2007年12月18日

さるおのハリポタツアー Harry Potter and the Deathly Hallows Chapter 28

さるおです。
スーパーポッタリアンなので、愛を込めて、さるおのハリポタツアーは、哀しい過去を胸にきざみ、人の心を射貫く青く燃える瞳で本を読みながらクライマックスへ向かって突き進んで行きますよ。
『DH』の完全ネタバレです。コメント欄も含めて、すごーくご注意ください。
ハリポタ辞典のもくじはこちらです。

28:The Missing Mirror

透明マントをかぶって、ぼかん!とホグスミードに到着。見慣れた商店街、ホグワーツ城へと続く道・・・The Three Broomsticksには明かりが灯っています。1年前、ヨボヨボの校長先生を支えながら必死で辿り着いた場所もちょうどこのあたりだったなぁ。と思ったのもつかの間、The Three Broomsticksのドアがばーんと開き、10数人のDEが杖をかまえて飛び出してきた。見えないトリオをきょろきょろと捜しています。思わず杖をかまえるものの、敵が多すぎる、今魔法を使ったら居場所を知られるだけだ。
"Accio Cloak!"
DEの1人が大声で叫びます。これは効かない。ルナパパが言ったとおり、本物の透明マントにはどんな魔法も効きません。でもやつらには、ハリーが透明マントをかぶってここにいることがわかってるわけですね。
「ガキは近くにいるぞ。手分けして捜せー!」
6人がこちらに走ってくる。トリオは慌てて近くの路地に後退します。「やつら、待ち伏せてたんだ!ぼくらが来たらすぐわかるように、魔法をかけてたんだよ!罠に誘い込んで逃がさない気だ!」ひそひそ声のトリオです。
「ポッターめ、いるのはわかってるぞ!逃げ場はない!見つけてやるぅーっ!」
「ディメンターに捜させるか!」
「ヘビ男様は生け捕り希望じゃね?」
「ヘビ男様がほしがってるのはポッターの命。ディメンターはポッターの魂を持ってくだけさ」
「そうだそうだ」
「んだべんだべ」
ということで相談がまとまるや否やディメンターを解放しました。
まずーい!ディメンターにはめっぽう弱いハリーさん、パトロナスを呼ぶ以外に道はないわけですが、それじゃ居場所がばれちゃう。
トリオは瞬間移動を試します。ところが・・・できないじゃんか!どうやらDEのみなさんは、ホグスミードにプロテクションをかけたんですね。
音を立てないようにじっと縮こまってみたけれど、ディメンターには通用しません。絶望感と冷気が身体を満たします。トリオはたくさんのディメンターに取り囲まれてしまいました。
ええい、ままよ。"Expecto Patronum!"
銀の牡鹿が出てきました。ディメンターが散って行く。だけど。
「牡鹿のパトロナスだ!ポッターみーっけ!」
DEたちが足音を響かせて走ってくる。ひゃー。
そのときです、路地に面したドアが開き、「ポッター、中に入れ!急げ!」と荒っぽく呼ぶ声がします。
迷っている時間はありません。誰だか知らないけれど、いてまえー。
「2階に上がれ!マントは脱ぐなよ。音も立てるな!」
背の高いその人物は代わりに通りに出ると、後ろ手にドアを閉めました。

火の灯ったキャンドルが1本、なんとここはうす汚い"Hog's Head Inn"です。たすけてくれたの、ここのバーテンダーのおじいさんだ!
トリオは奥へと進み、言われるがままに慌てて階段を上がります。小さな暖炉と、うつろな表情のブロンドの女の子が描かれた大きな油絵のある、擦り切れたカーペットの小部屋に身を潜めると、窓の外の通りから怒鳴り合う声が聞こえてくる。
「だからなんだ!だからどーした!おまえらがホグスミードにディメンターなんか連れて来るからじゃねぇか!パトロナスで追い返したぞ、文句あっか!ふざけんなこら!」
「じーさんのパトロナスじゃねーだろ!牡鹿だったぞ!ポッターのだ!」
「牡鹿!牡鹿だと!おめーはバカか!これのどこが牡鹿なんだ!Expecto Patronum!」
バーテンダーのおじいさんの杖からパトロナスが出現します。とても大きいパトロナスです。頭を下げて、ぽくぽくと歩いてっちゃいました。
「違う!さっき見たのはこれじゃない!」
「ホンモノのバカかおめーは!鹿じゃねぇ。ヤギだ!」おじいさんは強気です。
「夜間外出禁止令が破られたんだぞ。じーさんも音を聞いただろ。誰かが通りに現れた証拠だ!」
「おまえらの勝手な夜間外出禁止令なんか関係ねぇんだ!ネコを外に出してやらなきゃなんねーからな!文句あっかこら!」
「"Caterwauling Charm"(警報)を鳴らしたのじーさんか!」
「だったら、なんだ!アズカバン行きか?じぶんちの玄関から鼻先を出した罪で殺されるんか?あん?やりたきゃ、やれや!勝手にしろい!だがな、"じぶんちの玄関から顔を出した罪のじーさん"のために、腕のちっこいヘビマークなんか押さねぇほうが身のためだ。じーさんとネコちゃんのために呼び出されるのを、彼は気に入らないだろうからなっ!けっ!」
うはー。じーさん強ぇ。DEに囲まれても怯むことなく、"口論"で圧勝。
「おぼえてやがれー」「今日はこのへんで勘弁してやるー」「今度やったら承知しねーぞ」などなど、捨て台詞を残してDEの一団は去って行きましたとさ。

バーテンダーのおじいさんが2階に上がってきます。ハリーは女の子の肖像画が気になり始めています。おじいさんは部屋に入ってくるなり言いました。「おまえらまったくー、何しにこんなとこに来た?」
まずは救ってくれたことにお礼を言いながら、おじいさんに近づくハリー。おじいさんはメガネをかけています。汚れたレンズの向こうには、人の心を射貫くような、青く輝く瞳。ついに登場、ダンブルドア
「ぼくが鏡で見てたのは、あなたの瞳だったんだ。あなたがドビーを送ってくれた」
見つめ合うハリーとおじいさん。
おじいさんはドビーがベラ姐に殺されたと聞くと、「あのエルフは好きだった」と残念がります。

さて、ここでアバフォースはいろんなことを話してくれますね。
"もう片方の鏡"はDung(マンダンガス・フレッチャー)から1年ほど前に買った。アルバスは、その鏡が何なのかを自分に話した。それ以来、鏡を使ってきみを見守っていたと。
ここでロンは「雌鹿!アバフォースさんのなの?」と聞きますが、「ぼうず、あったま悪いなぁ。さっきのDEと変わらんな。ヤギだっちゅーの」と指摘され、「えっと、えっと、おなか減って頭が回らない」と可愛い言い訳を(笑)。アバフォースはパンやらチーズやら蜂蜜酒やらをかわいそうなコドモたちに食わせてくれるわけです。ぶっきらぼうな人ですが、至れり尽くせり。
「おまえらをここから無事に脱出させる方法を考えないとな。村を出たら、山に行け。そしたら瞬間移動が使える。その前にハグリッドに会えるかもよ。Grawpと一緒に洞窟に隠れてっから」帰り道の心配もしてくれて、まさにぶっきらぼうでも至れり尽くせり。
「ぼくらは逃げない。ホグワーツに行くんだ」
「バカ言うな、ぼうず」
「行かなきゃなんないの。時間がないんだ。ダンブルドアが、あなたのお兄さんが、ぼくらに・・・」
コドモの訴えを遮るアバフォースさん。
「兄はあらゆるものをほしがった。偉そうなプランを実行に移すそのたびに、人々は傷ついた。逃げろ、ポッター。国を出ろ。兄のことは忘れるんだ。兄の"どえらいプラン"などほうっておけ。借りなんてないんだぞ」
「わかってないよ・・・」
「わかってない?私が兄を知らないとでも?おまえより、兄のことを理解してないとでも言うのか」
「そーじゃなくて、校長先生はぼくにシゴトを遺して・・・」
「そうかい。そんなに大事な使命かい。楽しいシゴトか?簡単か?普通の魔法使いのコドモが、無理なく成し遂げられる使命か?」
「簡単じゃないけど、やらなきゃ」
「やらなきゃ?なぜ"やらなきゃ"なんだ?兄は死んだ。そうだろ?そのことはもうほっとけ。同じ道を辿るな。生き延びろ」
「ほっとけないよ。戦ってるんだ。あなただって戦ってるんでしょ?不死鳥の騎士団のメンバーでしょ?」
「かつてはな。・・・騎士団は終わりだ。ヘビ男の勝ち、もう終わったんだよ。ヤツは血眼でおまえを捜してる。おまえにとって安全な場所はこの国にはもうない。この2人を連れて国を出ろ。死ぬんじゃない」
「逃げるわけにはいかない。やらなきゃいけないことが・・・」
「そんなもんは誰かにやらせとけ!」
「ぼくじゃなきゃだめなんだって、ダンブルドアが」
「それらしいことを説明して聞かせたんだろ?兄貴は全部しゃべったか?兄貴はおまえさんに正直だったか?」
ハリーは"Yes,"と答えようとします。でもなぜか、その一言が言えない。
それでもハリーは心の中でふんばりますね。ドビーと永遠に別れたあの日、決めたんだ、シンプルに、ただシンプルに、アルバス・ダンブルドアを信じると。彼の用意した道がどんなにキケンでも、最後までそこを歩き抜くって決めたんだ。
アバフォースの目が肖像画をとらえます。
「ミスター・ダンブルドア、あの絵は妹のアリアナさんですか?」口を開いたのはハーです。
アバフォースはそうだと言い、そしてハリーを見つめます。明るく輝く青い瞳が、心を射貫く、兄と同じ瞳が、じっとハリーを見ています。
「校長先生は、ハリーを大切にしてたわ、とても」
ハーが低い声で言います。
「兄が大切にした人々は、なぜみんなひどい目に遭うんだ」
「どーゆー意味?それはアリアナさんのこと?」
今度はハーを見つめるアバフォース。そして、いままでずっと語らずにいたヒミツを、堰を切ったようにトリオに聞かせます。

妹は6歳のとき、3人のマグルの少年に襲われた。その少年たちは、アリアナが魔法を使うのを垣根越しにこっそり見ていたんだ。きっと怖かったんだろう、自分たちの見たモノが。アリアナは、自分の魔力をコントロールできなかった。小さいころはそーゆーもんだ。少年たちは庭に入ってきてアリアナにもう1度トリックを見せろと言ったが、アリアナにはそれができなかった。少年たちは小さな怪物におかしなことをさせまいと夢中になっていじめた。
少年たちがしたことによって、アリアナは壊れてしまった。魔法が使えず、かと言って魔力を取り除くこともできず、もう正常ではいられなくなった。魔力が爆発するとコントロールがきかない。それでも普段は可愛らしくて怖がりの、おとなしい子だったんだ。
私の父は、やつらに仕返しをした。そしてアズカバンに入れられた。彼女のように不安定で魔法の暴発ばかり起こしていたら深刻な"International Statute of Secrecy"違反だ。そんなアリアナを魔法省に知られれば病院送りだ。だから父は決してマグルを襲った理由をしゃべらなかった。
アリアナには静けさと平穏が必要だったから、一家で引っ越したよ、彼女は病気だと言って。アリアナに、落ち着いた気持ちで幸せでいてほしくて、母が世話をした。
アリアナのお気に入りは私だった。アルバスではなかった。兄は部屋に閉じこもって本を読み、自分が獲得したトロフィーを数えて過ごしてた。妹に邪魔されたくなかったんだ。アリアナは私の言うことなら聞いてくれたし、落ち着いているときは私がヤギにエサをやるのを手伝ってくれたりした。
そして彼女が14歳になったとき、私はそこに居合わせなかった・・・もしそこにいたらなだめることができたのに・・・アリアナは怒っていたんだ。そして母は年老いていた。あれは・・・あれは、事故だった。アリアナには自分の力が止められなかった。結果として母は殺された。
兄はドージとの卒業旅行を中止した。兄とドージは母の葬儀にやってきて、ドージはひとりで旅に出て、兄はご立派な長男として家におさまったのさ。
私は妹の世話をした。学校などはどーでもよかった。ところが兄は私に学校を卒業しろと言った、まるで母親のように。狂った妹の世話にご褒美は出ない。それでもミスター・ブリリアントはうまくやったさ、彼が来るまでは。
グリンデルバルド。兄が待っていた、兄と同等の聡明さを持つ誰か。兄はついに"自分と会話するに値する"人物と出会った。とたんに妹は二の次だ。はろうず探し、魔法界の新しい秩序、そんな計画ばかりに夢中になった。"偉大なる計画"は魔法界の利益だと、"より大いなる善(the greater good)のために"は、無視されるかわいそうな妹なんて屁だとね。
夏休みが終わるころ、私は兄とその友人にはっきり言ったんだ。もうあきらめろ、妹のことはこれ以上任せられない、とね。偉大な計画とやらをどこで実行に移すにしろご立派な演説会をするにしろ、おまえらだけで勝手やれ、家族は巻き込むなと言った。兄は私の態度が気に入らなかった。グリンデルバルドも同じだった。グリンデルバルドは怒ってこう言ったよ、聡明な自分たちに向かって意見するとは愚か者だと。自分たちが世界を変えて、アリアナも隠れずに済む、すべての魔法使いが隠れずに済む世の中にするんだと。
口論になった。私は杖を抜いた。グリンデルバルドも同時に杖を抜いた。私は、兄の親友のCruciatus Curseで拷問された。兄は止めようとしたが、三つ巴の決闘になってしまった。そして閃光が、ぼかんと、妹に当たった。誰の呪文かわからない、3人全員に可能性があった。
アリアナは永遠に去ってしまった。
グリンデルバルドは逃げ出した。やつにはちょっとした前科があったからな、関わりたくなかったんだ。
兄も自由を奪われなかった。気楽なもんさ、兄は"偉大なる魔法使い"になる自由をついに失わなかった。
ここでハリーは反論します。「校長先生は決して自由じゃなかったよ」
そしてあの洞窟で苦しんだダンブルドアのことを話します、重い十字架を背負って生き、背負って死んだと。
「なぜわかる、ポッター?おまえが妹のように使い捨てではないと、なぜ言い切れる?」
「私は信じない。校長先生はハリーを愛してた」言い切るハー。
「だったらどうして、隠れろとこの子に言わなかった?生き延びろと、なぜ教えない?」
「自分の安全よりも大切なものがあるから。"大いなる善(the greater good)"のほうが大事なときもあるんだ!これは戦争なんだ!」ハリーも必死で食ってかかります。
「ぼうず、おまえはたかが17歳だ!」
「オトナだもん!たとえあなたが諦めても、ぼくは戦う!」
「誰が諦めると言った!」
「さっき自分で言ったんじゃん!」
アバフォースも燃えてきましたね。
「あなたのお兄さんはヘビ男をやっつける方法を知ってた。その知識を、ぼくに遺した。ぼくはヘビ男をやっつけるまであきらめない、ぼくが死ぬまであきらめない!だからホグワーツに行く。手伝ってくれないんなら、自分たちでなんとかする」
ついに、アバフォースが動きます。明るく青く、燃える瞳でハリーを見つめます。そしてアリアナの肖像画の前に立つとその絵に話しかけました。「わかってるな」
アリアナは微笑み、背中を向けると、絵の奥へ奥へと歩き去って行きます。彼女の背景に描かれていたのは暗いトンネルなんですね。
「他に方法はない。秘密の通路はすべて見張られている。ディメンターも城を取り囲んでいる。かつてない厳戒態勢だ。スネイプとカロウズ(the Carrows)が待ちかまえてるぞ。これでいいな、ポッター、おまえは死ぬ覚悟があると言ったんだぞ」
肖像画の中、トンネルの遥か向こうから、白い点が近づいてきます。
あれ?アリアナちゃんひとりじゃない。髪が伸び、頬にいくつもの切り傷を負って、服もぼろぼろの誰かを連れてきた。
突然ホンモノのトンネルの入り口が現れ、部屋に入ってきたのは、満身創痍のネビル・ロングボトム!
「来ると思ってた!絶対戻って来るって信じてたよ、ハリー!」
傷だらけだけど嬉しそうな明るい笑顔です。

【メモ】

トリオを救ったアバフォースの切り札が"彼"だというのはおもしろいっすねー。

"Caterwauling Charm"は、あらかじめ設定したエリア内に誰かが侵入すると甲高い警報が鳴るという魔法。ホラスが使った"Intruder Charm"ともよく似ています。

International Confederation of Warlocks' Statute of Secrecy これは"秘密保持ワーロック法国際連合"っていうのかな。ワーロックっていうのは"魔法使い"とほぼ同義語だということにして、つまり、国際的な秘密保持法です。"マグルに魔力の存在(魔法使いの存在と魔法の行使そのもの)を知られてはならない"ということを詠ってます。

心ゆくまでさるお、もんち!


2007年12月11日

さるおのハリポタツアー Harry Potter and the Deathly Hallows Chapter 27

さるおです。
スーパーポッタリアンなので、愛を込めて、さるおのハリポタツアーは、"わかる気がするこの大笑い"を経て、ヴォルディのヒミツに迫ります。
『DH』の完全ネタバレです。コメント欄も含めて、すごーくご注意ください。
ハリポタ辞典のもくじはこちらです。

27:The Final Hiding Place

大空へ羽ばたいたドラゴン。どんどん高く昇っていきます。火傷で火膨れた身体を寒さが冷やしてくれます。
急旋回なんかしたら落ちちゃいそうだし、後ろでしがみついているハーなんかもう泣いちゃってますよ。眼下ではロンドンがみるみる小さくなって地図のようです。おそらく北に向けて飛んでいます。
さて、現在トリオがかかえている問題は、いつどのようにして降りるかですね。このドラゴン、どこまでノンストップなんでしょうか。ドラゴンから降りるとき、美味そうなトリオに気づかれたらまずい。
一方で、ヘビ男の近況が気になるハリー。レストレンジの金庫が破られたことをすでに知っている?その金庫から何が消えたか気づいた?そしてハリーが片づけて回っているのが大事な大事なホークラックスだって、気づいたかな?
太陽が地平線に沈みかけて空はインディゴブルーです。そしてついにドラゴンは降下し始めました。大きく旋回しながら、小さな湖を目指しているようです。
「もっと低くなったら合図で一緒に飛び降りよう・・・今だ!」
ハリーの合図でトリオはしがみついていた手を放し、湖へどぼん!
浮き上がって顔を出すと、離れたところにドラゴンも着水しているのが見えます。気づかれなかったみたいでよかったー。
トリオは反対側の岸へと泳ぎます。湖というか、沼というか、岸に近づくにつれて浅くてどろんこ。やっとの思いで這い上がります。
大変な1日を過ごして、ものすごい疲れました。このまま眠ってしまいたい。でもまだ終わっていません。ハリーは立ち上がると杖を出し、自分たちのいる周辺にプロテクションをかけます。
ロンもハーも、ひどいありさま。全身に火傷を負い、傷だらけで、衣服もあちこち焦げてます。ハーが持ってきた"dittany"で治そう、あと、同じくハーがシェルコテージから持ってきてくれた3本のパンプキンジュースで一息つきます。
ハリーはポケットからカップを出して眺め、ロンとハーが話しはじめる。
「ぼくら、ホークラックスを手に入れたけど、今度は剣がなくなっちった」
「あのドラゴン、どうなるのかな?」
「ハーちんてば、ハグリッドみたい。ドラゴンは自力で生き延びるさ。ドラゴンよりぼくらがやばい」
「どーゆー意味?」
「もしかしたらやつら、ぼくらがグリンゴッツに強盗に入ったって、気づいたかもよ」
トリオは大爆笑。笑い出したら止まらなくなった(笑)。
さるおも笑ってしまいました、ロンに感動して泣きながら。そ、そうだね、もしかしたら気づかれたかもね。わはは、ロンちんて最高っす。
ハリーも久々の解放感で心が軽いです。おなかすいた。

ところが次の瞬間、またしてもハリーさんの額が痛ぁーい!ヘビ男、なかなか休ませてくれないっすね。
「なんやと、こら?」怒りと怖れが同時に心を満たします。ただひとつ、怖れていること、いや、あり得ない、そんなはずない。
目の前のゴブリンは震えています。「ヘビ男様、私たちは止めようとした・・・でも侵入者は・・・レストレンジの金庫に・・・」
「侵入者?おまえとこの銀行はどろぼうも防げんのか?あん?その侵入者はどこのどいつやねん!」
「ポッターと、おともだち2人・・・」
「何を盗んだんや!」
「小さな・・・金のカップを・・・」
!!!
「なんやとーっ!」ヘビ男、怒り心頭。そんなバカな、あり得ない、誰も知らないはずなのに、あの秘密が暴れるなんて、なぜそんなことが起こり得る?
ニワトコの杖で切りつける。緑色の閃光が光り、その瞬間にはすでにゴブリンは息絶えている。逆上して大暴れする親方を見ると、ベラ姐とまるほいぱぱが慌てて部屋を出て行く。ニワトコの杖は何度も振り降ろされ、その部屋で逃げ遅れた、金のカップのことを聞いたすべての人が殺された。
死体の間を歩き回る。宝、不死への鍵、それを失うなんて。日記は破壊されカップは奪われた。もしも、もしもあのガキが、他のホークラックスのことも知っていたら?いや、知っているどころか、すでに動いているのか?背後にいるのはダンブルドアなのか?殺したのに、杖も奪い取ったのに、それでもなおあのガキを通じて私を邪魔するのか?
私はヘビ男、最も偉大な魔法使い、最も強力な魔法使い、ダンブルドアに打ち勝った魔法使い。その私が、ホークラックスを奪われて(壊されて)なぜ何も手ごたえを感じない?いや、日記を壊されたときは私は肉体を持たなかった。でも今は、この私が知り得ないことなど、あるもんか。うんうん、残りは無事だ。きっとそうだ。でも確かめないとなー。
ヘビ男は部屋を行ったり来たり。かわいそうなゴブリンの亡き骸を通るたびにあっちゃこっちゃ蹴っ飛ばしながら、思案し続けます。
湖・・・家・・・ホグワーツ・・・あのガキにゴーント家の指輪を見つけられるはずがない。ゴーントとの繋がりは隠し通してるもんな。指輪は無傷のはず。ならば湖はどうだろう。あのガキがロケットのことを知り得るか?知ったとしても、あのプロテクションを通過できるはずはない。母校は?いや、あの隠し場所はホグワーツの究極のヒミツだ。ガキにみつかるはずはない。
それにおいらにはナギニちゃんがおるし。ナギニちゃんはこれから肌身離さないぞー。首に巻いとこーっと。
ま、とにかく確かめないと。行ってみるしかないか。どっから行こっかな。
そーいえば、ダンブルドアは私のミドルネームを知ってたっけ。あのじじい、ゴーントとの繋がりに気づいたのかもしれん。うーん、指輪がいちばん危ないか。ほんじゃまずはあの家に行くとして、次は、えっと、湖(洞窟)にしとくか、だって母校は後回しでいいもんな、ポッターがホグスミードに入ったらわかるようにしてあるし、なんつってもスネイプ駐在だかんな。スネイプに注意しろって言っとこう。しかしまぁベラとまるほい、あいつらはバカだなー。信用したのが間違いだった。おかげで大損害だよ、ちくしょう。

目を開けるとハリーは濡れた草の上に倒れ、ロンとハーが心配そうにハリーをのぞき込んでいます。
「気づかれた。あいつ、ホークラックスの隠し場所をチェックしてまわる気だ。今ぼくヘビ男の頭ん中にいたんだ。カップが盗まれたってわかって、ものすごい怒って、怖がってもいる。あいつには、どーやってぼくらがホークラックスのことを知ったか、わかってない。でもぼくらがホークラックスに気づいたってことだけはわかったから、他のが無事かどうか確かめる気なんだよ。最初が指輪。最後がホグワーツ。そうだと思ってたんだ。思ってたとおりだよ。スネイプがいるから学校に隠したやつは手付かずだって思ってる」
「ホグワーツのどこだかわかるの?」ロンが立ち上がって聞きます。
「わかんない。スネイプに忠告しようってことばっかり考えてたから、具体的な場所までは・・・」
「ちょ、ちょっと待って。プランもなしに行くなんて、無謀じゃね?」ハーらしいですね。
「とにかく行くんだよ」ハリーはきっぱり。ほんとはテントをひっぱりだして眠りたいけど、今はがんばらなくちゃ。「ホグスミードに飛ぶ。3人で一緒に透明マントに隠れて行くんだ、足ぐらい見えちゃってもどーせもう暗いし。今回は離れ離れになったら嫌だから」
遠くでドラゴンが再び飛び立つのが見えます。高く高く昇って行くのを見届け、ハーはロンとハリーの間に立ちました。ハリーが透明マントでトリオを包みます。
ホグスミードへ、ぼかん。

心ゆくまでさるお、もんち!

