2006年12月09日

映画鑑賞感想文『オーメン』

さるおです。
『THE OMEN/オーメン』(2006年版)を観たよ。
1976年の大傑作は、監督はリチャード・ドナー(Richard Donner)、脚本はデヴィッド・セルツァー(David Seltzer)。出演はグレゴリー・ペック(Gregory Peck)、リー・レミック(Lee Remick)、ハーヴェイ・スティーブンス(Harvey Stephens)がソーン一家で、ジェニングス役にデヴィッド・ワーナー(David Warner)、ベイロック夫人にビリー・ホワイトロー(Billie Whitelaw)、ブレナン神父にパトリック・トルートン(Patrick Troughton)ブーゲンハーゲンにレオ・マッカーン(Leo McKern)でした。

2006年のリメイクでは、監督が『FLIGHT OF THE PHOENIX/フライト・オブ・フェニックス』(リメイク)のジョン・ムーア(John Moore)。ソーン一家は、さるお的に『SCREAM/スクリーム』シリーズのイメージが強いリーブ・シュレイバー(Liev Schreiber)、ジュリア・スタイルズ(Julia Stiles)、シーマス・デイヴィー=フィッツパトリック(Seamus Davey-Fitzpatrick)。ジェニングス役にデヴィッド・シューリス(David Thewlis)、ベイロック夫人にミア・ファロー(Mia Farrow)、ブレナン神父にピート・ポスルスウェイト(Pete Postlethwaite)、ブーゲンハーゲンにマイケル・ガンボン(Michael Gambon)です。

えーっと、リメイクなのですっごい期待して観ているわけでもないし、話はもう知っているので、ふつーに楽しく観たYO!
1976年のメイクを研究して(たぶん)、みなさん古めかしい顔つきで出てくるので、昔のキャストを観ているようで懐かしかったんですけど、だったらなんでリメイクなんだよと、かすかに思いつつ、ジェニングス首チョンパのシーンをね、大事な大道具の"クルマ"は最初に使っちゃったし、どーすんだろうと思ったら、いやぁー、今度は別の手で、またまたキレイに切れました。ひゃっほー!

1976年のはね、ブーゲンハーゲンとソーンの父ちゃんが話すんだよね、で、ジェニングスは席を外すわけです。
ところがリメイクではなぜか父ちゃんが、「おいらもう嫌だ」なんつって出てってしまう。で、ブーゲンハーゲンとジェニングスの2ショットになるわけです。はりぽた出たぁー!と思いました。

ダミアン少年よ、キックボードより、キミにはやはり三輪車が似合う。
キックボードというのはアレです、その昔、まぁ似たもん(足こぎ式3輪スケーター)が、"ローラースルーGOGO"という名前で激流行りだったアレです。アメリカでは"Kick'n Go"。よい子はみんな欲しかった、かっこええやつです。今でも欲しいよい子はホンダさんのサイトでゴーゴーを観てみよう

そーいえば、ダミアンの「母ちゃんばいばい」とかゆーセリフは、本編にはないんだね。べつになくていーんだけど。ありゃ予告用っすかね。

心ゆくまでさるお、もんち!
posted by さるお at 23:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 映画の感想文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年12月01日

映画鑑賞感想文『ミリオンズ』

さるおです。
『MILLIONS/ミリオンズ』を観たよ。
監督は『TRAINSPOTTING/トレインスポッティング』『THE BEACH/ザ・ビーチ』のダニー・ボイル(Danny Boyle)。
出演は、歴史上の聖人が見えてしまうキリスト教マニアの信心深い8歳児ダミアンにアレックス・エテル(Alex Etel)、投資の素質がパパよりすごいダミアンの兄アンソニーにルイス・オーウェン・マクギボン(Lewis Owen McGibbon)。ふたりともデビュー作です、いい感じ。パパは『Waking Ned/ウェイクアップ!ネッド』のジェームズ・ネスビット(James Nesbitt)、パパの恋人ドロシーはデイジー・ドノヴァン(Daisy Donovan)、"貧しい男"というかどろぼうさんにクリストファー・フルフォード(Christopher Fulford)。

いい映画だね。すごくいい映画。
ダニー・ボイルが「自分の子どもたちに堂々と観せられる映画」を撮りたいって、今まで何やってたんだとか思いつつ、そーゆー、最近のジョニー・デップと同じ心意気(なぜか涙)で撮り上げた、ファンタジー・ドラマっす。
優しいな、この作品は。大事なことがたくさんつまってる。
ダニーの作品なので、かなりスタイリッシュです(笑)。

秘密基地で遊んでると突然ね、バッグに入った大金が降ってくる。で、どう使おうかと、コドモなりに苦しんでみるわけです。もちろんパパにはヒミツ。
さるおによこせと、そーゆー話です。(ちがいます)
時は2001年クリスマス、か、2002年クリスマス。舞台はイギリス。
ユーロんなるときの話っす。ユーロという通貨が誕生したのは1999年のお正月ですけど、実際にユーロ紙幣(硬貨も)が市場で流通しはじめたのは2002年1月1日からで、2003年3月1日から正式に、ユーロ圏の法定通貨になってます。
で、降ってきた大金はポンド。あと数日で"紙くず"になる大金。
"貧しい人に分けてあげよう"と思うんだけど、コドモふたりじゃユーロに交換はできないわ、"寄付"はうまくいかないわで、どうもうまく使えないんだな。で、近所のモルモン教徒にあげてみたり、募金したり、まーいろいろ試してみる。ところが、それが、盗まれたお金だったことがわかって、"貧しい男"かと思っていたどろぼうさんに追われる羽目になる。ついにパパとパパの彼女も巻き込んで、せめてユーロに換えようと、銀行めぐりが終わったところで奇跡が起きます。"貧しい人に分けてあげる"というのが実現します。

お金はいちばん大事かどうか。"貧しい人に分けてあげる"というのは本当はどーゆーことなのか。いろんなことを教えてくれます。世界にはいろんな人がいる、そーゆーことも教えてくれる。

ダミアンは聖人の姿が見える子なのね。で、聖人の仲間入りをした、死んだママにも会える。
歴史上の聖人たちが天国から降りてきて、出てきちゃうところが楽しいっす。けっこうスレてたりして。
さるおね、まだあんまり観光コースに入ってない頃にアッシジに行ったんだよ。イタリアのね、真ん中らへん。すごい小さい町で、というか、牧歌的なおらが村で、散歩しようと思うとあっという間に村1周し終わってる(笑)。有名な聖フランチェスコの教会があるところっす。フランチェスコも出てきたし、仲間の聖クララも出てきたよ。今はアッシジは観光名所になっちゃってるのかな。

ダニーの作り出す映像はすごい楽しいっすね。
オフィシャル・サイト(日本語)
http://millions-movie.net/
オフィシャル・サイト(英語)
http://www.foxsearchlight.com/millions/

心ゆくまでさるお、もんち!
posted by さるお at 00:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画の感想文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年11月18日

映画鑑賞感想文『SAW III』

さるおです。
ネタばれなしです。
これから映画を観に行く方は、昨日のさるお的大予想も読まないでください。ということになりますね(笑)。コメント欄は気をつけてねー。

『SAW III/ソウ3』を観て来たよ。
監督は『SAW II/ソウ2』のダーレン・リン・バウズマン(Darren Lynn Bousman)。
原案はジェームズ・ワン(James Wan)とリー・ワネル(Leigh Whannell)の黄金コンビで、脚本はリー・ワネル。音楽はチャーリー・クロウザー(Charlie Clouser)。
製作にはもちろんグレッグ・ホフマン(Gregg Hoffman)さんもクレジットされている。
まさにSAWファミリーっす。
出演はトビン・ベル(Tobin Bell)とショウニー・スミス(Shawnee Smith)、ディナ・メイヤー(Dina Meyer)、たぶん今後も超重要なジェフ役にアンガス・マクファーデン(Angus MacFadyen)、今作では超重要なリン医師役にバハー・スメーク(Bahar Soomekh)。ジェイ・ラローズ(J. LaRose)、バリー・フラットマン(Barry Flatman)、デブラ・マッケイブ(Debra Lynne McCabe)、エムポー・クワホー(Mpho Koaho)。

おもしろいっす!
『SAW』の雰囲気が戻ってきたよ。
今思えば『SAW II』のダーレン作の部分だけが浮いている(笑)。今度の『SAW III』はリーが書いただけのことはあるYO!ふんがふんが。
なんでそうなったかというと、リー&ジェームズ作の部分は、脚本にまったく隙がなくて、すべての辻褄が合う解釈はひとつしか成り立たない。リーが"かなり頭の切れる観客のための映画"と言うとおりで、観客は頭を使わないといけない。でも頭を使いさえすれば、謎は一切残らない。それから、"動けない・道具がない"あるいは"動いちゃいけない"という極限状態での拘束も特徴でした。あと、もうひとつの特徴はドラマとしての深みっす。裁き、教え、赦しというものについて命がけのジグソウの姿と、"ジグソウの事情"をしっかり描いた感動作になっている。
ダーレン作の部分は、「うわぁー、こんなのこわいね」ということで、必死で辻褄を合わせたけれど、登場人物はじつにのびのびと自由気ままに動き回り、謎は謎のまま、拷問デパートは楽しいけれど、ドラマとしての迫力はないわけです。
で、『SAW III』は、リー&ジェームズの作品っすねー。ということでおもしろい。

『SAW III』は、ドラマです。作品のテーマががらっと変わった。
裁けば、人は変わるのか。教えれば、人は変われるのか。
神(ジグソウ)の要求に人は応えられるのか、っちゅー究極の"摩擦"を描いている。
人は、人を信じ、人を赦せるのか。っちゅー極限のラブストーリーを描いている。
もちろん恋愛って意味じゃないよ(笑)。父娘のラブストーリーね。で、さらにもちろん、親子だって話でもないですから(笑)。
最後ね、ジグソウが泣いちゃってね、さるおももらい泣きしたYO!(本当です)

ぶっちゃけてしまえば、ジグソウが勘違い野郎だった(爆)っちゅー目も当てられない展開です。人には決して本当に理解されない神の御技を、人になせとせまるジグソウが、映画の最後にまさかの挫折。ジグソウ、がんばり損(涙)、と思いましたが、とにかくさるおは泣きましたね。砕け散るジグソウのピュアハート、さるお号泣。ええ、どうせ、劇場でひとりだけですよ、泣いてるのは。

で、キャッチコピーの「謎は新たに生み出される!」ですが、えーっと、はい、生み出されました。生み出されたというよりは、4作目がはじまったところで3作目が終わるという、バリバリto be continuedですね。『SAW III』自体に謎はないです、もちろん"かなり頭の切れる観客のための映画"は大前提ですけど。
あと、驚きがあるかというと、これはまったくなしです。『SAW』と『SAW II』のいろいろが説明されますけど、"かなり頭の切れる観客"にとってはわかっていたことなので、これはびっくらこけない。で、最後に明かされる被験者の関係についても、映画の序盤でわかっちゃうので、これもびっくらこけない。

秀逸なのはオープニングっすよね!あれはいきなり大感動したよー。
『SAW II』で最後にバスルームに帰ってきたあのよろこびが、いきなりオープニングっす。ステキ。また「ただいま、かあさん!」と思ったNE!
しかもそのまま、パンチの効いたシーンへ突入。『SAW III』でいちばん"痛い"シーンへとなだれ込む。素晴らしい!

最後に、ひとつがっかりしたことを書こうかと思ったんですが、うーん、後でまた書きます、さるお発 映画『SAW III』完全解読マニュアルの中に。
とにかくおもしろかったっすよ。4作目のはじまりで『SAW III』が終わっているので、次回作も楽しみではあるけれど、これですべてが完結した、とも言えます。予定されているかもしれない『SAW ZERO』も、観たいような、なくてもいいような。
いや、とにかく、おもしろかったっす!

