2006年07月19日

映画鑑賞感想文『ワイルダー・デイズ』

さるおです。
『WILDER DAYS/ワイルダー・デイズ』を観たよ。
監督は、犬っころが主役の映画『BEETHOVEN'S 3rd/ベートーベン3』『BEETHOVEN'S 4th/ベートーベン4』のデヴィッド・M・エヴァンズ(David M. Evans)で、えーっと今回は主に象っすね(涙)。
出演は、ポップアップ(Pop Up)ことジェームズ・モース役に刑事コロンボのTV俳優ピーター・フォーク(Peter Falk)、その息子ジョニーはTV俳優ティモシー・ダリー(Timothy Daly)、孫のクリスが『ZATHURA -A SPACE ADVENTURE-/ザスーラ』のジョシュ・ハッチャーソン(Josh Hutcherson)。ジョニーの妻ドロシーはTV女優ケイト・ヴァーノン(Kate Vernon)、けっこうおいしい役どころの泥棒メイクシフトはTV俳優コリン・カニンガム(Colin Cunningham)。

えーっと、この作品はある意味ビミョー(汗)。何がビミョーかというと、『BIG FISH/ビッグフィッシュ』とまるでおなじ話だYO(爆)!。
『ビッグフィッシュ』の公開は2004年の5月。『ワイルダー・デイズ』は2003年のTV映画です。両方ともアメリカ産。うーん、作った時期は同時と思われる。
唯一の違いは、『ビッグフィッシュ』が父と息子の物語であるのに対して『ワイルダー・デイズ』は3世代を描いている点。

蒸気船サーカスの団員で、あんなことやこんなことがあったんだぞ、と嘘か本当かわからねーびっくり話に興じるジェームズじーさん。その昔話を信じる孫クリスと、そんなものはホラだと言い張るリアリストの父ジョニー(じーさんの息子)、3人の和解ドラマ。
ジョニーは幼い頃はその物語を信じて楽しんで暗記するほどに夢中だったんだけど、父ジェームズが"冒険"ばかりで家を留守にしてて、自分も遠くへ進学しているときに母親が死んでしまう。ひとりで死なせたな、と感じたらそれきり父ジェームズが大嫌いになっちゃって親子断絶。息子のクリスにも、じーさんの話は信じるな!とか言っちゃって、つまんない父親になってしまっているわけです。
まだ小さいクリスはオトナ2人の板挟みになってるわけですが、どちらかといえばじーさんに懐いてて話も素直に信じて楽しんでいるわけです。んでもまぁ、チビだからな、つまんないおとうちゃんに距離を感じつつもだんだん影響されてきて、「おじいちゃんの話、ウソなんじゃないのぉ?」なんて揺れている。このへんはリアルでいいですねー。
で、じーさんが老人ホームに追い出されて、ある日、帰りたいんだけれども帰らせてくれないことがわかると、なんと脱走するわけね(笑)、孫を連れて。で、愛車のキャデラックに乗ってじーさんと孫の旅が始まる。目的地はじーさんが乗っていたはずの蒸気船ワイルダー・デイズ号。ジョニーは息子を拉致られたぐらいに思って追っかける。じつはじーさんは我が息子ジョニーについて来いと、呼んでいるわけです。
ここでステキな役回りなのがジョニー妻。3世代間のわだかまりを解かないと手遅れになる(つまりじーさん死ぬぞ)と知っている。で、だんなに追っかけろって言ってあげるわけです。
この逃避行は、孫に夢をおしえ息子を取り戻したいじーさんの心の旅路。孫クリスにとってはピンチのときにじーさんをたすけなくちゃならない、"コドモ"から"少年"になるための冒険の旅。単身追いかける父にとっては、自らが冒険に踏み出し最後は理解と和解へと導かれる、"自分に戻る"ための旅なわけです。
ええ話だ!『ビッグフィッシュ』にそっくりだけれど、これもええ話っすね。
ほんで、それぞれが冒険の途中で物語の真実に気づいていくわけです。で、じーさんの最期の瞬間についに理解し合い許し合って、もうしゃべれないじーさんの代わりに暗記までした物語の続きを、ジョニーがじーさん自身に語って聞かせるとまぁ、ラストまでまるでそっくりです(汗)。
ついでに泥棒メイクシフトが物語に深みを与えています。ここにもまた、かりそめの親子の姿、幼いクリスと築く友情の姿があるわけですわー。

主役は刑事コロンボなんだけど、見どころは、ティモシー・ダリー演じるジョニーとザスーラ演じるクリスが、それぞれに自身の冒険を通して変貌していく様。孫のほうは、"はじめてのおつかい"後に頼もしく成長している、あの感じ。
『ビッグフィッシュ』はエドワードと第3者のつながりに話が広がり最後は家族に収束する展開で、より夢のスケールが大きいんだけど、『ワイルダー・デイズ』は家族に焦点をあてた作品。つまり『ビッグフィッシュ』のほうが徹底的(笑)。

とりあえず刑事コロンボのタンゴがかっこええですわ。

心ゆくまでさるお、もんち!


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2006年07月12日

映画鑑賞感想文『ヒトラー最期の12日間』

さるおです。
『DER UNTERGANG/ヒトラー最期の12日間』を観たよ。
監督は『DAS EXPERIMENT/es』でも話題を呼んだオリバー・ヒルシュピーゲル(Oliver Hirschbiegel)。
出演は、以下のとおりです。
アドルフ・ヒトラー(総統):ブルーノ・ガンツ(Bruno Ganz)
トラウドゥル・ユンゲ(ヒトラーの秘書):アレクサンドラ・マリア・ララ(Alexandra Maria Lara)
マグダ・ゲッベルス(ゲッベルス夫人):コリンナ・ハルフォーフ(Corinna Harfouch)
ヨーゼフ・ゲッベルス(宣伝相):ウルリッヒ・マテス(Ulrich Matthes)
エヴァ・ブラウン(ヒトラー夫人):ユリアーネ・ケーラー(Juliane Kohler)
アルベルト・シュペーア(軍需相):ハイノ・フェルヒ(Heino Ferch)
エルンスト・ギュンター・シェンク博士(親衛隊医師):クリスチャン・ベルケル(Christian Berkel)
ヘルマン・フェーゲライン(親衛隊中将):トーマス・クレッチマン(Thomas Kretschmann)
ヘルムート・ヴァイトリンク(陸軍大将):ミヒャエル・メンドル(Michael Mendl)
ヴィルヘルム・モーンケ(武装親衛隊少将):アンドレ・ヘンニッケ(Andre Hennicke)
ハインリヒ・ヒムラー(親衛隊長官):ウルリッヒ・ネーテン(Ulrich Noethen)
(ドイツ・オーストリア・イタリア合作)

『DER UNTERGANG』
英語では『DOWNFALL』、つまり、滅亡。観るとよくわかるね、なんと秀逸なタイトルか。
統治者は、栄光に取り憑かれてはならない。それは破滅の呼び水になる。

アドルフ・ヒトラー。いまだにドイツでタブー視され続ける、史上最悪の残酷なカリスマ。
本当に本当にタブーです。さるおはドイツに何人か友達がいるんだけど、ヒトラーの話はしようとしません。たまたまヒトラーの話になると、ものすごい深刻な表情になってしまう。
そのタブーを真っ正面から描いてしまったのが、あの問題作『es』のドイツ人監督。
しかも真実の物語。ヒトラーの最後の秘書トラウドゥル・ユンゲの証言と史実を下敷きに作られた作品です。ユンゲさんはその証言を『Im toten Winkel - Hitlers Sekretaerin/Blind Spot, Hitler's Secretary』というドキュメンタリー作品に残しています。で、そのドキュメンタリーが公開された翌年の2003年に亡くなりました。

1945年4月20日、ドイツの敗戦は誰の目にもあきらかで、しかも目前に迫っている。ただひとり、ヒトラーだけが周りの言うこと聞かずに突き進んで行くわけですが、ただひとりっつても総統なわけで、つまりみんなで突き進むしかないわけです。
狂気もあらわに部下を罵り、疑い、処罰(銃殺)し、逆転するぞ、勝つぞ、国民なんか死んだって知るもんか、前線へ部隊を進めろ!なんて叫ぶわけですが、もう部隊なんてものは残ってないんだ。それでも止めらんのですわ。
逆らうわけにもいかないし信じることもできない軍上層部のみなさんは、ナチスの地下壕(総統官邸=大本営)の中で酒は飲んじゃうわダンスパーティはしちゃうわ、そこに爆弾落ちてくるわで、もう大変なことになってます。みんなが、もうだめだとわかっている。本当の本当は、ヒトラーだってわかっている。それでももう止めるわけにはいかんのです。
そこには様々な生き様が渦巻いています。というより死に様なんですが、とにかく、最後までヒトラーに忠誠を誓うゲッベルスもいれば、見切りをつけて逃げ出そうとするヒムラーもいる。平和ボケして気楽に観ていると、謀反だとか、逃げろとか、生きる道がありそうなもんですが、そうじゃないんだ、クーデターを起こす力も、逃げる道も、もうすべて塞がれている。
狂気と向き合い、狭い地下壕で右往左往するしかないんだ。
そして、ヒトラーが自殺。とっ散らかしといて、どうにもできなくなったところでさっさと逝っちゃう。
映画にはその後が描かれています。脱出する者、自決する者、逃げようとする者、そして語り部となった秘書ユンゲがソ連軍(なぜかコザックダンス祭り)のただ中を歩いていくところまでを描いている。

最終的にドイツは敗戦するわけですが、映画では敗戦より前に自決を描いています。
追いつめられたとはいえ、ヒトラーが死んだ今、なぜ降伏ではなく自決なのか。
「大将が悪かったんだ」と言って降参してしまえばよいものを、自殺の道を選びます。この理由こそが、描くべき内容だったのではないか。この点において、さるおものすごい残念なんですけど(泣)。
もちろんさるおの心の中は、大将ひとりのせいにして生き延びたくないかなぁ?という気持ちと同時に、死んで済むと思うなよ、という強い気持ちがある。
"死んで済む"
ここです、ここ。死んで済ませるしかない、事情があった。
"総統に忠誠を誓ったんだから降伏するぐらいならいっそ死のう"などという忠誠心ではない、別の事情がある。
地下壕には、外側の世界があります。国民が住む市街地という"外側"がある。
そしてドイツ軍には、それまでドイツ軍が占領地で犯してきた数えきれない罪がある。
つまり、負ければ今度はそれをドイツ国内でやられてしまう。それが地下壕という例外的な密室以外の、"地上のドイツ"が直面する現実なわけです。
敵国と自国という敵対だけではない、大本営の内と外という違いすぎる状況がある。これが、劇中の多くの死(銃殺であり裁判であり自決)の本当の意味だと思うわけですわ。
もっとはっきり言ってしまえば、自分がさんざんやってきたことを、やられるのは嫌だ。さんざんやってきたのが自分だってバレるのは嫌だ。そーゆーことだったはずです。
セリフとして"総統に忠誠を誓ったんだから降伏するぐらいならいっそ死のう"みたいなこと言ってますが、これは真実ではない、"別の事情"の翻訳に過ぎない。"地上のドイツ"が直面するであろう収拾できない現実こそが自決の理由だと、はっきり描けよ。"自分がさんざんやってきたこと"、それを映画でおしえてくれ。ドイツ軍の足跡は、白虎隊にしてしまってはいかん。
(邦題のようにヒトラー個人の最期の12日間の密着取材だと思えば、そこが描かれないのはしょーがないんですが)

とにかく、単なる戦争映画ではない、人と組織の崩壊の瞬間を描いた良作だと思います。
人と組織の崩壊はこの現代でもあちこちで見ることができる。熟した実を落とし崩壊する組織という普遍性があるだけです。
ドイツの軍上層部ってこうだったのかぁ!なんて言ってちゃだめっすよね。

ドイツによる、独裁者ヒトラーの美化だとは思いません。
W.L.シャイラーの『第三帝国の興亡』にはこう書いてある。
第三帝国を建設し、これを情け容赦なく、しかもしばしば非凡な抜け目なさで統治し、あのような目がくらむような高みと、あのような悲惨な最後に導いた人物は、邪悪であったが、疑いもなく天才だった。
こっちのほうがはるかに美化だ。真実であろうと同時に、これが美化ちゅーもんだ。決して首都を去らず、首都陥落なら首都で死のうというヒトラーの第三帝国建設への妄執は"目がくらむような高み"ではあるけれど、それは独裁者の愚かな罪なのであって、邪悪な天才などではない。
もちろん、ヒトラーが最悪なのではなく、世界史は夢に取り憑かれたヒトラーをこれまで何人も生んできたが、そもそも歴史というものは勝者の紡ぐ物語である。ヒトラーは歴史を書けなかっただけで、勝者の中にも恐怖政治を愛した暴君は掃いて捨てるほどいる。
60年の時を経て、あくまでも"人"として描かれた怪物アドルフ・ヒトラーに、観客は、600万人ものユダヤ人虐殺を悪魔ではなく人間がやってしまったという罪の匂いを大いに嗅ぎ取らなければならないのではないかと思います。

