さるおです。
スーパーポッタリアンなので、愛を込めて、『DH』には謎の答えがほんとに書いてあったのかなぁ、と考えてみます。数々のJoのコメントを元に(だいたいこちらに沿って)、『DH』を検証してみたいです。
ネタばれエントリーなのでご注意ください。ネタばれコメントも大歓迎なので、そっちも気をつけてね。
ハリポタ辞典のもくじはこちらです。
えっと、まず、確かなことは、Joが明かすと言っていた謎の大半は明かされてねーな、ということですね(泣)。
本を読めばわかることはとりあえず置いておくことにして、本には書いてなかったけどJoはこう言ってる、というのがこれらです。本に書いてないっちゅーのはなんだか反則な感じがしますが、まぁええわ。
●ジェームズとリリーのとても重要な職業がわかる
これについては、さるおはあれこれ考えてましたが、ジェームズが透明マントを守ってコドモに受け継がなきゃいけないというところでちょっとだけ当たってた感じがするだけで、"常勤"のオーダーメンバー(戦士)というのはちょっと拍子抜けです(笑)。オーダーに所属してたのは周知だし、"オーダー"って読み慣れすぎちゃってるわけですが。
●ディメンターに襲われたとき(『OotP』)ダドリーが何を見たかがわかる
ダッダちゃんが見たのは"ダッダちゃん自身"だと言ってます。
I think that when Dudley was attacked by the Dementors he saw himself, for the first time, as he really was.
次はまるで明かされてないことです。
●ハリーのじーちゃんばーちゃんについて語られる
●ジェームズとリリーがGodric's Hollowで殺された夜、ヴォルディの横には誰かいたのかどうかがわかる
●シリウスがなぜ死ななければならなかったかがわかる
●シリウスとスネイプの間の秘密がわかる
●スネイプの恐れるもの(ボガートが化けるもの)と最も幸せな経験(パトロナスに必要)がわかる
●スネイプは愛されたことがある
●『OotP』魔法省内でダンブルドアがヴォルディに使った呪文が何かわかる
●twelve uses of dragon's bloodがわかる(うち1つはオーブンクリーナー)
●死んでゴーストになる人とならない人の違いがわかる(I can say that the happiest people do not become ghosts.)
●ウィーズリー家の人々は、ある裏切りから家の秘密を知る
こんなにあるぞ。(間違ってたらどなたかご指摘ください)
もうね、かすみますよ。これ↓が。
"There is plenty to guess at... at least one thing I think people will probably deduce, there is a mystery left at the end, but I think they might already know the answer if they think about it."
シリーズが終わったとき、謎がひとつだけ、そのまま残されている。もう気づいている人もいるかもしれないけど。
でもまぁ、どれもこれも考え甲斐はありそうっす。おもしろそうなのでこれから記事にしていきます。
ところで、次のは実現しなくて残念でした。
●ハリーはもう1度タイムトラベルするかもしれない
●珍しいことに、誰かが魔法を使えるようになる
●ホグワーツ創設者4人についてさらに語られる
●ダンブルドアの左膝の傷跡(London Underground)を見る
特に4つ目。見たかったっすねー。
心ゆくまでさるお、もんち!
2008年03月04日
2008年02月20日
読書感想文『Harry Potter and the Deathly Hallows』
さるおです。
さるおと一緒に歩いてくださったよい子のみなさん、本当にどうもありがとう。何度もヴォルディに土下座しそうになりましたが(弱い)、みなさんに励まされ、かなーり泣きながらですが、ベラの子分にならずにがんばれました。心から感謝しています。
スーパーポッタリアンなので、愛を込めて、さるおのハリポタツアー後に思ったことを書いておこうと思います。
思いっきりネタバレです。コメント欄も含めて、すごーくご注意ください。
人が成長する過程というのは、多かれ少なかれ、その人なりの痛みを伴う。コドモからオトナへ。親鳥の羽の下で過ごす守られた日々から、いつか勇気を出して自分の足で1歩を踏み出す。そして自分の居場所を探し求め、見つけるその日まで、格闘し続けるわけです、自分自身と。
それが人生。
ハリーもその人生を歩んでます。
だから、やっぱりこれは、ファンタジーなんかではなかったなぁ。
青春の物語ですね。学園モノです。この気持ち(感想)は変わりません。
ただ、ハリポタ内の死生観について、"Horcrux"と"The Master of Death"の共存は少々ひっかかりました。つまり、不死への道は2本あった、という点です。2つ目があまりに唐突に登場したので、ここから一気にファンタジーになってしまうのかと心配になりましたね。死んだけど(死にかけたけど)生き返る(三途の川から戻ってくる)、という話に秘宝を使ってしまうと、突然出てきたちょっと紛らわしいだけの小道具、という気がしてならなかった。だけど秘宝を使わないと、AKが当たったのに死ななかった、という大矛盾が生じてしまうから。
でも結局は、その"ファンタジー"なる部分が、うまく死生観としてまとまったような気もします。
"Horcrux"を作ると、つまり自分だけは永遠に死なないぞと欲を出して強引に自身を神格化する行為は、邪悪すぎて自分を痛めつけてしまう。もう取り返しがつかないほどに。
一方で秘宝集めはほんとは誰もがやりたいわけですが、ハリーだけが結果的にこれを達成します、"意図せずに"。"The Master of Death"に値するかどうかは秘宝(死神)が決めることなんですね。
そして、ハリーは死ななければならないという運命は、3つ集めたから死なない、という奇跡の大転換を起こす。これはハリーが求めたことではないし、さらに、ハリーは死と引き換えに世界を救おうなどいう大きなことも考えていなかった。自分が死ねば、世界を救うチャンスを残せる、というだけ。自分にできる最大限のことを、謙虚に遂げようとしたわけです。そしてそこからもう1度立ち上がるわけですね。
考えてみればやっぱり秘宝はAKに対抗する小道具に過ぎなかったわけですが、その意味するものはちゃんとあったわけですね。
命をかける。人生をかける。覚悟を決める。
そーゆー瞬間が、何度かあります、人生には。それは、避けて通れる人もいるかもしれないけれど、あったほうがよい。自分の意志で積極的に、何かを選び、決断し、そこに向かって行こうと1歩ずつ前に進むこと、それには意義があるとダンブルドアが言ったように。
この物語はひとつの人生をおしえてくれるなぁ。
ハリーも含め、オトナもコドモも皆、完全な悪や完全な善ではなく、短所をかかえた複雑な多面体として生きています。壮絶に生き、卑劣に生き、運命に抗い、社会に翻弄され、汚名に甘んじ、正義を信じ、欲にまみれ、自らを呪い、ある者は夢の途中で、またある者は誇り高く死ぬ。
それがこの世界。
やっぱりこれは、ファンタジーなんかではなかった。
人間の不完全さを描いた、人の世の物語ですね。
『LotR』はファンタジーとしての壮大な世界観を見事に描いたと思いますが、ハリポタが描いて見せたのはこの社会そのものです。この社会を生きる人々の姿だからこそ、完全な悪や完全な善など存在しないわけですね。
"完全な悪"に極めて近いところにいるのがヴォルディさんですが、その深い闇を、本当の暗さを、もっと描いてほしかった気はします。見捨てられたコドモの"怨み"というものが、頭の中でどう捩れて、恐怖政治を行う暴君への道を歩み始めたのか。
ダンブルドアに言わせれば、"選択"という行為を行うのがハリー、それができないのがヴォルディなわけですが、だからと言ってなぜ不死と同時に世界を手に入れようとしたのか。
そしてその高みを目指したにもかかわらず、自称天才のヴォルディが策略家になりきれず、ついつい幼稚に立ち回ってしまう"オトナのガキ大将"にしかなれなかったのは、彼に"何が"欠落しているせいなのか。
いや、わかるんだけど、もっとはっきり描いてほしかった。
ヴォルディの闇の深さをもっと感じることができれば、ハリーとヴォルディの1対1の対決はもっともっとおもしろかっただろうと思います。
この物語では、多くの血が流れました。その重みは、エピローグにあたる"Nineteen Years Later"を読んではじめてずっしりと感じます。
ここを読み始めたときにね、"19年後"なんて書かなくていいのにー、とじつは思いました。でも、読み終わったときに、やっとその意味と意義がわかりました。
生き残ったハリーたちが手に入れた世界は、顔をあげて自らの意志で戦場に立ち、自分の身体とハートで闘い、勝ち取ったものなんだ。
生き残ったハリーたちが19年後に生きる社会は、その闘いで流れた血と、失った者への追悼と喪失感の上に成り立っている世界なんだ。
与えられた平穏ではなく、勝ち取った(奪い返した)平穏なんですね。虐げられようとしていた者が(ハリーを革命のシンボルとしたレジスタンスであるホグワーティアンが)独裁を阻止するクーデターの旗を振り、虐げられていた者が(例えばハウスエルフが)市民権をその手に取り戻す。フランス革命がそうだったように、血が流れ、灰が降り、革命が成就する。その土台の上で生きているわけです。父親も母親も次世代が生きる未来のために血を流し、コドモたちは親と志を同じくして戦いそして死んで行く。この犠牲と悲しみと痛みの上にこそ築かれる19年後なわけです。
現代に生き与えられた日常的な日常を享受する多くの読者に、血を流して得た市民権というものが、エピローグによって語られているんですね。
なんとも感慨深い"Nineteen Years Later"です。この章は、なければならなかった。19年後のために、すべてが描かれていたのだから。
そして最後に、『DH』は『PS(SS)』にそっくりだった!
『PS』でハリーは魔法界に足を踏み入れます。ハグリッドに連れられ、リーキーを抜け、ダイアゴン横丁を歩き、銀行へ行く。
『DH』ではハーについて、リーキーを抜け、ダイアゴン横丁を歩き、銀行へ行く。前とは違う気持ちで。
『PS』でヘドウィグに出会い、『DH』で別れを告げました。
『PS』で鳥が飛ぶのを見ると、校長先生は大事なときにかぎっていなくなってるわけです。
『DH』でも鳥が飛ぶのを見たら、やっぱりそれはロンドンへの知らせでした。
『PS』の賢者の石、『DH』の甦りの石。あのときのスニッチ。ダンブルドアが鏡に見るものもわかったし。森で敵と対峙する。
『PS』ではクィレルさんがスネイプを語り、『DH』ではハリーが語りました、同じ場面で。
『PS』でダンブルドアが、ハリーの額の傷跡の意味を語ってたし。
他にも、各章ごとにいくつもあります、符号点が、山ほどね。たしかに対になってます。物語自体も含めて。
2巻目は"秘密の部屋"に怪物がいて、その後の人生を支えてくれる人の命を救いました。
6巻目は"必要の部屋"からDEが出てきて、それまでの人生を支えてくれた人を失いました。
3巻目で家族を得て、5巻目で家族を失う。
そしてたしかに、すべてのターニングポイントは4巻目っすよね。
あまりに美しい構成と、あまりに精密な細部。ハリポタは素晴らしいですね。
心ゆくまでさるお、もんち!
さるおと一緒に歩いてくださったよい子のみなさん、本当にどうもありがとう。何度もヴォルディに土下座しそうになりましたが(弱い)、みなさんに励まされ、かなーり泣きながらですが、ベラの子分にならずにがんばれました。心から感謝しています。
スーパーポッタリアンなので、愛を込めて、さるおのハリポタツアー後に思ったことを書いておこうと思います。
思いっきりネタバレです。コメント欄も含めて、すごーくご注意ください。
人が成長する過程というのは、多かれ少なかれ、その人なりの痛みを伴う。コドモからオトナへ。親鳥の羽の下で過ごす守られた日々から、いつか勇気を出して自分の足で1歩を踏み出す。そして自分の居場所を探し求め、見つけるその日まで、格闘し続けるわけです、自分自身と。
それが人生。
ハリーもその人生を歩んでます。
だから、やっぱりこれは、ファンタジーなんかではなかったなぁ。
青春の物語ですね。学園モノです。この気持ち(感想)は変わりません。
ただ、ハリポタ内の死生観について、"Horcrux"と"The Master of Death"の共存は少々ひっかかりました。つまり、不死への道は2本あった、という点です。2つ目があまりに唐突に登場したので、ここから一気にファンタジーになってしまうのかと心配になりましたね。死んだけど(死にかけたけど)生き返る(三途の川から戻ってくる)、という話に秘宝を使ってしまうと、突然出てきたちょっと紛らわしいだけの小道具、という気がしてならなかった。だけど秘宝を使わないと、AKが当たったのに死ななかった、という大矛盾が生じてしまうから。
でも結局は、その"ファンタジー"なる部分が、うまく死生観としてまとまったような気もします。
"Horcrux"を作ると、つまり自分だけは永遠に死なないぞと欲を出して強引に自身を神格化する行為は、邪悪すぎて自分を痛めつけてしまう。もう取り返しがつかないほどに。
一方で秘宝集めはほんとは誰もがやりたいわけですが、ハリーだけが結果的にこれを達成します、"意図せずに"。"The Master of Death"に値するかどうかは秘宝(死神)が決めることなんですね。
そして、ハリーは死ななければならないという運命は、3つ集めたから死なない、という奇跡の大転換を起こす。これはハリーが求めたことではないし、さらに、ハリーは死と引き換えに世界を救おうなどいう大きなことも考えていなかった。自分が死ねば、世界を救うチャンスを残せる、というだけ。自分にできる最大限のことを、謙虚に遂げようとしたわけです。そしてそこからもう1度立ち上がるわけですね。
考えてみればやっぱり秘宝はAKに対抗する小道具に過ぎなかったわけですが、その意味するものはちゃんとあったわけですね。
命をかける。人生をかける。覚悟を決める。
そーゆー瞬間が、何度かあります、人生には。それは、避けて通れる人もいるかもしれないけれど、あったほうがよい。自分の意志で積極的に、何かを選び、決断し、そこに向かって行こうと1歩ずつ前に進むこと、それには意義があるとダンブルドアが言ったように。
この物語はひとつの人生をおしえてくれるなぁ。
ハリーも含め、オトナもコドモも皆、完全な悪や完全な善ではなく、短所をかかえた複雑な多面体として生きています。壮絶に生き、卑劣に生き、運命に抗い、社会に翻弄され、汚名に甘んじ、正義を信じ、欲にまみれ、自らを呪い、ある者は夢の途中で、またある者は誇り高く死ぬ。
それがこの世界。
やっぱりこれは、ファンタジーなんかではなかった。
人間の不完全さを描いた、人の世の物語ですね。
『LotR』はファンタジーとしての壮大な世界観を見事に描いたと思いますが、ハリポタが描いて見せたのはこの社会そのものです。この社会を生きる人々の姿だからこそ、完全な悪や完全な善など存在しないわけですね。
"完全な悪"に極めて近いところにいるのがヴォルディさんですが、その深い闇を、本当の暗さを、もっと描いてほしかった気はします。見捨てられたコドモの"怨み"というものが、頭の中でどう捩れて、恐怖政治を行う暴君への道を歩み始めたのか。
ダンブルドアに言わせれば、"選択"という行為を行うのがハリー、それができないのがヴォルディなわけですが、だからと言ってなぜ不死と同時に世界を手に入れようとしたのか。
そしてその高みを目指したにもかかわらず、自称天才のヴォルディが策略家になりきれず、ついつい幼稚に立ち回ってしまう"オトナのガキ大将"にしかなれなかったのは、彼に"何が"欠落しているせいなのか。
いや、わかるんだけど、もっとはっきり描いてほしかった。
ヴォルディの闇の深さをもっと感じることができれば、ハリーとヴォルディの1対1の対決はもっともっとおもしろかっただろうと思います。
この物語では、多くの血が流れました。その重みは、エピローグにあたる"Nineteen Years Later"を読んではじめてずっしりと感じます。
ここを読み始めたときにね、"19年後"なんて書かなくていいのにー、とじつは思いました。でも、読み終わったときに、やっとその意味と意義がわかりました。
生き残ったハリーたちが手に入れた世界は、顔をあげて自らの意志で戦場に立ち、自分の身体とハートで闘い、勝ち取ったものなんだ。
生き残ったハリーたちが19年後に生きる社会は、その闘いで流れた血と、失った者への追悼と喪失感の上に成り立っている世界なんだ。
与えられた平穏ではなく、勝ち取った(奪い返した)平穏なんですね。虐げられようとしていた者が(ハリーを革命のシンボルとしたレジスタンスであるホグワーティアンが)独裁を阻止するクーデターの旗を振り、虐げられていた者が(例えばハウスエルフが)市民権をその手に取り戻す。フランス革命がそうだったように、血が流れ、灰が降り、革命が成就する。その土台の上で生きているわけです。父親も母親も次世代が生きる未来のために血を流し、コドモたちは親と志を同じくして戦いそして死んで行く。この犠牲と悲しみと痛みの上にこそ築かれる19年後なわけです。
現代に生き与えられた日常的な日常を享受する多くの読者に、血を流して得た市民権というものが、エピローグによって語られているんですね。
なんとも感慨深い"Nineteen Years Later"です。この章は、なければならなかった。19年後のために、すべてが描かれていたのだから。
そして最後に、『DH』は『PS(SS)』にそっくりだった!
『PS』でハリーは魔法界に足を踏み入れます。ハグリッドに連れられ、リーキーを抜け、ダイアゴン横丁を歩き、銀行へ行く。
『DH』ではハーについて、リーキーを抜け、ダイアゴン横丁を歩き、銀行へ行く。前とは違う気持ちで。
『PS』でヘドウィグに出会い、『DH』で別れを告げました。
『PS』で鳥が飛ぶのを見ると、校長先生は大事なときにかぎっていなくなってるわけです。
『DH』でも鳥が飛ぶのを見たら、やっぱりそれはロンドンへの知らせでした。
『PS』の賢者の石、『DH』の甦りの石。あのときのスニッチ。ダンブルドアが鏡に見るものもわかったし。森で敵と対峙する。
『PS』ではクィレルさんがスネイプを語り、『DH』ではハリーが語りました、同じ場面で。
『PS』でダンブルドアが、ハリーの額の傷跡の意味を語ってたし。
他にも、各章ごとにいくつもあります、符号点が、山ほどね。たしかに対になってます。物語自体も含めて。
2巻目は"秘密の部屋"に怪物がいて、その後の人生を支えてくれる人の命を救いました。
6巻目は"必要の部屋"からDEが出てきて、それまでの人生を支えてくれた人を失いました。
3巻目で家族を得て、5巻目で家族を失う。
そしてたしかに、すべてのターニングポイントは4巻目っすよね。
あまりに美しい構成と、あまりに精密な細部。ハリポタは素晴らしいですね。
心ゆくまでさるお、もんち!
2008年02月14日
さるおのハリポタツアー Harry Potter and the Deathly Hallows Nineteen Years Later
さるおです。
スーパーポッタリアンなので、愛を込めて、さるおのハリポタツアーは、19年後のロンドンで懐かしいみんなに再会です。
『DH』の完全ネタバレです。コメント欄も含めて、すごーくご注意ください。(内容はすべて反転文字にしてあります。)
ハリポタ辞典のもくじはこちらです。
Nineteen Years Later
その年の秋は突然やって来ました。
くっきりと黄金色に晴れた9月1日の朝、人とクルマがクモの巣のように行き来する混雑した道路をぴょこぴょこと横断して、すすけた巨大な駅ヘ向かう家族がいます。両親が押す2台のトロリーのてっぺんには大きな鳥カゴ。中ではバタバタと怒ったようにふくろうが暴れています。泣きそうな顔の赤毛の女の子がパパの腕をつかみ、お兄ちゃんたちの後ろを歩いています。
「すぐだよ」ハリーはその少女に言いました。
「2ねんなんてまてないー!いますぐいきたいのー!」リリーちゃんはごきげん斜めです。
人込みをよけてジグザグに歩きながら9番線と10番線の間の壁に向かう家族の不思議な持ち物"ふくろう"を、通行人がじろじろ見ています。
「やだ!スリザリンになんか入らない!」
前を行くアルバスの声が聞こえます。そうそう、クルマの中から口論は始まってたんだっけ。
「ジェームズ!もうやめれ」ジニーが言いました。
「入る"かも"って言っただけじゃん」ジェームズは弟を見てニヤニヤしてますが、お、ママが睨んでる、黙ってよっと。
壁まで来ました。ジェームズはちょっと生意気そうに弟を振り返ってから、ママが押していたトロリーを押して走り出しました。そして、消えました。
「手紙書いてくれるでしょ?」お兄ちゃんがいなくなるとすぐ、アルバスは両親にそう聞きます。
「なんなら毎日書こうか?」答えるのはジニー。
「毎日じゃなくていいけど。ジェームズが言ってた、みんな月に1通くらい手紙もらってるって」
「ジェームズには去年、週に3通書いたけど」
「おまえのお兄ちゃんは冗談言うのが好きなんだ。信じすぎちゃだめぽ」口を挟むのはハリーです。
トロリーを押して走り出す。アルバスは一瞬びくっとしましたが、ほらね、ちゃんと通れた。
9と3/4番線、白い蒸気をもくもくと吹き上げて、真っ赤な汽車が待っています。
ジェームズお兄ちゃんはもうどこかに行っちゃった。見つかるかなぁ。
濃い雲の中にいるようで、人々の顔はよく見えません。が、不自然に大きな声が聞こえてきました。あ、パーシーの声だ。箒のレギュレーションについてアナウンスしてます。おシゴトっすね。
「アル、そこにみんないるよ」ジニーが別の家族を見つけました。
「ハーイ!」アルバスはちょっと安心したように駆けて行きます。近づくと顔が見えました。ローズが、すでに真新しいホグワーツの制服を着て、アルバスを笑顔で迎えます。ピカピカの1年生さん同士です。
「駐車できた?」ハリーにそう尋ねるのはロンです。「ぼくはちゃんとできたけど。ハーちんさ、ぼくがマグルのクルマの免許とれるって信じてなかったんだ。ひどくね?教官さんに魔法かけてズルしたんじゃねーか、だってさー」
「んなこと言ってないじゃんか。受かるって信じてたよ」慌てて取り繕うハーちん。
「ま、実際、魔法は使ったんだけど」ハーに聞こえない声でハリーにささやくロンちん。「横のミラー見るの忘れてさ、でもほら、そこんとこは"Supersensory Charm"でなんとか、ねぇ」
アルバスのふくろうと荷物を列車に積んでプラットフォームに降りると、リリーと、ローズの弟ヒューゴが大コーフンで話しています、ホグワーツに入学したら自分たちはいったいどの寮に入るんだろうって。
「おまえもしグリフィンドールに入れなかったら、うちの子じゃねーぞ。あ、いや、まー、気にすんな」
「ロンちんってば、そーゆーこと言うんじゃないの!」んもー、パパさんになってもハーに叱られ続けるロンちんです。
まだ時間のあるリリーとヒューゴは笑っていますが、もう組み分けが目の前に迫っているアルバスとローズはドキドキっすね。
少し離れたところに立ってる3人家族を見つけました。黒いコートのボタンを襟までしっかりとめたドラコ、奥さんと息子さん。アルバスがパパ似なのと同じくらいに、ドラコんちの1年生もパパ似です。
ドラコは、トリオとジニーが自分を見ているのに気がつきました。そっけない素振りで頷き、背中を向けます。
「ちっこいサソリ野郎めー。ロージー、期末試験は毎回あいつに勝てよー。おまえ、母ちゃん譲りの頭脳でよかったなぁ」
「あのねロンちん、学校始まる前からそんなケンカんなるようなこと言わなくたっていいじゃんか!」本当に、どこまでも、叱られ続けるロンちん。
「あ、うん、まぁ、そうね。えっと、つまり、ヤツと仲良くなりすぎるな、ロージー。純血とケッコンでもすることになったら、じいちゃんだって許さねぇ」
そこへジェームズが大コーフンで現れました。自分の荷物は自分で積んだみたいです。「ねぇねぇ!テディがいる!今会ったよ。何してたと思う?Victoireといちゃいちゃしてた!」
反応の薄いオトナにがっくし。「ぼくらのテディだよ!テディ・ルーピンだってば!ぼくらのVictoireとチュッチュチュッチュだよ!いとこのVictoireと!だからさ、テディにさ、それ何してんのって聞いたらさ・・・」
「邪魔したのー?」ジニーが呆れてますよ。「ロンみたいな子ね・・・」
「そしたらさ、Victoireを見送りに来たんだって。で、あっち行けって」
「ケッコンしたらステキくね?これでテディもうちの家族だし」気の早い祝福はリリーから。
「めし食ったりとか、テディはしょっちゅううちに来てんじゃん。もう家族だよ。一緒に住もうって誘おうかー」提案はハリーから。
「いいね、それ!ぼくテディと同じ部屋でいいよ」ジェームズはずいぶんテディになついてますね。
「だめ。おまえはアルと同じ部屋なの」ハリーは長男をたしなめながら、かつてはFabian Prewettのものだった古い金時計を見ます。もう出発する時間ですね。
「ネビルによろしく」ジニーはジェームズをハグしながら言いました。
「そんなの無理だよ、学校に行ったら"先生"だもん。薬草学で温室に行って、よろしくって行ったら変だ」
ジェームズは列車に乗り込む前にアルバスにキック(笑)。「あとでな、アル。セストラルに気をつけろ」両親に手を振ると友達を探して走って行きました。
「見えないんでしょ?そー言ったじゃーん!」
お兄ちゃんの背中に叫ぶちょっぴり怖がりの弟にハリーは言います。「セストラルは怖くないよ。優しい生き物なんだ。それに、馬車には乗らないよ。1年生はボートだから」
「クリスマスにね」ジニーがアルバスにキスを贈ります。
「ハグリッドにお茶呼ばれてんの、忘れるなよ。ピーヴスはほっとけ。ケンカはすんな。あと、ジェームズに負けるなよー」ハリーからはありったけの"注意事項"のプレゼント。
「パパ、スリザリンだったらどぼちよう」アルバスはハリーにだけ聞こえるように囁きました。
出発の今が、アルバスに"怖れ"に立ち向かって1歩を踏み出させる絶好の時だとハリーにはわかっています。ハリーはアルバスの目線より低くなるように屈み込み、次男の目を覗き込みました。3人のコドモたちのなかでただひとりリリーの瞳を受け継いだ、次男の明るい緑色の瞳。そしてアルバスだけに聞こえるように、いや、ほんとはジニーには聞こえているんですが、男同士の内緒話を彼女は聞こえないふりしてくれているんですね。
「アルバス・セヴルス、きみの名前はホグワーツのふたりの校長先生からとった。ひとりはスリザリン。その彼は、パパが知っている人の中でいちばん勇敢な人なんだよ。スリザリンには優秀な子が多い。スリザリンでもいいんだよ。でももしきみが嫌なら、スリザリンよりグリフィンドールに入れてって、選べばいい。ソーティングハットはきみの望みを尊重してくれるよ」
「まじで?」
「パパはそーしたYO!」
アルバスは不思議そうな顔つきで列車に乗り込み、ジニーがドアを閉めました。どの窓からもコドモたちが顔をのぞかせています。あれ、汽車に中のコドモたちも、プラットフォームの家族も、なぜかこっちを見ている。
「なんでみんな見てるのー?」
ローズと一緒に窓から顔を出し、アルバスが聞きました。
「気にすんな。ぼくだよ、みんなぼくを見てるの。セレブだから」と答えたのはやっぱりロンちん。
アルバス、ローズ、ヒューゴ、そしてリリーも笑っています。
ホグワーツ特急はゆっくりと動き出しました。ハリーは汽車に歩調を合わせてプラットフォームを歩きます。アルバスの顔の不安は消えました。学校が楽しみになってきたんだな。ハリーは微笑んで手を振り続けますが、ほんとは勇気を振り絞ってるのはパパのほう、次男が遠ざかって行くのはドキドキです。
ホグワーツ特急はカーブを曲がり、見えなくなり、最後の蒸気の一筋が秋の空気の中に消えました。
手を振りっぱなしのハリーに「だいじょぶよ」とジニーが言います。ハリーは所在なさげに手を下ろし、額の傷跡に触れました。「うん、だいじょぶだよね」
稲妻型のその傷跡は19年間、1度も痛んでいません。めでたしめでたし。
【メモ】
Scorpiusは"さそり座"ね。
Victoireさん、ヴィクトアールって読むのかな、ヴィクトリアのフランス語読みみたいなので、こりゃビル&フラーんちのお嬢さんでしょうか。で、まだ学生さんなんすねー。
ロンがマグルの運転免許をとったというあたり、ははーん、モリーママと一緒に出ているこれのことっすね!
んも〜、Joったらぁーっ!
心ゆくまでさるお、もんち!