そうそう、クレジットではジョン・クレイマーのイニシャルがJesus Christと同じJ.C.になった(カルテにはJ.K.?)みたいだNE!(John Kramer→John Cramer)

【映画の感想文】
『SAW』の感想文はこちら
『SAW II』の感想文はこちら
『SAW III』の感想文はこちら
【さるお発 映画『SAW』完全解読マニュアル】
こちらにどうぞ
まえがき / 1 登場人物の詳細 / 2 本編[前半] / 3 本編[後半] / 4 マメ知識 / 5 あとがきと『SAW 2』予想
【さるお発 映画『SAW 2』完全予想】
こちらにどうぞ
映画『SAW 2』予想 / 1 客観的な手がかり / 2 ブタマスク君またまた登場!中身はアダム? / 3 いまだヤク中と思われるアマンダの心の闇 / 4 その8人はなぜ選ばれたか&そして9人目の犠牲者 / 5 共犯者 / 6 ついに判明、選ばれた8人 / 7 Oh Yes, There Will Be Blood.
【さるお発 映画『SAW II』完全解読マニュアル】
こちらにどうぞ
1 数々のトリックと謎の答え / 2 ジョン・クレイマー(John Cramer)の物語&ジグソウとアマンダの師弟関係 / 3 3つめの記事だけど まえがき / 4 Let the game begin![前半] / 5 A father, a leader, a teacher.[後半] / 6 謎の答えと『SAW III』大予想
【『SAW III』はこんな映画だ!】
こちらにどうぞ
【さるお発 映画『SAW III』完全解読マニュアル】
こちらにどうぞ
1 予測不可能なゲームのためにあらゆる準備がしてあったジグソウ渾身のラストゲーム / 2 『SAW III』の全貌 / 3 ドラマ『Like Father, Like Daughter.』 / 4 DVDを観てあらためて気がつく細かいこと / 5 She swims in my sea. / 6 Suffering? You haven't seen anything yet. / 7 Do not miscalculate. / 8 バスルームの新たな謎 Put his left leg in the shackle.

心ゆくまでさるお、もんち!
posted by さるお at 23:46| Comment(26) | TrackBack(44) | 映画の感想文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年11月14日

映画鑑賞感想文『奥様は魔女』

さるおです。
『BEWITCHED/奥様は魔女』を観たよ。2005年のやつです。
監督は脚本家一家エフロン家のノーラ・エフロン(Nora Ephron)。
出演は、イザベル(サマンサ)役にニコール・キッドマン(Nicole Kidman)、ジャック(ダーリン)役にウィル・フェレル(Will Ferrell)、イザベルのパパさんナイジェルは大好きなマイケル・ケイン(Michael Caine)、実はホンモノのアイリス役はシャーリー・マクレーン(Shirley MacLaine)、そしてアーカイブ映像でエリザベス・モンゴメリー(Elizabeth Montgomery)やディック・ヨーク(Dick York)も出てきちゃう。

大好きっすね、sitcom(シットコム)。シチュエーション・コメディ(situation comedy)のことです。
1964〜1972年のテレビドラマ『Bewitched』はもちろん傑作中の大傑作。おもしろかったっすねー。なんともアイロニックなエンドラが特にね、最高(笑)!
さるお生まれたの1971年だからな、きっと再放送を観てたんだ。

奥様の名前はサマンサ。そして、旦那様の名前はダーリン。ごく普通の二人はごく普通の恋をし、ごく普通の結婚をしました。でも唯一つ違っていたのは、奥様は魔女だったのです。

むはー。わくわくする。
シーズン4までやったあと、本国アメリカでは続編(『TABITHA/タバサ』)があったんだよね、うーん、今さらながら、それも観たいっす。

で、映画ですけど、すっげーおもしろかったんでござる!
単なるリメイクではなくて、"『奥さまは魔女』をつくろうとしている落ち目のハリウッド・スターとホンモノの魔女"の話っす。いい感じの一ひねり、オリジナルへのリスペクトを感じます。

ニコちゃんは可愛い。ほんと可愛いよ、ほんっとに。(しつこい)
でまぁ、ウィル・フェレルが引き立て役になってるかと思えば、ぜんぜん違います。ウィル最高!おもしろいっすよ!ベタベタのコメディなので字幕読んで動きだけ観てても笑えるんだけど、聞ける人はよくよく聞いたらさらにおもしろいっすね。
マイケル・ケインもハマリすぎだし、シャーリー・マクレーンも脇役だけれどキーパーソンだし、すごい楽しい作品です。

心ゆくまでさるお、もんち!
posted by さるお at 21:19| Comment(6) | TrackBack(0) | 映画の感想文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月12日

映画鑑賞感想文『1.0』 さるお発 完全解読"風"

さるおです。
アメリカ・ルーマニア・アイスランド合作映画の『1.0/ワン・ポイント・オー』を観たよ。
監督・脚本は、やっぱりこれがデビュー作のジェフ・レンフロー(Jeff Renfroe)&マーテイン・トーソン(Marteinn Thorsson)。(なぜに"やっぱり"なのかはこちらをご覧下さい)
出演は、コンピューター・プログラマーの主人公サイモンJ.役にジェレミー・シスト(Jeremy Sisto)、管理人ハワードにランス・ヘンリクセン(Lance Henriksen)、看護婦トリッシュ役にデボラ・カーラ・アンガー(Deborah Kara Unger)、"アダム"を作製中のデリック役は『DOGVILLE/ドッグヴィル』『MANDERLAY/マンダレイ』のウド・キア(Udo Kier)様、バイク便のナイル役はユージン・バード(Eugene Byrd)、ポルノ趣味の隣人にブルース・ペイン(Bruce Payne)。

ぼろアパートで暮らすサイモンのもとに送られ続ける差出人不明の謎の空箱。周囲では不可解なできごとが次々に起こり、人々が死んでゆく。
工学ウィルス"ナノマイト"と、"脳のない死体"に関連性はあるのか?
そしてサイモン自身は、"脳のない死体"にならなければならないのか、それともたすかる方法はあるのか?

http://www.onepointo.com/

この作品は、おもしれーずら!
一般的な評価はなぜかかなーり低そうですけど(泣)、そしてぜんぜんビッグな映画じゃないですけど、おもしろかったっす。
謎っぽさは、『SAW』的。『SAW』を観て、「きゃーこわい、きゃーいたい」ってゆーんじゃんくて「おもしろかった」という方にはおすすめです。
でも、映画ってたいていそうですけど、期待して観たらつまんないからね、期待しないで観てよ、そしてつまんなくてもさるおを怒んないでください(笑)。

2004年のサンダンス映画祭で評判だった不条理スリラー。っちゅーことになってますが、よく観れば、よく考えれば、ぜんぜん不条理ではなくて、よくできた話です。物語自体もおもしろいですけど、思わせぶりな展開がええ。さすがに『SAW』を超える謎解き映画ではなくて、わかりにくいところも残ります。なので、このレビューは今回限りの、さるお発『1.0』完全解読"風"になります。"風"ね、"ふう"。
ということで、せっかくだからここから先は、映画を観てから読んでください。

ナノマイト・バージョン1.0とは何か?
ファーム社がナノテクノロジーで作った人体に感染する工学ウイルスで、感染すると脳に作用してある特定のファーム社製品が買いたくなるという、ファーム社の超極小広告マシン。目には見えない。空っぽに見える箱に入って届き、開封すると感染する。
サイモンの場合は牛乳アレルギーなのに"ネイチャー・フレッシュ・ミルク"をどーしても買ってしまう。
感染すると感受性が異常に高くなります、"建物の声"が聞こえるほどに。バグ(欠陥)があり、感染後数日で感染者は死んでしまう。

ナノマイト・バージョン1.0.5とは何か?
バージョン1.0はある一つの商品を買わせるだけだったのが、改良版の1.0.5はファーム社製品なら何でも買ってしまう。
キャリアーが死んでしまうというまさかのバグは改良されていない。

サイモンは何のコードを送ろうとしていた?
映画の冒頭で、サイモンが期限を超過して怒られた直後に最初の死亡者が出ている。ということは、サイモンはそれと知らずに、ナノマイトのバグを取るためのコードを解読する仕事を請け負っていたはず。
後にナイルが「ファーム社はサイモンの頭脳を利用しようとしている」とも言っていて、そのときサイモンは「コードはこの中だ」と自分の頭を指さしている。で、最後にサイモンの脳は持ち去られてしまいます。

箱を送ったのは誰か?
送り主はもちろんファーム社。では届けたのは誰か?可能性は4つですね。
1. ナイルが持ってきてナイルが設置した警報装置が作動していない、ということはナイル。(ナイルはバージョン1.0の存在を知っていたし、後にバージョン1.0.5を持参しています)
2. 映画の終盤で末期症状のサイモンの部屋にどこからともなく現れたハワード、ということは、彼はサイモンの部屋に入れたはず!なので、ハワード。
3. 何を買わされていたかも明言されていいないし、アダムに余計なことをしゃべられたくないような、挙動不審のデリック。(ちょっと弱いかな)
4. セキュリティ(というより大家ののぞき趣味)の映像には怪しい人影が映ってません。ということで、サイモン自身。(感染者の"記憶能力"には問題があるかもしれません)

アパートの住人は全員感染していた?
サイモンは牛乳、大家は肉"ファーム・カット・ミート"、ポルノゲーム好きの隣人はコーラ500、看護婦トリッシュはオレンジジュース、ここまでは明言されている。
大家さん死亡。ポルノ君(名前がわかりません)も死亡。ポルノ君にゲームソフトを手渡していた怪しいトリッシュも、映画の終盤に白パンツで横たわっている映像、大きく腹式呼吸(笑)してましたけど、とにかくあれがナノマイト感染による末期症状(直後に死亡)を示唆する映像だったんだとすると、彼女も被害者ということで間違いなさそうです。
あと、エレベーター内で死んだ最初のおっさんも。
ではデリックはどうか?スナック菓子を買ってたようにも見えるけど、コニャックを飲んだりもしていて、1つの商品にはまっている様子がないようにも見える。怪しいです。
もちろん管理人ハワードも感染していません。
部外者ですが、運び屋ナイル、彼は自分にバージョン1.0.5が効いて元気になった、なんて言ってますが、怪しいですねー。

デリックは味方か敵か?
アダムが"お父さんも感染している"と言っているので被害者には違いないんでしょーが、ナノテクノロジーの知識と技術も持っていて不思議ソファーを作ったりしている。アダムが「ナノマイトは欠陥品」と言おうとしたら"お父さん"電源切ちゃった。知られたくないみたいだ。そもそも、この人はなぜアダムを作っていたのか。そしてなぜ、アダムのためにサイモンの声を採取したのか。
アダムは、誰かのPCにハッキングして(この場合はサイモンのPC)例のコードを入手するためのものだったかもしれません。実際にアダムは、大家の監視映像を盗んでいるし、サイモンのPCにアクセスするわ、電話はかけるわで大忙しですから。だとすると敵(ファーム社側)かもしれんし、あるいはファーム社に対抗する組織の一員だったかもしれません。

ハワードは味方か敵か?
サイモンを見張っていた茶色のコートに帽子の男。はっきり顔は見えませんがハワードかもしれんです。
「ハードドライブを取り除かないと死ぬぞ」かなんか言って、脳を回収していたのはハワードで、ファーム社とは何らかの関係があります。「自分の時代は・・・」という言い方を聞いていると、元ファーム社員。コオロギ形ロボットを作ったということは、少なくともエンジニアさんだった人です。ちなみに、"コオロギ形ロボット"は"バグ(虫)"です。ということはハワードは"バグ"を作った人ということになります。
例えば、巨大複合企業ファーム社のエンジニアだったハワードが、現役引退後に同社の闇の仕事をしている。実験場に選ばれたアパートの管理人になり、被験者を観察して脳を回収。ラストシーンは、これから脳をどこかに届ける、といった様子なので、この場合のお届け先はファーム社っすね。
しかーし、ハワードが最後に語る、善人と悪人(ファーム社)、目覚めたら反撃だというのが本心であれば、現役引退後に反旗を翻し、ファーム社の恐ろしい人体いじりを阻止するために活動している可能性もあります。だとすると味方で、デリックのところに書いた"ファーム社に対抗する組織"が存在するということになります。アパートの住人を見張り、感染者が死亡する直前に現れて、ファーム社員より先に"ハードドライブ"を回収していく。今も現役バリバリの研究者ってことになります。・・・ということは、敵はあの刑事さんたちだな!