秘書のユンゲさんが映画の中でしきりに言ってますね、"ヒトラーが怪物だった"ことを後で知ったと。若くてわからなかった、でも若かったと言い訳はできない、知ることができたはずなのに、自分は恐ろしい罪を担ってしまった。
重たい十字架です。でもはじめは重さがわからない。それが十字架であることもわからない。ある者は知らずに、狭い地下壕を右往左往するしかなかった。
そして別のある者は、知りながら右往左往して、手のつけられないヒトラーが死ぬのを待った。

ドイツ人俳優が"ちゃんと"ヒトラーを演じたことなど、これまで1度もありません。それが、やってみたら、怪物じゃなくて人間になっている。おかげで世界中に議論を巻き起こし、祝大ヒット。これでいいんです。蓋をしたままにしておいちゃいけない。

いやー、良作っすよ。

名優ブルーノ・ガンツはうまいっすね。そして似てますね。
かつては天使(『Der Himmel uber Berlin/ベルリン・天使の詩』)を演じた男が、悪魔を演じた。と書きたいところですが、違います。人間を演じたんだよ、取り憑かれた人間を。

心ゆくまでさるお、もんち!
posted by さるお at 01:27| Comment(8) | TrackBack(16) | 映画の感想文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年07月04日

映画鑑賞感想文『ドミノ』

さるおです。
『DOMINO/ドミノ』を観たよ。
監督は、自分が作ったマルボロとかのTVCMがめっぽう気に入って同じ手法で映画も作ってしまう、リドリー(Ridley Scott)の弟トニー・スコット(Tony Scott)。
出演は、ドミノ・ハーヴェイ役に『STAR WARS: EPISODE I - THE PHANTOM MENACE/スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』でアミダラの影武者になったキーラ・ナイトレイ(Keira Knightley)、エド役に猫パンチ・ボクサーのミッキー・ローク(Mickey Rourke)、フェロモン出まくりのチョコ役はなんと5カ国語(母国語のスペイン語、イタリア語、ドイツ語、フランス語、英語)をしゃべるベネズエラの29歳エドガー・ラミレス(Edgar Ramirez)。そしてルーシー・リュウ(Lucy Liu)とクリストファー・ウォーケン(Christopher Walken)、ほか。

おとうちゃんはハリウッド・スター、おかあちゃんはトップ・モデル、自分もトップ・モデル、なのに"キケン"を求めてバウンティ・ハンター(賞金稼ぎ)になった実在の女性ドミノ・ハーヴェイの型破りな生涯を映画化。ドミノ・ハーヴェイさんはキーラに負けず劣らず美人だなー。映画の完成を目前に35歳で亡くなってしまいましたが、もし観てたら、かっこよくって気に入っただろうに。
イケメン俳優ローレンス・ハーヴェイ(Laurence Harvey)はドミノが小さいときに亡くなってます。で、バブリーなおかあちゃんは再婚相手探しに夢中。お金はいっぱいあるけれど、楽して生きろと言われて逆らいたくなる気持ちはわかる。心を満たすためなんだ、この生き方は。
新聞に"バウンティ・ハンター募集"の広告が出て99ドルのセミナー受ければあなたも賞金稼ぎって、ある意味とってもサーカスな時代です。
映画の題材になった"シゴト"は思いもよらないアクシデントで"怖い人たちに殺される"っちゅー最悪のシナリオになっちゃう。んでまぁしょーがないから覚悟して、ものすごい銃撃戦になるわけです。で、ドミノを残して仲間は死んじゃう。すんごい話だYO!

http://www.dominomovie.com/

時間軸を寸断された映画は一見とっちらかったようでいて、急速に1点に収束していくんだけどね、じつはこれが致命的なような・・・。マルボロ手法でなんだかやたらとキラキラとチカチカとヘンな色に眩しい映像は、15秒ならいいけれど、127分はちょっと疲れるな。あと、砂漠に現れるよくわからない予言者もいない方がいいような・・・。
過剰にスタイリッシュにしなくても、ストレートに描いて充分にド迫力な映画になりそうなのに、ちょっともったいないっすね。

完全に頭のオカシイ、クリストファー・ウォーケン最高っす。

心ゆくまでさるお、もんち!
posted by さるお at 21:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画の感想文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月29日

映画鑑賞感想文『スタンドアップ』

さるおです。
『NORTH COUNTRY/スタンドアップ』を観たよ。
監督は『WHALE RIDER/クジラの島の少女』のニキ・カーロ(Niki Caro)。
原作はクララ・ビンガム(Clara Bingham)とローラ・リーディ・ガンスラー(Laura Leedy Gansler)。
出演はの『MONSTER/モンスター』のシャーリーズ・セロン(Charlize Theron)、『AEON FLUX/イーオン・フラックス』でもシャーリーズと共演した名女優フランシス・マクドーマンド(Frances McDormand)、最近『THE LORD OF THE RINGS/ロード・オブ・ザ・リング』『NATIONAL TREASURE/ナショナル・トレジャー』『FLIGHTPLAN/フライトプラン』『THE ISLAND/アイランド』と大活躍のショーン・ビーン(Sean Bean)、リチャード・ジェンキンズ(Richard Jenkins)、ジェレミー・レナー(Jeremy Renner)。

アメリカで初めて、セクシャルハラスメント訴訟に勝った女性の実話をもとにした感動ドラマ。シングルマザーの鉱山労働者ジョージーが、悪質なセクハラ&パワハラを黙認する同僚、会社、もっと言うと社会を相手に、単身で勝負するわけです。
私なんか、と思い、お前なんか、と言われても、それでも立ち上がってみる。ええですねー。
『MONSTER/モンスター』のアイリーン同様、不幸を背負いに背負ったジョージー。映画では、コドモ時代からいかにもセクハラを呼び込みそうな可憐さですが、なにしろ実話が元なので、そーゆー目で観ちゃいかんですね。
暴力夫の存在も、本当は潔白の過去も、まじめすぎるパパも、すべてが彼女の足をひっぱる。吉事なはずの夫との別れや、1人目の子どもの存在までが、無慈悲な偏見を煽り容赦なくジョージーを追いつめてしまう。こりゃまいった。周りはみんな敵ですから、さるおだったら泣いちゃう。
それでも、泣きながらだけど必死で闘い続けて、最後の最後に、ひとり、またひとりと真実を白昼のもとのさらす勇気を人々が持ちはじめる。
たぶん闘いのクライマックスは、組合の演説んときで、そんときシャーリーズは「怖かったよぅ」ってほんとに泣いちゃったらしい。いやぁー、いい女優さんだ!そして、外側から冷静に眺めれば異常としか言いようのない"集団の恐ろしさ"をあの会議場に作り上げたこと自体も素晴らしいです。
このシーンではジョージーのパパに泣かされます。この融通の利かないおとうちゃんの心情を思うと、惨めでかわいそうで寂しさいっぱいなわけですが、娘の大ピンチに立ち上がる。そうだ、それでこそとーちゃんだぁ!そう思って泣けます。

多かれ少なかれ、身の回りで起きてるね。
物議を醸し出すのは嫌だから、黙ってよう。
物議を醸し出す必要性を判断する前に、自分可愛さに勇気がなくなっちゃうんだ。ほんとはだめだよね、そんなの。

唯一の味方のグローリー。彼女の設定は秀逸だなぁ。顔を上げて生きるのそ生き様にぴったりの名前で、こりゃ感動だぞ。

最後の裁判のシーンでのボビーは意外とあっさり勇気出た(笑)。しかしまぁええですわ。あとタイトルも『ノース・カントリー』の方が作品のトーンと合ってていいのに。んま〜、これもええですわ。
それより気になったのは、嫌がらせの質。悪質というより、あんなに幼稚でいいのかな。最初はそう思いました。これじゃ小学生じゃないかと。でも後から思い直したよ、人間って、さるおを筆頭に幼稚なんだぜー。

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2006年06月21日

映画鑑賞感想文『レイジ34フン』

さるおです。
『0:34/レイジ34フン』を観たよ。
監督はこれがデビュー作となるクリストファー・スミス(Christopher Smith)。
出演はラン・ローラ・ラン。違った、フランカ・ポテンテ(Franka Potente)。そうそう、『LOLA RENNT/ラン・ローラ・ラン』もおもしろかったな。これはドイツの友達に薦められて観たんだ、「ドイツ映画にしてはおもしろい!」って(笑)。
それから、アーサー役はケン・キャンベル(Ken Campbell)、マンディ役にケリー・スコット(Kelly Scott)、ジミー役にポール・ラットレイ(Paul Rattray)、そしてクレイグはショーン・ハリス(Sean Harris)。

"ジョージ・クルーニー"が出てきた時点ですでにさるおは笑う準備万端、そのせいでクレイグがアーサーを突きに戻るシーンとか、マンディがたすけを求めるシーンがおかしくておかしくて、すごいコントだと思ってしまいましたが、そーゆー姿勢でよかったのだろうか。
ケイトちゃんが終電後の地下鉄で怪物に襲われてさぁ大変!っちゅー、イギリス・ドイツ合作らしさ炸裂の、"怖くない"怖い映画だぞ。しかし好きです。ほんとにおもしろかった。こんな映画に謎もクソもないとお思いでしょーが、さるお的には謎の"残り方"が最高で、ぜひ続編が観たいくらいです。描いてほしい続編というのはもちろん『0:34 ZERO』!
レイジ34フンのゼロて。
言ってることがよくわからないので何か他のタイトルをつけよう、『CRAIG/クレイグ』でいいか。
で、少年クレイグ君を描く。写真のお医者みたいなおっちゃんとの関係とか、他の赤ちゃんは誰だったのかとか、とにかくクレイグが哀れな怪物になるまでをね、観てぇ。あの地下鉄での惨劇より暗い、クレイグの抱える闇をね、これは笑い抜きでおっかなく描く。ものすごい妄想膨らんでますけど(泣)、そのくらいさるおはおもしろかったんだってことです。
えーっと、ただしなぜか人には強く薦めません。怖い傑作かもな、なーんてまじめに観られたら、きっと非難轟々、苦情殺到なんでござる。

心ゆくまでさるお、もんち!
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2006年06月20日

映画鑑賞感想文『オーシャンと十一人の仲間』

さるおです。
『OCEAN'S ELEVEN/オーシャンと十一人の仲間』を観たよ。1960年の作品です。
監督は『ALL QUIET ON THE WESTERN FRONT/西部戦線異状なし』(1930年)など名作盛り沢山のルイス・マイルストン(Lewis Milestone)。
出演はフランク・シナトラ(Frank Sinatra)、ディーン・マーティン(Dean Martin)、ピーター・ローフォード(Peter Lawford)、アンジー・ディキンソン(Angie Dickinson)、サミー・デイヴィス・Jr.(Sammy Davis Jr.)、リチャード・コンテ(Richard Conte)、リチャード・ベネディクト(Richard Benedict)、シャーリー・マクレーン(Shirley MacLaine)、パトリス・ワイモア(Patrice Wymore)、ジョーイ・ビショップ(Joey Bishop)、ノーマン・フェル(Norman Fell)、ほか。

スタイリッシュです。2001年の『OCEAN'S ELEVEN/オーシャンズ・イレブン』に負けねぇよ。
しかもわかりやすい。いや、2001年版も充分にわかりやすいですけど(笑)、もっとわかりやすい。計画がどれほどぴたりと実行されたか、わかりすぎるほどよくわかる。そして、想定外の事件からはじまる心理戦もわかりやすい!
さらに、最後のオチが、ものすごいベタベタな古い推理小説を読むようで、いやー、決まった!このしょんぼりくるラストは好きです。

心ゆくまでさるお、もんち!
posted by さるお at 15:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画の感想文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月07日

映画鑑賞感想文『アザー・ファイナル』

さるおです。
サッカーファン必見の映画『THE OTHER FINAL/アザー・ファイナル』を観たよ。
これはじつは2002年に観てるんですが、ほら、最近いわゆる"サッカー・ムービー"なるものが大流行りじゃんか、だからさるおだってW杯で盛り上がってるんだぜ!という対抗意識をメラメラと燃やしつつ(いったい誰に対して)、"今こそ"サッカー・ムービーについて書こうと思うわけです。

この映画はドキュメンタリーです。2002年日韓W杯の裏側でこっそり行われた"もうひとつの決勝"を追う、ホンモノのドラマです。
ファイナリストは当時のFIFA公式ランキング202位のブータンと203位のモントセラト。つまり、最下位決定戦(涙)。ふだん、フツーに20-0とかで負けてる代表チームっす。
日韓W杯の決勝ブラジル対ドイツ戦が、美しく整えられたピッチで、歓声と注目の中で華々しくキラキラ〜ッと行われたまさにその日、ブータンの高地の手作りピッチで、数万人の観衆の体温より温かいであろう地元のおっちゃんおばちゃんガキどもよい子のみんなの声援に迎えられ、"どうにか試合ができました"という程度のギリギリの国際試合を、ほんとに"どうにか"やったわけです。

