"だとかね、やっぱりジムはジムでした。いいね。
そういえば、どんどんウェス・アンダーソン(Wes Anderson)的な切なさとばかばかしさが加速しているようで、なによりだよ思いました。壁に掛かった絵だとかね、小物使いがね、特にね。こーゆーの大好きです。おもしろかったー。

心ゆくまでさるお、もんち!
posted by さるお at 12:30| Comment(4) | TrackBack(0) | 映画の感想文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月25日

映画鑑賞感想文『プライドと偏見』

さるおです。
『PRIDE & PREJUDICE/プライドと偏見』を観たよ。
監督はジョー・ライト(Joe Wright)。
出演はキーラ・ナイトレイ(Keira Knightley)、まだまだでっかい作品には出ていないけど押さえた演技が素晴らしかったマシュー・マクファディン(Matthew MacFadyen)、ブレンダ・ブレシン(Brenda Blethyn)、『THE LIBERTINE/リバティーン』のロザムンド・パイク(Rosamund Pike)、ドナルド・サザーランド(Donald Sutherland)、剽軽そうな演技で存在感のあったサイモン・ウッズ(Simon Woods)、オーランド・ブルームと区別のつかない『THE LIBERTINE/リバティーン』のルパート・フレンド(Rupert Friend)、あいかわらず小さいトム・ホランダー(Tom Hollander)、そして今日も怖かったジュディ・デンチ(Judi Dench)!

これは『若草物語』じゃないんだ!『若草物語』じゃないんだよ!しっかりしろ、さるお、ウィノナじゃないんだ、キーラなんだよぅーーーっ!
ちゃんとコメディ色が強くなってるじゃないか!
それに、ジェーン・オースティン(Jane Austen)の『高慢と偏見』です。文芸っすよ、文芸。
ですが、プライドと偏見が邪魔をして素直になれない男女の恋の行方ということで、なんというか、えっと、えっと、もうちょっと深く、なんとかしてくれるとよかったです(涙)。

『LITTLE WOMEN/若草物語』の方は素晴らしいですよね!

とりあえず、涙をふいて、オーランドとルパートの類似性をご堪能くださいNE!

オーランドブルーム.jpg たぶんこれはオーランド

ルパートフレンド.jpg きっとこっちがルパート

心ゆくまでさるお、もんち!
posted by さるお at 01:49| Comment(4) | TrackBack(13) | 映画の感想文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月14日

映画鑑賞感想文『マイアミ・バイス』

さるおです。
『MIAMI VICE/マイアミ・バイス』を観たよ。
監督は、80年代TVシリーズ『MIAMI VICE/マイアミ・バイス』の製作総指揮マイケル・マン(Michael Mann)、自ら。
出演は、ソニー・クロケット役にコリン・ファレル(Colin Farrell)、"リコ"ことリカルド・タブス役にジェイミー・フォックス(Jamie Foxx)。イザベラはコン・リー(Gong Li)、おっかないイエロはジョン・オーティス(John Ortiz)。

あの『マイアミ・バイス』だぜ!ひゃっほーい!
太陽が燦々と降り注ぐ楽園都市マイアミ。
中南米と北米を結ぶ密輸の中継地マイアミ。
国際犯罪組織が巣くう街マイアミ。
ド派手なクルマだ!ド派手な衣装だ!かっこつけて一気に踏み込んで叫べ「マイアミ・バイス!」、ひゃっほーい!
ほら、こんなにかっこいい

ということで、昔のバイスを愛してやまないさるおとしてはもう、期待に胸が高鳴って、もう観る前から大コーフンなわけですよ、ね。

ところが、マイケル・マンの周りでも、月日は流れていたのでありました。『COLLATERAL/コラテラル』とかご覧になった方はおわかりだと思いますが、もう、ヤツには、"昼のマイアミ"でロケする気、ありませんから、くれぐれも(涙)。
夜また夜、いつも夜。今日も夜、明日も夜。とにかく画面ずっと真っ暗です。ずっと(大粒の涙)。ド派手なクルマもド派手な衣装も、もうなんにも見えません。

そして、マイアミ・バイスっつったらマイアミ警察の特捜課のことです。踏み込んで「マイアミ・バイス!」って叫ぶのは「マイアミ警察特捜課だぞ!」ということです。
ところが、FBIとDEAと司法機関の合同捜査の極秘情報がドラッグ密輸コネクションに漏れてるぞ、っちゅーことになり、漏洩ルートを突き止めろと、キケンな潜入捜査だぞと、つまり話が始まった瞬間に、「おまえたちはたった今からマイアミ・バイスではない。DEA直属だ。」
ぐわぁーーーっ!マイアミ・バイスじゃなくなってるぅーっ!
まさかの展開。(号泣)