スーパーポッタリアンなので、愛を込めて、さるおのハリポタツアーは、19年後のロンドンで懐かしいみんなに再会です。
『DH』の完全ネタバレです。コメント欄も含めて、すごーくご注意ください。(内容はすべて反転文字にしてあります。)
ハリポタ辞典のもくじはこちらです。
Nineteen Years Later
その年の秋は突然やって来ました。
くっきりと黄金色に晴れた9月1日の朝、人とクルマがクモの巣のように行き来する混雑した道路をぴょこぴょこと横断して、すすけた巨大な駅ヘ向かう家族がいます。両親が押す2台のトロリーのてっぺんには大きな鳥カゴ。中ではバタバタと怒ったようにふくろうが暴れています。泣きそうな顔の赤毛の女の子がパパの腕をつかみ、お兄ちゃんたちの後ろを歩いています。
「すぐだよ」ハリーはその少女に言いました。
「2ねんなんてまてないー!いますぐいきたいのー!」リリーちゃんはごきげん斜めです。
人込みをよけてジグザグに歩きながら9番線と10番線の間の壁に向かう家族の不思議な持ち物"ふくろう"を、通行人がじろじろ見ています。
「やだ!スリザリンになんか入らない!」
前を行くアルバスの声が聞こえます。そうそう、クルマの中から口論は始まってたんだっけ。
「ジェームズ!もうやめれ」ジニーが言いました。
「入る"かも"って言っただけじゃん」ジェームズは弟を見てニヤニヤしてますが、お、ママが睨んでる、黙ってよっと。
壁まで来ました。ジェームズはちょっと生意気そうに弟を振り返ってから、ママが押していたトロリーを押して走り出しました。そして、消えました。
「手紙書いてくれるでしょ?」お兄ちゃんがいなくなるとすぐ、アルバスは両親にそう聞きます。
「なんなら毎日書こうか?」答えるのはジニー。
「毎日じゃなくていいけど。ジェームズが言ってた、みんな月に1通くらい手紙もらってるって」
「ジェームズには去年、週に3通書いたけど」
「おまえのお兄ちゃんは冗談言うのが好きなんだ。信じすぎちゃだめぽ」口を挟むのはハリーです。
トロリーを押して走り出す。アルバスは一瞬びくっとしましたが、ほらね、ちゃんと通れた。
9と3/4番線、白い蒸気をもくもくと吹き上げて、真っ赤な汽車が待っています。
ジェームズお兄ちゃんはもうどこかに行っちゃった。見つかるかなぁ。
濃い雲の中にいるようで、人々の顔はよく見えません。が、不自然に大きな声が聞こえてきました。あ、パーシーの声だ。箒のレギュレーションについてアナウンスしてます。おシゴトっすね。
「アル、そこにみんないるよ」ジニーが別の家族を見つけました。
「ハーイ!」アルバスはちょっと安心したように駆けて行きます。近づくと顔が見えました。ローズが、すでに真新しいホグワーツの制服を着て、アルバスを笑顔で迎えます。ピカピカの1年生さん同士です。
「駐車できた?」ハリーにそう尋ねるのはロンです。「ぼくはちゃんとできたけど。ハーちんさ、ぼくがマグルのクルマの免許とれるって信じてなかったんだ。ひどくね?教官さんに魔法かけてズルしたんじゃねーか、だってさー」
「んなこと言ってないじゃんか。受かるって信じてたよ」慌てて取り繕うハーちん。
「ま、実際、魔法は使ったんだけど」ハーに聞こえない声でハリーにささやくロンちん。「横のミラー見るの忘れてさ、でもほら、そこんとこは"Supersensory Charm"でなんとか、ねぇ」
アルバスのふくろうと荷物を列車に積んでプラットフォームに降りると、リリーと、ローズの弟ヒューゴが大コーフンで話しています、ホグワーツに入学したら自分たちはいったいどの寮に入るんだろうって。
「おまえもしグリフィンドールに入れなかったら、うちの子じゃねーぞ。あ、いや、まー、気にすんな」
「ロンちんってば、そーゆーこと言うんじゃないの!」んもー、パパさんになってもハーに叱られ続けるロンちんです。
まだ時間のあるリリーとヒューゴは笑っていますが、もう組み分けが目の前に迫っているアルバスとローズはドキドキっすね。
少し離れたところに立ってる3人家族を見つけました。黒いコートのボタンを襟までしっかりとめたドラコ、奥さんと息子さん。アルバスがパパ似なのと同じくらいに、ドラコんちの1年生もパパ似です。
ドラコは、トリオとジニーが自分を見ているのに気がつきました。そっけない素振りで頷き、背中を向けます。
「ちっこいサソリ野郎めー。ロージー、期末試験は毎回あいつに勝てよー。おまえ、母ちゃん譲りの頭脳でよかったなぁ」
「あのねロンちん、学校始まる前からそんなケンカんなるようなこと言わなくたっていいじゃんか!」本当に、どこまでも、叱られ続けるロンちん。
「あ、うん、まぁ、そうね。えっと、つまり、ヤツと仲良くなりすぎるな、ロージー。純血とケッコンでもすることになったら、じいちゃんだって許さねぇ」
そこへジェームズが大コーフンで現れました。自分の荷物は自分で積んだみたいです。「ねぇねぇ!テディがいる!今会ったよ。何してたと思う?Victoireといちゃいちゃしてた!」
反応の薄いオトナにがっくし。「ぼくらのテディだよ!テディ・ルーピンだってば!ぼくらのVictoireとチュッチュチュッチュだよ!いとこのVictoireと!だからさ、テディにさ、それ何してんのって聞いたらさ・・・」
「邪魔したのー?」ジニーが呆れてますよ。「ロンみたいな子ね・・・」
「そしたらさ、Victoireを見送りに来たんだって。で、あっち行けって」
「ケッコンしたらステキくね?これでテディもうちの家族だし」気の早い祝福はリリーから。
「めし食ったりとか、テディはしょっちゅううちに来てんじゃん。もう家族だよ。一緒に住もうって誘おうかー」提案はハリーから。
「いいね、それ!ぼくテディと同じ部屋でいいよ」ジェームズはずいぶんテディになついてますね。
「だめ。おまえはアルと同じ部屋なの」ハリーは長男をたしなめながら、かつてはFabian Prewettのものだった古い金時計を見ます。もう出発する時間ですね。
「ネビルによろしく」ジニーはジェームズをハグしながら言いました。
「そんなの無理だよ、学校に行ったら"先生"だもん。薬草学で温室に行って、よろしくって行ったら変だ」
ジェームズは列車に乗り込む前にアルバスにキック(笑)。「あとでな、アル。セストラルに気をつけろ」両親に手を振ると友達を探して走って行きました。
「見えないんでしょ?そー言ったじゃーん!」
お兄ちゃんの背中に叫ぶちょっぴり怖がりの弟にハリーは言います。「セストラルは怖くないよ。優しい生き物なんだ。それに、馬車には乗らないよ。1年生はボートだから」
「クリスマスにね」ジニーがアルバスにキスを贈ります。
「ハグリッドにお茶呼ばれてんの、忘れるなよ。ピーヴスはほっとけ。ケンカはすんな。あと、ジェームズに負けるなよー」ハリーからはありったけの"注意事項"のプレゼント。
「パパ、スリザリンだったらどぼちよう」アルバスはハリーにだけ聞こえるように囁きました。
出発の今が、アルバスに"怖れ"に立ち向かって1歩を踏み出させる絶好の時だとハリーにはわかっています。ハリーはアルバスの目線より低くなるように屈み込み、次男の目を覗き込みました。3人のコドモたちのなかでただひとりリリーの瞳を受け継いだ、次男の明るい緑色の瞳。そしてアルバスだけに聞こえるように、いや、ほんとはジニーには聞こえているんですが、男同士の内緒話を彼女は聞こえないふりしてくれているんですね。
「アルバス・セヴルス、きみの名前はホグワーツのふたりの校長先生からとった。ひとりはスリザリン。その彼は、パパが知っている人の中でいちばん勇敢な人なんだよ。スリザリンには優秀な子が多い。スリザリンでもいいんだよ。でももしきみが嫌なら、スリザリンよりグリフィンドールに入れてって、選べばいい。ソーティングハットはきみの望みを尊重してくれるよ」
「まじで?」
「パパはそーしたYO!」
アルバスは不思議そうな顔つきで列車に乗り込み、ジニーがドアを閉めました。どの窓からもコドモたちが顔をのぞかせています。あれ、汽車に中のコドモたちも、プラットフォームの家族も、なぜかこっちを見ている。
「なんでみんな見てるのー?」
ローズと一緒に窓から顔を出し、アルバスが聞きました。
「気にすんな。ぼくだよ、みんなぼくを見てるの。セレブだから」と答えたのはやっぱりロンちん。
アルバス、ローズ、ヒューゴ、そしてリリーも笑っています。
ホグワーツ特急はゆっくりと動き出しました。ハリーは汽車に歩調を合わせてプラットフォームを歩きます。アルバスの顔の不安は消えました。学校が楽しみになってきたんだな。ハリーは微笑んで手を振り続けますが、ほんとは勇気を振り絞ってるのはパパのほう、次男が遠ざかって行くのはドキドキです。
ホグワーツ特急はカーブを曲がり、見えなくなり、最後の蒸気の一筋が秋の空気の中に消えました。
手を振りっぱなしのハリーに「だいじょぶよ」とジニーが言います。ハリーは所在なさげに手を下ろし、額の傷跡に触れました。「うん、だいじょぶだよね」
稲妻型のその傷跡は19年間、1度も痛んでいません。めでたしめでたし。
【メモ】
Scorpiusは"さそり座"ね。
Victoireさん、ヴィクトアールって読むのかな、ヴィクトリアのフランス語読みみたいなので、こりゃビル&フラーんちのお嬢さんでしょうか。で、まだ学生さんなんすねー。
ロンがマグルの運転免許をとったというあたり、ははーん、モリーママと一緒に出ているこれのことっすね!
んも〜、Joったらぁーっ!
心ゆくまでさるお、もんち!
2008年02月12日
さるおのハリポタツアー Harry Potter and the Deathly Hallows Chapter 36 (3)
さるおです。
スーパーポッタリアンなので、愛を込めて、さるおのハリポタツアーは、1対1のガチンコ対決!とりあえず今回またヴォルディは訛るということで。
『DH』の完全ネタバレです。コメント欄も含めて、すごーくご注意ください。(内容はすべて反転文字にしてあります。)
ハリポタ辞典のもくじはこちらです。
「まっさか。それはおまえのやり方やない。ポッター、今日は誰に守ってもらうんや?」
「誰も。もうホークラックスはすべてなくなった。ぼくらだけだよ、ヘビのおぢさん。Neither can live while the other survives, 他方が生きる限り、どちらも生きられない。どっちかが死ぬんだ、正義のために」
「どっちか?言うたらおまえやな。偶然生き残ったガキ、今まで生きて来られたんはダンブルドアが裏で糸を引いとったおかげや」
ヴォルディの赤い目がハリーを見据えています。今にも襲いかかろうとするヘビの目です。
一定の距離をおいてゆっくりと円を描いて回り続けるふたり、ハリーにはもうヴォルディしか見えません。
「ぼくのママがぼくを救うために死んだときのことも偶然?あの墓地でぼくが戦ってやるって決めたときのことも偶然?今夜ぼくが自分を守ろうとしなかったことも、そしてまた戦うためにここに戻ってきたことも偶然?」
「そんなもん偶然や!」
ヴォルディは吐き捨てるように言いました。
見守る仲間たちは微動だにしません。呼吸をしているのはハリーとヴォルディだけ。緑の瞳と赤い瞳が見つめ合っています。
「今夜こそはもう誰も殺せないよ。ヘビのおぢさん、わかる?誰も殺せないんだよ。仲間が傷つけられるのが嫌だから、ぼく死ぬ覚悟したんだ。ぼく、ぼくのママと同じことしたんだよ。みんなおぢさんから守られてる。おぢさんの呪文、みんなちゃんと効かなかったじゃんか。気づかないの?おぢさんは誰も拷問できない。おぢさんもう誰にも手を出せない。リドルのおぢさん、自分の失敗から何も学んでないの?」
「失敬な!なんやこのガキ、腹立つわー」
「おぢさんが知らない大切なことをぼくは知ってる、トム・リドル。聞きたくね?次の大失敗をするまえに」
「まーた愛やろ?ダンブルドアお得意の、愛やないのか?じーさん、愛は死を超えるとか言うて、自分は塔から落ちて蝋人形みたいになってもうたやないか?愛の力言うたって、穢れた血のおまえのおかんは死んでもうたやないか?ポッター、今夜は誰も立ちはだかってくれん。もう誰もおまえをそれほど愛しとらんのや。さて、今夜はどないして生き延びる?わしの知っとる魔法よりものすごいのを知っとる言う気か?ものすごい武器持っとる言う気か?」
ふたりは回り続けています。ハリーが見てきた、最後の、そして究極のヒミツ、それだけがハリーの武器です。
「うん。どっちも持ってるよ」
一瞬、ヘビのおぢさんの顔がこわばります。が、笑い始める。楽しさは無く狂気のみの、怒るより恐ろしい笑いです。
「ダンブルドアでさえ夢にも思いつかんような魔法をばんばんやってきたヴォルデモート卿より、おまえが上やて。あははー」
「ダンブルドアは思いついてたよ。ダンブルドアのほうがすごいんだ。おぢさんと同じ魔法を使わなくて済むくらいにすげー」
「あのじーさんは弱かったんや。弱くてそれを掴み取ることができんかっただけや。わしは強いで」
「違うよ、ダンブルドアはおぢさんより賢かったの。おぢさんよりいい魔法使い。いい人なんだよ」
「なんやおまえ、えらい腹立つわー。じーさんは殺したったやないかー」
「ヘビのおぢさんが勝手にそう思ってるだけだってば」
「じーさんは死んだんや!」その言葉は、まるでヴォルディをも苦しめているようです。「墓んなかにおるわー。見たんやで、ポッター。たしかに死んどるんや!」
「そう、ダンブルドアは死んだ。でも、おぢさんが殺したわけじゃない。ダンブルドアは自分で死に方を選んだ。何ヶ月も前に決めて、おじさんがヘビ組だって信じてた人物と、全部計画してたんだよ。セヴルス・スネイプはおぢさんのものじゃない。スネイプはダンブルドアに忠誠を尽くした。おぢさんがぼくのママを殺した瞬間から、ずっとダンブルドアに仕えてた。おぢさん気づかなかったんでしょ、理解し得ないものが理由だから。リドルのおぢさん、スネイプのパトロナス見たことないんでしょ?」
ヴォルディは答えません。ひたすら、相手の喉を噛み切ろうとする2匹の狼のように、回り続けます。
「雌鹿なんだ、ママのと同じ。スネイプは生涯をかけてぼくのママを愛した。小さい頃からずっとね。おぢさん、気づくべきだったね、彼女を殺さないでくれって頼まれたときにさ」
ヴォルディの鼻の穴もおっ広がりますね。これを知ったときは読者の鼻の穴もおっ広がったくらいですから。
「スネイプはダンブルドアの指令で動くスパイになった。スネイプがAKをぶん投げたときは、もう死ぬ時期だったんだ」
「だからなんや!スネイプがどっち側だろうともうかまわんのや!じーさんとグルで邪魔しようとしたって、どっちみちふたりともぶっ潰してやったわ。おまえのおかんも、スネイプの愛とやらも、とにかくぶっ潰してやったわー!」
ヘビのおぢさん、逆ギレ。
「じーさんはずっと、ニワトコの杖をわしから遠ざけようとしとった。スネイプを正当な所有者にしようとしてたんや。そーはさせるかあほんだら。わしのが早かったんや、ガキ。とっとと杖を手に入れて、スネイプもさっき殺したった。だからわしんじゃ!どや!じーさんの最後の計画は大失敗や!どないや、ハリー・ポッター!」
「そだね。でもさ、ぼくを殺す前にさ、おぢさんが今までしてきたことを考えて、反省したほうがいいよ」
「生意気なガキ、腹立つわー」
「おぢさんの最後のチャンスだよ。おぢさんに残されたものはあれで全部、ぼく見てきたんだ、おぢさんのほんとの姿を。がんばれ、おぢさん。死ぬ前に更生だ」
「何様やあほんだら。しばくぞ」
「いいから聞きなよ、リドルのおぢさん。ダンブルドアの最後のプランは、ぼくじゃなくて、おぢさんにとって裏目に出たんだよ」
なんだかんだと言いながら、真に受けて長々と話を聞いてしまうヘビのおぢさん、ニワトコの杖を握る手が震えてますよ。ハリーの手はしっかりとドラコの杖をつかんでいます。
「その杖はおぢさんには使えない。おぢさんが殺した人、人違いだもん。セヴルス・スネイプはニワトコの杖の所有者になったことなんかないよ、ダンブルドアをやっつけてないんだから」
「殺したやないか」
「やだなぁおぢさん、人の話聞いてないの?スネイプはダンブルドアをやっつけたことなんてないの!ダンブルドアの死は、そのふたりによって計画されたものなんだってば!ダンブルドアはスネイプに負けて死んだんじゃない。計画通りなら、ダンブルドアの死と同時に杖の伝説は終わるはずだったっちゅーことよー」
「それでもわしは杖を手に入れた。墓掘り返してやったんやど。杖の力はわしのもんや!」
依然として人の話聞いてないヘビのおぢさん。
「おぢさーん、もう、ぜんぜんわかってないんだからぁ。おぢさんは杖を"手に持ってる"っちゅーだけなんだよ。オリバンダーさんからも聞いたでしょ?杖が魔法使いを選ぶって。その杖は、ダンブルドアが死ぬ直前、新しい主人を選んだ。ダンブルドアの意に反して、ダンブルドアの杖を奪い、そして自分が伝説の杖の持ち主になったなんてことに気づかない、つまり杖を追い求めたりしない、その人物を選んだ。死神の杖の真の所有者はドラコになったんだよ」
ヘビのおぢさんびっくり。呼吸が荒いです。
「だからなんや。おまえの言うとーりだとしても、ええんや、今はおまえとわしの一騎打ちや。おまえはもう不死鳥の杖を持っとらん。こうなったら"普通の杖"同士で勝負や。強いほうが勝ちや、ぼけ。おまえを殺して、ほんでドラコもやったるわ」
「おぢさん、遅いよ。とっとと杖を手に入れたのはぼく。何週間か前にぼく、ドラコに勝った」
そして囁くように付け加えます。
「ヘビのおぢさん、その杖、ぼくんだよ」
深紅と黄金に輝く光りが突然、大広間の天井の空に広がります。朝陽です。地平線から、太陽が昇る。大広間もヘビのおぢさんの顔も真っ赤に染まりました。
ヴォルディが叫ぶ。ハリーも、たったひとつの希望を信じて、叫ぶ。
"AK!"
"Expelliarmus!"
ぼっかーん!
ふたりが描いた円の中央で、呪文同士が激突します。大砲を撃ったような激しい爆発音。黄金の炎がほとばしる。
ハリーは見ました、ヴォルディの緑色の呪文が自分の呪文とぶつかり合い、ニワトコの杖が空中高く舞うのを。真っ赤に燃える朝陽を背景に、杖はくるくると回り、空気を切り裂くように真の所有者の元へ。ハリーはそれを空いているほうの手でつかみます、だってシーカーだもんね。
ヴォルディは、両腕を広げ赤い瞳を見開いて、ふっ飛んじゃった。
トム・リドルは、床に倒れた。またしても跳ね返った自分のAKでヴォルディは死に、ハリーは2本の杖を手に、そこに立っていました。
一瞬の静寂の後、耳が割れんばかりの歓声が沸き起こります。生まれたばかりの太陽が、明るい光でホグワーツを包みます。
ハリーのもとに最初に駆けつけたのはもちろんロンとハー。ふたりの親友の腕が暖かくハリーを包みました。ジニーが、ネビルが、ルナが、そしてウィーズリー家のみんなとハグリッド、キングスレーもミネルバ女史もフリトウィック先生もスプロウト先生も、ハリーを祝福しています。
大広間にいる誰もが、ハリーの身体のどこかをハグしようと、"生き残った少年"、ついに戦いを終わらせたその少年に触れようと、集まってきます。祝福の叫び声で広間は満たされています。
陽が昇る。ホグワーツは再び、燃え立つような生命の輝きに満ちています。
歓喜と追悼、深い悲しみと大いなるよろこび、その中心にハリーはいました。指導者であり、シンボルであり、人々を導く救世主。みんなハリーと一緒に過ごしたいわけです。でもハリーさんはお疲れですね、寝てねーし。
握手して会話して賛辞を受け取り、人々の涙を見守る。そして、操られていた人々が元に戻ったとか、DEがどんどんタイーホされてるとか、アズカバンに入れられていた無実の人々が解放されてるとか、とりあえずテンポラリーな大臣としてキングスレー・シャクルボルトが就任したとか、たくさんのニュースを聞きます。
ヴォルディの遺体は大広間から別の小部屋に移されました。フレッドやトンクスやリーマスやコリンたち50人の亡き骸のそばに置いとくなんて嫌だから。
マクゴナガル先生はいつもの長テーブルを元通りに置きました。でももう誰も、寮ごとに分かれて座ったりしません。先生も生徒も家族も、オバケさんたちもケンタウロスもハウスエルフも、みんな混ざって一緒に座ろう。部屋の隅にフィレンツェもいます。グロウプも窓からのぞいています。みんな、グロウプの口に食べ物を投げ込んであげてますね。腹へったもんなぁ。
ふと気がつくと、ハリーはルナの隣に座っていました。
「あたしだったら、ちょっと静けさがほしいな」
「うん」
「あたしがみんなの気をそらしといてあげる。マント着なよ。ぶわぁーっ!"Blibbering Humdinger"はっけーん!」
心優しいルナ、窓の外を指差し、どでかい声で叫びましたよ。
みんながそっちを見ている隙に、ハリーは透明マントをかぶりました。
歩き出すハリー、ふたつ向こうのテーブルに、モリの肩に頭を乗せたジニーがいるのが見えます。きっと後で話せる、好きなだけ、何時間でも、何日でも、何年でも。
ネビルはお皿の横にグリフィンドールの剣を置き食事しながら、ネビルに忠誠を尽くす仲間とご歓談中。
あ、まるほい家のみなさんもいます。誰も見てませんが、3人寄り添い居心地悪そうです。
あちこちで、家族がまたひとつになっています。
「ぼくだよ。一緒に来て」
ハリーは、いちばん会いたいふたりにこっそりと声をかけました。ロンとハーはすぐに黙って立ち上がり、トリオは大広間を出ます。吹き飛ばされ血だらけの階段を上って行くと、どこからともなくピーヴスの歌が聞こえてきました。
We did it, we bashed them, wee Potter's the one,
And Voldy's gone moldy, so now let's have fun!
もう終わったんだ。もう平和になるんだ。でもハリーの心の中では、フレッドやリーマスやトンクスを失った悲しみのほうが大きい。それに、とても疲れて眠りたい。けどその前に、最後のシゴトがあります。ロンとハーに、何が起きたのか説明しなくちゃ。ずっとハリーのそばを離れなかったロンとハー、真実を知る権利があるはずです。ペンシーヴで何を見たか、森で何が起きたか、その後のことも、歩きながら全部話そう。ロンとハーは1度も口を挟まず、黙って聞いてくれています。
そして、着きました、ハリーが何も言わずにふたりを連れてきたのは校長室。立っていたガーゴイルは転がっちゃってますが、ちゃんと聞いてから入ります。
「入れる?」
「ご自由に」
トリオーはゆっくりと回りながら上る螺旋階段に乗り、校長室のドアを開けました。
ものすごい騒ぎです。割れんばかりの拍手と歓声。帽子を振り、場合によってはカツラを振り(笑)、部屋を取り囲んだ肖像画の歴代校長全員からスタンディングオベーションです。校長先生たち、肖像画の縁に手を伸ばして隣の校長と手をつなぎ、輪を作っています。そうかと思うと椅子に立ったり降りたりして踊ってみたり。Dilys Derwent校長は泣き崩れ、Dexter Fortescue校長は補聴器をぶんぶん振り回し、フィニアス・ナイジェラスは「スリザリンも役割を果たしたZE!」と叫んでます。
ハリーの目は、机の真後ろのいちばん大きな肖像画に注がれました。
半月型のめがねの奥から涙が流れ、銀色の髭を濡らしています。その涙は、フェニックスの歌のようにハリーを癒してくれます。誇りと感謝の涙なんだって、ハリーにはよくわかる。
ハリーは手を上げました。歓声が止み静かになります。校長先生たち、涙を拭きながら、ハリーがしゃべりだすのを暖かく見守ってくれてますね。
ハリーは話し始めます。ダンブルドアひとりにだけ向かって。とても注意して言葉を選びながら。
「スニッチの中に隠されてたアレ、森で落としちゃった。どこだかわかんないし、探しに行くつもりはありません。それでいいかな?」
「それでいいよ。賢明で勇気ある決断だね。思ったとおりだ。どこで落としたか、誰も知らないんだろう?」
「うん、誰も」
他の校長先生たちはきょとんとしてますが、ダンブルドアは満足そうです。
「でも、イグノートゥスのプレゼントだけは持っていようと思う」
ダンブルドアがニコニコと微笑んでいます。「あれは永遠にキミのモノだ。キミが次に引き継ぐ日までね」
「あと、これ」
ハリーはニワトコの杖を掲げて見せました。
「ぼく、ほしくないや」
「えー。ふざけんな」ロンが大きな声で言いました。
「この杖強いってわかってるけど、こっちのが好き」
ハリーが取り出したのは、ハグリッドのポーチの中の、真っ二つに折れた柊とフェニックスの杖です。ハーがもう直せないって言った杖、これでだめならあきらめるしかない。でも、きっと。
"Reparo"
ハリーは自分の杖を机に置き、伝説の杖をかまえて呪文を唱える。
フェニックスの杖は元通りになり赤い火花が光ります。
うん。できるって、わかってたよ、なんとなく。
ハリーはまだ温かい自分の杖を握ります。これでまた、杖と杖が選んだ持ち主はひとつになれた。
「ニワトコの杖は、あったところに返そうと思う。そこにあったほうがいいから。ぼくがイグノートゥスみたいに人生を全うして死んだら、終わるんでしょ?前の持ち主が負けないで死んだら、すべて終わり。だよね?」
ダンブルドアはうなずきました。ハリーとダンブルドアは微笑み合います。
「杖要らないのー?」まだ言ってる(笑)。
「いいのよ、それで」ハーが静かに言いました。
「この杖強いけど、面倒なことだらけだよ。それに正直言って、トラブルはもう充分経験したからおなかいっぱい」
グリフィンドール寮のベッドに入ってもう寝よう。クリーチャーが部屋にサンドウィッチ運んでくんないかなぁ?
【メモ】
ハリーの最後の必殺技がまさかの"説得"だということで、もう半笑い半泣きになりながら、すごすぎると思いました。
なんだかんだ言いながら飽きずに話を聞いてしまうヴォルディ、あんた、今日成人式挙げたばかりのガキに「おぢさんってバカなの?」くらいのこと言われていいのかよ、しっかりしろ。
というようなことを笑って思えるのもハリーさんがついにわるもんをやっつけてくれたからですが(笑)。
"Blibbering Humdinger"は魔法生物です。存在を信じている人がきわめて少ない。でもよくわかんないっすね。
長い銀の巻き毛のDilys Derwent校長、St Mungoのヒーラーだったこともある18世紀の魔女です。この人の肖像画はホグワーツの校長室だけじゃなく、もちろん病院にもあります。ナギニちゃんに襲撃された瀕死のアーサーのことを見守ってくれてましたねー。
Dexter Fortescue校長のことはよくわかりませんが、えっと、前からずっと気になってたんすけど、ダイアゴン横丁のアイスクリームパーラーのFlorean Fortescueさんの親戚筋じゃないかと思います。
これでハリポタ最終章まで終わりです。でもあと少しだけツアーは続きます。エピローグにあたる"Nineteen Years Later"(19年後)があるからね。
その後、さるおのちょっとした感想と、その他のいろいろ(解けてない謎のこととか、他にも)を書こうと思います。
えっと、おうちに帰るまでが遠足ですから、ツアー参加者のみなさん、よろしくお願いします。
心ゆくまでさるお、もんち!
スーパーポッタリアンなので、愛を込めて、さるおのハリポタツアーは、1対1のガチンコ対決!とりあえず今回またヴォルディは訛るということで。
『DH』の完全ネタバレです。コメント欄も含めて、すごーくご注意ください。(内容はすべて反転文字にしてあります。)
ハリポタ辞典のもくじはこちらです。
「まっさか。それはおまえのやり方やない。ポッター、今日は誰に守ってもらうんや?」
「誰も。もうホークラックスはすべてなくなった。ぼくらだけだよ、ヘビのおぢさん。Neither can live while the other survives, 他方が生きる限り、どちらも生きられない。どっちかが死ぬんだ、正義のために」
「どっちか?言うたらおまえやな。偶然生き残ったガキ、今まで生きて来られたんはダンブルドアが裏で糸を引いとったおかげや」
ヴォルディの赤い目がハリーを見据えています。今にも襲いかかろうとするヘビの目です。
一定の距離をおいてゆっくりと円を描いて回り続けるふたり、ハリーにはもうヴォルディしか見えません。
「ぼくのママがぼくを救うために死んだときのことも偶然?あの墓地でぼくが戦ってやるって決めたときのことも偶然?今夜ぼくが自分を守ろうとしなかったことも、そしてまた戦うためにここに戻ってきたことも偶然?」
「そんなもん偶然や!」
ヴォルディは吐き捨てるように言いました。
見守る仲間たちは微動だにしません。呼吸をしているのはハリーとヴォルディだけ。緑の瞳と赤い瞳が見つめ合っています。
「今夜こそはもう誰も殺せないよ。ヘビのおぢさん、わかる?誰も殺せないんだよ。仲間が傷つけられるのが嫌だから、ぼく死ぬ覚悟したんだ。ぼく、ぼくのママと同じことしたんだよ。みんなおぢさんから守られてる。おぢさんの呪文、みんなちゃんと効かなかったじゃんか。気づかないの?おぢさんは誰も拷問できない。おぢさんもう誰にも手を出せない。リドルのおぢさん、自分の失敗から何も学んでないの?」
「失敬な!なんやこのガキ、腹立つわー」
「おぢさんが知らない大切なことをぼくは知ってる、トム・リドル。聞きたくね?次の大失敗をするまえに」
「まーた愛やろ?ダンブルドアお得意の、愛やないのか?じーさん、愛は死を超えるとか言うて、自分は塔から落ちて蝋人形みたいになってもうたやないか?愛の力言うたって、穢れた血のおまえのおかんは死んでもうたやないか?ポッター、今夜は誰も立ちはだかってくれん。もう誰もおまえをそれほど愛しとらんのや。さて、今夜はどないして生き延びる?わしの知っとる魔法よりものすごいのを知っとる言う気か?ものすごい武器持っとる言う気か?」
ふたりは回り続けています。ハリーが見てきた、最後の、そして究極のヒミツ、それだけがハリーの武器です。
「うん。どっちも持ってるよ」
一瞬、ヘビのおぢさんの顔がこわばります。が、笑い始める。楽しさは無く狂気のみの、怒るより恐ろしい笑いです。
「ダンブルドアでさえ夢にも思いつかんような魔法をばんばんやってきたヴォルデモート卿より、おまえが上やて。あははー」
「ダンブルドアは思いついてたよ。ダンブルドアのほうがすごいんだ。おぢさんと同じ魔法を使わなくて済むくらいにすげー」
「あのじーさんは弱かったんや。弱くてそれを掴み取ることができんかっただけや。わしは強いで」
「違うよ、ダンブルドアはおぢさんより賢かったの。おぢさんよりいい魔法使い。いい人なんだよ」
「なんやおまえ、えらい腹立つわー。じーさんは殺したったやないかー」
「ヘビのおぢさんが勝手にそう思ってるだけだってば」
「じーさんは死んだんや!」その言葉は、まるでヴォルディをも苦しめているようです。「墓んなかにおるわー。見たんやで、ポッター。たしかに死んどるんや!」
「そう、ダンブルドアは死んだ。でも、おぢさんが殺したわけじゃない。ダンブルドアは自分で死に方を選んだ。何ヶ月も前に決めて、おじさんがヘビ組だって信じてた人物と、全部計画してたんだよ。セヴルス・スネイプはおぢさんのものじゃない。スネイプはダンブルドアに忠誠を尽くした。おぢさんがぼくのママを殺した瞬間から、ずっとダンブルドアに仕えてた。おぢさん気づかなかったんでしょ、理解し得ないものが理由だから。リドルのおぢさん、スネイプのパトロナス見たことないんでしょ?」
ヴォルディは答えません。ひたすら、相手の喉を噛み切ろうとする2匹の狼のように、回り続けます。
「雌鹿なんだ、ママのと同じ。スネイプは生涯をかけてぼくのママを愛した。小さい頃からずっとね。おぢさん、気づくべきだったね、彼女を殺さないでくれって頼まれたときにさ」
ヴォルディの鼻の穴もおっ広がりますね。これを知ったときは読者の鼻の穴もおっ広がったくらいですから。
「スネイプはダンブルドアの指令で動くスパイになった。スネイプがAKをぶん投げたときは、もう死ぬ時期だったんだ」
「だからなんや!スネイプがどっち側だろうともうかまわんのや!じーさんとグルで邪魔しようとしたって、どっちみちふたりともぶっ潰してやったわ。おまえのおかんも、スネイプの愛とやらも、とにかくぶっ潰してやったわー!」
ヘビのおぢさん、逆ギレ。
「じーさんはずっと、ニワトコの杖をわしから遠ざけようとしとった。スネイプを正当な所有者にしようとしてたんや。そーはさせるかあほんだら。わしのが早かったんや、ガキ。とっとと杖を手に入れて、スネイプもさっき殺したった。だからわしんじゃ!どや!じーさんの最後の計画は大失敗や!どないや、ハリー・ポッター!」
「そだね。でもさ、ぼくを殺す前にさ、おぢさんが今までしてきたことを考えて、反省したほうがいいよ」
「生意気なガキ、腹立つわー」
「おぢさんの最後のチャンスだよ。おぢさんに残されたものはあれで全部、ぼく見てきたんだ、おぢさんのほんとの姿を。がんばれ、おぢさん。死ぬ前に更生だ」
「何様やあほんだら。しばくぞ」
「いいから聞きなよ、リドルのおぢさん。ダンブルドアの最後のプランは、ぼくじゃなくて、おぢさんにとって裏目に出たんだよ」
なんだかんだと言いながら、真に受けて長々と話を聞いてしまうヘビのおぢさん、ニワトコの杖を握る手が震えてますよ。ハリーの手はしっかりとドラコの杖をつかんでいます。
「その杖はおぢさんには使えない。おぢさんが殺した人、人違いだもん。セヴルス・スネイプはニワトコの杖の所有者になったことなんかないよ、ダンブルドアをやっつけてないんだから」
「殺したやないか」
「やだなぁおぢさん、人の話聞いてないの?スネイプはダンブルドアをやっつけたことなんてないの!ダンブルドアの死は、そのふたりによって計画されたものなんだってば!ダンブルドアはスネイプに負けて死んだんじゃない。計画通りなら、ダンブルドアの死と同時に杖の伝説は終わるはずだったっちゅーことよー」
「それでもわしは杖を手に入れた。墓掘り返してやったんやど。杖の力はわしのもんや!」
依然として人の話聞いてないヘビのおぢさん。
「おぢさーん、もう、ぜんぜんわかってないんだからぁ。おぢさんは杖を"手に持ってる"っちゅーだけなんだよ。オリバンダーさんからも聞いたでしょ?杖が魔法使いを選ぶって。その杖は、ダンブルドアが死ぬ直前、新しい主人を選んだ。ダンブルドアの意に反して、ダンブルドアの杖を奪い、そして自分が伝説の杖の持ち主になったなんてことに気づかない、つまり杖を追い求めたりしない、その人物を選んだ。死神の杖の真の所有者はドラコになったんだよ」
ヘビのおぢさんびっくり。呼吸が荒いです。
「だからなんや。おまえの言うとーりだとしても、ええんや、今はおまえとわしの一騎打ちや。おまえはもう不死鳥の杖を持っとらん。こうなったら"普通の杖"同士で勝負や。強いほうが勝ちや、ぼけ。おまえを殺して、ほんでドラコもやったるわ」
「おぢさん、遅いよ。とっとと杖を手に入れたのはぼく。何週間か前にぼく、ドラコに勝った」
そして囁くように付け加えます。
「ヘビのおぢさん、その杖、ぼくんだよ」
深紅と黄金に輝く光りが突然、大広間の天井の空に広がります。朝陽です。地平線から、太陽が昇る。大広間もヘビのおぢさんの顔も真っ赤に染まりました。
ヴォルディが叫ぶ。ハリーも、たったひとつの希望を信じて、叫ぶ。
"AK!"