モントセラト代表なんて、監督いませんから(笑)。
ブータン代表なんてソックスばらばらですから(笑)。
ついでに、審判、みつけたの試合直前ですから(笑)。副審?そんなもんはいねーよ(爆)。
涙が出るほどに、愛おしいほどに、ひたすらショボイ手作りの国際試合、しかも(裏)W杯決勝戦。
サッカーファン必見!フットボール万歳!さるおはそう思いますね。

映画の前半はブータンとモントセラトの紹介だな。でも、これも退屈じゃないぞ。両方の国のフットボール協会会長とか出てきていろいろしゃべってますが、たぶんに"昨日会長になったばかり"の人々です。本職は"国王"とかね、そーゆーことっす。あー、もちろん代表選手も、本職は別にあります(爆)。
で、映画の後半になるにつれ、決勝戦の準備っす。モントセラト代表がまだ到着してねーよ、とか、審判やる予定だった人がいなくなっちゃった、とかね。サッカー以外の珍プレーに振り回されて、はたして決勝戦は無事できるのか?みたいなノリになってくる。ほんで、親睦を深めつつ、試合があって、勝負がついて、表彰があって、アウェイを戦ったモントセラト代表選手がブータンの地元の子供たちと仲良くなって、みんな仲良くなっておしまい。
ヒーローはいません。それがいいんだ!
最下位決定戦と言ってもみんな本気っす。そこがいいんだ!
ド根性の逆転劇とか、涙の復活劇とか、劇的なドラマは起こらない。けれど、おもしろくて爽やかに、ちょっと感動します。

http://www.theotherfinal.jp/

監督はこの企画の言い出しっぺ、ヨハン・クレイマー(Johan Kramer)。コピーライターからCM監督になったオランダ人です。彼自身はナイキやアディダスのCMの仕事してるんだけど、(裏)W杯のスポンサーになってくれって頼んだら断られたらしい(怒)!

映画が楽しかったので感謝を込めて各代表チームを紹介します。
(すぐにお気づきだと思いますが、映画のクレジットなのに激しくチェックが入っていません。特にブータン(泣)。さるおはそのまま書き写します)

ホームチーム BHUTAN
FW 10 ワンゲイ・ドルジ(Wangay Dorji) 25歳 銀行員
FW 3 ビン・クマール・チェトリ(Bhim Kumar Chhetri) 24歳 会社員
MF 4 ペマ(Pema) 23歳 フットボール協会財務
DF 5 パサン・ツェリン(Passang Tshering) 20歳 セメント業
DF 7 ウゲン・ウォンチュック(Ugyen Wangchuk) 25歳 会社員
FW 9 ディネッシュ・チェトリ(Dinesh Chhetri) 27歳 フットボール協会財務
MF 11 ソナム・ジャムツォ(Sonam Jamtsho) 23歳 会社員
MF 12 キンレイ・ドルジ(Kinley Dorji) 23歳 建設業
MF 13 ウゲン・ドルジ(Ugyen Dorji) 16歳 学生
MF 17 ウゲン・ドルジ(Ugyen Dorji) 21歳 会社員
GK 19 プスパラール・シャルマ(Puspalal Chhetri) 19歳 学生
DF 15 カルマ・イシ(Karma Yeshey) 25歳 警察官
DF 16 ナンゲ・ドルジ(Nangze Dorji) 23歳 貿易業
DF 18 ドルジ・カンドゥ(Dorji Khandu) 16歳 学生
DF 2 ソナム・テンジン(Sonam Tenzin Def) 20歳 警察官
Coach アーリー・シャンス(Arie Schans) 51歳

アウェイチーム MONTSERRAT
DF 2 チャールズ・トンプソン(Charles Thompson) 33歳 警察官
GK 1 セシル・レイク(Cecil Lake) 36歳 土地開発業
DF 3 デビッド・ジィムス(David James) 29歳 建設業
DF 4 ポール・リンチ(Paul Lynch) 30歳 経営コンサルタント
MF 5 クレイトン・オドナヒュー(Clayton O'Donaghue) 33歳 建設業
DF 6 クレンストン・ブフォング(Crenston Buffonge) 27歳 会社員
MF 7 ウィルッス・アントワン(Willix Antoine) 28歳 警察官
FW 8 ウラジミール・ファレル(Vladimir Farrell) 21歳 会社員
FW 11 ジョセフ・モリス(Joseph Morris) 39歳 グラフィックデザイナー
MF 18 エルトン・ウィリアムス(Elton Williams) 28歳 建設業
FW 20 オットリー・ラボーデ(Ottley Laborde) 34歳 警察官
FW 13 シェーン・グリーンアウェイ(Shane Greenaway) 18歳 学生
MF 14 カート・フィル(Kurt Phyil) 17歳 整備員
FW 15 ジュリアン・ウェイド(Julian Wado) 33歳 警察官
MF 19 ケルビン・ポンド(Kelvin Pondo) 17歳 無職
FW 12 アシュトン・ブフォング(Ashton Buffong) 23歳 会社員
Manager クロード・ホーガン(Claudo Hogan) ?歳 航空会社勤務

現在、ブータンもモントセラトも最下位脱出してるYO!
FIFAランキングはこちらをご覧下さい。

ちなみに、ブータンの10番ワンゲイ・ドルジはアーセナルへの移籍(銀行から)を希望。←ぜんぜんあきらめる気配なし。

試合の結果は観てのお楽しみ。トロフィーの行方も観てのお楽しみ。サッカーファンのよい子のみんな、この映画を観て感動しよう!

心ゆくまでさるお、もんち!
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2006年06月04日

映画鑑賞感想文『愛についてのキンゼイ・レポート』

さるおです。
『KINSEY/愛についてのキンゼイ・レポート』を観たよ。
これはおもしろい!
ただ、愛についてのレポートじゃないので、とにかく、なんちゅーか、お子さん以外にはおすすめだYO(笑)!

監督・脚本は、『シカゴ』の脚本家ビル・コンドン(William Condon)、うーん、さすがっすね。
出演は、"PROK"ことアルフレッド・キンゼイ博士にリーアム・ニーソン(Liam Neeson)、奥さんの"Mac"ことクララ・マクミレンにローラ・リニー(Laura Linney)、教え子のクライド・マーティンにピーター・サースガード(Peter Sarsgaard)。そして最後に面接を受けた女性にリン・レッドグレーヴ(Lynn Redgrave)。

コンサバ至上の1940〜50年代アメリカ。昆虫博士からセックス博士に転身して赤裸々な調査結果を発表し、物議を醸し出した実在の動物学者アルフレッド・キンゼイ博士の無垢な生涯を綴った感動作。
頑固をとうに通り越し、調査が自分の使命だと思ってしまい、ついに偉業を成し遂げる学者の、なんと純粋で、なんと愚かで、なんと無防備で、なんと勇気のあることか。自らは決して偏見を生まず、他者の偏見には証明という反抗で報いる、誠意ある素直な生き方を貫いてます。いいねー。こーゆーふーにさるおも生きたい。
厳格すぎる父親との風変わりな和解の光景も、ほのかな温かみを通して描かれていて感動っすよ。
そして、どれほどの逆境に見舞われようとプロックを最後まで守り抜くマックのなんと明るく強く美しいことか。いやー、素晴らしいっす!泣けますね。

映画そのものはコメディです。ばかばかしく愛おしく、笑えるシーンが満載。
そもそも学者って、ほとんどコミカルな存在ですから。(←褒め言葉ですからね)

映画の終盤はせつないな。登場人物たちが、急速に、愛というものを理解してしまいます。データでは説明できない苦しい心をみんな抱えているんだと、キンゼイ博士も思い知る日が来る。それでもなお使命を守ろうとふんばってはみるけれど、無防備なキンゼイ博士が現実に直面するのはものすごく残酷なことで、胸が痛むんでござる。

でも、だいじょうぶでした。ちゃんと、見ていてくれる人がいる。わかってくれる人が、必ずいる。
近くの人じゃありません。見ず知らずの、遠くの他人です。そこがまたいい。小さな小さな元気の元は、けっこう輝くもんですね。
ほんと、いい作品だー。

"性についてのキンゼイ・レポート"を扱った、愛についての映画です。

ピーター・サースガードの、目を見張るようなさりげなさのポロリも素晴らしい。(ほんとか)
ほんと、いい作品だー。

心ゆくまでさるお、もんち!
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2006年05月28日

映画鑑賞感想文『ダ・ヴィンチ・コード』

さるおです。
『THE DA VINCI CODE/ダ・ヴィンチ・コード』を劇場で観たよ。

観終わってすぐ、愕然としましたね(涙)。
ヒミツを知ってるの、ソニエール館長さんたちだけじゃなかったぁーっ!
ミッテランも、イオ・ミン・ペイ(貝聿銘)も、けっこう知ってる人いっぱいいたぁーっ!
まいった、と思いました。周知のヒミツかよ、と思ってうなだれましたね。これについては後で書きます。

しかーし、おもしろかったです。フツーにね、すごくおもしろかった。
ゴージャスなエンターテイメントとして、RPG的謎解きミステリーアドベンチャーとして、申し分ないとさるおは思います。難しくないし、飽きさせずにほどよいスピードでぐんぐん引っぱってってくれるからね、楽しかったよ。

監督は、最近親子でどっかーんと稼いでいるロン・ハワード(Ron Howard)、脚本もどっかーんと稼いでいる男アキヴァ・ゴールズマン(Akiva Goldsman)、で、原作は時の人ダン・ブラウン(Dan Brown)。
出演はトム・ハンクス(Tom Hanks)、オドレイ・トトゥ(Audrey Tautou)、イアン・マッケラン(Ian McKellen)、ジャン・レノ(Jean Reno)、ポール・ベタニー(Paul Bettany)、そしてさるおが好きなアルフレッド・モリナ(Alfred Molina)。ご、豪華だ!
ロケ地はルーブル。豪華絢爛だ!ふんがー。

ただ、「だびんちってだれ?」ぐらいの知識で観てしまうとついていけないと思います。とっとと謎解きが進んじゃうから。
知識というよりも、たとえば、レオナルドの描いたモノ(できれば『最後の晩餐』)を(ホンモノじゃなくていいから)観たことがある人じゃないと楽しめないかな。あと、バチカンがとる立場と、それに対立する思想も、ある程度理解しないとまずいっす。
観客が理解しなくても済むものはスルーさせてくれるスピードもあります(笑)。そのへんもね、ちょうどいいと思いました。ちゃんと一般的なレベルに合わせてある感じがしました。これくらいがアベレージなんだな、きっと。
原作はね、これから読むところです。あれだけ長い原作だと、人物の背景とか、本来ならメインディッシュの推理の部分が、映画ではずいぶん端折られてるんだろうとは思う。でも、映画を観ていて疑問はなかったし、ついていけない個所もなかったから、上手に思い切って短くしたんだろうと思います。

さるおはたまたま、現地でホンモノの『最後の晩餐』を観ています。1度目は10年以上昔で、修復中。
さるおが絵を描くときは是非まねっこしようと決めている一点透視図法で用いた消失点の穴ぼこ(イエスのこめかみあたり)と、レオナルドだけが描き得た生きた人間の表情と切り取られたドラマを、思う存分眺めてやろうと思ったわけです。
Lastsupper.png
ところが、いざホンモノの前に立ったら、今までは絵そのものを"見ようと思って観た"ことがなかったことに気がついた。自分でもちょっと驚きました。で、今日はホンモノと対峙しているわけだから、まずはちゃんと眺めようと思って、ぐるっと見回して初めに思ったことは、「イエスのこっち側空きすぎだろー、あんたあっちに寄っ掛かりすぎ、エライ人(ヨハネ)用の席なのに。あ、あれ女の人だ」、つまり映画『ダ・ヴィンチ・コード』のコアの部分です。
で、現地人風のおやじをつかまえて話しかけたわけです。「初めてここ(サンタ・マリア・デレ・グラツィエ教会)に来たんですけど、名画があるのにショボイ教会ですね」(開口一番まさかの教会冒涜)←修道院はショボくて質素であたりまえ
「あんた日本から来たのか?クリスチャンか?」
「ちがうちがう、僕はイエスなんてどーでもいーんです(続けざまに神の子冒涜)。レオナルドに会いに来た」
で、ここから絵についての話がはじまるわけですが、そのおじさんはあっさり言いました。「イエスの隣のヤツ、女に見えるだろー」「うん、女っぽい」「あれ女なんだ」「マグダラのマリア?」「そう言われてるよ」「彼女はほんとは使徒だよね」「そうだけど、レオナルドとイエス以外からは無視だな」「かわいそうだね」「ここ(絵を指して)にいるからよかったんじゃないかな、着てるもの、イエスとおそろだし」
その他の話はフツーの『最後の晩餐』解説でしたが、映画観たあとそのおじさんを懐かしく思い出しましたよ、あんたもしや、ラングドン?
ちなみに、このときさるおがその女性を観てマグダラのマリアだと思ったのにも理由がある。聖書にあるからっす、イエスとマリアがピクニックして丘の上で仲良く話するデートの場面が。だから、仲良かったんだなーと思っていたわけです。ついでに、聖書に出てくるマグダラのマリアって、イエスのことものすごい大好きだってよく言ってるし、ずっと離れなかったわけだから、ガキくらいいてあたりまえっすね。
そのおじさんは、ふたりのシルエットが"V"型になってるHoly Grail説のヨタ話まではさすがにしませんでしたが(笑)、とにかく、ヨハネがいるべき位置に座っているのがマリアだという説自体は、めずらしくも何ともないんじゃないかなぁ。