当然、どこぞに踏み込んで「マイアミ・バイス!」と叫ぶこともなく、ドラッグ・ディーラーになりすましてドラッグをせっせと運びつつ、運び屋(手筈がどうとか、金の話とか、あと運んだり)以外のシゴト、つまり本業の捜査なはずですが、やらないやらない、ソニー遊びっぱなし。組織で働く女子1名をかたぎの世界に戻すという、まさに衝撃の、小さな成果(涙)。

とめどなく溢れるこの涙を、止める方法がわかりません。もう、どうしたらいいのやら。『マイアミ・バイス』が、観たかったです。(倒れそうになりながら)

心ゆくまでさるお、もんち!
posted by さるお at 03:43| Comment(2) | TrackBack(7) | 映画の感想文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年01月16日

映画鑑賞感想文『シンデレラマン』

さるおです。
『CINDERELLA MAN/シンデレラマン』を観たよ。
監督は親子で稼ぎまくりのロン・ハワード(Ron Howard)で、原案はクリフ・ホリングワース(Cliff Hollingsworth)さん。
出演は、ミラクルボクサーのジム・ブラドック役にラッセル・クロウ(Russell Crowe)、奥さんのメイ・ブラドックはレネー・ゼルウィガー(Renee Zellweger)、マネージャーのジョー・グルード役が『THE TRUMAN SHOW/トゥルーマン・ショー』『SAVING PRIVATE RYAN/プライベート・ライアン』『PLANET OF THE APES/PLANET OF THE APES 猿の惑星』『SIDEWAYS/サイドウェイ』の実力派で大好きなポール・ジアマッティ(Paul Giamatti)、ここではすっかり悪役のマックス・ビア役はクレイグ・ビアーコ(Craig Bierko)。豪華だ。

えーっと、いい映画です。すごくいい映画。
ジェームズ・J・ブラドックの奇跡の半生を映画化した、つまり本当の話ね。
大恐慌時代、どん底の貧困から愛する家族を守るため命を懸けて再起のリングに上がる一人の男。
素晴らしい。こりゃ大感動です。

ちなみにこのジェームズ・J・ブラドック(James J. Braddock)さん、本名はジェームス・ウォルター・ブラドック(James Walter Braddock)さんといいます。リングネームの"J"はジェームス・J・コーベットとジェームス・J・ジェフェリースという2人の元世界王者の名前からとったもの。あだ名は元々"Bulldog of Bergen"で、奇跡を起こしてからは"Cinderella Man"と呼ばれます。
1905年6月7日生まれ、史上最大の番狂わせを巻き起こして1935年6月13日、30歳でヘビー級世界王者になり、ニュージャージー州ボクシングの殿堂入り&国際ボクシング殿堂入り。そして1974年11月29日に69歳で亡くなります。
ジムを演じることができるのはラッセル・クロウしかおらん!っちゅーくらいにそっくりっすよねー。
そうそう、ヘビー級王者マックス・ビア(Maximilian Adelbert "Madcap Maxie" Baer Cussen)もね、クレイグ・ビアーコしかおらん!っちゅーくらいにそっくりだよ。

シンデレラマン.jpg

さるお的にはちょっと不満もあります。
最後ね、「勝ったぁーっ!ひゃっほーい!」と言って映画が終わるせいで、うかうかしてると"スポ根映画"だなーと錯覚しそうなんだよぅ(爆)。
この映画はたぶん、大恐慌というものを描いたはず。ボクサーのライセンスを剥奪した協会に出向くシーンなんてもう、これだよこれ、何もかも捨てて、そこから這い上がれと、すべてを捨てられる強さが、今どうしても必要なんだよと、涙でなんだかよく見えないぐらいに大感動で大変なことになりました。が、見終わってみると若干、なんというか、ヒーローモノを観た感じ。中途半端でもったいなねーずら。ヒーローモノならそれはそれでありなので、徹底すべしっす。大恐慌時代を描いたんなら、映画のラストはまた"時代"に戻ってきてほしかった。ジムの起こした奇跡が、ジムが与えた希望が、人々にどう作用したのか、時代にどう作用したのか、それを見せてほしかった。
"ボクサーの悲哀"のようなものはずっしりと描かれていてよかったなぁ。あー、もちろんこれはボクサーに限らず、特化したことがらに秀でているすべての人の悲哀のことです。ジムの場合は、戦うということでしか食べていけない、戦うということでしか自分を表現できない。そーゆー輝く哀しさが、あったね、ちゃんと。