ナイルは味方か敵か?
敵ではないようですが、少なくともファーム社に利用されていたのは間違いないっすね。警報装置を手配したのも彼だし、なぜか採血キットを持ち歩き、いいタイミングでバージョン1.0.5を持ってきます。

アダムとは?
デリック作のしゃべる人形君。ナノマイトの存在を知らせようと、他人のPCに接続するわ、電話はかけるわ、奮闘してますが、"お父さん"のデリックは少々手を焼いていたみたいです。
映画の冒頭でサイモンが期限を守れず、コードを送れなかった理由はPCのウィルス感染。感染後の起動で表示されるメッセージはナノマイトを示唆しているので、こりゃもう感染源はアダムかと、そう思えます。だとすると、アダムのせいでサイモンは仕事が終わらなかったとも言える。
アダムはサイモンの"脳"と話したがってました。ナノマイトの作用で感受性が異常に高くなった"脳"に、アダムは接続できると、そーゆーことですね。

刑事さんたちは味方か敵か?
さて、あの2人は本当に刑事さんなのか?
いやー、これは疑わしいっす。ハワードに関するところに書いた、"サイモンを見張っていた茶色のコートに帽子の男"、ハワードではなく刑事コンビの片割れかもしれません。シルエットはこっちに見えますね。ということは、この人たちこそファーム社員!ということは、ハワードとの追いかけっこになってるみたいです。

隣人の犬は誰の犬?
ポルノ君になついてねーよ、ぜんぜん。ところがラストシーンではおとなしくハワードの横を歩いている。ということは、ハワードの犬なんじゃないかな?
でも隣人は自分の飼い犬だと思い込んでいた。つまり、ナノマイトの作用かどうかわかりませんが、記憶操作がなされたかもしれません。

サイモンはなぜ笑っていたのか?
えーっと、この映画むずかしいな。誰か教えてくれないかな。

っちゅーかね、時代設定がまるでわからんのですが、牛乳1本と新聞1部をコンビニで買ってまさかの21ドル超え。た、高い。ファーム社がナノマイトをぶん撒かないと市場でシェアが確保できないのはこのためですから(涙)。あー、場所はアメリカのどっかです。緊急センターの電話番号が911ですからね。

心ゆくまでさるお、もんち!
 
posted by さるお at 04:24| Comment(8) | TrackBack(7) | 映画の感想文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月08日

映画鑑賞感想文『ヴェラ・ドレイク』

さるおです。
『VERA DRAKE/ヴェラ・ドレイク』を観たよ。
監督・脚本は『NAKED/ネイキッド』『SECRETS & LIES/秘密と嘘』『人生は、時々晴れ』のマイク・リー(Mike Leigh)。
出演は、ヴェラ・ドレイク役に『SENSE AND SENSIBILITY/いつか晴れた日に』『SHAKESPEARE IN LOVE/恋におちたシェイクスピア』のイメルダ・スタウントン(Imelda Staunton)。この人は舞台に立っていることが多いホンモノの実力派大女優。この人大好きです。観ていると圧倒される。泣けるほどにものすごい素晴らしい演技をする人です。
夫のスタン・ドレイクにはフィル・デイヴィス(Philip Davis)、息子のシド・ドレイクはダニエル・メイズ(Daniel Mays)、娘のエセル・ドレイクはアレックス・ケリー(Alex Kelly)。スタンの弟フランク役はエイドリアン・スカーボロー(Adrian Scarborough)、ちょっと悪役のリリーはルース・シーン(Ruth Sheen)、エセルにプロポーズするレジー役は『GANGS OF NEW YORK/ギャング・オブ・ニューヨーク』『M : i : III/MISSION: IMPOSSIBLE III』『V FOR VENDETTA/Vフォー・ヴェンデッタ』にも出ちゃっているエディ・マーサン(Eddie Marsan)、憎まれ役だけど本当は哀愁にどっぷりのウェブスター警部はピーター・ワイト(Peter Wight)、そして裁判長を演じたのが『IRIS/アイリス』のさすがアカデミー俳優なジム・ブロードベント(Jim Broadbent)。

ぐわぁー、みなさん泣けるいい演技です。まいった。
しかも、出ました、さるおが好きな"救いの無い映画"。ほんとまいった。

ヴェネチア国際映画祭金獅子賞・主演女優賞受賞、こりゃ獲るのもあたりまえ。世界中が、1つの作品、1人の女優、そしてヴェラ・ドレイクに、慈しみと賛美の拍手を送るのも、こりゃあたりまえ。
なぜかというと、えーっとですね、心の内側を描いているからです。

まず、オープニングがすごい。すごいというより、ずるい(笑)。
ヴェラ・ドレイク、知りませんか?こーゆー人、身近にいませんか?
スタメンのよい子のみんな、みんなのママ、あるいはおばぁちゃんが、こうじゃなかったかい?
女の人ってね、じっとしてないです。常に体を動かして、休みなく働く。子供の頃っちゅーのは男子も女子もナマケモノっす。オトナになっても、会社務めなんかしてる場合はけっこうナマケモノですが(働き者のよい子たち、暴言ですみません。さ、さ、さるおがナマケモノだったんだよ、本当にすみません)、さるおのパパママの世代、あるいはもっと上になると、女の人ってちょっと信じられないくらいに疲れ知らずです。"おかあちゃん"って本当にエライんだよ。こういう"おかあちゃんの姿"ってものすごく美しいんだよ。
「寸暇を惜しむ」って、こーゆーこと言うんだよね。
で、"おかあちゃんの美しさ"がさるおの心をもうわしづかみ。

1950年イギリス、労働者階級の人々が暮らす界隈でのできごとです。
ヴェラには幸せな家庭があってね、寸暇を惜しんで病気の隣人を訪ねちゃぁ明るく甲斐甲斐しく世話を焼き、忙しいしお金はたくさんないけれど、充実してて、満たされてるわけです。
ただし1つだけ秘密がある。ヴェラは、望まない妊娠をした"困っている娘さんたち"の堕胎を無償で“助けて”いたんすね。
ところが、助けた娘さんのひとりが具合が悪くなっちゃって病院に運ばれて、なんだかんだでヴェラの秘密が白昼の下に晒されるわけです。
この頃のイギリスでは"いかなる場合でも"人工妊娠中絶は重罪です。で、ヴェラは逮捕、裁判にかけられる。

警察が踏み込んできたときのヴェラの表情。あぁ、イメルダ・スタウントンってほんとすごい。
さるおは今んとこタイーホ経験がないですが、それでも息苦しいほどの動揺が伝播してきます、動かないヴェラから。
ものすごいドキッとしたんだよね、わかってたんだもん。
ヴェラの動揺が、放心が、恐怖と不安が、怯えて泣きたい気持ちが、痛いくらいに観客を飲み込んでしまう。
驚いたり、善人ぶったりしない、等身大の人間の反応をしている。怯えて恐怖に打ちのめされる等身大の姿が見える。
「家族にはどうか言わないでください」
あまりのリアリティに泣けちゃうんでござる。

その後のヴェラの心理描写もものすごいっす。イメルダ・スタウントンの底力を見せ付けられた思いがします。もう演技じゃないね、あれはヴェラだ。あー、泣ける。
追いつめられたヴェラに家族よりも先に(っつってももう家族になってるけど)声をかけるレジーという役どころも素晴らしい。
短時間でものすごい風格のジム・ブロードベントもさすがっすね。

ダイヤの心を持つヴェラは、1950年イギリスのような弱者に厳しすぎる社会で“困っている娘さんたち”を助けずにはいられなかった。
そしてダイヤの心を持つがゆえに、誰かを恨むことも反撃することもないのである。恐怖に怯えて、ただ黙って、泣きたい気持ちを我慢しているのである。

すごいな、この作品は。社会が抱える闇や、中産階級の暮らしや思想と労働者階級のそれとの対比も描いているし、幸せが一瞬にして崩れ去る厳しい試練、一家が懸命に試練をくぐり抜けようと格闘する姿、受け入れるとはどういうことか、赦すとはどういうことか、あまりに深いこれらのことを、存分に描いています。

ヴェラ・ドレイクとは何者か?
そう聞かれたら、こう答える。"聖女"だと。

"困っている娘さんたち"は救ったけれど、ヴェラの運命は救われませんでした。最短で1年半ぐらいかぁと涙目になっていたところに、2年6ヶ月の禁固刑。"思っていたより悪い"っていうね、こういうリアリティがずっしり来ます。
映画のヒロインなのに、常に予測より少し厳しい状況に置かれている。ほっとするところが無い。素晴らしい重苦しさです。

この作品には最低限の"希望"がある。ドレイク家のみなさん、レジーも一緒にね、待ってますから。
でもまたこの、待つことしかできないというリアリティが、もう少しマシな希望の欠如が、ほんと素晴らしい。

ダイヤの心を持つ聖女ヴェラ・ドレイク。あまりに無防備なヴェラの姿に泣いてしまいますよ、うん。1950年当時、その罪で収監されていた多くの人が、母であり祖母であった、"古き良き時代"の影の苦しみを思って泣いてしまいます。
素晴らしい作品です。
"動揺"をこれほどリアルに描いた作品もないんじゃないかなぁ。泣ける名演を観て泣いてください。

心ゆくまでさるお、もんち!
posted by さるお at 23:10| Comment(8) | TrackBack(13) | 映画の感想文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月06日

映画鑑賞感想文『フレッシュ・デリ』

さるおです。
劇場未公開のデンマーク映画『THE GREEN BUTCHERS/フレッシュ・デリ』(原題:DE GRONNE SLAGTERE)を観たよ。
監督・脚本は『IN CHINA THEY EAT DOGS/ゼイ・イート・ドッグス』の脚本家アナス・トーマス・イェンセン(Anders Thomas Jensen)。
出演は、この後『KING ARTHUR/キング・アーサー』なんかに堂々と出てしまったマッツ・ミケルセン(Mads Mikkelsen)と、さるお的名作『JOLLY ROGER/キング・オブ・パイレーツ』のニコライ・リー・カース(Nikolaj Lie Kaas)!

北欧映画らしいトーンのホラー・コメディだYO!
おもしろかったです。静か〜な笑い満載ですが、中でもボウリングのイメトレ・シーンがいちばん笑えます、ここはベタベタですけど。スヴェン最高。
ストーリーは言うまでもなく、人肉マリネ"チッキー・ウィッキー"屋の話(爆)。

フレッシュ・デリ.jpg

文字にしてしまうと身も蓋もないですが、ちゃんとドラマがあるんだよ。不器用なスヴェンが抱える哀愁といらだちと狂気。それから、ビャンが7年前から引きずる過去、7分違いで生まれた双子の弟アイギルとの対峙。そしてじつは、マリネソースが美味かったんだという、まさかの泣かせる展開(笑)、いやぁ〜、ドラマっす!

驚きの強引なエンディングね、リーネ・クルーセ(Line Kruse)演じるアストリッドは、えーっと、まだたぶん知らないんすよね。ということで、肉屋の男2人のヒミツっす。

さるお的にはすごく愛おしい名作『JOLLY ROGER/キング・オブ・パイレーツ』の方は、絶対にさるおを怒らない広い心の優しいよい子必見だYO!(ほんとにおもしろいんですが、とにかく今のうち謝っときます。ごめんなさい、迷作です。)

心ゆくまでさるお、もんち!
posted by さるお at 23:03| Comment(2) | TrackBack(1) | 映画の感想文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月04日

映画鑑賞感想文『イーオン・フラックス』

さるおです。
『AEON FLUX/イーオン・フラックス』を観たよ。
監督はカリン・クサマ(Karyn Kusama)。女の子が作った女の子が戦う映画、そんな雰囲気はありますねー。
出演は『MONSTER/モンスター』『NORTH COUNTRY/スタンドアップ』のシャーリーズ・セロン(Charlize Theron)。『モンスター』で太った私を観たかもしれないが、あれは気のせい、といわんばかりの大露出(笑)。
そして、けっこうおいしいシサンドラ役に『HOTEL RWANDA/ホテル・ルワンダ』でも好演が光っていたソフィー・オコネドー(Sophie Okonedo)と、本当は善人だったトレバー役にはマートン・ソーカス(Marton Csokas)、トチ狂った弟オーレン役はジョニ・リー・ミラー(Jonny Lee Miller)、イーオンの妹ユーナはコリン・ファレルの元妻アメリア・ワーナー(Amelia Warner)、反政府組織"モニカン"の司令長官ハンドラーは『スタンドアップ』で続けてシャーリーズと共演しているフランシス・マクドーマンド(Frances McDormand)。

『キルビル』のユマさんには到底及ばないが(←これはさるおの中では断固としていちばん)、『バイオハザード』のミラさんにもわずかに及ばないが、ドスンドスンとやや体の重そうな『トゥーム・レイダー』のアンジェリーナとなら互角の強さのシャーリーズ。かっこええですね、ほとんど笑けるまさかの強さ。ミッションがインポッシブルなトムとも互角。記憶喪失スパイのマット・デイモン相手なら勝てるか。身体機能的には*ジェミー・ソマーズとも互角。強いな。いや、古いな。(*バイオニック・ジェミーだYO!古すぎて自分に号泣)
フツーにおもしろかったっす。