ということで、自らのイタリア珍道中を思い出しつつ、アメリさん(名前がわかってない)って細いなーとびっくらこけつつ、夢中になってラングドンについてスコットランドのロズリン礼拝堂に行って、地下で一輪の薔薇を見つけたところまではよかった。で、アメリの正体がわかったあたりもよかったっす。

ところが!
ぐわぁー、戻って来ちゃったよ、ルーブルに!
ストーリーとしてはおもしろい。はじめから、すぐ近くにあったんだぁ!こりゃキレイなまとめです。
しかーし、1985〜1989年のグラン・ルーブル・プロジェで地下を掘って大蔵省のオフィスとか売店とか食堂とか作ってガラスのピラミッド(内部に逆ピラミッド)で蓋をした中国人建築家イオ・ミン・ペイ(貝聿銘)君も、ペイ君に「かっこよくたのむよ、キミ」と発注してしてしまったフランソワ・ミッテラン君も、みんなこの重大なヒミツを知ってたことになるぅーっ!
しかもあれですか、ジャック・ソニエール館長が、グラン・ルーブル・プロジェに乗じて、マグダラのマリアの棺を手元に置いておきたいからこっそりスコットランドから移送して逆ピラミッドの真下に埋めようぜとか言い出したということですか?よし、工事だ。大工さんまでが、この重大なヒミツを知ってたかもしれないYO!
何やってんだ、ラングドン。涙出ましたね。

さるおはこれから原作を読むので、そのへんをどう決着つけたのか、気になります。もう涙は流したくありません。

そうそう、ひとつだけ決定的な文句があるとすれば、パンフやポスターに『モナリザ』を使うのははっきり言って詐欺です(泣)。
ダ・ヴィンチは、その微笑みに、何を仕組んだのか。
そーゆー話じゃねーじゃねーか!

最後に。
ポール・ベタニーがぐ〜んと大きかったですね(笑)。唐突な安さが最高でしたよ(泣)。
ひとりで暴れまくって去っていくイアン・マッケラン、好きだなーとあらためて思いました(笑)。

心ゆくまでさるお、もんち!
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2006年05月27日

映画鑑賞感想文『判決前夜 ビフォア・アンド・アフター』

さるおです。
『BEFORE AND AFTER/判決前夜 ビフォア・アンド・アフター』を観たよ。
監督は『MURDER BY NUMBERS/完全犯罪クラブ』『SINGLE WHITE FEMALE/ルームメイト』のバーベット・シュローダー(Barbet Schroeder)。
原作はロゼリン・ブラウン(Rosellen Brown)。
出演は、母メリル・ストリープ(Meryl Streep)、父リーアム・ニーソン(Liam Neeson)、息子エドワード・ファーロング(Edward Furlong)、娘ジュリア・ウェルドン(Julia Weldon)。

愛の映画っす。世界を敵に回しても、それでもお互いが夢中になって守ろうとする家族愛の映画っす。

息子のガールフレンドが死んじゃってね、おとうちゃんは勢いあまって息子が残した証拠を隠滅しちゃう。
この少年が殺人者なのかどうなのかっちゅー裁判までの、家族の苦悩と愛ゆえの衝突を描いたドラマでござる。親は息子をどう救えばいいのか。有罪になっても真実を貫くのか、どうにかして無罪を勝ち取るのか。

哀しい物語です。なぜなら、すごく身近に起きることだから。
いや、殺人罪に問われるかどうかっちゅーのは身近だと困るんだYO(笑)!
そうじゃなくて、"愛し方"の違いのために人は衝突するからですね。ときに、癒されない傷が残ります、誰も死んでなくても。

おとうちゃんもおかあちゃんも、我が子を愛している。異なる方法で愛しているだけです。
おとうちゃんは自分で証拠隠滅しちゃったくらいだからね、無罪を勝ち取ることが息子を救うことだと信じて疑わない。で、裁判では嘘つこうぜ、と、そーゆーことになっちゃう。おとうちゃんは、法的に、物理的に救おうとしているわけですよ。そしてそれが、"とても愛しているから"だということは、家族はみんなわかってるわけです。
ところが、この愛のせいで、息子は板挟みで苦しいわけです。嘘つかなきゃならないわけだから。ふと気づけば、そこまでして愛してくれる父親を、息子は息子で守ろうとしている。おとうちゃんまでムショ送りにするわけにはいかんと。
おとうちゃんは、夢中だからなかなか気づきません。息子のためだと思っている。強い父親であろうとする自分自身のためにやってることだとは気づきません。

一方で、妹は真実にこだわります。まだ小さいのにね、この子だけが、人の心のあり方をしっかりと見抜いている。
で、おかあちゃんも嘘はまずいよなーってことになる。おかあちゃんが救おうとしているのは魂です。嘘をつき続けて死ぬまで罪を背負うなんてかわいそうだと、気がつく。このケースでは女子2人が正しいっすね。
でまぁ、すでに、近所から憎まれ、石を投げられ、燃やされ、かなりかわいそうなことになってますが、とにかく嘘をつくのはやめて、実刑判決を受けるわけです。

ほんで、人生は一瞬にして変わっちゃうんだなぁと、いつか少しは元気が出て自分たちは幸せになれるのかなぁと、そのとき世間は許してくれるのかなぁと、"できた"妹がしみじみと哀しみを吐露して終わる、静かな映画です。

この映画は、躍動感がないとか人物像が薄っぺらいとか、そういう意見が多そうっすね。
でも、足りない躍動感、大袈裟ではない人物像が、これはあなたの家族の問題だよ、とおしえてくれる気がします。愛し方にはいろいろあるんだけど、これから生きてゆく世代に背負い込ませてはいけないとおしえてくれますよ。

ところで、エドワード・ファーロングは、どの映画で何度観てもずるい美貌っす(笑)。男子の目で見たら線が細すぎると思うけど、女子にはたまらん顔じゃないのか。『TERMINATOR 2: JUDGMENT DAY/ターミネーター2』(13歳)のころから凄まじい美貌。(さるおは翌年の『PET SEMATARY II/ペット・セメタリー2』が好きです)
ガキのころから繊細さ丸だしの顔で(そーゆー顔なんだからしょーがねぇな)、苦しんで悩んで病気になって崩壊しそうな役ならおまかせ!みたいなね、なんちゅーか、顔色が悪い(爆)。
コドモ時代からヤク中&アル中だけどカムバックを果たそうとしているあたりでそっくりな運命を辿っているマコーレー・カルキン(Macaulay Carson Culkin)君をはるかに凌ぐ美しさです。そろそろ29歳かぁ。がんばってください。いい役者になってほしいです。

心ゆくまでさるお、もんち!
posted by さるお at 06:26| Comment(2) | TrackBack(0) | 映画の感想文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月05日

映画鑑賞感想文『CUBE』『CUBE 2:HYPERCUBE』『CUBE ZERO』

さるおです。
『CUBE』は1997年に劇場で観たよ。『CUBE 2:HYPERCUBE』『CUBE ZERO』は借りてきて観た。
『1』『2』『0』と書きます(笑)。

『1』の監督・脚本は、『ELEVATED』(CUBEの原型となる20分のショートムービー)がすでに秀逸だったカナダの新鋭ヴィンチェンゾ・ナタリ(Vincenzo Natali)!
『2』は、クェンティン・タランティーノ(Quentin Tarantino)と組むときは撮影を担当しているアンジェイ・セクラ(Andrzej Sekula)が監督で、製作・脚本は『0』でメガホンをとることになるアーニー・バーバラッシュ(Ernie Barbarash)。
『0』では監督・脚本・総指揮をすべてアーニー・バーバラッシュが手がける。

『1』はね、なんつっても劇場で観ました。「こわいらしいよ」という予備知識のみで勇んで出かけていきました。んでね、ふんがーって驚いた。心底驚いて、さるおほとんどショック状態(笑)。もちろん怖かったけど、すっごく怖かったけど、それよりもなによりも美しくってびっくらこけた。
特筆に値する美しさの立方体なんでござる。でかいスクリーンで観てよかったよぅ。夢の世界っす、おっそろしい夢だけど。
そして、当時(1997年)まだ誰も経験したことがなかったであろう究極的にシンプルな理不尽さが、つまり脚本が、これほどまでに美しいことにも驚いた。
"説明無し"って素晴らしい!"意味不明"って素晴らしい!
悪いおじさんの衝撃の最後と、エンディングのシーンも素晴らしく、結末はあるものの根本的にはぜんぜん解決しませんから。問答無用、覚悟っ!本当にそう思いましたね。さるお的には120点映画だぜ!
もちろんいちばん好きなのは、オープニングのおっさんが切れちゃうとこです。むはーって鼻息荒くなって感動したよ、心の底から。このシーンは後々の作品に引き継がれていきます(『CUBE』シリーズ以外にも。例えば『RESIDENT EVIL: APOCALYPSE/バイオハザード II アポカリプス』とか『GHOST SHIP/ゴーストシップ』とか『THE CELL/ザ・セル』とかね)。いや、どの罠もみんなおもしろかったんだけど。
知的なのもよかったんでござる。立方体の出入り口に刻まれた素数の暗号を解いて、安全な部屋を見つけようとか、こりゃでっかいルービック・キューブみたいんなってて、動くんだけど、いついつのどの部屋が出口なんだとか、頭脳で解決しようとがんばるわけです。いいねー、こりゃおもしろい。
この緊張感、『THE SHINING/シャイニング』以来17年ぶりのの最高傑作だYO!

で、ひたすら問答無用だった『1』に、だんだんと解答が与えられていく、それが『2』と『0』っす。
時系列で言うと『0』『1』『2』なわけですが、『1』『2』『0』というこの順番も完璧っす。
なにしろ『2』のエンディングで正直徹底的にずっこけた後の『0』こそが(涙)、キューブの答えっす。芸術と言っていいほどに美しかった『1』の罠の数々のプロトタイプを目の当たりにする、スッキリする瞬間の連続と、キューブの外側に存在する絶対的な"意志"の存在を、うまく説明してくれます。

というわけで、はっきり言って『2』はずっこけた(爆)。立方体は美しいんだけど、美しいのはほら、1度観ちゃうと慣れちゃうから、もう感動できません。で、ガキを連れてきたのがまず気に入らないし、時間をいじくりだしたのはさらに気に入らない。罠を進化させたいのはわかるんだけど、やりすぎっすね。で、この結末はなんなんだちくしょう、と思いました。『HONEY, I SHRUNK THE KIDS/ミクロキッズ』のがよっぽどおもしれー(笑)。

なので『2』はもう放置するとして(たぶんこのシリーズに必要ないですから)、『0』ですよ、『0』。これはおそらく賛否分かれるかと思います。『1』の素晴らしさを知った今となっては、『0』は凡作。けど、さるおはなかなか満足です。
思い切って、不条理なりに外界の恐怖ドラマを持ち込んだのは正解だと思う。で、外界のボスが、アンタッチャブルな"ほとんど神"なのも悪くないです。
さらにもうひとつ思い切って、"外界を知るものがキューブに入ってしまう"という、1歩間違えば映画的にも状況的にもキューブ・ワールドを崩壊させてしまいそうな挑戦もステキです。この人物が、ぐるりと1つの輪を描くように、『1』のシチュエーションを説明してくれるわけっすよ。親子との関わり方も結構いいです。
座標を示す暗号は数字ではなくてアルファベットだし、罠もすべて『1』より仕掛けが見えやすい。あ、そもそも立方体のキラキラ度がね、いやー、月日とともにキラキラしてきたんだなぁと、「あぁ、『CUBE』以前だなぁ」と、感慨深いっす。
『0』で1つだけ気になるのは、うぎゃーとか言いながら自分の手と顔からゼラチンを剥がしまくる、あのシーンです。さすがにあのゼラチンを観たときは、もうだめだと思いましたね。さるお、ほんとはあーゆーのって好き。ただ、キューブとはトーンが合っていねーずら。

例の、さるおが大好きなおっさんが切れちゃうシーン。『1』ではね、ありゃどうやって切れたんだろう!って、んもー、ものすごい衝撃でしたが、プロトタイプは原始的にワイヤー!さるお、よろこびひとしお。『0』でもいちばん感動したのはここっすね。