"Expelliarmus!"
ぼっかーん!
ふたりが描いた円の中央で、呪文同士が激突します。大砲を撃ったような激しい爆発音。黄金の炎がほとばしる。
ハリーは見ました、ヴォルディの緑色の呪文が自分の呪文とぶつかり合い、ニワトコの杖が空中高く舞うのを。真っ赤に燃える朝陽を背景に、杖はくるくると回り、空気を切り裂くように真の所有者の元へ。ハリーはそれを空いているほうの手でつかみます、だってシーカーだもんね。
ヴォルディは、両腕を広げ赤い瞳を見開いて、ふっ飛んじゃった。
トム・リドルは、床に倒れた。またしても跳ね返った自分のAKでヴォルディは死に、ハリーは2本の杖を手に、そこに立っていました。
一瞬の静寂の後、耳が割れんばかりの歓声が沸き起こります。生まれたばかりの太陽が、明るい光でホグワーツを包みます。
ハリーのもとに最初に駆けつけたのはもちろんロンとハー。ふたりの親友の腕が暖かくハリーを包みました。ジニーが、ネビルが、ルナが、そしてウィーズリー家のみんなとハグリッド、キングスレーもミネルバ女史もフリトウィック先生もスプロウト先生も、ハリーを祝福しています。
大広間にいる誰もが、ハリーの身体のどこかをハグしようと、"生き残った少年"、ついに戦いを終わらせたその少年に触れようと、集まってきます。祝福の叫び声で広間は満たされています。
陽が昇る。ホグワーツは再び、燃え立つような生命の輝きに満ちています。
歓喜と追悼、深い悲しみと大いなるよろこび、その中心にハリーはいました。指導者であり、シンボルであり、人々を導く救世主。みんなハリーと一緒に過ごしたいわけです。でもハリーさんはお疲れですね、寝てねーし。
握手して会話して賛辞を受け取り、人々の涙を見守る。そして、操られていた人々が元に戻ったとか、DEがどんどんタイーホされてるとか、アズカバンに入れられていた無実の人々が解放されてるとか、とりあえずテンポラリーな大臣としてキングスレー・シャクルボルトが就任したとか、たくさんのニュースを聞きます。
ヴォルディの遺体は大広間から別の小部屋に移されました。フレッドやトンクスやリーマスやコリンたち50人の亡き骸のそばに置いとくなんて嫌だから。
マクゴナガル先生はいつもの長テーブルを元通りに置きました。でももう誰も、寮ごとに分かれて座ったりしません。先生も生徒も家族も、オバケさんたちもケンタウロスもハウスエルフも、みんな混ざって一緒に座ろう。部屋の隅にフィレンツェもいます。グロウプも窓からのぞいています。みんな、グロウプの口に食べ物を投げ込んであげてますね。腹へったもんなぁ。
ふと気がつくと、ハリーはルナの隣に座っていました。
「あたしだったら、ちょっと静けさがほしいな」
「うん」
「あたしがみんなの気をそらしといてあげる。マント着なよ。ぶわぁーっ!"Blibbering Humdinger"はっけーん!」
心優しいルナ、窓の外を指差し、どでかい声で叫びましたよ。
みんながそっちを見ている隙に、ハリーは透明マントをかぶりました。
歩き出すハリー、ふたつ向こうのテーブルに、モリの肩に頭を乗せたジニーがいるのが見えます。きっと後で話せる、好きなだけ、何時間でも、何日でも、何年でも。
ネビルはお皿の横にグリフィンドールの剣を置き食事しながら、ネビルに忠誠を尽くす仲間とご歓談中。
あ、まるほい家のみなさんもいます。誰も見てませんが、3人寄り添い居心地悪そうです。
あちこちで、家族がまたひとつになっています。
「ぼくだよ。一緒に来て」
ハリーは、いちばん会いたいふたりにこっそりと声をかけました。ロンとハーはすぐに黙って立ち上がり、トリオは大広間を出ます。吹き飛ばされ血だらけの階段を上って行くと、どこからともなくピーヴスの歌が聞こえてきました。
We did it, we bashed them, wee Potter's the one,
And Voldy's gone moldy, so now let's have fun!
もう終わったんだ。もう平和になるんだ。でもハリーの心の中では、フレッドやリーマスやトンクスを失った悲しみのほうが大きい。それに、とても疲れて眠りたい。けどその前に、最後のシゴトがあります。ロンとハーに、何が起きたのか説明しなくちゃ。ずっとハリーのそばを離れなかったロンとハー、真実を知る権利があるはずです。ペンシーヴで何を見たか、森で何が起きたか、その後のことも、歩きながら全部話そう。ロンとハーは1度も口を挟まず、黙って聞いてくれています。
そして、着きました、ハリーが何も言わずにふたりを連れてきたのは校長室。立っていたガーゴイルは転がっちゃってますが、ちゃんと聞いてから入ります。
「入れる?」
「ご自由に」
トリオーはゆっくりと回りながら上る螺旋階段に乗り、校長室のドアを開けました。
ものすごい騒ぎです。割れんばかりの拍手と歓声。帽子を振り、場合によってはカツラを振り(笑)、部屋を取り囲んだ肖像画の歴代校長全員からスタンディングオベーションです。校長先生たち、肖像画の縁に手を伸ばして隣の校長と手をつなぎ、輪を作っています。そうかと思うと椅子に立ったり降りたりして踊ってみたり。Dilys Derwent校長は泣き崩れ、Dexter Fortescue校長は補聴器をぶんぶん振り回し、フィニアス・ナイジェラスは「スリザリンも役割を果たしたZE!」と叫んでます。
ハリーの目は、机の真後ろのいちばん大きな肖像画に注がれました。
半月型のめがねの奥から涙が流れ、銀色の髭を濡らしています。その涙は、フェニックスの歌のようにハリーを癒してくれます。誇りと感謝の涙なんだって、ハリーにはよくわかる。
ハリーは手を上げました。歓声が止み静かになります。校長先生たち、涙を拭きながら、ハリーがしゃべりだすのを暖かく見守ってくれてますね。
ハリーは話し始めます。ダンブルドアひとりにだけ向かって。とても注意して言葉を選びながら。
「スニッチの中に隠されてたアレ、森で落としちゃった。どこだかわかんないし、探しに行くつもりはありません。それでいいかな?」
「それでいいよ。賢明で勇気ある決断だね。思ったとおりだ。どこで落としたか、誰も知らないんだろう?」
「うん、誰も」
他の校長先生たちはきょとんとしてますが、ダンブルドアは満足そうです。
「でも、イグノートゥスのプレゼントだけは持っていようと思う」
ダンブルドアがニコニコと微笑んでいます。「あれは永遠にキミのモノだ。キミが次に引き継ぐ日までね」
「あと、これ」
ハリーはニワトコの杖を掲げて見せました。
「ぼく、ほしくないや」
「えー。ふざけんな」ロンが大きな声で言いました。
「この杖強いってわかってるけど、こっちのが好き」
ハリーが取り出したのは、ハグリッドのポーチの中の、真っ二つに折れた柊とフェニックスの杖です。ハーがもう直せないって言った杖、これでだめならあきらめるしかない。でも、きっと。
"Reparo"
ハリーは自分の杖を机に置き、伝説の杖をかまえて呪文を唱える。
フェニックスの杖は元通りになり赤い火花が光ります。
うん。できるって、わかってたよ、なんとなく。
ハリーはまだ温かい自分の杖を握ります。これでまた、杖と杖が選んだ持ち主はひとつになれた。
「ニワトコの杖は、あったところに返そうと思う。そこにあったほうがいいから。ぼくがイグノートゥスみたいに人生を全うして死んだら、終わるんでしょ?前の持ち主が負けないで死んだら、すべて終わり。だよね?」
ダンブルドアはうなずきました。ハリーとダンブルドアは微笑み合います。
「杖要らないのー?」まだ言ってる(笑)。
「いいのよ、それで」ハーが静かに言いました。
「この杖強いけど、面倒なことだらけだよ。それに正直言って、トラブルはもう充分経験したからおなかいっぱい」
グリフィンドール寮のベッドに入ってもう寝よう。クリーチャーが部屋にサンドウィッチ運んでくんないかなぁ?
【メモ】
ハリーの最後の必殺技がまさかの"説得"だということで、もう半笑い半泣きになりながら、すごすぎると思いました。
なんだかんだ言いながら飽きずに話を聞いてしまうヴォルディ、あんた、今日成人式挙げたばかりのガキに「おぢさんってバカなの?」くらいのこと言われていいのかよ、しっかりしろ。
というようなことを笑って思えるのもハリーさんがついにわるもんをやっつけてくれたからですが(笑)。
"Blibbering Humdinger"は魔法生物です。存在を信じている人がきわめて少ない。でもよくわかんないっすね。
長い銀の巻き毛のDilys Derwent校長、St Mungoのヒーラーだったこともある18世紀の魔女です。この人の肖像画はホグワーツの校長室だけじゃなく、もちろん病院にもあります。ナギニちゃんに襲撃された瀕死のアーサーのことを見守ってくれてましたねー。
Dexter Fortescue校長のことはよくわかりませんが、えっと、前からずっと気になってたんすけど、ダイアゴン横丁のアイスクリームパーラーのFlorean Fortescueさんの親戚筋じゃないかと思います。
これでハリポタ最終章まで終わりです。でもあと少しだけツアーは続きます。エピローグにあたる"Nineteen Years Later"(19年後)があるからね。
その後、さるおのちょっとした感想と、その他のいろいろ(解けてない謎のこととか、他にも)を書こうと思います。
えっと、おうちに帰るまでが遠足ですから、ツアー参加者のみなさん、よろしくお願いします。
心ゆくまでさるお、もんち!
2008年02月07日
さるおのハリポタツアー Harry Potter and the Deathly Hallows Chapter 36 (2)
さるおです。
スーパーポッタリアンなので、愛を込めて、さるおのハリポタツアーは、最後の反撃の烽火を上げます。
『DH』の完全ネタバレです。コメント欄も含めて、すごーくご注意ください。(内容はすべて反転文字にしてあります。)
ハリポタ辞典のもくじはこちらです。
悲鳴が夜明けを切り裂く。ネビルが、動くこともできずに火だるまです。
ハリー、今こそ行動するときだぞ。
その瞬間、いくつものことが同時に起きました。
数百人の人々が押し寄せでもするように騒がしさが近づいて来ます。グロウプが現れて"HAGGER!"とハグリッドを呼ぶ。するとヴォルディ側についた巨人たちが地面を揺らしながらグロウプに突進します。続いてたくさんの蹄の音が鳴り響き、ビューンという音とともに矢が豪雨のように、慌てるDEたちに降り注ぎます。
一瞬の隙に、ハリーは透明マントをかぶり、立ち上がりました。
同じく一瞬の隙をついたネビルがBody-Bind Curseを破り、頭から落ちた燃える帽子から、ルビーに飾られた銀色に輝く剣を引き抜きました。
うりゃぁーっ!
銀の刃で鋭く切りつける。
その一太刀は、ナギニちゃんの頭を切り落としました。スローモーションのように、城の玄関の明かりを背景にヘビの頭は弧を描き、それを見た飼い主が声にならない叫び声をあげ、ヘビはどさりと地面に落ちました。
怒ったヴォルディが杖を構えるより早く、ハリーは透明マントの下からShield Charmをかけます、もちろんネビルとヴォルディの間に。
ハグリッドの叫ぶ声が聞こえてきます。「ハリー!どこだ、ハリー!」
大変な騒ぎです。
ケンタウロスはDEたちを追い回し、巨人の足の下敷きにならないように皆が逃げ惑います。ヴォルディの巨人たちの頭上の明るくなりかけた空には巨大な翼を持った生物が舞っているのが見える。敵の巨人たちにひとまわり小さいグロウプがパンチを浴びせ、セストラルたちとバックビークも巨人たちの目を突いているんですね。
今や魔法使いは、つまりホグワーティアンもDEも、城内への退却を余儀なくされています。というより避難だな。
ハリーは透明マントをかぶったままヴォルディを追って城に駆け込みます。杖からあっちゃこっちゃにばんばん火花を散らし、DEたちに指示を叫びながら、ヴォルディが大広間に入って行くのが見えたぞ。
ハリーは、ヴォルディとシェーマス・フィニガンの間、ヴォルディとハンナ・アボットの間にShield Charmをぶん投げながら大広間に走ります。
そこは、すでに戦場でした。
チャーリー・ウィーズリーが、エメラルドのパジャマ姿のままのホラスに追いつくのが見える。チャーリーはホグスミードの店主や住民を従えて駆けつけてくれたんだ。
ケンタウロスのベイン、ロナン、マゴリアンは城のキッチンのドアを蹴破り、蹄の音を高らかに響かせて大広間に駆けてきました。城で働くハウスエルフの一団も、ナイフや肉切り包丁を手に大広間に突進してきます。先頭でレグルス・ブラックのロケットを胸に弾ませ勇ましく叫んでいるのはクリーチャー。「戦え!戦え!私の主人、ハウスエルフの守護者のために!勇敢なるレグルス様の名のもとに、ダークロードと戦え!」DEたちの足首をフォークでぶすぶす刺しまくりです。
DEたちはてんやわんや。呪文はわんさか飛んでくるわ、矢は刺さるわ、ナイフで刺されるわで、逃げ惑っています。
でもまだ終わりじゃない。ヴォルディを仕留めるまで、この戦いは終わらない。ハリーは透明マントのまま戦火を縫って大広間の中央へと急ぎます。
ジョージ・ウィーズリーとリー・ジョーダンがヤクスリーを沈めるのが見えます。フリトウィック先生がドロホフを仕留め、ハグリッドがウォルデン・マクネアをぶん投げている。ロンとネビルはついにグレイバックを追い詰め、アバフォースがロックウッドを気絶させています。アーサー・ウィーズリーとパーシー・ウィーズリーは魔法省大臣シックネスをねじ伏せました。
まるほいパパとまるほいママは、ドラコの名を呼び続けています。
はたして、大広間の中央ではヴォルディが戦っていました。相手は3人同時、ミネルバ、ホラス、キングスレー。
ヴォルディから50ヤード離れたところではベラ姐さんも戦っています。こちらも相手は3人同時、ハー、ジニー、ルナ。3人とも、今までで最も熾烈な死闘を演じています。これでベラ姐とまったくの互角。姐さん、強ぇ。
ベラがAKをぶん投げました。その呪文はジニーをわずか1インチのところでかすめます。
ハリーはコースを変えました。ヴォルディではなく、ベラに突進して行きます。
ところが、ハリーより素早く、マントを脱ぎ捨ててベラに辿り着いた人物がいました。
「私の娘に何するの!YOU BITCH!」
振り向いて笑うベラ姐さん。
「あんたたちは引っ込んでなさい!」
3人の少女にそう叫ぶと、モリーの杖がしなり、戦闘開始です。
空気を切り裂き、曲線を描き、モリーの呪文が容赦なく襲いかかります。ベラ姐さんの顔から笑みが消えました。
2人の魔女の杖は火花を散らし、ものすごいスピードで呪文が炸裂しています。2人に周囲の床がひび割れメラメラを熱くなる。相手を殺すまで、どちらかが死ぬまで、戦い続ける。
数人の生徒が、モリーを手伝おうと前へ出ますが、それはモリーが許さない。「邪魔しないで!この女は私のもんよ!」
今や数百人の人々が大広間の壁際に並び、2つの死闘を見守っています。ハリーは透明マントのまま、その間で板挟みです。
「あんたを殺したら、ガキどもはどうなるだろうねぇ?ママが死んだよぉ〜、フレディみたいにぃ〜」
師匠と同じくらいの狂気を身にまとったベラ姐、強気の挑発。
「あんたに、うちの子にはもう二度と、指1本触れさせるもんですか!」
モリーが呪文をぶん投げながら叫びます。
ベラは笑いました。
ハリーには、次に起こることがわかりました。だってあのときと同じだもん。あのとき、シリウスは笑ったんだ。そして死んだ。
次の瞬間、モリーの呪文はベラ姐さんの胸を直撃。ベラは目を見開き、ほんの一瞬だけきっと今起きたことを理解したかもしれない。そしてばたりと床に倒れました。歓声が上がります。
ヴォルディは振り向いて叫び、その怒りが爆弾のように、マクゴナガル先生とキングスレーとホラスを後ろに吹き飛ばしました。そして杖をモリーに向ける。
"Protego!"
ハリーが叫びました。そのシールドは、大広間の中央に広がります。きょろきょろ見回すヴォルディ、ついに透明マントを脱ぎ捨てるハリー。
「ハリー!生きてんじゃん!」
驚きとよろこびで歓声が沸き上がり、次の瞬間、静まり返ります。
見つめ合うドクロベーとハリーはお互いの周りを、ゆっくりと円を描き始めます。
「誰も手を出さないで。こうなるって決まってたんだ。ぼくのシゴトなんだ」
ハリーの声はトランペットの音色のように、静寂に包まれた大広間に響きました。
【メモ】
ネビル、おまえかっこよすぎ。どこまでもハッフルパフ的だったネビルですが、やっぱりおまえは本当のグリフィンドールだなぁ。
予言が指していたのは、ハリーとネビル、どちらでもよかったんだなぁって思います。
ヴォルディと、自ら選んだガチンコ対決。炎に包まれて、ネビルは死を覚悟したはずです。それでも負けなかったし、オーガスタから学んだ戦士の誇りも失わなかった。そして次の瞬間にはナギニちゃんを仕留めるわけです。もしもハリーがいなければ、その後のネビルはヴォルディに瞬殺されるのは免れないわけで、死などというものはとっくに覚悟した者の、最後の、渾身の反撃です。
ちゃんとわかってたんだな、ハリーが最後に話したことは、ハリーの遺言だったと。約束を守りましたよ。
弓の使い手ケンタウロスも、美しい馬セストラルも、バックビークも来たねー。クリーチャー率いるハウスエルフもかっこええ。ハグリッドの弟さんもがんばってるし。
あらゆる種族を巻き込んで入り乱れる異種格闘技戦は嬉しいです。
そして何より感動的なのは、みんなそれぞれ"己の敵"と戦うっちゅーところです。ハグリッドは、かつてバックビークの死刑を執行しようとしたマクネアをぶっ飛ばす。アーサーとパーシーは大臣をぶっ飛ばす。素晴らしいっす。
スゴ腕3人相手にしても余裕のドクロベー様、さすが。
そして、修羅場をくぐり抜けて鍛え抜かれたハーとジニーとルナが"凡人"だとは到底思えないので、たぶん"いわゆるオトナ"とバトルしても負けない強さのスゴ腕3人を相手にして、同じく余裕のベラ姐さん、あんたも強ぇ。
しかし、モリーはさらに強いです。圧倒的に強い。彼女はハートで戦ってるから。ネビル同様、自分の死などというものはとっくに覚悟した者の、本気の復讐。彼女には、守るモノがある。自分の命と引き換えても、守る価値のあるモノを持っている。モリーは無敵っす。"おかあちゃん"的なモリーなのに超スゴ腕でかっこよすぎ。
ベラを殺した呪文が何なのか、本には書いてありません。モリーにAKは似合わないけど、さるおはAKであってほしいです。これはフレッドの弔い合戦、これは愛する者を守るためのバトル。ならば彼女には燃える殺意があってほしいと、さるおは思います。
心ゆくまでさるお、もんち!
スーパーポッタリアンなので、愛を込めて、さるおのハリポタツアーは、最後の反撃の烽火を上げます。
『DH』の完全ネタバレです。コメント欄も含めて、すごーくご注意ください。(内容はすべて反転文字にしてあります。)
ハリポタ辞典のもくじはこちらです。
悲鳴が夜明けを切り裂く。ネビルが、動くこともできずに火だるまです。
ハリー、今こそ行動するときだぞ。
その瞬間、いくつものことが同時に起きました。
数百人の人々が押し寄せでもするように騒がしさが近づいて来ます。グロウプが現れて"HAGGER!"とハグリッドを呼ぶ。するとヴォルディ側についた巨人たちが地面を揺らしながらグロウプに突進します。続いてたくさんの蹄の音が鳴り響き、ビューンという音とともに矢が豪雨のように、慌てるDEたちに降り注ぎます。
一瞬の隙に、ハリーは透明マントをかぶり、立ち上がりました。
同じく一瞬の隙をついたネビルがBody-Bind Curseを破り、頭から落ちた燃える帽子から、ルビーに飾られた銀色に輝く剣を引き抜きました。
うりゃぁーっ!
銀の刃で鋭く切りつける。
その一太刀は、ナギニちゃんの頭を切り落としました。スローモーションのように、城の玄関の明かりを背景にヘビの頭は弧を描き、それを見た飼い主が声にならない叫び声をあげ、ヘビはどさりと地面に落ちました。
怒ったヴォルディが杖を構えるより早く、ハリーは透明マントの下からShield Charmをかけます、もちろんネビルとヴォルディの間に。
ハグリッドの叫ぶ声が聞こえてきます。「ハリー!どこだ、ハリー!」
大変な騒ぎです。
ケンタウロスはDEたちを追い回し、巨人の足の下敷きにならないように皆が逃げ惑います。ヴォルディの巨人たちの頭上の明るくなりかけた空には巨大な翼を持った生物が舞っているのが見える。敵の巨人たちにひとまわり小さいグロウプがパンチを浴びせ、セストラルたちとバックビークも巨人たちの目を突いているんですね。
今や魔法使いは、つまりホグワーティアンもDEも、城内への退却を余儀なくされています。というより避難だな。
ハリーは透明マントをかぶったままヴォルディを追って城に駆け込みます。杖からあっちゃこっちゃにばんばん火花を散らし、DEたちに指示を叫びながら、ヴォルディが大広間に入って行くのが見えたぞ。
ハリーは、ヴォルディとシェーマス・フィニガンの間、ヴォルディとハンナ・アボットの間にShield Charmをぶん投げながら大広間に走ります。
そこは、すでに戦場でした。
チャーリー・ウィーズリーが、エメラルドのパジャマ姿のままのホラスに追いつくのが見える。チャーリーはホグスミードの店主や住民を従えて駆けつけてくれたんだ。
ケンタウロスのベイン、ロナン、マゴリアンは城のキッチンのドアを蹴破り、蹄の音を高らかに響かせて大広間に駆けてきました。城で働くハウスエルフの一団も、ナイフや肉切り包丁を手に大広間に突進してきます。先頭でレグルス・ブラックのロケットを胸に弾ませ勇ましく叫んでいるのはクリーチャー。「戦え!戦え!私の主人、ハウスエルフの守護者のために!勇敢なるレグルス様の名のもとに、ダークロードと戦え!」DEたちの足首をフォークでぶすぶす刺しまくりです。
DEたちはてんやわんや。呪文はわんさか飛んでくるわ、矢は刺さるわ、ナイフで刺されるわで、逃げ惑っています。
でもまだ終わりじゃない。ヴォルディを仕留めるまで、この戦いは終わらない。ハリーは透明マントのまま戦火を縫って大広間の中央へと急ぎます。
ジョージ・ウィーズリーとリー・ジョーダンがヤクスリーを沈めるのが見えます。フリトウィック先生がドロホフを仕留め、ハグリッドがウォルデン・マクネアをぶん投げている。ロンとネビルはついにグレイバックを追い詰め、アバフォースがロックウッドを気絶させています。アーサー・ウィーズリーとパーシー・ウィーズリーは魔法省大臣シックネスをねじ伏せました。
まるほいパパとまるほいママは、ドラコの名を呼び続けています。
はたして、大広間の中央ではヴォルディが戦っていました。相手は3人同時、ミネルバ、ホラス、キングスレー。
ヴォルディから50ヤード離れたところではベラ姐さんも戦っています。こちらも相手は3人同時、ハー、ジニー、ルナ。3人とも、今までで最も熾烈な死闘を演じています。これでベラ姐とまったくの互角。姐さん、強ぇ。
ベラがAKをぶん投げました。その呪文はジニーをわずか1インチのところでかすめます。
ハリーはコースを変えました。ヴォルディではなく、ベラに突進して行きます。
ところが、ハリーより素早く、マントを脱ぎ捨ててベラに辿り着いた人物がいました。
「私の娘に何するの!YOU BITCH!」
振り向いて笑うベラ姐さん。
「あんたたちは引っ込んでなさい!」
3人の少女にそう叫ぶと、モリーの杖がしなり、戦闘開始です。
空気を切り裂き、曲線を描き、モリーの呪文が容赦なく襲いかかります。ベラ姐さんの顔から笑みが消えました。
2人の魔女の杖は火花を散らし、ものすごいスピードで呪文が炸裂しています。2人に周囲の床がひび割れメラメラを熱くなる。相手を殺すまで、どちらかが死ぬまで、戦い続ける。
数人の生徒が、モリーを手伝おうと前へ出ますが、それはモリーが許さない。「邪魔しないで!この女は私のもんよ!」
今や数百人の人々が大広間の壁際に並び、2つの死闘を見守っています。ハリーは透明マントのまま、その間で板挟みです。
「あんたを殺したら、ガキどもはどうなるだろうねぇ?ママが死んだよぉ〜、フレディみたいにぃ〜」
師匠と同じくらいの狂気を身にまとったベラ姐、強気の挑発。
「あんたに、うちの子にはもう二度と、指1本触れさせるもんですか!」
モリーが呪文をぶん投げながら叫びます。
ベラは笑いました。
ハリーには、次に起こることがわかりました。だってあのときと同じだもん。あのとき、シリウスは笑ったんだ。そして死んだ。
次の瞬間、モリーの呪文はベラ姐さんの胸を直撃。ベラは目を見開き、ほんの一瞬だけきっと今起きたことを理解したかもしれない。そしてばたりと床に倒れました。歓声が上がります。
ヴォルディは振り向いて叫び、その怒りが爆弾のように、マクゴナガル先生とキングスレーとホラスを後ろに吹き飛ばしました。そして杖をモリーに向ける。
"Protego!"
ハリーが叫びました。そのシールドは、大広間の中央に広がります。きょろきょろ見回すヴォルディ、ついに透明マントを脱ぎ捨てるハリー。
「ハリー!生きてんじゃん!」
驚きとよろこびで歓声が沸き上がり、次の瞬間、静まり返ります。
見つめ合うドクロベーとハリーはお互いの周りを、ゆっくりと円を描き始めます。
「誰も手を出さないで。こうなるって決まってたんだ。ぼくのシゴトなんだ」
ハリーの声はトランペットの音色のように、静寂に包まれた大広間に響きました。
【メモ】
ネビル、おまえかっこよすぎ。どこまでもハッフルパフ的だったネビルですが、やっぱりおまえは本当のグリフィンドールだなぁ。
予言が指していたのは、ハリーとネビル、どちらでもよかったんだなぁって思います。
ヴォルディと、自ら選んだガチンコ対決。炎に包まれて、ネビルは死を覚悟したはずです。それでも負けなかったし、オーガスタから学んだ戦士の誇りも失わなかった。そして次の瞬間にはナギニちゃんを仕留めるわけです。もしもハリーがいなければ、その後のネビルはヴォルディに瞬殺されるのは免れないわけで、死などというものはとっくに覚悟した者の、最後の、渾身の反撃です。
ちゃんとわかってたんだな、ハリーが最後に話したことは、ハリーの遺言だったと。約束を守りましたよ。
弓の使い手ケンタウロスも、美しい馬セストラルも、バックビークも来たねー。クリーチャー率いるハウスエルフもかっこええ。ハグリッドの弟さんもがんばってるし。
あらゆる種族を巻き込んで入り乱れる異種格闘技戦は嬉しいです。
そして何より感動的なのは、みんなそれぞれ"己の敵"と戦うっちゅーところです。ハグリッドは、かつてバックビークの死刑を執行しようとしたマクネアをぶっ飛ばす。アーサーとパーシーは大臣をぶっ飛ばす。素晴らしいっす。
スゴ腕3人相手にしても余裕のドクロベー様、さすが。
そして、修羅場をくぐり抜けて鍛え抜かれたハーとジニーとルナが"凡人"だとは到底思えないので、たぶん"いわゆるオトナ"とバトルしても負けない強さのスゴ腕3人を相手にして、同じく余裕のベラ姐さん、あんたも強ぇ。
しかし、モリーはさらに強いです。圧倒的に強い。彼女はハートで戦ってるから。ネビル同様、自分の死などというものはとっくに覚悟した者の、本気の復讐。彼女には、守るモノがある。自分の命と引き換えても、守る価値のあるモノを持っている。モリーは無敵っす。"おかあちゃん"的なモリーなのに超スゴ腕でかっこよすぎ。
ベラを殺した呪文が何なのか、本には書いてありません。モリーにAKは似合わないけど、さるおはAKであってほしいです。これはフレッドの弔い合戦、これは愛する者を守るためのバトル。ならば彼女には燃える殺意があってほしいと、さるおは思います。
心ゆくまでさるお、もんち!
2008年02月05日
さるおのハリポタツアー Harry Potter and the Deathly Hallows Chapter 36 (1)
さるおです。
スーパーポッタリアンなので、愛を込めて、さるおのハリポタツアーは、最後のチャンスを狙いましょう。
『DH』の完全ネタバレです。コメント欄も含めて、すごーくご注意ください。(内容はすべて反転文字にしてあります。)
ハリポタ辞典のもくじはこちらです。
36:The Flaw In The Plan
森の香りの中、ハリーはうつ伏せに地面に倒れていました。メガネのちょうつがいの下あたり、頬のところに、冷たく固い地面を感じます。倒れた衝撃でめがねがはずれかかってます。こめかみには切り傷ができているようです。身体のあちこちが痛いし、AKの当たったところはなんだかものすごいパンチを食らったみたい。杖とマントが胸の下にあるのを感じます。
ハリーは、おかしな恰好で倒れたまま目も開かず、じっと動きませんでした。
ガキをやっつけたぞ、という歓声が聞こえてくるかと思ったのに、様子が変だ。足音と囁き声しか聞こえません。
「卿・・・卿・・・」
それはベラ姐さんの声。愛する者に囁きかけるような声音です。どしたのかな?
ハリーはほんの1mmだけ、薄目を開けてみます。
あれれ?ヴォルディが立ち上がったところです。いったん近寄ろうとしたDEたちが後ずさりしています。ヴォルディのそばに膝をつき離れようとしないのはベラ姐のみ。
今のは何だろう?DEたちは覗き込んでました。AKの瞬間、何かが起こって、ヴォルディもずっこけたのかな?