えーっと、ネタばれて申し訳ありませんが、おおすじは『THE ISLAND/アイランド』とそっくりですので、覚悟!
クローン祭り開催中の未来で、地球は汚染された、かなんか言って、囲いの中で生きているんだけれども、いろいろ気に入らねぇぞ、とか言って戦って、壁をぶち破り、じつは外は汚染なんてされてなくて、クローン解放。これからどうしよう?という、話が始まったところで映画は終わりです(大泣)。
身体能力が極めて凡人のユアン・マクレガーが戦うか、笑ける強さのシャーリーズが戦うか、そこが違う。(それだけか、おい)
あ、そーいえば、それだけじゃなかった。『アイランド』は臓器目的の商売の話でしたが、『イーオン・フラックス』では不妊の人類を存続させるための世界が舞台。ところがクローンが妊娠するようになっちゃって、"トチ狂った弟オーレン"的には商売上がったり。そーゆー話でした。
悪だと思っていた政府の中にも善はあり、善だと信じて命を捧げるつもりだった"モニカン"の中にも独善的な"独裁"がある。そーゆー複雑さにはリアリティと深みがあります。

映画で"独裁国家"なるものが出てくるときは、たいてい赤黒の旗なんか掲げちゃって、ナチス的なやつをやってますが、『イーオン・フラックス』では日の丸です。ドイツはもちろん、世界中でタブー扱いのナチスの鉤十字と違って、にっぽんでは日の丸って現役なわけです。えーっと、さるお自身は近代史におけるいろいろを考えた上で日の丸も君が代もヒジョーに客観的に眺めつつその内側の文化を知る立場としてある種の感慨を持っているわけですが、とにかく一部の人にとっては、不快とはいかないまでも、ファシズムの象徴としてまんま扱われるのは複雑かなぁと思って観てました。
が、あそこの親方はいい人でしたね。弟君がワルモノだった。ということは、"独裁"の旗印ではなかったわけです。
ま、映画だからね、どーでもいいんだよ。というか、日の丸出てきてちょっと笑いました。市民のよい子たちもスゲ笠かぶったり、番傘さしたり、和テイストまっしぐら。
イーオン・フラックスさんは"忍者"ですから、シサンドラさんも忍法炸裂。全身武器の美しき忍び。つまり"くのいち"さんです。そういえば、『修羅雪姫』的な悲壮感に満ちてます。あ、昔の『修羅雪姫』ね、さるお大絶賛の映画です。よい子は観てください、1作目だけね。
ついでに、イーオン(Aeon)はラテン後で"永遠"ってゆー意味です。永遠を飼われて生きるか、1度だけの限られた人生を懸命に生きるか、そーゆーテーマの映画の主役の名前が"永遠"。おもしろいっすね。

ちなみにこのワルモノ国家はまさかの財閥系、つまり"個人で所有する"国家なわけですが、その名もグッドチャイルド(爆)。これにはわろたー。おもしろい。風刺の心は忘れてない映画です(笑)。

ハラハラと舞う桜の中で、強すぎるシャーリーズが壮絶バトル。不思議な構えの二丁拳銃で後ろの敵もやっつける。行け行け、イーオン!
ええですね、桜は。美しい。
しかーしあまりに美しすぎて、最近多い映像美以外が心に残らない中国映画をいろいろ思い出しました。タイトルもまるでわからんですが、『マトリックス』のカラー版みたいなの、いっぱいあるじゃんか、最近の中国映画って。(マトリックスは白黒かよ)
で、ハリウッドの『マトリックス』をマネた中国映画をまたハリウッドがマネたんだなぁと、そう強く思いました。あー、これは映像の話ですけど。

さるお的にいちばん気になるのは『イーオン・フラックス』のロゴですね。

AEON FLUXのロゴ

「木を植えています 私たちはイオンです」のイオンさんに、いいのかな、こんなに似てて(涙)。

木を植えているAEONのロゴ

http://www.aeonflux.jp/

とにかく、あらゆる局面で、シサンドラさんがいてくれてたすかりました。
今度オリジナル・アニメの方も観てみます。

心ゆくまでさるお、もんち!
posted by さるお at 20:14| Comment(4) | TrackBack(29) | 映画の感想文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年09月30日

映画鑑賞感想文『クラッシュ』

さるおです。
『CRASH/クラッシュ』を観たよ。『クラッシュ』という映画はたくさんあるので、えーっと、アカデミー賞3部門を制した2004年のCRASHです。

監督は『MILLION DOLLAR BABY/ミリオンダラー・ベイビー』のポール・ハギス(Paul Haggis)。
出演は『HOTEL RWANDA/ホテル・ルワンダ』のドン・チードル(Don Cheadle)、マット・ディロン(Matt Dillon)、怒りっぽい偏見女を演じているときがいちばん素敵な(笑)サンドラ・ブロック(Sandra Bullock)、『TAXI NY』のジェニファー・エスポジート(Jennifer Esposito)、ウィリアム・フィクトナー(William Fichtner)、『THE MUMMY/ハムナプトラ』のブレンダン・フレイザー(Brendan Fraser)、テレンス・ハワード(Terrence Howard)、クリス・“リュダクリス”・ブリッジス(Chris 'Ludacris' Bridges)、『THE CHRONICLES OF RIDDICK/リディック』のタンディ・ニュートン(Thandie Newton)、ライアン・フィリップ(Ryan Phillippe)、ラレンズ・テイト(Larenz Tate)、マーヴィン・ゲイの娘ノーナ・M・ゲイ(Nona M. Gaye)、マイケル・ペーニャ(Michael Pena)、迫力あるロレッタ・ディヴァイン(Loretta Devine)、ショーン・トーブ(Shaun Toub)、ビヴァリー・トッド(Beverly Todd)、キース・デヴィッド(Keith David)、『SAW III』にも出ちゃうバハー・スーメク(Bahar Soomekh)、トニーダンザ(Tony Danza)、カリーナ・アロヤヴ(Karina Arroyave)、ダニエル・デイ・キム(Daniel Dae Kim)

これは切ない群像劇です。群像劇ってゆーとなんとなく退屈な作品が多いような気がしないでもないですが、これは佳作なドラマだな。
"群像"なので、こりゃこまかく書けません。みなさんの諸事情を描いてるから。
さまざまな人種、それぞれの事情、価値観、思い込み、いろんなものが入り混じり絡み合って、人と人、人種と人種の間に、摩擦が起きている。その緊張感から一気に引き起こされる"クラッシュ"の連鎖が、人々の運命を大きく揺さぶる。
観ているこっちも揺さぶられます。

もちろん同じ人種であっても人々は衝突しあうんだけどさ、映画『クラッシュ』はロスという舞台をうまく使って、人種間の偏見を描いてますね。でも説教じみてるわけではなく、淡々と、哀しく切ない運命の交錯を描いています。
登場人物それぞれの人生がぶつかり合う終盤は、鮮烈ですらある。
人間ってね、不器用だなぁ。

http://www.crash-movie.jp/
じんわりと息苦しい、ほんとにいい映画だよ。
LAに降る雪に、また考えさせられてしまいます。

心ゆくまでさるお、もんち!
posted by さるお at 21:31| Comment(6) | TrackBack(41) | 映画の感想文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年09月24日

映画鑑賞感想文『Vフォー・ヴェンデッタ』

さるおです。
『V FOR VENDETTA/Vフォー・ヴェンデッタ』を観たよ。
監督は『STAR WARS: EPISODE II - ATTACK OF THE CLONESスター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃』『THE MATRIX RELOADED/マトリックス・リローデッド』のアシスタント・ディレクター、ジェームズ・マクティーグ(James McTeigue)!
脚本はウォシャウスキー兄弟(Larry Wachowski & Andy Wachowski)!
うん、これだけでもうすごいですよね(笑)。
出演はイヴィー役にナタリー・ポートマン(Natalie Portman)、V役にヒューゴ・ウィーヴィング(Hugo Weaving)。
うん、これでもうファミリーですよね(笑)。
フィンチ警視はスティーブン・レイ(Stephen Rea)、サトラー議長はジョン・ハート(John Hurt)、クリーディはティム・ピゴット=スミス(Tim Pigott-Smith)ゴードン・ディートリッヒはスティーブン・フライ(Stephen Fry)。

いやぁ、こりゃおもしろかったっす!壮大で、映像的にも精神的にも影の多い、大スクリーン向きの大作です。ポリティカル・ファンタジー万歳!

舞台は近未来のイギリス。ヨーロッパ各地でぼかんぼかんと核戦争をやったら、ファシズムによる最悪の全体主義国家になっちゃった。アメ〜リカなんてイギリスの植民地ですから。メディアも支配され、プロパガンダしか流れません。秘密警察が大威張りで乱暴をはたらいたりしている。マイノリティや同性愛者は問答無用で強制収容所送りですよ。こわい。
こーゆー権力構造を象徴するエライ人のスピーチなんかの場面はほとんどナチス・ドイツのパロディですが、ハイテク国家になっているあたりがナチスの雰囲気を一歩進めた感じで、近未来ナチスです。
この政府に立ち向かうのがアナーキストの"V"さん。ガイ・フォークスのにんまり顔マスクで現れて、異様なまでにドラマチックさにこだわり、チャイコフスキーの『1812年』の調べにのって暴力的に体制を崩壊させるヒーローですね。というかほとんど爆破アーティスト(爆)。

People should not be afraid of their governments. Governments should be afraid of their people.

そうそう、Vさんは過激な破壊活動家っす。自由のためなら、国会議事堂をぼっかーんだ!ということで、V自身が"正義"とスレスレのところにいます。世が世ならただのテロリストですが、劇中では世が世なのでヒーローです。Vさん登場シーンの爆裂マシンガン自己紹介もかっこええですが、電波ジャックして流すスピーチの内容もまさに"正義"、説得力ありすぎてまじめに聞いてしまいました。
ちなみにVさんのあのシンボルはアナーキストのシンボルの○の中にAが書いてあるやつのパロディっすよね。他にもいろいろ細かいところにこだわってそうだなぁ、丁寧に観るときっとさらにおもしろいっすよ。

Vさんの過去がすごく知りたいんですけど、あんまり明かされないね。かつて強制収容所に入れられていて、そこではおそろしい人体実験をやっていて、Vさんも被験者にされてて、実験の結果スーパーマンになっちゃった人。すさまじい悲劇の結果生まれたヒーローらしいぞと、そんくらいしかわからん。何しろ、V視点の物語ではないです。イヴィーちゃんやらデカさんやら、あるいは官僚視点です。
名前は"V"1文字しかないんだなぁ、ということは、強制収容所の独房の"V"であって、「5番君」と呼ばれていたと思われる。本人も本当の名前は覚えていないと思われます。うーん、そーいえばあちこちが"V"だらけだ。

で、イヴィーを使った強制収容所の再現シーンは迫力あっていいっすね。自分が"V"になるまでの追体験の設定で、イヴィーをじゃんじゃんいじめるわけです。イヴィーが自分と同じ高みに上ってくるまで、追いつめていきます。ある意味、二代目Vの誕生。身体的には同じにできないので、まぁハートだけは二代目V。イヴィーの方もいじめられて怒ったけれど、ついに自身の内にある"正義"に気づきます。
Vさんの本気度がわかりますねー。
10年もかけてひとりでコツコツと、線路をなおしたYO!
つくづく、Vさんの本気度がわかりますねー。途中で「何やってんだ、V」と自問自答しないあたりがド根性野郎です。

最後のシーンはまるで、全体主義国家の新バージョンに見えちゃいましたけど、いいのかな、あれで。"自由"に向かったはずなんだけど、あんなに整然としていて、この人たちだいじょうぶかな。そこだけが気になりましたね。

しかしまぁ、アメ〜リカが近未来ナチスの植民地んなってる映画をイギリス・ドイツで共同製作してるあたりがおもしろいっすね(笑)。

ところで、ヒューゴ・ウィービングにはびっくらこけた。顔なんか1度も出てきませんから。このシゴト受けただけでもすごいっすけど、いやぁ、演技がすごすぎてまいったYO!これはねー、説明できないっす。とにかくすごい。背負ってるものと温かみと使命感と色気と、あらゆるものを発散してます。あんたが大将!