心ゆくまでさるお、もんち!
posted by さるお at 23:38| Comment(8) | TrackBack(10) | 映画の感想文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月02日

映画鑑賞感想文『銀河ヒッチハイク・ガイド』

さるおです。
『THE HITCHHIKER'S GUIDE TO THE GALAXY/銀河ヒッチハイク・ガイド』を観たよ。
ぐわぁーっ!最高にバカな映画、ばんざい!
公式サイトも楽しいっすよ。トレーラーはこちら

原作・脚本はダグラス・アダムズ(Douglas Adams)、監督はガース・ジェニングス(Garth Jennings)。
出演は、最後の地球人男性アーサー・デント役にマーティン・フリーマン(Martin Freeman)、完全にイッちゃってて無責任すぎる銀河系大統領ゼイフォード・ビーブルブロックスにサム・ロックウェル(Sam Rockwell)、『THE HITCHHIKER'S GUIDE TO THE GALAXY』の著者にして宇宙ヒッチハイカーのフォード・プリーフェクトにモス・デフ(Mos Def)、トリリアンこと最後の地球人女性トリシア・マクミランにズーイ・デシャネル(Zooey Deschanel)、神だと思われている惑星設計技術者スラーティバートファースト役はビル・ナイ(Bill Nighy)、ゼイフォードと大統領選を争った宿敵ハーマ・カヴーラ役にジョン・マルコヴィッチ(John Malkovich)、でっかい頭のネガティブ思考ロボット"マーヴィン"の中身はワーウィック・デイヴィス(Warwick Davis)。
"マーヴィン"の声はアラン・リックマン(Alan Rickman)。

詳しくは書きません。とにかくおもしろいっす。
オープニングのイルカの歌で、早くもくだらなくて感動のあまり泣けてきます(涙)。

超カルトな伝説の宇宙ガイド本を、20年の時を経て、なぜかどうしてもCGを避けて映画化した、奇想天外すぎてデタラメ寸前の予測不可能アドベンチャー。スラップスティック・コメディもここまでくれば、なんちゅーか、深遠なる哲学の、究極の問いの、The Answer to Life, the Universe, and Everythingは、えーっと、答えは42。(どうでもいいことですが、Googleの電卓機能で"answer to life the universe and everything"と入力する出てきますね、750万年かけてたどりついた答えが(涙)!す、すごいですね)
大胆すぎて圧倒されっぱなしの意味不明なヴィジュアル・センスで、とにかくもう、アリエナイ作品。なんかしらんけど、みんな、宇宙の果てのレストラン(これは2巻目。5巻まであるんだよな)に行こうぜ!

観たほうがええです。わるいことは言わんから、観といた方がええ。
ここはバイパスが通るんだから取り壊しますよ。いつそうなるかわからないからな。
marvin.jpg

追伸:アラン・リックマンはしゃべりだすともうすでにおかしいです。陰鬱ですね、ステキですね。

心ゆくまでさるお、もんち!
posted by さるお at 13:15| Comment(4) | TrackBack(22) | 映画の感想文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月01日

映画鑑賞感想文『アメリカン・アウトロー』

さるおです。
『AMERICAN OUTLAWS/アメリカン・アウトロー』を観たよ。
西部のロビン・フッド!ジェシー・ジェイムズ(Jesse Woodson James)って知ってるでござる?
大人気の無法者、実在の強盗です。ジェシー・ジェイムズの物語はもうずいぶんたくさんの映画になってるぞ。
タイロン・パワー(Tyrone Power)の『JESSE JAMES/地獄への道』(1939)
ロバート・ワグナー(Robert Wagner)の『THE TRUE STORY OF JESSE JAMES/無法の王者』(1957)
クリフ・ロバートソン(Cliff Robertson)の『THE GREAT NORTHFIELD, MINESOTA RIDE/ミネソタ大強盗団』(1972)
そして、ヤンガー3兄弟を、デイヴィッド・キャラダイン(David Carradine)&キース・キャラダイン(Keith Carradine)&ロバート・キャラダイン(Robert Carradine)というキャラダイン3兄弟が演じ、ジェイムズ2兄弟をジェームズ・キーチ(James Keach)&ステイシー・キーチ(Stacy Keach)のキーチ兄弟が演じた『THE LONG RIDERS/ロング・ライダーズ』(1980)
クリス・クリストファーソン(Kris Kristofferson)のTV映画『THE LAST DAYS OF FRANK AND JESSIE JAMES/荒野のアウトロー』(1985)
ビル・パクストン(Bill Paxton)の『WILD GUNS/ワイルド・ガンズ』(1995)
他にもあるかな、さるおが知ってるのはこんくらいです。

ほんでこの『アメリカン・アウトロー』(2001)。
監督は『CALIFORNIA MAN/原始のマン』(ENCINO MAN)のレス・メイフィールド(Les Mayfield)。
出演は、ジェシー・ジェームズ役にさるおが大好きなかっこええコリン・ファレル(Colin Farrell)
コール・ヤンガー役に『OCEAN'S ELEVEN/オーシャンズ11』と『OCEAN'S TWELVE/オーシャンズ12』のターク・モロイ役でジェームズ・カーン(James Caan)の息子スコット・カーン(Scott Caan)。
ジー役にアリ・ラーター(Ali Larter)、フランク・ジェームズ役にガブリエル・マクト(Gabriel Macht)、ジム・ヤンガー役にグレゴリー・スミス(Gregory Smith)、アラン・ピンカートン役にティモシー・ダルトン(Timothy Dalton)、ボブ・ヤンガー役にウィル・マコーマック(Will McCormack)。

何度も映画になっているということは、それだけ多くの解釈が存在するということです。そしてそれは、ジェシー・ジェイムズというアウトローが、様々に解釈してみたくなる魅力的な人物像を有していると、そーゆーことっすよね。
できるだけ史実に忠実なものもあれば、無法者ならではの苦悩に焦点を当てたものもあります。ヒーロー(ロビン・フッド)として扱ったかと思うと、それ行け皆殺しだ!というのもある。

『アメリカン・アウトロー』はね、西部劇だけど、爽やか青春ムービーです。
ええですよ!この映画はええです。
ちょっと『アメリカン・アウトロー』の物語を書いてみるね。

南北戦争の終結を目前に、ジェシーを含む南軍のゲリラが北軍に追いつめられるシーンから映画ははじまります。ジェシーの機転の利いた大活躍でどうにか生き延びておうちに帰ると、新時代の到来を告げる鉄道事業が、政策を楯に汚い手を使っちゃぁ故郷を用地買収をしている。サデュウス・レインズが率いるロック・アイランド鉄道です。
ロック・アイランド鉄道は用心棒と称してピンカートン探偵局を雇ってて、その人たちがやりたい放題の恐喝みたいなことをやっている。で、ジェシーもマイホームを売るのは癪なので、嫌だよって追い返すんだけど、すったもんだして、仲間のコール・ヤンガーが探偵局員を殺してしまった。ここで決定的な対立関係になるわけです。
処刑寸前のコールをたすけるんだけど、ジェシーは撃たれちゃって、介抱してくれたジー(ゼレルダ・ミムズ)と恋に落ちます。が、大事件だぞ!団結してロック・アイランド鉄道に対抗していた住民たちの結束を崩そうと、ピンカートン探偵局がジェームズ家を爆破!おかあちゃん死亡ですわ。んで、ちくしょう、復讐だ!っちゅーことで強盗団を結成する。その名もジェイムズ強盗団、ジェイムズ3兄弟だからね。
ジェームズ強盗団がやることは、お金のあるところからお金を盗るだけ。人は傷つけない。爆破事件だけでも同情心を煽るのに、敵(ロック・アイランド鉄道&ピンカートン探偵局)に真っ向勝負を挑んでいるとなると、こりゃもちろんみんなが応援し始める。
ジェームズ強盗団の襲撃は成功し続け、向かうところ敵なし。ところがピンカートン探偵局も黙ってられないので、ジェシー・ジェームズばっかり目立ってて嫉妬しているコール・ヤンガーに目をつけて、罠を仕掛けます。
「なんだか変だぞ、うまくいかないぞ」と思うジェシーは計画に反対しますが、コールに押し切られて計画実行。まんまと乗せられたコールのせいでハイパリオン銀行の襲撃は失敗、末っ子ジム・ヤンガーと多くの仲間が死んでしまう。で、いったんは、もうやめようと、強盗団は解散。ジェシーも強盗を卒業してジーと結婚。幸せがやってきたかに見える。しかーし、ピンカートン探偵局がジェシー逮捕っす。
ジェシーを移送中の列車内、ジェシーは看守から拳銃を奪い、ばんばんばんっ!って看守を皆殺し。そのとき、ジーの知らせを受けたジェイムズ強盗団が再び結集して列車を待ち伏せ、ジェシー救出!ハッピーエンド!

史実によれば、ジェシーはミズーリのタバコ農園兼牧師の子。大怪我をするのは南北戦争からの帰郷中(介抱してくれたゼレルダ・ミムズと結婚するのは本当)です。
ジェシーの家は用地買収の対象ではなかったし、宿敵アラン・ピンカートンの登場はジェームズ強盗団が銀行や鉄道を襲うようになった後のことです。ピンカートン探偵局がジェームズ家を爆破したのは事実だけれど、亡くなったのはおかあちゃんではなくて、わずか8歳の異父弟。おかあちゃんは片腕を失って重傷を負いますが生きてます。この事件でアラン・ピンカートンは民衆からの支持を失い、反対にジェームズ兄弟に同情が集まる。
実際にジェイムズ兄弟はなかなか捕まりませんでした。多額の賞金をかけても捕まらない。アラン・ピンカートンという共通の"南部の敵"がいたから、民衆はジェイムズ兄弟を守っていたわけっすよね。
事件現場となるハイパリオン銀行は、ミネソタ州ノースフィールドのファースト・ナショナル銀行がモデルだろうな。壮絶な射ち合いになってヤンガー兄弟は捕まり、ジェームズ兄弟は逃げ、残りは射ち殺されてしまう。
本当のジェシーは34歳で死にます。
自分を裏切った仲間に、背後から銃で撃たれて死んだということになっている。ところが、これも史実と違うって聞いたことがあるし、ジェシーの死は謎でござる。"背後から銃で撃つ"というのは卑怯なわけで、仲間だと思ってた憶病者にやられてしまうっていう筋書きがエンターテイメントとして大ウケだっただけかもしれん。

映画は、本当のジェシーと違い、鉄道のないテネシーでジーと幸せに暮らせそうな雰囲気で終わります。
西部劇はさ、ヒーローが強くてかっこよくてぜんぜん悩んでない、んで、ほろ苦いけどハッピーエンド。それがいい。原点っすよ、これが!
最近は西部劇って減っちゃったけど、数少ない西部劇もなんちゅーか、まじめに深刻な話が多い。50年代、60年代のような典型的に明るい理屈抜きのB級西部劇が、ここにあります。素晴らしい!

余談ですけど、ガトリング機関銃とかヘンリー・ライフルとか出てきて、楽しいっす。
というわけで、ガンマンのコリンもめちゃめちゃかっこええしね、素晴らしい映画です。

心ゆくまでさるお、もんち!
posted by さるお at 10:30| Comment(6) | TrackBack(2) | 映画の感想文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月17日

映画鑑賞感想文『リバティーン』

さるおです。
『THE LIBERTINE/リバティーン』を劇場で観たよ。
監督は、これがデビュー作のおそるべしなローレンス・ダンモア(Laurence Dunmore)。
出演は、第2代ロチェスター伯爵(ジョン・ウィルモット)に『THE BRAVE/ブレイブ』のジョニー・デップ(Johnny Depp)、女優エリザベス・バーリー役に『IN AMERICA/イン・アメリカ -三つの小さな願いごと-』のサマンサ・モートン(Samantha Morton)、国王チャールズII世役に怪優ジョン・マルコヴィッチ(John Malkovich)、妻エリザベス・マレット役に『PRIDE & PREJUDICE/プライドと偏見』のロザムンド・パイク(Rosamund Pike)。

あのねー、『ほにゃらら』のジョニー・デップっつたらフツー、ディズニー海賊の話とか、チョコレート工場長とか、気狂い作家とか、ピーターパン作家とか、ショコラとか、スリーピーホロウとか、ナインスゲートとか、最低監督の話とか、ギルバート・グレイプとか、アリゾナ・ドリームとか、なんならビーバップみたいなやつとか、思い切ってエルム街とか、そんなことよりやっぱハサミ男とか、はぁはぁはぁ、そーゆーことになるわけです。『ほにゃらら』にはそーゆーのが入るんです。が、『ブレイブ』と書いてしまいました。
なんでかってゆーと、大好きなジョニーが監督・脚本・出演の3役をこなし、「おれにまかせろ」かなんか言って、"はじめてのえいが"に挑戦し、気合い充分でものすごく泣けるええ話を撮ったがいっこうに客が入らず、弱気になりつつ上映し続けたがそれでもいっこうに客が入らず、ついに借金まみれになったという、映画より泣ける実話になってしまった意欲作だからです(涙)。はぁはぁはぁ。さるお、今日はよくしゃべる。余計なことしゃべってないで映画の感想文書かなきゃ。