まるで、二人そろって気を失い二人そろって目覚めたみたいです。冷たいヴォルディの声がこう言うのが聞こえます。「だいじょぶだってばー」
きっとベラ姐さんが起き上がるヴォルディをたすけようと手を差し伸べたんですね。
「ガキは死んだか?」
誰も答えないし、誰もハリーに近づこうとしません。全員がハリーを見つめている気配はします。
指先ひとつ動かさないように。瞼がぴくぴくしないように。
「おめ、見てこい」
目を閉じたままのハリーには、近づいてくるのが誰なのかわかりません。じっとしているしかないけれど、このままじゃ生きてるってバレちゃう。
やわらかな手が、ハリーの顔に触れました。瞼を上げたり、身体を触って心臓の鼓動を確認したりしています。
女の人だ。
長い髪がハリーの頬を撫でます。彼女にはわかったはず、ハリーの心臓が動いていることが。
「ドラコは生きている?城にいる?」
やっと聞こえる程度の囁き声。彼女の唇はハリーの耳のすぐそばです。長い髪が彼女の唇の動きを隠しています。
「うん」
ハリーもほとんど聞こえないほどの囁きを返しました。
「死んでいます!」
立ち上がったナルシッサ・マルフォイは、はっきりした口調で告げました。
今度こそ、勝利の叫びが聞こえます。赤と銀の閃光が、花火のように空に打ち上げられます。
ナルシッサがドラコを探しに城にはいる方法はただひとつ、勝者としてヴォルディに付き従って行く以外にありません。彼女には、ヴォルディが勝とうがどーしよーが、もうどーでもいいんです。
「ハリー・ポッターを殺した。この手で。うははー!見てみろ、Crucio!」
ハリーは身構えます。
ところが、痛みはやってきません。代わりに、ハリーは宙に浮き、地面に投げ出され、また宙に浮き、これを3度繰り返す。めがねがどっかにぶっ飛んじゃいましたが、ぐったりと死体を演じ続けます。
DEたちの笑い声はどんどん大きくなります。
「よっしゃ、城に行こう。やつらのヒーローがこのザマだと見せつけてやる。・・・あ、おまえがぴったりじゃん。小さな友達を運んでやれや、ハグリッド。めがねもかけさせてやれな、誰だかわかんないとつまんないから」
誰かの手が落ちたメガネを拾い上げハリーにかけさせました。とても優しく、震える大きな手がハリーを抱き上げます。大粒の涙が降ってくる。
「行けや」
ヴォルディの声に従い、ハグリッドが歩き始めました。ほんとは、泣きじゃくるハグリッドに「ぼく生きてるよ」と言ってあげたいハリーですが、今は我慢です。木々を抜け、城に向かいます。
「ベイン!」
ハグリッドの大声に思わずまた薄目を開けてみると、たくさんのケンタウロスがヴォルディたちの行列を見ています。
「嬉しいか?これで満足か?戦いもしない憶病者、ハリー・ポッターが死んで満足か?」
ハグリッドは怒りながら号泣です。
「止まれ」
ヴォルディの声でハグリッドが立ち止まります。呪文で操られているんですね。
森を抜け、ついに校庭に出ました。
校庭にはディメンターが飛び回り、異常な寒さです。でも今のハリーはだいじょうぶ。まるで生き延びたという事実がハリーの中で燃えるように、守ってくれています。ジェームズの牡鹿が、まだハリーの中にいるみたい。
ヴォルディの気配がハリーの横を通りすぎ、あの不自然に響く大きな声で話し始めました。
「ハリー・ポッターは死んだ。皆が彼のために命を落としているときに、彼は自分の命が惜しくて逃げようとし、そして殺された。おまえたちのヒーローは死んだ。その証拠に遺体を運んできた。戦いは終わりだ。おまえたちは半数を失い、今ではDEの数がおまえたちを上回っている。抵抗する者は、男も女もコドモも、皆殺す。一家全員が死ぬことになるぞ。城から出て跪け。そうすれば許してやる。私に加わり、私と共に、新しい世界をつくるのだ」
ハリーがまた薄目を開けると、プロテクションを外されたナギニちゃんを肩に乗せたヴォルディの背中がすぐ目の前です。
でも、後ろにずらりと並んだDEたちに気づかれずに杖を出して仕留めるなんて不可能。空は明るくなろうとしています。
一団はまた少し前進し、城の真っ正面で立ち止まりました。
「ハリー・・・ハリー・・・」ハグリッドは泣き続けています。
ヴォルディとハリーを抱いたハグリッドを中央に、DEたちは横一列に並んで立っています。
閉じた瞼の向こうで、城の正面玄関が開き、明かりが漏れました。
「No!」
あまりに悲痛な叫び声。マクゴナガル先生がこんな叫び方をするなんて思ったこともなかったほどです。
それを笑ってる女が近くにいます。ベラ姐ですね。
また一瞬だけ薄目を開ける。自分たちを征服した者と対面し、ハリーが死んだという事実と向き合うために、城の正面玄関から次々に人が出てくるのが見えます。
「No!」
「No!」
「Harry! HARRY!」
ロンが、ハーが、ジニーが、マクゴナガル先生の叫びよりさらに大きな声を絞り出し、絶叫しているのが聞こえます。他の生き残ったみんなも、DEたちに罵声を浴びせ始めました。抵抗し続ける気持ちなんですね。
彼らの絶叫は引き金のように、ハリーを突き動かします。「ぼく生きてる」って言いたいな。
「だまらっしゃい!」
明るい閃光とともに、皆静まり返ります。これも魔法ですね。
「もう終わりだ!ハグリッド、ガキを降ろせ。帰してやるんだ」
ハリーは地面に横たえられました。隣ではヴォルディが行ったり来たりしながら話し始めます。「ハリー・ポッターは死んだ!こいつはただのガキだ。自分のために皆に犠牲を強いたガキだ!」
「ハリーはおまえをぶっとばーすっ!」
叫んだのはロンです。ヴォルディの呪文を破ったんですね。他のみんなも呪文を破り、ロンに続いて叫び出します。
ぼかん!
だまらっしゃいの2発目です。
「こいつは逃げ出そうとして殺された。こいつは自分だけたすかろうと・・・」
明るい光りがヴォルディを遮りました。誰かが、再び呪文を破り、なんとヴォルディに反撃したんです。その人物が杖を奪われ地面に倒れるのが、薄目の向こうに見えます。奪った杖を放り投げ、ヴォルディさんは笑ってますよ。
「こいつは誰だ?抵抗するとどーなるか、見せしめに立候補してくれたよい子は誰くん?」
あ、ベラ姐さんが嬉しそう。「ネビル・ロングボトムです、ドクロベー様!カロウ兄妹をてこずらせた、オーラーのガキよ!」
「あーん、覚えてるぞ」
ネビルは立ち上がりました。杖も失い、守るモノもなく、味方とヴォルディの間(no-man's-land)に。
「勇気ある少年よ、おめ、純血じゃね?」
ネビルは空のこぶしを強く握りしめ、力いっぱい叫びます。
「だからどーした!」
「きみは勇気あるなぁ。しかも純血。素晴らしいDEをたくさん生むだろう、ネビル・ロングボトム。我々にはきみのような血筋が必要だ」
「地獄の炎が凍ったら仲間に入ってやるさ!」
負けないネビルはこう言い放ちます。そして叫ぶ。"Dumbledore's Army!"
呪文を破り、みんながネビルに応え、歓声が沸き起こります。
「よろしい」
この優しい言い方はキケン。
「それがおまえの選択なら、しかたない。おまえの頭に、これを」
ヴォルディが杖を振る。ネビルは動けなくなり、一瞬後にホグワーツの窓のひとつが割れました。窓からは1羽の鳥が飛んできて、ヴォルディの手に止まりました、と思ったら、鳥じゃなくてソーティングハットだ。
「こんな帽子、もう要らねーし。ホグワーツはスリザリン1色でいいよな、ネビル・ロングボトム」
ヴォルディはソーティングハットをネビルの頭にかぶせました。帽子はネビルの目のあたりまですっぽりと覆っています。
背後で仲間たちがネビルをたすけようと動きます。DEたちは一瞬で杖を抜きました。杖は"Dumbledore's Army"のひとりひとりをぴたりと狙っています。
「逆らう愚か者がどーなるか。見せてやろうじゃないの、ネビル君」
ヴォルディが再び杖を振り、ソーティングハットは炎に包まれました。
【メモ】
ヴォルディもずっこけてたんですね。
ヴォルディとベラの関係、愛はないはずだけど、どんな感じなんでしょうか。
誰よりも早く絶叫を響かせたミネルバ。涙出ました。彼女はほんとにほんとにハリーを、グリフィンドールの受け持ちの生徒を、未来のあるコドモたちを、心底愛しているんだなぁ。
ハリーさん、マクゴナガル先生もおまえの家族だよ。
心ゆくまでさるお、もんち!
スーパーポッタリアンなので、愛を込めて、さるおのハリポタツアーは、最後のチャンスを狙いましょう。
『DH』の完全ネタバレです。コメント欄も含めて、すごーくご注意ください。(内容はすべて反転文字にしてあります。)
ハリポタ辞典のもくじはこちらです。
36:The Flaw In The Plan
森の香りの中、ハリーはうつ伏せに地面に倒れていました。メガネのちょうつがいの下あたり、頬のところに、冷たく固い地面を感じます。倒れた衝撃でめがねがはずれかかってます。こめかみには切り傷ができているようです。身体のあちこちが痛いし、AKの当たったところはなんだかものすごいパンチを食らったみたい。杖とマントが胸の下にあるのを感じます。
ハリーは、おかしな恰好で倒れたまま目も開かず、じっと動きませんでした。
ガキをやっつけたぞ、という歓声が聞こえてくるかと思ったのに、様子が変だ。足音と囁き声しか聞こえません。
「卿・・・卿・・・」
それはベラ姐さんの声。愛する者に囁きかけるような声音です。どしたのかな?
ハリーはほんの1mmだけ、薄目を開けてみます。
あれれ?ヴォルディが立ち上がったところです。いったん近寄ろうとしたDEたちが後ずさりしています。ヴォルディのそばに膝をつき離れようとしないのはベラ姐のみ。
今のは何だろう?DEたちは覗き込んでました。AKの瞬間、何かが起こって、ヴォルディもずっこけたのかな?
まるで、二人そろって気を失い二人そろって目覚めたみたいです。冷たいヴォルディの声がこう言うのが聞こえます。「だいじょぶだってばー」
きっとベラ姐さんが起き上がるヴォルディをたすけようと手を差し伸べたんですね。
「ガキは死んだか?」
誰も答えないし、誰もハリーに近づこうとしません。全員がハリーを見つめている気配はします。
指先ひとつ動かさないように。瞼がぴくぴくしないように。
「おめ、見てこい」
目を閉じたままのハリーには、近づいてくるのが誰なのかわかりません。じっとしているしかないけれど、このままじゃ生きてるってバレちゃう。
やわらかな手が、ハリーの顔に触れました。瞼を上げたり、身体を触って心臓の鼓動を確認したりしています。
女の人だ。
長い髪がハリーの頬を撫でます。彼女にはわかったはず、ハリーの心臓が動いていることが。
「ドラコは生きている?城にいる?」
やっと聞こえる程度の囁き声。彼女の唇はハリーの耳のすぐそばです。長い髪が彼女の唇の動きを隠しています。
「うん」
ハリーもほとんど聞こえないほどの囁きを返しました。
「死んでいます!」
立ち上がったナルシッサ・マルフォイは、はっきりした口調で告げました。
今度こそ、勝利の叫びが聞こえます。赤と銀の閃光が、花火のように空に打ち上げられます。
ナルシッサがドラコを探しに城にはいる方法はただひとつ、勝者としてヴォルディに付き従って行く以外にありません。彼女には、ヴォルディが勝とうがどーしよーが、もうどーでもいいんです。
「ハリー・ポッターを殺した。この手で。うははー!見てみろ、Crucio!」
ハリーは身構えます。
ところが、痛みはやってきません。代わりに、ハリーは宙に浮き、地面に投げ出され、また宙に浮き、これを3度繰り返す。めがねがどっかにぶっ飛んじゃいましたが、ぐったりと死体を演じ続けます。
DEたちの笑い声はどんどん大きくなります。
「よっしゃ、城に行こう。やつらのヒーローがこのザマだと見せつけてやる。・・・あ、おまえがぴったりじゃん。小さな友達を運んでやれや、ハグリッド。めがねもかけさせてやれな、誰だかわかんないとつまんないから」
誰かの手が落ちたメガネを拾い上げハリーにかけさせました。とても優しく、震える大きな手がハリーを抱き上げます。大粒の涙が降ってくる。
「行けや」
ヴォルディの声に従い、ハグリッドが歩き始めました。ほんとは、泣きじゃくるハグリッドに「ぼく生きてるよ」と言ってあげたいハリーですが、今は我慢です。木々を抜け、城に向かいます。
「ベイン!」
ハグリッドの大声に思わずまた薄目を開けてみると、たくさんのケンタウロスがヴォルディたちの行列を見ています。
「嬉しいか?これで満足か?戦いもしない憶病者、ハリー・ポッターが死んで満足か?」
ハグリッドは怒りながら号泣です。
「止まれ」
ヴォルディの声でハグリッドが立ち止まります。呪文で操られているんですね。
森を抜け、ついに校庭に出ました。
校庭にはディメンターが飛び回り、異常な寒さです。でも今のハリーはだいじょうぶ。まるで生き延びたという事実がハリーの中で燃えるように、守ってくれています。ジェームズの牡鹿が、まだハリーの中にいるみたい。
ヴォルディの気配がハリーの横を通りすぎ、あの不自然に響く大きな声で話し始めました。
「ハリー・ポッターは死んだ。皆が彼のために命を落としているときに、彼は自分の命が惜しくて逃げようとし、そして殺された。おまえたちのヒーローは死んだ。その証拠に遺体を運んできた。戦いは終わりだ。おまえたちは半数を失い、今ではDEの数がおまえたちを上回っている。抵抗する者は、男も女もコドモも、皆殺す。一家全員が死ぬことになるぞ。城から出て跪け。そうすれば許してやる。私に加わり、私と共に、新しい世界をつくるのだ」
ハリーがまた薄目を開けると、プロテクションを外されたナギニちゃんを肩に乗せたヴォルディの背中がすぐ目の前です。
でも、後ろにずらりと並んだDEたちに気づかれずに杖を出して仕留めるなんて不可能。空は明るくなろうとしています。
一団はまた少し前進し、城の真っ正面で立ち止まりました。
「ハリー・・・ハリー・・・」ハグリッドは泣き続けています。
ヴォルディとハリーを抱いたハグリッドを中央に、DEたちは横一列に並んで立っています。
閉じた瞼の向こうで、城の正面玄関が開き、明かりが漏れました。
「No!」
あまりに悲痛な叫び声。マクゴナガル先生がこんな叫び方をするなんて思ったこともなかったほどです。
それを笑ってる女が近くにいます。ベラ姐ですね。
また一瞬だけ薄目を開ける。自分たちを征服した者と対面し、ハリーが死んだという事実と向き合うために、城の正面玄関から次々に人が出てくるのが見えます。
「No!」
「No!」
「Harry! HARRY!」
ロンが、ハーが、ジニーが、マクゴナガル先生の叫びよりさらに大きな声を絞り出し、絶叫しているのが聞こえます。他の生き残ったみんなも、DEたちに罵声を浴びせ始めました。抵抗し続ける気持ちなんですね。
彼らの絶叫は引き金のように、ハリーを突き動かします。「ぼく生きてる」って言いたいな。
「だまらっしゃい!」
明るい閃光とともに、皆静まり返ります。これも魔法ですね。
「もう終わりだ!ハグリッド、ガキを降ろせ。帰してやるんだ」
ハリーは地面に横たえられました。隣ではヴォルディが行ったり来たりしながら話し始めます。「ハリー・ポッターは死んだ!こいつはただのガキだ。自分のために皆に犠牲を強いたガキだ!」
「ハリーはおまえをぶっとばーすっ!」
叫んだのはロンです。ヴォルディの呪文を破ったんですね。他のみんなも呪文を破り、ロンに続いて叫び出します。
ぼかん!
だまらっしゃいの2発目です。
「こいつは逃げ出そうとして殺された。こいつは自分だけたすかろうと・・・」
明るい光りがヴォルディを遮りました。誰かが、再び呪文を破り、なんとヴォルディに反撃したんです。その人物が杖を奪われ地面に倒れるのが、薄目の向こうに見えます。奪った杖を放り投げ、ヴォルディさんは笑ってますよ。
「こいつは誰だ?抵抗するとどーなるか、見せしめに立候補してくれたよい子は誰くん?」
あ、ベラ姐さんが嬉しそう。「ネビル・ロングボトムです、ドクロベー様!カロウ兄妹をてこずらせた、オーラーのガキよ!」
「あーん、覚えてるぞ」
ネビルは立ち上がりました。杖も失い、守るモノもなく、味方とヴォルディの間(no-man's-land)に。
「勇気ある少年よ、おめ、純血じゃね?」
ネビルは空のこぶしを強く握りしめ、力いっぱい叫びます。
「だからどーした!」
「きみは勇気あるなぁ。しかも純血。素晴らしいDEをたくさん生むだろう、ネビル・ロングボトム。我々にはきみのような血筋が必要だ」
「地獄の炎が凍ったら仲間に入ってやるさ!」
負けないネビルはこう言い放ちます。そして叫ぶ。"Dumbledore's Army!"
呪文を破り、みんながネビルに応え、歓声が沸き起こります。
「よろしい」
この優しい言い方はキケン。
「それがおまえの選択なら、しかたない。おまえの頭に、これを」
ヴォルディが杖を振る。ネビルは動けなくなり、一瞬後にホグワーツの窓のひとつが割れました。窓からは1羽の鳥が飛んできて、ヴォルディの手に止まりました、と思ったら、鳥じゃなくてソーティングハットだ。
「こんな帽子、もう要らねーし。ホグワーツはスリザリン1色でいいよな、ネビル・ロングボトム」
ヴォルディはソーティングハットをネビルの頭にかぶせました。帽子はネビルの目のあたりまですっぽりと覆っています。
背後で仲間たちがネビルをたすけようと動きます。DEたちは一瞬で杖を抜きました。杖は"Dumbledore's Army"のひとりひとりをぴたりと狙っています。
「逆らう愚か者がどーなるか。見せてやろうじゃないの、ネビル君」
ヴォルディが再び杖を振り、ソーティングハットは炎に包まれました。
【メモ】
ヴォルディもずっこけてたんですね。
ヴォルディとベラの関係、愛はないはずだけど、どんな感じなんでしょうか。
誰よりも早く絶叫を響かせたミネルバ。涙出ました。彼女はほんとにほんとにハリーを、グリフィンドールの受け持ちの生徒を、未来のあるコドモたちを、心底愛しているんだなぁ。
ハリーさん、マクゴナガル先生もおまえの家族だよ。
心ゆくまでさるお、もんち!
2008年01月30日
さるおのハリポタツアー Harry Potter and the Deathly Hallows Chapter 35
さるおです。
スーパーポッタリアンなので、愛を込めて、さるおのハリポタツアーは、不思議な場所で、懐かしいあの人と本当の会話をしましょう。
『DH』の完全ネタバレです。コメント欄も含めて、すごーくご注意ください。(内容はすべて反転文字にしてあります。)
ハリポタ辞典のもくじはこちらです。
35:King's Cross
うつ伏せに横たわり、目を閉じたまま静けさに耳を澄ませる。
周囲には、誰もいません。
長いことたって、いや、あるいは一瞬の後、ハリーは間違いなく自分が"存在"していると感じました。だって、何かの上に横になってるこの感じ、間違いないもん。
目を開けてみます。見えるぞ。とりあえず、少なくとも目はついてます。
白い霧に包まれ、白い床の上に横になっている。床は温かくも冷たくもなく、ただそこに存在している、不思議な感じです。
ハリーは起き上がってみます。そして自分の身体を見ようとすると、そこに身体が見えました。なんかしらんけど、誰もいないからべつにええけど、裸んぼだZE!
顔を触ってみる。メガネもありません。
そのとき、何もないどこかから、耳障りな音が聞こえてきました。何かが、もぞもぞともがきながら、床を叩く小さな音です。それはとても哀れな音、静かな泣き声の混ざった、聞きたくない音でした。
素っ裸なのがなんだか恥ずかしくなりました。着るモノがあればいいのに。すると少し離れた何もない床の上に、ローブがありました。柔らかく清潔で温かいそのローブを羽織り、ハリーは立ち上がって辺りを見回します。
ここはRoRなのかな?
見上げると、巨大な半球のガラスの円天井が、はるか頭上で日の光にきらめいています。なんだか宮殿みたいなところです。
その聞きたくない哀れな音以外、何の音もしません。
明るくて、とても大きな場所。ホグワーツの大広間より大きい。そこに、ただひとり。この嫌な音を除いて。と思ったら、見えました、その音を出しているモノが。
それは、小さな裸のコドモ。生皮を剥がれ、床に丸くうずくまるようにしてベンチの下にいるコドモです。喘ぐように呼吸しています。
傷を負った瀕死の小さなコドモなのに、なんだか近寄るのが怖い。ちょっとずつ近づいてみたものの、手を伸ばすことができません。
「たすけられない」
唐突に声がしました。
はっと振り向くと、アルバス・ダンブルドアが、ミッドナイトブルーのマント姿でこちらに歩いて来ます。無傷の両腕を大きく広げています。「ハリー、すばらしい少年、勇気ある者よ。少し歩こ」不快な音から遠ざかるように、ダンブルドアは、そこにはなかった2脚の椅子へと歩きます。銀色の長い髪と髭、半月型のメガネの奥の心を貫く青い瞳、ちょっと曲がった鼻、ハリーが知っているダンブルドアです。
「死んじゃったんじゃなかったの?」
「そうだよ」
「ほんじゃ、ぼくも死んだの?」
「あぁ」ダンブルドアはとても優しく微笑んでいます。「そこが問題だ、そうだろう?けど、私はそうは思っていない」
「死んでない?」
「そのとおり」
「でも・・・」ハリーは戸惑いながら額の傷跡に触れます。あれれ、傷がないみたい。「ぼく、死んだはずなんだ。自分のこと守ろうとしなくて、やつにぼくのこと殺させたんだ」
「それですべてが違ってくる」
光りのように、炎のように、見たことがないほど充実した幸福を、ダンブルドアは身体中から発散しています。
「説明してよ」
「もうきみにはわかってるはずだ」
「ぼくはやつにぼくを殺させた」
「そうだね」
「それでぼくの中にあった彼の魂のかけらが・・・消えた?」
「それだ!彼が自分で破壊した。きみの魂は傷ひとつない、これですっかりきみ自身になったんだよ、ハリー」
「それじゃ・・・」ハリーは肩越しに、耳障りな音を出し続けるあの震える小さな生き物を見ました。
「あれは何?」
「私たちには救うことのできない何か」
「もしヴォルデモートがAKを使ったなら、なんでぼく生きてるの?今回は誰も身代わりになってくれてないのに」
「それもきみにはわかってる。よく考えて、欲望と残虐さに溺れた彼が、自分でも気づかぬうちに何をしてきたか、思い出してごらん」
考えようとするハリー、なぜか答えがすぐにわかります。「・・・ぼくの血をとった」
「それだ。彼はきみの血を使って肉体を復活させた。きみの血が彼の血管を流れている。リリーの守護がきみらふたりの中を流れているんだよ、ハリー。彼は、彼の命ときみの命を自分で結びつけてしまった」
「彼が生きている限り、ぼくも生きるってこと?でもぼく、両方とも死ななきゃならないのかと思ってた。でもこれって、同じこと言ってるのかな?」
ハリーはまたあの小さな生き物を見ます。「ほんとにたすけられない?」なんだか気になってますね。
「ハリー、きみは7つ目のホークラックスだった。作るはずではなかった、7つ目。彼の魂は不安定になりすぎていて限界だったのに、きみの両親を殺しきみも殺そうとしたら、不安定だから割れちゃった。彼はあの家に肉体だけを置いて逃げ出したつもりでいたが、それ以上のモノを置いてきてしまったんだ。彼の魂の破片は、殺すはずだったきみに、生き延びたきみの中に封印された。彼はまったく学習しない。ハウスエルフや、童話や、愛、忠誠、そして無垢、そーゆーのものを軽んじて、何も理解しない。何もだ。それらは、彼がまったく及ばないほどの強力な力を、"魔法"などが及ばない強大な力を持っているのに。彼はきみの血を使えば強くなれると思ったが、彼がリリーの犠牲と守護を生かしている。リリーの犠牲はきみらふたりの守護になった」
「はじめからわかってたの?」
「いや、推測していただけ。私の推測はけっこう当たるけど」ダンブルドアは嬉しそうに微笑んでいます。しばらく黙ってそこに座り、長い時間が経ったような、時間は経っていないような、で、あのコドモは震えながら泣き続けています。
「ぼくの杖は、なんでやつの借り物の杖(ルシウスの)をやっつけたのかな?」
「確かなことは言えないが」
「じゃ推測してよ」
ハリーの言葉に、ダンブルドアは笑いました。今のハリーは遠慮なくずけずけと命令口調ですね、トムぐらいに。
「きみとヴォルデモート卿は、まだ誰も知らない魔法の国をともに旅してきた。私も知らない前人未到の領域だから、憶測だよ。ヴォルデモート卿は復活に際して、きみとの繋がりをより強固にしてしまった。魂の一部をきみにあずけている上に、きみの血まで使ったから。もし彼が"犠牲"というもののとんでもない魔力を理解していたなら、きみの血は使わなかっただろう、触りたくもなかったはずだ。ま、それが理解できるくらいなら、彼は"ヴォルデモート卿"などにはならなかったし、殺人など犯さなかっただろうけど・・・。で、絆の深いその相手に、まずは兄弟杖で攻撃した。そしたら兄弟杖ならではのあの効果が現れた。最も恐怖を感じたのは、きみではなく彼のほうだよ、ハリー。きみは死を覚悟した、ヴォルデモート卿には決してできないことだ。きみの勇気が勝ち、きみの杖が勝った。それを杖は知っている。所有者に起きたことに、杖は共鳴する。きみの杖は、ヴォルデモート卿の力と資質を吸収し、敵として記憶したんだ。だからきみの杖はヴォルデモート卿が現れたのを認識すると、ヴォルデモート卿の力と資質で反撃するんだ。きみの杖は、今では、きみの類いまれな勇敢さとヴォルデモート卿の恐るべきスキルの両方を兼ね備えている。誰かに杖を借りたって無駄だ」
「そんなに強い杖なのに、ハーに折られちゃったよ」
「杖は"ヴォルデモート卿を"敵と見なすんだ。"ヴォルデモート卿にだけ"めっぽう強い」
ハリーは考え込みます、長い間、あるいはほんの数秒。ここでは時の流れがどうもおかしい。
「やつは先生の杖でぼくを殺した」
「"殺し損ねた"が正しい。きみにもきみが死んでないってわかるだろう?きみの苦難を過小評価するわけじゃない。大変な思いをした、それはわかっているよ」
「ところでさ、ここって気持ちいい。ここどこ?」
「私がきみに聞こうと思ってたんだ。ここはどこなの?」
ダンブルドアに聞かれるまでわかりませんでした。けど、急にわかったぞ。
「キングスクロス駅みたい。すごくキレイで、誰もいないし、列車もないけど」
「キングスクロス駅か!なるほど、きみの世界に属する場所だね」
ハリーにはどーゆー意味かわかりません。でももっと他の質問が浮かんできました。
「ですりーはろうず」
ダンブルドアの笑顔が消えます。ダンブルドアは老人ではなく、いたずらをして捕まったコドモのような表情になりました。
「許してくれるかい?真実を語らなかった私を許すことができるかい?ハリー、私はただ怖かったんだ、私が失敗したように、きみが失敗するのが。私と同じ過ちを犯してほしくなかった。いや、きみは私より良い人間だと知っていたのに。許しておくれ」
ハリーはびっくりします。だって、ダンブルドアの知的な青い目には涙がいっぱい。
「死神の秘宝、向こう見ずな人間の夢、危険で、愚か者を惹きつける。私は愚かだった。きみが知っているとおりの愚か者だ。もうきみに隠し事はない。・・・死の支配者だ、ハリー、死の支配者!私は死を克服する道を求めた。私はこれでもヴォルデモートよりマシだろうか?」
「あなたはやつなんかと違うよ!人殺しなんかしないもん。はろうずはホークラックスとは違うもん」今までぶっきらぼうな命令口調で怒っていたハリーですが、こうしてダンブルドアを目の前に、怒っているのもなんだか変だと思い始めました。
あの奇妙なコドモは泣き続けています。でも、もう振り向きません。
「グリンデルバルドも探してたの?」
ダンブルドアは頷きました。「同じ夢を見た2人の聡明で傲慢な少年たち。私たちは秘宝に夢中になったよ。彼はゴドリックズホロウに来たがった、Ignotus Peverellの墓があるからね」
「じゃ、ほんとなの?だんご三兄弟の話も?」
「もちろん。人気のない道で死神に会った、というより、あれほどの魔力を持ったモノを作ることができる天賦の才を持っただんご三兄弟はキケンな存在だった、ということだとは思うけど。・・・透明マントは、きみも知っているとおり、父から子へ、母から娘へ、Ignotusと同じくゴドリックズホロウに生まれたIgnotusの子孫へと代々受け継がれた」
「それぼくのこと?」
「そうだよ」ダンブルドアはまた少し微笑みます。「なぜあれを私があずかっていたのか疑問に思うだろうが、ジェームズが死ぬ少し前、彼は私に透明マントを見せてくれた。あのときやっと、彼が学校でこっそりいたずらばかりできたわけがわかったよ!私は、自分が見ているモノが信じられなかった。バカな夢はずっと昔にあきらめたというのに、逆らうことができなかった。よく見たくて、触ってみたくて、借りたんだ。いにしえの、なのにほころびひとつない完璧なマントだった。・・・そしてきみのパパさんは死に、私は2つ目の秘宝を手に入れた。・・・私は、自分を軽蔑している」ダンブルドアはハリーの目を見るのがやっとです。
「ぼくは軽蔑なんてしてないよ」
「軽蔑されるのがあたりまえだ。・・・きみは私の妹のことを知った。マグルたちが何をして、妹がどうなったか。私のパパさんは復讐を果たし、代償を払ってアズカバンで死んだ。私のママさんは自分の人生を捨てて妹のためにすべてを捧げた」
そして冷たく言いました。「あろうことか、私はそれに腹を立てたんだ」
ハリーの肩越しに、ダンブルドアは遠くを見やります。「私は才能に溢れていた。私は聡明だった。家から逃げ出して、輝きたかった。栄光をつかみたかった」
ダンブルドアは年老いた表情に戻っています。「でも、誤解しないでほしい。私は彼らを愛していた。ただ、自己チューだったんだ。ハリー、私の知る限りもっとも他人を尊重することのできるきみとは比べ物にならないほど、はるかに自己チューだった。私のママさんが死んで、傷ついた妹と強情な弟の面倒を見なければならなくなって、村に戻ったよ。怒り、苦々しいと思いながら。家に縛られるなんて浪費だと思ったんだ。そして・・・彼が来た」
ダンブルドアはハリーの目をまっすぐ見つめます。
「グリンデルバルト。彼の考えていることがどれほど素晴らしく思えたか、想像もつかないだろう。我々魔法使いが勝利し、マグルは従属する。グリンデルバルドと私、栄光に満ちた若き革命の指導者。もちろん私には疑念もあった。自分の良心を、すべては偉大なる善のためだと意味のない言葉でごまかした。私は、心の奥の奥のほうで、グリンデルバルトが何者かを、はたして知っていただろうか?あぁ、おそらく私は気づいていた。でも、そのことに目をつぶった。もしも計画が達成されるなら、私の夢が叶うから。・・・ほんとは、計画の中心にあったのは、死神の秘宝だったんだ。それらはどれだけ彼を魅了しただろう、私たちふたりを、どれほど虜にしただろう!権力の頂点に我々を導く無敵の杖、そして甦りの石、彼にとってそれは・・・私はそれを知らないと自分を欺き続けたが・・・彼にとって石は、Inferiの軍隊を意味した。私にとっては、両親を呼び戻し、私の肩の荷を下ろすための道具だった。あとは透明マント。私たちはふたりともマントを使わなくても自分を見えないようにするのがうまかったから、マントのことはあまり議論しなかったけど、でも私はそれを、アリアナを隠すのにちょうどいいなどと考えていた。とにかく、3つ集めることに意味があった。そーすれば、死を克服できる。本当の意味で"無敵"になれる。・・・無敵の死の支配者、グリンデルバルド&ダンブルドア!・・・一夏の狂気、一夏の残酷な夢、ただふたりの残された家族を、私は無視したんだ。・・・夏が終わり、あの弟によって現実が戻ってきた。私は、彼が私に真実を怒鳴りつけるのを聞きたくなかった。口論は大喧嘩になり、グリンデルバルトは歯止めが効かなくなった。その凶暴性に密かに気づいていたのに、知らんぷりをしていた、彼の本性。そしてアリアナは・・・ママさんが人生をなげうってすべてを捧げたあのアリアナは・・・死んで床に倒れていた」
ダンブルドアは泣き始めます。ハリーはダンブルドアの手を取り、あ、触ることができたぞ、強く握りしめます。
「グリンデルバルドは逃げた。そんな気はしていた。権力の頂点へ向かう計画と、マグルを痛めつける陰謀と、死神の秘宝への夢を手に、忽然と姿を消した。私は妹を埋葬し、この取り返しのつかない罪と重い後悔を背負って生きると決めた。・・・年月が流れ、彼の噂を聞いた。とんでもなく強力な杖を手に入れたと。その頃の私は大臣の職を何度か薦められていた。でも決してそれを受け入れなかった。権力構造の中で私が信頼されるはずがない」