2007年12月08日

さるおのハリポタツアー Harry Potter and the Deathly Hallows Chapter 26 (2)

さるおです。
スーパーポッタリアンなので、愛を込めて、さるおのハリポタツアーは、グリンゴッツから脱出できるんでしょうか(涙)。
『DH』の完全ネタバレです。コメント欄も含めて、すごーくご注意ください。(
ハリポタ辞典のもくじはこちらです。

5人のカートが猛スピードでヘアピンカーブを曲がった瞬間、見えましたよ、前方で、なんと滝が線路に落ちてるぅー!
「No!」グリップフックが叫ぶ。
けどどーにもなりません。カートはその勢いのまま滝に突っ込むと脱線して放り出され、同時にハーが杖を振るのが見えたかと思うと、カートは粉々になってしまいました。ハリーはなぜかどこにも痛みを感じずに、石の上に投げ出されます。"Cushioning Charm"です、ハーがまたみんなを守ってくれましたよ。
見ると、ありゃぁーっ!ハーがあねごじゃなくなってる。ロンもいつものロンに戻っちゃった。
「"The Thief's Downfall"(どろぼうの滝)だ!すべての呪文が洗い流される滝だ!滝を設置されるなんて、やはり気づかれたか!」とグリップフック。「ボグロッドを放すなよ、クランカーも必要だ」
"Imperio!" ハリーは急いでボグロッドに呪文をかけ直します。
「ハリー、追っ手が来ちゃう!"Protego!"」
ハーがベラの杖で滝をめがけてぶん投げたShield Charmは、滝の途中にシールドを形成。水が跳ね返って通路に溢れます。追っ手を邪魔してくれそうなナイスジョブっすね。
「どーやってここから出るんだよぅ?」
ロンは帰りの心配をしていますが、それはそんとき考えましょう。今は前へ進むのみっす。ここからは徒歩で、グリップフックが先導します。

角を曲がると、そこには、そうです、出た、ドでかいドラゴン。最深部の最重要金庫の番人、1匹あたり4〜5室担当です。ウロコは色褪せ、瞳は濁ったピンク色、後ろ足は重い鎖に繋がれています。なんだかかわいそうですが、侵入者の気配を感じとると、揺れて石が崩れるほどの大音量で吠え炎を吐きます。5人は思わず後ずさり。
グリップフックによれば「こいつは目がよく見えん。ものすごい獰猛だがな。クランカーでしかコントロールできないぞ」、ということで袋から金属の道具を出し、ジャラジャラと鳴らします。いや、ジャラジャラなんてもんじゃないですね、頭痛くなりそうな、グワングワンとものすごい音です。
ドラゴンは引っ込んでしまいました。
「金庫に入るぞ。ボグロッドを連れてこい。彼の掌をドアに押し当てるんだ」
5人はもう一度ドラゴンに近づき、クランカーを鳴らします。ドラゴンは一吠えして後退しました。少し近寄って見ると、切り傷だらけです。クランカーが鳴ると焼けた剣で傷を負わされる、ということでドラゴンは躾けられているんですね。やっぱかわいそうだ。
ハリーは杖をボグロッドに向けます。ボグロッドは掌を金庫のドアに押し当てました。すると見る見るうちに扉が溶けて消え、レストレンジの金庫が現れました。

洞窟のような金庫です。金貨、ゴブレット、銀の鎧、ヘンな生き物の標本、宝石で飾られたフラスコに入った薬品類、そして王冠をかぶったままの頭蓋骨・・・なんだかおっかない金庫です。
「急いで捜すんだ!」
"ハッフルパフのカップ"についてはロンにもハーにも説明してあります。それで正しいのかどうかわからないけど、とにかくそれを捜さなくちゃ。5人は金庫に足を踏み入れました。すると、なんと扉が再び現れ、5人は金庫のまっ暗闇に閉じこめられてしまいました。
"Lumos!"
3本の杖に明かりを灯します。グリフィンドールの剣の贋作が置いてあるのが見えます。
「ハリー、これかな?」
さっそくそれらしい美しいカップを見つけたハーちん、拾い上げると同時に、あちゃぁーっ!と叫ぶと手を放してしまいました。それは、床に落ちると同時にぱっかり割れたかと思うと、ぼぼぼぼぼん!と増殖したぁーっ!もう床中カップだらけ。最初の1つがどれだったかもわからない。しかも、ハーの指はカップに焼かれてしまいました。
「"Gemino Curse"と"Flagrante Curse"だ!触っただけで増殖する。しかも焼けるぞ。しまいには価値のないコピーのゴールドに生き埋めだ!」
グリップフックが叫ぶのを聞いて、トリオは一切モノに触らないことにします。が、次の瞬間にはロンが床のゴブレットを踏んづけてしまい、ぼぼぼぼぼん!とゴブレット増殖、ロンの靴が焼けました。
「動かないで!見て捜そう。小さくて金色のやつだよ。アナグマが刻まれてる。取っ手は2つ。それか、レイヴンクロウの紋章のついた何かがあるかも」
言ってるハリーも金貨に触っちゃった。ぼぼぼぼぼん!
金庫の室温は焼けた金属類で急上昇していきます。ついに金色の炎が上がり、まるで溶鉱炉のよう。汗が噴き出します。急がなきゃ、捕まるよりも焼死です。
ハリーの杖の明かりが、楯、ヘルメット、そして天井まで続く棚を照らしていきます。そして突然、それはありました。
「あった!棚の上だ!」
3つのスポットライトがハッフルパフの小さな金のカップを照らしました。
高すぎて届かない。ロンの身長でも無理です。思わず"Accio Cup!"を試すハー。グリップフックが言ったとおり、効きません。
「グリップフック、剣が欲しかったらたすけてよ!直接触らなければ、剣を使えばだいじょうぶなの?」
その言葉を聞いたハーはおしゃれバッグから剣を出してハリーに渡します。そのとき、ドアの向こうでドラゴンが吠えるのが聞こえました。追っ手がすぐそこまで来ちゃった。今度こそ本当に逃げ道がない。
ぼくを持ち上げて、と言うハリーに、ハーが杖を向けて"Levicorpus"。ハリーは逆さ吊りになって上へ上へと上って行きます。途中で今度は鎧にぶつかっちゃった。ぼぼぼぼぼん!増殖した鎧に焼かれ、熱せられた金属に埋まりながら、ロンもハーも悲鳴をあげる。急がなきゃ。ハリーはどうにかカップを剣にひっかけることに成功しました。
"Impervius!"
ハーは必死で、自分とロンとゴブリン2人を守ります。ところが、悲痛な叫びを聞いてハリーが下を見ると、ロンもハーも不安定に立っているボグロッドを支えながら、焼けた財宝に腰まで埋まっちゃってますよ。グリップフックなんかもう全身が見えなくなって、救いを求めるように伸ばした長い指しか出てません。
ハリーはグリップフックの指をつかんで引き上げ、"Liberacorpus!"で着地。その拍子に剣がハリーの手を離れます。「剣が!せっかくカップが取れたのに!」グリップフックは熱を逃れてふたたびハリーの肩によじのぼります。ドアのすぐ向こう側から、クランカーの鳴る音が聞こえる。もうだめぽ。
そのときです。「めっけ!」グリップフックが剣をみつけて柄をつかみました。片方の手はしっかりとハリーの髪の毛をつかんでいます。そしてハリーの肩に乗ったまま、ハリーの手が届かないように剣を持った手をめいっぱい上に上げました。そっか、グリップフックは決してぼくらを信用しなかったんだな。
金の小さなカップが、グリップフックが剣を振り上げた勢いで空中に舞う。思わずそれをつかみ取ろうとダイブするハリー。ナイスキャッチ。同時にハリーの手が焼け、ぼぼぼぼぼん!無数の焼けたカップが雨のように落ちてきます。たとえ手が焼けようとカップを離さなかったハリーですが、そのとき、金庫の扉が開き、焼けて増殖した財宝は雪崩をおこして金庫の外へ、トリオを押し流しました。
全身に火傷を負いながら、まだ必要な剣を取り戻そうと見回すと、なんと、ゴブリン仲間に紛れ「どろぼうだ!どろぼうだ!」と叫びながらグリップフックがまんまと消えちゃった!

目の前には群れになって押し寄せる追っ手のゴブリン、背後は溶鉱炉。選択の余地はありません。
"Stupefy!"
トリオの杖から赤い閃光が放射されます。警備の魔法使いも通路の角を曲がってこちらに向かって来る。ドラゴンが吠え、無数のゴブリンの頭スレスレのところをドラゴンの炎が舐めていき、魔法使いたちは一瞬後退します。
そのときです。閃きと呼ぶべきか、狂気と呼ぶべきか、ある方法を思いついたぁーっ!
"Relashio!"
大きな爆音とともに、ドラゴンをつないでいた鎖が切れました。
どうせ他に逃げ道はないもんな。「ロンちん、ハーちん、ドラゴンの背中に乗るんだ!」かなり思い切った逃亡方法です(笑)。
トリオは目の見えないドラゴンの背後にまわり、背中によじ登る。巨大なドラゴンはトリオの体重を感じないようです。相当怖がりながらですがハーもふたりにたすけられて必死でよじ登り、トリオはドラゴンにしがみつきましたよ。
やがてドラゴンは自由の身になったことに気づき、大きく吠えると、ゴブリンたちをなぎ倒しながらその巨大な翼を広げました。
ふわり。
ドラゴンは再び吠え、あたりを焼き尽くすように炎を吐きました。狭いトンネルに巨大なドラゴン。あちこちに体当たりし、爆風のような息で通路を崩しながら、ドラゴンは必死で地上へと飛び立とうとしている。
ハリーはしがみつくのに必死です。このままじゃ振り落とされちゃう。
"Defodio!"
叫んだのはハーでした。彼女はドラゴンをたすけようとしている。魔法の"たがね"であちこちの壁を打ち崩し、ドラゴンが羽ばたけるだけのスペースを確保しようと奮闘してるんすね。ハリーとロンも手伝います。
長い間幽閉されていた目の見えないドラゴンは、はるか前方に自由を嗅ぎ取り、後ろにはがれ落ちたウロコを残し、傷だらけになりながら、新鮮な空気を求めて飛び立ちます。
後方で通路が崩れ落ちる。ドラゴンはオリオを乗せ、地上を目指す。
そしてついに、大理石のホールを抜けます。眼下ではゴブリンと魔法使いが、炎を吐いて羽ばたくドラゴンに逃げ惑っているのが見える。崩れ落ちるグリンゴッツを抜け、ダイアゴン横丁を見下ろし、大空へ!

【メモ】

"Cushioning Charm"は『Quidditch Through the Ages』によれば、ほうきの座るところにもかけられている呪文です。要は座布団ですね。
双子を意味する"Gemino Curse"は複製を生み出す呪文、"Flagrante Curse"は触ると加熱して皮膚を焼く呪文です。
"Impervius!"は嵐の日のクイディッチのためにハーがハリーのメガネにかけた呪文でこのときはウォータープルーフ効果。ロンが魔法省のヤクスリーのオフィスで彼の私物を雨に濡れないようにしたのもこの呪文で同じくウォータープルーフ効果。今回はファイヤープルーフです。つまり、環境の変化から守る呪文なわけですな。
"Liberacorpus!"は"Levicorpus"の反対呪文です。
"Defodio!"はおもしろいっすね。"丸のみ"(たがね)が現れてターゲットを打ち崩す呪文らしい。

心ゆくまでさるお、もんち!

2007年12月06日

さるおのハリポタツアー Harry Potter and the Deathly Hallows Chapter 26 (1)

さるおです。
スーパーポッタリアンなので、愛を込めて、さるおのハリポタツアーは、グリンゴッツ強盗団に参加しましょう。
『DH』の完全ネタバレです。コメント欄も含めて、すごーくご注意ください。
ハリポタ辞典のもくじはこちらです。

26:Gringotts

その小さな寝室で、トリオとグリップフックはすべての準備を整えました。
トリオを信用し切れないのか、グリップフックはなかなかトリオだけにしてくれません。ということは、残った問題は、いつ、どうやって、グリップフックに剣を渡しチームを解散するか、という、グリップフック抜きの最後のピースのみですね。一方では、ハリーもビルの忠告を忘れていないわけですが。

「ほんとにこの杖使うんだってば。そしたらちょっとはその気になれるかも」ハリーはウォールナッツの杖を見て言います。「それ持ってればあねごっぽく振る舞えるんじゃね?」ロンもその忌まわしい杖を薦めます。
「あたしこの杖嫌い。うまく使えない気がする。だって彼女の一部みたい。この杖、ネビルのパパママを拷問して、シリウスを殺した杖だもん」ハーはちょっと怖がっています。
ハリーは頭の中で「ハーがぼくに言ったんじゃん、練習すればどんな杖でも使えるって」なんて思いますが、言わないでおいてあげましょう(笑)。ハリーだって内心は、そんな杖グリフィンドールの剣でぶった切ってやりてぇな、と思ってるわけです。
「オリバンダーさん、あたしにも新しい杖作ってくれたらいいのにー」
ハリーのほうはドラコから奪ったサンザシの杖がちゃんと使えているようですが、ハーはベラ姐から自力で杖を奪い取ったわけではないので不安になるのも無理ない。

ハリーはビルとフラーに、明日の早朝出発する、そして戻ってくることはできないと言いました。念のため、ビルにテントを借りて、ハーのおしゃれバッグに入れます。ハーは、スナッチャーたちに捕まってあげくの果てにベラの拷問に遭っても、バッグを守ってたんですね、靴下にねじこんで。
見送りはいらないとも言いました。なにしろ出発時にハーは最後のポリジュース薬を使ってベラの姿になっている予定だから、見られたくないわけです。
さて、強盗前夜、ハリーはなかなか眠れません。魔法省へ侵入したときと似ているようで、今回はなぜかうまくいかない気がします。ロンも眠れてない気配です。

朝6時。ハリーとロンは庭でハーとグリップフックを待ちます。寒いけど、5月の風が吹いています。波が断崖を洗う音を聞きながらドビーの赤いお墓を見ると、緑が芽吹き始めています。いつかそこは、花で覆われることでしょう。さよなら、ドビー。
さて、ハーとグリップフックが出てきました。うぉ〜、ベラ姐だ、とも思うし、やっぱりハーだとも思えます。ブラック邸から失敬してきた古いマント姿ですね。
ヒゲは短いほうがいいだとか、鼻も低くしてだとか、なんだかんだと言いながら、ハーはロンを魔法で変装させ架空の人物に仕立て上げます。できあがったロンちんは、長い巻き毛に茶色のヒゲにたっぷりな眉毛、そばかすは消えて鼻が低く、背も小さくなりました。
トリオは1度シェルコテージを振り返り、門の外へ、Fidelius Charmの境界線の外へと歩き出します。門を出るとグリップフックはハリーの肩に乗り、ハーがふたりに透明マントをかぶせます。「行きましょう」
Leaky Cauldronへ。強く念じる。
ぼかんと瞬間移動して、目を開けるとマグルがせわしなく行き来するCharing Cross Roadです。マグルには見えないinnの入り口から入ると、トムはグラスを磨いていますが、このご時世なので閑散としてますね。
バーの奥に座っていた魔法使いは、ハーを見ると怯えてこそこそと隠れちゃいました。
「マダム・レストレンジ」トムはハーにうやうやしくお辞儀して話しかけます。「おはよう」ハーも返事を返します。すると・・・トムがびっくりしちゃった。このハーの対応は"礼儀正しすぎる"わけです(笑)。「ハーちん、もっと人をクズみたいに扱えって!」「わかったわよー(汗)!」
店を通り抜け、壁のブロックを軽く叩き、ダイアゴン横丁へ。
時間が早いせいもあり、ほとんど人はいません。ここは買い物客で賑わう"銀座"だったわけですが、今ではほとんどの商店が入口も窓も板を打ち付けて"閉店"です。さらに、ダークアーツの専門店が出店してきてます。ノクターン横丁化してますよ。窓には、"UNDESIRABLE NUMBER ONE"のポスターがずらりだし。ある者はボロを纏い、またある者は血に染まった包帯を頭に巻き、店の入口に座って物乞いをしています。ハーが通ると皆フードで顔を隠し逃げていきます。
すると、頭に包帯を巻いた男がよろよろと近づいてきて、ハーを指差し叫びました。「うちの子たちをどこへやった!うちの子たちに、やつは何をしたんだ!」
「あわあわ、えっと、私は・・・」その人物はびっくらこけるハーに飛びかかり首を絞めようとします。
ぼかん!
赤い閃光走り、その人は吹っ飛んで気絶しました。ロンがハーを救ったんですね。
周囲の店の窓からたくさんの顔がのぞいます。通りにいた人々は、大急ぎで去っていきます。
ぐわぁー、しょっぱなから目立ちすぎ。今日のところは引き上げて、作戦を練り直してから出直そうかと考えはじめたそのとき、後ろからまたしても大声が。
「なぜだ、マダム・レストレンジ?」
振り返ると、ぼさぼさの灰色の髪に尖った鼻の背の高い魔法使いが近寄って来ます。ベラの"オトモダチ"Travers登場、ラブグッド家を襲ったひとりです。もう引き返せないっすね。
ハーはとにかくしゃきっと背筋を伸ばし、「何の用だ?」と"できるだけ失礼に"振る舞います。
「あれはトラバーズ、DEだ!」グリップフックからハリー経由で、慌ててハーに情報を伝えます。
ハーも慌てて取り繕い「調子はどうだい?」と聞き直す。
「あなたがここにいることに驚いているところだ。ドクロベエ様にお仕置きだべぇ〜って言われて、まるほい邸から出てはいけないんじゃなかったのか?」(ドクロベエ復活)
いきなりピンチっすね。
「ドクロベエ様はもっとも忠実なしもべを許したのさ」
ハーちん演技派です。いかにもドロンジョ様に聞こえる言い方です。「おまえは私ほど信用されていないのさ」
トラバーズさん、気分を害しつつも少しハーを信じたみたい。気絶している人を見下ろして話します。「杖を持たないこの手の連中は困るな。物乞いしてるだけならいいが。こないだはオレに魔法省に取り次げと言う女がいた。『お願いよ、私は本当に魔法使いなの。杖を貸してくれたら証明して見せるわ』だってよ。オレが杖を貸すわけねーのに。・・・ところで姐さん、誰の杖を使ってるんだ?」
「私の杖よ」ハーは冷たく言うと、杖を持ち上げます。「どんな噂を聞いてるか知らないけど、おまえは何にも知らないようね」
今度はロンを見て「この人は誰だ?見た顔じゃないが」
「Dragomir Despard、彼は英語は話さない。トランシルバニアから来たドクロベエ様のサポさ」
「ところで姐さん、こんな早朝にダイアゴン横丁に何の用事だ?」トラバーズさん、質問攻めっす。
「グリンゴッツへ」ハーが答える。すると、「おや、あなたもか。金、汚い金、あの指の長い連中とは関わりたくないが、それが無ければ生きていけない。ご一緒しましょう」
まさかのアンラッキーです。断れませんがな。

ハーとトラバーズ、グリンゴッツへと並んで歩きます。
ブロンズの大きな扉に続く大理石の階段まで来ました。グリップフックの前情報通り、入口の警備はゴブリンではなく、"Probity Probe"と呼ばれる金色の警棒を持った魔法使いです。
トラバーズが警備に向かって軽く頷き階段をのぼると、警備員がその警棒で来客の身体をなぞります。怪しい魔法なんかをスキャンするんですね。
"Confundo!"
ハリーはとっさに警備員に呪文をかけます。
「マダム、お待ちください」とハーを呼び止めた警備員に、「何度チェックする気だ」とハーも強気で言い返す。トラバーズが振り返ります。
するともうひとりの警備員がぼーっとした様子で言います、「マリウス、そうだ、今チェックしたばかりだ」
危機一髪、どうやら呪文が効いたんすね。ブロンズの扉を通り抜けましょう。透明マントの肩車コンビもこっそりと続きます。
例の警告文が刻まれたシルバーの扉の前にはゴブリンが2人。
鮮やかに思い出します。11歳のあの日、人生で最高のぼくの誕生日、ぼくはここにハグリッドと立ってた。ハグリッドが言ったんだ「グリンゴッツを強盗するなんて正気の沙汰じゃない」って・・・今ここに、盗みにやってくることになったなんて・・・。
とにかく銀行に入ります。長いカウンターで、スツールに腰掛けたゴブリンたちが今日一番のお客さんたちの相手をしています。ハーとトラバーズはレプリカン金貨を見分けている年配のゴブリンに近づきます。トラバースが小さい金の鍵をそのゴブリンに渡し、ゴブリンは鍵を調べてから持ち主に返しました。今度はハーの番です。
「マダム・レストレンジ!これは驚いた。今日はどのような御用でしょうか」
「金庫に用がある」ハーは愛想なく演技を続けます。
ゴブリンが一瞬びくっとします。トラバーズが後ろからハーをじっと見つめている。他のゴブリンたちも、ハーを見ています。
「IDはお持ちですか?」
「IDだと!そんなものを要求されたことは今まで一度もない!失礼な!」
「ではその杖を見せていただきたい」
!!!
ハリーは気づきました。ゴブリンたちは、ベラの杖が盗まれたことを知っていると。
「気づかれたぞ!何とかしろ!ほら今だ!早く!」グリップフックがハリーに囁きます。
ハリーはサンザシの杖をカウンターのゴブリンに向け、生まれて初めてこの呪文を口にします、"Imperio!"
すぐったいような温かいような不思議な感覚が心臓から腕の血管を通って杖の先から抜ける感じがします。それはゴブリンまでつながっているのがわかる。これが"操る"魔法の感じなんすね。
ゴブリンはハーから杖を受けとり、入念に調べ、こう言いました。
「ああ、新しい杖をお使いですね、マダム・レストレンジ」
訳がわからないハーは動揺して取り繕おうとします。「何を言っている?それは私の杖よ」
「新しい杖なのか?」背後のトラバーズが様子を見にハーに近寄ります。「なぜそんなことができた?誰に作らせたんだ?」
今度はこっちが辻褄が合わない(汗)。
"Imperio!"
考える暇はありません。ハリーはとっさにトラバーズをインペリオ。
「ああ、なるほど、いい杖だな。どうですか使い心地は?」ハーの杖を見ながらトラバーズが言います。
ハーにもだんだん状況がわかってきました。ここは黙ってたほうがよさそうっすね。
「"Clankers"を持って来い」年配のゴブリンが若いゴブリンに言います。金属がジャラジャラ入った皮の袋です。
「マダム・レストレンジ、どうぞこちらへ。金庫へお連れしましょう」年配のゴブリンはクランカーを受け取るとハーを金庫へ連れて行こうとします。
ところが、「待て、ボグロッド!決まった手続きがあるだろう!」別のゴブリンが来ました。まずい。
ハリーに操られているゴブリンは効く耳を持ちません。「手続きならわかっている。マダム・レストレンジは金庫へ御用だ。古い一族・・・昔からのお客様だ・・・」とつぶやきながら、ハーとロンをともない奥のドアへと歩き出します。
ハリーが振り返ると、トラバーズは見るからにぽかんとした表情で立っている。しかたないや、連れて行こう。ハリーは杖を振り、トラバーズも一緒にドアを出て、洞窟のような通路へでました。

「まずいよ、ぼくたち怪しまれてる」
ドアが閉まるなり、ハリーは透明マントを脱いで言います。グリップフックはハリーの肩から飛び降りました。操られているトラバーズとボグロッドはぼーっとしたままです。
「どうする?今のうちに逃げようか」とロン。「もし可能ならね」とハー。「もうここまで来ちゃったもん、先に進もう」とハリー。「そうしよう!」とグリップフック。
カートをコントロールするためにはボグロッドが必要です。一方でカートにはトラバーズが乗るスペースがありません。ハリーはトラバーズを薄暗いに通路の隅に立たせたままにしておくことにして、ボグロッドにカートを呼び寄せさせます。背後で叫び声が聞こえる。やっぱりバレちゃったんだ。
5人はカートに乗り込み、いざレストレンジの金庫へ、石の迷宮をゴトゴトと深く深くぶっ飛んで行きます。

【メモ】

ドラゴミア・デスパード(Dragomir Despard)さんはまったく架空の人物みたいです。
"Probity Probes"は魔法や魔法により隠されたモノを検出する棒状の道具っすね。

心ゆくまでさるお、もんち!