その前に、やっぱりどうも最近気になるなぁと思うことを書きます。
『EDWARD SCISSORHANDS/シザーハンズ』と『CHARLIE AND THE CHOCOLATE FACTORY/チャーリーとチョコレート工場』で"ハサミ男"になったのはオマージュだからいいとしても、『CHOCOLAT/ショコラ』と『チャーリーとチョコレート工場』でチョコ映画に出て、『FINDING NEVERLAND/ネバーランド』と『PIRATES OF THE CARIBBEAN: THE CURSE OF THE BLACK PEARL/パイレーツ・オブ・カリビアン』で海賊になって、『ネバーランド』と『チャーリーとチョコレート工場』で同じ子役と組んで夢を与えるオトナ役になって、『DON JUAN DEMARCO/ドンファン』と『リバティーン』でモテ男で、『SECRET WINDOW/シークレット・ウィンドウ』と『リバティーン』で気狂い作家で、『ネバーランド』と『リバティーン』で家庭をかえりみなくて奥さんに怒られる作家になって・・・、はぁはぁはぁ、どこで息すればいいんだよ。
何が言いたいかというと、なんだか似たジョニーばっかり観ているなぁと、そう感じるわけです。本当はさるおはものすごいジョニーのファンなわけで、前述の、元気玉が出なかったという泣ける映画(そういう話じゃありませんから!)もガラガラの(涙)劇場に足をはこんで観ているし、映画が完成しなかったという映画『LOST IN LA MANCHA/ロスト・イン・ラ・マンチャ』まで劇場で観てしまっているというのに(泣)、どうも最近彼がわからない。個性派、反逆児、エキセントリック、そーゆーのはわかるんだけど、同じ顔(似た役)ばかり観ていると、実力派なのかどうか、演技派なのかどうか、わからなくなってきたYO!
それでも今回は久々に、"演技してるジョニー"を観ることができましたが。

んでまぁとにかく、さるおが誕生日だけはかろうじて共有しているオダギリ・ジョーが「僕が女だったら、妊娠しますよコノ映画」とか褒めている(たぶん)ので、こりゃものすごいフェロモン映画なんだろうと思ったんでございます。世の女どもが(すみません)妊娠するなら、さるおなんか劇場で出産、負けねぇ!と息巻いて出かけて行ったわけです。
ちなみに、さるおが今まで観た映画の中でこりゃセクスィ〜と思ったのは、偶然とは言えこれまたジョニーの『ドンファン』です。あんときはね、生まれるかと思いましたね(爆)。で、ジョニー自身も「ポルノ、ポルノ!ポルノがやりたい!」とか騒いでたしね、ドンファン・デマルコを超える妖艶さだと、期待して行ったわけです。

ところが、妖艶かどうか拝見する前に、いきなりちょっと無理がありました。
10年前は18歳だったというのは、どうなんですか。
男ジョニー、41歳(涙)。いきなり泣けてきましたよ(涙)。

ジョニー曰く「脚本の冒頭3行を読んで、出演を即決した」
!!!
あなた、主人公の年齢が出てくるとこまで読まないで決めましたね!
そしてローレンス・ダンモア監督、断れなくなっちゃったんですね!

そして、セクスィ〜な場面、あ、あんまり、ありませんでしたね。さるお出産ならず(爆)。

映画自体はよかったです。
野性味がどうとか、猥雑さがこうとか、インモラルだとか狂気だとか耽美だとか、そういうことはみんなが書いていそうなので他のことを書きます。

あのね、感動します。終わりが近づくにつれて、苦しくなって泣きたくなってきます。ちょっと涙出ました。
ジョニー(役名もジョニーなので)は、野蛮に、高尚に、パンクな人生を生きた。より罪深く、より美しく、より激しく生きた。人々が重んじるすべてのことに戦いを挑まずにはいられない聖なる怪物は、自由を愛しすぎ、孤独に呪われ、罪に殉じた。
その頑なさや輝きよりも、奔放と引き換えの孤独に泣いた気がするし、悪魔だった男を哀れんだのかもしれず、おぞましい人生への羨望だったかもしれず、もしかしたらもっと単純に"この人生を観てしまった"というショックだったのかもしれない。嫌なものを突きつけられた心地よさで泣いたような、不思議な感動です。

そして、何より素晴らしいのが2人のエリザベス。はっきり言って、この人たちが主役です(汗)!
ジョニーを捨てた(同時に捨てられた)妻エリザベス。ジョニーが初めて本当に愛した女優エリザベス。
ジョニーの人生が終わろうとしたときに、悲痛などんでんがえしが待っているわけですよー。女優エリザベスはジョニーに別れを告げ、妻エリザベスは愛していると涙を流し感情を吐露し腐敗した男を抱きしめる、母親のように。す、すごいと思いました。衝撃っすよ。
2人のエリザベスによる、決別と告白は、美しすぎて痛いほどに、その名のとおりです。エリザベス(Elizabeth)、それは"神かけて誓う"という名前。いやー、素晴らしいなと思いました。
で、ジョニーの壮絶な人生を深々と彩った彼女たちが、より一層、ジョニーの醜さを際立たせる。

あーっ!わかったわかった!なんでさるお泣いたのかわかった!
美しすぎるものと醜すぎるものが共存しているから泣いたんだ。極端なものばかりが存在する世界だから、苦しくなって泣けたんだな。
自暴自棄なほどに奔放な寂しい男が捨てられる。ただそれだけなんだ。みっともない話なんだ。だから感動するんだよね。

そうそう、オープニングは素晴らしいですね。ざらざらして強いコントラスト、好きっす。
あとね、サマンサ・モートン演じる女優のエリザベスが、女優という生き物を見せてくれます。このシーンはこれはこれで感動もんです。

心ゆくまでさるお、もんち!
posted by さるお at 20:53| Comment(10) | TrackBack(40) | 映画の感想文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月11日

映画鑑賞感想文『マンダレイ』

さるおです。
『MANDERLAY/マンダレイ』を劇場で観たよ。観るにあたっての意気込み(笑)はこちらです。
監督はラース・フォン・トリアー(Lars von Trier)。
出演は『THE VILLAGE/ヴィレッジ』のブライス・ダラス・ハワード(Bryce Dallas Howard)、お喋り黒人にダニー・グローヴァー(Danny Glover)、誇り高き黒人にイザーク・ド・バンコレ(saach De Bankole)、グレースパパはウィレム・デフォー(Willem Dafoe)、女主人は『ドッグヴィル』に続きローレン・バコール(Lauren Bacall)、『ドッグヴィル』『THE BROWN BUNNY/ブラウン・バニー』のクロエ・セヴィニー(Chloe Sevigny)。

ラース君ね、80年代以降、ひとり3部作マニアでござる。
『THE ELEMENT OF CRIME (FORBRYDELSENS ELEMENT)/エレメント・オブ・クライム』『EPIDEMIC/エピデミック』『EUROPA (ZENTROPA)/ヨーロッパ』でヨーロッパ3部作、『BREAKING THE WAVES/奇跡の海』『THE IDIOTS/イディオッツ』『DANCER IN THE DARK/ダンサー・イン・ザ・ダーク』でゴールドハート3部作、『DOGVILLE/ドッグヴィル』『MANDERLAY/マンダレイ』『WASHINGTON/ワシントン』でアメリカ3部作。

で、どうだったのか、こーゆー作品は深々と考察してみます。

『マンダレイ』は一見、観る人によって解釈に幅のある『ドッグヴィル』に比べ、批判対象が明確になったように見えます。独善的を通り越して偽善に満ち満ちたアメリカ批判であり、空想の政策に興じるリベラリスト批判であり、もっと言ってしまえばブッシュ批判でござるね。
たしかにそうではあるけれど、それにしてもこの作品にはくっきと別の2つの顔があるな。なぜなら、『マンダレイ』が扱ったアメリカ的民主主義は、閉ざされた大農園マンダレイ内の奴隷制度に対して適用されると同時に、国外に輸出されているから。

飼われていた鳥は"自由"に適応できない。

グレースにはそれがわからない。かつてカナリアを死なせてもなお、グレースにはわからない。わからないというより、我慢ならんのですわ。「あなたに自由を!」そう叫ばずにいられない、正義と愚かさをひきずって生きている女神なんである。
飼い始めたことが過ちなのであり、カゴの中のカナリアの存在が正すべき過ちなのではない。飼い主に向かって「カナリアが外で生きられる知恵と力を返してやれ」と言うならいいが、カゴの中しか知らないカナリアに向かって「あなたは自由だ、勝手に生きろ」と言ってみても残酷なだけである。カナリアにとって初めて直面する自由ほどおっかないものはねーずら。本当の民主主義は、教育された個人を育成し、その個人に知恵と判断力を要求する社会のことなんでござる。
"議論され尽くした人権問題"などと一笑してはいけないな。ぜんぜん終わってないどころか"人権"だけでなくなって勘違いされてる。

グレースはドッグヴィルで"権力の有効性"を学びました。んで、マンダレイ農園の奴隷制度撤廃に向けてさっそく権力を行使し"悪"を制圧すると、民主主義の布教活動を始める。ところが、民主化までの道のりは困難で、ついにグレースの民主主義は敗北に至ります。
短期的に見て軍事的には勝利したように見えたものの、未だにアメリカ的民主主義を押し付けることができない、イラク情勢に酷似しておる。
いや、イラク情勢だけではねぇよ。これまでに何度も、世界で起こったことですね。

さるお的には、『マンダレイ』は人権問題を題材とした作品というよりも、"アメリカ的民主主義の輸出"を扱った作品に思えます。なぜなら、劇中に"石油"と"他の強国"が登場したから。
グレースは"誇り高き黒人"ティモシーに恋をする。そう、マンダレイ農園を制圧し、弱者を教育し、もっとマシな世界にしようと思っていたら、思いがけず、"欲しいモノ"を見っけてしまった。なにがなんでも手に入れたい。欲望が止められないのでございます。そして最後にはそれを手に入れるが、思っていたほど美しくはなく、グレースは落胆と怒りの報復としてティモシーを鞭打つ。
一方、マンダレイ農園から逃げ出そうとした奴隷がいる。彼は"ある別の女性"にたすけを求めるが、その女性はまるでグレースと同じように武力を引きつれ奴隷の元に現れる。救うどころか、グレースよりもっと残酷にもっと素早く奴隷を追いつめ、逃げるはずの奴隷は、逃げることができなかった。
ティモシーが資源の保有者で、グレースがアメリカなら、"ある別の女性"はどこの国なのか。『マンダレイ』は、まるで世界地図である。

マンダレイ農園の住人には、善人がいない。たしかに奴隷は弱者であり被害者であるけれど、決して善人として描かれることはなく、ヒーローは登場しません。唯一のヒロインであるよそ者グレースは、高潔な人物だけれど、独りよがりの理想に燃えてすべてを台無しにしていく、手に負えないばかちんです。
「ブッシュはこの方法で物事が改善されると彼が本当に考えているからだ。かれはそれを信じ切っている。そしてグレースもね。完全に。」
これはラース君の言葉である。が、さるおはこれについては反対っす。ブッシュは善人ではない。ブッシュは、大量破壊兵器があるからイラクを退治しようとしたんじゃなくて、資源があって大量破壊兵器がないから攻撃したんだと、もちろんさるおは思っている。
最後の部分、「グレースもね。完全に。」これは真実ですね。グレースは善人です。純粋で、自由と民主主義を信じ、理想に燃える、美しく愚かな女神。はじめっからティモシー目当てでマンダレイ農園に来たわけじゃない。
ということは、グレースパパは、たしかにアメリカの象徴で、グレースはアメリカ政府の出先機関なんだけど、グレースがアメリカの象徴などであるはずないぞ。すくなくとも、アメリカ"政府"の象徴にはなり得ない。もしかしたら、盲目的すぎて空恐ろしいばかばかしさは感じるものの、部分的に、アメリカ人の象徴ではあるかもしれないです。出先機関の象徴だけれど曖昧にしたということですかね。

そういえば、さるおね、『ドッグヴィル』のときね、「アンチ・アメリカ・ムービーかもしれないが、そんなことを差っ引いてもこの映画はおもしろい」と思ったんでした。なので今回も、突然ですが、差っ引くことにしてみます(笑)。
なにしろラース君自身が、「『マンダレイ』はデンマークのことでもある」と言っているし、アメリカにこだわらずに考えてみます。

「私たちはここで7時に夕食をとってきた。これからは何時に夕食の席につけばいのか」このきわめて深刻な間抜けな問いは、すなわち"未知の自由にともなう責任"の恐ろしさであるのに、「あなたは自由だ」などと途方もない思い上がりを口にして本人は励ました気になっている。
民主主義かどうかはともかく、人は身勝手な信念に夢中になり、他者にもそれを押し付けようとする。人は、"その人に良かれ"かどうか正しく判断する前に、"良かれ"と思いこんで偏見を貫いてしまう。常に偏見に支配されているくせに、自分は"差別"などというものとは無関係だと思い込み、いつまででも差別と区別を履き違える。

あー、またしても、さるおたちが住む社会です。
『ドッグヴィル』は他人事ではなくってね、理性に鞭打つおっそろしい作品でした。さるお、ラース君に怒られたと思ったよぅ。
で、『マンダレイ』はさるおとはちょっと距離があるな、アメリカの話だしな、と思って気楽に観ていたが、違いましたね。またしてもさるおのことですか。そうですか。心が痛い。他人事じゃないYO!