「そんなことない!ファッジやスクリムジャーよりずっといい大臣になったはずじゃん!」
「そうかな。私はすでに若い頃に証明してしまった、"力"こそが私の弱点だと。権力など欲しない者が上に立つべきなんだ、真のリーダーシップを持つきみのようにね。私にはホグワーツが合っていた。良い教師にはなれたと思う」
「良いどころか、いちばんだってば」
「きみは優しい子だ、ハリー。でも私が学校で授業をやってる間に、グリンデルバルドは軍隊を組織してしまった。彼は私を怖れていると聞いたが、いやたしかにそうだったろうが、本当は私が彼を怖れていた、彼が私を怖れる以上に。死の恐怖ではない。彼の魔力でもない。私たちはほぼ互角、いや、実際は私のほうが強かったと思う。力比べではなく、私が怖れたのは真実だった。誰が妹を殺してしまったのか、もう知る術もないけど。・・・きみは私を憶病者と思うだろう。そのとおりだな。彼は私が何を怖れているかを知っていた。私は彼と会うことを拒んだ。これ以上遅らせるのはさすがに恥だと思うまで遅らせ続けた。その間に人々は死に、彼は止められない勢いだった。私はするべきことをしなければならなくなった。きみが知っているとおり、私は勝って杖を奪った」
長い沈黙の中でハリーは考えます。誰がアリアナを殺したかを、ダンブルドアは知ったのだろうか。でもそんなこと知りたくないや。ダンブルドアもきっと話したくないだろうな。ハリーにはとうとうわかりました、ダンブルドアがthe Mirror of Erisedを覗いたときに何が映るのか。なぜダンブルドアには、ハリーのことがわかったのか。もう耳障りな泣き声など気になりません。
「グリンデルバルドはヴォルデモートから杖を守ろうとしたよ」
ダンブルドアは、涙の滴が落ちた自分の膝を見つめ、頬を濡らしたまま頷きました。
「Nurmengardの独房で、彼はついに深く後悔したと聞いている。それが本当だといいね。彼には自分がしたことが恐ろしく恥ずかしいことだと理解してほしい。ヴォルデモートに嘘をついたのは、その後悔のためだろう、彼が秘宝を手に入れるのを防ごうと・・・」
「あるいはあなたのお墓が荒らされるのを防ごうと」ハリーが付け足します。
「それから長いこと経って私はうち捨てられたゴーント家から復活の石をみつけた。彼とは別の理由で、秘宝の中で私がもっとも欲したモノだ。私は片手を失った。それがホークラックスだということも、呪われているだろうということも、忘れていた。私は指輪をはめ、すぐにアリアナの気配がした。ママさんも、パパさんも来てくれた。私は彼らに謝り続けた。・・・私はそのような愚か者だ、ハリー。この人生を生きてもなお、私は学ばなかったんだ。私は秘宝を持つにふさわしくないということを、最後にまた証明してしまった。これが私なんだよ」
「家族に会いたいって思うのって、フツーじゃんか。悪いことじゃないよ」
「おそらく、秘宝を集めることができる者は100万人にひとりだ、ハリー。私は、ニワトコの杖には認められた。それを持っていることを威張らないし、その道具を殺しに用いたりしない。私はそれを欲で奪ったのではなく人々を救うために手に入れた、だから杖は私がそれを使うことを許してくれた。だが透明マントは、無駄な興味で手に入れてしまった。だから本当の持ち主であるきみに働いたようには、私には働いてくれなかった。そして石は、きみのときのように犠牲を赦すのではなく、私は平和に過ごしている彼らをいたずらに引きずり戻しただけだった。・・・私ではない。きみこそが、秘宝を持つにふさわしい」
ダンブルドアはハリーの手を優しく叩き、微笑みかけています。ハリーはもうダンブルドアのことを怒っていません。
「なんでこんなに難しくしたの?」
ダンブルドアの笑顔が震えています。
「私は、グランジャーさんがきみを少しだけ遅らせてくれると思った。きみの善良な心が、秘宝を求める情熱に支配されしまうのが怖かったんだ。私のように、ふさわしくないときにふさわしくない理由で、それらを手にしてしまうのを怖れた。正しい心で安全に手に入れてほしくてね。きみは本当の、死神の克服者。ホンモノは決してそれから逃げたりしない。ホンモノは死を受け入れ、死よりももっとつらいことはこの世にこそあると理解する」
「ヴォルデモートははろうずのこと知らないの?」
「知らないんじゃないかな?あの石の価値に気づかずホークラックスにしちゃったし。でもハリー、もし知っていたとしても、あまり興味はもたなかったかもしれない。彼も透明マントは必要ないし、黄泉の国から取り戻したい人なんているはずもない。彼は死を怖れただけだ。誰のことも愛しはしなかった」
「杖はほしがると思った?」
「きみの杖がリトルハングルトンの墓地でヴォルデモートに打ち勝ったとき、いずれあの杖を手に入れようとするだろうと思ったよ。最初彼は、きみがとんでもなく高度な魔法で自分を負かしたと思った。ところがオリバンダーを拉致ってみたら兄弟杖だと聞かされ、これですべて説明がつくと考えた。でも借り物はまたきみに負けたんだ。ヴォルデモートは、きみの杖をそれほどまでに強くするきみの資質について、きみだけが授かり自分が持たない力とは何かと自問するかわりに、最強の杖を追った。それさえ手に入れれば、ただひとつの弱点を克服できるぜ無敵だぜと信じて。かわいそうなセヴルス・・・」
「あなたの死がスネイプと一緒に計画されたなら、ほんとは彼にニワトコの杖の最後の所有者になってほしかったんじゃ?」
「そう思ったが・・・そのとおりにはならなかったね」
長い時間、ハリーとダンブルドアはそこに黙って座っていました。あの奇妙な生き物はもぞもぞ動き喘ぎ続けています。
次に起きることが、静かにゆっくりと、優しく降り積もる雪のように、ハリーの中に積もりました。
「ぼく、戻るんだよね?」
「きみ次第だよ」
「選べるの?」
「もちろん」ダンブルドアがハリーを見つめて微笑んでいます。「ここはキングスクロスなんでしょ?もしきみが戻らないと決めたら、きみは、列車に乗れる」
「どこに向かうの?」
「この先へ」
ハリーはしばらくの間黙ります。
「ヴォルデモートはニワトコの杖を手に入れたんだ」
「たしかに、ヴォルデモートは杖を"手に持ってる"」
「それでもぼくは戻るべき?」
「もし戻るなら、きみにはすべてを終わらせるチャンスがもう1度あると思うよ。確かなことは言えないけど、少なくとも私にはわかっていることがある。ハリー、彼と違って、またここに来るのは怖くないだろう」
ハリーは、生皮を剥がれ丸くなって泣き続ける裸のコドモを見ます。
「死者に情をかけるな。ハリー、生きている者にこそ慈しみを持つんだ。特に、愛なしに生きる者に。戻れば、傷つく魂を、引き裂かれる家族を、減らすことができる。そこに価値を見出すなら、今しばらくのさよならだね」
ハリーは頷きます。温かく明るく平和なこの場所を去るのは嫌だけど、また苦痛と恐怖と喪失の世界に向かうことになるけれど、森に向かうときほど難しくはありません。
ハリーは立ち上がりました。ダンブルドアも立ち上がりました。長い瞬間、互いを見つめ合います。
「最後にもうひとつだけおせーて。これは現実?それともぼくの頭の中で起きてるのかな?」
ダンブルドアがきらきらと微笑みます。その声は、大きく、力強く、耳の中で響きます。再び白い霧がすべてを覆い始めます。「もちろんきみの頭の中だよ、ハリー、でもそれがなぜ現実じゃないと言い切れる?」
【メモ】
「説明しろや」ととんでもなく失礼な命令口調のハリーさん、あんたはやっぱりトム・リドルにそっくりです。ヴォルディの"部分"が消えても、ハリーのトム癖は健在。ハリーを完全無欠にしないところが深いっすねー。
生皮を剥がれたこのかわいそうな裸のコドモ、これはヴォルディですね。限界まで損なわれた魂の姿です。
無傷の魂を持ったままのハリーは、メガネも要らないし傷跡も消えて、まっさらな状態。
ふたりの魂が、三途の川(limbo)にやってきたわけです。
さるおが泣いたのは「きみは、列車に乗れる」「どこに向かうの?」「この先へ」のところです。
さるおのイメージはホグワーツ特急、スカーレットに輝く力強い蒸気機関車です。
そっかー、列車というのはいつだって、"知らない世界に運んでくれる"乗り物なんだなぁ。『PS』でハリーは魔法使いだと知らされ、まだ知らない魔法の国に、冒険の世界に、真っ赤な汽車で第一歩を踏み出すわけです。
今度は、この世を終えたあとの、次の冒険の旅へ、列車に乗って出かける。ハリーには乗る資格があるよということです。死んでもいいんだよと言ってくれている。優しいですね。
そしてその列車はハリーをどこへ連れて行くのか?
答えはとてもシンプルに"On,"でした。さるおはこれを泣きながら、前へ進むんだと、先にある世界に行くんだと、次の冒険の舞台へ連れて行ってくれるんだ、と解釈しました。
あーん、もう、ハリポタって素晴らしい。
ダンブルドアはキングスクロス駅を"きみの世界に属する場所"(your party)だと言いました。それぞれが、"その人の世界"から旅立つわけですね。ダンブルドアはどこを通って冒険の旅に出かけたのかなぁ。
心ゆくまでさるお、もんち
スーパーポッタリアンなので、愛を込めて、さるおのハリポタツアーは、不思議な場所で、懐かしいあの人と本当の会話をしましょう。
『DH』の完全ネタバレです。コメント欄も含めて、すごーくご注意ください。(内容はすべて反転文字にしてあります。)
ハリポタ辞典のもくじはこちらです。
35:King's Cross
うつ伏せに横たわり、目を閉じたまま静けさに耳を澄ませる。
周囲には、誰もいません。
長いことたって、いや、あるいは一瞬の後、ハリーは間違いなく自分が"存在"していると感じました。だって、何かの上に横になってるこの感じ、間違いないもん。
目を開けてみます。見えるぞ。とりあえず、少なくとも目はついてます。
白い霧に包まれ、白い床の上に横になっている。床は温かくも冷たくもなく、ただそこに存在している、不思議な感じです。
ハリーは起き上がってみます。そして自分の身体を見ようとすると、そこに身体が見えました。なんかしらんけど、誰もいないからべつにええけど、裸んぼだZE!
顔を触ってみる。メガネもありません。
そのとき、何もないどこかから、耳障りな音が聞こえてきました。何かが、もぞもぞともがきながら、床を叩く小さな音です。それはとても哀れな音、静かな泣き声の混ざった、聞きたくない音でした。
素っ裸なのがなんだか恥ずかしくなりました。着るモノがあればいいのに。すると少し離れた何もない床の上に、ローブがありました。柔らかく清潔で温かいそのローブを羽織り、ハリーは立ち上がって辺りを見回します。
ここはRoRなのかな?
見上げると、巨大な半球のガラスの円天井が、はるか頭上で日の光にきらめいています。なんだか宮殿みたいなところです。
その聞きたくない哀れな音以外、何の音もしません。
明るくて、とても大きな場所。ホグワーツの大広間より大きい。そこに、ただひとり。この嫌な音を除いて。と思ったら、見えました、その音を出しているモノが。
それは、小さな裸のコドモ。生皮を剥がれ、床に丸くうずくまるようにしてベンチの下にいるコドモです。喘ぐように呼吸しています。
傷を負った瀕死の小さなコドモなのに、なんだか近寄るのが怖い。ちょっとずつ近づいてみたものの、手を伸ばすことができません。
「たすけられない」
唐突に声がしました。
はっと振り向くと、アルバス・ダンブルドアが、ミッドナイトブルーのマント姿でこちらに歩いて来ます。無傷の両腕を大きく広げています。「ハリー、すばらしい少年、勇気ある者よ。少し歩こ」不快な音から遠ざかるように、ダンブルドアは、そこにはなかった2脚の椅子へと歩きます。銀色の長い髪と髭、半月型のメガネの奥の心を貫く青い瞳、ちょっと曲がった鼻、ハリーが知っているダンブルドアです。
「死んじゃったんじゃなかったの?」
「そうだよ」
「ほんじゃ、ぼくも死んだの?」
「あぁ」ダンブルドアはとても優しく微笑んでいます。「そこが問題だ、そうだろう?けど、私はそうは思っていない」
「死んでない?」
「そのとおり」
「でも・・・」ハリーは戸惑いながら額の傷跡に触れます。あれれ、傷がないみたい。「ぼく、死んだはずなんだ。自分のこと守ろうとしなくて、やつにぼくのこと殺させたんだ」
「それですべてが違ってくる」
光りのように、炎のように、見たことがないほど充実した幸福を、ダンブルドアは身体中から発散しています。
「説明してよ」
「もうきみにはわかってるはずだ」
「ぼくはやつにぼくを殺させた」
「そうだね」
「それでぼくの中にあった彼の魂のかけらが・・・消えた?」
「それだ!彼が自分で破壊した。きみの魂は傷ひとつない、これですっかりきみ自身になったんだよ、ハリー」
「それじゃ・・・」ハリーは肩越しに、耳障りな音を出し続けるあの震える小さな生き物を見ました。
「あれは何?」
「私たちには救うことのできない何か」
「もしヴォルデモートがAKを使ったなら、なんでぼく生きてるの?今回は誰も身代わりになってくれてないのに」
「それもきみにはわかってる。よく考えて、欲望と残虐さに溺れた彼が、自分でも気づかぬうちに何をしてきたか、思い出してごらん」
考えようとするハリー、なぜか答えがすぐにわかります。「・・・ぼくの血をとった」
「それだ。彼はきみの血を使って肉体を復活させた。きみの血が彼の血管を流れている。リリーの守護がきみらふたりの中を流れているんだよ、ハリー。彼は、彼の命ときみの命を自分で結びつけてしまった」
「彼が生きている限り、ぼくも生きるってこと?でもぼく、両方とも死ななきゃならないのかと思ってた。でもこれって、同じこと言ってるのかな?」
ハリーはまたあの小さな生き物を見ます。「ほんとにたすけられない?」なんだか気になってますね。
「ハリー、きみは7つ目のホークラックスだった。作るはずではなかった、7つ目。彼の魂は不安定になりすぎていて限界だったのに、きみの両親を殺しきみも殺そうとしたら、不安定だから割れちゃった。彼はあの家に肉体だけを置いて逃げ出したつもりでいたが、それ以上のモノを置いてきてしまったんだ。彼の魂の破片は、殺すはずだったきみに、生き延びたきみの中に封印された。彼はまったく学習しない。ハウスエルフや、童話や、愛、忠誠、そして無垢、そーゆーのものを軽んじて、何も理解しない。何もだ。それらは、彼がまったく及ばないほどの強力な力を、"魔法"などが及ばない強大な力を持っているのに。彼はきみの血を使えば強くなれると思ったが、彼がリリーの犠牲と守護を生かしている。リリーの犠牲はきみらふたりの守護になった」
「はじめからわかってたの?」
「いや、推測していただけ。私の推測はけっこう当たるけど」ダンブルドアは嬉しそうに微笑んでいます。しばらく黙ってそこに座り、長い時間が経ったような、時間は経っていないような、で、あのコドモは震えながら泣き続けています。
「ぼくの杖は、なんでやつの借り物の杖(ルシウスの)をやっつけたのかな?」
「確かなことは言えないが」
「じゃ推測してよ」
ハリーの言葉に、ダンブルドアは笑いました。今のハリーは遠慮なくずけずけと命令口調ですね、トムぐらいに。
「きみとヴォルデモート卿は、まだ誰も知らない魔法の国をともに旅してきた。私も知らない前人未到の領域だから、憶測だよ。ヴォルデモート卿は復活に際して、きみとの繋がりをより強固にしてしまった。魂の一部をきみにあずけている上に、きみの血まで使ったから。もし彼が"犠牲"というもののとんでもない魔力を理解していたなら、きみの血は使わなかっただろう、触りたくもなかったはずだ。ま、それが理解できるくらいなら、彼は"ヴォルデモート卿"などにはならなかったし、殺人など犯さなかっただろうけど・・・。で、絆の深いその相手に、まずは兄弟杖で攻撃した。そしたら兄弟杖ならではのあの効果が現れた。最も恐怖を感じたのは、きみではなく彼のほうだよ、ハリー。きみは死を覚悟した、ヴォルデモート卿には決してできないことだ。きみの勇気が勝ち、きみの杖が勝った。それを杖は知っている。所有者に起きたことに、杖は共鳴する。きみの杖は、ヴォルデモート卿の力と資質を吸収し、敵として記憶したんだ。だからきみの杖はヴォルデモート卿が現れたのを認識すると、ヴォルデモート卿の力と資質で反撃するんだ。きみの杖は、今では、きみの類いまれな勇敢さとヴォルデモート卿の恐るべきスキルの両方を兼ね備えている。誰かに杖を借りたって無駄だ」
「そんなに強い杖なのに、ハーに折られちゃったよ」
「杖は"ヴォルデモート卿を"敵と見なすんだ。"ヴォルデモート卿にだけ"めっぽう強い」
ハリーは考え込みます、長い間、あるいはほんの数秒。ここでは時の流れがどうもおかしい。
「やつは先生の杖でぼくを殺した」
「"殺し損ねた"が正しい。きみにもきみが死んでないってわかるだろう?きみの苦難を過小評価するわけじゃない。大変な思いをした、それはわかっているよ」
「ところでさ、ここって気持ちいい。ここどこ?」
「私がきみに聞こうと思ってたんだ。ここはどこなの?」
ダンブルドアに聞かれるまでわかりませんでした。けど、急にわかったぞ。
「キングスクロス駅みたい。すごくキレイで、誰もいないし、列車もないけど」
「キングスクロス駅か!なるほど、きみの世界に属する場所だね」
ハリーにはどーゆー意味かわかりません。でももっと他の質問が浮かんできました。
「ですりーはろうず」
ダンブルドアの笑顔が消えます。ダンブルドアは老人ではなく、いたずらをして捕まったコドモのような表情になりました。
「許してくれるかい?真実を語らなかった私を許すことができるかい?ハリー、私はただ怖かったんだ、私が失敗したように、きみが失敗するのが。私と同じ過ちを犯してほしくなかった。いや、きみは私より良い人間だと知っていたのに。許しておくれ」
ハリーはびっくりします。だって、ダンブルドアの知的な青い目には涙がいっぱい。
「死神の秘宝、向こう見ずな人間の夢、危険で、愚か者を惹きつける。私は愚かだった。きみが知っているとおりの愚か者だ。もうきみに隠し事はない。・・・死の支配者だ、ハリー、死の支配者!私は死を克服する道を求めた。私はこれでもヴォルデモートよりマシだろうか?」
「あなたはやつなんかと違うよ!人殺しなんかしないもん。はろうずはホークラックスとは違うもん」今までぶっきらぼうな命令口調で怒っていたハリーですが、こうしてダンブルドアを目の前に、怒っているのもなんだか変だと思い始めました。
あの奇妙なコドモは泣き続けています。でも、もう振り向きません。
「グリンデルバルドも探してたの?」
ダンブルドアは頷きました。「同じ夢を見た2人の聡明で傲慢な少年たち。私たちは秘宝に夢中になったよ。彼はゴドリックズホロウに来たがった、Ignotus Peverellの墓があるからね」
「じゃ、ほんとなの?だんご三兄弟の話も?」
「もちろん。人気のない道で死神に会った、というより、あれほどの魔力を持ったモノを作ることができる天賦の才を持っただんご三兄弟はキケンな存在だった、ということだとは思うけど。・・・透明マントは、きみも知っているとおり、父から子へ、母から娘へ、Ignotusと同じくゴドリックズホロウに生まれたIgnotusの子孫へと代々受け継がれた」
「それぼくのこと?」
「そうだよ」ダンブルドアはまた少し微笑みます。「なぜあれを私があずかっていたのか疑問に思うだろうが、ジェームズが死ぬ少し前、彼は私に透明マントを見せてくれた。あのときやっと、彼が学校でこっそりいたずらばかりできたわけがわかったよ!私は、自分が見ているモノが信じられなかった。バカな夢はずっと昔にあきらめたというのに、逆らうことができなかった。よく見たくて、触ってみたくて、借りたんだ。いにしえの、なのにほころびひとつない完璧なマントだった。・・・そしてきみのパパさんは死に、私は2つ目の秘宝を手に入れた。・・・私は、自分を軽蔑している」ダンブルドアはハリーの目を見るのがやっとです。
「ぼくは軽蔑なんてしてないよ」
「軽蔑されるのがあたりまえだ。・・・きみは私の妹のことを知った。マグルたちが何をして、妹がどうなったか。私のパパさんは復讐を果たし、代償を払ってアズカバンで死んだ。私のママさんは自分の人生を捨てて妹のためにすべてを捧げた」
そして冷たく言いました。「あろうことか、私はそれに腹を立てたんだ」
ハリーの肩越しに、ダンブルドアは遠くを見やります。「私は才能に溢れていた。私は聡明だった。家から逃げ出して、輝きたかった。栄光をつかみたかった」
ダンブルドアは年老いた表情に戻っています。「でも、誤解しないでほしい。私は彼らを愛していた。ただ、自己チューだったんだ。ハリー、私の知る限りもっとも他人を尊重することのできるきみとは比べ物にならないほど、はるかに自己チューだった。私のママさんが死んで、傷ついた妹と強情な弟の面倒を見なければならなくなって、村に戻ったよ。怒り、苦々しいと思いながら。家に縛られるなんて浪費だと思ったんだ。そして・・・彼が来た」
ダンブルドアはハリーの目をまっすぐ見つめます。
「グリンデルバルト。彼の考えていることがどれほど素晴らしく思えたか、想像もつかないだろう。我々魔法使いが勝利し、マグルは従属する。グリンデルバルドと私、栄光に満ちた若き革命の指導者。もちろん私には疑念もあった。自分の良心を、すべては偉大なる善のためだと意味のない言葉でごまかした。私は、心の奥の奥のほうで、グリンデルバルトが何者かを、はたして知っていただろうか?あぁ、おそらく私は気づいていた。でも、そのことに目をつぶった。もしも計画が達成されるなら、私の夢が叶うから。・・・ほんとは、計画の中心にあったのは、死神の秘宝だったんだ。それらはどれだけ彼を魅了しただろう、私たちふたりを、どれほど虜にしただろう!権力の頂点に我々を導く無敵の杖、そして甦りの石、彼にとってそれは・・・私はそれを知らないと自分を欺き続けたが・・・彼にとって石は、Inferiの軍隊を意味した。私にとっては、両親を呼び戻し、私の肩の荷を下ろすための道具だった。あとは透明マント。私たちはふたりともマントを使わなくても自分を見えないようにするのがうまかったから、マントのことはあまり議論しなかったけど、でも私はそれを、アリアナを隠すのにちょうどいいなどと考えていた。とにかく、3つ集めることに意味があった。そーすれば、死を克服できる。本当の意味で"無敵"になれる。・・・無敵の死の支配者、グリンデルバルド&ダンブルドア!・・・一夏の狂気、一夏の残酷な夢、ただふたりの残された家族を、私は無視したんだ。・・・夏が終わり、あの弟によって現実が戻ってきた。私は、彼が私に真実を怒鳴りつけるのを聞きたくなかった。口論は大喧嘩になり、グリンデルバルトは歯止めが効かなくなった。その凶暴性に密かに気づいていたのに、知らんぷりをしていた、彼の本性。そしてアリアナは・・・ママさんが人生をなげうってすべてを捧げたあのアリアナは・・・死んで床に倒れていた」
ダンブルドアは泣き始めます。ハリーはダンブルドアの手を取り、あ、触ることができたぞ、強く握りしめます。
「グリンデルバルドは逃げた。そんな気はしていた。権力の頂点へ向かう計画と、マグルを痛めつける陰謀と、死神の秘宝への夢を手に、忽然と姿を消した。私は妹を埋葬し、この取り返しのつかない罪と重い後悔を背負って生きると決めた。・・・年月が流れ、彼の噂を聞いた。とんでもなく強力な杖を手に入れたと。その頃の私は大臣の職を何度か薦められていた。でも決してそれを受け入れなかった。権力構造の中で私が信頼されるはずがない」
「そんなことない!ファッジやスクリムジャーよりずっといい大臣になったはずじゃん!」
「そうかな。私はすでに若い頃に証明してしまった、"力"こそが私の弱点だと。権力など欲しない者が上に立つべきなんだ、真のリーダーシップを持つきみのようにね。私にはホグワーツが合っていた。良い教師にはなれたと思う」
「良いどころか、いちばんだってば」
「きみは優しい子だ、ハリー。でも私が学校で授業をやってる間に、グリンデルバルドは軍隊を組織してしまった。彼は私を怖れていると聞いたが、いやたしかにそうだったろうが、本当は私が彼を怖れていた、彼が私を怖れる以上に。死の恐怖ではない。彼の魔力でもない。私たちはほぼ互角、いや、実際は私のほうが強かったと思う。力比べではなく、私が怖れたのは真実だった。誰が妹を殺してしまったのか、もう知る術もないけど。・・・きみは私を憶病者と思うだろう。そのとおりだな。彼は私が何を怖れているかを知っていた。私は彼と会うことを拒んだ。これ以上遅らせるのはさすがに恥だと思うまで遅らせ続けた。その間に人々は死に、彼は止められない勢いだった。私はするべきことをしなければならなくなった。きみが知っているとおり、私は勝って杖を奪った」
長い沈黙の中でハリーは考えます。誰がアリアナを殺したかを、ダンブルドアは知ったのだろうか。でもそんなこと知りたくないや。ダンブルドアもきっと話したくないだろうな。ハリーにはとうとうわかりました、ダンブルドアがthe Mirror of Erisedを覗いたときに何が映るのか。なぜダンブルドアには、ハリーのことがわかったのか。もう耳障りな泣き声など気になりません。
「グリンデルバルドはヴォルデモートから杖を守ろうとしたよ」
ダンブルドアは、涙の滴が落ちた自分の膝を見つめ、頬を濡らしたまま頷きました。
「Nurmengardの独房で、彼はついに深く後悔したと聞いている。それが本当だといいね。彼には自分がしたことが恐ろしく恥ずかしいことだと理解してほしい。ヴォルデモートに嘘をついたのは、その後悔のためだろう、彼が秘宝を手に入れるのを防ごうと・・・」
「あるいはあなたのお墓が荒らされるのを防ごうと」ハリーが付け足します。
「それから長いこと経って私はうち捨てられたゴーント家から復活の石をみつけた。彼とは別の理由で、秘宝の中で私がもっとも欲したモノだ。私は片手を失った。それがホークラックスだということも、呪われているだろうということも、忘れていた。私は指輪をはめ、すぐにアリアナの気配がした。ママさんも、パパさんも来てくれた。私は彼らに謝り続けた。・・・私はそのような愚か者だ、ハリー。この人生を生きてもなお、私は学ばなかったんだ。私は秘宝を持つにふさわしくないということを、最後にまた証明してしまった。これが私なんだよ」
「家族に会いたいって思うのって、フツーじゃんか。悪いことじゃないよ」
「おそらく、秘宝を集めることができる者は100万人にひとりだ、ハリー。私は、ニワトコの杖には認められた。それを持っていることを威張らないし、その道具を殺しに用いたりしない。私はそれを欲で奪ったのではなく人々を救うために手に入れた、だから杖は私がそれを使うことを許してくれた。だが透明マントは、無駄な興味で手に入れてしまった。だから本当の持ち主であるきみに働いたようには、私には働いてくれなかった。そして石は、きみのときのように犠牲を赦すのではなく、私は平和に過ごしている彼らをいたずらに引きずり戻しただけだった。・・・私ではない。きみこそが、秘宝を持つにふさわしい」
ダンブルドアはハリーの手を優しく叩き、微笑みかけています。ハリーはもうダンブルドアのことを怒っていません。
「なんでこんなに難しくしたの?」
ダンブルドアの笑顔が震えています。
「私は、グランジャーさんがきみを少しだけ遅らせてくれると思った。きみの善良な心が、秘宝を求める情熱に支配されしまうのが怖かったんだ。私のように、ふさわしくないときにふさわしくない理由で、それらを手にしてしまうのを怖れた。正しい心で安全に手に入れてほしくてね。きみは本当の、死神の克服者。ホンモノは決してそれから逃げたりしない。ホンモノは死を受け入れ、死よりももっとつらいことはこの世にこそあると理解する」
「ヴォルデモートははろうずのこと知らないの?」
「知らないんじゃないかな?あの石の価値に気づかずホークラックスにしちゃったし。でもハリー、もし知っていたとしても、あまり興味はもたなかったかもしれない。彼も透明マントは必要ないし、黄泉の国から取り戻したい人なんているはずもない。彼は死を怖れただけだ。誰のことも愛しはしなかった」
「杖はほしがると思った?」
「きみの杖がリトルハングルトンの墓地でヴォルデモートに打ち勝ったとき、いずれあの杖を手に入れようとするだろうと思ったよ。最初彼は、きみがとんでもなく高度な魔法で自分を負かしたと思った。ところがオリバンダーを拉致ってみたら兄弟杖だと聞かされ、これですべて説明がつくと考えた。でも借り物はまたきみに負けたんだ。ヴォルデモートは、きみの杖をそれほどまでに強くするきみの資質について、きみだけが授かり自分が持たない力とは何かと自問するかわりに、最強の杖を追った。それさえ手に入れれば、ただひとつの弱点を克服できるぜ無敵だぜと信じて。かわいそうなセヴルス・・・」
「あなたの死がスネイプと一緒に計画されたなら、ほんとは彼にニワトコの杖の最後の所有者になってほしかったんじゃ?」
「そう思ったが・・・そのとおりにはならなかったね」
長い時間、ハリーとダンブルドアはそこに黙って座っていました。あの奇妙な生き物はもぞもぞ動き喘ぎ続けています。
次に起きることが、静かにゆっくりと、優しく降り積もる雪のように、ハリーの中に積もりました。
「ぼく、戻るんだよね?」
「きみ次第だよ」
「選べるの?」
「もちろん」ダンブルドアがハリーを見つめて微笑んでいます。「ここはキングスクロスなんでしょ?もしきみが戻らないと決めたら、きみは、列車に乗れる」
「どこに向かうの?」
「この先へ」
ハリーはしばらくの間黙ります。
「ヴォルデモートはニワトコの杖を手に入れたんだ」
「たしかに、ヴォルデモートは杖を"手に持ってる"」
「それでもぼくは戻るべき?」
「もし戻るなら、きみにはすべてを終わらせるチャンスがもう1度あると思うよ。確かなことは言えないけど、少なくとも私にはわかっていることがある。ハリー、彼と違って、またここに来るのは怖くないだろう」
ハリーは、生皮を剥がれ丸くなって泣き続ける裸のコドモを見ます。
「死者に情をかけるな。ハリー、生きている者にこそ慈しみを持つんだ。特に、愛なしに生きる者に。戻れば、傷つく魂を、引き裂かれる家族を、減らすことができる。そこに価値を見出すなら、今しばらくのさよならだね」
ハリーは頷きます。温かく明るく平和なこの場所を去るのは嫌だけど、また苦痛と恐怖と喪失の世界に向かうことになるけれど、森に向かうときほど難しくはありません。
ハリーは立ち上がりました。ダンブルドアも立ち上がりました。長い瞬間、互いを見つめ合います。
「最後にもうひとつだけおせーて。これは現実?それともぼくの頭の中で起きてるのかな?」
ダンブルドアがきらきらと微笑みます。その声は、大きく、力強く、耳の中で響きます。再び白い霧がすべてを覆い始めます。「もちろんきみの頭の中だよ、ハリー、でもそれがなぜ現実じゃないと言い切れる?」
【メモ】
「説明しろや」ととんでもなく失礼な命令口調のハリーさん、あんたはやっぱりトム・リドルにそっくりです。ヴォルディの"部分"が消えても、ハリーのトム癖は健在。ハリーを完全無欠にしないところが深いっすねー。
生皮を剥がれたこのかわいそうな裸のコドモ、これはヴォルディですね。限界まで損なわれた魂の姿です。
無傷の魂を持ったままのハリーは、メガネも要らないし傷跡も消えて、まっさらな状態。
ふたりの魂が、三途の川(limbo)にやってきたわけです。
さるおが泣いたのは「きみは、列車に乗れる」「どこに向かうの?」「この先へ」のところです。
さるおのイメージはホグワーツ特急、スカーレットに輝く力強い蒸気機関車です。
そっかー、列車というのはいつだって、"知らない世界に運んでくれる"乗り物なんだなぁ。『PS』でハリーは魔法使いだと知らされ、まだ知らない魔法の国に、冒険の世界に、真っ赤な汽車で第一歩を踏み出すわけです。
今度は、この世を終えたあとの、次の冒険の旅へ、列車に乗って出かける。ハリーには乗る資格があるよということです。死んでもいいんだよと言ってくれている。優しいですね。
そしてその列車はハリーをどこへ連れて行くのか?