どんなに苛酷な時代であっても、人には娯楽と希望が必要。今日食うメシはないけれど、25セント払ってボクシングをね、さるおもやっぱり観たいです。

心ゆくまでさるお、もんち!
posted by さるお at 21:26| Comment(0) | TrackBack(2) | 映画の感想文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年01月12日

映画鑑賞感想文『ディセント』

さるおです。
『THE DESCENT/ディセント』を観たよ。
監督・脚本は、「生き残るのは獣様か、俺様か?」という泣けるキャッチコピーなのにイギリスでスマッシュヒットした狼男映画『DOG SOLDIERS/ドッグ・ソルジャー』のニール・マーシャル(Neil Marshall)。
出演は、シャウナ・マクドナルド(Shauna Macdonald)、ナタリー・メンドーサ(Natalie Mendoza)、アレックス・リード(Alex Reid)、サスキア・マルダー(Saskia Mulder)、マイアンナ・バリング(MyAnna Buring)、ノラ=ジェーン・ヌーン(Nora-Jane Noone)という女子ばかり6名。

ええ!この映画はおもしろい!かなりおもしろい!
ちていじん、ばんざい。

もしかしたら、つたやさんで同じく新作の棚で輝いていた『THE FOG/フォッグ』のジャケに"革命ゾンビ"みたいな不思議な言葉が書いてあり、リメイクだと知りつつ、ゾンビに"タールマン"以上の革命は無理だと知りつつ、うっかり借りてきて観てしまったらゾンビが2秒しか出てこなかったということで(大泣)、かなりの深手を負った後だったから、癒しになったのかもしれませんが、いや、それを差し引いてもおもしろかったっす。
『THE DESCENT/ディセント』のジャケにも問題は若干ありまして、ついに酸素はなくなりませんでしたけど。

えっと、出てくる地底人はこの人です。地下鉄に住んでるこの人。おもしろかったこの人。くれぐれも。よろしくお願いします。

0-34.jpg

そして主人公のサラはある体験がきっかけで唐突に、ポーラ・シュルツの墓から出てきた(キャリー風)ブライドになります。くれぐれも、よろしくお願いします。

女子6人の探検隊が遠足に出かけます。本格的なケイビング遠足、つまりみなさんアスリートさん。で、洞窟に入ったら出口がなくて、地底人に襲われるという、身も蓋もない話です。
地底人さんたちが弱いなとか、目そのものは退化しないのかとか、聴覚だけでいいのかよとか、矢印残した昔の探検家さんは意味ねーなとか、タッシリ・ナジェールの偽物みたいな牛の壁画出たぁーっ!とか、ツッコミどころにツッコミを入れてしまうとこの作品は消滅してしまうので、そーゆーことは自粛してください。

狭いな、暗いな。そこが素晴らしい。
自然とのたたかいから地底人とのたたかいへ、しかしド根性映画な、展開もいい。
あるいは、こっそりと前人未踏の洞窟を選んでいたジュノの心理とか、いちばん強そうにしてたホリーさんがやっぱり最初にやられたなとか、パニクりだしてからの仲違いで6人の個性が素晴らしい。
殺意はなくて動揺してしまって過失だったのに、結局誤解は解けないところもいい。で、サラはサラで弁解の余地も与えず、問答無用で友の仇と不倫の報復をしてしまうところもいい。
いやぁ、いいことずくめっすNE!

そういえば冒頭でコドモ死んでましたけど、洞窟の暗闇はサラの心っすね。はじめから出口なんてなかったのかもしれません。
とにかく、誰もたすからないところがよろしい。
ちていじん、ばんざい。

オフィシャル・サイト(日本語)
http://www.descent.jp/
オフィシャル・サイト(英語でゲーム付き)
http://www.thedescentthemovie.co.uk/
オフィシャル・サイト(英語)
http://www.thedescentfilm.com/

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posted by さるお at 20:57| Comment(2) | TrackBack(23) | 映画の感想文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年01月04日

映画鑑賞感想文『ユナイテッド93』

さるおです。
『UNITED 93/ユナイテッド93』を観たよ。
監督・脚本は『THE BOURNE SUPREMACY/ボーン・スプレマシー』のポール・グリーングラス(Paul Greengrass)。
製作は『THE INTERPRETER/ザ・インタープリター』のティム・ビーヴァン(Tim Bevan)とエリック・フェルナー(Eric Fellner)、『HELLBOY/ヘルボーイ』のロイド・レヴィン(Lloyd Levin)。
出演は・・・えっと、これがいちばん大事なんですが、多すぎて書けません。ですが、公式サイトにみんな載ってます。
オフィシャル・サイト(英語)
http://www.united93movie.com/index.php
http://www.flight93.net/index.php
オフィシャル・サイト(日本語)
http://www.united93.jp/top.html