2007年11月14日

さるおのハリポタツアー Harry Potter and the Deathly Hallows Chapter 25

さるおです。
スーパーポッタリアンなので、愛を込めて、さるおのハリポタツアーは、絶望の中のたったひとつの吉報にしがみついていたいところですが、えっと、もうすぐ出かけなきゃ。
『DH』の完全ネタバレです。コメント欄も含めて、すごーくご注意ください。
ハリポタ辞典のもくじはこちらです。

25:Shell Cottage

ビルとフラーの新居、シェルコテージ。しっくいの壁に貝殻を埋め込んだその小さな家は、海を望む崖に、外界から切り離されて佇んでいます。美しい孤高の家ですね。
ハリーは何日もの間、言い訳を作ってはひとり崖に座り込んでいます。限りなく広い空、それと同じくらい広い海、波が激しく断崖を叩き、冷たい潮風が頬にあたります。
ヘビ男との杖取り合戦はやらない。その決断が大きな罪悪感となってのしかかってきます。思えば、ハリーさんという人はこれまで、"何かをする"という決断ばかりしてきた。ところが今初めて、"行動しない"という決断をしているんですね。校長のお墓が壊されるのを止めることもできなかったし、なんだか自信がなくなってきます。
手遅れだろうがなんだろうが杖を取りに行こうぜと言った、ほんとにすっかり頼もしいロンは、「ダンブルドアはぼくらに例のシンボルを解読して杖を手に入れてほしかったのかもしんないしさ、無敵の杖を取られた今となっては、どーやってヘビ野郎をやっつけよう?」なんて言い続け、ハリーの不安はどんどん煽られていきます。
ハーは懸命にハリー擁護。だけどそれすら、ハリーの自信喪失を加速させます。
ぼくは、ダンブルドアの生前の意思を、読み違えたのだろうか?
そしてやっぱりときどき、ダンブルドアが何も説明してくれなかったことに対する怒りがこみあげてきます。

「ダンブルドアって、ほんとに死んだのかな?」
そっか、ロンは、銀の雌鹿や剣や、ハリーが鏡のかけらの中に見た目のことを考え続けているんですね。
まるほい地下室に誰がドビーを送ったのかを崖の上でトリオが話し始めたとき、背後からフラーが呼びました。「ハリー、グリップフックが話したいってさー」あーあ、ゴブリンの使い走りなんてやらされて、ちょっと不機嫌そう(笑)。
コテージに戻ると、赤い木綿のカーテンを閉め切ったいちばん小さな寝室でグリップフックは待っていました。
「結論に達した、ハリー・ポッター。元同僚に裏切りだと思われるだろうが・・・おまえたちに手を貸す」
「ひゃっほー!」ハリーさん、久々の"行動"に大喜びっす。
ところが、「ただし、見返りをもらう」うーん、さすがゴブリン。「ゴドリック・グリフィンドールの剣をよこせ」
まさかの逆提案。
それは無理だと言っても、代わりに他のモノをと言っても、レストレンジ家の金庫から選り取り見取りだYO!と言っても、聞いてくれません。
「わたしは泥棒ではない!バカにしおって!」
ハーも負けないように反論します。「でも、あの剣はハリーのだもん!」
しかーし、ゴブリンにはゴブリンの言い分がありました。
「あの剣は、グリフィンドールの前は誰が所有してた?あん?傲慢な魔法使いめ!あの剣は"Ragnuk"1世のものだ。それをゴドリック・グリフィンドールが盗んだのだ!失われた宝、我らゴブリンの最高傑作!だからあの剣はゴブリンの所有物。嫌ならもうたすけてやらーん!」
困りました。困ったので、えっと、ここは、「相談してきます」と言ってとりあえず退室しましょう。

トリオは客間で相談をします。
「剣を渡すなんてできないよ」
「グリフィンドールが剣を盗んだってほんとかな」
「でっち上げだよ、きっと」
「ゴブリンが魔法使いを嫌いなのって、それなりに理由があるのよ」
「ゴブリンはフワフワのウサギちゃんじゃないんだぞ。昔、たくさんの魔法使いが殺された。あいつら、汚い戦い方するんだ」
「とにかく、どっちの種族が悪いのかって議論してもしょーがないじゃん。それよりグリップフックを説得しなきゃ」
トリオは問題(剣を渡すこと)を回避する方法を考えます。窓から外を見ると、ルナがジャムの瓶に入れた"sea lavender"でドビーのお墓を飾ってるのが見える。
「ほんじゃさ、金庫に入るまで剣が必要だから、入ったらあげるね、とか言っといて、贋物を渡しといて、バレるまえに逃げ出すとか」
「それって卑怯よ。たすけてくれって言っといて裏切るなんて。だからゴブリンが魔法使いのこと嫌いなんじゃん。何か他のモノ、剣と同じくらい価値のある何かで納得させなきゃ」
ハリーには分かっています、この取り引きは、グリフィンドールの剣でしか成立しない。他のすべての提案にグリップフックはノーと言うでしょう。でも、ホークラックスを壊すのにグリフィンドールの剣はどーしても必要です。
グリフィンドールのことをずっと誇りに思っていたのにな。マグル生まれを守って、純血一筋のスリザリンに立ち向かった、ドえらい人だと思ってたのにな。ハリーは思い直します、グリフィンドールは剣を盗んでなんかいないさ、グリップフックが言っているのはゴブリン目線の歴史なんだ。
「グリップフックに、金庫に入るのを手伝ってくれた後で剣を渡すって言おう。"いつ"渡すかは言わないようにするんだ。ほんで、剣を渡すのはホークラックスをぜんぶ壊してから。そうしよ。時間かかるかもしんないけど、嘘はつかない」
ハーの視線はやや軽蔑的(笑)。「そーゆーのって気に入らないわ」
ロンは意気揚々と立ち上がります(笑)。「天才的なアイデアだと思うけどなぁ」
FOR THE GREATER GOOD
偉大なる善のために。
Nurmengardの入口に刻まれたあの言葉が頭をよぎります。

トリオはグリップフックのところに戻り、剣を渡す"とき"を特定しないように言葉を選びながら話します。
「ハリー・ポッター、おまえをたすけたらグリフィンドールの剣を渡すと、約束するのだな」
「うん」
「取引成立」
グリップフックはハリーだけを見つめています。信じてくれたみたいかな。そして両手を叩くと「なら早速はじめるぞ!」、あんたはシゴトがはやい(笑)。
トリオとグリップフックは計画を練り始めます。
それはまるで、魔法省に忍び込んだときのような、綿密で周到なプランです。思いつく限り、あらゆる不測の事態に備えます。グリップフックが手書きした見取り図がたよりです。
グリップフックによれば、レストレンジ家の金庫は、もっとも古い金庫のうちの1つで、グリンゴッツの最下層に位置します。純血魔法使いの古い一族が利用するそれらの金庫はいちばん厳しいセキュリティ下にあるんですね。
日に何時間も閉じこもり、やがて何週間にもなりました。時間はゆっくりと過ぎていきます。次から次へと問題点が浮き彫りになり、その都度、解決方法を慎重に検討します。が、いちばんの問題点は、ポリジュース薬のストックが残り少ないことです。
食事にしか姿を見せないトリオ、こりゃもう何か企んでるのはバレバレなわけで、コテージの全員が気付いているわけですが、誰も何も聞きません。外は激しい春の嵐。もう4月です。

ハリーは自分のことを、ゴブリンを好きになれないタイプだな、と思います。たすけてくれるグリップフックですら驚くほど残忍で、"重要でない生物に苦痛を与える”可能性や、レストレンジの金庫にたどり着くまでの間に魔法使いに危害を加えるかもしれないという想像が、楽しくってしょーがないご様子。
それに、グリップフックは元気になってもみんなと食事をするのを嫌がっています。面倒をみるフラーはとうとう怒り爆発。グリップフックはしぶしぶ食卓を囲みます。グリップフックが食べるのは生肉ですね、あと根菜類やキノコ類。
ちなみに、最近のビルも生肉がお好き(涙)。お肉はレアがいちばん。これはさるおも同じですが(爆)。
ぼくがグリップフックをここに泊めてって言ったんだ。それに、ウィーズリー家のみんなはシゴトにも行けず軟禁状態、みんなぼくのせい。「迷惑かけてごめんなさい」ハリーは夕食の準備を手伝いながらフラーに謝ります。
「ハリー、妹を救ってくれたこと、私、忘れてないわ」
コジャレて気が強いフラーですが、優しいですね。ま、これはぶっちゃけ、ガブリエルちゃんはぜんぜん危機に瀕してなかったわけですが、それはそれ。要はハートです。
「オリバンダーさんが今夜ミュリエルおばさんちに発つの。そしたらゴブリンを下に移して、男のコらは(ハリーとロンとディーン)はあの部屋を使ってよ」
あはは、無理無理。グリップフックをソファーで寝かすなんて、機嫌悪くなっちゃう。
「いいんだ、ぼくらソファーでへいちゃら。それよりぼくら(トリオとグリップフック)、もうすぐ出かけるから」
「えー、どこ行くの?だめよ、出かけちゃ。ここにいれば安全だもん」
心配してくれるフラー、なんだかモリー的(笑)。
そこへルナとディーンがやってきます。ルナはディーンにしゃべりまくってるんですね、「・・・ほんで耳が小さくて、色は紫で毛むくじゃらだけど、ちょっとカバさんに似てる、パパが話してくれたんだ。ワルツをハミングすると寄ってくるんだってー。うちにおいでよ、角、見せてあげる。あたしもまだ見てないけど、ホグワーツ特急の中でDEに誘拐されちゃったから」、ディーンはあんまり興味なさそうですが、おかまいなし(笑)。
こーゆーのをハーが聞き逃すはずはありません。「ルナちんてば、言ったじゃん。あれ、爆発したんだよ。エランペットなんだってばー」
「違うわ。あれはスノーカック。パパが言ったもん。今ごろ自己復元してる」こーゆーときはルナのほうもしっかりと自信を持って否定します。
オリバンダーさんがビルに付き添われてよろよろと階段を下りてきました。
「行っちゃうのね、寂しくなるわ、オリバンダーさん」
「私も同じだよ、お嬢さん。まるほい地下室できみがどれほど私を勇気づけてくれたか。言葉では言い表せない。どうもありがとう」
そうっすね、ルナとオリバンダーさんは戦友同士。
フラーもオリバンダーさんの両頬にキスをして、お別れを言い、ひとつお願いごとをします。ミュリエルおばさんに返してほしいと、ベルベットのケースに入ったティアラを見せるんですね。オリバンダーさんは、フラーのホスピタリティに感謝して、役に立てて光栄だとそのティアラをあずかります。もちろん、「ムーンストーンとダイヤモンドのゴブリン・メイド!」と、ギラギラした目で見ているのはグリップフックさん。
「お金を払って買ったモノだよ」ビルが静かに言い、グリップフックが挑発的な眼差しを向けます。
窓の外で強い風がうなるのが聞こえます。ビルとオリバンダーさんは夜の帳へと消えて行きました。
さて、晩ごはんです。オリバンダーさんを送って行く、たったこれだけのことでも、心配のあまり食欲がないフラーねーさん。
ビルは戻ってくると報告です。「オリバンダーさんは無事。パパママとジニーがみんなによろしくってさ。フレッドとジョージはミュリエルおばさんを怒らせてばっかりだ、あの双子、裏の部屋でまーだ通信販売やってんの。そうそう、ミュリエルおばさんね、ティアラ盗まれたぐらいに思ってたっぽい(汗)」
「あはは、あなたのおばちゃま、チャーミングねぇ」思いっきり不機嫌に乾いた笑いのねーさんでした。

夕食の席でルナが話します。「うちのパパね、ティアラ作ったんだ。レイヴンクロウの象徴だった失われた宝、それを創り直すんだって。基本的な構成元素はほとんど特定できたって言ってた。"Billywig"の羽がすごい効くみたい」
そのときです。玄関先でどっかーん!と爆音が。
瞬く間に杖を構えるビル。トリオもビルに倣います。グリップフックは静か〜にテーブルの下へ。
「私だ!リーマス・ジョン・ルーピン!ウェアウルフで、ニンファドーラ・トンクスと結婚して、ほんでビル、きみはここのシークレットキーパーで、緊急事態にだけ来ていいって、ここをおしえてくれた!」
ビルは玄関に駆け寄ってドアを開けます。転がり込んでくるリーマス、灰色の髪は風で乱れ、顔面蒼白です。全員が緊張して見守る中、リーマスは言いました。「男のコだ!ドラのパパさんの名前をとって、テッド君だYO!」
ひゃっほーい!
部屋の中にはあっという間に歓喜と安堵が広がります。
女子ふたりはキャーキャーとはしゃぎ、みんなおめでとうを言います。
リーマスはまっすぐにハリーに近づくと、強く抱きしめました。「ゴッドファーザー(後見人)になってくれるかい?」
「ぼ、ぼくぅ?・・・ぼく・・・えっと・・・すごいや!」
ヒデキ感激、ハリーも感激。(←ヒデキの部分はわからない人は無視してください)
「テディ・リーマス・ルーピンに!」
「未来の偉大なる魔法使いに乾杯!」
「もう帰らなくちゃ」とかなんとか言いながら、ビルが開けたワインをけっこう飲みまくるリーマス(笑)。テディ坊やの髪は少なめだけど、生まれたとき黒髪で、1時間後には赤毛、今ごろはブロンドかなと、で、お義母さんアンドロメダによれば、トンクスも生まれた瞬間からさっそくくるくると髪の色が変わっていたらしいです。
暖炉の火がはじけ、みんなでワイン飲んで、リーマスのニュースはつかの間のオアシスですね。こんなときでも、新しい生命が生まれて希望を運んでくれる。
ただひとり、ぜんぜん嬉しくなさそうなグリップフックは寝室へ(笑)。
リーマスも本格的に酔っぱらってもいられないのでおうちに帰ります。「近いうちに写真を持ってくる!」にこやかに嵐の中へ消えました。
お祝いはまだ続いています。が、ビルがハリーひとりをこっそり呼び止めました。
「話があるんだ、ハリー。きみら、グリップフックと何か企んでんじゃん」質問ではありません。ハリーは黙って聞くことにします。
「ぼくはさ、ゴブリンを知ってる。グリンゴッツで働いてるから。魔法使いとゴブリンの間に成立し得る友情関係の範囲内でね、ぼくにはゴブリンの友だちがいる・・・っちゅーか、よく知ってて仲のいいゴブリンがいる。だけどハリー、グリップフックに何を頼んだ?見返りに何を約束した?」さすが銀行員、ゴブリンのやり方はお見通し。けれどハリーにはそれを打ち明けることができません。
「ハリー、聞いて。これだけは言わなきゃ。もしきみがグリップフックとある取り引きをして、しかもそれが宝と関係あるなら、気をつけろ。所有権とか報酬とか返済とか、そーゆーのの考え方って、ゴブリンとぼくらじゃぜんぜん違うんだよ。彼らは異なった種族。ぼくらの常識は通じない。魔法使いとゴブリンは大昔から仲が悪かった。魔法使いが無実だって言うつもりはない。過ちは両方にあった。とにかく、特にグリンゴッツで働いているゴブリンは、ゴールドと宝に関しては魔法使いを信用しない。ゴブリンと一緒に過ごさないとわからないことなんだよ。ゴブリンにとって、たとえそれがどんな品物であろうと、正当な所有者はそれを作った者なんだ、ぼくらは買ったつもりでも、彼らは貸したと思ってる。ゴブリン製品はすべて、ゴブリンが所有者なんだよ。だから彼らは、ゴブリン製品を魔法使いから魔法使いへ受け継ぐなんてこと、理解してくれない。ティアラだってギラギラ見てたじゃん?グリップフックは強硬派。買った人間が死んだら宝はゴブリンに返却されなきゃおかしいって思ってる。・・・だからさ、気をつけて。約束破ったら、グリンゴッツに強盗に入るよりもっと危険な目に遭う」
ビルったら、どこまで見当つけてるんでしょう?
忠告をありがとうと言いながら、皮肉なことを思います。ぼくは、テディ・ルーピンの向こう見ずなゴッドファーザーになるんだな、シリウス・ブラックがぼくの無鉄砲なゴッドファーザーだったように。

【メモ】

ラグナック1世さん、これは剣を作ったゴブリンさんですね。

シーラベンダー、これはリモニウムっすね、キレイなお花っすよ。

ゴブリンを騙そうと提案するロン、等身大で好きですねー(笑)。正義を貫くハーも好きです。
そして、いつもはトリオの成長ぶりに感動するさるおですが、ここはフラーの描き方もステキ。オトナになるって、こーゆーことかと。
彼女はフランスの名門ボーバトンのチャンピオンだった人です。超危険なトライウィザード・トーナメントに立ち向かった勇敢で頭のいい魔女です。偽マッドアイも言ってました、フラーは"妖精版マッドアイ"だって。フラー・デラクール(宮廷の花)の名を持つ令嬢にしては、お転婆きわまりない、スゴイ人なんだ(笑)。ところが今はご結婚されて、立派な"オトナ"なんですね、だから、彼女なりに自分より年下のコドモらを守ろうという保護者的な気持ちが働いているんだと思います。そんでモリー的になっちゃう。よくわかります。オトナになるって、そーなんだよなぁ。
ま、もちろん、いざとなったら彼女は暴れまくって強いと思うけど(笑)。

心ゆくまでさるお、もんち!

2007年11月12日

さるおのハリポタツアー Harry Potter and the Deathly Hallows Chapter 24 (2)

さるおです。
スーパーポッタリアンなので、愛を込めて、さるおのハリポタツアーは、きわめて重要な面会に参加します。
『DH』の完全ネタバレです。コメント欄も含めて、すごーくご注意ください。
ハリポタ辞典のもくじはこちらです。

グリップフックはまだグリフィンドールの剣を握りしめています。つっけんどんに怒っているような、好奇心が入り交じったような、そんな表情です。土色の肌、細くて長い指、黒い目。ハウスエルフよりもほんの少しだけ背が高く、人間よりもずっとでっかい頭。素足が汚れています。フラーが靴を脱がせたんすね。
「起こしてごめんなさい。えっと、覚えてないかもしれないけど・・・」
「覚えてる。おまえが初めてグリンゴッツに来た日のことなら、覚えてる。私がおまえを金庫室に案内した。ハリー・ポッター、おまえはゴブリンの間でも有名だ」
ハリーとグリップフックは見つめ合います。そう、相手はゴブリン、仲良くするんじゃなくて"取り引き"をしないとね。
「おまえは、あのエルフを埋葬した。私はそれを窓から見ていた。おまえは変わってる。ハリー・ポッター、あんたは変わり者だ。自分の手で墓穴を掘るなんて」グリップフックの口調は、思いがけないほどに意地悪な感じ。マグルみたいにスコップで掘ったからバカにされたのかと思いました。
「それに、おまえはゴブリンをたすけた。私を、救ってくれた。おまえは変な魔法使いだよ」
読者にはちゃんとわかります。魔法に頼らずエルフを埋葬したハリーを、自分を救った魔法使いを、グリップフックは彼なりに評価してくれてるんですね。でもこーゆーときのハリーさんは鈍い(笑)。

「えっとね、とにかく、たすけてほしいんだ。ぼくら、グリンゴッツの金庫室に入りたいの」
額の傷跡が痛い。目を閉じると、また見えます。見慣れた、懐かしいお城が。
「グリンゴッツに押し入るぅー?無理、それは無理だ!」グリップフックもびっくりの、まさかの強盗予告。
「不可能じゃない、過去にあったじゃんか」ロンがハリーの味方をします。
「そうだよ。ぼくが初めてあなたに会った日、7年前のぼくの誕生日だよ」
「それは違う。あのときあの金庫は空だった。だからプロテクションは最小限だった」
「ぼくらが入りたい金庫は空っぽじゃないけど、えっとね、レストレンジ家のやつなの」
ロンとハーもびっくり。
「不可能だ、絶対無理。If you seek beneath our floors, a treasure that was never yours...(地面の下まで探しても、宝は決しておまえのモノにはならない)」
「Thief, you have been warned, beware.(泥棒よ、警告したぞ、気をつけろ)でしょ、わかってるよ。どろぼうするんじゃないんだ。信じてよ」
グリップフックはハリーを観察しています。そしてこう言います。「銀行に押し入っといて盗まない、そんな魔法使いがいるとすれば、おまえしかおらんね、ハリー・ポッター。ゴブリンもエルフも、今夜あんたが見せてくれたようなリスペクトを"杖を持つ者"から受けたことはない。"杖を持つ権利"はずっと前からゴブリンと魔法使いの間で争われてきた。杖の秘密を他種族と共有することを、魔法使いどもは拒んだ!ゴブリンが魔力を発展させる道を断ってしまったんだ!」
「ゴブリンって杖がなくても魔法使えんじゃん。それに、ヒミツ持ってるのだって同じ。剣とか鎧とかさ、ヒミツの精練方法で作ってんじゃんか」と余計なことを言うロン(笑)。「まぁまぁまぁ、それはどーでもいいじゃない。魔法使い対ゴブリンとか、そーゆー話じゃなくってさ」とグリップフックをなだめたいハリーさん。
「ふん!問題はまさにそれだ!ダークロードが再び台頭してきた。グリンゴッツは新政府の支配下に落ち、ハウスエルフが殺される。なのにおまえら魔法使いどもはあいかわらず無駄に威張ってばかり!"杖を持つ者"の中には抵抗してやろうっちゅー骨のあるヤツはおらんのか!」
「あたしたちがいるわ!」
来たぁーっ!ハーちん、かっこええ!
「あたしたちが抵抗してる!あたしだってゴブリンやエルフと同じくらい狙われてるんよ!あたしなんかね、"穢れた血"なんだからっ!」
「自分で言うな」ロン、渾身のツッコミ。
「何よ!マッドブラッドで結構。誇りに思うくらいだわ!今じゃあたしの方があなたより指名手配の上位なんなんだから、グリップフック!だからまるほい邸であいつらが拷問相手に選らんだの、あたしだったんじゃん!」
ハーは自分の首を見せます。そこには、ベラ姐に切りつけられた血のネックレスが、今も深紅のまま残っています。えーん、ハーちんも満身創痍。
「ドビーを自由にしたのは他でもないハリーなの!あたしら、長いことエルフ解放活動をしてるんだから!あたしら、ヘビ男を倒したいって、あなたよりずっと強く思ってるんだからね!」
"Society for the Promotion of Elfish Welfare"、通称SPEW、ロンちん立場無し(笑)。
グリップフックは、ハリーを見るのと同じような、興味深そうな顔でハーを見つめます。「金庫の剣は贋作、こっちがホンモノ。なのにレストレンジの金庫で何を探す?」そしてトリオを見て考え込みます。「あんたらは若すぎる、そして戦う相手が多すぎる・・・ちょっと考えさせてくれ」
もう休むと言うグリップフックの手から、ハリーはグリフィンドールの剣をそっと取り上げました。グリップフックは抵抗しません。わかってくれたような気もするし、やっぱり魔法使いを見るゴブリンの目には敵意が込められているような気もするし・・・。

「ハリー、あなたが考えてること、あたしが思ってることと同じかな?」
「うん。あねごの取り乱しようって、そーゆーことじゃん?ぼくらが金庫に入ったって思って、そこにはきっと見られちゃいけないモノがあって、盗まれたりなんかしたら、ヘビ男に怒られるんだよ」
「でもさ、ぼくらが捜し回ってたのって、ヘビ男ゆかりの地だったじゃん?」
額の傷跡が痛いけど我慢して、オリバンダーさんと話す前に、ロンとハーにわかってもらわなきゃ。
「ヘビ男ってマグル界で育って、魔法界の遺産なんかなかったからさ、学校入るときにダイアゴン横丁行って、初めて銀行見たわけじゃん。そしたらさ、ぼくもそーだったけどさ、こりゃすげーって驚くわけよ。ほんで、カギ持ってる人いいなって、カギ持ってたら魔法界の一員って感じだよなって、思ったんだと思う。ヘビ男ってあねごの旦那さん信頼してて、ヘビ男が失脚した後もちゃんと自分を探してくれたの、あの夫婦だけなんだよね。ただ、あねごにホークラックスの秘密はしゃべってない。ドラコのとーちゃんに日記のこと言わなかったのと同じだよ。でも、金庫にちょっとモノ置かせて、とかは言ったと思う。ハグリッドが言ってたもん、ホグワーツを除けば、いちばん安全な場所はグリンゴッツだって」
今ではヘビ男のことがよくわかるようになったハリーさん、本当は、ダンブルドアのことをもっと理解できてたらなぁ。