残念ながら、モデルとなった本物のガイ・フォークスは、Vのような死に方はしてません。"首吊り・内臓抉り・四つ裂きの刑"って聞くだけでもう許してほしくなる極刑に処されたようですが(泣)、実際には処刑の日までの拷問で衰弱しすぎて絞首台に自力で上れず、拷問死です(大泣)。
Remember, remember the 5th of November.
11月5日(ガイ・フォークス・ナイト)は、彼が拷問され、本名(Guido Fawkes/グイド・フォークス)と火薬陰謀事件に関わったことを自白した日ですね。

心ゆくまでさるお、もんち!
posted by さるお at 19:48| Comment(4) | TrackBack(44) | 映画の感想文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年09月21日

映画鑑賞感想文『ホテル・ルワンダ』

さるおです。
『HOTEL RWANDA/ホテル・ルワンダ』を観たよ。
監督・製作・脚本は『IN THE NAME OF THE FATHER/父の祈りを』のテリー・ジョージ(Terry George)。
出演はポール・ルセサバギナ役に『CRASH/クラッシュ』のドン・チードル(Don Cheadle)、ポールの妻タチアナ役にソフィー・オコネドー(Sophie Okonedo)、オリバー大佐はニック・ノルティ(Nick Nolte)、カメラマンのジャック・ダグリッシュ役にホアキン・フェニックス(Joaquin Phoenix)、ほか。

さるおがアフリカに行ったのは2003年です。この作品の舞台となったルワンダの隣国タンザニアに行きました。
映画の終わりに、何人かの人々がタンザニアに逃れています。あぁ、近くだったんだなぁ。
もちろんアフリカに行きたいと思った時点でアフリカのことはいろいろ勉強しました。でもまた、あらためて思いますね、近くだったんだなぁと。泣けてきます。本当に。

1994年、ルワンダ。もうずっーっと内戦やってたわけですが、この作品で描かれるフツ族とツチ族の衝突の臨界点(この場合はフツ族によるツチ族の一方的な虐殺)は、1994年、つい昨日のできごとです。民族対立ってなんですかね。あんたはフツだから貧困にとどまれと、あんたはツチだからその上の階級だと、よそから勝手にやってきたヨーロッパ人が決めるわけです。
さるおが行ったタンザニア(あるいはケニア)のマサイ族だって同じです。「あんたらマサイ、この四角の中から出ないでね」と勝手にやってきたイギリス人が言っただけです。「おれたちマサイ」なんて誰も言ってない。

勝手にやって来て、勝手な秩序を押し付けて、格差を生み、差別を生み、貧困を生み、絶望を生み、希望だけは搾取して去って行く。それが歴史が物語るヨーロッパ人です。ひどいなぁ。
ぎりぎりの均衡を保っているうちはいい。格差を受け入れ、差別を受け入れ、貧困を受け入れ、絶望を受け入れる、そういう土壌のある地域というのは存在します。その弱さも罪の一部ではある。そのシステムが機能してしまう、そーゆー社会です。被支配者もまた、支配されることを選び、慣れ、支配されていることを忘れるという、罪の一部を内包している。

ただ、均衡が崩れて臨界に達したとき、おびただしい量の悲劇が起きる。隣人が殺され、自分は隣人が殺されていくのを見ているだけです。友人の屍でできた道を、自分は友人を踏みつけて歩かなければならない。自分の親や我が子の屍でできた道を。
こんなことは起きてはいけない。

2、3年くらい前かな、同じアフリカのコンゴだったかアンゴラだったかスーダンだったかどこだったか、その国の内戦の実情を書いた記事を読んでね、ショックで大泣きしました。内戦だから、国内で2大勢力がぶつかってるわけね。で、一方のゲリラ軍がね、5、6歳のコドモを誘拐してくるわけです。で、その子の母親も別に連れてくる。で、コドモの方にナイフを渡して、母親に引き合わせるわけです。そして、「ママの腕をそのナイフで切断しろ」と命令する。当然嫌がります。そんなおそろしいことできない。ところが「やらないなら、おまえもママも殺す」と言われてしまう。
これはもう切るしかないわけです。いや、楽に死なせてくれるなら殺されるほうがよっぽどいいんですけど、そうはいかないわけです。6歳のコドモが、生きている人間の腕を、しかも母親の腕を、正気で切断できるはずない。おそろしすぎる。あまりにおそろしすぎる。
狙い目はそこです。正気で切断できるはずがない。だから狂ってしまえということです。
つまりこれは、アサシン養成。こんくらいを乗り越えないと、真のゲリラ屋にならん、"殺人"という行為への恐怖を麻痺させて戦士を作りあげよう、そういう活動が現実に行われている。
こんなことはあってはならない、断じて。6歳のコドモの手を母親の血で染めてはいけない。
ショックで泣きました。恐ろしくて恐ろしくて、そして怒りで体が震えました。誘拐担当のおまえ!命令してるおまえも!勝手に自分の両手両足でも舌でも首でも切ればいいじゃないか!何やってるんだ、人間は。何て愚かなんだ、人間は。

タンザニアを旅する前年にさるおはカンボジアにも行きましたが、あそこのコドモらも手とか足が地雷で吹っ飛んでいます。何て身勝手なんだ、この世界は。

映画『ホテル・ルワンダ』は観なければならない作品ですが、観て、話術と知略だけを武器に家族と1200人もの人々の命を守り抜いた1人のホテルマンの奇跡の逸話だ!と感動している場合ではないです。
絶対に価値ある作品であることに異論はないですが、閉じた世界で起きている悲劇と、グローバルな規模で行われている茶番劇を、本当に伝えきったのかどうか、少し疑問です。
This movie, “Hotel Rwanda” will be a wake-up call. Take the message and be a messenger!
世論は実際に動いたようですが、あれで伝わったのかな?虐殺の実態と何より大事なその背景は伝わったのかな?個人的なドラマになりすぎてないかな?
冒頭からミル・コリンで将軍達が会合を持っていたシーンも重要だし、そこにポールが入っていく意味も重要、4つ星だということだけが命綱、ミル・コリンが外国資本だということの意味が本当にわかっていないと背景がうまく見えてこないんじゃないかなぁ?

劇中にこんなシーンがあります。カメラマンのジャック(ホアキン・フェニックス)が決死の覚悟で撮影した"虐殺"、その映像を観て、「ひどいわね」と言ってどうせまた夕食を続けるんだと。そしてポールも言います、「みんな(欧米諸国や国連)恥ずかしくなって、たすけに来るさ」と。
観客ひとりひとりに宛てたメッセージではないかな。晩飯を食い続けるさるおに、恥ずかしくなれと。

さるおね、小学生のころ、「ユニセフにぼきんするとごはんがない人をたすけられるんだってー」と学校で言われたとおりにさるおママに報告したことがありました。そしたら聞かれました、「何してあげたいと思うの?」って。で、きっと秋だったんだよね、「なし(梨)むいてあげたいね」って答えたんだよ、さるお。うちのママさんは言いました。「オトナになったらよく考えて、自分で持てるだけ梨持って、自分の足で行ってみなさい。自分の手でむいてみなさい。梨を食べさせたいんなら、自分で方法を考えなさい」
今ならわかる、その複雑さが。そして、あるいは一握りの飛び込んでゆく人たちがいることも。
「うん、そうだね」って返事したはずなのに、さるおは「ひどいね」って言ってまた晩飯食ってます。何やってんだ、さるお。実際に、遠くの誰かをたすけている余裕もないし、もし誰かをたすけるならば身近なところが優先です。それが世界というものです。大切なのは、"なぜ虐殺が起きたのか"、"なぜ貧しいのか"を知ることです。

映画としてすごい傑作だとは思いません。虐殺の事実は伝わっても、"なぜ"という、感傷では済まない部分は伝わったのかな?
そうね、a wake-up callだな。
それでもたまには世界を知って、自分を恥じて自分を呪い、世界を恥じて世界を呪い、泣かなければいけないと思います。もちろんルワンダ以外にも、そして自国も。

もうひとつ大事なのは、「欧米のモノをすべて受け入れて、自分も支配層と変わらない、そんなふうに思ってしまった」というポールのセリフ。ここは深いっすね。被支配層の愚かさです。被支配層が罪の一部を担ってしまう。象徴的な重いセリフです。欧米のモノをすべて受け入れた自分を過ちだと嘆きながらも、舶来の4つ星というその"品格"にたすけられたのも事実です。

エンディングの曲がまた泣けてきますねぇ。

日本語の公式サイトはこちらです。
http://www.hotelrwanda.jp/
こっちは英語ですが、より雰囲気が伝わるかな。
http://www.hotelrwanda.com/

ブログじゃなくてメールマガジンの、本家"ヨタ話★スターメンバー"に、ぜんぜん明るいですけどさるおの旅行記があります。タンザニア編は『さるおのアフリカ珍道中』、カンボジア編は『カンボジア』です。

心ゆくまでさるお、もんち!
posted by さるお at 00:21| Comment(22) | TrackBack(63) | 映画の感想文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年09月20日

映画鑑賞感想文『ヒストリー・オブ・バイオレンス』

さるおです。
『A HISTORY OF VIOLENCE/ヒストリー・オブ・バイオレンス』を観たよ。
監督は『NAKED LUNCH/裸のランチ』『EXISTENZ/イグジステンズ』のデヴィッド・クローネンバーグ(David Cronenberg)。
出演は帰還した王様ヴィゴ・モーテンセン(Viggo Mortensen)、エド・ハリス(Ed Harris)、マリア・ベロ(Maria Bello)、ウィリアム・ハート(William Hurt)、そしてクローネンバーグとよくタッグを組んでいるピーター・マクニール(Peter MacNeill)。

これはちょっとwww.allcinema.netの解説を引用してみます。

ある事件をきっかけに夫の過去を巡る黒い疑惑が浮上、平穏だった一家が暴力と罪の渦に呑み込まれていくさまを、リアルでショッキングな暴力描写とともに綴る衝撃のサスペンス・ドラマ。
インディアナ州の田舎町で小さなダイナーを経営するトム・ストールは、弁護士の妻と2人の子どもとともに穏やかな日々を送っていた。そんなある夜、彼の店が拳銃を持った2人組の強盗に襲われる。しかしトムは驚くべき身のこなしで2人を一瞬にして倒してしまう。店の客や従業員の危機を救ったトムは一夜にしてヒーローとなる。それから数日後、片目をえぐられた曰くありげな男がダイナーに現われ、トムに親しげに話しかける。人違いだと否定するトムだったが、トムの過去を知るというその男は、以来執拗に家族につきまとい始める。

おもしろそうですね!すごい映画ですよ、きっと!

以下はさるおのレビューです。(たぶんレビューは3行だけ)

ものすごーい静かで、ものすごーい華のない、『THE BOURNE IDENTITY/ボーン・アイデンティティー』を観たYO(爆)!
きわめて凡人のトム・ストールが銃を持ったらスゴ腕だった!俺は誰だ!
すると目の前にメン・イン・ブラックが現れて、「じつはおまえはジョーイなのだ!」とか言うわけね。

で、だんだんと、自分もうっかり忘れていたジョーイだった過去の自分を思い出し、「騙したわね!嘘つき!」とかって妻に怒られ息子に怒られ、しょーがないから過去を清算するためにおとうちゃん家出(涙)。
自分の過去にかかわるワルモノたちを、なぜかヒジョーに緩慢なアクションで、ばったばったとやっつけて帰宅すると、妻怒りっぱなし息子怒りっぱなし(大粒の涙)。家族に入れないおとうちゃんを娘が不憫に思ってくれる、という、あ、えっと、その、うーんと、書いてしまうと身も蓋もない話です(号泣)。

えっとですね、けっこうおもしろかったです。(あたふた)

冒頭のシーンで、事務所の前にクルマ回しといてくれって、あの距離かっ、おまえーっ!と思ってしまったのが敗因でした。

心ゆくまでさるお、もんち!
posted by さるお at 20:42| Comment(0) | TrackBack(12) | 映画の感想文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年09月19日

映画鑑賞感想文『ロード・オブ・ウォー』

さるおです。
『LORD OF WAR/ロード・オブ・ウォー』を観たよ。
監督は『GATTACA/ガタカ』『THE TRUMAN SHOW/トゥルーマン・ショー』『S1M0NE/シモーヌ』のアンドリュー・ニコル(Andrew Niccol)。
出演は、製作にも名を連ねるニコラス・ケイジ(Nicolas Cage)と、『ALEXANDER/アレキサンダー』(←コリンがまさかのパツキン)でヘファイスティオン役を演じた思いっきり美貌の男(さるおと同い年なのにね、ものすごい違い(泣))ジャレッド・レトー(Jared Leto)、商売敵のおじやんはビルボ・バギンズ、違った、イアン・ホルム(Ian Holm)。そして、なんだか最近むさむさの表情でいい演技してますが今回は目立たないイーサン・ホーク(Ethan Hawke)。

おもしろいね、この映画。
シニカルに、コミカルに、「ちゃんと戦争やってくれー」なんて言いながら、軽快なフットワークで快進撃を続ける史上最強の成り上がり武器商人ユーリー・オルロフの物語。
「今、世界には12人に一丁の銃がある。次の課題は、ひとり一丁の世界だYO!」
そうですよね。それ行けユーリー!商売熱心でエライあんたは、あきんどの鑑だ。