人は神に祈る。
神を作り出したのは人間なのに、自らの無力さを前に、遠すぎる平穏をはるかに臨んで、また祈る、祈り続ける。哀しみに暮れて為す術もなく、恐怖に怯えて目も見えず、思いだけでも遺そうと、神に祈る。あるいは無力な神のために、祈り続ける。
乗客も、テロリストも、同じように神に祈る。
何やってんだ、人間は。

2001年9月11日、さるおはこんなことになっていました。かなり衝撃的。

この作品は、4機目の物語。
せめてもの抵抗をしたユナイテッド93便の、まさに衝撃のノンフィクション・サスペンス。序盤からドキュメンタリータッチで、臨場感満点ですわー。管制センターとか関係機関への取材ね、がんばったね。今となっては決して誰も知ることのできない機内の空気が、あたかも目の前で展開されているようで、細かく作り込まれてます。
管制官の人とか、軍関係者で、当日現場に居合わせた本人が演じている。このへんもすごいっすね。
監督さんだか製作スタッフさんだかが、遺された家族一人残らずみんなに会うんだと、それから映画作るんだと、気合い入ってたみたいですけど、"犯人の遺族"には会えてないところがね、諸事情あるのは承知しつつも、正直、さるおには残念でした。それでもまぁ、乗客の遺族とか、できるかぎり巻き込んだ。この映画に関わること自体が苛酷なことだったろうに。すごいっす。だからね、観なきゃいけないな。

軍とか政府とか、はたから見てる組織ではなんだか情報が錯綜して動きが鈍いわけですが、ユナイテッド93便の乗客は戦ったね。
何と戦ったかというと、目の前にある運命です、ぐんぐん近づいてくる運命です。
善悪だとか、差別だとか、民族だとか、宗教だとか、石油だとか、そんなことは遠いんだ。
あれが事件のありのままの姿だったのかなぁと、思います。

エンターテイメントとしてもおもしろかったYO!

心ゆくまでさるお、もんち!
posted by さるお at 18:58| Comment(4) | TrackBack(2) | 映画の感想文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年12月27日

映画鑑賞感想文『サイレントヒル』

さるおです。
『SILENT HILL/サイレントヒル』を観たよ。
監督は『LE PACTE DES LOUPS/ジェヴォーダンの獣』のクリストフ・ガンズ(Christophe Gans)、脚本は『PULP FICTION/パルプ・フィクション』の原案者ロジャー・エイヴァリー(Roger Avary)。
出演は、『PHONE BOOTH/フォーン・ブース』『FINDING NEVERLAND/ネバーランド』のラダ・ミッチェル(Radha Mitchell)、『TIDELAND/ローズ・イン・タイドランド』のジョデル・フェルランド(Jodelle Ferland)、『1.0/ワン・ポイント・オー』のデボラ・カーラ・アンガー(Deborah Kara Unger)、『THE MAJESTIC/マジェスティック』のローリー・ホールデン(Laurie Holden)、ターニャ・アレン(Tanya Allen)、アリス・クリーグ(Alice Krige)、ついでのショーン・ビーン(Sean Bean)

なんでショーンがついでなのかというと、この映画に登場するキーパーソンは全員が女性。姉妹とか、母娘とか、女子だけで話を進めていく。男子は本当についで(笑)。

たまにオカシナことを言う9歳のシャロンちゃんに導かれるように、死の灰が舞う不気味なゴーストタウン"サイレントヒル"に母娘が迷い込んで、想像を絶する恐怖がもう想像を絶しすぎてて、ほとんど笑ってしまうくらいに、大変な目に遭います。すごいよ、ものすごい盛り沢山(笑)!ゾンビあり、怪力モンスターあり、異次元あり、呪いあり、集団リンチあり、忌まわしい過去あり、カルト教団あり、魔女狩りあり、血の海あり、友情あり。(最後がオカシイ)
皮膚なんてあたりまえに焼けただれてて、体なんてあたりまえに真っ二つになるからね。なんでもかんでも詰め込んだ素晴らしい力作(笑)。

えーっと、さるおが大好きなマリリン・マンソンビデオクリップを観ているのかと思いました(爆)。

最後ね、うちに帰ってきたけれども、やっぱあっち側から戻っては来らんなかったっすね。そこがええです。

心ゆくまでさるお、もんち!
posted by さるお at 19:37| Comment(1) | TrackBack(0) | 映画の感想文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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