次にトリオはオリバンダーさんに会います。
痩せこけて、弱々しく疲れ切ったオリバンダーさん。くぼんだ眼窩の銀色の瞳がずいぶん大きく見えます。
「オリバンダーさん、休んでるのに邪魔してごめんなさい。ぼくら、たすけてほしいんだ」
「キミたちは私らを救ってくれた。私は自分があの場所で朽ち果てる運命だとあきらめていた。どれほど感謝しているか、言葉には表せない。どんなことでも手伝わせてもらうよ」
ハリーにはわかっています。ヘビ男を食い止める時間はもうほとんど残されていません。傷跡が痛い。なんだか焦ってきます。でも、先にグリップフックと話すって言ったとき、もう決断したことなんだ。
首に掛けたハグリッドのポーチから折れた杖を取り出します。
「オリバンダーさん、これ、なおせる?」
「ヒイラギ、フェニックスの尾羽、11インチ、美しくしなやかな杖・・・えっと、残念、なおせない。こんなんなっちゃうと、どーにもならん」
想定内ですが、やっぱりちょっとがっかり。ハリーはポーチに杖をしまいます。オリバンダーさんはそれをじっと見ています。
ハリーはまるほい邸で奪ってきた2本の杖をポケットから出します。
「この2本はどう思う?ぼくが使えるかな」
「クルミ、ドラゴン、しっかりした杖だ。12と3/4インチ、これはベラトリクス・レストレンジのものだった。こっちはサンザシとユニコーン、ちょうど10インチ、適度な弾力がある。ドラコ・マルフォイ君のものだった」
「"だった"?」
「きみが取り上げたのなら、おそらくもうきみのものだろう。取り上げ方にもよるし、杖が決めることだが。杖は持ち主を選び、ときに、持ち主を変える。勝ち取られた杖は、その勝者を新たな持ち主として選ぶものだ。杖の所有権は、繊細な法則に支配されているが、力で奪い取った杖は、たいてい新しい主人に頭を垂れる」
なるほどー、杖を研究し伝承する者(杖職人)はこーゆー原理を知ってるんですね。
「たとえ杖に選ばれなくても、もちろん使うことくらいはできる。でも本当の力を最大限に発揮するには、杖と持ち主は強く結ばれていなければならない。杖と持ち主、お互いが経験を積み重ね、杖は魔法使いから学び、魔法使いは杖から学ぶ。そーゆーもんなんだよ」
ロンもオリバンダーさんに杖を見せます。
「チェスナッツ、ドラゴン、9と1/2インチ、私が誘拐されてすぐにピーター・ペティグリューのために作らされた脆弱な杖だ。きみが勝ち取ったのであれば、きみの言うことを聞く」
「その法則ってすべての杖に当てはまるの?」
「私はそう考えてるよ、ミスター・ポッター」
「ってことは、必ずしも前の持ち主を殺さなくても、奪いさえすれば新しい所有者になれるってこと?」
「・・・なんておそろしいことを・・・"殺し"など必要ではない」
「でも、伝説は?ある杖が、複数かもしれないけど、手から手へ、殺人によって受け継がれてきた、そーでしょ?」
ドキドキする質問です。額の傷跡もめちゃめちゃ痛い。ヘビ男は、ついに動こうとしている。
「・・・その杖は、1本だけだ」
オリバンダーさん、青ざめてます。何か、とても怖れている。
「そしてその杖を、ヘビ男は欲しがった」
「・・・なぜだ・・・なぜそれを知った?」
「ヘビ男はまずあなたから、兄弟杖の弱点を克服する方法を聞き出そうとした」
「私は・・・私は・・・拷問されて、知ってることを話すしかなかった、わかってくれ」
「わかってます。それはわかってる。で、あなたは誰かに杖を借りればいいっておしえた。けれどそれはうまくいかなかった。ぼくの杖は、その"借り物"もやっつけた。どーしてなのか、理由はわかりますか?」
ハリーがあまりにも知りすぎているので、オリバンダーさんびっくりです。ほとんど怖がって、震えながら、わからないと言います。
「ヘビ男は、ぼくの杖が"借り物"もやっつけたからすごく怒って、伝説の杖のことをあなたに聞いたんでしょ?」
「・・・なぜそれを知っている?・・・ヘビ卿は私の知識のすべてを欲しがった。"Deathstick"(死の杖)とか"Wand of Destiny"(運命の杖)とか"The Elder Wand"(ニワトコの杖)とか、いろいろ呼び名のあるその杖について」
これには、信じてなかったハーちんがびっくり。
「ヘビ卿はかつて、私が作った杖に満足していた。イチイ、フェニックスの尾羽、13と1/2インチ。兄弟杖のあの現象に出会うまでは。今はより力強な杖を探している、それを使えば、おまえを倒せると思っている」
「でも、どうせもう兄弟杖は存在しないって気づかれちゃう。"Priori Incantatem"・・・ハーちんの杖、まるほいんちに置いてきちゃったもん、調べられたらバレちゃうよ、ハーちんの杖がぼくのを破壊して、その後修理しようとしたって」
またしても罪悪感に駆られるハーです。
「ヘビ卿は、おまえを倒すためだけにニワトコの杖を探しているわけではない、ミスター・ポッター。その杖の所有者になれば、本当の意味で無敵だと信じているんだ。しかし、ニワトコの杖の所有者は、常に襲撃を怖れるようになる、そーゆー運命だ。ま、それがヘビ卿の持ち物になったら、実際問題、太刀打ちできないだろうけど」
ハリーは突然思い出します、初めてオリバンダーさんに会ったとき、あんまり好きになれないなって思ったんだっけ。そしてそれは今も変わらない、"わるもんがニワトコの杖の所有者になったら"という考えを嫌悪しながら、同時に魅了されているように見えるんですね。強力すぎるその杖をわるもんが所有したら大変、でも研究する立場から見れば、たしかに魅力的な杖です。
「ニワトコの杖を受け継ぐために、必ずしも殺人が条件かどうかはわからない。しかし歴史は血塗られている。あまりに魅力的なために魔法使いたちが殺人も厭わないほどに追い求めた結果というだけかもしれないが・・・」
「オリバンダーさん、ヘビ男に、グレゴロヴィッチが今のニワトコの杖の持ち主だっておしえたんでしょ?」
オリバンダーさん、驚愕のあまり顔面蒼白をとーりこして真っ青っす。
額の傷跡が焼ける。目を閉じると、まだ暗い(ここより北に位置するので)ホグズミードのメインストリートが見えます。
「遠い昔、噂が流れた。ニワトコの杖をグレゴロヴィッチが持っていると。私は、噂を流したのがグレゴロヴィッチ本人だと思っている。ニワトコの杖を調べつくした職人が作る杖となれば、バカ売れまちがいないしだから」
「オリバンダーさん、最後にもう1つだけ。"ですりーはろうず"って知ってますか?」
あれれ?オリバンダーさんはきょとんとしています。ハリーはその表情を見て、演技じゃないと考えます。「どうもありがとう。もう休んで、オリバンダーさん」

ふたりとの面会は終わりです。ダイニングキッチンでは、ビル、フラー、ルナ、ディーンが紅茶を前に座っています。そして顔を上げてハリーを見る。
ハリーはうなずき返しただけで、そのまま庭へ出ました。ドビーが眠っている赤土のお墓までやってくると、ロンとハーに向き直ります。
頭がかなーり痛い。押し寄せるイメージから心を閉ざすのに一苦労です。もう、とても疲れたよなぁ。でも、あと少し。ほんの少し、激痛に耐えて、ロンとハーに説明しなきゃ。
「ずっと昔、グレゴロヴィッチがニワトコの杖を持ってた。だからヘビ男はグレゴロヴィッチを捜してた。でも、居場所を突き止めたときにはもう、グレゴロヴィッチは何も持ってなかった。グリンデルバルドに盗まれたんだよ。グレゴロヴィッチが所有者だってことをどーやってグリンデルバルドが知ったのかはわからないけど。噂を流したりしたんなら、知るの簡単だっただろうし」
ホグスミードを抜け、ホグワーツの校門に立つヘビ男が見える。
「グリンデルバルドは自分が無敵になるためにその杖を使った。そしてグリンデルバルドが頂点に立ったとき、ダンブルドアにはわかったんだ、彼を止められるのは自分しかいないって。ほんでグリンデルバルドと決闘してやっつけて、ニワトコの杖を奪ったんだよ」
「ダンブルドアがニワトコの杖を持ってたってこと?ほんなら今どこにあんの?」とロン。
「ホグワーツ」
ハリーさん、そろそろ体力の限界っす。
「んじゃ早く行かなきゃ!ハリー、今すぐ行って、ヘビ男より先にみつけなきゃ!」
「もう間に合わない。ヘビ男は今ホグワーツに着いたよ」
ハリーさん、倒れそうですよ。
「ハリー!いつから知ってたんだよ、なんで時間を無駄にしたんだ!なんでグリップフックと先に話したんだってば!ほんとはもっと早く行けたんじゃんか!今からだってさ、行こうよ!」ロンの声、ほとんど怒ってます。
「違う。ハーちんが言ったとーりなんだよ。ダンブルドアは杖の取り合いを望んでない。彼はぼくに、ホークラックスを見つけろって、それがダンブルドアの求めたことなんだ」
ハリーさん、とうとう芝生に膝をついてしまいました。
「ほんなこと言ったって、無敵の杖じゃんよー!」

地平線の彼方から、朝陽が昇る。湖に向かって、すべるように進んで行くぜ。横にいるのはスネイプだぜ。
「ほなまたあとで、城でなー。今はひとりになりたいねん」
スネイプさんは頭を下げて踵を返します。黒いマントがなびいている。
ゆっくり歩く。スネイプの姿はもうありません。Disillusionment Charmを使うと、自分にも自分の姿が見えなくなりました。そして湖のほとりを歩き続ける。愛すべき城が見えます。最初に手にした王国、ホグワーツ。
湖のほとりの白い大理石の墓が、懐かしい風景を無駄に汚している。この墓石を破壊して、それを手に入れる。その最後の偉大な所業に、イチイの杖はなんとふさわしいことか。
墓石が真っ二つに割れる。中には、生きているときと変わらず、背が高く痩せた遺体が布で覆われています。埋葬布がするりとほどける。半透明の、青白い顔。眼鏡も生前のようにかけられています。ざまーみろだ、ダンブルドアをあざ笑うっちゅーのはいと愉しーや。
胸の上で組まれた両手、そこに、それは固く握られていた。
老いぼれた愚かなじじぃや、大理石やとか自らの死で、あの杖を隠せるとでも思ったんか、あほんだら。
蜘蛛のような手が、その杖を無理矢理奪い取る。
杖の先からスパークがほとばしり、最後の所有者の亡き骸に降り注ぎました。杖は、新しい持ち主に仕える準備を整えたのです。

【メモ】

If you seek beneath our floors, a treasure that was never yours. Thief, you have been warned, beware. Of finding more than treasure there.
床の下まで探しても、宝は決しておまえのモノにはならない。泥棒よ、警告したぞ、気をつけろ。おまえは宝より恐ろしいモノを見つけることになる。
この懐かしい文章。"more than treasure"(宝以上のモノ)はもちろん地下に潜むドラゴンのことです。が、『DH』ではいったい何を指すことになるのかな。

心ゆくまでさるお、もんち!

2007年11月08日

さるおのハリポタツアー Harry Potter and the Deathly Hallows Chapter 24 (1)

さるおです。
スーパーポッタリアンなので、愛を込めて、さるおのハリポタツアーは、また号泣しながらドビーを送り、ハリーと一緒に、決意も新たに進みます。
『DH』の完全ネタバレです。コメント欄も含めて、すごーくご注意ください。
ハリポタ辞典のもくじはこちらです。

24:The Wandmaker

「ドビー・・・ドビー・・・」
名前を呼び続けます。テニスボールの瞳に夜空の星を宿したままその薄い胸をナイフに貫かれた友人の名前を、呼び続ける、もう戻って来ないとわかっていても、呼び続けます。
ビル、フラー、ディーン、ルナが集まってきました。ハーはロンに連れられコテージの中です。
ハリーは手を伸ばしてドビーの胸に刺さった銀のナイフを引き抜きます。そして自分の上着で、大切にドビーを包み込む。波の音が聞こえています。
ディーンはグリップフックをシェルコテージに運び、フラーもそれを追い、ビルがエルフを埋葬しようと言います。そうだね、そうしよう。
ハリーの額の傷跡は焼けるように痛いままです。ヘビ男がまるほい邸で、お仲間を罰しているのが見えます。そのヘビ男の強烈な怒りさえ、今はかき消されていきます。ドビーを失った悲しみのほうがとてつもなく大きい。
「ちゃんとしてあげなくちゃ。魔法は使わないよ」
ハリーはスコップで穴を掘ります。シェルコテージの庭の外れの茂みの間に、ドビーが眠るお墓を、たったひとりで一心に掘る。魔法なんか使いたくない。せめて自分の身体を使ってドビーを送らなければ、だめなんだ。汗が流れ、手のひらにマメができても、一心不乱に掘り続けます。命を救ってくれた友人ドビーを、できるかぎりの誠意で送ろう。額の傷跡が激痛だけど、かまうもんか。

そうです、ついにハリーは"Occlumency"を習得したんですね。
ハリーがシリウスの死に涙を流しているとき、ヘビ男はハリーの心に入ってくることができなかった。あのときと同じです。今、ドビーの死を悲しんで、ハリーは"Occlumency"を使っているんですね。"深い悲しみ"、ダンブルドアはこれを"愛"と呼んだけれど、この"深い悲しみ"がヘビ男を遠ざけている。
冷たく固い大地が、汗といっしょにハリーの悲しみを吸い込んでいきます。額の傷跡の痛みも消えていく。深く掘った穴の暗闇の中で、自分の息づかいと波の音だけが聞こえます。
ですりーはろうず、ホークラックス、ですりーはろうず、ホークラックス・・・
穴を掘るリズムに重なります。
ですりーはろうずを求める強烈な気持ちも、怖れも、喪失感も、消えていきます。そしてまるで平手で頬をぶたれたように、今、はっきり理解した、今夜、何が起きたのかを。ヘビ男が今夜訪れた場所、会った人物、それが意味することを。"Nurmengard"の塔のてっぺんの独房で、ヘビ男が殺害した人物が誰なのか、そしてその理由。
ワームテイルのことも頭をよぎります。ほんの一瞬情けをかけたために死んだネズミ男の運命を、ダンブルドアは見抜いていた。
ダンブルドアは、いったいどこまで知っていたのか。
ロンとディーンが戻ってきました。ハーは徐々に回復しているらしい。フラーが介抱してくれているみたいです。
ハリーは一瞬、「なんで魔法でカンタンにお墓作んないの?」と質問されるんじゃないかと身構えます。でも、そんなことない。ロンとディーンはそれぞれスコップ片手に、穴に飛び込みました。そして3人で、また一心に穴を掘る。

墓穴の底に横たえたドビーを、ハリーは上着で丁寧に包み直しました。ロンは靴と靴下を脱ぐとドビーの裸の足にそっと乗せました。ディーンは杖を振って毛糸の帽子をつくり、ハリーはそれをドビーの頭にかぶせ尖がった耳を優しく覆いました。
みんなが集まってきます。外套を着たビル、大きな白いエプロンをしたフラー、フラーの茶色い部屋着を羽織ってまだちょっとフラフラしているハー、フラーのコートを着ているルナ。ハーをロンが支えます。
ルナは屈み込み、ドビーのまぶたに優しく手を置き、その大きな目を閉じます。「これでもう眠っていいのよ」
最後にもう一度だけ、茂みの隙間に粗っぽく掘られた墓穴の中の小さな友人を見下ろします。ハリーさん、ほとんど泣き崩れそうです。
幾重も並ぶ金色のベンチ、荘厳な白い大理石の墓石、大臣も来て、輝かしい功績が朗誦されて・・・ドビーの命だって、ダンブルドアの葬儀みたいなのに値するのに。ほんとはもっとちゃんとやってあげなきゃいけないのに。

「言葉を贈ろうよ」ルナが言います。「ありがとう、ドビー、私たちをまるほい地下室から救ってくれてありがとう。あなたが死ぬなんて不公平。あなたがしてくれたことを忘れません。幸せに眠ってね」
「ありがとう、ドビー」「ありがとう」
ハリーも言います。「さよなら、ドビー」
ビルが杖を振ると、土がばっさりとドビーにかかります。そこは、赤土の、小さなお墓になりました。
みんなはコテージに歩き出し、ハリーはひとり残ります。
波に磨かれた大きな白い石を拾い上げ、枕のように、ドビーの頭があるあたりに置きました。そしてポケットの2本の杖の、短いほうを取り出して石に向かいます。こーゆーのはハーのほうが上手だけれど、ぼくが刻む。
HERE LIES DOBBY, A FREE ELF.
(自由なエルフ・ドビー、ここに眠る)

「・・・ジニーが休暇中でよかった。ホグワーツにいたら捕まっちゃってたよ」
ハリーがコテージに戻ると、ビルがみんなに話をしているところです。そしてハリーにも向かって、こう言います。「ウィーズリー家はミュリエルおばさんちに避難した。ロンがキミと一緒だって知られちゃったから、DEに狙われててさ。キミを責めてるわけじゃなくて、時間の問題だったんだ。パパもずっと前からそー言ってた。うちらって、最大の"裏切り者"一家だからさ。おばさんちには"Fidelius Charm"をかけてある。シークレットキーパーはパパ。ここ(コテージ)も同じだよ、ここのシークレットキーパーはぼく。もう仕事に行けないけど、今となってはそんなの大事じゃないしね。オリバンダーさんとグリップフックさんが回復したらおばさんちに連れて行こうと思うんだ。ここは狭いけど、彼女んちはでっかいから。フラーが"Skele-Gro"飲ませたから、グリップフックの足ももうすぐ治るし」
思いがけず、ハリーはこれに反対します。「だめ!ふたりと話があるんだ、大事なんだよ」ハリーの声は確信に満ちてしっかりしています。口調にも決意が表れています。
みんなびっくりして困惑顔です。
小さなキッチンで、血と泥にまみれた手を洗う。窓の向こうには海が広がり、シェルピンクとゴールドを混ぜたような朝陽が輝こうとしています。
もう、ドビーはおしえてくれない、誰がドビーをあの地下室に送ってくれたのか。でも、見たんだ、人の心を射貫くような、あの青く輝く瞳を。"Help will always be given at Hogwarts to those who ask for it." ホグワーツでたすけを求める者に、必ずそれは訪れる。
もうすぐ、ゴールはすぐそこまで近づいてる。
額の傷跡が疼きます。ヘビ男も同じ、核心に迫っている。
校長先生、あなたはロンにデルミネーターを与えた。わかってたんだ。ロンに戻る道をおしえたんだ。
校長先生、あなたはワームテイルのこともわかってた。彼の心に後悔のかけらが残っているって知ってたんだ。
校長先生、あなたはぼくの何を知ってる?
ぼくの使命は何だったの?探索?そーじゃなくて、理解すること?
ぼくの気持ちを知ってただろうか?どんなに辛かったか、知ってただろうか?あなたは、知っててこんなに難しくしたのか?

水平線から明るい光りが溢れ、太陽が昇る。
額の傷跡は怒っています。ヘビ男の見ている映像が、心の中に閃きます。見慣れた、懐かしい建物の輪郭。
ハリーは廊下に戻ります。「グリップフックさんとオリバンダーさんに話があるんだ。待てないんだよ、今すぐ話さなきゃ。プライベートで。ひとりずつ」ハリーは感情を出さず、とても事務的な口調です。
「ハリー、どーなってんだい?死んだハウスエルフと意識不明のゴブリンを連れて来て、ハーさんなんか拷問にあったみたいだし、何があった?ロンは一言も説明してくれないし」ビルも心配しています。
「言えないんだよ」ハリーははっきりと言いました。「ビルはオーダーだから知ってるでしょ、ダンブルドアがぼくたちにミッションを残したって」
ビルはじっとハリーを見つめ、そして言いました。「わかった。どっちからにする?」

ハリーは迷います。ホークラックスか、それとも秘宝か。
そして決めた。「グリップフック」
「ならこっち。おいで」ビルが歩き出します。ハリーは後ろを振り返り、「ロンちん、ハーちん、一緒に来て」と呼びかけます。ロンとハー、遠慮がちに様子をうかがってたんですね。ハリーに呼ばれてなんだかほっとしてるみたい。
「ハーちんだいじょぶ?あんなに目に遭ったのにあの筋書きを思いつくなんて、ハーちんってすげぇ」ハーが少し微笑みます。
階段を上がると、ドアが3つ。新婚さんの寝室に入ります。ここも海を望んで、朝陽を受けてキラキラと、こじんまりとしていい部屋です。
ハリーは海に背を向け窓辺に立ちます。ハーは椅子に、ロンは椅子の肘掛けに腰掛けます。
ビルはゴブリンを抱いて来ると、部屋を出てドアを閉めました。

【メモ】

"spade"はほんとは"鋤"(すき)です。日本語で鋤だとあまりに"農"の香りがするので、そしてこれは"スペード"の形の道具ということで、勝手にスコップと書きました。

"a small, reddish mound"
出たぁーっ!"赤いお墓"!これだったんすね、3つ目は!(詳しくはこちらをご覧ください)
ということで、さるおはこの時点でハグリッドが死なないことを確信します。Joが発売前に言っていたことの一部はこれっすね、きっと。

"Skele-Gro"、懐かしい!フラーはマダム・ポムフリーと同じことできるんすね、すごいなぁ。

"Help will always be given at Hogwarts to those who ask for it."
ダンブルドアが言ってました、一言も聞き漏らさないように、とてもゆっくりと、とてもはっきりと。"I will only truly have left this school when none here are loyal to me." 私は決してホグワーツを去らない、私に忠実な人間がいなくならないかぎり。

心ゆくまでさるお、もんち!