これもね、実話に基づいた作品です。ユーリー・オルロフが笑えるほどに淡々としたスゴ腕セールスマンだったかどうかは知らないけど、大事なところは、彼の存在が"悪"ではなく"必要悪"だという点。つまり、お客がいる。単なるビジネスです。"これがやっとみつけた天職だから辞められないという葛藤"などなありません。"必要悪"を体現する道を選ぶという、ブレない存在としての"個人"です。
本当の武器商人は安全保障理事会を構成する常任理事国(アメリカ、イギリス、フランス、ロシア、中国)だと、これはもう今さらわざわざ映画で言われなくてもわかっていることとはいえ、これだけコミカルな作品ではっきり言っていただけると気持ちがスッキリしますね(笑)。
ま、そんなことを言ってしまう作品だからハリウッド資本に締め出されてしまいましたが(涙)、そんなもんに屈しちゃだめずら。その意味でこの作品は骨太コメディ、えらいっす。

もうひとつ重要なのは、少数民族が武器を必要としている点。
彼らの、力を拡大しようとする欲と、恐怖心や罪悪感の欠如はリアルな感じしますねぇ。あれは単なる"麻痺"ではないような気がします。モラルから切り離された地域があり、モラルから切り離されて生きる人々がいる。その事実をまずは受け止めないといけません。
こう言ってはなんですが、あれは"統治"という社会システムのひとつの側面なんじゃないかな。
今も世界のあちこちで戦争やってます。そのうちのいくつかには、第3者による"正義"なる大義名分がある。ある地域の内戦状態を解決しようという正義があります。でも、その正義のための戦争を経て、国や地域がよくなるのかというと必ずしもそうではない。
あるいは、国内の2大勢力がぶつかって片方が勝ち、ある種の独裁がはじまるわけですが、それが上記のように"仲裁された場合"と比べて不幸なのかというと、そうでもない。
支配構造、権力構造というものには、そもそも"悪"が内包されてしまっているわけです。だからその"悪"の部分だけを取り除こうとしても無理なんだよね。
これはものすごく哀しい話ですけど、とにかくそーゆー"悪"なるシステムが、そこでは機能してしまう。

なぜここに銃があるのか。なぜそこに銃があるのか。どうしてそれを手に取るのか。その銃はどこから来たのか。
感情論などでは一切解決しない、現実があるねぇ。

さるおが少しおもしろいと思ったのは終盤のひこうき。大型輸送機が置き去りにされて1晩で、すっかり分解されて骨組みしか残ってねーずら!
あれを住民が持つ生きるため強さだと思って終わるのか、それとも、きっかけさえあれば、その逞しい強さは経済的な二極化を解決する原動力になると感じるか、そのへんも深いっすね。

ユーリーの弟ヴィタリー、笑えるくらい悪循環を繰り返すヤク中男ですが、観ている側にとっては彼がいちばん感情移入の対象になると思います。溺れてしまう弱さと、激情型だけれど最後は自分の良心に従う強さが、彼の中で共存している。いやぁ、彼の最期にはちょっと切なくなりました。
で、それがユーリーに与えたインパクトがまた苦しい。それでもユーリーは"必要悪"であり続けるわけで、それがこの映画が訴えかけてくるメッセージなんだと思います。無くならない"必要悪"。"必要悪"で食い続ける社会。足を洗えない、人の強さと弱さ、したたかさと脆弱さ。

ちなみに、ウクライナ生まれの1発の弾丸目線(生産ラインから西アフリカで少年の頭を貫通するまで)で描かれた"弾丸の一生"みたいなオープニングが、えっと、チョコレート工場長のヒミツ、じゃなくて、何だっけ、えーっと、『CHARLIE AND THE CHOCOLATE FACTORY/チャーリーとチョコレート工場の秘密』!あれにそっくりで飽きました(笑)。
食品の生産ラインは絵にすると可愛くておもしろいんだけど、うーん、弾丸はつまんないです。しかも何も訴えてない感じで、あのオープニング映像の役目は、コミカルな映画だよっちゅー紹介のみですね(涙)。もっと深い(明るさはあのままで)オープニングだったらよかったなぁ。
で、『チャーリーとチョコレート工場の秘密』は2005年9月公開作品、『ロード・オブ・ウォー』は2005年12月公開作品。ほんとに、似たモノって同じ時期に作られますね(泣)。そーゆーところはつまんねーなぁ。

関係ないですが、みなさんご存知だと思いますけど、ニコラス・ケイジの家ってすごいよね。本名はニコラス・キム・コッポラ(Nicholas Kim Coppola)、そうっす、あのコッポラっす。叔父さんがフランシス・フォード・コッポラ(Francis Ford Coppola)でその娘はソフィア・コッポラ(Sofia Coppola)息子はロマン・コッポラ(Roman Coppola)、ロマンのお母ちゃんがエレノア・コッポラ(Eleanor Coppola)におじいちゃんのカーマイン・コッポラ(Carmine Coppola)、叔母さんはタリア・シャイア(Talia Shire/Talia Rose Coppola)で、おにいちゃんはクリストファー・コッポラ(Christopher Coppola)、弟さんはマーク・コッポラ(Marc Coppola)、ほかの従兄弟はジェイソン・シュワルツマン(Jason Schwartzman)で、ケイジ元妻はパトリシア・アークエット(Patricia Arquette)。はぁはぁはぁ。すごいっす。

心ゆくまでさるお、もんち!
posted by さるお at 23:13| Comment(4) | TrackBack(35) | 映画の感想文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年09月02日

映画鑑賞感想文『バタフライ・エフェクト』

さるおです。
『THE BUTTERFLY EFFECT/バタフライ・エフェクト』を観たよ。
監督は『FINAL DESTINATION 2/デッド・コースター』のエリック・ブレス(Eric Bress)とJ・マッキー・グルーバー(J. Mackye Gruber)。
出演は、主人公エヴァン役は、ラーメンガールとつきあったり熟女デミ・ムーアとつきあったりしている"世界で最も美しい50人(2003年ピープル誌)"のトップに輝いたアシュトン・カッチャー(Ashton Kutcher)。未公開作品やTV映画が多いエイミー・スマート(Amy Smart)、『IDENTITY/アイデンティティー』のウィリアム・リー・スコット(William Lee Scott)、『SHE'S ALL THATシーズ・オール・ザット』のエルデン・ヘンソン(Elden Henson)、主人公のママ役はいい映画ばかりに出ているメローラ・ウォルターズ(Melora Walters)、そして1984年年に、『BACK TO THE FUTURE/バック・トゥー・ザ・フューチャー』の主役に起用されるが途中で降板させられたという、本当に本当に冗談抜きでマイケル・J・フォックス(Michael J. Fox)にうりふたつのエリック・ストルツ(Eric Stoltz)。

えーっと、観賞直後のさるおの第一声は、「ドラえもんだな」です(爆)。
で5分後に、監督2人が『FINAL DESTINATION 2/デッド・コースター』を撮った人たちだと気づいて二声目「ファイナルデスティネーションだな」です。

でもおもしろかったんだよ。かわいそうになりながら夢中で観た。のび太、無理しすぎだ。しずかちゃんもかわいそうだ。
"過去をいじくる"という"神にも許されない行為"を許された父子の、子のほうの物語ですが、まーとにかく、その代償が大変なわけです。
しずかちゃんもだけど、特にジャイアンとスネ夫ね(体型は逆ですが)、過去のたったひとつのできごとの結果が違うだけで(つまり"蝶の羽ばたき"が)、こうまで人生を大きくシフトする(竜巻をおこす)ものなのか、この映画はファンタジーだけど、いや、現実にそーゆーもんなのかもしれないなぁと、しみじみ思いましたね。やっぱり人間ってゆーのは過去の積み重ねなわけだよね。ほんのちょっとの小さなできごとが、その後の運命の第1歩なわけで、何でもないはずの言動が思わぬ結果を生んだりするんです。
もしもあの時、といういわゆる"たら・れば"の結果として運命に翻弄される登場人物の姿は、フツーにぼくたちの想像力内にあるわけです。運命を呪う、そういう視点の作品です。

そーゆーことを想像するのはたいてい困ってるときっすね。
もしもあの時こうしていたら、もっとマシな現在だったかもしれない。
ところが、過去を変えてしまうと現在には別の不具合が生じている。周囲の人物の人生は大きく様変わりするのに、主人公にとって問題は常に解消されない。ということは、この映画はある意味"運命論的"なわけです。過去をちょっといじったところで、ノープロブレムな現在にはならない。"神にも許されない行為"を許されたのび太だけが、運命を超えられないわけです。
で、究極の切な〜い選択へと疾走する。
めいっぱい感傷的なときに誰でも考えることじゃないかな。出会わなければよかったとか、自分なんて生まれてこなければよかったとか(←こりゃDC版だな)。
フツーはこれは願ってもできないので、"自暴自棄"と呼びますね(涙)。
ところがこの映画ののび太にはそれができるので、そーゆー自己犠牲で思い切った運命の転換を実現する。とても静かな、それでも極限のカタルシスでのみ、のび太は人生を進めることができるようになる。かなり哀しいチョイスですが、うん、わかるね、友達や家族が苦しむより自分が苦しむほうが楽なんだ。

ということで、『FINAL DESTINATION 2/デッド・コースター』同様、運命に挑み、同じ手法同じ速度でぶっとんでいく作品ですが、ドラえもんです。

心ゆくまでさるお、もんち!
posted by さるお at 19:21| Comment(14) | TrackBack(36) | 映画の感想文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年08月23日

映画鑑賞感想文『フライト・オブ・フェニックス』 この記事にはゲームがついてます

さるおです。
『FLIGHT OF THE PHOENIX/フライト・オブ・フェニックス』を観たよ。1965年の作品『THE FLIGHT OF THE PHOENIX/飛べ!フェニックス』のリメイクです。("the"が消えたぞ、おい)
監督は『THE OMEN/オーメン』(リメイク)のジョン・ムーア(John Moore)。
出演は『THE ALAMO/アラモ』『THE ROOKIE/オールド・ルーキー』『WYATT EARP/ワイアット・アープ』など何をやっても汗臭いデニス・クエイド(Dennis Quaid)と、『THE THIN RED LINE/シン・レッド・ライン』『THE LORD OF THE RINGS/ロード・オブ・ザ・リング』『WAR OF THE WORLDS/宇宙戦争』のミランダ・オットー(Miranda Otto)が紅一点。TVドラマ『FRIENDS/フレンズ』にちょこちょこゲスト出演してて大好きなジョバンニ・リビシ(Giovanni Ribisi)、ほか。

これはおもしろいっす!
不信、葛藤、絶望から、友情、勇気、信頼へ。"お約束"通りです。
砂漠のど真ん中でたった1つのわずかな希望に命を懸ける!で、大ピンチを乗り越えて都合よくたすかってしまうって、"お約束"通りです。
"お約束通り"がどれほどおもしろいか、真っ向勝負のザッツ・エンターテイメント。ほんと、すげーおもしろれー。大冒険っすよ。

いちばんの見どころは冒頭の胴体着陸シーン。着陸、できてない、できてない。プロペラがぶっ飛んできて、ひこうきちょん切れたぁぁぁーーーっ!さるお大コーフン。

ところでね、さるお、リーマン時代にね、ビジネス・コミュニケーションの学校みたいなとこに何度か放り込まれたことあってね、3日間ぐらい缶詰めで、いろんな会社の人来てて、英語しか使っちゃだめで、会議のやり方とか交渉の仕方とか、勉強すんの、そーゆーのやらされた。んで、生徒なんてバカだからさ(おまえだけだ)、せっかく会社抜け出して来てんのに勉強なんてもう、飽きちゃうわけね。(他の方は飽きてませんでした)
で、先生がさ、「たまには遊びましょう」なんて調子のいいこと言って、後で気がつけばうまいこと騙されて勉強しちゃってるわけですが、バカだから(おまえだけだってば)楽しかった"ゲーム"とやらがあるわけです。
その"ゲーム"の設定に、映画『フライト・オブ・フェニックス』はそっくりなんでござーる。

まず3〜4人ずつのグループに分けられて、条件が与えられるのね。
「あなたは砂漠に不時着しました。どの方向も街までは遠い。まずは自分1人でこれから配るリストをよく読み、生き残るために必要だと思う物の順番に番号をつけてください。次にグループで話し合って、同じように必要だと思う順に番号をつけてください。話し合いが終わったら、それぞれどういう理由でそれを選んだか整理して発表してください。後で、あなた、またはそのグループが生き残れる確立を発表します。」
で、リストが配られる。
「そうそう、もうひとつ言っておきましょう。まずあなたが決めなければならないことは、GOかSTAYかということです。それでははじめてください。」
ぐはー、最後に思わせぶりなこと言いやがった。GOかSTAYか。つまり、移動するか、救助を待つか。そうだ、それによって必要なものが変わってくるかもしれないぞ!
「遊びましょう」と言われた以上、素直なさるおは遊ぶ気まんまん。
あ、スタメンのよい子のみんなも遊びますか?一緒に遊ぼう。
というわけで、明日の記事にリストを書きます。グループでっちゅーのは無理なので、今回はみなさんひとりで生き延びてくれたまえ。