ということで、アメリカを差っ引いても深みのあった『マンダレイ』、最後にもう1度、世界地図として、そして身近な社会の象徴として眺めなおしながら、希望と絶望を噛みしめてみたいと思います(涙)。

さて、"ママの法律"を書いたのは誰だったか。
ため息出るな。この世界は、すべて茶番劇です。ときに、自分自身の喜怒哀楽すらアホらしくなるほどに、この世界なんて、ただの茶番です。弱者もまた怠惰のシステムを生み出す、それが人の本質。
この茶番が規律を生み、生きる術を共有する唯一の手段となっていると同時に、貧富の差を生み続ける。なんかもう、ため息出んね。
被害者も加害者も、強者も弱者も、支配者も奴隷も、王も家来も、みんな台本どおりに生きてるだけですから。茶番に気づいていないのは、おバカなグレースただひとり。涙出ますね。
この大局的な見方は、あってると思います。涙出ますが。世界地図なんてこんなもんです。

ところがです。これだけバカだバカだと言っておきながら、ここまで考えて初めて、見えてくるものがありますよ!俄然輝いてくるものがありますよ!
身近な社会に戻ってみると、グレースの確固たる正義が、頑ななまでの純粋さが、ここまでくるとやっぱり、救いのような気がしますよね!(←無理ですかね)
とりあえず、グレースの正義と実直さは、自分の心の中にも育てておこうと思いました。

そして、マンダレイ公式時間。止まった時計を動かして定めた公式時間ね。マンダレイの時計で7時、それはグレースパパの時計で7時10分。ここには皮肉のすべてが集約されています。グレースは、グレースが抗い続ける"アメリカ人"になってしまいました。
ミイラ採りがミイラだYO!
涙出ますね、やっぱり。

どーでもいいことですが、こりゃニコールには無理だわ(笑)。やらないやらない。
ブライス素っ裸で足の間にカメラ持ったラース君(笑)。ニコールには無理だ。

心ゆくまでさるお、もんち!
posted by さるお at 03:06| Comment(12) | TrackBack(21) | 映画の感想文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月08日

映画鑑賞感想文『ドグラ・マグラ』

さるおです。
1988年の邦画『ドグラ・マグラ』を劇場で観たよ。
原作はあの(どの?)頭のオカシイ(←褒めている)夢野久作。
監督は松本俊夫。この人の作品(『薔薇の葬列』『修羅』『十六歳の戦争』など)の中では本作はきわめて評価低いです(涙)。
出演は、桂枝雀、松田洋治、三沢恵里、室田日出男、江波杏子、森本レオ、小林かおり、渡辺文雄、灰地順。

ドグラマグラ本と映画.jpg ←クリックして拡大してじっくり見なはれ

夢野久作っていうのはもう亡くなった作家さんの名前。気狂った話ばっかり書いたヘンな作家さんである。「この小説を書くために生まれてきた」なんつって、『ドグラ・マグラ』を書いたら本当に死んじゃった。
勇気をふりしぼって言ってしまうが、ハリポタに次ぐ(笑)さるおの愛読書だYO!
おもしろくって、数年あけてまた読み返したりしている。

映画化不可能といわれた『○○○』が、ついに待望の映画化!

という言葉はよく聞くぞ(笑)。映画化不可能っぽい小説って、きっといっぱいあるんだな。けど、ほんとにほんとに不可能なのは、とにかく、奇書『ドグラ・マグラ』です。(断言)
本読んで、カネ払って映画館で観てさ、映像化できてねーな、としみじみ思いましたよ(涙)。

原作を読んでみればわかる、こりゃ無理だ。
なぜ無理なのかというと、言語というより、中枢神経に直接語りかける幻惑そのものだからです。読みながら、なんとか思考を経由しようとふんばるんですけど、おもしろすぎて複雑すぎて恐ろしすぎる、ぐるぐると果てしない倒錯の迷宮小説なんだわ。
世界観は直接タイトル『ドグラ・マグラ』に反映されている。どうどうめぐりのめくらまし。メビウスの輪のように、終わりのない夢と狂気と倒錯した快楽の物語。

映画『ドグラ・マグラ』は怪奇探偵小説『ドグラ・マグラ』を映像化した"意欲作"。意欲は感じるが、映画を観ても話はぜんぜんわからない(笑)。不思議なままで終わります(笑)。

人を殺して記憶喪失になった青年、ふたりの精神科医の謎の接点、衝撃的な論文・・・現実に起きたのか、頭の中のできごとなのか、果たして終わりはあるのか・・・ほらね、さるおもまるで表現できない。
スタメンのみんな!たった今、「どんな話かわかんねーよ」って思いましたね!

この本は本当は人に勧めたいんだけど、とにかくあなたの脳にぐいぐい入り込んで入りきらなくて溢れて困るのは間違いない。
デヴィッド・リンチ(David Lynch)のTVドラマ『TWIN PEAKS/ツインピークス』とフランソワ・オゾン(Francois Ozon)の『SWIMMING POOL/スイミング・プール』を足して、スケールを20倍にした感じ(笑)。
スタメンのよい子のみんな!たった今、「わかんねーつってんだろーが」ってまた思いましたね!

夢野久作原作の映画は他にもある(『夢野久作の少女地獄』『瓶詰め地獄』『ユメノ銀河』)が、まぁミステリーということで片づくものばかり。究極の不思議ワールドを体験するなら『ドグラ・マグラ』だぜ!(本のがいいけどね。)

小説『ドグラ・マグラ』についてもう少し書いてみたのでこちらをご覧ください。

心ゆくまでさるお、もんち!
posted by さるお at 21:59| Comment(8) | TrackBack(0) | 映画の感想文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月04日

映画鑑賞感想文『ラストデイズ』

さるおです。
こんなにも、そしてこんなにも気合いの入っていた、カート・コバーン(Kurt Cobain)に捧げる映画『LAST DAYS/ラストデイズ』を劇場で観たよ。
監督はさるおの天敵ガス・ヴァン・サント(Gus Van Sant)。音楽コンサルタントはソニック・ユース(Sonic Youth)のサーストン・ムーア(Thurston Moore)。
出演はブレイク役に『HEDWIG AND THE ANGRY INCH/ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』『THE VILLAGE/ヴィレッジ』のマイケル・ピット(Michael Pitt)、ちょい役のレコード会社重役にソニック・ユース(Sonic Youth)のキム・ゴードン(Kim Gordon)。
あとはほれ、ガス・ヴァン・サントのいつもの手で、『MARS ATTACKS!/マーズ・アタック!』『EVERYONE SAYS I LOVE YOU/世界中がアイ・ラブ・ユー』のルーカス・ハース(Lukas Haas)はルーク役、『SCARLET DIVA/スカーレット・ディーバ』や『THE HEART IS DECEITFUL ABOVE ALL THINGS/サラ、いつわりの祈り』(原題:LE LIVRE DE JEREMIE) で監督・主演をつとめた『XXX/トリプルX』のアーシア・アルジェント(Asia Argento)はアーシア役。スコット・グリーン(Scott Green)はスコットで、ニコール・ヴィシウス(Nicole Vicius)はニコール。
クラブの男として『JULIEN: DONKEY BOY/ジュリアン』で一仕事したハーモニー・コリン(Harmony Korine)が、私立探偵役では『TOMORROW NEVER DIES/007トゥモロー・ネバー・ダイ』に出ていた気がするリッキー・ジェイ(Ricky Jay)も登場。

ラストデイズ.jpg

えーっと、これは3部作なんですね。
ガス・ヴァン・サントの"死シリーズ"(暗)、『GERRY/ジェリー』『ELEPHANT/エレファント』ときて、これが3つめ。
正直に書きます。
伝説のロックアーティストの最期の2日間!なのかどうかまるでわからない、つまらない失敗作に思えます。(もちろんわかってるぞ、これは実話ではなくて、作り上げたドラマだってことは。)

この映画の観方は2つあるよね。
映画好きとして観るか、ニルヴァーナマニア(カート・コバーン好きか、そうでなくても、カートか彼のバンドに何がしかの思い入れのある人)として観るか。
さるおはどっちにも当てはまります。で、どっちも当てはまらない人は、観に行かないとは思うけど、ぜんぜんお薦めできないぜ(涙)。念のため。

映画好きの視点で観た『ラストデイズ』は、おもしろさで言うと『ジェリー』と『エレファント』の間なんだよなー、っちゅーか『ジェリー』寄りだなー、さるおもひとりで観に来たけどさ、隣の人もこんな映画ひとりで観に来て、ニルヴァーナのファンだったんだろうなー、おいおい、寝ちゃったよ〜、3部作とか言って2作目だけ突出しちゃったのはどーしてなんだろーなー、うーん退屈だなー、と理由を考えてたらさるおなりに答えが出た。

ガス・ヴァン・サントはリアリティ追及型の眠くなる監督として有名です。リアリティ追及型の眠くなる作品を、丁寧にこだわって作っている、ということで、ほとんど催眠術師だNE!
あのねー、『エレファント』はすげーおもしろかったんです。ドラマとして成立してた。リアリティとドラマが共存してた。まさに秀作。
ところがさるお気がついた、『ジェリー』と『ラストデイズ』は残念ながらファンタジーなんだ。

森.jpg

『ジェリー』は、セリフまでほとんど無くしてリアリティを思う存分観せようとしたわりに、観せる方法論でずっこけたというか、完全に時間配分を間違えたというか(笑)、とにかく、寝ても寝ても話が進んでねーなーと思うと幹線道路の横であっという間に迷子になってしまう不思議映画になっちゃった。静寂だけならけっこうだが、そこに、絵画的すぎるオブジェクトを配置した映像を多用してみたりなんかして、なんつーか、リアリティを全面に押し出そうとするあまり、工夫しすぎてファンタジーになっちまっただ。

で、『ラストデイズ』はさらにファンタジーっす(泣)。主人公のブレイク君がパジャマ姿で延々と森の中をさまようシーンからはじまるんだけどね、なんとこれが自宅への帰り道。で、自宅はどこかというと、密林の中にひっそりと佇むでかくて立派なお屋敷、ただしボロボロ。
わかるよ、意味があるのは。リハビリ施設を脱走したのは死に場所に帰るため。長い長い孤独な道のりを歩き続けたのは、長く孤独だったそれまでの人生を終わらせるためにほかならない。その証拠に帰宅後、冷蔵庫のメモ("銃は寝室のクローゼットの中に"と書いてある)を見て彼は「Thank you.」と言ってますから。帰路の二股の分かれ道も象徴的で、右の道ならどこか別の場所に抜けることができたのか、彼の人生のいつの時点まで戻れば右の道を選べたのか、その道はもっとマシな人生に通じていたのか、いろいろと考えさせられる。帰ってきた豪邸は壁がはがれてボロボロで、つまりその家はブレイク君の疲れ切った心なわけだよね。そして彼は心の中の住人なわけですよ、疲労と崩壊のカオスの中に住んでいるわけですよ。わかるけどさ、これじゃファンタジーだ。
映画の中盤は、ブレイク君がひとりになりたがって家の周囲を淡々と逃げ回る、ここはまぁ"哀しすぎない"というリアリティが効いている。明日にでも死のうと決めた人の内面はさるおにはわからないから、これがリアリティだと言われれば、そうかもしれないと思う。で、まるで唐突に、死んでしまうものなのかもしれない。
が、死に方がマズイっす。温室の床に膝をつき、はるか上に何を見ていたのか。ご想像におまかせしますはけっこうですが、何も想像できなかったYO!"何かが見えていた"というのはすごくファンタジーっぽい。いや、見えててもいいんだけど、見上げていることがファンタジーっすね。そして翌朝、このボロ家にだけは庭師はいないだろうと思っていたが、にわかに現れた庭師がブレイク君の死体を発見。血痕も死んでいる感じも無いが、魂は体から抜け出し天国へと続くハシゴを登って行きましたとさ。
すべてが象徴的で詩的すぎる。結果として全体が抽象的になっちゃった。具体性の無い空想を見せられた感じです。