答えはとてもシンプルに"On,"でした。さるおはこれを泣きながら、前へ進むんだと、先にある世界に行くんだと、次の冒険の舞台へ連れて行ってくれるんだ、と解釈しました。
あーん、もう、ハリポタって素晴らしい。
ダンブルドアはキングスクロス駅を"きみの世界に属する場所"(your party)だと言いました。それぞれが、"その人の世界"から旅立つわけですね。ダンブルドアはどこを通って冒険の旅に出かけたのかなぁ。
心ゆくまでさるお、もんち
2008年01月22日
さるおのハリポタツアー Harry Potter and the Deathly Hallows Chapter 34
さるおです。
スーパーポッタリアンなので、愛を込めて、さるおのハリポタツアーは、ついに真実を思い知らされてしまいましたが、やっぱ怖いよな。
『DH』の完全ネタバレです。コメント欄も含めて、すごーくご注意ください。(内容はすべて反転文字にしてあります。)
ハリポタ辞典のもくじはこちらです。
34:The Forest Again
ついに、真実を知るときがきた。
かつて、勝利のためのヒミツを学んだはずの校長室の、埃っぽいカーペットに突っ伏して横たわったままのハリーは、ついに、はじめから自分には生き残る選択肢がなかったことを知ります。彼の使命は、両手で迎える死神のもとへ、ただ静かに歩いて行くことでした。
ヴォルディの待つ森へ、杖を構えず、己を守ろうともせず、ただ歩いて行く。ヴォルディを生かし続けたてきた自分のこの命が終わると同時に、あの夜ゴドリックホロウでなされるはずだった終焉が訪れる。
Neither would live, neither could survive.
定められた運命に逆らいハリーを生かそうとするかのように、心臓がドキドキと暴れています。
死ぬのって、痛いのかな。
思えば、ハリーはこれまで生き延びてきました。なぜなのか、考えもしませんでした。ハリーの生きたいという意志は、常に死の恐怖を上回っていた、けれどもう、それも終わり。逃げる道は残されていません。ハリーを待つのは、死です。
もしプリベット通り4番地を出たあの夏の夜に死んでいたら、ヘドウィグのように一瞬で死ねたら、この真実を知らずに済んだのに。あのとき不死鳥の杖はハリーを救いました。
もし、この戦闘で失った自分が愛する誰かのために、杖の前に立ちはだかって代わりに死ねていたら、この真実を知らずに済んだのに。それを行えた両親が、今では羨ましく感じます。
知っている勇気とはまったく別の勇気、異なる種類の勇敢さ、それが必要。指先がかすかに震えています。喉も口の中もカラカラです。
ゆっくり、とてもゆっくり起き上がる。ゆっくりと、深く呼吸する。そうすれば、今はまだ生きていると感じることができるから。ぼくが今日まで生き延びてきた奇跡を、ぼくは今までなんとも思ってなかった。
ダンブルドアの裏切りは、もうどーでもよかった。そこにあったのはとても大きなプラン。ぼくがただ愚かで、気づかなかっただけ。なぜぼくに生きていてほしいのか、聞いたこともなかった、当然だって思い込んで。
今でははっきりわかります、ハリーの寿命は、ハリーがすべてのホークラックスを破壊するのにどれだけ時間がかかるかによって決まっていたのだと。
ダンブルドアはそのシゴトをハリーに引き継がせ、ハリーは従順に、ヴォルディを追い詰めているつもりが、自分の命のろうそくを削ってきたのです。なんと完全なプランだろう。なんと美しいプランだろう。多くの命を失うことなく、殺される運命の少年にキケンなシゴトをやらせる。そしてその少年の死は、不幸な損失ではなく、ヴォルディへの最後の反撃となる。
ダンブルドアにはわかっていた。たとえそれが自分の死を意味しても、ハリーは決して立ち止まらないと。
ダンブルドアにはわかっていた。ヴォルディも知っていた。誰かが自分のために死ぬなんて、ハリーには決して我慢できないと。
でも、ダンブルドア、あなたはぼくを買いかぶりすぎた。ぼくは失敗したんだ。ナギニちゃんがまだ生きている。ぼくが死んでも、まだヴォルデモートにはヘビがいる。
ぼくが死んだら、誰が続きをやるのかな。もちろん、ロンとハーに決まってる。だからダンブルドアはぼくに、きみには友達が必要だなんて言ったんだ。誰かが続きをできるように。
ロンとハーが、なぜか手の届かないほど遠くにいる気がします。別れてから、長い時間が経っているような気がします。
さよならは言わない。説明はしない。ふたりはきっとぼくを止めようとするから。
最初から、彼らと一緒にゴールすることなんてできない旅路だったのです。
モリーにもらった金時計を見る。30分が過ぎました。死ななければならない。終わらせなければならない。
心臓はドキドキと、暴れる小鳥のように鳴っています。残された時間を知り打ち急いでいるのかもしれません。
ハリーは振り返ることなく校長室を後にしました。
城は静まり返り、肖像画も空のままです。
ハリーは透明マントをかぶり、大理石の階段を降り、エントランスに向かいます。
心のどこか、心のほんの小さな一部分が、願っています。誰かぼくを見つけて、誰かぼくに行かなくてよいと言って。
ネビルがオリバー・ウッドとともに、校庭に横たわる遺体を運び込んでいます。
あ、コリン・クリービーだ。未成年なのに、きっとこっそり戻ってきたんです、ハリーと一緒に戦おうとして。小さなコリンをオリバーが担ぎ上げて歩いています。
手の甲で額を拭い、一瞬立ち止まるネビルが、まるで年老いたように見えます。
ドア越しに大広間をちらりと見ると、労り合う傷ついた人々が見えます。ハーもロンもジニーも、他のウィーズリーも、ルナもいません。もう1度だけ、みんなの姿が見たいのに。いや、このほうがいいんだ。みんなと向き合うなんてできない。
校庭に出ます。まだ暗いけど、もうすぐ明け方の4時です。
別の遺体の上にかがみこむネビルに近づき、ハリーは声をかけました。
「ネビル」
「わぁ、びっくりした、ハリー、心臓が止まっかと思ったよ!」
ハリーは、透明マントを脱ぎました。
「ひとりでどこ行くの?」
「こーゆープランなんだ。やらなきゃいけないことがあるから。聞いて、ネビル」
「ハリー!」感のいいネビル、はっとしてこう聞きます。「ヘビ男んとこに行くんじゃないよね?」
「まさか」嘘をつくハリー。「ちょっとの間姿を消すけど。・・・ネビル、ナギニちゃんって知ってるよね?」
「うん。聞いたことある」
「殺さなくちゃいけないんだ。そのことはロンとハーが知ってる。もしも彼らが・・・」
言えません。そんなこと、言えない。息が苦しい。
どれほど残酷であっても、ぼくは今ダンブルドアみたいにならなきゃ、落ち着いて、バックアップが必要なんだ、誰かが続きをやらなきゃ。ダンブルドアはホークラックスのヒミツを知る人間を3人残して死んだ。ネビルがぼくの代わりになる。そーすれば、3人残せる。
くじけそうになりながら、自分を励まし、言葉を続けます。「もしも彼らが・・・たとえば忙しくて・・・きみにチャンスがあれば・・・」
「ヘビを殺すんだね」
「うん」
「わかった」
「ありがとう、ネビル」
ハリーが歩き出そうとしたとき、ネビルが彼の手首をつかみました。
「ぼくらみんな、戦い続ける。ハリー、そうだろ?」ハリーの肩を叩いてくれました。
「うん。ぼく・・・」
もう言葉が出てきません。
ハリーは透明マントをかぶり、再び歩き出しました。少し離れたところにジニーがいます。
「だいじょぶ、心配ないよ、すぐ中に連れて行ってあげるから」
「家に帰りたい。これ以上戦いたくない!」
「わかるわ。家に帰ろう」傷を負った女の子を励ましているんですね。
大声で叫びたい衝動に押し流されそうです。ぼくがここにいるって気づいて!ぼくがこれから行くところを、知っておいて!ジニー、ぼくを止めて、引きずり戻して、ぼくを家に連れ帰ってよ。
でも、ホグワーツこそが、ハリーの"家"。ハリー、ヴォルディ、スネイプ、見捨てられた少年たちの、家。
ハリーは歩きます。苦しくても、そしてこれが最後でも、ジニーに知られないまま、横を通りすぎる。
ジニーは振り返りました。まるでハリーを感じたかのように。でもハリーは振り返らない。
銅のやかんにお湯が沸き、お茶とケーキが並び、ヒゲだらけの大きな顔がいつも迎えてくれたハグリッドの、静まり返った小屋を過ぎ、森までやってきました。
そのとき、ディメンターの一団が木々の間を飛んでいるのに気づきました。もうパトロナスを呼ぶ力はありません。身体中が震えています。
戦って、苦しんで、真実を知った今になっても、死神の待つ森へ歩い行くことは簡単ではありません。
緑の香りが、冷たい空気が、ひとつひとつの呼吸が、とても貴重に思えます。みんなは、これから何年も生きて行く。ぼくにはもう費やすべき時間がない。無理だ、森へなんて行けない。でも行かなければなりません。
長い長いゲームは終わりました。スニッチはもう飛んでいません。地上に降りる時間です。
そして突然思い出しました。
I open at the close.(私は閉じるときに開く)
今が"閉じるとき"。"終わり"を意味しているんだ。今がそのときだ。
ハリーはハグリッドのポーチからスニッチを出し、口づけしたままこう囁きます。「ぼく、死ぬことにした」
スニッチは割れました。震える手でドラコの杖をとり明かりを灯すと、中にあったのは、ひび割れた黒い石です。ゴーントの指輪の石、あのシンボルが刻まれた"The Resurrection Stone"です。
ハリーにはわかります。死者を呼び戻すんじゃない、ぼくが仲間に加わるんだ。呼んでいるのはぼくではなく、彼らなんだな。
目を閉じて、手のひらで石を3度転がします。
人の気配がします。
来てくれたんだね、ぼくが会いたい人たちが。
目を開けると、ゴーストと人間の中間ぐらいの姿で、でもちゃんと見えます、微笑んでこちらに歩いてくるみんなが。
ハリーと同じ身長で、死んだ夜の服装で、はねた黒髪にメガネがかすかに曲がっている、ジェームズ。
背が高くてハンサムで、ポケットに手を入れて大股で優美に歩き、いたずらっぽく笑う、シリウス。
若々しくて、髪が多くて、この懐かしい場所に戻ってきたのが嬉しそうな、幸せな顔のリーマス。
にっこりと笑い、長い髪を手でまとめながら、緑の瞳でハリーをしっかりとみつめるリリー。
リリーが言います。「すごく勇敢だったわ」
ジェームズが言います。「もうすぐだよ。あとほんの少し。ぼくらはきみを誇りに思う」
「痛いの?」予想もしていなかったコドモっぽい質問が、ハリーの口から出ます。
答えてくれたのはシリウスとリーマスです。「痛くも何ともない。眠るより簡単さ」「向こうも早く終わらせたがってる」
思わずハリーはこう言います。「みんな、死なないでいてほしかったのに」、特にリーマスを見つめて「コドモがいるのに。リーマス・・・ぼく・・・ぼく・・・」
「うちの子をもう見られないのは残念だけど、いつかあの子にはわかる、私がなぜ死んだのか。私はこの世界を、彼が幸せになれる世界にしようとしたんだと」
森からの風がハリーの髪を撫でます。ぼくを呼んでる。4人は何も言いません。ハリーの決断を待っています。
「そばにいてくれる?」
「最後まで」ジェームズが答えます。
「見えないよね?」
「私たちはきみの一部だ。誰にも見えないよ」シリウスが答えます。
「近くにいて」これはハリーが母親にする、最初で最後のお願いです。
ハリーは透明マントを身体に巻きつけるようにして歩き出しました。ディメンターは寄ってきません。きっと4人がパトロナスになって守ってくれているんです。
森の奥へ奥へ、ただひたすら歩く。ヴォルデモートに辿り着くことはわかっています。
ハリーの両隣を4人が並んで歩いています。彼らがそばにいる。それだけが、ハリーの勇気です。それだけが、ハリーの足を1歩ずつ動かしています。ずっとずっと奥まで。死神が待つ森の奥まで。
「誰かいるぞ」「ガキは透明マントを持ってる」
囁き声がします。
ハリーが立ち止まると、4人も立ち止まりました。
杖を構えて木の陰から飛び出してきたのはヤクスリーとドロホヴです。ハリーが見えない2人は森の奥へと歩き出しました。ハリーは跡を追います。
前方に、明かりが見える。焚き火を中央に、ある者はマスクをかぶり、ある者はフードをかぶり、DEが輪を作って座っています。巨人が2人、フェンリルは爪を噛んで、ベラ姐はもちろん、まるほいパパ・まるほいママもいます。全員がヴォルディを見つめています。
そこはかつてアラゴグがいた場所、巨大な巣が今も残っています。アラゴグのコドモたちはいません。
リリーがハリーに微笑み、ジェームズがハリーに頷きます。だいじょうぶ、そばにいるよと。
ヴォルディは立って祈るように頭を垂れ、ニワトコの杖を握っています。背後に浮かぶ球体にはナギニちゃんがいる。
「ガキの気配はありません」ヤクスリーの報告にヴォルディが顔を上げます。
「来ると思ったが」目は焚き火の炎を見つめています。
誰も何も言いません。DEたちも恐れているんだな。
ハリーは少し離れた場所に立ったまま、透明マントを脱ぎ、杖と一緒にポケットに入れました。
「思い違いか」ヴォルディが静かに言います。
ハリーは、できるかぎりの大声で言いました。「思い違いじゃないYO!」
怖れていると知られたくない。
汗で、"The Resurrection Stone"が手から滑り落ちます。一瞬、ハリーの視界の隅に4人が見え、そして消えました。
ハリーはゆっくりと明かりに近づきます。静かだったDEたちは、立ち上がって叫びながら、笑いながら、ハリーを見ています。
ヴォルディは動きません。赤い瞳が、ただハリーを凝視しています。
「ハリー!来るなー!」
その絶叫は、近くの木に縛りつけられたハグリッドでした。
「静かにしろやー」
ロウルが杖を振り、ハグリッドは黙らされました。
ベラ姐は呼吸も荒くギラギラした目でヴォルディとハリーを見ています。
メラメラと燃える焚き火の炎と球体の中を蠢くナギニちゃん以外、すべてが静止しています。
杖を出すつもりはありません。もしここからヘビを狙えるとしても、ハリーが呪文を唱えるより先に、15発の呪文が飛んでくるのはわかっています。
見つめ合う、ヴォルディとハリー。
「ハリー・ポッター。生き残った少年か」ヴォルディは小首をかしげ、やがて口元に、よろこびとは無縁の恐ろしい笑みを浮かべました。
誰も動かない。みんな待っています。すべてが、ヴォルディの次の動きを待っている。
ハリーはなぜかジニーのことを思います。ジニーの、あの炎のように激しく燃える瞳を。そしてジニーとのチューを。
ヴォルディが杖を上げました。何が起こるのかとコドモのように小首をかしげたまま。
ハリーはヴォルディの赤い瞳を見つめ返します。心の中では、ぼくが泣き出さないうちに、早くやっちゃってー、と思いながら。
ヴォルディの唇が動くのが見えました。そして緑色の閃光に包まれ、すべては終わりました。
【メモ】
やっぱり、やっぱりそーだったんだ。ハリーは死神の腕の中に歩いて行かなければならなくなった。勝つために苦難を乗り越えてきたのに、それは違うと、運命は最初から決まっていたなんて。涙出ます。
Neither would live, neither could survive.
シビルの予言では"neither can live while the other survives ..."ですね。
ハリーというホークラックスが死んで、ロンかハーかネビルがナギニちゃんを殺して、ヴォルディが残る。でももうヴォルディは"不死"ではないから、たとえ力で勝てる人が現れなくても、年とったら死ぬわけです。
でも、ほんとにそうかな。
Joが言ってました。ハリーは最後にリリーがやったことと同じことをやるんだって。ダンブルドアが言ってました。ハリーはジェームズよりもリリーに似ていると。
さるおはそれを"自己犠牲"かと思ってましたが、違います。リリーのしたことは"ハリーを守った"ということです。リリーがハリーを運命のこの日まで生かし続けた。ならばハリーにも、誰かを守れるんじゃないか。丸腰でただそこに立ち、ジニーを思い、緑色の閃光に包まれたハリー。守護をジニーに。あるいは、守護を愛する者たちに。そーゆーことじゃないかと思います。
さらに、これでハリーが死んじゃうんなら、"the Deathly Hallows"が出てきた意味がない。
透明マントは持ってます。石も手に入れた(落としちゃったけど)。そしてニワトコの杖は、さるおはハリーが持ち主だと思います。
ニワトコの杖の持ち主が代わるたび血が流れたのは、オリバンダーさんの言ったとおり、杖のせいではなく人間の愚かさのせいだと思います。だとすれば、杖の持ち主はダンブルドアからドラコへ、そしてハリーへと受け継がれているはず。
"the Deathly Hallows"を3つ集めたら死神を退けることができる。だからハリーはこのまま死んだりするはずないさ。(まだページが残ってるし)
ホグワーツは、ハリーの家。ハリー、ヴォルディ、スネイプ、見捨てられた少年たちみんなの家。これでまた号泣です。
ダンブルドアが知っていたように、ヴォルディが知っていたように、やっぱりハリーは決して立ち止まらなかった。誰かが自分のために死ぬなんて、決して我慢できなかった。素晴らしいっす。そして、死ぬのを怖がり、怯え、止めてほしいと心の中で懇願しています。素晴らしいっす。
でももう試合は終わる。ほうきから降りる時間がきた。長い、とても長いクィディッチを、戦ってきたんだなぁ。
親を知らないハリーが、甘えたことのないハリーが、17年の生涯でただ1度だけ、自分が殺されに行くと知り、天国にいる親たちに、そばいてくれと、もう、涙で字が読めねーずら。
長い指が"クモのような"手をしたヴォルディ、アラゴグのネットの下で待ちかまえてるなんて、またしてもハリポタは美しいっすね。
心ゆくまでさるお、もんち!
スーパーポッタリアンなので、愛を込めて、さるおのハリポタツアーは、ついに真実を思い知らされてしまいましたが、やっぱ怖いよな。
『DH』の完全ネタバレです。コメント欄も含めて、すごーくご注意ください。(内容はすべて反転文字にしてあります。)
ハリポタ辞典のもくじはこちらです。
34:The Forest Again
ついに、真実を知るときがきた。
かつて、勝利のためのヒミツを学んだはずの校長室の、埃っぽいカーペットに突っ伏して横たわったままのハリーは、ついに、はじめから自分には生き残る選択肢がなかったことを知ります。彼の使命は、両手で迎える死神のもとへ、ただ静かに歩いて行くことでした。
ヴォルディの待つ森へ、杖を構えず、己を守ろうともせず、ただ歩いて行く。ヴォルディを生かし続けたてきた自分のこの命が終わると同時に、あの夜ゴドリックホロウでなされるはずだった終焉が訪れる。
Neither would live, neither could survive.
定められた運命に逆らいハリーを生かそうとするかのように、心臓がドキドキと暴れています。
死ぬのって、痛いのかな。
思えば、ハリーはこれまで生き延びてきました。なぜなのか、考えもしませんでした。ハリーの生きたいという意志は、常に死の恐怖を上回っていた、けれどもう、それも終わり。逃げる道は残されていません。ハリーを待つのは、死です。
もしプリベット通り4番地を出たあの夏の夜に死んでいたら、ヘドウィグのように一瞬で死ねたら、この真実を知らずに済んだのに。あのとき不死鳥の杖はハリーを救いました。
もし、この戦闘で失った自分が愛する誰かのために、杖の前に立ちはだかって代わりに死ねていたら、この真実を知らずに済んだのに。それを行えた両親が、今では羨ましく感じます。
知っている勇気とはまったく別の勇気、異なる種類の勇敢さ、それが必要。指先がかすかに震えています。喉も口の中もカラカラです。
ゆっくり、とてもゆっくり起き上がる。ゆっくりと、深く呼吸する。そうすれば、今はまだ生きていると感じることができるから。ぼくが今日まで生き延びてきた奇跡を、ぼくは今までなんとも思ってなかった。
ダンブルドアの裏切りは、もうどーでもよかった。そこにあったのはとても大きなプラン。ぼくがただ愚かで、気づかなかっただけ。なぜぼくに生きていてほしいのか、聞いたこともなかった、当然だって思い込んで。
今でははっきりわかります、ハリーの寿命は、ハリーがすべてのホークラックスを破壊するのにどれだけ時間がかかるかによって決まっていたのだと。
ダンブルドアはそのシゴトをハリーに引き継がせ、ハリーは従順に、ヴォルディを追い詰めているつもりが、自分の命のろうそくを削ってきたのです。なんと完全なプランだろう。なんと美しいプランだろう。多くの命を失うことなく、殺される運命の少年にキケンなシゴトをやらせる。そしてその少年の死は、不幸な損失ではなく、ヴォルディへの最後の反撃となる。
ダンブルドアにはわかっていた。たとえそれが自分の死を意味しても、ハリーは決して立ち止まらないと。
ダンブルドアにはわかっていた。ヴォルディも知っていた。誰かが自分のために死ぬなんて、ハリーには決して我慢できないと。
でも、ダンブルドア、あなたはぼくを買いかぶりすぎた。ぼくは失敗したんだ。ナギニちゃんがまだ生きている。ぼくが死んでも、まだヴォルデモートにはヘビがいる。
ぼくが死んだら、誰が続きをやるのかな。もちろん、ロンとハーに決まってる。だからダンブルドアはぼくに、きみには友達が必要だなんて言ったんだ。誰かが続きをできるように。
ロンとハーが、なぜか手の届かないほど遠くにいる気がします。別れてから、長い時間が経っているような気がします。
さよならは言わない。説明はしない。ふたりはきっとぼくを止めようとするから。
最初から、彼らと一緒にゴールすることなんてできない旅路だったのです。
モリーにもらった金時計を見る。30分が過ぎました。死ななければならない。終わらせなければならない。
心臓はドキドキと、暴れる小鳥のように鳴っています。残された時間を知り打ち急いでいるのかもしれません。
ハリーは振り返ることなく校長室を後にしました。
城は静まり返り、肖像画も空のままです。
ハリーは透明マントをかぶり、大理石の階段を降り、エントランスに向かいます。
心のどこか、心のほんの小さな一部分が、願っています。誰かぼくを見つけて、誰かぼくに行かなくてよいと言って。
ネビルがオリバー・ウッドとともに、校庭に横たわる遺体を運び込んでいます。
あ、コリン・クリービーだ。未成年なのに、きっとこっそり戻ってきたんです、ハリーと一緒に戦おうとして。小さなコリンをオリバーが担ぎ上げて歩いています。
手の甲で額を拭い、一瞬立ち止まるネビルが、まるで年老いたように見えます。
ドア越しに大広間をちらりと見ると、労り合う傷ついた人々が見えます。ハーもロンもジニーも、他のウィーズリーも、ルナもいません。もう1度だけ、みんなの姿が見たいのに。いや、このほうがいいんだ。みんなと向き合うなんてできない。
校庭に出ます。まだ暗いけど、もうすぐ明け方の4時です。
別の遺体の上にかがみこむネビルに近づき、ハリーは声をかけました。
「ネビル」
「わぁ、びっくりした、ハリー、心臓が止まっかと思ったよ!」
ハリーは、透明マントを脱ぎました。
「ひとりでどこ行くの?」
「こーゆープランなんだ。やらなきゃいけないことがあるから。聞いて、ネビル」
「ハリー!」感のいいネビル、はっとしてこう聞きます。「ヘビ男んとこに行くんじゃないよね?」
「まさか」嘘をつくハリー。「ちょっとの間姿を消すけど。・・・ネビル、ナギニちゃんって知ってるよね?」
「うん。聞いたことある」
「殺さなくちゃいけないんだ。そのことはロンとハーが知ってる。もしも彼らが・・・」
言えません。そんなこと、言えない。息が苦しい。
どれほど残酷であっても、ぼくは今ダンブルドアみたいにならなきゃ、落ち着いて、バックアップが必要なんだ、誰かが続きをやらなきゃ。ダンブルドアはホークラックスのヒミツを知る人間を3人残して死んだ。ネビルがぼくの代わりになる。そーすれば、3人残せる。
くじけそうになりながら、自分を励まし、言葉を続けます。「もしも彼らが・・・たとえば忙しくて・・・きみにチャンスがあれば・・・」
「ヘビを殺すんだね」
「うん」
「わかった」
「ありがとう、ネビル」
ハリーが歩き出そうとしたとき、ネビルが彼の手首をつかみました。
「ぼくらみんな、戦い続ける。ハリー、そうだろ?」ハリーの肩を叩いてくれました。
「うん。ぼく・・・」
もう言葉が出てきません。
ハリーは透明マントをかぶり、再び歩き出しました。少し離れたところにジニーがいます。
「だいじょぶ、心配ないよ、すぐ中に連れて行ってあげるから」
「家に帰りたい。これ以上戦いたくない!」
「わかるわ。家に帰ろう」傷を負った女の子を励ましているんですね。
大声で叫びたい衝動に押し流されそうです。ぼくがここにいるって気づいて!ぼくがこれから行くところを、知っておいて!ジニー、ぼくを止めて、引きずり戻して、ぼくを家に連れ帰ってよ。
でも、ホグワーツこそが、ハリーの"家"。ハリー、ヴォルディ、スネイプ、見捨てられた少年たちの、家。
ハリーは歩きます。苦しくても、そしてこれが最後でも、ジニーに知られないまま、横を通りすぎる。
ジニーは振り返りました。まるでハリーを感じたかのように。でもハリーは振り返らない。
銅のやかんにお湯が沸き、お茶とケーキが並び、ヒゲだらけの大きな顔がいつも迎えてくれたハグリッドの、静まり返った小屋を過ぎ、森までやってきました。
そのとき、ディメンターの一団が木々の間を飛んでいるのに気づきました。もうパトロナスを呼ぶ力はありません。身体中が震えています。
戦って、苦しんで、真実を知った今になっても、死神の待つ森へ歩い行くことは簡単ではありません。
緑の香りが、冷たい空気が、ひとつひとつの呼吸が、とても貴重に思えます。みんなは、これから何年も生きて行く。ぼくにはもう費やすべき時間がない。無理だ、森へなんて行けない。でも行かなければなりません。
長い長いゲームは終わりました。スニッチはもう飛んでいません。地上に降りる時間です。
そして突然思い出しました。
I open at the close.(私は閉じるときに開く)
今が"閉じるとき"。"終わり"を意味しているんだ。今がそのときだ。
ハリーはハグリッドのポーチからスニッチを出し、口づけしたままこう囁きます。「ぼく、死ぬことにした」
スニッチは割れました。震える手でドラコの杖をとり明かりを灯すと、中にあったのは、ひび割れた黒い石です。ゴーントの指輪の石、あのシンボルが刻まれた"The Resurrection Stone"です。
ハリーにはわかります。死者を呼び戻すんじゃない、ぼくが仲間に加わるんだ。呼んでいるのはぼくではなく、彼らなんだな。
目を閉じて、手のひらで石を3度転がします。
人の気配がします。
来てくれたんだね、ぼくが会いたい人たちが。
目を開けると、ゴーストと人間の中間ぐらいの姿で、でもちゃんと見えます、微笑んでこちらに歩いてくるみんなが。
ハリーと同じ身長で、死んだ夜の服装で、はねた黒髪にメガネがかすかに曲がっている、ジェームズ。
背が高くてハンサムで、ポケットに手を入れて大股で優美に歩き、いたずらっぽく笑う、シリウス。
若々しくて、髪が多くて、この懐かしい場所に戻ってきたのが嬉しそうな、幸せな顔のリーマス。
にっこりと笑い、長い髪を手でまとめながら、緑の瞳でハリーをしっかりとみつめるリリー。
リリーが言います。「すごく勇敢だったわ」
ジェームズが言います。「もうすぐだよ。あとほんの少し。ぼくらはきみを誇りに思う」
「痛いの?」予想もしていなかったコドモっぽい質問が、ハリーの口から出ます。
答えてくれたのはシリウスとリーマスです。「痛くも何ともない。眠るより簡単さ」「向こうも早く終わらせたがってる」
思わずハリーはこう言います。「みんな、死なないでいてほしかったのに」、特にリーマスを見つめて「コドモがいるのに。リーマス・・・ぼく・・・ぼく・・・」
「うちの子をもう見られないのは残念だけど、いつかあの子にはわかる、私がなぜ死んだのか。私はこの世界を、彼が幸せになれる世界にしようとしたんだと」
森からの風がハリーの髪を撫でます。ぼくを呼んでる。4人は何も言いません。ハリーの決断を待っています。
「そばにいてくれる?」
「最後まで」ジェームズが答えます。
「見えないよね?」
「私たちはきみの一部だ。誰にも見えないよ」シリウスが答えます。
「近くにいて」これはハリーが母親にする、最初で最後のお願いです。
ハリーは透明マントを身体に巻きつけるようにして歩き出しました。ディメンターは寄ってきません。きっと4人がパトロナスになって守ってくれているんです。
森の奥へ奥へ、ただひたすら歩く。ヴォルデモートに辿り着くことはわかっています。
ハリーの両隣を4人が並んで歩いています。彼らがそばにいる。それだけが、ハリーの勇気です。それだけが、ハリーの足を1歩ずつ動かしています。ずっとずっと奥まで。死神が待つ森の奥まで。
「誰かいるぞ」「ガキは透明マントを持ってる」
囁き声がします。
ハリーが立ち止まると、4人も立ち止まりました。
杖を構えて木の陰から飛び出してきたのはヤクスリーとドロホヴです。ハリーが見えない2人は森の奥へと歩き出しました。ハリーは跡を追います。
前方に、明かりが見える。焚き火を中央に、ある者はマスクをかぶり、ある者はフードをかぶり、DEが輪を作って座っています。巨人が2人、フェンリルは爪を噛んで、ベラ姐はもちろん、まるほいパパ・まるほいママもいます。全員がヴォルディを見つめています。
そこはかつてアラゴグがいた場所、巨大な巣が今も残っています。アラゴグのコドモたちはいません。
リリーがハリーに微笑み、ジェームズがハリーに頷きます。だいじょうぶ、そばにいるよと。
ヴォルディは立って祈るように頭を垂れ、ニワトコの杖を握っています。背後に浮かぶ球体にはナギニちゃんがいる。
「ガキの気配はありません」ヤクスリーの報告にヴォルディが顔を上げます。
「来ると思ったが」目は焚き火の炎を見つめています。
誰も何も言いません。DEたちも恐れているんだな。
ハリーは少し離れた場所に立ったまま、透明マントを脱ぎ、杖と一緒にポケットに入れました。
「思い違いか」ヴォルディが静かに言います。
ハリーは、できるかぎりの大声で言いました。「思い違いじゃないYO!」
怖れていると知られたくない。
汗で、"The Resurrection Stone"が手から滑り落ちます。一瞬、ハリーの視界の隅に4人が見え、そして消えました。
ハリーはゆっくりと明かりに近づきます。静かだったDEたちは、立ち上がって叫びながら、笑いながら、ハリーを見ています。
ヴォルディは動きません。赤い瞳が、ただハリーを凝視しています。
「ハリー!来るなー!」
その絶叫は、近くの木に縛りつけられたハグリッドでした。
「静かにしろやー」
ロウルが杖を振り、ハグリッドは黙らされました。
ベラ姐は呼吸も荒くギラギラした目でヴォルディとハリーを見ています。
メラメラと燃える焚き火の炎と球体の中を蠢くナギニちゃん以外、すべてが静止しています。
杖を出すつもりはありません。もしここからヘビを狙えるとしても、ハリーが呪文を唱えるより先に、15発の呪文が飛んでくるのはわかっています。
見つめ合う、ヴォルディとハリー。
「ハリー・ポッター。生き残った少年か」ヴォルディは小首をかしげ、やがて口元に、よろこびとは無縁の恐ろしい笑みを浮かべました。
誰も動かない。みんな待っています。すべてが、ヴォルディの次の動きを待っている。
ハリーはなぜかジニーのことを思います。ジニーの、あの炎のように激しく燃える瞳を。そしてジニーとのチューを。
ヴォルディが杖を上げました。何が起こるのかとコドモのように小首をかしげたまま。
ハリーはヴォルディの赤い瞳を見つめ返します。心の中では、ぼくが泣き出さないうちに、早くやっちゃってー、と思いながら。
ヴォルディの唇が動くのが見えました。そして緑色の閃光に包まれ、すべては終わりました。
【メモ】
やっぱり、やっぱりそーだったんだ。ハリーは死神の腕の中に歩いて行かなければならなくなった。勝つために苦難を乗り越えてきたのに、それは違うと、運命は最初から決まっていたなんて。涙出ます。
Neither would live, neither could survive.