で、授業ではこのあと何が起きたか。
さるおがひとりでつけた番号と、その後何人かで話し合ってつけた番号とは食い違ってくるわけっすよね。話し合ってる過程で、「いや、こっちのが使えるんじゃないか」とか「これがあれば便利じゃないか」とか、意見が割れて討論になるわけです。でもまぁ決められた時間内でグループとしての結論を出さなきゃいけない。で、出した結論を今度はみんなの前で発表するわけです。すると質問されたり理由を聞かれたりする。だから一所懸命に筋の通った説明をする。今度は他のグループの発表を聞いて、自分が質問したりする。
「たまには遊びましょう」なんて調子のいいこと言いやがって、ミーティングやらネゴシエーションやらプレゼンテーションやらの勉強をやらされてるんだYO!
ほんで最後に、サバイバル・エキスパートさんのつけた番号(模範解答)と自分でつけた番号の差、模範解答とグループでつけた番号の差を計算して、40より大きい数字だと「あなた(たち)は生き残れないでしょう」と言われ、40より小さければ「おめでとう」と言われる。要は差が小さいほど生き残れる確立が高いわけっすね。で、ほとんどの場合、個人の結果よりグループの結果のほうがよくなるらしくて、「みんなで意見を出し合うほうがいい結果になるもんなんです」なんて諭されて終業時間のチャイムがなると、そーゆーこってす。

ちなみに、さるおのスコアはまさかの60。死亡確定(涙)。
「生徒さんの中では、かなりダメなほうに入りますね。」ってありがたいお言葉をいただいて、先生どうもお世話になりました(大粒の涙)。
さるおのグループのスコアは34。
「生き残れそうですね。よかったですね。」
グループのみなさん、いざという時はあまりさるおの意見を聞かなくてよいので、どうかお世話してください(号泣)。
敵は(敵じゃねーよ、戦ってないですから。こんときのもう1つのグループって意味です。ただ気分としてはモーレツに競ってますから!)たしか20台後半の優秀なスコアだったと思います。いちばん死にそうな人でもさるおの60と同じくらいだったんじゃないか。たぶんその人はおとなしくてグループの決定に影響を与えなかったのではないか。
さるおんとこでいちばんぶっとんだ人は90とかでしたから。もちろんその方(とさるお)から多大なる影響を受けてグループの意思決定がなされたものと思われます。

映画の話がどこか遠くへぶっ飛びましたが、"お約束"通りの娯楽大作はやっぱりおもしろいということで、明日はさるおと遊んでください。お楽しみにー。

心ゆくまでさるお、もんち!
posted by さるお at 02:43| Comment(0) | TrackBack(7) | 映画の感想文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年08月14日

映画鑑賞感想文『ジャーヘッド』

さるおです。
『JARHEAD/ジャーヘッド』を観たよ。
監督はケイト・ウィンスレット(Kate Winslet)のハズバンドで大傑作『AMERICAN BEAUTY/アメリカン・ビューティ』を作ったサム・メンデス(Sam Mendes)。
原作はアンソニー・スウォフォード(Anthony Swofford)の著書『JARHEADジャーヘッド -アメリカ海兵隊員の告白-』。湾岸戦争(1990年)に兵士として従軍したアメリカ人青年の全米ベストセラー・ノンフィクションです。
出演はアンソニー・スオフォード役に『DONNIE DARKO/ドニー・ダーコ』『BROKEBACK MOUNTAIN/ブロークバック・マウンテン』のジェイク・ギレンホール(Jake Gyllenhaal)、アレン・トロイ役に『SHATTERED GLASS/ニュースの天才』『KINSEY/愛についてのキンゼイ・レポート』『FLIGHTPLAN/フライトプラン』のピーター・サースガード(Peter Sarsgaard)、ルーカス・ブラック(Lucas Black)、小松政夫みたいなクリス・クーパー(Chris Cooper)、ジェイミー・フォックス(Jamie Foxx)、ほか。

オフィシャル・サイト(日本語)
http://www.jarhead.jp/top.html
オフィシャル・サイト(英語)
http://www.jarheadmovie.com/

青春ムービーです。
戦争なんて殺し合いがモチーフの映画でまことに不謹慎ではありますが、青春コメディです。
わろたわろた。おもしろいっすね。さっすが、『アメリカン・ビューティー』のサム・メンデスらしいシニカルさ。笑えて切なく、笑えて哀しく、笑えて歯がゆい青春そのものっす。ニュースには取り上げられない本当の兵士の日常は、焦燥と困惑と怒りと寂しさと、いろんなものがごちゃまぜになって、バカにならずにいられない、ぶっとんだ青春物語。

祖父も父も兵隊だったんで青年アンソニー・スオフォードは憧れの海兵隊へ入隊するわけです。ところがまぁ訓練とか言いつつ、ただの虐待(笑)。なんじゃここは!ってことになる。1989年、カリフォルニア州のペンドルトン基地へ配属されるとわずか8名の斥候狙撃隊(スナイパー部隊)に選ばれるわけですが、あいかわらず虐待に継ぐ虐待(笑)。なんじゃここは!
その頃クウェートはイラクに侵攻、湾岸戦争勃発でサウジアラビアへ派兵されます。でまぁとりあえず意気揚々と戦地に赴いたはいいけど、昨日も待機、今日も待機、明日も待機で、延々と毎日やることがない。待ち続けて前線に出るのは終戦の4日前。ついに1発の弾も撃たずに終戦。
で、ありゃ何だったんだと、帰国してから頭抱えちゃうわけですわー。しかしまぁ、銃(ライフル)の感触は一生その手に残り続けるんだなぁと、なかなか深い作品ですが、それにしても笑える。

まことに不謹慎ではありますが、おもしろかったっすね!

心ゆくまでさるお、もんち!
posted by さるお at 08:01| Comment(2) | TrackBack(12) | 映画の感想文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年08月11日

映画鑑賞感想文『エミリー・ローズ』

さるおです。
『THE EXORCISM OF EMILY ROSE/エミリー・ローズ』を観たよ。
監督は『HELLRAISER: INFERNO/ヘルレイザー -ゲート・オブ・インフェルノ-』『URBAN LEGENDS: FINAL CUT/ルール2』スコット・デリクソン(Scott Derrickson)。
出演は、敏腕弁護士エリン・ブルナー役にローラ・リニー(Laura Linney)、被告ムーア神父役にトム・ウィルキンソン(Tom Wilkinson)、検察側の弁護人イーサン・トマス役にキャンベル・スコット(Campbell Scott)。
そしてなんつっても見事な気狂いようでさるおをすっかり魅了したジェニファー・カーペンター(Jennifer Carpenter)、来たぁーっ!『D.E.B.S./恋のミニスカウェポン』とか『WHITE CHICKS/最凶女装計画』とか、がんばっても『Lethal Eviction/シャッフル』とか、未公開作品で遊んでる場合じゃねーぞ、おまえ。

実話がもとになった作品で、悪魔に取り憑かれた女子がね、悪魔祓いも失敗して死んじゃって、悪魔払いした神父が投薬やめろって言ったのが過失なんじゃないかって法廷に立たされる。で、神も悪魔も信じない敏腕弁護士の女子が弁護側になって悪魔の存在を証明していく。
見えないもの、証明できないもの、説明できないもの、それをリアリストの弁護士が法廷で証明するわけで、法廷ドラマっすね。で、最後には、悪魔ではなく神によるどんでん返しが待っている。
"教会側の思惑"なる企みをもっと大袈裟にしてもよかった気はしますが、まぁまぁおもしろいっすよ。

J.C..jpg

さるおはジェニファー・カーペンターの熱演にすっかり取り憑かれたんだYO!

心ゆくまでさるお、もんち!
posted by さるお at 08:11| Comment(4) | TrackBack(1) | 映画の感想文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年08月10日

映画鑑賞感想文『悪魔の棲む家』

さるおです。
『THE AMITYVILLE HORROR/悪魔の棲む家』を観たよ。
スチュアート・ローゼンバーグ(Stuart Rosenberg)の1979年作品も観たけど、今回は2005年版です。
監督は『SEARCHING FOR THE WRONG-EYED JESUS/ロング・アイド・ジーザスを探して』のアンドリュー・ダグラス(Andrew Douglas)。製作は『THE TEXAS CHAINSAW MASSACRE/テキサス・チェーンソー』のマイケル・ベイ(Michael Bay)。
出演は『BLADE: TRINITY/ブレイド3』のライアン・レイノルズ(Ryan Reynolds)、『MULHOLLAND DR./マルホランド・ドライブ』にちょっと出ているのメリッサ・ジョージ(Melissa George)、あんたの名前はスゴすぎるとついつい思ってしまう1989年生まれのジェシー・ジェームズ(Jesse James)、最近稼ぎまくりの1996年生まれジミー・ベネット(Jimmy Bennett)、オバケ役はイザベル・コナー(Isabel Conner)。そしてチラ出演でもものすごい怪演を見せる名優フィリップ・ベイカー・ホール(Philip Baker Hall)。

リメイク以外まるでできない最近のハリウッド、"こわい映画"の名作もじゃんじゃんリメイク中っすね(涙)。激しいずっこけっぷりがプンプン匂うので恐ろしさのあまり観に行けてない『THE OMEN/オーメン』ほどではないにしろ、今回の『悪魔の棲む家』もまぁ、なんつーか、えーっと、つまんなくはない(汗)。

太り過ぎで可愛いジェシーが、すごいモノを着ている。

kissT1.jpg

出たぁーっ!キツネT。なんじゃそりゃ。(号泣)
と思ったら、キツネじゃなかった。(安堵)

kissT2.jpg

キッスでした。(心拍上昇)
ジーンの舌、偽物だって。(心拍急上昇)
ぐわぁー、それ着たい。
とりあえず、さるおも悪魔に負けずに、売ってなかったら作ってでも、このTシャツを着たいなと思いますね。(不整脈)

心ゆくまでさるお、もんち!
posted by さるお at 02:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画の感想文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年08月03日

映画鑑賞感想文『シリアナ』

さるおです。
『SYRIANA/シリアナ』を観たよ。
監督・脚本は『I STILL KNOW WHAT YOU DID LAST SUMMER/ラストサマー2』『TRAFFIC/トラフィック』『RULES OF ENGAGEMENT/英雄の条件』『THE ALAMO/アラモ』の脚本家スティーブン・ギャガン(Stephen Gaghan)。原作はロバート・ベア(Robert Baer)の衝撃作『SEE NO EVIL:The True Story of a Ground Soldier in the Cia's War on Terrorism/CIAは何をしていた?』。
出演
ボブ・バーンズ / ジョージ・クルーニー(George Clooney)
ブライアン・ウッドマン / マット・デイモン(Matt Damon)
ジュリー・ウッドマン / アマンダ・ピート(Amanda Peet)
ジミー・ポープ / クリス・クーパー(Chris Cooper)
ベネット・ホリデイ / ジェフリー・ライト(Jeffrey Wright)
ディーン・ホワイティング / クリストファー・プラマー(Christopher Plummer)
スターン・ゴフ / ウィリアム・ハート(William Hurt)
ワシーム / マザール・ムニール(Mazhar Munir)
ナシール王子 / アレクサンダー・シディグ(Alexander Siddig)
メシャール王子 / アクバール・クルサ(Akbar Kurtha)
ワニー・ドルトン / ティム・ブレイク・ネルソン(Tim Blake Nelson)
テリー・ジョージ / ジェイミー・シェリダン(Jamey Sheridan)
ロビー・バーンズ / マックス・ミンゲラ(Max Minghella)
ベネット・ホリデイ・Sr. / ウィリアム・C・ミッチェル(William C. Mitchell)
ほか。
これでアカデミー助演男優賞を獲ったジョージ・クルーニーはスティーブン・ソダーバーグ(Steven Soderbergh)らとともに制作総指揮。

http://syrianamovie.warnerbros.com/  (英語)
http://www.syriana.jp/  (日本語)

この作品は観る価値ありだNE!(断言)
ただし、条件がある。人の世界がどうなっているのか、つまり世界を動かす"大物"たちのパワーゲームに、興味すらない人は観てもおもしろくないっすね。ストーリーが複雑で、登場人物を把握するのも大変、うかうかしてると置き去りになります。
しかし価値ある作品なので、感想文というよりガイドを書きます。