2007年10月17日

さるおのハリポタツアー Harry Potter and the Deathly Hallows Chapter 23 (2)

さるおです。
スーパーポッタリアンなので、愛を込めて、さるおのハリポタツアーは、あまりに絶体絶命すぎて、恐怖のあまり、タイムボカン化します。というか、ヤッターマンです。やっておしまい!アラホラサッサ!
そして号泣。本当に本当に、涙が止まりません。
『DH』の完全ネタバレです。コメント欄も含めて、すごーくご注意ください。
ハリポタ辞典のもくじはこちらです。

ベラ姐、登場。「お〜や、この娘は、穢れた血、グレンジャーだねぇ〜」
「隣にいるのはポッターだ!」
「ポッター?本当だろうね?ならばすぐドクロベーさまに知らせるんだよぅ〜!」
ベラ姐が袖をまくりあげる。Dark Markが見えます。
「私が呼ぼうとしていたのに!」まるで小学生のようなルシウス(笑)。ベラの手首をつかみます。
「ベラ、ヘビ男様は私が呼ぶ。ポッターはここに連れてこられた。ここは私の屋敷だぞ。勝手な真似をするな」
「勝手な真似だって!生意気なこと言うねぇ〜!ボヤッキー、その手をおはなしよぉ〜!」
「まるほいさんよー、ポッターを捕まえたのはオレたちだぜ。賞金を頂戴するのはオレだってことを忘れてもらっちゃ困るねぇ!」
「賞金!そんなものはくれてやるさ、ハイエナめ。あたいが賞金目当てだとでも思ったのかい、トンズラー?バカ言うんじゃないよ、あたいがほしいのはドクロベーさまから与えられる名誉さ!」
DEのみなさま、仲間なんだからケンカしなきゃいいのに、まるでバラバラ。

ドロンジョさまは、急に動きを止めます。目の届かないところにある何かをじっと見ている。彼女が抵抗をあきらめたと勘違いしたボヤッキーが自分の袖を引き裂きます。
「ちょっとお待ちよぉ〜!」ドロンジョが金切り声で叫びます。
「今ドクロベーさまを呼ぶんじゃないよ!今ドクロベーさまが来たら、あたいらみんな、おしおきじゃないかぁ〜!」
Dark Markに触れる一瞬手前でボヤッキーが凍りつきます。
「それは何なのさ?」
「剣です、あねさん」
「あたいによこしな」
「あねさん、これはあねさんのじゃねぇ。オレたちのもんだ」
バンッ!
赤い閃光が走る。
仲間内でマジ喧嘩勃発。スナッチャーのひとりが気絶しています。スナッチャーの一団は怒りの雄叫びをあげ、剣とドロンジョの間に立ち塞がります。喧嘩上等!
ところが、ドロンジョはスゴ腕。しかも情け容赦ないあねさんです。ぼかんぼかんと、4対1を一瞬で制して圧勝。3人は意識不明で床に倒れ、オオカミ男トンズラーは両腕を広げて膝をつく。ドロンジョは剣を奪い取り、トンズラーに迫ります。
「トンズラー、これをどこで手に入れたんだい?」ドロンジョが囁きます。
「ちくしょー、女め、オレを放せ!」トンズラーもついにドロンジョさまを"女"呼ばわり。
「この剣をどこで手に入れた?スネイプがグリンゴッツの私の金庫に入れたのにぃ〜!」ドロンジョの剣がトンズラーの鼻先まで迫る。
「こいつらのテントで見つけた」最強最悪のオオカミ男トンズラーでさえ、ドロンジョさまには逆らえないという、ベラ姐最強伝説。

(緊迫のシーンが台無しになっているようなので、ビックリドッキリメカ終了)

「ドラコ、このクズどもを外に出して片づけな。怖くてできないなら庭にでも転がしておくんだよ、後であたいが始末するから」
「姉さん、うちのドラコにそーゆー口のきき方しないでちょーだい!」
「お黙り!あんたは状況がわかってないのさ、シシー!困ったことになったね、このガキが本物のポッターなら傷つけるわけにもいかない。ヘビ男様はご自身でこのガキを片づけたいと思ってるんだから。・・・確かめないと・・・捕虜を地下室に閉じ込めるなさい!」
「ベラ、ここは私の家よ、命令なんか!」
「いいから急ぎな!どれほど危険な状況か、あんたはわかってないのさ!」
ナルシッサは少し迷ってから、グレイバックにハリーたちを連れて行かせようとします。ところが、「お待ち!穢れた血はここに残しな」
焦ったのはロンです。「だめ!ぼくがここに残る!ぼくが!」
うるせーなと言わんばかりにベラがロンをぶん殴る。「もしもこの娘が途中で死んだら、穢れた血の次に罪深い裏切り者のあんたを呼んでやるよ」そしてマントの下から小さな銀のナイフを取り出し、ハーの髪の毛をぐいぐいつかんで部屋の中央に引きずって行きます。
グレイバックとしてはハーを自分にくれたらいいのにと残念に思いながら、ハリーたち地下に連れて行きます。
そこは、湿っぽくてカビ臭い部屋。グレイバックは真っ暗闇にハリーたちを置き去りにして扉をバタン!と閉めました。そして扉の閉まる音の反響が鳴り止むより早く、階上からはあまりに悲痛なハーの絶叫が。
「ハーちーんっ!ハーちーんっ!」力の限り、ロンが叫ぶ。
「静かにして!何とかここから抜け出す方法を考えよう、ロン。ロープを外さなきゃ」
「ハーちーんっ!ハーちーんっ!」ロンは叫び続けます。
すると、「ハリー?ロン?」暗闇からささやく声は、「ルナちん?」
ハリーには捕まってほしくなかった、と言うルナ、やっぱり彼女も戦っていたんすね!
暗闇の中でハリーたちのロープを外そうとするルナが「オリバンダーさん、水差しの近くに古いクギがあったと思うの。少し動いてくれるかな?」ぐわぁーっ!オリバンダーさん、おひさしぶりです。ルナはクギを使ってロープを切ろうとしてるんすね。
階上からはハーの悲鳴が聞こえ続けています。どうやらベラは「この剣をどこで手に入れたぁーっ!」と尋問と拷問を繰り返しています。負けるな、ハー!
ロンはハーをたすけたい一心で身もだえし、ルナは暗闇の中でクギを落としてしまいます。「ぼくのポッケ!ルナちん、ぼくのポッケにデルミネーターがあるんだ!」
クリック!
テントのランプから吸い取った光が、球体となってデルミネーターからふわりと出ます。ランプがないために元の場所に戻れず、ふわっと宙に浮いたまま、まるで小さな3つの太陽のように、地下室を光で満たします。
明るくなって初めて周りを見回せば、青白い顔のルナ、丸まるように倒れて動かないオリバンダーさん、血まみれ痣だらけのディーン、ぐったりしているゴブリンのグリップフック。
「嘘つけぇ!穢れた血め、私の金庫に入ったんだろ!他に何を盗んだ!白状しな!でないとあんたを切り刻むよ!」
ハーが悲鳴をしぼり出している。
ロープが床に落ちました。ロンが、壁を叩き、ハーの名を叫び、杖もないのに瞬間移動を試し、半狂乱になって走り回っている。こんなのあまりに痛々しい。
「出口がないのよ、ロン。あたしもいろいろ試したけど、無理。オリバンダーさんもあらゆる手段を試したって」
ハーの絶叫は止みません。その声はまるで自分の身体を貫くようで、ハーの苦痛を感じるほど。ハリーの額の傷跡はずっと前から激痛なのに、それを忘れるほどに、大切なハーが苦しんでいる。
「何を盗んだ!白状しな!Crucio!」
ハーの悲鳴が響き渡る。ロンが泣きながら、力いっぱいこぶしで壁を叩き続けます。
もうだめぽ。ハーが殺されちゃう。ハグリッドのポーチからスニッチを取り出して振ってみても、何も起きてくれない。折れたフェニックスの杖を振っても、何も起きてくれない。そしてあの鏡の破片が、きらりと床に落ち、明るく青く光った。「たすけて!まるほいんちの地下室にいるんだ、たすけてよ!」ダンブルドアの目がまばたいて、そして消えました。
今の光は?ダンブルドアの瞳は?
ハーの悲鳴はもう、今までにないほどに痛ましい。「ハーちーんっ!ハーちーんっ!」ロンが泣き叫ぶ。
「穢れた血め!どうやって私の金庫に忍び込んだ!地下室のゴブリンか!」
「初めて会ったのよ!金庫なんて知らない。これはニセモノよ!」ハーは涙声です。かわいそうだ。
「作り話を!」
「そんな嘘はすぐにバレるぞ!」ボヤッキー(しつこい)も参加。「ドラコ、ゴブリンを連れてこい。見分けさせればわかる!」
ハリーは慌ててグリップフックに駆け寄り、その尖った耳にささやきました「剣はニセモノだって言って!グリップフックさん、お願い!」
扉の向こうからドラコの声が聞こえる。「下がれ。後ろの壁に並んでろ。変な動きしたら殺しちゃうぞ!」
ロンが急いでデルミネーターをクリックします。地下室は元の暗闇に戻る。
ドラコは意を決したように地下室に入り、グリップフックを引きずって出て行きました。
バンッ!と扉が閉まると同時に、なんともうひとつ、バンッ!
ロンが再びデルミネーターで明かりつけると、そこにいたのは、「ド、ドビーさん!」
テニスボールのような大きな目を見開いて震えながら、「ハリー・ポッター、ドビーはあなたをたすけに来ました」と言います。
そう、ハウスエルフは(ホグワーツのように)魔法で瞬間移動が禁じられた場所でも、瞬間移動ができるんでした。「ぼくらを連れて、ここから瞬間移動で逃げられる?」ドビーは耳をヒラヒラさせながら頷きました。
「ドビー、ルナとディーンとオリバンダーさんを連れて逃げて」「ビルとフラーのとこに」場所を提案してくれたのはロンです。
「"Tinworth"(ティンワーズ)近くのシェルコテージだよ!」
ドビーは3度うなずき、オリバンダーさんの手を握り、もう一方の手をルナとディーンに差し出します。ルナもディーンも「手伝うわ!」「置いてけないよ」と言ってくれてますね。
「3人を連れてって、ほんで戻ってきて、ドビー」「もちろんです、ハリー・ポッター」「ルナ、ディーン、逃げて!ビルとフラーんちで会おう!」

ハリーの額の傷跡が、ものすごい痛みです。
床を見下ろす。オリバンダーさんではない、年老いて痩せた別の男が、嘲笑っている。
「私を殺せ、ヴォルデモート。よろこんで死んでやる。さぁ殺せ!しかし私を殺しても、おまえのほしいモノは手に入らないぞ。あのな、たくさんあるんだよ、おまえが理解していないことが」

ルナとディーンがドビーの指を握る。ぼかん!
「何の音だ?ドラコ、ワームテールに調べに行かせろ!」ボヤッキー(しつこすぎ)に音を聞かれてしまいました。
こーなったら明かりをつけたままにして、入ってきた瞬間にピーターをねじ伏せるんだ。ハリーとロンは左右に分かれて扉の横の壁にぴたりと背中をつけます。「下がって扉から離れてろ。入るぞ」扉が開き、ねずみ男びっくり。次の瞬間、ハリーとロンが飛びかかる!ロンが杖を持っている手を押さえ付け、ハリーは顔を叩いて口を塞ぐ。しかーし!ピーターの銀色の手が、抗えないほどの力でハリーの喉元にじわじわと伸びてきます。
「おまえの命を助けてやったんだぞ!おまえはぼくに借りがあるんだ、ワームテール!」
その声で、なんと、銀の手から力がなくなりました。いや、そうじゃない、銀の手は今、ピーターの喉を目指している。ねずみ男の小さな涙目が、驚きで見開かれ、恐怖で満たされています。ピーターは、ほんの一瞬、弱気になったんですね。ほんの一瞬、ハリーに情けをかけた。銀の手はそれを知っている。ヘビ男が臆病な奴隷に与えた銀の手は持ち主の喉を締め上げ、武器を奪われ敵に情けをかけた役立たずの裏切り者を殺そうとしているんです。
意外な展開に思わず、ハリーもロンもピーターをたすけようとします。ロンはピーターの杖をとり、"Relashio!"を試すけれど、これも効かない。
顔面紫色のピーターは膝をつき、眼球が上を向き、ビクっと痙攣すると、動かなくなりました。

ハーの悲鳴が合図のように、ハリーとロンは顔を見合わせると、ピーターを残して階段を駆け上がる。部屋をのぞくと、ベラが、剣を持ったグリップフックを見下ろしています。ハーはベラの足元に倒れて動きません。
「ニセモノです」
「本当だろうな!」
「ええ」
「よろしい」
ベラが、まるで何事でもないように杖を振る。グリップフックが顔に深い切り傷を負い崩れ落ちる。ベラは、倒れたグリップフックを、"邪魔な荷物"であるかのように、蹴飛ばしました。そして勝利の笑みを浮かべ、「ヘビ男様を召喚する!」と叫ぶと、袖をまくり、人差し指でDark Markに触れました。

ぐわぁーっ!頭が割れたっちゅーくらいに激痛っす!
目の前で、痩せ果てて歯の抜けた口が笑っている。
ハリー(ヘビ男)は、激しく怒っている。ほしいモノは手に入らない、その上、今オレ様を呼ぶとは!呼びつけといてポッターでなかったら、おまえら、おしおきだべぇ〜!(またドクロベーか)
「私を殺せ!ただし、おまえは勝てない。おまえは勝ち残ることができないぞ。あの杖は決しておまえの物にはならない」
怒り炸裂。緑の光が独房を満たし、その痩せた老人は、命を失った。

「トンズラー(ほんとにもう)、もうこの小娘に用は無い。好きにしな」
「させるかぁーっ!」
ロンが突進する。ベラが慌てて杖をロンに向けた瞬間、"Expelliarmus!"、ロンが吠える。ベラの杖は宙を舞い、ロンに続いたハリーがつかんだ!
"Stupefy!"
まずはボヤッキー(もうそれでいいや)あえなく敗北。
ドラコとナルシッサ、そしてグレイバックの杖から、同時にぼかーん!と呪文が飛んでくる。床に転がり閃光をかわし、ソファーの陰から見上げると、「そこまでだよ!杖を捨てな!おまえら、この娘が死んでもいいのかい!」
ぶはー、ベラ姐さん、ハーの喉に銀のナイフを押し付けてまんがな。「この娘の穢れた血を流してやろうか!」ハーの首筋に、血のネックレスが浮かび上がる。
ちくしょう、やっぱりもうだめぽ。ハリーとロンは、両手を上げ、杖を床に落とします。

ハリーには分かってる。ヘビ男が、荒れ狂う海を飛び越え、遥か遠くから、ここに来る。もう、逃げられない。

ドラコが杖を拾い上げます。
「シシー、この可愛いヒーローたちは縛っておくとしようかね。穢れた血のお嬢ちゃんはトンズラーに片づけさせるさ。トンズラー、これでドクロベーさまに認めてもらえるな」
すっかり落ち着いて上機嫌のベラ姐さんですが、どっかーん!なんと頭上のシャンデリアがチリチリと揺れ、チリンッ!ベラの真上に落っこってきたぁーっ!
ベラはハーを放して横っ飛び。シャンデリアは砕け散り、クリスタルの鋭い破片の雨が降る。あらまぁ、ドラコも血まみれ。
ロンが破片の海からハーを救出する。ハリーは思い切ってドラコの手から3本の杖を奪い取り、3本合わせてグレイバックに"Stupefy!"
"Stupefy"×3、さすがのグレイバックも吹っ飛んだ!
ナルシッサはドラコを引きずり部屋の隅に行こうとしている。ベラは髪を振り乱してさっさと立ち上がり、銀のナイフを構えた。あ、ナルシッサが自分の杖を構えてます、ドアに向かって。「ドビー!おまえの仕業かぁ!」おしとやかっぽいナルシッサが、ベラですら凍りつく、まさかの怒号。
ドビーは小走りで前へ進むと、震えながらも、かつての主人ナルシッサに指を突き出しました。「ハリー・ポッターを傷つけさせません」そしてナルシッサの杖を奪い取る。
「薄汚いサル公め!」ベラったらまたひどい怒りようです。「魔女の杖を奪うとは!無礼者!よくも主人を裏切ったわね!」ナルシッサも怒り心頭。
「ドビーに主人はいません。自由なエルフとして、ドビーはハリー・ポッターとおともだちをたすけに来ました!」

ヘビ男が来る。時間がない。

「行くんだ!」ハリーは杖を1本ロンに投げ、剣を握りしめたままのグリップフックをたすけ起こして肩に担ぎ、ドビーの手を掴む。
ぼかん!
暗闇が身体を飲み込みます。
最後の一瞬に振り向くと、ナルシッサとドラコが立ち尽くしているのが見える。ロンの赤毛が風になびくのも見える。そしてベラが、こちらに向かって、青く光るナイフを投げた。ナイフが空気を裂いて飛んでくる。ビルとフラーのところへ。行かなきゃ、シェルコテージへ。ビルとフラーの家へ・・・。
その場所は知らない。だから懸命に"シェルコテージへ"と祈る。
額が痛い。グリップフックが重たい。剣が背中に当たっているのを感じる。ドビーの小さな手がハリーの手の中でビクリと動く。
ドビー、シェルコテージにぼくらを連れてって。ハリーはドビーの手を強く握り返します。ドビーについて行くからね。

潮の香りがします。ハリーはドビーの手を放し、ぐったりしたグリップフックを優しく地面に下ろしました。
夜空で星がきらめいています。コテージらしきものがうっすらと見える。
「ドビー、あれがシェルコテージ?」
返事はありません。
「ここであってるよね、ドビー?」
返事はない。
見ると、ドビーがほんの少し離れたところに、立っています。その小さな身体が揺れる。テニスボールのような輝く大きな瞳は、キラキラと星たちを映しています。ドビーが、ハリーと同じモノを見ている、苦しそうに、その薄い胸に突き刺さったナイフを。
「ドビー!ドビー!たすけて!誰かたすけて!」力の限り叫びます。
たすけに来るのが、マグルだろうと、味方だろうと敵だろうと、かまわない。ハリーはドビーを冷たい草の上に横たえます。ドビーの胸に黒いシミがみるみる広がっていく。
「ドビー!ドビー!死なないで、ドビー!死んじゃだめだ!」
小さなエルフは、その大きな瞳でハリーを見つめ、両手を広げる。そして、震えながら、懸命に、言葉をしぼりだそうとします。
「ハリー・・・ポッター・・・」
そして、動かなくなった。
テニスボールの瞳に、もう見ることができない夜空の星を宿したままで。

【メモ】

あまりのショックにさるお呆然。今夜は泣きます。号泣です。

心ゆくまでさるお、もんち!

2007年10月13日

さるおのハリポタツアー Harry Potter and the Deathly Hallows Chapter 23 (1)

さるおです。
スーパーポッタリアンなので、愛を込めて、さるおのハリポタツアーは、またしても、絶体絶命。
『DH』の完全ネタバレです。コメント欄も含めて、すごーくご注意ください。
ハリポタ辞典のもくじはこちらです。

23:Malfoy Manor

「両手を上げて出てこいやぁ、ゴルァァァ!」
ハリーがかすかな輪郭だけのふたりを見る。ハーは杖を上げ、なんと、外じゃなくて、ハリーの顔に向けてます。
ぼかーん!
白い閃光が走り、あたたたたっ!顔が痛い!

「起きろ、虫ケラめ」
何人もの手がハリーを乱暴につかみ上げ、ポケットをかき回してサンザシの杖を取り上げました。しかーし、顔が痛くて無抵抗っす(涙)。両手で顔を覆ってますが、なんか知らんけど顔がね、ひどいアレルギーみたいに腫れ上がってまんがな。目なんか埋まっちゃってて、開けないし見えない、メガネなんかもうどっかいっちゃいました、まいった。やっとの思いでうっすら目を開けると、ロンとハーがそれぞれ4、5人の人影と大乱闘っす。
「彼女を放せーっ!」ロンが叫ぶ。
「彼を放してーっ!」ハーも叫ぶ。
ぼかんぼかんとロンが殴られています。ハーだってもうぐっちゃぐちゃですわー。
「リストにおまえのボーイフレンドが載ってたら、こんなもんじゃすまないぜ。美味そうな小娘だ。むはー」
あ!このザラついたた恐ろしい声は、フェンリル・グレイバック、出たぁーっ!ハリーは愕然とします。DEのマントを着ることを許された残虐なオオカミ男です。やばーい。
こいつら、テントの中も荒らしまくって捜索してますよ。

ハリーはうつ伏せに地面に放り投げられます。隣にロンがドサッと落ちてくる。ハリーは転がされて仰向けになり、杖の光が顔を照らします。
「なんだおまえ、醜い顔だな。バタービールで洗わなきゃだ、わはは。その顔はどーした?」
答えないとぼかんと殴る。
しょーがないから「刺されたんだ」と答えます。「名前は?」「ダドリー」「ファーストネームは?」「えっと、ぼく、バーノン・ダドリー」
ハリーさんてば、まさかの偽名(笑)。
「リストと照合しろ、Scabior」

お次はロンです。
「赤毛野郎、おまえは?」「スタン・シャンパイク」
「ばれちまったな。オレらスタンを知ってんだぜ。あいつはオレらの仲間さ」Scabiorさんがそう言い、またまたぼかんとぶん殴る。
「ぼく、バーディ」ロンの2つ目の偽名ですね。声を聞いてわかります、ロンの口の中が血でいっぱいです。「バーディ・ウィードリー」
しかーし、またまたばれちゃう。「ウィーズリーだと?」
「ほんじゃおまえは裏切り者だな」
「そして最後におまえらの可愛い小さなオトモダチ、むはー」
グレイバックめ、なんともぞっとする享楽的な口ぶりです。ハーちんがあぶない。
「この小娘はバーニー君より早く名前を言えるかな。お嬢ちゃん、あんたは誰だい?」
「ペネロペ・クリアウォーター」怯えてはいるけれど、ハーの声には説得力があります。「血筋は?」「ハーフブラッド」「調べればすぐにわかるぞ」「こいつら、ホグワーツの生徒じゃねーのか?まだガキだぜ」
「出てきた」なんとか割って入ろうとするロンちん。
「赤毛のにーちゃん、学校放り出してキャンプごっこか、あん?そんで、ヘビ男様を笑ってたんか?」
「笑ってない。ただのアクシデントだ」
「アクシデントだってよ、笑わせるぜ。ヘビ男様の名を口にする連中がどんなやつらかわかってっか、ウィーズリー?オーダーのやつらだよ」
「関係ないよ」
「オーダーってのはヘビ男様に逆らうやつらだ。このタブーの呪文でオーダーの何人かは居場所を突き止めたぜ。こいつらを他の2人と一緒に縛っとけ!」
トリオは乱暴に引きずられ、誰かわからない他の2人と一緒に背中合わせに縛られてしまいます。みんな杖を取り上げられて丸腰です。
「ぼくがいけなかったんだ。ぼくが名前を言ったから。ごめん」
「その声は、ハリー?」
「ディーン?」
ディーン・トーマスがハリーの真後ろから声をかけます。

「穢れた血が1人、逃亡中のゴブリンが1人、ズル休みしてる悪い子が3人。悪くねーな」
「ヴァーノン・ダドリーはリストに載ってねーぞ」
「興味深い、じつに興味深いね」グレイバックが汗と汚れと血の匂いをさせてハリーをのぞき込みます。
「ヴァーノン、ホグワーツでどの寮だ、言ってみろ」
「スリザリン」
「ははーん、おもしれぇ。談話室の場所も言えるかな?」
「地下牢。壁を通り抜けて入る。ガイコツとかガラクタだらけで、湖の下にあるから明かりは緑色」
「・・・オレら、本物のスリザリンの坊やを捕まえちゃったんか」
「おまえのおやっさんは?」
「魔法省で働いてる。Department of Magical Accidents and Catastrophesで」
たったひとつの小さな綻びですべてが崩れる綱渡りの嘘です。ところが。
「そーいやいたね、ダドリーっちゅーのが」
まさかの幸運!
しかーしそこへ、急転直下のまさかの不運です。
「グレイバック、これを見てくれ!」
あー、見つかっちゃった、グリフィンドールの剣が。
「すばらしい、ゴブリン製か。おまえら、これをどこで手に入れた?」
「父さんの。薪を切るのに借りてきたんだ」ハリーは嘘をつき続けます。"GG"の銘に気づかなきゃいいけど。
「ちょっと待て!グレイバック!このプロフェットを見ろ!」
立て続けにまさかの不運。
ハリーの額の傷もまた痛くなってきました。漆黒の要塞が見える。ヘビ男の思考が、はっきりと感じられる。探し求めていたモノが、もうすぐ、もうすぐ手に入る。
「ハーマイオニー・グレンジャー、ハリー・ポッターとともに行動していると思われるマッドブラッドね。・・・お嬢ちゃん、この写真はあんたによく似てるじゃねーか」
「ちがう!あたしじゃない!」ハーの声もついに震えてます。Yesと言ってしまったも同然。
静寂の中で、スナッチャーたちがハリーをじっと見ています。隣でハーが震えている。
「ヴァーノン君、おまえの額にあるのは何かな?」猫なで声でしゃべるオオカミ男。
「メガネを見つけたぞ!」
「オレらが捕まえたのはハリー・ポッターだぜーぃ!ひゃっほー!」

漆黒の要塞。高い壁。
ぼくはハリーだ、こんなときに、しっかりしろ。
高い塔。最上階の窓。飛ぶときが来た。

グレイバックとその仲間は、ハリーたちをどこに連れて行くべきか相談しています。
魔法省か、それとも直接ヘビ男様に引き渡すか。でも、仲間たちはヘビ男を"呼ぶ"というのが怖いらしいです。「ヘビ男様はまるほい邸を拠点にしている。そこへ連れて行くぞ」そっか、グレイバックはDEの装束は許されたけれども、DEではない。腕にDark Markはまだ無いんだ。

ふわりと夜空に舞い上がる。塔のてっぺんの窓へ滑るように飛んで行く。

「もし人違いだったら、オレら殺されちゃうぜ、グレイバック」
「こいつらと、杖まで入れて20万ガリオン。嫌なら来るな。オレが全部もらうだけだ、あの小娘も。むはー」

窓というより黒い岩の裂け目。人が入れるような大きさではない。痩せこけた人影が毛布の下で丸くなっている。死んでいるのか?眠っているのか?

「穢れた血が2人で10ガリオン。剣の石がルビーなら、いい儲けだ。行くぞ!1、2、3!」ぼかん。

ヘビのように、するりと隙間をすり抜ける。音もなくふわりと、独房に降り立つ。

瞬間移動で連れて来られたところは、長い道、門扉が見えます。
ハリーはわかっています、ヘビ男は、黒い塔の上にいると。
ヘビ男が戻ってくるまで、どれほどの時間があるのか。
門扉に近づき、鍵のかかった鉄の扉を揺する。とぐろを巻いた鋼鉄が歪み、捻れて、恐ろしい顔の形になる。
「おまえたちの目的を述べよ」
「ポッターを連れてきたぜ」グレイバックさん、ウハウハです。
門が開き、生け垣に隠された小道を進みます。頭上を、アルビノの孔雀が横切る。

薄い毛布の下の痩せた身体が動き、こちらを向く。弱々しい体。落ちくぼんだ目。歯はほとんど抜け落ちている。その口元が、笑った。
来たのか。いつか来ると思ってた。だが無意味だ。私はそれを手にしたことなどない。
嘘をつくな!