シビルの予言では"neither can live while the other survives ..."ですね。
ハリーというホークラックスが死んで、ロンかハーかネビルがナギニちゃんを殺して、ヴォルディが残る。でももうヴォルディは"不死"ではないから、たとえ力で勝てる人が現れなくても、年とったら死ぬわけです。
でも、ほんとにそうかな。
Joが言ってました。ハリーは最後にリリーがやったことと同じことをやるんだって。ダンブルドアが言ってました。ハリーはジェームズよりもリリーに似ていると。
さるおはそれを"自己犠牲"かと思ってましたが、違います。リリーのしたことは"ハリーを守った"ということです。リリーがハリーを運命のこの日まで生かし続けた。ならばハリーにも、誰かを守れるんじゃないか。丸腰でただそこに立ち、ジニーを思い、緑色の閃光に包まれたハリー。守護をジニーに。あるいは、守護を愛する者たちに。そーゆーことじゃないかと思います。
さらに、これでハリーが死んじゃうんなら、"the Deathly Hallows"が出てきた意味がない。
透明マントは持ってます。石も手に入れた(落としちゃったけど)。そしてニワトコの杖は、さるおはハリーが持ち主だと思います。
ニワトコの杖の持ち主が代わるたび血が流れたのは、オリバンダーさんの言ったとおり、杖のせいではなく人間の愚かさのせいだと思います。だとすれば、杖の持ち主はダンブルドアからドラコへ、そしてハリーへと受け継がれているはず。
"the Deathly Hallows"を3つ集めたら死神を退けることができる。だからハリーはこのまま死んだりするはずないさ。(まだページが残ってるし)
ホグワーツは、ハリーの家。ハリー、ヴォルディ、スネイプ、見捨てられた少年たちみんなの家。これでまた号泣です。
ダンブルドアが知っていたように、ヴォルディが知っていたように、やっぱりハリーは決して立ち止まらなかった。誰かが自分のために死ぬなんて、決して我慢できなかった。素晴らしいっす。そして、死ぬのを怖がり、怯え、止めてほしいと心の中で懇願しています。素晴らしいっす。
でももう試合は終わる。ほうきから降りる時間がきた。長い、とても長いクィディッチを、戦ってきたんだなぁ。
親を知らないハリーが、甘えたことのないハリーが、17年の生涯でただ1度だけ、自分が殺されに行くと知り、天国にいる親たちに、そばいてくれと、もう、涙で字が読めねーずら。
長い指が"クモのような"手をしたヴォルディ、アラゴグのネットの下で待ちかまえてるなんて、またしてもハリポタは美しいっすね。
心ゆくまでさるお、もんち!
2008年01月20日
さるおのハリポタツアー Harry Potter and the Deathly Hallows Chapter 33 (3)
さるおです。
スーパーポッタリアンなので、愛を込めて、さるおのハリポタツアーは、ついに、愛すべき究極のヒミツの、切なくも孤高の人生のヒミツの、後半です。
『DH』の完全ネタバレです。コメント欄も含めて、すごーくご注意ください。(内容はすべて反転文字にしてあります。)
ハリポタ辞典のもくじはこちらです。
[記憶10]
校長室です。何かが、まるで傷を負った動物のように、ひどい音を立てている。スネイプが椅子に崩れ落ち、それをひどく険しい表情のダンブルドアが見つめています。
「私は・・・あなたが、彼女を・・・守ってくれると思っていたのに・・・」
「彼女とジェームズは、信じるべきではない人間を信じてしまった。きみはヴォルデモート卿に、彼女を殺さないよう頼んだのではなかったの?」
瀕死の動物のように、スネイプの呼吸は乱れています。
「彼女の息子は生き延びた。彼女の瞳をそのまま受け継いで。リリー・エバンズの瞳を覚えているだろう。色も形も、覚えてるべ?」
「やめれー!」スネイプが叫びます。
「セヴルス、その感情は後悔か?」
「いっそ死んでしまいたい」
「おまえが死んでもどーにもならん」ダンブルドアは冷たく言います。「きみがリリー・エバンズを愛していたなら、心の底から愛していたなら、進むべき道ははっきりしている」
「・・・どういう意味です?」
「きみは、なぜ彼女が死んだか、いかに彼女が死んだかを知っている。決して無駄にするな。リリーの息子を守れ」
「ダークロードが死んだのに?」
「ダークロードは戻ってくる。そのとき、ハリー・ポッターはおそろしい危険にさらされる」
沈黙が校長室を満たします。やがてゆっくり口を開くスネイプ。
「わかった。わかりました。でも、このことは絶対誰にも言わないと誓ってくれ、ダンブルドア!私たちだけのヒミツにすると。でなければ、ポッターの息子など守れない!」
「誓おう、セブルス。決して誰にも話さない。これでいいか?」ダンブルドアは溜め息をつき、獰猛に見えるほどに耐え難い苦痛に満ちたスネイプの顔を見ました。
[記憶11]
スネイプがダンブルドアの前を行ったり来たりしています。
「凡才のくせに父親そっくりに傲慢で、有名人なのをよろこんで平気で規則を破り目立ちたがる・・・」
「思ったとおりの子か、セヴルス。他の先生たちは、謙虚で好感のもてる子で、才能もあるって言ってっけど。私も個人的には、魅力のあるコドモだと思うけどー」『Transfiguration Today』から顔も上げずにしゃべっていたダンブルドア、本を閉じてこう言います。「クィレル、見張っといて」
[記憶12]
ユールボールの終わったエントランス。
「それで?」とダンブルドアがスネイプに声をひそめて聞きます。
「カルカロフのヘビ印も濃くなってます。怯えて、慌ててました、ダークロードの敗走後、彼は魔法省に証言してるから。ヘビ印が熱くなったら逃げ出しちゃいますね」
「そうか」
そこへ、校庭からフラー・デラクールとロジャー・デイヴィーズがくすくす笑い合いながら後者に入ってきます。
「きみもか?」
「いいえ。私は臆病者ではない」スネイプもフラーたちを目で追います。
「そうだね。きみはイゴール・カルカロフより、はるかに勇敢だ。組み分けは早急すぎたかな」
打ちひしがれたような表情のスネイプを残してダンブルドアは歩き去って行きました。
[記憶13]
夜の校長室。王座のような椅子にぐったりと沈み込み、死にそうに弱ったダンブルドア。右手が黒く焼けてます。
スネイプはダンブルドアの右手首に杖をあて、片方の手でゴブレットに入った黄金色の薬品をダンブルドアの口に垂らしながら、もごもごと早口で呪文を唱え続けています。
ダンブルドアが目を開きました。
「なぜだ。なぜあなたはこの指輪を指にはめたのですか?呪いがかかってることくらい、わかっていたはずなのに。なぜ触ったのですか?」
石の割れたマーヴォロ・ゴーントの指輪が机の上に置いてあります。かたわらにはグリフィンドールの剣。
「私は・・・愚かだったんだよ。ひどく誘惑されてしまってね」
「いったい何に?」
ダンブルドアは答えません。
「ここに戻って来られたのが奇跡です。この指輪にかかっている呪いはとんでもなく強力だ。右手だけにとどめましたが・・・」
ダンブルドアは痛々しい真っ黒な右手を上げ、興味深いものを観察するように眺めています。
「よくやってくれたね、セヴルス。私にあとどのくらい時間があると思う?」
さらっと質問するダンブルドア。スネイプは躊躇しながらこう答えます。
「はっきりとは言えません。たぶん1年。この呪いは止められない。やがて身体中にひろがり、時を経るにつれますます強力になっていくでしょう」
ダンブルドアは微笑みます。1年生きられないかもしれないと言うのに、そんなの何でもないと言うように。
「私は運がいい。とても運がいいよ。セヴルス、きみがここにいてくれてよかった」
「もう少し早く呼んでくれたら、もっと軽くできたのに。もっと時間をあげられたのに!」
スネイプさん、悔しくてほとんど怒っています。
「この剣で呪いが破れるとでも思ったのですか?」
「うんまぁ、そんな感じー。ところでさ、ヴォルデモート卿はかわいそうなまるほい少年に私を殺させるつもりかな」
スネイプさん、ほんとはダンブルドアの右手の話がもっとしたいんですが、ダンブルドアがその話を切り上げたのがわかるので逆らいません。
「ダークロードはドラコにそんな期待はしていない。ルシウスがヘタレなのを罰しているだけです。ゆっくり行う拷問だ。失敗すればまた罰です」
「彼は死を宣告されたようなもんだな。ドラコが私の殺害に失敗したら、きみが代行?」
沈黙が流れます。
「おそらく・・・それが・・・ダークロードのプランでしょう」
「もうヴォルデモート卿は、ホグワーツにスパイはいらんの?」
「ホグワーツはやがて手に入ると思ってるから」
「もしホグワーツが落ちたなら、そのときには、ホグワーツの生徒を全力で守ってくれるよね?」
スネイプはしっかりとうなずきました。
「ほんならよかった。じゃまずは、ドラコの動きを探るんだ。怯える10代というのはキケンだから。ドラコに好かれているきみが手を貸すと、たすけてやると言えば・・・」
「ルシウスの立場を私が奪う気だとか言って、最近のドラコは私になついてないけど」
「まぁやってみてよ。あの子が心配だから。ヴォルデモート卿の仕返しからあの子を守る方法は、結局んとこひとつしかないけどなー」
「まさか、あの子に自分を殺させる気ですか?」
「違う違う。"きみが"私を殺すの」
とても長い沈黙が流れます。
「私にあなたを殺させたい?なんなら今ここで?」重く、皮肉めいた口調です。「それとも墓碑銘を考えてからにしますか?」
「えーっと、もうちょっと後にして」黒い右手を指し示し、微笑むダンブルドア。「いずれそのときは来る。ほらね、1年以内にそのときは来るよ」
「死ぬのがかまわないなら、なんでドラコじゃダメなんですか?」
「あの子の魂はまだそんなに傷ついてない。私のために引き裂きたくないんだ」
「私の魂は?ダンブルドア、私はどーなってもいいと?」
「老人が苦しみや辱めを避けるのを手伝うんだ、きみの魂が引き裂かれるかどうか、きみにだけはわかるだろう。これは私の大きな頼みごとだ。死はいずれ訪れる。"The Chudley Cannons"がリーグ最下位でシーズンを終わるのと同じくらいに確実にね。正直言えば、苦しまずに素早く死にたい。グレイバックに噛まれるのも嫌だし、食べる前に食べ物を弄ぶようなベラちゃんにいたぶられるのも嫌だ」
ダンブルドアの口調は明るく、心を射貫くその青く輝く瞳は今、スネイプを射貫いています。
再び無言でうなずくスネイプに、ダンブルドアは満足そうにお礼を言いました。
[記憶14]
たそがれどきの校庭を、ダンブルドアとスネイプが散歩中です。
「夜な夜なポッターとどこほっつき歩いてるんですか?」スネイプがぶっきらぼうに聞きます。
ダンブルドアはなんだかうっとうしいみたい。「なぜそんなこと聞くんだ、セヴルス。あの子にこれ以上の罰を与えないでくれよ、もっと大変なことになるんだから」
「父親そっくりだ」
「あの子は本当は母親に似てるんだよ。彼と話しがあるから一緒にいるんだ。情報をできるかぎり残さなくちゃ、手遅れになる前に」
「情報・・・あなたは私ではなくあの子を信頼しているのか」
「信頼とかじゃないってば。わかってるだろう、私には時間がない。あの子がなすべきことをなせるように、充分な情報を伝えとかなきゃならないんだ」
「ならなぜ私にはその情報をおしえてくれないんだ」
「私はヒミツを1つのバスケットに入れておくのが好きじゃないんだ。特にヴォルデモート卿の手が届くバスケットにはな」
「あなたの命令に従うバスケットだ!」
「きみはよくやってる。セヴルス、きみを疑ってるんじゃない」
「それでもあの子を選ぶのか。Occlumencyもついにできない、ありふれた魔力の、ダークロードと特別なつながりを持つあの子を!」
「ヴォルデモートは今ではそのつながりを怖れている。ハリーと一体化するのには懲りたはずだ。ハリーは彼の知らないものばかりを持っているから、ハリーと繋がるのは苦痛でしかないんだよ。ヴォルデモート卿の傷ついた魂は、ハリーのような魂と接触していられない。凍った鉄を舐めるようなものだ。炎に身を投じるようなものなんだ」
ダンブルドアは誰にも聞かれていないのを確かめるようにあたりを見回します。Forbidden Forestがすぐそばです。
「きみが私を殺したあと・・・」
「私にすべてを話してくれないで、この上まだ私にそれをさせるのか!」スネイプは本当に怒っています。「もう嫌だ!」
「約束したはずだ、セヴルス」ダンブルドアは溜め息をつきます。「ほんじゃとにかく今夜11時に校長室においで」
[記憶15]
「ハリーは知ってはならない。最後の瞬間まで、絶対に知ってはならない。それが必要になるまで。でなければあの子はくじけてしまう」
「彼は何をしなければならないのですか?」
「それは、ハリーと私の問題だ。いいかい、黙ってよく聞いてセヴルス。私の死後、ヴォルデモート卿がペットの命を心配をする日が訪れる」
「ナギニちゃん?」
「そうそう、そのヘビちゃん。ヴォルデモート卿がそのヘビを案じて肌身離さず魔法で守るようになれば、ハリーに知らせてもいい」
「知らせる?何を?」
ダンブルドアは目を閉じて深く息をつきます。
「ヴォルデモート卿が彼を殺そうとした夜、リリーが命を投げ出して彼を守ったとき、AKはヴォルデモート卿に跳ね返り、砕けたヴォルデモート卿の魂の破片はあの吹き飛んだ家でただひとつの生存者の魂に自らを封じ込めた。ヴォルデモート卿の一部がハリーの中で生きている。だからヘビ語が話せるし、なぜか理解できぬままにヴォルデモート卿の心とつながっている。その魂の破片がハリーの中でハリーに守られ生きているかぎり、ヴォルデモート卿は死なない」
「じゃ、あの子は・・・あの子は死なねばならないと?」
「しかもそれは、ヴォルデモート卿自身がやらなければならない」
長い沈黙のあと、スネイプが言いました。「私は・・・何年もの間・・・彼女のためだと思っていたのに。リリーのためだと」
「私たちは彼を守ってきた。教え、育て、そして彼に自分の強さを試させるために」
ダンブルドアの目はかたく閉じられたままです。
「彼らのつながりは強く大きくなった、自分自身なのではないかと怯えたに違いない。己の死と向き合うとき、彼にはきっと、それがヴォルデモートの最期を意味するとわかるだろう」
ダンブルドアは目を開けました。スネイプはショックを受けています。
「あなたは、あの子が死ぬべきときに死ねるよう、今まで生かしておいたというのか?」
「そんなにびっくりしないでよ、セヴルス。人々が死ぬのをもう充分見てきただろう?」
「昔と違う。私が見てきたのは、救えなかった者たちだ。あなたは私を利用したんだ!」スネイプは立ち上がります。
「あなたのためにスパイになり、あなたのために嘘をつき、あなたのために危険の中をくぐり抜けてきた。すべては、リリー・ポッターの息子を守るためだったのに。今になってあなたは彼を、大きくなったら殺されるブタのように育ててきたと言うのか!」
「おまえもついにあの子を本当に心配するようになったか」
「彼の心配?Expecto Patronum!」
スネイプの杖から輝く銀の雌鹿が出てきました。校長室を横切り、飛び立つように窓を駆け抜けて行きます。ダンブルドアの目は雌鹿を追い、光りが遠ざかると目には涙がいっぱいです。
「今までずっと?」
「いつだって」
[記憶16]
「ハリーが家を出る正しい日付をヴォルデモートに言いなさいね。怪しまれちゃだめ」
校長室で、スネイプがダンブルドアの肖像画と話しています。
「でもそれだとハリーが危ないから、ポリジュース薬で囮をつくるってことで、それはマンダンガス・フレッチャーに提案させるといい。もしも当日きみがチェイスに加わらなきゃならなくなったら、ちゃんとやってよ。キミにはできるだけ長くヴォルデモートの右腕でいてもらわないと、ホグワーツはカロウ兄妹のものんなっちゃうから」
[記憶17]
見慣れない居酒屋でスネイプが、妙に無表情なマンダンガスと向かい合い、低い声でぶつぶつ言ってます。
「おまえは囮を使うことをオーダーに提案する。ポリジュース薬。複数のポッター。他に方法はない。私と会ったことは忘れる。すべておまえの考えだ」
[記憶18]
夜。スネイプがほうきに乗って飛んでます。フードをかぶったDEたちが一緒です。
リーマスとハリー(ジョージ)を追いかける。
スネイプの前を飛んでいたDEの杖は、ぴたりとリーマスの背中に狙いを定めています。
"Sectumsempra!"
スネイプが叫ぶ。リーマスを狙うDEの、杖を持つ手をめがけてぶんなげた呪文は惜しくも外れ、ジョージの耳を切り落としました。
[記憶19]
シリウスの寝室で、スネイプが床に膝をついています。彼の鼻のあたまからぽたぽたと涙が落ち、リリーがシリウス宛てに書いたあの手紙を濡らしています。
グリンデルバルドと友達だったなんて。彼女、どうかしてるわ!
愛を込めて リリー
リリーのサインとリリーの愛が書き込まれた、その2枚目をポケットに入れます。そして写真を破り、ジェームズとハリーを床に捨て、リリーの笑顔だけをポケットに入れました。
[記憶20]
校長室の肖像画にフィニアス・ナイジェラスが慌てて戻ってきました。
「校長!あのコドモら、ディーンの森でキャンピングだ。あの穢れた血が・・・」
「その言葉を使うな!」
「・・・そんならあのグレンジャーが、そう話してるのが、バッグが開いたとき聞こえた」
「よかった!よくやった!」会話を聞いていたダンブルドアも肖像画から声をかけます。
「今だ、セヴルス、剣だ!いいか、あの剣は、本当に必要なとき、真に勇敢な者でなければ、手に入れることはできない。きみが背後にいると気づかれるなよ、でないとハリーを通して、おまえがこちら側だとバレちゃうからな」
「わかってます」スネイプはぶっきらぼうに答え、ダンブルドアの肖像画を壁から外すと、その裏にあるグリフィンドールの剣を手に取りました。「この剣をポッターが持つことがなぜ重要なのか、まだ私に話してくれないんですか?」
「キミには言わない。でもハリーにはわかる。セヴルス、くれぐれも気をつけろ。ジョージの件があったしな、姿を見られないように・・・」
スネイプはドアのところで振り返ります。「ご心配なく。考えてあるから」
ペンシーヴから校長室に戻り、床に横たわるハリー。なんだか、たった今スネイプがそのドアを閉めたばかりのような、そんな気がします。
【メモ】
[記憶12]には"You know, I sometimes think we Sort too soon..."というセリフがあります。「きみにはわかるね?私はときどき組み分けが早急すぎると思うことがあるんだ」という意味です。
何のことを言っているのかというと、ソーティング・セレモニーですね。人はじっくり評価すれば正しい個性を理解することができる(本当に入るべき寮に組み分けることができる)けれど、ハットはその場で短時間で生徒を割り振っていくから、早まった結論を出していることがあるかもしれない。
この場合はスネイプさんのことです。きみはスリザリンに入ったけれど、本当はグリフィンドールに入るべき人間だったと、その類いまれな勇敢さを褒めているわけですね。
[記憶14]あの子は本当は母親に似ている。
まさか、これはまさか、Joが言ってた"ハリーはリリーがやったことをやらなければならない"じゃないだろーな!
[記憶15]は悔しい気持ちになりました。いいタイミングで死なせるために、大きくなったら殺されるブタを、今まで生かしてきたなんて。ちくしょう、アルバス、あんまりだよ。おまえなんか、おまえなんか。オトナはそーやってこっそり先のことを勝手に決めて、ずるいんだ、ちくしょう。そう思った。
セヴルスはなぁ、リリーのためだって思ったんだぞ。だから、これからの人生を"生きる"ということすら投げ出して、感情を捨てて、愛情を隠して、すべてを賭けて、命以上のモノを賭けて、ふんばってきたんだぞ。今さらなんだよ。ずるいじゃねーか。そう思いました。
でもわかるんです。アルバスの見ているものは大きい。世の中というものを見ているんだ。ただそれだけなんだよなぁ。
アルバスはこれを誰にも言わずひとりで抱えてきた。大事な真実は、自分しか知らない。ヴォルディにそっくりです、比べ物にならないほどでっかいですが。本を読んでいるさるおはあなたの抱えてきたプランを知ることになったけど、でも、もしもさるおがあなたのそばにいたとして、やっぱり1度はあなたとケンカになったと思う。ひどいじゃないかって。
ま、さるおが本を読んでいるのは、あなたの住む場所から遠くはなれたマグル界なんだけどな。
なんだかとても、さるおは凡人、あんたは偉人、と思います。
[記憶16]
例の情報源、やっぱりダンブルドアだったんだなぁ。
[記憶19]はまた号泣。
命をかけて自分がハリーを守り続け、そしてその子は、自分ではなく、ダンブルドアに救いを求めた。
まただよ。おまえはそれでいいのか。おまえにはそれしかないのか。
リリーへの愛を人知れず貫き、すべてを捧げたセヴルス。リリーはシリウスに友愛のこもった手紙を書き、リリーはシリウスに微笑んだ。自分に向けたのではない、その愛と笑顔を、おまえは持って行くのか。それだけしか持たずに、おまえは死んだのか。
もう、ほんとにだれか、お願いだから、セヴルスに優しくしてあげてください。
ちなみに、手紙に出てくる"彼女"はバチルダっすね。
心ゆくまでさるお、もんち!