まずタイトルの"SYRIANA"とは何かというと、国の名前です。イラン、イラク、シリアをひとまとめにした民族国家を想定した仮想国家の名前(コードネーム)です。ワシントンのシンクタンクで実際に使われているコード。つまりアメ〜リカの勝手な中東再建コンセプトのもと、アメ〜リカが勝手に名付けた名前です。これは極めつけのマニアでなくても、中東問題にある程度の興味を持っている人ならばおそらく誰でも知っている、有名な国名です。
ということは、冷たいようですが(泣)、この作品はそもそも、何も知らない(中東問題に興味のない)人向けには作ってない。タイトルを観た途端に「アレのことだな!」とわかる人だけが観ればよろしい。そーゆー姿勢で作られた作品です。つくづく、オカシナ邦題がつかなくてよかったっすね(涙)。
ほんで、"アレのことだな!とわかる"ということは必然的に、告発映画ではないわけで、新事実は何も出てこないし、驚くようなこともない。ドキュメンタリーとして今までに何度も取り上げられてきた既知の中東問題、既知の世界情勢を、今度は映画にしてみたというだけなんでござる。
つまり、シリアナという国を知っている人が作って、シリアナという国を知っている人に観せて、お互いに「うんうん」と頷ければいい。そーゆー作品です。
でもね、この映画をスタートにして世界を眺め始めてもいいんじゃないか。さるおはそう思うので、ここからガイド風になるわけっす。

凄腕諜報員で中東のスペシャリストだった実在のCIAエージェント、ロバート・ベアが、長年にわたり数々のインポッシブルな極秘ミッションをやり遂げてリタイアして、『CIAは何をしていた?』ちゅー本を出してるんですが、この本はCIAの告発本であり、全米が大ショックで慌てた問題作なわけです。内容はこうです。
冷戦が終わって、敵国ソ連をある意味失ってしまったアメリカ中央情報局は、やることが無くなっちゃってやる気も無くなっちゃって、ダラダラになっちゃった。さらに、人工衛星から地上が丸見えの今、電子情報の価値が上がったかわりに、人を頼らなくなっちゃって、これまたやる気無し。上層部は、中央政府とつながった官僚的な人たちで椅子が埋まり、世界に誇る諜報機関CIAはもうグズグズですよ。おかげで9.11テロもわかっていながら止めることができませんでしたね。
とまぁこんな感じです。この『CIAは何をしていた?』をベースに、報道されないアメリカと中東の産油国をめぐるドロドロの関係を暴く、これがこの作品です。

低予算映画ですけど、有名どころのリベラルな俳優さんたちがこぞって出たがったっちゅーことで、業界でも市場でも話題作。俳優陣は豪華だぞ。

舞台はアラブの某石油産出国、この国には王様(ハマド)と、2人の王子様がいます。
王位を継承する第1王子(ナシール)は、米国石油メジャーの不当な支配から脱却して自由競争による石油ビジネスで儲けたら国を再建しようと考えているカリスマ的な人気者。エネルギー専門家とタッグを組んで王位継承後の政策をいろいろ考えてがんばってます。
米国石油メジャーにとってはナシールの政策は大迷惑。弁護士事務所と組んで作戦を立てたり、米国政府を経由してCIAによるナシール暗殺を企てたりしている。んで第2王子(メシャール)を王様にして丸め込めばいいや、ちゅー魂胆。
物語は、数人の機軸となる人物について、はじめはそれぞれに語られます。それが最後の最後に急速に収束していくわけですけど、ちょっと機軸となる人物それぞれについて書いてみます。

米国CIA諜報員ボブ・バーンズ(ジョージ・クルーニー)
並々ならぬ実績を持つ中東のスペシャリスト。ワイフも諜報員。家庭を顧みず母国のために働いてきたボブは、息子ロビーも大学生になるし、そろそろ現場は引退してデスクワークでもやろうと決めている。最後のミッションはテヘランでの武器商人暗殺。ところが、ターゲットは爆殺したものの、"青い目の男"にスティンガー・ミサイル1機を奪われてしまう。半成功のままワシントンへ戻ると、紛失したミサイルが気になってしょーがないボブにCIAは「そのことは忘れろ」と言い、もう1つだけ、本当に最後の重大極秘ミッションが待っていた。アラブ某国の王位継承者ナシールがテロ組織に資金を流している悪者だから、殺せと言う。ベイルートに乗り込んで暗殺計画を実行しようとしたら現地の仲間に裏切られて捕まり拷問されるわ、母国に戻れば済んだはずの武器商人暗殺事件でFBIに追われるわで、ついに自分が置かれた絶望的な立場を知る。石油ビジネスの大物が邪魔なナシールの暗殺を企て、その任務で白羽の矢が立ってすべてを見てきた自分が別件を口実に消される番じゃねーか。母国のためと信じて命がけで働いてきたのに、母国が自分を消そうとしている。自分と家族を守る唯一の方法は、王子の暗殺を阻止すること。

弁護士ベネット・ホリデイ(ジェフリー・ライト)
ナシールの政策で採油権を打ち切られた米国の巨大石油企業コネックス社が抱える弁護士。先輩の主任弁護士シドニー・ヒューイットとは違って現場担当。上司のディーン・ホワイティングは、米国司法省より先に、キリーン社の採油権獲得の裏にある疑惑を調べろと言ってきた。小さい会社のくせに仕事なんか獲っちゃって、汚い手を使ったな、というわけです。弱みを握っておいてから、カザフスタンの採油権を獲得したテキサスの小さな石油会社キリーン社との合併計画を有利に進めるのがコネックスからの指令。
日本と違って、米国の弁護士事務所は強い。代理人などではなく、人脈と陰謀の中心にどっかり座って権力を握っている。ディーン・ホワイティングは、ナシールじゃなくて米国の言いなりなメシャールに王様を継がせるようハマド王に圧力をかけたりなんかして怖い人です。
アル中パパとの確執、野心、弁護士としてのビッグチャンス、これで自分も大物になりたいからはりきるベネット。
しかーし、ヒエラルキーを理解し駒として捨てられる立場に気づき、自らのために反撃に出る。
結果、お互いに叩けば埃の出るキリーンとコネックスは1名ずつ"大物"を犠牲にしてめでたく合弁。

エネルギー専門家ブライアン・ウッドマン(マット・デイモン)
ジュネーブのエネルギー商社勤務。新進気鋭のエネルギー専門家。アラブ某国の王様主催のパーティに招待されて出かけていったら事故で息子が溺死。責任を感じた王子ナシールに、相談役に取り立てられる。妻は「あんた死んだ息子で商売すんのやめてよ」なんつって傷心のまま帰国。
王位を約束されたナシールは、米国の巨大石油企業コネックス社との契約を打ち切って、中国へ採油権を売ろうかな、などなど改革路線を打ち出して準備している。自国で採掘したほうがいいよ、と提案するブライアンは、すっかり王子の片腕になって片時も離れない。暗殺の瞬間も離れませんよ。

パキスタンの青年ワシーム(マズハール・ムニール)
おとうちゃんと2人でアラブ某国で働くパキスタン人出稼ぎ労働者。職場はコネックス社の採油場。ナシールが採油権を中国へ渡してしまったために、突然解雇で路頭に迷う。働いてお金貯めて、おかあちゃんも呼ぼうと思ってたのに、いきなりの失業はきついっす。仕事は見つかないし、仕事探しのための滞在猶予すら認められない。ナシールは、あちら側から見ればカリスマだけど、しかしこちら側から見れば出稼ぎ労働者に対して冷酷なわけです。困り果てて絶望したワシームたちに救いの手を差し伸べたのが地元のイスラム神学校。飯食わせてくれっぞ、と言ってお友達もみんなイスラム神学校に行くわけです。
そこで紹介されたのは"青い目の男"。青い目の男が語る過激なイスラム教原理主義にいつしか導かれ、運命が大きくシフトする。穏やかな優しい若者は、いかにしてテロリストに変貌するのか。

恐ろしく、複雑で、愚かしい現実がここにある。
権力者の都合、労働者の都合、カリスマ王子の生み出す多面体、越えられないヒエラルキー、偏重な合理主義、忠誠より重い陰謀、洗脳、そして、貧しい人々に食事や教育を提供しつつテロリストを養成するイスラム神学校。
EVERYTHING IS CONNECTED. すべてがとぐろを巻いている。
お金ってこわいですね。石油ってこわいですね。欲張りな人ってこわいですね。

あんたライスだなーっ!ほんであんたはオルブライト!こっちはラムズフェルドか?
!!!
出たぁーっ!オサマ!
などという見どころもあります(爆)。

脚本は素晴らしいっすね。みなさんの"事情"と"思惑"が幾重にも折り重なったシナリオです。
『TRAFFIC/トラフィック』みたいなカタルシスは無いよ。ヒーローもいないし解決もしない。そこがこの作品の良さです。"楽しい普通の映画"だと思って観てはいかん。それはタイトルですでにこちらが要求されていることです。うかうかしてっと置いてかれっからな、1回観て終われる映画じゃなくて、何度も観て、すごくおもしろくなる作品じゃないかな。

いや〜、ケツの穴は観る価値ありだYO!

心ゆくまでさるお、もんち!
posted by さるお at 01:59| Comment(6) | TrackBack(28) | 映画の感想文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年07月24日

映画鑑賞感想文『ザ・スカルズ II 〜髑髏(ドクロ)の紋章〜』

さるおです。
『THE SKULLS/ザ・スカルズ II 〜髑髏(ドクロ)の紋章〜』を観たよ。
監督は、『HALLOWEEN 6: THE CURSE OF MICHAEL MYERS/ハロウィン6 〜最後の戦い〜』のジョー・チャペル(Joe Chappelle)。
出演は、『CRUEL INTENTIONS 2: MANCHESTER PREP/クルーエル・インテンションズ2』、『SPECIES III/スピーシーズ3 〜禁断の種〜』のロビン・ダン(Robin Dunne)他。

アメリカを陰で支配する秘密結社"SKULL/スカル"!
闇の組織は実在するのだぁ〜!

170年以上の歴史を持つ実在のアンタッチャブルな"ある巨大秘密結社" をドクロをシンボライズした"秘密結社スカル"にたとえた、ノンフィクションとも言うべき、驚愕と戦慄のドラマ(にしてはバカバカしい映画)。その存在さえも決して語ってはならない禁断の映画(にしてはバカバカしい映画)。
!!!
映画の話もしちゃだめなのか?。
近づきすぎても殺される!逃げようとしても殺される!脱会も逃亡もできない死の契約(にしてもバカバカしい映画)。

巨大秘密結社"スカル"

名前がステキすぎる。そんな名前の組織に入ってろくなことがあるはずがない(笑)。
がしかし、そこに入れば将来安泰ということで、お兄ちゃんのすすめで入会するエリート大学生のライアン。秘密の儀式を行って試練をくぐり抜け、手首に焼き印をおされ、ドクロに誓いを立てるのだ(ほんとにバカバカしい映画だってば)。
くれぐれも、そんな名前の組織に入ってろくなことがあるはずがない(笑)、が、もう入ってしまいました。
あれは殺人だったのか、それとも自分は試されているのか・・・しだいにスカルの驚くべき正体が明らかに!恐怖のエリート集団からはもはや脱会不可能。国にも地域にも、あらゆる事柄にものすごい影響力を持つ秘密結社。周囲のすべてがルークを監視する。信用していたおまえもか!ルークは組織の恐ろしい秘密を暴こうと、かなり疑心暗鬼になりながら戦いを挑む!(挑んでろ)

説明がまるでないので組織の目的も何もわからない。いや〜、本当に、入会してみないとわかりませんよ(涙)。
大掛かりな試練続きのこの組織、試練を課す方も受ける方も、主にそれで忙しい(大粒の涙)。おまえらいったい何やってるんだ。

こんな映画(失礼)だが、じつはシリーズモノである。
テレビドラマ『Dawson's Creek/ドーソンズ・クリーク』のジョシュア・ジャクソン(Joshua Jackson)出演の『THE SKULLS/ザ・スカルズ 〜髑髏(ドクロ)の誓い〜』(ロブ・コーエン(Rob Cohen)監督)が1作目。
『THE SKULLS III/ザ・スカルズ III 〜秘密結社:権力の図式〜』(J・マイルズ・デイル(J. Miles Dale)監督)もある。
どうせ3本ともまったく同じ話に決まっとるが(笑)、観たいな。なんだかしらないけど、疲れているときに観たい。なかなかおもしろかったもんな(大粒の涙)。

心ゆくまでさるお、もんち!
posted by さるお at 15:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画の感想文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。