ヘビ男がモーレツに怒ってます。額の傷跡は、あまりの激痛にはり裂けそう。ぐわぁーっ、いだい、けど、がまんがまん。
「何ごとなの?」冷たい声が聞こえます。
「ヘビ男様に会いに来た!フェンリル・グレイバックだ!ハリー・ポッターを捕まえたぞ!」
ハリーはナルシッサの前に突き出されます。
「よく見なよ、奥さん、額の傷を。この小娘は"連れ"の穢れた血。杖もあるぜ」
ナルシッサがハリーの顔をまじまじと見つめます。
「連れてきなさい」
玄関ホールを横切り、石の階段を上がり、ハリーたちは肖像画が並ぶ廊下に連れていかれます。イースター休暇で家にいるドラコに確認させるんすね。
大きな部屋に入ります。さすがまるほい邸、シャンデリアがキラキラっす。大理石のゴージャスな暖炉、その前に置かれた椅子から2人が立ち上がります。ルシウスとドラコちゃんです。
「この人たち、ポッターを捕まえたんですって。ドラコ、来なさい」
ハリーはシャンデリアの真下に連れてこられます。鏡に自分が映っている。ぶはー、ぼくじゃないみたい。ハーの呪文でものすごい顔んなってます。しゃべるのよそう、声出したらバレちゃう。
ハリーはドラコを見ることができません。そしてドラコもまた、ハリーを見ることができない。
「・・・(ポッターかどうか)わからないよ」
「よく見ろ、ドラコ!ヘビ男様にポッターを渡せば、許されるんだぞ!」まるほいパパもコーフン。
「まるほいさんよ、ポッターを捕まえたのはオレらだぜ」
「なんだこの顔?毒針に刺されたのか?・・・額に傷があるような・・・」まるほいパパもびっくりの腫れ上がった顔です。
ドラコはハリーを直視することなく、暖炉に向き直ってしまいました。
「ルシウス、確証がないとヘビ男様を呼べないわ」ナルシッサはサンザシの杖をじっくり眺めます。「これ、オリバンダー製には見えないわね」
「ほんなら穢れた血はどうだ!」グレイバックが怒鳴ります。
今度はハーがシャンデリアの真下です。
「そうよ!この娘はマダム・マルキンのお店でポッターと一緒にいたわよ!ドラコ、この娘はグレンジャーよね?」
「・・・たぶん・・・そうかも」
「そしてこっちにはウィーズリーのガキだ!そうだろ、ドラコ!」
「・・・まぁ・・・そうかも」
そこへ、背後でドアが開きました。「何の騒ぎよ、シシー?」

ぐわぁーっ!ベラ姐、登場!
もうだめぽ。

【メモ】

Fenrir(フェンリル)は北欧神話に出てくるオオカミですね。終末戦争で主神オーディンを呑み込んで、その後オーディンの息子ヴィーダルに殺されます。

心ゆくまでさるお、もんち!

2007年10月12日

さるおのハリポタツアー Harry Potter and the Deathly Hallows Chapter 22 (2)

さるおです。
スーパーポッタリアンなので、愛を込めて、さるおのハリポタツアーは、ちょっとラジオでも聴きますかー。
『DH』の完全ネタバレです。コメント欄も含めて、すごーくご注意ください。
ハリポタ辞典のもくじはこちらです。

リスナーのみなさん、しばらくオンエアできなくて淋しかっただろ。
可愛いDEちゃんたちがぼくらの地元で家庭訪問しまくってくれたおかげさ、まったく。

「この声!リー・ジョーダン!」
「ほらね!この番組、クールだろ!」

もうだいじょぶさ、安全な場所をみつけたからね。
今夜はここにお馴染みのゲストふたりが来てる。こんばんわ、ボーイズ!
やぁ。
こんばんわ、リヴァー。

「リヴァーって、リーのコードネームだよ」

さて、ロイヤルとロミュラスから話を聞く前に、いくつか残念なお知らせがある。
魔法ワイヤレス・ネットワーク・ニュースやデイリープロフェットじゃ決して取り上げられない、悲しい知らせだ。こんな話しなきゃならないなんて悲しいことさ。
テッド・トンクスとデューク・クレスウェルが殺害された。ゴブリンのゴーナックも殺された。マグル生まれのディーン・トーマスとゴブリンがもう1人と殺害された3人とが逃亡中に襲撃されたんだ。ディーンともう1人のゴブリンは逃げのびたよ。
ディーン、聴いてるか?誰かディーンのことを知ってるリスナーはいるかい?パパママと妹さんが心配してるんだ。
それから、ガドリー(Gaddley)で、マグル一家が死体で発見された。マグルの警察はガス漏れだなんて言ってるけど、オーダーによればAKに間違いないらしい。新体制になって、マグル殺しは、"スポーツ"以上のものになってしまったわけさ。
最後にもうひとつ、バチルダ・バグショットの死体の一部がゴドリックホロウで見つかった。何ヶ月も前に亡くなったらしい。オーダーによれば、遺体に残った傷跡はダークアーツによるものだ。
これを聴いてるみんな、一緒に1分間の黙祷を捧げよう。テッド・トンクス、デューク・クレスウェル、バチルダ・バグショット、ゴーナック、そしてマグルたちのために。

トリオも静かにしてます。決死の覚悟で飛び出して以来、初めての外界とのつながり。そうだ、みんな必死で戦ってるんだ。

ありがとう。
ほんじゃいつもの放送に戻ろう。ロイヤル、政府の新体制がマグル界に与える影響について、最新情報を聞かせてくれるかい?
ありがとう、リヴァー。マグルの死傷者はかなりの数に上る。でも彼らはまだその原因に気がついてない。

「キングスレーだ!」
「わかってるわよ!」
ははーん、キングスレーのコードネームは"ロイヤル"なんすね。

だけどね、勇気ある魔法使いや魔女はちゃんといる。リスク覚悟でマグルの友人や隣人を守ろうとしてるよ。もちろんマグルの側はこのことを知らない。リスナー諸君、お願いがある。みなさんも彼らの例を見習ってくれ。難しくはない。マグルのご近所さんにプロテクションを掛けるだけで、多くの命が救われるんだ。おそれるあまり"魔法使い優先"と考えたくなるかもしれないが、それは"純血優先"と変わらない。"DE優先"だってその延長線上にある考え方だ。みんな同じ、人間だろ?命の価値は同じだろ?どんな命も救う価値はあるんだ。
ロイヤル、いいこと言ってくれるぅー。この混乱から抜け出したら、大臣候補として1票投じるよ。
次はロムルスの"Pals of Potter"!
ありがとう、リヴァー。

「ルーピンじゃん!」
今度はロムルス(ローミュラス)がコードネームっすね。オオカミに育てられたローマ建国者です。

ロムルス、今でもハリー・ポッターがまだ生きていると思うかい?
ああ。考えは変わらない。もしポッターが死んだら、DEが有頂天で公表するさ。ポッターの死は、新体制の邪魔をするレジスタンスへの致命的な一撃になるから。"The Boy Who Lived"は、我々が戦い続ける理由そのもの。正義は勝利する、無垢でいることの力、抗い続けることの大切さ、すべての象徴なんだ。

こんなふうに言ってくれるなんて。ぼく、ケンカしちゃったのに。許してくれたのかな。

ロムルス、ハリーがこの放送を聞いているとしたら、何か言いたいことは?
私たちの心は、いつだってキミのそばにいる。それから、直感を信じろと、そう伝えたいね。彼の本能は優れてるんだよ、ほとんどの場合、彼は正しい選択をする。

ハーちん、涙ぐんでます。「ほとんどの場合、彼は正しい選択をする」か・・・。
「そうそう、リーマスはまたトンクスと暮らしてるんだってビルが言ってた。トンクスのおなか、どんどんでっかくなってるってさ」とロンちん。

ロムルス、ポッター派だってゆー理由で被害に遭った人々の最新情報はあるかい?
そうだな、ハリー・ポッターを支持してるって公言してた何人かが投獄されてる。The Quibbler's編集者のゼノフィリアス・ラブグッドも含めてね。

「まだ生きてるってことだよね」ロンが小さくつぶやく。

それから、ついさっき聞いた情報で、ホグワーツのルビウス・ハグリッドが逃亡生活に入った。ホグワーツ敷地内の自宅で"サポート・ハリー・ポッター・パーティ"なんか開いて、それで襲撃されたらしい。逮捕されそうになったところをギリギリで逃げ切った。
6フィート(5m)の異母兄弟がその場にいたらたすけになっただろうね。
そうだね。私はハグリッドの勇気や信念に拍手を送っている。けど、このご時世で"ポッターを励ます会"はキケンすぎるよ。
まったく。リスナーのみなさんはパーティを開かずに、この放送を聞いてハリー・ポッターを応援しような。
さて、お次は、ハリー・ポッターと同じくらいに神出鬼没なこいつの登場!まるで"Chief DE"みたいに、こいつの周りは正気とは思えない噂でいっぱいなんだから!おまえの出番だ、ローデント!
ローデントじぇねーよ、ありえねぇ、ふざけんな。"レイピア"にしてくれって言ったじゃねーか!

「フレッド!」
「いや、ジョージ?」
(ロンの聞き分けスキルによれば、これはフレッドらしいです)

しょーがねーなー、そんじゃレイピア、DEの親方(Chief DEはもちろんヴォルディのことっすね)について話してくれるかい?
庭の池の底みたいな所を逃げ回ってる連中はともかくとして、リスナーのみんなが知ってるように{自分は物陰に潜んでいて混乱で人を惑わせる}っつーのがユーノーフーの戦略。みんなよく聞けよ。もしもすべての目撃情報が本当だとしたら、19人のユーノーフーがあちこちをうろついてることになる。謎めいてるほうが実際に姿を見せるよりも怖いからさ。だけどみんな、ちょっと落ち着こうぜ。そんじゃなくてもひどい状況なんだから、さらに噂に躍らされたってしょーがない、だろ?たとえば、ユーノーフーと目が合ったら死んじゃうってバカな噂があるけど、それはバジリスクのシゴトだ。ちゃんと確かめようぜ、睨みつけてくるおっさんに足があるかどうかをな。

強い!強いぞ、フレッド!さるおは大笑いしつつも大感動っす!
あんなに孤独だったハリーも久々に大笑い。フレッド、あんたって最高!

レイピア、ユーノーフーがバカンスで海外旅行中って本当かい?
あったりまえじゃん。激務の後のバケーション、たまには遊ばなきゃ。ただし、ユーノーフーが海外にいるから安全とか思って油断したらあぶない。外国で楽しんでるかもしれないし、そーじゃないかもしれない。どっちにしたってユーノーフーは、セヴルス・スネイプがシャンプーぶっかけられて逃げるより速く移動できるんだから。

強い!強いぞ、ふたりとも!もしここにジョージがいたら間違いなくこの会話に乗っかってるので、強いぞ、こっちのトリオも強い!

ありがとう、レイピア。今日のポッターウォッチはこれでおしまい。次回オンエアがいつになるか分からないけど、必ずぼくらは戻ってくる。だからダイヤルを回し続けろ。次回のパスワードは"マッドアイ"。
みんな元気で!信念を貫け!それじゃ、またな。

トリオはなんだかニコニコです。元気出ました。
「おもしろかたっしょ?」
「うん!」
「みんながんばってるね」
ぼくらだけじゃない。みんなヘビ男と戦ってるんだ。
ところが、「ねぇねぇ、フレッドの言ったこと聞いたでしょ?あいつ、まだ外国で杖さがしてるんだよ!」ハリーはどーしてもここに戻ってしまいます。
「ハリーってばぁ」
「やめてよハーちん、そんな決めつけなくたっていいじゃん。ヴォル」
「ぶわぁーっ!やめれー!」必死で止めるロン。
「デモートは例の杖を追ってるんだって」
「ぶわぁーっ!やめれっつってんのに!その名前はタブーだっちゅーの!」ロンちん、大慌てです。
テントの外でミシッと大きな物音が!
ロンが立ち上がる。
「言ったじゃんよ、ハリー、言ったじゃんかよ!プロテクションの掛け直しだ!急いで!見つかっちゃう!」
ロンが急に静かになる。見るとテーブルの上のスニーコスコープが光を放って回り始めています。
荒々しくコーフンしたたくさんの声が近づいてくる。
ロンはデルミネーターをポケットから出し、クリック。真っ暗闇の向こうから、耳障りな声が響きます。
「両手を上げて出てこいや!そこにいるのはわかってる。半ダースの杖がそっちを向いてるぞ。出てこなければ、誰であろうと攻撃するぞ!」

【メモ】

ローデント(Rodent)って、"げっ歯類"のことっすね。ネズミとかリスとかです。っちゅーか、おまえはイタチ(weasel)だ。(ちなみにイタチはげっ歯類ではありませんが)
ほんでレイピア(Rapier)は両刃の剣。フェンシングとかやるような細身のやつです。

いろいろ悲しいですが、一瞬、ほんの一瞬、太陽が昇ったと思いました。リーもフレッドも、かっこええ。
リーマスは、やっぱあんたはジェームズのダチだと、嬉しくなったっす。
あまりにも儚い歓びでしたが(涙)。どぼちよーう。

心ゆくまでさるお、もんち!

2007年10月11日

さるおのハリポタツアー Harry Potter and the Deathly Hallows Chapter 22 (1)

さるおです。
スーパーポッタリアンなので、愛を込めて、さるおのハリポタツアーはもうほとんど取り憑かれたような状態になりつつも、懐かしい声でリフレッシュしたい!
『DH』の完全ネタバレです。コメント欄も含めて、すごーくご注意ください。
ハリポタ辞典のもくじはこちらです。

22:The Deathly Hallows

草の上に落っこちたハリーがすぐに起き上がってあたりを見回すと、さらに素早いハーがもう小走りでプロテクションを張りめぐらせています。"Protego Totalum(完全防御) ... Salvio Hexia(呪文保護) ..."
夕闇がせまってますね。
まずはロンが「あのおっさんめー、裏切りやがってー」とまずは文句をたれてからですが(笑)、ふたりしてハーをベタ褒めですわ。「ハーちん天才!あの状況から脱出なんてもう、ミラクル!」
「エランペントの角だっつったのにまったくぅー、ラブグッド家、吹っ飛んじゃったわー」
ハーはちょっと微笑んだものの、すぐに真顔に戻ります。
「おじさんが嘘ついたんじゃないってわからせるためにハリーを一瞬見せて、ほんで脱出しなきゃと思ったんだけど、おじさん、殺されないといいなぁ」
まだわからないロンが「なんでぼくがマントかぶったの?」と聞くと、ハーは「あんたはThe Burrowでビョーキで寝てんでしょーが。ルナパパはハリー派だったせいでルナを誘拐されたんだもん、あんたがハリーと一緒だなんて知られたら、家族みんな大変なことんなっちゃうよ」
「えー、ほんじゃハーちんのパパママは?」
「うちの親はオーストラリアだし、何も知らないからきっと平気なはずよ」
ハーったら、泣かせるなぁ。ルナパパに加え、ロンとロンの家族をしっかり守ったんですね。マグル生まれでハリーと一緒にいるなんて、自分(とパパママ)がいちばんキケンかもしれないのに。
「ルナ、どーしてるかな」
まだおまえは人の心配をするのか、ハー、あんたって子は、あんたって子は。(涙目)
ルナの生死を案ずるロン、生きてると信じようとするハー、そしてハリーは「ルナって強いもん。すごく強いもん。たとえアズカバンに入れられたって、囚人仲間に"Wrackspurts"とか"Nargles"のこと話して聞かせてるさ」
そうっすね、ルナは強い。彼女は負けない。さるおも信じてますよ。

テントを張ると、ロンちんがお茶を煎れてくれました。大ピンチを乗り切った後では、寒くてカビ臭いテントですら"我が家"っすね。
ハー:「行くんじゃなかった。ですりーはろうずなんてバカバカしい話聞かされて、時間の無駄。おじさん、時間稼ぎに作り話したのよ」
ロン:「そうかな。切羽詰まってるときに作り話ってうまくいかないもんじゃん。ぼくスナッチャーに捕まったときそーだったもん。おっさんもさ、ぼくらを引き止めようと必死んなってたはずだから、少なくとも自分が真実だと信じていることを話したんじゃないかな」
ハー:「だとしても、あの話はナンセンスよねー」
ロン:「待って、"秘密の部屋"だって作り話って思われてたのに、ほんとだったじゃん」
ハー:「でもですりーはろうずの方は"存在するはずがない"のよ!」
ロン:「マントがあるじゃんか」
ハー:「とにかく作り話なのよ!人がどれほど死を怖れるか、そーゆー話なの。マントで死神から逃げ回れるなら、うちら、もう足りてんでしょーが」
ハリー:「でもさ、無敵の杖なんてあったらよくね?」
ハー:「そんなもんは"無い"んだってばー」
ロン:「いろんな名前で、いっぱいあるって言ったのハーちんじゃん」
ハー:「ほんじゃ"復活の石"はどうなのよ?死んだ人を生き返らせる魔法なんか無いんだからね」
ハリー:「でもあの話に出てきた"次男坊の恋人さん"は戻ってきたわけでしょ?"この世に属する者ではない"っつっても、いちおう戻って来たってことでしょ?」
ハーがちらりとロンを見ます。ははーん、ハーちん、"ハリーが死人と暮らしたがってる"と思って怖がってるんですね。
「それじゃさ、ペヴェレルは?何か知らないの?」話題を変えつつ、正気だとアピールするハリーさんです。
ハー:「調べたんだけどさ、わかんないんだよねー。『Nature's Nobility : A Wizarding Genealogy』にしか載ってない。あ、その本はクリーチャーから借りたんだわ。消滅した純血一族のリストが載ってる本なんだけど、明らかにペヴェレル一族は、最も早く消滅した一族のひとつなのよ。ペヴェレルの名はもう存在しない。姓が変わって、子孫はいるかもしれないけど」

このときです。思い出したぁーっ!
「マーヴォロ・ゴーントだっ!ユーノーフーのじっさま!」
その記憶についてハリーが話すと、ハーちん、指輪に彫られていた"ペヴェレルの紋章"に反応します。「それどんなの?」
でもハリーが覚えているのは"ひっかき傷"みたいなかすかな模様だけ。実際に間近で指輪を見たのはすでに割られた後のことです。
ハーが目を丸くします。ハリーの考えていることがわかった(その紋章が、例のですりーはろうずのマークだ!かなんか思ってるんでしょ、あんた)、というように。
ハリーは、じっさまがその紋章の本当の意味を知らなかっただろうと考えています。"おとぎ話"をコドモに聞かせるような家庭じゃないもんな。
「ハリー、もしあなたが、私と同じこと考えてるんだったら・・・」
「あれが石って意味でしょ、ハーちん!ね!ね!」勢い込んでハリーが答える。
ロンもあんぐりですわ。「ダンブルドアが壊しても、まだちゃんと機能すんのかな?」
「機能?機能て、ロン、あんたまで!そんな石は無いんだってばよ!ハリー、あんた何でもかんでもですりーはろうずに結びつけて考えすぎじゃね?」
「べつにぼくが何でもですりーはろうずに結びつけてんじゃなくてさ、話がそーゆー流れかなと。だってじっさまが自分でペヴェレルの末裔だって言ったんだもん」
「さっきは石にあったのひっかき傷だ、かなんか言ったくせに」
もうハリーの頭の中はひとりでに大暴走。
ですりーはろうずを3つ集めたら、死すら征服できる。そう、パパママの墓石には"The last enemy that shall be destroyed is death."の文字が。もしぼくが、ですりーはろうず3つ持ってヘビ男と戦ったら?"Neither can live while the other survives."(一方が生きるかぎり、他方は生きられぬ) これってひょっとして、ですりーはろうずvs.ホークラックスってこと?ぼくが勝ち残れる確実な方法ってこと?
ハリーは透明マントを引っぱり出して感触をたしかめます。
水のようにしなやかで、空気のように軽く、どんな呪文にも耐える、今も古びていない透明マント。やっぱこれ、ホンモノだよ。
そしてまた、思い出したぁーっ!
「ぼくのパパママが死んだとき、これ、ダンブルドアが持ってたんじゃん!ママがシリウスに書いた手紙に書いてあったじゃん!ダンブルドアはこれを確かめたかったんだ。ホンモノだって。イグノートゥス・ペヴェレルのお墓もゴドリックホロウだし・・・ぐわぁーっ!わかっちゃった!イグノートゥス・ペヴェレルて人、ぼくのご先祖だ!ぼく、三男坊の子孫じゃん!」
ハリーさん、大コーフンっす。
「ちょっとあんた暴走してね?」と言いかけるハーに、ハリーはリリーがシリウスに書いた手紙を押し付けます。「読んで、読んで。よく読んで。ダンブルドアはマント無しでも透明になれるのに、これを持ってたんだ」
すると、手紙を出した拍子に、キラキラ光るスニッチが転がり落ちます。
そしてまたまた、わかっちゃったぁーっ!
「こんなかにゆびわがあるんだぁーっ!」
そう、そうだよ、これで辻褄が合うじゃん。ハリーはマントを持ってて、ほんでスニッチを開けたら石も手に入る。あとは杖だけだNE!
ひゃっほーい!と思いましたが、ここには重大な問題があることに突然気づきます。そう、ヘビ男が追っているのは"その杖"なんだと。がっくし。
ヘビ男は、新しい杖を探していたんじゃない。いにしえの杖を探していたんだ。
ヘビ男は『だんご三兄弟物語』を知っていただろうか。いいえ、マグルの孤児院にいたんだもん、知らないはずです。もし知っていたなら、ホークラックスなんか作ってないで、さっさとですりーはろうずを探せばいいわけです。そもそも石を一度は手にしておきながら、それをホークラックスに使っちゃうなんておかしいもん。やっぱヘビ男はですりーはろうずを知らないんだ。ただ"無敵の杖"だから欲しいだけなんだ。
止まらないハリーの大暴走。ふたりがまるで置き去りになっていることに気づいて、ちょっと歯がゆい思いです。説明してふたりにわかってもらおうとするハリーですが、「ハリー、こんなこと言ってごめん。でもあたし、あんた間違ってると思うよ」とハーったらつれないお言葉ですわ。
「だってこれって辻褄が合うじゃん」
「そーじゃなくてさ、お願いだから我を忘れて大暴走しないで。もしもですりーはろうずが実在して、ダンブルドアもそれについて知ってたなら、なんで生前にあなたに教えなかったの?どう思う?」
「そんなの、ハーが言ったんじゃんか、"自力で辿り着かなきゃならない"んだって。クエスト(探求)なんだよ、これ。ダンブルドアはいつだってぼくを試してた。ぼくの力を試してたんだよ。その続きなんだ」
「ハリー、これは遊びじゃないのよ。練習でもない。ダンブルドアはあなたに、ものすごい明確な指示を残した、ホークラックスを見つけて壊せ、と。私たちがやらなきゃいけないのはそれよ。ですりーはろうずを追ってる余裕はないんだってば」
「えっと、よくわかんないけどさ、たしかに辻褄は合うよね、だけど、えっと、なんちゅーか、やっぱぼくらはホークラックスを壊すほうをやらないといけないんじゃないかと思う。ハリー、ダンブルドアがぼくらにやれって言ったことをやろうよ。ですりーはろうずのことはとりあえず忘れようよ」ためらいながらですが、ロンもハーと同意見です。

ハリーさん、大コーフンで夜も眠れません。
"I open at the close."
閉じるときに開く。どーゆー意味だろう。スニッチは開かずじまいです。
ヘビ男はどこにいるのかな。あーあ、こーなったらもう、額の傷が痛ければいいのに。ヘビ男のことが見えればいいのに。
たしかに、今初めて、ハリーとヘビ男は同じモノを探し求めています。
朝が近づくころ、ハリーはルナのことを考えます。アズカバンの独房にひとりぼっちで、ディメンターに囲まれてるのかもしれない。なのにぼくは宝探しでコーフンしてたなんて、なんだか恥ずかしい。ルナを救出できたらいいのに。起きたらあのリンボク(blackthorn)の杖でパトロナスの練習しなきゃ。杖かぁ、杖と言えば、やっぱ"無敵の杖"、ほしいなぁ。
ということで、巡り巡ってコーフンしっぱなし。
朝になると、トリオは雨の中また引っ越しです。来る日も来る日も、春の雨の中を移動し続ける。
ハリーはですりーはろうずのことしか考えられなくなりました。ハーが信じなくても、ロンが信じなくても、それでもハリーの心はですりーはろうずに奪われたままです。「ですりーはろうずがほしい」その思いは消えない炎のように、どんどん燃え上がっていきます。信じてくれないなんて、ロンもハーもひどいや。心の中でふたりを責めます。そしてだんだん、ひとりでいることが多くなり、しゃべらなくなり、ふたりとの間にずいぶん距離ができてしまいました。
ある夜、ハーがついにハリーを叱り飛ばします。「ホークラックスへの妄執に捕らわれてる場合じゃないの!あたしらはね、ダンブルドアがあたしらにやらせようとしたことを、ただやり遂げようとしてんのよ!」
ハリーに言わせれば、ですりーはろうずのマークを解読させようとハーに本を遺したのはダンブルドアなわけだし、予言によれば自分は命がかかってるわけだし、こっちだって大事だろうと思うわけで、「The last enemy that shall be destroyed is death.(滅ぼす最後の敵は死)って・・・」なんて言いかけようもんなら、「滅ぼす最後の敵はユーノーフーかと思ってたけど!」なんてまた怒られてます。
ふたりは雌鹿のパトロナスのことも考え続けていたけれど、ハリーはこれにもだんだん興味がなくなっていってます。
最近は、ヘビ男のヴィションが、パッとしません。頭蓋骨みたいなモノや、影というか山というか、とにかくはっきりしないモノばかり。ハリーの杖が折れてからというもの、ハリーとヘビ男をつなぐインターフェースはどーなっちゃったんでしょう。

出て行ったことの埋め合わせをしようと決めたのか、それとも真のリーダーシップなのか、今ではトリオを率いているのはロンちんです。ハーとハリーを励まし、おしりを叩いて前に進ませようとがんばっている。
「まだ3つ残ってるんだ、行動しなきゃ、計画立てて、がんばらなきゃ。あちこち行って、探し回るんだよ」
孤児院、ダイアゴン横町、ホグワーツ、リドル実家、B&B、アルバニア・・・ロンとハーはそれらを何度も検討しなおします。そしてトリオで出かけて行っては歩き回る。行く先々でスナッチャーたちを見かけます。
「スナッチャーの中にはDEぐらい危ないやつらもいるんだってビルは考えてる。"Potterwatch"でも言ってたよ」
「ぽったーうぉっちぃ?」
「うん。ぼくが聴こうとし続けてるラジオ番組。何が起きているか、本当のことを報道する唯一の番組!今じゃほとんどのラジオ局がユーノーフーの傘下なんだ、ただひとつ、ポッターウォッチを除いてね。ハリーにも聴かせたいんだけど、チューニングがちょっと難しくて・・・」

毎晩、杖でラジオをこつこつ叩きながら、ぶつぶつ言い続けるロンちん。5月になって、努力の甲斐あって、ついにポッターウォッチのチューニング・パスワードに辿り着いた!「やたっ!やたっ!パスワードは"アルバス"だっ!やたっ!ハリー!来て来て!」
グリフィンドールの剣を磨いていたハーも手を休め、トリオはラジオを囲んで座ります。

リスナーのみなさん、しばらくオンエアできなくて淋しかっただろ。
可愛いDEちゃんたちがぼくらの地元で家庭訪問しまくってくれたおかげさ、まったく。

!!!
ぶわぁーっ!この声は!懐かしいこの声は!
ヘビ男を"ユーノープ〜"呼ばわりした勇気あるF&G同様、DEを"チャーミング"だと言う、勇気あるこの明るい声!