うさぎ狩り.jpg

次はニルヴァーナマニアの視点で観た『ラストデイズ』ですけど、はっきり言ってしまえば主人公がカート・コバーンを彷彿とさせない(爆)。
とりあえず、健康っすね。ギタリストらしく体を傾かせて歩いたり、がんばって工夫してっけどね、人物像として奥行きを感じない。常にブツブツ言ってたりもするけど、なんだろうな、病んだ感じが伝わってきません。黒いキャミソールを着たのも、カート・コバーンを是非とも彷彿とさせようっていう作戦バリバリなだけで、それで何かを表現したかというとできてない。
電話で「ツアーだぞ、穴空けないでくれー」って言われるシーンがあったけど、ブレイク君がどれほどビッグな存在なのか、まるでわかりませんでした。人気絶頂だけど逃亡中みたいな感じはぜんぜんしませんよ(涙)。
つまりね、なんで死ぬのかまるでわからない。

本当のカートは、もっともっと追いつめられていたんじゃないのか。
淡々とでかまわないから、静かに見つめてかまわないから、追いつめられた果てにたどり着いた悲劇の姿を、その軌跡の痕跡とともに描かなくていいのか。
考えてみれば、"カート・コバーン物語"は彼の最後の2日間に突然できあがったものじゃないよね。2日間だけを描いて、何だというのか。そもそもの趣旨がわからなくなってきましたよ、ガス・ヴァン・サント君。
『エレファント』には起承転結すべてがあった。『ラストデイズ』には"結"しかない。おもしろいはずねーずら。

ただ、見事に表現したこともあります。
すぐとなりに問題を抱えた人がいて、人はそれに気づくこともたすけることもできず、そして問題を抱えた自分は、表現する術を持たない。
映画『ラストデイズ』の核心だなー、きっと。
ブレイク君と彼を取り巻く人々の希薄すぎる関係が、この息苦しいリアリズムを、強調すらしていたと思います。

カート

さるおはニルヴァーナマニアです。カート・コバーンと、彼の声とメロディと衝動を、今も愛している。
カートのことは誰よりも知っていると錯覚しているし、カートをたすけたかったし、たすけられなかったことを悔いたりしているし、カートを失った世界に慣れた今になっても、カートは天国で楽しくやってるかな、なんて心配したりしている。ただのファン心理なんだけど、自分ではこれを特別な思い入れだと感じている。
だから、『ラストデイズ』がトリビュート・ムービーだと言われてしまうと、まいったなぁ。
さるおの音楽愛というか、パンク愛というか、カート愛はこちらで語っております。

ところで、マイケル・ピットの『Death to Birth』ひとり大合奏はよかったっすね!モノマネもがんばったYO!

心ゆくまでさるお、もんち!
posted by さるお at 06:13| Comment(18) | TrackBack(14) | 映画の感想文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月28日

映画鑑賞感想文『プレイス・イン・ザ・ハート』

さるおです。
『PLACES IN THE HEART/プレイス・イン・ザ・ハート』を観たよ。1984年の映画です。
監督は、『BONNIE AND CLYDE/俺たちに明日はない』『THERE WAS A CROOCKED MAN/大脱獄』の脚本家、『KRAMER VS. KRAMER/クレイマー、クレイマー』『THE HUMAN STAIN/白いカラス』の監督、明日はない映画ばかり作っているロバート・ベントン(Robert Benton)。
出演は、『NORMA RAE/ノーマ・レイ』で1度目のオスカーに輝き、本作で2本目を手に入れ、後に『STEEL MAGNOLIAS/マグノリアの花たち』『FORREST GUMP/フォレスト・ガンプ -一期一会-』に出演する大女優サリー・フィールド(Sally Field)。本作でアカデミー助演女優賞にノミネートされたリンゼイ・クローズ(Lindsay Crouse)、昔から名優だが最近特にさるおの好きな映画『SAW/ソウ』『THE ROYAL TENENBAUMS/ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』に出てくれているダニー・グローバー(Danny Glover)、本作で共演してたら役どころ同様恋に落ちてしまって撮影中に結婚することになったエド・ハリス(Ed Harris)とエイミー・マディガン(Amy Madigan)、デビュー作である本作でアカデミー助演男優賞にノミネートされたジョン・マルコヴィッチ(John Malkovich)など。

1930年代の古き良きアメリカ南部の、本当は古いだけで決して良くない厳しい時代そのものを真摯に綴った感動作でござる。
それまでだんなの給料すら知らず家事と子育て以外やったことのない奥さんが、だんなを事故で失って、借金があることを知って、その分割返済期限が迫っていることを知る。2人の子供を抱えて、途方にくれますよ、そりゃ泣きたくなる。
ところが、母は強しです。物乞いにやってきた黒人に畑で綿花を育てよう、かなんか言われて一大奮起。家族を守りたい一心で、時代に挑戦していく。
彼女は何をやるにしても"はじめてのおつかい"。小切手の書き方も知らないし、種の買い方も知らない。元物乞いの綿摘み黒人にたすけられて、どうにかこうにか、損をしないようにずる賢い種屋と交渉で渡り合う。そして、竜巻の被害に遭ったりして散々な目にあいながらも、ついに、泣けてくるようなド根性で綿花を摘みます。

時代はまだまだKKK全盛期(クー・クラックス・クランは南北戦争後(1865年)に登場したノルディック(金髪碧眼)至上主義団体で、他の民族の人をつかまえちゃ、殴り殺す蹴り殺すやりたい放題の狂った人々。政府にテロリスト団体と認定されたのは1871年ですが、こーゆーのは無くならない。今も活動を続けています)。黒人はひどい扱われようで、ハンデを持った社会的弱者にも生きる道はなかった、そーゆー苛酷な社会です。
だんなをうっかり撃ち殺してしまったのは黒人なのに、未亡人は通りすがりの黒人を警戒しながらも信用していく。というか、他に家族を守る方法がないので悲壮な覚悟で清水の舞台から飛び降りるわけっすね。
ところが、物語の終わりになってみれば、綿摘み黒人とも友情、心を閉ざす盲目の下宿人とも友情。同じく弱者であり生きる術を持たない未亡人の周りには、人と人の絆が形成されている。いい映画でござる。弱者同士が手を取り合い、あたかも本当の家族であるかのように、時代を生き抜く。
実際の現代アメリカは理想とかけ離れてしまったが、少なくとも、理想だった未来の(現代の)アメリカの黎明のような作品ではないかと思います。人種を問わない真の開拓精神が描かれている。

しかーし、ラストがまた今後の生活苦をうかがわせて哀しくなるなぁ。綿摘み黒人はKKK風に顔を隠した種屋とご近所にボコられてしかたなく出て行きます。また物乞いになるわけです。まぁ、それでもどーにか生きていける。
奥さんは困っちゃう。今年はたすけてもらってなんとか凌いだけれど、来年畑はどーすりゃいいんだ。本当の孤軍奮闘は来年から始まるんですよ(涙)。
いちばん心配なのは、KKK風なみなさんの名前を言い当ててしまった盲目の下宿人。白人だけど、殺されるよなぁ。彼のお兄さんは銀行の人で、金を貸している側です。いやー、ほんと心配っす。
このラストも含めて、いい映画です。こーゆー社会派人間ドラマはめでたしめでたしで終わったらだめです。

奥さんのお姉ちゃんのだんな(エド・ハリス)と女教師(エイミー・マディガン)の不倫エピソードさえなければ、もっと本題に集中できる素晴らしい映画になったのに・・・まー、ほんとに結婚したわけだから、そーゆーギラギラした観方をすればそれなりにおもしろいのかもしれないけどね、とにかくまったく必要ないエピソードとしか思えません。

心ゆくまでさるお、もんち!
posted by さるお at 00:33| Comment(0) | TrackBack(1) | 映画の感想文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月27日

映画鑑賞感想文『キャットウーマン』

さるおです。
前人未到の商品発売日前日納品(爆)、『CATWOMAN/キャットウーマン』を観たよ。

監督は『VIDOCQ/ヴィドック』のフランス人監督ピトフ(Pitof)、出演は猫女のハリー・ベリー(Halle Berry)、わるもんの怪物女にシャロン・ストーン(Sharon Stone)、いつも刑事の気がするベンジャミン・ブラット(Benjamin Bratt)。

若返りクリーム"ビューリン"を塗るとね、副作用はものすごいがとにかく若返る(笑)。
現実にお年を召されると、日々シワシワと、カサカサと、肌にハリがなくなってしまうアナタのお肌が(敵つくったな)、じゃ〜んっ!!!大理石の肌になる!ぐわぁー、すっごい不便な夢のクリーム。
ビューリン怪物を生む物語のトリックが、夢のクリームの"夢"の部分だというのは、素晴らしいです。秀逸なアイデアですね、化粧品としても映画としても(涙)。
シャロン・ストーンは本当に美しいです。彼女の美しさのためにある映画です。ニッポンには桃井かおりが、アメリカにはシャロン・ストーンがおりますですよ。キレイっす。

ヘデア社による前代未聞の商品発売日前日納品というまさかの暴挙に全面的にたよった脚本。ヘデア社、夢のようなわがままですよ。
どーでもいいバカ映画ですけど、最高。さるおは讚えますね、こーゆーの。ラズベリー賞獲っただけのことはあります。しかも3冠、無敵っすね。

心ゆくまでさるお、もんち!
posted by さるお at 17:34| Comment(8) | TrackBack(14) | 映画の感想文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月12日

映画鑑賞感想文『ニュースの天才』

さるおです。
『SHATTERED GLASS/ニュースの天才』を観たよ。
監督は、『COLOR OF NIGHT/薔薇の素顔』の原作者で『VOLCANO/ボルケーノ』の脚本家で、2006年の『FLIGHTPLAN/フライトプラン』でも脚本を書いたビリー・レイ(Billy Ray)。
出演はダース・ベイダー、じゃなくてヘイデン・クリステンセン(Hayden Christensen)と、『KINSEY/愛についてのキンゼイ・レポート』『FLIGHTPLAN/フライトプラン』のピーター・サースガード(Peter Sarsgaard)、ヴィンセント・ギャロの元カノで一時はどうなるかと思いましたが最近シゴトが順調そうなクロエ・セヴィニー(Chloe Sevigny)

1998年に首都で実際に起きた記事捏造事件の再現ドラマでござる。
アメリカのメディアに衝撃をもたらした、“THE NEW REPUBLIC”の最年少・人気ジャーナリストによるスキャンダルは、斬新な切り口で政財界のゴシップをスクープしたもの。要は、読んでおもしろい記事なんすね。ある意味純粋なエンターテイナーの姿なのであって、記事をおもしろくしないと気がすまない彼は、つまり就職先を間違えている。「だって、みんなが喜んでくれるから」
そこに善と悪の二元論は存在しない。
"アメリカ大統領専用機に唯一設置される国内で最も権威ある政治マガジン"じゃなければよかったのに。
捏造が発覚してだんだんと窮地に追い込まれる記者と、複雑な思いでスキャンダルに向き合う周囲の人々の心理、そしてついにすべてを失い転落していく破滅の人生を、キリキリと描きましたよ。社会派ドラマではあるけれど、メディアの責任を問う話じゃなくて、誤魔化そう、誤魔化せるかな、暴いてやれ、もうだめだ、そーゆー個々の心理を綴っていて、痛ましい。なかなか迫力あるよくできた作品です。素晴らしいね。

こーゆー映画、好き。
ただ、この作品に関して言うと、じつは他の俳優さんを主役に迎えてほしかったっすね。だってこないだ観たもん、おなじやつ、タイトルは『シスの復讐』ってゆーやつだったけど。この2作品は基本的に同じ事象を同じ俳優で描いていると思う。
がんばっている才能溢れる若者が、罪を犯して追いつめられ(追いつめられて罪を犯し)、最後の最後に懺悔する。切なく痛々しい、罪から浄化までの軌跡。善と悪の二元論で片づけられない、人の心理であり、罪の物語である。傲慢で、無知で、弱く愚かな、英雄の真の姿である。
もちろん物語とか脚本とかに文句はないんでござるよ、こっちは本当にあった話だし、『STAR WARS/スター・ウォーズ』はなんつっても『スター・ウォーズ』だし。
とにかく違う俳優さんがよかったなー。
もちろん、さるおの観る順番がいけないんだ。『REVENGE OF THE SITH/シスの復讐』は2005年の映画で『ニュースの天才』は2003年の映画だから、文句を言うならシスに言えって話(笑)。でも『ATTACK OF THE CLONES/クローンの攻撃』は2002年だからなー、やっぱ誰にも文句言えないんだけど。
それにヘイデンの演技力には文句ないんでございます。ヘイデンの同じ演技を2度続けて観たぞ、と思うけど、同じ心理の役柄なのでこれは彼のせいじゃない。彼のせいどころか、素晴らしいんだ、『ニュースの天才』撮影時、ヘイデン21歳。あー、そっか、『ニュースの天才』の素晴らしい演技が超大作『シスの復讐』でさらに大きな花を咲かせたと思えばいいんだな。

心ゆくまでさるお、もんち!
posted by さるお at 21:33| Comment(10) | TrackBack(25) | 映画の感想文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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