スーパーポッタリアンなので、愛を込めて、さるおのハリポタツアーは、ついに、愛すべき究極のヒミツの、切なくも孤高の人生のヒミツの、後半です。
『DH』の完全ネタバレです。コメント欄も含めて、すごーくご注意ください。(内容はすべて反転文字にしてあります。)
ハリポタ辞典のもくじはこちらです。
[記憶10]
校長室です。何かが、まるで傷を負った動物のように、ひどい音を立てている。スネイプが椅子に崩れ落ち、それをひどく険しい表情のダンブルドアが見つめています。
「私は・・・あなたが、彼女を・・・守ってくれると思っていたのに・・・」
「彼女とジェームズは、信じるべきではない人間を信じてしまった。きみはヴォルデモート卿に、彼女を殺さないよう頼んだのではなかったの?」
瀕死の動物のように、スネイプの呼吸は乱れています。
「彼女の息子は生き延びた。彼女の瞳をそのまま受け継いで。リリー・エバンズの瞳を覚えているだろう。色も形も、覚えてるべ?」
「やめれー!」スネイプが叫びます。
「セヴルス、その感情は後悔か?」
「いっそ死んでしまいたい」
「おまえが死んでもどーにもならん」ダンブルドアは冷たく言います。「きみがリリー・エバンズを愛していたなら、心の底から愛していたなら、進むべき道ははっきりしている」
「・・・どういう意味です?」
「きみは、なぜ彼女が死んだか、いかに彼女が死んだかを知っている。決して無駄にするな。リリーの息子を守れ」
「ダークロードが死んだのに?」
「ダークロードは戻ってくる。そのとき、ハリー・ポッターはおそろしい危険にさらされる」
沈黙が校長室を満たします。やがてゆっくり口を開くスネイプ。
「わかった。わかりました。でも、このことは絶対誰にも言わないと誓ってくれ、ダンブルドア!私たちだけのヒミツにすると。でなければ、ポッターの息子など守れない!」
「誓おう、セブルス。決して誰にも話さない。これでいいか?」ダンブルドアは溜め息をつき、獰猛に見えるほどに耐え難い苦痛に満ちたスネイプの顔を見ました。
[記憶11]
スネイプがダンブルドアの前を行ったり来たりしています。
「凡才のくせに父親そっくりに傲慢で、有名人なのをよろこんで平気で規則を破り目立ちたがる・・・」
「思ったとおりの子か、セヴルス。他の先生たちは、謙虚で好感のもてる子で、才能もあるって言ってっけど。私も個人的には、魅力のあるコドモだと思うけどー」『Transfiguration Today』から顔も上げずにしゃべっていたダンブルドア、本を閉じてこう言います。「クィレル、見張っといて」
[記憶12]
ユールボールの終わったエントランス。
「それで?」とダンブルドアがスネイプに声をひそめて聞きます。
「カルカロフのヘビ印も濃くなってます。怯えて、慌ててました、ダークロードの敗走後、彼は魔法省に証言してるから。ヘビ印が熱くなったら逃げ出しちゃいますね」
「そうか」
そこへ、校庭からフラー・デラクールとロジャー・デイヴィーズがくすくす笑い合いながら後者に入ってきます。
「きみもか?」
「いいえ。私は臆病者ではない」スネイプもフラーたちを目で追います。
「そうだね。きみはイゴール・カルカロフより、はるかに勇敢だ。組み分けは早急すぎたかな」
打ちひしがれたような表情のスネイプを残してダンブルドアは歩き去って行きました。
[記憶13]
夜の校長室。王座のような椅子にぐったりと沈み込み、死にそうに弱ったダンブルドア。右手が黒く焼けてます。
スネイプはダンブルドアの右手首に杖をあて、片方の手でゴブレットに入った黄金色の薬品をダンブルドアの口に垂らしながら、もごもごと早口で呪文を唱え続けています。
ダンブルドアが目を開きました。
「なぜだ。なぜあなたはこの指輪を指にはめたのですか?呪いがかかってることくらい、わかっていたはずなのに。なぜ触ったのですか?」
石の割れたマーヴォロ・ゴーントの指輪が机の上に置いてあります。かたわらにはグリフィンドールの剣。
「私は・・・愚かだったんだよ。ひどく誘惑されてしまってね」
「いったい何に?」
ダンブルドアは答えません。
「ここに戻って来られたのが奇跡です。この指輪にかかっている呪いはとんでもなく強力だ。右手だけにとどめましたが・・・」
ダンブルドアは痛々しい真っ黒な右手を上げ、興味深いものを観察するように眺めています。
「よくやってくれたね、セヴルス。私にあとどのくらい時間があると思う?」
さらっと質問するダンブルドア。スネイプは躊躇しながらこう答えます。
「はっきりとは言えません。たぶん1年。この呪いは止められない。やがて身体中にひろがり、時を経るにつれますます強力になっていくでしょう」
ダンブルドアは微笑みます。1年生きられないかもしれないと言うのに、そんなの何でもないと言うように。
「私は運がいい。とても運がいいよ。セヴルス、きみがここにいてくれてよかった」
「もう少し早く呼んでくれたら、もっと軽くできたのに。もっと時間をあげられたのに!」
スネイプさん、悔しくてほとんど怒っています。
「この剣で呪いが破れるとでも思ったのですか?」
「うんまぁ、そんな感じー。ところでさ、ヴォルデモート卿はかわいそうなまるほい少年に私を殺させるつもりかな」
スネイプさん、ほんとはダンブルドアの右手の話がもっとしたいんですが、ダンブルドアがその話を切り上げたのがわかるので逆らいません。
「ダークロードはドラコにそんな期待はしていない。ルシウスがヘタレなのを罰しているだけです。ゆっくり行う拷問だ。失敗すればまた罰です」
「彼は死を宣告されたようなもんだな。ドラコが私の殺害に失敗したら、きみが代行?」
沈黙が流れます。
「おそらく・・・それが・・・ダークロードのプランでしょう」
「もうヴォルデモート卿は、ホグワーツにスパイはいらんの?」
「ホグワーツはやがて手に入ると思ってるから」
「もしホグワーツが落ちたなら、そのときには、ホグワーツの生徒を全力で守ってくれるよね?」
スネイプはしっかりとうなずきました。
「ほんならよかった。じゃまずは、ドラコの動きを探るんだ。怯える10代というのはキケンだから。ドラコに好かれているきみが手を貸すと、たすけてやると言えば・・・」
「ルシウスの立場を私が奪う気だとか言って、最近のドラコは私になついてないけど」
「まぁやってみてよ。あの子が心配だから。ヴォルデモート卿の仕返しからあの子を守る方法は、結局んとこひとつしかないけどなー」
「まさか、あの子に自分を殺させる気ですか?」
「違う違う。"きみが"私を殺すの」
とても長い沈黙が流れます。
「私にあなたを殺させたい?なんなら今ここで?」重く、皮肉めいた口調です。「それとも墓碑銘を考えてからにしますか?」
「えーっと、もうちょっと後にして」黒い右手を指し示し、微笑むダンブルドア。「いずれそのときは来る。ほらね、1年以内にそのときは来るよ」
「死ぬのがかまわないなら、なんでドラコじゃダメなんですか?」
「あの子の魂はまだそんなに傷ついてない。私のために引き裂きたくないんだ」
「私の魂は?ダンブルドア、私はどーなってもいいと?」
「老人が苦しみや辱めを避けるのを手伝うんだ、きみの魂が引き裂かれるかどうか、きみにだけはわかるだろう。これは私の大きな頼みごとだ。死はいずれ訪れる。"The Chudley Cannons"がリーグ最下位でシーズンを終わるのと同じくらいに確実にね。正直言えば、苦しまずに素早く死にたい。グレイバックに噛まれるのも嫌だし、食べる前に食べ物を弄ぶようなベラちゃんにいたぶられるのも嫌だ」
ダンブルドアの口調は明るく、心を射貫くその青く輝く瞳は今、スネイプを射貫いています。
再び無言でうなずくスネイプに、ダンブルドアは満足そうにお礼を言いました。
[記憶14]
たそがれどきの校庭を、ダンブルドアとスネイプが散歩中です。
「夜な夜なポッターとどこほっつき歩いてるんですか?」スネイプがぶっきらぼうに聞きます。
ダンブルドアはなんだかうっとうしいみたい。「なぜそんなこと聞くんだ、セヴルス。あの子にこれ以上の罰を与えないでくれよ、もっと大変なことになるんだから」
「父親そっくりだ」
「あの子は本当は母親に似てるんだよ。彼と話しがあるから一緒にいるんだ。情報をできるかぎり残さなくちゃ、手遅れになる前に」
「情報・・・あなたは私ではなくあの子を信頼しているのか」
「信頼とかじゃないってば。わかってるだろう、私には時間がない。あの子がなすべきことをなせるように、充分な情報を伝えとかなきゃならないんだ」
「ならなぜ私にはその情報をおしえてくれないんだ」
「私はヒミツを1つのバスケットに入れておくのが好きじゃないんだ。特にヴォルデモート卿の手が届くバスケットにはな」
「あなたの命令に従うバスケットだ!」
「きみはよくやってる。セヴルス、きみを疑ってるんじゃない」
「それでもあの子を選ぶのか。Occlumencyもついにできない、ありふれた魔力の、ダークロードと特別なつながりを持つあの子を!」
「ヴォルデモートは今ではそのつながりを怖れている。ハリーと一体化するのには懲りたはずだ。ハリーは彼の知らないものばかりを持っているから、ハリーと繋がるのは苦痛でしかないんだよ。ヴォルデモート卿の傷ついた魂は、ハリーのような魂と接触していられない。凍った鉄を舐めるようなものだ。炎に身を投じるようなものなんだ」
ダンブルドアは誰にも聞かれていないのを確かめるようにあたりを見回します。Forbidden Forestがすぐそばです。
「きみが私を殺したあと・・・」
「私にすべてを話してくれないで、この上まだ私にそれをさせるのか!」スネイプは本当に怒っています。「もう嫌だ!」
「約束したはずだ、セヴルス」ダンブルドアは溜め息をつきます。「ほんじゃとにかく今夜11時に校長室においで」
[記憶15]
「ハリーは知ってはならない。最後の瞬間まで、絶対に知ってはならない。それが必要になるまで。でなければあの子はくじけてしまう」
「彼は何をしなければならないのですか?」
「それは、ハリーと私の問題だ。いいかい、黙ってよく聞いてセヴルス。私の死後、ヴォルデモート卿がペットの命を心配をする日が訪れる」
「ナギニちゃん?」
「そうそう、そのヘビちゃん。ヴォルデモート卿がそのヘビを案じて肌身離さず魔法で守るようになれば、ハリーに知らせてもいい」
「知らせる?何を?」
ダンブルドアは目を閉じて深く息をつきます。
「ヴォルデモート卿が彼を殺そうとした夜、リリーが命を投げ出して彼を守ったとき、AKはヴォルデモート卿に跳ね返り、砕けたヴォルデモート卿の魂の破片はあの吹き飛んだ家でただひとつの生存者の魂に自らを封じ込めた。ヴォルデモート卿の一部がハリーの中で生きている。だからヘビ語が話せるし、なぜか理解できぬままにヴォルデモート卿の心とつながっている。その魂の破片がハリーの中でハリーに守られ生きているかぎり、ヴォルデモート卿は死なない」
「じゃ、あの子は・・・あの子は死なねばならないと?」
「しかもそれは、ヴォルデモート卿自身がやらなければならない」
長い沈黙のあと、スネイプが言いました。「私は・・・何年もの間・・・彼女のためだと思っていたのに。リリーのためだと」
「私たちは彼を守ってきた。教え、育て、そして彼に自分の強さを試させるために」
ダンブルドアの目はかたく閉じられたままです。
「彼らのつながりは強く大きくなった、自分自身なのではないかと怯えたに違いない。己の死と向き合うとき、彼にはきっと、それがヴォルデモートの最期を意味するとわかるだろう」
ダンブルドアは目を開けました。スネイプはショックを受けています。
「あなたは、あの子が死ぬべきときに死ねるよう、今まで生かしておいたというのか?」
「そんなにびっくりしないでよ、セヴルス。人々が死ぬのをもう充分見てきただろう?」
「昔と違う。私が見てきたのは、救えなかった者たちだ。あなたは私を利用したんだ!」スネイプは立ち上がります。
「あなたのためにスパイになり、あなたのために嘘をつき、あなたのために危険の中をくぐり抜けてきた。すべては、リリー・ポッターの息子を守るためだったのに。今になってあなたは彼を、大きくなったら殺されるブタのように育ててきたと言うのか!」
「おまえもついにあの子を本当に心配するようになったか」
「彼の心配?Expecto Patronum!」
スネイプの杖から輝く銀の雌鹿が出てきました。校長室を横切り、飛び立つように窓を駆け抜けて行きます。ダンブルドアの目は雌鹿を追い、光りが遠ざかると目には涙がいっぱいです。
「今までずっと?」
「いつだって」
[記憶16]
「ハリーが家を出る正しい日付をヴォルデモートに言いなさいね。怪しまれちゃだめ」
校長室で、スネイプがダンブルドアの肖像画と話しています。
「でもそれだとハリーが危ないから、ポリジュース薬で囮をつくるってことで、それはマンダンガス・フレッチャーに提案させるといい。もしも当日きみがチェイスに加わらなきゃならなくなったら、ちゃんとやってよ。キミにはできるだけ長くヴォルデモートの右腕でいてもらわないと、ホグワーツはカロウ兄妹のものんなっちゃうから」
[記憶17]
見慣れない居酒屋でスネイプが、妙に無表情なマンダンガスと向かい合い、低い声でぶつぶつ言ってます。
「おまえは囮を使うことをオーダーに提案する。ポリジュース薬。複数のポッター。他に方法はない。私と会ったことは忘れる。すべておまえの考えだ」
[記憶18]
夜。スネイプがほうきに乗って飛んでます。フードをかぶったDEたちが一緒です。
リーマスとハリー(ジョージ)を追いかける。
スネイプの前を飛んでいたDEの杖は、ぴたりとリーマスの背中に狙いを定めています。
"Sectumsempra!"
スネイプが叫ぶ。リーマスを狙うDEの、杖を持つ手をめがけてぶんなげた呪文は惜しくも外れ、ジョージの耳を切り落としました。
[記憶19]
シリウスの寝室で、スネイプが床に膝をついています。彼の鼻のあたまからぽたぽたと涙が落ち、リリーがシリウス宛てに書いたあの手紙を濡らしています。
グリンデルバルドと友達だったなんて。彼女、どうかしてるわ!
愛を込めて リリー
リリーのサインとリリーの愛が書き込まれた、その2枚目をポケットに入れます。そして写真を破り、ジェームズとハリーを床に捨て、リリーの笑顔だけをポケットに入れました。
[記憶20]
校長室の肖像画にフィニアス・ナイジェラスが慌てて戻ってきました。
「校長!あのコドモら、ディーンの森でキャンピングだ。あの穢れた血が・・・」
「その言葉を使うな!」
「・・・そんならあのグレンジャーが、そう話してるのが、バッグが開いたとき聞こえた」
「よかった!よくやった!」会話を聞いていたダンブルドアも肖像画から声をかけます。
「今だ、セヴルス、剣だ!いいか、あの剣は、本当に必要なとき、真に勇敢な者でなければ、手に入れることはできない。きみが背後にいると気づかれるなよ、でないとハリーを通して、おまえがこちら側だとバレちゃうからな」
「わかってます」スネイプはぶっきらぼうに答え、ダンブルドアの肖像画を壁から外すと、その裏にあるグリフィンドールの剣を手に取りました。「この剣をポッターが持つことがなぜ重要なのか、まだ私に話してくれないんですか?」
「キミには言わない。でもハリーにはわかる。セヴルス、くれぐれも気をつけろ。ジョージの件があったしな、姿を見られないように・・・」
スネイプはドアのところで振り返ります。「ご心配なく。考えてあるから」
ペンシーヴから校長室に戻り、床に横たわるハリー。なんだか、たった今スネイプがそのドアを閉めたばかりのような、そんな気がします。
【メモ】
[記憶12]には"You know, I sometimes think we Sort too soon..."というセリフがあります。「きみにはわかるね?私はときどき組み分けが早急すぎると思うことがあるんだ」という意味です。
何のことを言っているのかというと、ソーティング・セレモニーですね。人はじっくり評価すれば正しい個性を理解することができる(本当に入るべき寮に組み分けることができる)けれど、ハットはその場で短時間で生徒を割り振っていくから、早まった結論を出していることがあるかもしれない。
この場合はスネイプさんのことです。きみはスリザリンに入ったけれど、本当はグリフィンドールに入るべき人間だったと、その類いまれな勇敢さを褒めているわけですね。
[記憶14]あの子は本当は母親に似ている。
まさか、これはまさか、Joが言ってた"ハリーはリリーがやったことをやらなければならない"じゃないだろーな!
[記憶15]は悔しい気持ちになりました。いいタイミングで死なせるために、大きくなったら殺されるブタを、今まで生かしてきたなんて。ちくしょう、アルバス、あんまりだよ。おまえなんか、おまえなんか。オトナはそーやってこっそり先のことを勝手に決めて、ずるいんだ、ちくしょう。そう思った。
セヴルスはなぁ、リリーのためだって思ったんだぞ。だから、これからの人生を"生きる"ということすら投げ出して、感情を捨てて、愛情を隠して、すべてを賭けて、命以上のモノを賭けて、ふんばってきたんだぞ。今さらなんだよ。ずるいじゃねーか。そう思いました。
でもわかるんです。アルバスの見ているものは大きい。世の中というものを見ているんだ。ただそれだけなんだよなぁ。
アルバスはこれを誰にも言わずひとりで抱えてきた。大事な真実は、自分しか知らない。ヴォルディにそっくりです、比べ物にならないほどでっかいですが。本を読んでいるさるおはあなたの抱えてきたプランを知ることになったけど、でも、もしもさるおがあなたのそばにいたとして、やっぱり1度はあなたとケンカになったと思う。ひどいじゃないかって。
ま、さるおが本を読んでいるのは、あなたの住む場所から遠くはなれたマグル界なんだけどな。
なんだかとても、さるおは凡人、あんたは偉人、と思います。
[記憶16]
例の情報源、やっぱりダンブルドアだったんだなぁ。
[記憶19]はまた号泣。
命をかけて自分がハリーを守り続け、そしてその子は、自分ではなく、ダンブルドアに救いを求めた。
まただよ。おまえはそれでいいのか。おまえにはそれしかないのか。
リリーへの愛を人知れず貫き、すべてを捧げたセヴルス。リリーはシリウスに友愛のこもった手紙を書き、リリーはシリウスに微笑んだ。自分に向けたのではない、その愛と笑顔を、おまえは持って行くのか。それだけしか持たずに、おまえは死んだのか。
もう、ほんとにだれか、お願いだから、セヴルスに優しくしてあげてください。
ちなみに、手紙に出てくる"彼女"はバチルダっすね。
心ゆくまでさるお、もんち!
2008年01月17日
さるおのハリポタツアー Harry Potter and the Deathly Hallows Chapter 33 (2)
さるおです。
スーパーポッタリアンなので、愛を込めて、さるおのハリポタツアーは、ついに、愛すべき究極のヒミツの、切なくも孤高の人生のヒミツの、前半です。
『DH』の完全ネタバレです。コメント欄も含めて、すごーくご注意ください。(内容はすべて反転文字にしてあります。)
ハリポタ辞典のもくじはこちらです。
[記憶1]
日差しの中、地面が温かい。
少女が2人、人気のない公園のブランコで遊んでいます。
それを、茂みに隠れるようにして9歳か10歳くらいの痩せた少年がじっと見つめている。長い黒髪、丈の短すぎるズボン、スモックみたいなシャツ、そしてお下がりのような大きすぎるヨレヨレのコートを着ています。
2人の少女の一方が、高く高くブランコをこいでいる。
「やめれってば!リリー!」
リリーと呼ばれた少女は、高く揺れるブランコから空に舞いあがり、不自然なほど遠くまで飛んで、不自然なほど軽やかに着地しました。
「ママからそーゆーのしちゃだめって言われてんじゃん!」
ペチュニアは腰に手をあてて立ち、妹をたしなめています。
「あたし平気だもん。チュニー、それより見て見てー、あたしこーゆーのもできるー」
リリーは、セヴルス少年が隠れている茂みに近づき、落ちた花を拾いあげて手のひらに乗せます。その花は、リリーの手の上で開いたり閉じたり、開いたり閉じたり。
ペチュニアも思わず見とれます。「それ、どーやるの?」
「そんなのわかってんじゃん」これは思わず少女たちの前に飛び出したセヴルス少年です。
ペチュニアは驚いて後ずさり。リリーは動かず少年を見つめています。
出てこなきゃよかったな。少し後悔しているような表情で、セヴルス少年は赤くなってます。
「わかってるってなにが?」
セヴルス少年はブランコの近くに佇むペチュニアをちらりと見ると、声をひそめてリリーに言いました。「キミがなんでそーゆーのできるか、ぼくわかる。キミ、魔女だもん」
ところが、これを聞いたリリーは「そんなこといきなり言うなんて失礼ね!」と怒っちゃいました。
「ちがうんだ!」慌てて取り繕おうとするセヴルス少年は大きすぎるコートをはためかせて少女たちを追おうとします。後のスネイプ同様、このころからまるでコウモリみたい。
少女たちは、ここなら安全だというようにブランコの手すりまで戻ると、もう一度少年と向き合いました。
「キミは魔女なんだ。ずっと見てたもん。ほんとに魔女なんだよ。でも変じゃない。ぼくのママも魔女だし、ぼくも魔法使いだもん」
「魔女だって!」冷たく笑うペチュニア。「あんた誰だか知ってる。スネイプさんちの子でしょ!川の近くのスピナーズエンドに住んでる子よ。なんで私たちのことコソコソ嗅ぎ回してんのよ?」
「嗅ぎ回ってなんかいない!っちゅーか、少なくともキミに用はない、だって、マグルだから」
ペチュニアには少年の使う言葉がわかりません。「行こう、リリー。おうちに帰ろう!」
リリーはすぐに姉を追って去ってしまいました。
残されたセヴルス少年、とても残念そうな苦々しい表情をしています。
[記憶2]
キラキラと日差しを跳ね返す川のほとりの木かげに、セヴルス少年とリリーが座っています。セヴルス少年はもうコートを着ていないけれど、スモックが相変わらずちぐはぐな感じです。
「学校の外で魔法使ったら、魔法省から処罰があるんだ」
「えー、でもあたしもう使っちゃってるよ」
「ぼくらはまだいいの、杖持ってなくて、コドモだから。でも11歳になったらちゃんと教わるようになって、そしたら外では注意しないといけないんだ」
しばらくの沈黙。リリーは小枝を拾い、振ってみます。杖のつもりね。
「ほんとだよね?ふざけてるんじゃないよね?ペチュニアは、あなたが私にウソついてるって。ホグワーツなんかないって。でも、ほんとでしょ?」
「ほんとだよ、ぼくらにとっては。ぼくらんとこには手紙が来る」
「それって、フクロウが運んでくるの?」
「普通はね。でもマグル生まれだとおうちの人がびっくりするからさ、誰かが説明に行くんだよ」
「マグル生まれって、他の人とどこかちがうかな?」
セヴルス少年は躊躇します。木かげの緑の中で、黒い瞳が赤毛の少女をうっとりと見つめている。
「ちがいなんてないよ」
「ほんならよかったー」
「キミさ、もうたくさん魔法できるよね。ぼく見てた。ずっと見てた・・・」セヴルス少年の声はだんだん小さくなりました。
安心したリリーは落ち葉の上に寝転がり、木々を見上げています。
「おうちはどう?」
「べつに」
「もう言い争いとかしてない?」
「それは変わってないけど。でももういいんだ。もうすぐ出て行くんだから」
「パパさんは魔法とか嫌いのなの?」
「うん」
「ねぇ、セヴ」
「なぁに?」あ、名前呼んでもらってちょっと嬉しそう。
「ディメンターのこともう1度話して」
「なんでそんなこと知りたいの?」
「もし学校の外で魔法使っちゃったら・・・」
「そのくらいじゃディメンターは来ないよ!もっと悪いやつがいるアズカバンっていう刑務所を見張ってるんだ」
そのとき背後に人の気配。振り向くと、木々に隠れてペチュニアがふたりを見ています。
「チュニー!」リリーは嬉しそうな声で、「嗅ぎ回ってるのはそっちだろ!」セヴルス少年は立ち上がって怒ります。
慌てたペチュニアはごまかそうと必死です。「そ、その服、ちょっと変。ママさんのブラウス着てんの?」
パキッ
頭上の小枝が折れ、ペチュニアの肩に当たりました。
ペチュニアは突然泣き出し、走り去って行きます。
「あなたがやったのね!」
「ち、ちがうよ・・・」
「あなたがお姉ちゃんをいじめたのね!」
「ちがうってば!」
リリーは燃えるような目でセヴルス少年を睨み、ペチュニアを追って走って行きます。
残されたセヴルス少年、混乱して、みじめな顔をしています。
[記憶3]
9と3/4番プラットフォーム。血色が悪く不機嫌そうな痩せた女性の隣に、居心地悪そうなセヴルス少年が立っています。セヴルス少年は、少し離れたところで両親と距離を置いて話している姉妹を見つめています。リリーは嫌がる姉の手をとり何か懸命に訴えかけているようです。
「ごめん、チュニー、ほんとにごめん。でも聞いて。着いたらすぐ、あたしダンブルドア先生のところに行く。考え直してもらえるように、説得するから!」
「私は行きたくないの!ばかげた学校に私が行きたがってるって、勝手に思わないで!」
ペチュニアの目はプラットフォームを見回し、飼い主に抱かれた猫、カゴの中のフクロウ、そして深紅の蒸気機関車とそこに荷物を運び込んでいるコドモたちを見渡します。
「私が化け物になりたがってると思ってるの?」
リリーの目に涙が溢れます。「あたし、化け物じゃないもん。そんなこと言うなんてひどい」
「だって、そーゆー場所に行くんでしょ。あなたもスネイプさんちの子も、怪物のための特別な学校に行く。怪物だから。正常な人間からは離れて暮らすのよ」
リリーはちらりと両親を見ます。物珍しそうにきょろきょろして楽しそう。
リリーは低い声で姉に厳しくこう言います。
「おねーちゃん、校長先生に入学したいってお願いの手紙を書いたときはそんな学校だって思ってなかったでしょ」
「お願い?私、お願いなんかしてない!」
「校長先生からの返事、見たんだもん。ちゃんとした親切な手紙だったのに」
「見た?・・・人の手紙を勝手に見るなんて、あんた最低。よくそんなことできるわね」
ちらりとセヴルス少年を一瞥するリリーを、ペチュニアは見逃しません。
「あの子ね!あんたとあの子とふたりして、私のこと嗅ぎ回ってたのね!」
「そんなんじゃない。セヴルスが封筒見て、マグルがホグワーツと手紙のやりとりできるなんてすごいねって、ただそれだけよ。マグルの郵便局に魔法使いがこっそり忍び込んで働いてて、そーゆーの届けたりするのかもって・・・」リリーの口調は少し言い訳っぽくなりました。
「そのとおり!あんたたちはどこにでも遠慮なくこっそり忍び込むのよ!」そして妹に言い捨てました。「化け物!」
[記憶4]
ホグワーツ特急は徐々に都会を離れます。セヴルス少年は着替えが早い、さっきまで着ていた"マグルの服"がちぐはぐなことに気づいているんですね。セヴルス少年は、騒々しい男子ばかりの個室のいちばん窓際にぽつんとリリーが座っているのを見つけ、その向かい側の空いた席に座ります。
「話したくないの」
「なんで?」
「チュニーが私のこと憎んでる。あたしたちがダンブルドアからの手紙を見たから」
「だから?」
リリーはセヴルス少年を睨みます。
「私のおねーちゃんなのに!」
「それでも行くんだ!ぼくら、ホグワーツに行くんだよ!」
リリーはうなずき、涙を拭いて少し微笑みます。
「スリザリンに入れるといいね」
ところが、今までぜんぜんセヴルスとリリーに興味を示してなかった"騒々しい男子”のひとりがこれを聞き逃しませんでした。
「スリザリン?」黒髪のジェームズ少年です。
「誰がスリザリンに入りたいって?ぼくだったらいやだよ、そうだろ?」
ジェームズが話しかけた相手はにこりともせずにこう答えます。「うちみんなスリザリンなんだけどー」
「まじで?でもキミはだいじょぶそう」
シリウス少年はにやりと笑います。「そしたらうちの伝統はぼくで終わりだな。選べるとしたらどこに入りたい?」
「グリフィンドール!ゆうきあるものがすまうりょう!パパもそうだったもん」
今度はセヴルス少年がこれを鼻で笑う番です。
「なんだよー」振り向くジェームズ。
「べつに」冷笑するセヴルス。「頭脳より肉体派ならぴったりなんじゃん?」
割って入ったのはシリウスです。「きみはどこに入りたいの?どこにも当
スーパーポッタリアンなので、愛を込めて、さるおのハリポタツアーは、ついに、愛すべき究極のヒミツの、切なくも孤高の人生のヒミツの、前半です。
『DH』の完全ネタバレです。コメント欄も含めて、すごーくご注意ください。(内容はすべて反転文字にしてあります。)
ハリポタ辞典のもくじはこちらです。
[記憶1]
日差しの中、地面が温かい。
少女が2人、人気のない公園のブランコで遊んでいます。
それを、茂みに隠れるようにして9歳か10歳くらいの痩せた少年がじっと見つめている。長い黒髪、丈の短すぎるズボン、スモックみたいなシャツ、そしてお下がりのような大きすぎるヨレヨレのコートを着ています。
2人の少女の一方が、高く高くブランコをこいでいる。
「やめれってば!リリー!」
リリーと呼ばれた少女は、高く揺れるブランコから空に舞いあがり、不自然なほど遠くまで飛んで、不自然なほど軽やかに着地しました。
「ママからそーゆーのしちゃだめって言われてんじゃん!」
ペチュニアは腰に手をあてて立ち、妹をたしなめています。
「あたし平気だもん。チュニー、それより見て見てー、あたしこーゆーのもできるー」
リリーは、セヴルス少年が隠れている茂みに近づき、落ちた花を拾いあげて手のひらに乗せます。その花は、リリーの手の上で開いたり閉じたり、開いたり閉じたり。
ペチュニアも思わず見とれます。「それ、どーやるの?」
「そんなのわかってんじゃん」これは思わず少女たちの前に飛び出したセヴルス少年です。
ペチュニアは驚いて後ずさり。リリーは動かず少年を見つめています。
出てこなきゃよかったな。少し後悔しているような表情で、セヴルス少年は赤くなってます。
「わかってるってなにが?」
セヴルス少年はブランコの近くに佇むペチュニアをちらりと見ると、声をひそめてリリーに言いました。「キミがなんでそーゆーのできるか、ぼくわかる。キミ、魔女だもん」
ところが、これを聞いたリリーは「そんなこといきなり言うなんて失礼ね!」と怒っちゃいました。
「ちがうんだ!」慌てて取り繕おうとするセヴルス少年は大きすぎるコートをはためかせて少女たちを追おうとします。後のスネイプ同様、このころからまるでコウモリみたい。
少女たちは、ここなら安全だというようにブランコの手すりまで戻ると、もう一度少年と向き合いました。
「キミは魔女なんだ。ずっと見てたもん。ほんとに魔女なんだよ。でも変じゃない。ぼくのママも魔女だし、ぼくも魔法使いだもん」
「魔女だって!」冷たく笑うペチュニア。「あんた誰だか知ってる。スネイプさんちの子でしょ!川の近くのスピナーズエンドに住んでる子よ。なんで私たちのことコソコソ嗅ぎ回してんのよ?」
「嗅ぎ回ってなんかいない!っちゅーか、少なくともキミに用はない、だって、マグルだから」
ペチュニアには少年の使う言葉がわかりません。「行こう、リリー。おうちに帰ろう!」
リリーはすぐに姉を追って去ってしまいました。
残されたセヴルス少年、とても残念そうな苦々しい表情をしています。
[記憶2]
キラキラと日差しを跳ね返す川のほとりの木かげに、セヴルス少年とリリーが座っています。セヴルス少年はもうコートを着ていないけれど、スモックが相変わらずちぐはぐな感じです。
「学校の外で魔法使ったら、魔法省から処罰があるんだ」
「えー、でもあたしもう使っちゃってるよ」
「ぼくらはまだいいの、杖持ってなくて、コドモだから。でも11歳になったらちゃんと教わるようになって、そしたら外では注意しないといけないんだ」
しばらくの沈黙。リリーは小枝を拾い、振ってみます。杖のつもりね。
「ほんとだよね?ふざけてるんじゃないよね?ペチュニアは、あなたが私にウソついてるって。ホグワーツなんかないって。でも、ほんとでしょ?」
「ほんとだよ、ぼくらにとっては。ぼくらんとこには手紙が来る」
「それって、フクロウが運んでくるの?」
「普通はね。でもマグル生まれだとおうちの人がびっくりするからさ、誰かが説明に行くんだよ」
「マグル生まれって、他の人とどこかちがうかな?」
セヴルス少年は躊躇します。木かげの緑の中で、黒い瞳が赤毛の少女をうっとりと見つめている。
「ちがいなんてないよ」
「ほんならよかったー」
「キミさ、もうたくさん魔法できるよね。ぼく見てた。ずっと見てた・・・」セヴルス少年の声はだんだん小さくなりました。
安心したリリーは落ち葉の上に寝転がり、木々を見上げています。
「おうちはどう?」
「べつに」
「もう言い争いとかしてない?」
「それは変わってないけど。でももういいんだ。もうすぐ出て行くんだから」
「パパさんは魔法とか嫌いのなの?」
「うん」
「ねぇ、セヴ」
「なぁに?」あ、名前呼んでもらってちょっと嬉しそう。
「ディメンターのこともう1度話して」
「なんでそんなこと知りたいの?」
「もし学校の外で魔法使っちゃったら・・・」
「そのくらいじゃディメンターは来ないよ!もっと悪いやつがいるアズカバンっていう刑務所を見張ってるんだ」
そのとき背後に人の気配。振り向くと、木々に隠れてペチュニアがふたりを見ています。
「チュニー!」リリーは嬉しそうな声で、「嗅ぎ回ってるのはそっちだろ!」セヴルス少年は立ち上がって怒ります。
慌てたペチュニアはごまかそうと必死です。「そ、その服、ちょっと変。ママさんのブラウス着てんの?」
パキッ
頭上の小枝が折れ、ペチュニアの肩に当たりました。
ペチュニアは突然泣き出し、走り去って行きます。
「あなたがやったのね!」
「ち、ちがうよ・・・」
「あなたがお姉ちゃんをいじめたのね!」
「ちがうってば!」
リリーは燃えるような目でセヴルス少年を睨み、ペチュニアを追って走って行きます。
残されたセヴルス少年、混乱して、みじめな顔をしています。
[記憶3]
9と3/4番プラットフォーム。血色が悪く不機嫌そうな痩せた女性の隣に、居心地悪そうなセヴルス少年が立っています。セヴルス少年は、少し離れたところで両親と距離を置いて話している姉妹を見つめています。リリーは嫌がる姉の手をとり何か懸命に訴えかけているようです。
「ごめん、チュニー、ほんとにごめん。でも聞いて。着いたらすぐ、あたしダンブルドア先生のところに行く。考え直してもらえるように、説得するから!」
「私は行きたくないの!ばかげた学校に私が行きたがってるって、勝手に思わないで!」
ペチュニアの目はプラットフォームを見回し、飼い主に抱かれた猫、カゴの中のフクロウ、そして深紅の蒸気機関車とそこに荷物を運び込んでいるコドモたちを見渡します。
「私が化け物になりたがってると思ってるの?」
リリーの目に涙が溢れます。「あたし、化け物じゃないもん。そんなこと言うなんてひどい」
「だって、そーゆー場所に行くんでしょ。あなたもスネイプさんちの子も、怪物のための特別な学校に行く。怪物だから。正常な人間からは離れて暮らすのよ」
リリーはちらりと両親を見ます。物珍しそうにきょろきょろして楽しそう。
リリーは低い声で姉に厳しくこう言います。
「おねーちゃん、校長先生に入学したいってお願いの手紙を書いたときはそんな学校だって思ってなかったでしょ」
「お願い?私、お願いなんかしてない!」
「校長先生からの返事、見たんだもん。ちゃんとした親切な手紙だったのに」
「見た?・・・人の手紙を勝手に見るなんて、あんた最低。よくそんなことできるわね」
ちらりとセヴルス少年を一瞥するリリーを、ペチュニアは見逃しません。
「あの子ね!あんたとあの子とふたりして、私のこと嗅ぎ回ってたのね!」
「そんなんじゃない。セヴルスが封筒見て、マグルがホグワーツと手紙のやりとりできるなんてすごいねって、ただそれだけよ。マグルの郵便局に魔法使いがこっそり忍び込んで働いてて、そーゆーの届けたりするのかもって・・・」リリーの口調は少し言い訳っぽくなりました。
「そのとおり!あんたたちはどこにでも遠慮なくこっそり忍び込むのよ!」そして妹に言い捨てました。「化け物!」
[記憶4]
ホグワーツ特急は徐々に都会を離れます。セヴルス少年は着替えが早い、さっきまで着ていた"マグルの服"がちぐはぐなことに気づいているんですね。セヴルス少年は、騒々しい男子ばかりの個室のいちばん窓際にぽつんとリリーが座っているのを見つけ、その向かい側の空いた席に座ります。
「話したくないの」
「なんで?」
「チュニーが私のこと憎んでる。あたしたちがダンブルドアからの手紙を見たから」
「だから?」
リリーはセヴルス少年を睨みます。
「私のおねーちゃんなのに!」
「それでも行くんだ!ぼくら、ホグワーツに行くんだよ!」
リリーはうなずき、涙を拭いて少し微笑みます。
「スリザリンに入れるといいね」
ところが、今までぜんぜんセヴルスとリリーに興味を示してなかった"騒々しい男子”のひとりがこれを聞き逃しませんでした。
「スリザリン?」黒髪のジェームズ少年です。
「誰がスリザリンに入りたいって?ぼくだったらいやだよ、そうだろ?」
ジェームズが話しかけた相手はにこりともせずにこう答えます。「うちみんなスリザリンなんだけどー」
「まじで?でもキミはだいじょぶそう」
シリウス少年はにやりと笑います。「そしたらうちの伝統はぼくで終わりだな。選べるとしたらどこに入りたい?」
「グリフィンドール!ゆうきあるものがすまうりょう!パパもそうだったもん」
今度はセヴルス少年がこれを鼻で笑う番です。
「なんだよー」振り向くジェームズ。
「べつに」冷笑するセヴルス。「頭脳より肉体派ならぴったりなんじゃん?」
割って入ったのはシリウスです。「きみはどこに入りたいの?どこにも当