【メモ】

『Nature's Nobility : A Wizarding Genealogy』は魔法使い一族の系譜が載った本です。これ、読んでみたいなぁ。

心ゆくまでさるお、もんち!

2007年10月04日

さるおのハリポタツアー Harry Potter and the Deathly Hallows Chapter 21 (2)

さるおです。
スーパーポッタリアンなので、愛を込めて、ラブグッド家ご訪問、やはりただでは終わりませんでした。
『DH』の完全ネタバレです。コメント欄も含めて、すごーくご注意ください。
ハリポタ辞典のもくじはこちらです。

2階に残されたトリオは秘宝についてあれこれ考え始めます。
「みんな作り話よ。せっかくここまで来たのに、時間の無駄だったわー」ハーは信じていません。
「こーゆー話って、コドモに教訓を教えるためのものだろ。余計なことに首突っ込むのやめようよ。他の迷信と同じだよ、5月生まれの魔女はマグルと結婚するとか、黄昏どきの呪文は真夜中に消えるとか、ニワトコの杖だとうまくいかない、とかさ」ロンも信じない。
「そうよね、だってこの話、どれがいちばんいい贈り物かは一目瞭然だもん」
トリオは同時に言います(笑)。
ハー:「透明マント」
ロン:「杖」
ハリー:「石」
「透明マントって言うと思ったよー。でも負け知らずの杖だぜー、杖があればマントなんかいらないよー!」とロン。「マントはもうぼくら持ってるじゃん」とハリー。
「やっだぁー、杖なんかただのトラブルの元じゃん。でもそんなことよりただひとつ、おじさんが言ったことで真実なのは、強力な杖があるってことよ。Deathstick(死のステッキ)とかWand of Destiny(運命の杖)とかいろいろ呼ばれて、何世紀も前からずっと存在する。ビンズ先生が授業で言ってたもん。・・・だけどどーせ全部くだらないわ。杖の強さは持ち主の魔力しだい。自分の杖はすごいぞって自慢したい人もいるっていうだけよ」
ハリーは自分の杖のことを考えます。たしかにハリーの杖は、勝手に動いてヘビ男から持ち主を守った。けど、ニワトコじゃなくてヒイラギだし、ですりーはろうずなら折れたりするもんか。
「なんで"石"なの?」ロンがハリーに聞くと、「だって一緒にいてほしいじゃん、シリウスも、マッドアイも、ダンブルドアも、それからぼくのパパママもさ」
「ビードル(『The Tales of Beedle the Bard』の著者)さん、きっと賢者の石からアイデアをもらったのよ」
階下のキッチンからは、アンダーパンツを燃やしているような、たまらない匂いがしてきます(涙)。"おともだちのお父さん"がせっかく作ってくれてるわけで、食わないわけにもいかないけれど、泣きそうですよね。
「マントは"ホンモノ"じゃね?かぶってて見つかったことないし、ハリーはパパさんから相続したんだから古いのにさ、新品同様じゃん?」
ロンとハーは話を続けています。
ハリーは部屋の中を見て回ります。そしてらせん階段から上を、ふと見上げる。すると、ふんがー!なんじゃありゃ!"ハリーが"こちらを見下ろしてるー!
鏡かな?どーなってるんだろう?ハリーはひとりで階段を上り始めます。そして気づきました。なんとそれは、ルナが描いた天井画です。ハリーと、ロンと、ハーと、ネビルと、ジニー、5人の肖像画です。学校の絵みたいに動いたりはしないけれど、それらはただの絵ではない、呼吸している。5人をひとつに囲むように、リボンのような金色の鎖が描かれています。よく見ると、鎖じゃないや、それは"friends... friends... friends..."という金文字です。
ルナを愛おしいと思う感情が込み上げてきます。
部屋を見回すと、大きな写真が1枚。まだ幼いルナちんと、ルナによく似た女性が抱き合っている。ママさんですね。
写真は埃をかぶっています。なんだか妙な感じです。うすいブルーのカーペットも埃だらけ。半開きの洋服だんすには服がありません。もう長いこと誰も寝ていないようなベッド。窓には蜘蛛の巣。明らかにルナの部屋なのに、何かがオカシイ。
2階に戻ったハリーは、スープのお盆を持って上がってきたゼノに問いただします。「おじさん、ルナちゃんどこ?なんでスープが4人分しかないの?」
ゼノは答えることができません。カタカタ鳴る印刷機の音だけが聞こえます。ゼノの手も震え、こちらもカタカタ音を立てる。
「おじさんてば、ルナちゃんここにいないんでしょ。おじさん変だよ、さっきからどーして窓の外ばっかり見てんの?」
ゼノがお盆を落とします。スープ皿が砕ける。ゼノの手がポケットの杖をつかむより一瞬早く、トリオは杖を構えます。印刷機がぼっかーんと爆音をあげ、"The Quibbler's"が床に散らばる。ハーはルナパパに杖を向けたまま、その中の1部を取り上げました。「ちょっと見てこれ」
表紙には、まさかの"Undesirable Number One"ですわ。ハリーの首にかかった1万ガリオンについての説明まで書かれている。
「"The Quibbler's"は見解を変えたんだ。おじさん、さっき庭に出て、魔法省にふくろう飛ばしたんでしょ」とハリー。
ゼノはとうとう打ち明けました。「やつら、うちの娘連れてっちゃった。私が書いてきたことのせいで、やつら、うちの娘を・・・どこにいるかもわからない。何をされたかわからない。でももし、もし私が・・・」
「ハリーを引き渡したらルナを返してもらえると?」ハーが続きを言い終えました。
「おじさん、ハリーは渡さない。そこどいて。ぼくら帰る」ロンがきっぱりと言います。
「もうやつらが来る。どうしても、うちの子をたすけなきゃならないんだ。ルナを失うことはできない。だからキミらを帰らせるわけにはいかない」ゼノは階段の前で両腕を大きく広げました。そう、まるでリリーのように。
窓の外をほうきに乗った人かげが通りすぎる。ほんの一瞬、トリオはそれを見ます。その瞬間にゼノは杖を構えました。
うりゃぁー!
ハリーはロンとハーを突き飛ばし、横に飛び退いてゼノのStunning Spellをよけます。まさに危機一髪。ゼノの呪文はエランペットの角に当たり、ぼっかーんと大爆発です。紙や瓦礫や木の破片がぶっ飛び、もうもうと埃が立ちこめます。
破片の雨と埃の中で、ハリーは床に叩きつけられます。ハーの悲鳴と、ロンの叫び声が聞こえる。ゼノがらせん階段を転がり落ちる。やっと上を見上げれば、2階の天井の半分が落ち、ルナのベッドが頭の上にぶら下がっています。レイヴンクロウの胸像は顔を吹き飛ばされて転がり、印刷機は横倒しになってらせん階段を塞いでいます。
「しっ!」
ハーが人差し指を唇に押し当てる。
階下でドアがバーンと開き、声が聞こえます。「トラヴァース、急いで来たって、こいつ、どーせまたいつもの戯言だ」
ゼノの悲鳴が聞こえる。「やめれー・・・2階に・・・ポッターが!」
「ほんとだろーなー、おっさんよぅ。嘘だったらしょーちしないぞ。あん?」
ゼノの悲鳴が大きくなる。「やめれー・・・ポッターがいるんだ・・・」
「さてはおっさん、我々をここに呼んどいて、爆発でふっ飛ばそうとしたんだなーっ!」
DEたちはゼノを拷問し続けます。「本当にポッターが・・・誓う・・・誓う」
「セルウィン、ここ崩れそうじゃね?」
"Homenum revelio!"
「たしかに誰か上にいるな、セルウィン」
「だからポッターだってばぁ〜、うちの娘を返しちくりぃ〜」かわいそうな涙声のゼノ。
「おっさんここにポッターを連れてこい。そしたら娘は返してやる。でないと、おまえの葬式まで娘を生かしておけるかどうか考えないとな」
ゼノが恐怖と絶望で泣きながら、それでも階段を上がろうと必死でもがく音が聞こえます。
「ここから逃げなきゃ」ハリーがささやく。ところがロンちん、なんと洋服ダンスの下敷きです。ゼノが瓦礫に埋もれた階段を登ってくる。ハーはHover Charmでロンを救うと、意を決したように言います。
「よっしゃ。ハリー、私を信じるわね?」
頷くハリー。
「透明マントを貸して。これはロンがかぶるのよ。ハリー、私の手をしっかり握って。ロン、あなたは私の肩にしっかりつかまって」
ゼノがHover Charmで印刷機を動かそうとしています。
「ふたりとも、しっかりつかまって・・・いくわよー」
ゼノの姿が見えた。
"Obliviate!"
"Deprimo!"
1発目はゼノに向かって、2発目は足元に、ハーが立て続けに叫びます。
足元の床が崩れ、トリオが床といっしょに1階に落下する。ハリーもロンも必死こいてハーにつかまったままです。
1階のDEたちが驚いて右往左往するのがちらりと見えます。
ハーが空中で身体をひねる。そしてハリーとロンを引っぱりながら、暗闇に飲まれて行きました。

【メモ】

"Deprimo!"は目標物に下方向のものすごい圧力をかける呪文です。

しかしまぁ、ハーはすげぇな。

心ゆくまでさるお、もんち!

2007年10月02日

さるおのハリポタツアー Harry Potter and the Deathly Hallows Chapter 21 (1)

さるおです。
スーパーポッタリアンなので、愛を込めて、さるおのハリポタツアーは、ですりーはろうずが何なのかをついに知ることになります。
『DH』の完全ネタバレです。コメント欄も含めて、すごーくご注意ください。
ハリポタ辞典のもくじはこちらです。

21:The Tale of the Three Brothers

「ですりーはろうず?何それー?」
「キミら、聞いたことない?信じている人はごくわずかだけど。こないだの結婚式に来てたバカちんは、私が着けていたのが闇の魔術使いのシンボルなのだぁとか言って襲ってきたけど、そーゆー意味ではあのシンボルに闇など無い。私は、もしかしたら同士が秘宝の探求を手助けしてくれるかもって思ってね、自分はあの話を信じる派だってアピールしてるだけなんだ」
ゼノは"Gurdyroot"茶に角砂糖を入れて美味しそうに飲み始めます。えっと、味はまさかの、はなくそ味の百味ビーンズということで、想像を絶する素晴らしさですよね(涙)。
「キミたち、"The Tale of the Three Brothers"の話を知ってるだろう?」
ハリーはNoです。ロンとハーはYesです。
「おじさん、私、本持ってる」
ハーが、ダンブルドアにもらった古い『The Tales of Beedle the Bard』を出します。
「それオリジナル?」ゼノは登場したお宝に鋭い視線を投げかけて聞き、全員の理解のために「ハーさん、音読よろしくお願いします」と、朗読会がはじまりました。『だんご三兄弟物語』、あのシンボルが描かれているページから物語ははじまっています。

@@@
『だんご三兄弟物語』

夕暮れ時、3人の兄弟が、曲がりくねった人気のない道を歩いていました。 どんどん歩いて行くと、深くて広い、危険な川がありました。歩くには深すぎ、泳ぐには広すぎ、渡ることができません。そこで兄弟は、魔法の杖をひと振りし、橋を作りました。
橋の中ほどまで歩くと、フードをかぶった者が行く手をさえぎりました。
"死神"は兄弟にこう言いました。「おまえらよー、だんご三兄弟よー、こんな橋なんか造ってよー、この川を渡る旅人が死ななくなったら商売あがったりじゃんよー」
狡猾な死神は、死を回避した知恵と素晴らしい魔法の褒美として、兄弟のほしいモノを与えてやると言いました。

いちばん年上の戦士は「ほんなら杖をくれ。最強のやつね。死神に勝った者にふさわしい、負け知らずのやつ、ちょーだい」と言いました。死神は、土手のニワトコの木の太い枝から杖を創り出し、それを長男に与えました。(the Elder Wand)
高慢な次男は、さらに死神に恥をかかせてやろうと、「ほんなら死んだ人を呼び戻せるモノをちょーだい」と言いました。死神は、土手の石ころを次男に与え、「これは"復活の石"、これで死んだ人が帰ってくるよ」と言いました。(the Resurrection Stone)
いちばん若く、謙虚で頭の良い三男は、死神を信用しませんでした。「死神に跡を追われずにすむようになるモノをちょーだい」と言いました。死神は、嫌々ながら、自分の透明マントを三男に与えました。(the Cloak of Invisibility)
死神は兄弟のために道をあけ、3人の兄弟は橋を渡りそれぞれ別の道を旅して行きました。

いちばん年上の戦士は、ある村に辿り着きました。長男は、自分と対立する仲間の魔法使いを探し出し、決闘をしました。無敵の杖は負けることがありません。長男は、決闘の相手の死体を床に置き去りにし、「無敵の杖があるから誰もオレ様には勝てないぜーぃ!」と大声で自慢をしながら宿に入って行きました。
その夜遅く、ある魔法使いが長男の部屋に忍び込み、眠っている長男から杖を奪い、長男の喉を掻き切りました。
こうして死神は長男を連れて行きました。

高慢な次男は、ひとりで住んでいる我が家に向かいました。次男は石を取り出し、手の上でそれを3度回しました。すると、結婚しようと思っていた、亡くなった恋人が、彼の前に姿を現しました。恋人は、この世に属する者ではないために、悲しそうで、冷たいままでした。
次男はとうとう気が変になり絶望して自ら命を絶ち、ついに恋人と一緒になりました。
こうして死神は次男を連れて行きました。

死神は、長い間、三男を探しました。ところがみつけることができませんでした。
死神が三男をみつけたのは、三男が長い人生を生きた後、とうとう透明マントを脱ぎ、それを息子に与えたときでした。三男は、懐かしい友人と再会するかのように死神を迎え、満足げにこの世界から"死"へと旅立って行きました。

@@@

「これが死神の秘宝(The Deathly Hallows)。杖がこうして縦の線でしょー、石が丸でしょー、んで、マントが三角、ほらねー、3つ合わせてですりーはろうずのシンボル」ゼノが羊皮紙に描いて見せます。
「本にはですりーはろうずなんて言葉、書いてないじゃん」反論するのはハーです。
「童話だもん、そんな言葉は出てこない。でもわかる人にはわかる。秘宝は3つ、それらすべてを持つ者は"死"を克服するんだよ」とゼノ。外はすでに日が傾いています。「ルナはもうすぐ帰ってくるよ」
あれれ?ルナちゃん、遅いなぁ。
「"死"を克服?」
「支配者(master)、征服者(conqueror)、勝利者(vanquisher)、呼び方はいろいろさ」
「じゃ、おじさんは、これらの秘宝が本当にあるって信じてるの?根拠は何?」
「お嬢さん、ルナがキミのこと言ってた、頭は悪くないけど、心が狭い、視野が狭いんだってね」ゼノったら、はっきり言うお人ですね(笑)。
「ハーちん、レイヴンクロウの帽子かぶれば?」ロンが冗談でお茶で濁そうとしますが、声が震えてまんがな。
「おじさん、透明マントが存在するのは知ってるわ。激レアだけど、たしかに存在する。でも他のモノは・・・」
「Ah, ミス・グランジャー、わかってないね。この透明マントは"ホンモノ"のことなんだもんねー。Disillusionment Charmをかけたやつとか、Bedazzling Hexのかかってるやつとか、Demiguise hairで織ったやつじゃないもん。そーゆー"ニセモノ"は数年経ったら効果がなくなっちゃう。けど"ホンモノ"は、どんなに古くなっても、それを羽織った人を本当に透明にできる。どんな魔法を使っても見えるようになんてできない。それが"ホンモノ"。"ホンモノ"を見たことがあるとでも?」
ハーちん、思わず黙ります。トリオは顔を見合わせます。みんな考えていることは同じ。そう、まさにゼノが言う"ホンモノ"とぴったり符合する透明マントを、トリオは(ハリーは)今ここに持っていますよ。
「ほらね、見たことないでしょー」沈黙の意味をゼノはそう理解したんですね。
「んじゃ石は?」気を取り直してハーが再び質問します。ところがゼノは「"それが存在しないということ"を証明できる?」と屁理屈で食い下がる。「"それが存在しないということ"を証明できないという理由で"存在する"って結論になるなんて、なんかおかしくね?」とハーは理屈で反論します。対照的なふたりっすね(笑)。
「杖は?」これは割って入ったハリーさん。
「たしかに杖はいちばん追跡しやすい。誰の手に渡ったか、その方法のおかげで記録が残ってるよ、途中途切れたりはしてるけど。この杖を手に入れるには、必ず前の持ち主から奪い取らなければならないんだ。杖は、Emeric the Evilを殺害したEgbert the Egregiousへ、その後いったん姿を消すが、後にGodelotが死んでHerewardが奪った。それからLoxiasがBarnabas Deverillを殺害して手に入れた。血塗られた杖の所有権争いは歴史書にも載ってる」
「今は誰が持ってるの?」
「さぁね!Loxiasに勝って杖を奪ったのがArcusかLiviusか判明せず、その後のことはわからなくなってしまった。歴史はその後をおしえてくれない」
沈黙の後、またハーが口を開きます。「おじさん、ですりーはろうずって、the Peverell familyと関係ある?」
驚いたのはゼノです。「お嬢さん、ですりーはろうず初心者だとか言っちゃって、なんだぁ!詳しいんじゃん!この話を信じ、秘宝を追う者の多くが考えてるよ、ペヴェレルがすべての鍵を持ってるってさ!」
「ペヴェレルって誰?」とロンが聞くと、「ゴドリックホロウの墓地にIgnotus Peverellの墓石があってさ、あのシンボルが彫ってあった」とハーが答えます。
「そうだよ!それが証拠だ!『だんご三兄弟物語』はAntiochと、Cadmusと、Ignotusの物語なんだよ」
ゼノは窓の外をちらりと見ると、「キミら、夕飯食ってくでしょ?」なんつって階下に降りてしまいます。ご自慢の、ルナが釣って帰るFreshwater Plimpyのスープを作る気まんまん。2階に残されたのはトリオだけです。

【メモ】

"The Deathly Hallows"をどう訳すべきか迷いましたが、物語に登場する"Death"さんは頭が大文字なので、"死神"でいいだろうと思います。"Hallows"のほうは意味が"聖職者"ですから、"死の聖職者"(これじゃ"=死神"ですが)というのが正しい直訳だろうと思うけれど、ゼノ曰く、the Deathly Hallowsは人物ではなく、杖と石とマント。"モノ"なのでやっぱり、聖なる宝、秘宝("聖宝"ならもっと正しい感じ)っすね。ということで、『ハリー・ポッターと死神の秘宝』・・・ヘビ男ヘビ男とさんざん言ってきて、ここにきてあまりに唐突な、まさかの死神登場です。(少し涙ぐみながら)

"Elder"はセイヨウニワトコです。誇り高い死と新しい生命を象徴する11月25日〜12月22日の誕生樹ですね。
"Resurrection Stone"は賢者の石に似てますね。賢者の石が死ななくなる液体を生み出すのと決定的に違って、こちらは死んでから甦る復活の石ですが。で、この石、黒いんじゃないかと思います。つまり、ダンブルドアが破壊したマーヴォロじいさんの指輪の石じゃないかな。ちなみに賢者の石は赤です。錬金術の過程をふまえて読んでみるのもおもしろいです。
そしてハリーのマントはもちろん"ホンモノ"。
この3つ、1つ目を持ったらかなりの確率で殺されそうだし、2つ目は気が変になる、ろくなことにはなんない。杖は常に、よりパワーハングリーな者の手に渡ります。石は継承者がどんな人々なのかわからないけれども、あの指輪だとすれば、マーヴォロじいさんが言ったとおり代々ゴーント家に伝わる家宝なわけで、ゴーント家はカドマス(Cadmus)・ペヴェレルの末裔ということになり、ヘビ男も次男坊の血筋なわけですね。3つ目のマント、これは平和のうちに天寿をまっとうできるアイテムで、『だんごペヴェレル三兄弟物語』によれば、父から子へ、子から孫へと受け継がれる。ハリーもパパさんから相続したわけです。ということは、ハリーはイグノートゥス(Ignotus)・ペヴェレルの子孫です。ここまでさかのぼれば、ヘビ男とハリーはご親戚ですね。
だんごペヴェレル三兄弟物語』、時代はいつなんだろう。サラザール・スリザリンより古いのかな。
で、この3つを集めると、支配者なり征服者なり勝利者なり、すごいことになるわけですね。死神の秘宝を全部持ったら、そりゃ死神にも勝てそうだ。
次男の末裔ヘビ男は、指輪を継承し、1つ目を獲りに行ってるはずが、じつは指輪はダンブルドアの手を経て、おそらくハリーが受け継いだ。ハリーはもともとマントを持っているので、ハリーもグランドスラム目指して、これから1つ目を獲りに行く。予想通り、"杖の王様"争奪戦になりそうです。
気になるのは、石がまだその本来の機能を失っていないかどうかです。Horcruxとしての機能はDDにより破壊されて消えましたが。
さて、生前のダンブルドアは、グリンデルバルドから取り上げた杖を持っていたんでしょうか。マントも一時期はあずかっていたし、指輪も最晩年に手に入れました。ははーん、ダンブルドアはよく似た石をふたつとも破壊してますねぇ。

Disillusionment Charmは例のカモフラージュですね。
Bedazzling Hexは具体的にどーゆーものかわかりませんが、上述のカモフラージュと似ていそうです。
Demiguiseはキケンな魔法生物ですね。

Emeric the Evilさん、Egbert the Egregiousさん、Godelotさん、Herewardさん、Barnabas Deverillさん、Loxiasさん、Arcusさん、Liviusさん。知らない人がいっぱいです(汗)。
Barnabas Deverillさんは、Barnabas the BarmyさんとかBarnabus Finkleyさんとか、うーん、紛らわしい。

心ゆくまでさるお、もんち!

2007年09月26日

さるおのハリポタツアー Harry Potter and the Deathly Hallows Chapter 20

さるおです。
スーパーポッタリアンなので、愛を込めて、さるおのハリポタツアーは、『DH』の核心にぐーんと近づきます。
『DH』の完全ネタバレです。コメント欄も含めて、すごーくご注意ください。
ハリポタ辞典のもくじはこちらです。

20:Xenophilius Lovegood

翌朝、ハーちんはまだまだ圧倒的に不機嫌です。で、ハリーとロンは、タイミングを見計らってはふたりだけで話をしています。ハリーはゴドリックホロウで何があったのかロンにすべて話し、ロンはマグル生まれ狩りから逃れるために彼らが行ったあらゆる絶望的な試みについて話して聞かせました。
ロンは、「なんで"タブー"に気づいたの?」とハリーに聞きます。"タブー"についてのロンの説明はこうです。
やつらは"ユーノーヘビ男"の名前そのものに呪いをかけた。それを発声した人を追跡できるように。ぼくらがトッテナムコートロードでみつかったのはそのせいだよ。今どきその名前を、ダンブルドアのように言う勇気があるのは、わずかな数のレジスタンスのみ。実際やつらはオーダーのキングスレーを発見して追いつめたんだ、なんとか逃げて、逃亡中だけど。名前を言ったら追跡されるんだよ。
雌鹿を送ったのは誰か。それを考えるうち、ダンブルドアの話しになります。ロンは「誰かがたすけてくれた。味方がいるんだ」といい続けてるんですね。
ダンブルドアは、ぼくが離れ離れになるって、きっと知ってたんだ。
ハリーはこう訂正しています、ダンブルドアは、ロンが常に戻りたがるってことを知ってたんだよ。
そしてダンブルドアと言えば、リタの暴露本。どうやら大反響のようです。ダンブルドア派にとってはショッキングなスキャンダル、反ダンブルドア派はウハウハです。ロンまでが、「若かったんだからしかたないよ」と言い始める。
「今のぼくらと同い年なんだってばー!」ハリーさん、また怒りそうです。
手持ち無沙汰なハリー、野バラの間にできたクモの巣の中央で獲物を待つ大きなクモを、ロンのおかげで手に入った新しい杖(ハーの調査によりリンボク製だと判明)で、"Engorgio!"とでっかくします。それを見たロンは、余計なこと言ってごめんと、とっさに謝る(笑)。そうだ、ロンちんってクモこわいんだっけ。"Reducio." しかしクモは元の大きさに戻らない。
すると、なぜか音もなく近づいてきていたハーが、「練習すればだいじょぶだよ」と声をかけます。「自信を持てばその杖は使える」
ハーとしては今でもハリーの杖を折ってしまったことを申し訳なく思っているんですね。
本当は、"自信を持てば使える"んなら、ハーがそれを使えばいいんだ。ハリーがハーの杖を使えることはもう経験済み。とりかえっこすればいいんです。ちょっとだけそう思いながらもハリーはその杖に慣れようと練習しています。

夜になり、トリオはテントでそれぞれ別のことをして過ごします。ハリーは見張りをしながら、なんだか非力なその杖で魔法を練習、ハーは読書、ロンはリュックからラジオを出します。
「ひとつしかないんだ、ちゃんとした放送をしてるのはさ。あとの放送局はみんなヘビ男についちゃったから。襲撃に備えて毎回違う場所から放送するから毎晩は聞けないけど。パスワードがないとチューニングできないんだけど、えっと、何だっけ・・・」
ロンはハーに「うっせーよ」と怒られそうで怯えてますが、本を閉じてハーが話しかけたのはハリーです。「あたしさ、ゼノフィリウス・ラブグッドに会いたい」
ハーは嫌がるハリーに『The Life and Lies of Albus Dumbledore』のある個所を見せます。それはダンブルドアがグリンデルバルドに送った手紙、手書きの原本の写真です。そして、最後のサインを指さします。
Albus
その頭の"A"が、まさかの"三角形の目"に置き換えられてるぅーっ!
「このマークは頻発しすぎる。ヴィクターがグリンデルバルドのだって言って、ゴドリックホロウのふっるーい墓石に彫ってあって、どう考えたってあのお墓はグリンデルバルドよりはるか以前だし、ダンブルドアまでこのマークを使ってた。でももうダンブルドアには聞けないし、グリンデルバルドなんかどーなっちゃってるかわかんないし、だからさ、ルナパパしかいないのよ!あの童話集にも書き込んであったし、何なのか知らなきゃいけない!これ、きっとすっごく大事なんだから!」
ハリーは、ゴドリックホロウみたいなことになるのは嫌だし、ダンブルドアダンブルドアって言われるのも嫌だし、ぜんぜん行きたくないわけです。ところが、早くハーと元の親密さに戻りたいロンとしては、「ぼくハーちんに賛成!『The Quibbler』は味方だもん」かなんか言って、あっさりハリーを裏切り、ハーにつくわけですね(笑)。ロンったら、こっそりハリーに「恋愛と戦争ではなんでもありさ(All's fair in love and war,)」かなんか言ってます(笑)。

しかたがないから訪ねて行くことになりました、ラブグッド家を。場所はだいたいロンが知ってると言います。Ottery St. Catchpole村の村民同士ですから。
翌朝、村が見渡せる丘の上の瞬間移動。しばし、The Burrowのねじれた建物をマグルの目から隠す生け垣と果樹園を眺め「おうちかぁ」とつぶやくロンに、「家族にしばらく会ってない、みたいな言い方しちゃってー。うちらが殺されかけてたときに、あんたあそこにいたんでしょっ!」と冷ややかに言うハーに、ロンはこう答えます。「違う違う!ビルとフラーんちにいたんだ。ビルはいつもぼくのことわかってくれる兄ちゃんだからさ、ぼくがしたこと話したけど、なんだかんだ言わないで泊めてくれたよ。ぼくが後悔してるって、ビルにはわかったんだ。クリスマス休暇だけど、ふたりで過ごしたいから実家に戻らないってパパママに連絡してくれたし。どーせフラーはCelestina Warbeckが嫌いだけど」
ふっ切るように先頭を歩いて、ロンはラブグッド家を探します。ハリーだけは透明マントをかぶっています。数時間後、「Aha!」、ありました、極めてエキセントリックな、大きな黒い円柱が空に向かって垂直にのびたような家です。背後には、まだ明るい空に月が浮いています。
「でっかいルークみたいだな」(*メモ参照!)
「カラスみたいには見えないけど」
「カラスじゃなくて、チェスのルーク。お城だよ」
門に近づくと、手書きの札が3枚、画鋲でとめてあります。
・The Quibbler編集者:X. ラブグッド
・自分のヤドリギをどうぞ
・飛行スモモにに近づくな
まるで意味がわかりませんがなー!
きしむ門を開け、曲がりくねった小道を通り抜ける。オカシナ植物がぎっしりのお庭です。ルナのイヤリングのオレンジ色のラディッシュみたいな実もなってます。"Snargaluff"みたいなのはよけながら、その"城"に向かいます。
玄関の左右には、センチネルのように立つ2本の野生のリンゴの古木。もう葉を落としているけれど、赤い実と、白いビーズみたいなヤドリギのふわふわの花冠がたくさんです。鷹のような小さなふくろうが、その古木の枝からこちらを見つめています。
「彼がたすけたいのはハリーで、あたしらじゃないから、透明マントとったほうがええよ」とハーに言われてハリーはマントを脱ぎ、トリオは玄関ドアに近寄ります。鷲に似たドアノッカーですね。トントントン。

出てきたMr. ラブグッド、結婚式のときとはうって変わって、裸足で、汚れたパジャマみたいなのを着て、綿菓子みたいな髪はさらにぼっさぼさです。「何?何ですか。キミらは誰?何しに来たのよ」となんだか失礼すぎるお出迎えをしながら、ハーを見て、ロンを見て、そしてハリー見ると、ゼノの口はパーフェクトでコミカルな"O"の字型に(笑)。
「こんにちは、ぼく、ハリー・ポッター。おうちに入れてくれませんか?お聞きしたいことがあるから」
ところが、"ハリーをたすけたい"はずのゼノ、役に立てないかもな、気がすすまないな、とまさかの消極姿勢です。時間はとらせないからおうちに入れてよ、と食い下がるトリオに負けて、しぶしぶおうちに入れてくれました。ゼノはトリオの背後で急いでドアを閉めます。
そこは、見たこともないようなエキセントリックなキッチン。完全な円形をしています。シンクも食器棚も何もかもが壁にそって円形のカーブを描いています。さらに、そこら中に花やら虫やら鳥やらが、まさかの原色でペインティングされている。さすが、ラブグッド家!
キッチンの中央には、金属のらせん階段が上へと伸びています。なんだか2階がやかましい。ルナかな。
ゼノについて2階に上がると、そこは同じく真円のリビングルーム兼オフィス。ちょっと散らかってますね。いにしえの品々で埋め尽くされた巨大迷路に姿を変えたときの"RoR"に雰囲気が似ています。
魔法生物の模型が羽をバタバタさせて天井からぶら下がったりもしています。ほかに、歯車と車輪がごてごてと取り付けられた木製のものがありますが、ははーん、こりゃ印刷機っす。ここで"The Quibbler"を印刷してるんですね。今も印刷中。カタカタ動いてます。
「ラブグッドさん、あれは何?」
ハーが指差したのは、壁に取り付けられた巨大な灰色の渦巻き型の角です。
「"Crumple-Horned Snorkack"だよ」
「違うわ!"Erumpent"の角よ!いっけないんだぁー。Bクラス貿易品で、あぶないんだもん!ちょっと触っただけで爆発しちゃうやつ。『Fantastic Beasts and Where to Find Them』に載ってたわよーっ!」
「"Crumple-Horned Snorkack"はね、おとなしい生き物で、その角には・・・」
「だめよ、おじさん、これ処分しなきゃ!」
「それさ、ルナへのクリスマスプレゼントにと思って2週間前に買ったんだよ。私が"Crumple-Horned Snorkack"に興味を持っていることを知ってる好青年からね」
角の話ばっかりしててもしょーがないので、ハリーはこう切り出します。「おじさん、ぼくら、たすけが必要なんだ」
「たすけか・・・たすける、ハリー・ポッターを・・・こりゃあぶないな・・・」
ゼノはハリーの額の傷跡を見ている。催眠術をかけられてるみたいな、不思議な表情です。
「みんなハリーをたすけろって、言い続けてきたのおじさんじゃんか!自分だけは例外なのかよ?しっかりしろよ、おじさん!」とロン。
ゼノは今度は印刷機をちらりと見ます。
「たしかにそーゆー見解だったんだけど・・・えっと・・・」
何か、心の中で葛藤しているような、痛々しいゼノ。
「おじさん、ルナちゃんは?彼女にどう思うか聞いてみよ」とハーが言います。
ゼノはハッとします。そして震える声で、「ルナは外で釣りしてるんだ、小川で、"Freshwater Plimpies"を。呼んでくるよ。お友達が来たって知ったら喜ぶから」
ゼノはらせん階段へ消えました。そして玄関が開き、また閉まる。
「卑怯だよな、あのおじさん。ルナのほうが10倍も根性あんじゃんか」「ほんとよ。偽善者だわ。みんなにハリーをたすけろって言って自分は逃げようなんてー」ルナパパ、ロンとハーには評判悪いっすね。
ハリーは窓から外を眺めます。丘のふもとにきらきら輝く細いリボンのような小川が見えます。ここは高いんだな、見晴らしがいい。ハリーはジニーのことを思いながら、The Burrowの方角を眺めます。鳥が1羽飛んで行くのが見えます。
ふと室内に目を戻すと、石の胸像があるのに気づきました。とても美しい、けれど少しいかめしい顔つきの魔女のトルソです。頭にオカシナものつけてます。金の、ラッパ型補聴器みたいなものが2つ、頭の両側から曲がって突き出てて、さらに、きらきら輝く青い翼がついた皮ひもが頭にかけてある。ついでに、ルナのオレンジ色のラディッシュも、別の革ひもで頭に飾られています。
ゼノが戻ってきました。ウェリントンブーツを履いてます。お茶のお盆を運んできました。
「それね、私の創作。美しいロウェナ・レイヴンクロウ。"Wit beyond measure is man's greatest treasure!" これはね、"ラックスパート吸い上げ機"、考えるときの妨げになるものすべて取り除くんだ(ラッパ型補聴器みたいな雑念除去装置)。ほんでこっちは"billywigプロペラ"で、高尚な気分を誘発するためのもの(きらきら輝く青い翼)。で、最後に、飛行スモモ、驚異的なものを受け入れる力が強くなる(ルナのオレンジ色のラディッシュ)。ところでキミたち、自家製"Gurdyroot"はいかが?ルナはボトム橋の向こうで釣りしてる、すぐに戻ってくるよ。で、用事はなんだっけ、ポッター君」
ハリーはハーを見ます。ハーは「よしいけハリー」といわんばかりに頷いてみせます。
「えっと、おじさんがビルとフラーの結婚式んとき首に下げていたシンボル、あれは何?」
ゼノは眉をあげ、あっさりと、じつにあっさりとこう言いました。「キミたちは"the Deathly Hallows"のことが知りたいの?」

【メモ】

blackthornはヨーロッパではリンボク(あるいは北米産のサンザシ)で、花言葉は"困難"です。
ヨーロッパのサンザシ(セイヨウサンザシ)は英語でhawthornですね。こちらの花言葉は"希望"。

セレスティーナ・ワーベック(Celestina Warbeck)さんは"the singing sorceress"として知られる、Wizarding Wireless Networkで活動する歌手さんですね。

「でっかいルーク(rook)みたいだな」「カラス(rook)みたいには見えないけど」「カラス(rook)じゃなくて、チェスのルーク(rook)。お城(castle)だよ」
そして鷲のドアノッカーとロウェナ・レイヴンクロウの胸像。
ここはすごくおもしろいですね!
ブロンズの鷲を紋章に持つレイヴンクロウ。ラブグッド家はそのドアノッカーを持つ家なんですね。
レイヴン(raven)はワタリガラス、クロウ(claw)は鉤爪です。(映画では紋章が銀のワタリガラスになってます)
名前が"カラスの鉤爪"だなんて、強そうで"鷲"のことみたい。
そしてハーが言ったルーク(rook)はミヤマガラスのことで、一般的なやつですが、これもまたレイヴンクロウを言い当てています。そして、ルークが表すもうひとつものは"城"です。そう、ホグワーツ城はレイヴンクロウの知性の結晶、最高傑作!ラブグッド家もまた、カラスのように漆黒の"城"に住んでいる。黒い城、つまりカラスですね。
うーん、ぐるぐるめぐっておもしろい!Joはシゴトが丁寧っすね(笑)。

"Snargaluff"は切り株みたいな形の魔法植物。実をとろうとすると襲いかかってきます。
"Crumple-Horned Snorkack"を探しに、ルナとルナパパはスウェーデン旅行に出かけようとしたことがあります。
"Erumpent"はアフリカにいるでっかいサイみたいな生き物。角で何にでも穴をあけることができます。が、その角には爆発性の液体がつまっているらしい。あぶねー。
"Freshwater Plimpy"は湖底などに棲息するまぁるい魚。2本の脚に水かきがあります。
ラックスパート(Wrackspurts)って、ルナが、目に見えない魔法生物で、耳から入ってきて頭をぼーっとさせるんだとか言ってました。それを応用したんでしょーかね。

"Wit beyond measure is man's greatest treasure."、計り知れない機知、それは人に与えられた最高の宝。聡明なロウェナらしい言葉っす。

心ゆくまでさるお、もんち!

2007年09月22日

さるおのハリポタツアー Harry Potter and the Deathly Hallows Chapter 19 (2)

さるおです。
スーパーポッタリアンなので、愛を込めて、さるおのハリポタツアーは、リドル劇場にて何が起きたのかじっくり考えてみます。
『DH』の完全ネタバレです。コメント欄も含めて、すごーくご注意ください。
ハリポタ辞典のもくじはこちらです。

ロンの瞳がほんのわずかに赤く光った?
「ロン?」
うりゃぁーっ!
あっぶなーい!
ハリーは横に飛び退きます。雪に足をとられながらも、なんとか身を守ろうと身構えてロンを見ると・・・あ、"リドルハリー"と"リドルハー"が消えてる。ロンはちゃんとロケットを刺せたんですわ。生きた両目も消えました。
肩で息をしているロンの瞳は、もう赤くない、いつものブルーです。ハリーは、それを見なかったふりをして、ロケットを拾い上げてポケットに入れ、ロンの肩に手を置きます。
「ハーちん、ずっと泣いてたんだよ。ぼくと話したがらなくて、ふたりしてすんごい無口だった。ぼく、ハーのことは兄弟みたいに愛してる。きっとハーもそう思ってくれてる。いつだってそうだったんだよ」
そしてロンのリュックサックを背負う。
ロンも応えます。「ごめん、出てったりしてごめん。ぼくさ・・・」
「今夜はすごかったじゃん。剣を手に入れて、ホークラックスを壊して、ぼくの命を救って」
「そう言うと、実際よか、かっこええね」
「うん。事実よりかっこよく聞こえるんだよね。ぼくも同じなんだって、ずっとキミに言おうと思ってたんだ」
ふたりは同時に、抱き合います。よかった!ほんとによかった!
「戻ろう、テントへ」
真っ暗闇で怖かったのに、帰りは違う。ロンと一緒なら、暗闇を歩いてもだいじょうぶ。早くハーを起こさなきゃ。ロンが戻ってきたって言わなきゃ!

「ハーちん、起きて!」
「何事?あんた無事?」
「無事どころかゴキゲーン!」
ハリーは、ハーとロンの再会を邪魔しないようにテントの隅に移動します。
ロンが微笑んで見せる。
が、しかーし、ハーは立ち上がって何か言いかけた後、唐突にロンちんを家庭内暴力。ぼかんぼかんと、本気でロンちんをぶん殴ってますわー(笑)。「あんたは!なんて!ばかな!まねを!したのよ!ロナルド!ウィーズリー!今ごろ!戻って!来やがって!まったく!・・・あたしの杖どこ?」ハーちん、家庭内暴力に魔力まで使う気ですね(汗)。
"Protego!"
ロンが出て行った夜、ハリーとロンの間にハーがつくったシールドを、今夜はハリーがつくります、カップルの間に。
「いいからあたしの杖を返しなさいってば、ハリー!」
「ハーちん、ちょっと落ち着いてよぅ・・・」
「なんであたしが落ち着かなきゃなんないのよ!あたしに命令しないで、ハリー・ポッター!」
「・・・」ハリーさん脱落。こんなハーは初めてっす。
「戻ってきてって叫んだのに出て行くなんて!ごめんで済むと思ってんの!許さないから!あたしたち、死んでたかもしれないのに!」
「生きてるって知ってたよ。新聞でもラジオでも、ハリーは"時の人"だもん。みんなが探してるんだ。死んだらすぐにわかるよ。ぼくだって戻りたかったんだ。出てきてすぐに、後悔したんだ。だけど"Snatchers"の一団に出会っちゃって、動けなかったんだよ」
「スナッチャーって何?」ハリーが聞き返す。ハーは不機嫌そうに腕組みをして座ってますが、もちろんちゃんと聞いてます。
「賞金稼ぎだよ。ぼくのこと、逃亡中のマグル生まれだと思って、魔法省に連れて行こうとしたんだ。だからやつらに言ってやった、ぼくはスタン・シャンパイクだって。でも結局バトルんなっちゃって、杖をとられそうんなったけど、運良くひとりぶっ飛ばしてさ、そいつの杖も奪って、ほんで瞬間移動で逃げたんだ。また"Splinching"しちゃって、右手の爪が2枚なくなっちゃったけど。で、川の側に戻ったけど、キミたちはもうそこにいなかった」
「さぞかし怖かったでしょーねっ!あたしらはゴドリックホロウでヘビとヘビ男に殺されかけましたけど!爪がなくなった、ですってよー、ハリー!」口を挟むハー。
「ハーちん聞いてよ、ロンはぼくの命を救ったんだよ」なんとかハーを静めようとするハリーさんですが、んなこたぁ聞いちゃいねぇ。
「そんなことより、どうやってあたしたちを見つけたのか言いなさい!」
「これだよ」
ロンが取り出したのは、ダンブルドアにもらった、あの"Deluminator"です。
「明かりを消すだけじゃないんだ。どういう仕組みでそれが起きたのか、なぜあのときにそれが起きたのか、なぜそれ以前にはそれが起きなかったのか、わかんないけどさ。あのね、クリスマスの朝ラジオ聞いてたんだ。そしたら、ハーの声が聞こえたんだよ」
「ラジオから?」
「違う。デルミネーターからなんだよ。ハーの声がぼくの名前と、あと、杖がどうとか、言ってるのが聞こえたんだ」
そう、たしかにその頃、ハーは"ロン"と言いました。ロンが出て行ってからずっと口にすることを避けてきたロンの名前を言ったんだ。「杖はなおせないよ。ロンちんの杖が折れたときもどーにもなんなかったもん」って。
「ほんでさ、デルミネーターを取り出してクリックしたらね、部屋の明かりが消えて、代わりに別の明かりが窓の外に現れた。青くて丸い光でさ、脈打ってるみたいな感じで、ポートキーの光によく似てんの。だからさ、荷物まとめて庭に出たんだよ。そしたらその光はぼくを待ってて、ぼくん中に入ったんだ。心臓らへんとこに、光が入っちゃったの。そしたらね、自分は何をすべきか、わかるようになった。行かなきゃいけない場所に、行けるってわかったんだ。で、ぼかんて瞬間移動したら、丘についたんだよ」
「あたしら、そこにいたよ。2日目の晩、誰か外を歩き回って叫んでると思って、怖かったんだわー」
「それ、おいら」
プロテクションのせいで、ロンからはふたりが見えないし、ふたりの声も聞こえなかったんですね。でも、"そこにいる"とわかってた。待ってれば、引っ越しするときに会えるはず。
ところが、「あたしら、朝早くに透明マントかぶって引っ越しちゃったんだ」。
ロンは辛抱強く夜まで待って、そしてふたりがもういないと確信し、またデルミネーターをクリック、青い光の球が身体に入って、ぼかんとやったらここについたわけです。そしてまた待ち続けた。ずっと追いかけてきてくれてたんです。
雌鹿が現れ、ついにハリーも姿を現した。
ふたりは雌鹿のことをハーに話します。
「それ、パトローナスじゃん!誰が呼んだの?」
怒っていたハーちんも大コーフン。
ロンは続けて説明します。ハリーが池に飛び込むのを見て、待ってたけど上がってこなくて、死んじゃうぞと思って池に飛び込み、まずハリーを救い、その後ハリーが取ろうとしていた剣を取りに再び氷の池の飛び込んだ。
ここからはハリーが話します。リドル劇場の話はハーに言いたくないわけです。「ほんでロンちんがロケットを剣で突き刺したんだ」そしてハーにロケットを見せます。
リアル冒険談に夢中のハー。もう怒ってないかな、と思ってハリーは"Protego"を解除しました。「スナッチャーから奪った杖、ぼくにちょうだい。ぼくの杖、折れちゃったんだ」
「ぶはぁーっ、まじで?」ロンもびっくりです。
ハーは破壊したホークラックスをバッグに入れ、黙ったまま横になっちゃった。ハリーの杖のことを自分の過失だと思って、まだ気にしてるんですね。
「仲直りって、まずはこんなもんじゃん?」とロンにささやくハリー。「ほだね」一安心のロン。「ハーがまたあの鳥でぼくのこと襲うかと思った」
「あたしはまだそれを選択肢からはずしてないわよ」あ、まだ起きてた(笑)。
ロンはリュックから栗色のパジャマを取り出しながら微笑みました。

【メモ】

スナッチャーはいわゆる"bounty hunter"ですね。

デルミネーターのこの機能はおもしろいです。DDはなぜこれをハリーでもハーでもなくロンに遺したのか。なんだか、ロンがふたりといったんは離れ離れになると知っていたような感じすらあります。あまりに的確な贈り物だもんなぁ。ロケットを破壊するのはハリーではなくロンだと知ってたんじゃないか、だからロンは必ずふたりと合流しなければならないと、わかっていたように思えます。
どーゆー条件下で機能を発揮するのか。"ロンがたった今考えている(大切に思っている)人"がロンの名前を口に出すとそれが聞こえるのか、"たった今ロンを必要としている人"がロンの名前を口に出すとそれが聞こえるのか、いろいろ考えたくなりますね。

白銀の雌鹿、こりゃフツーに考えたらリリーさんなんすよね。
まずパトロナスの基本的なことについて考えてみます。
ハリーのパトロナスは牡鹿。牡鹿はジェームズですね。ハリーがパパさんに思いを寄せているからなのか、ジェームズが今も天国でハリーの役に立とうとしているからなのか、これはわからない。わからないけれども重要です。おそらくは、前者だと言えます。なぜなら、ハリーがパトロナスを呼ぶときに使う幸せな思い出が、"両親の思い出"だからです。ただし、"ではなぜリリーの雌鹿ではないのか"という疑問がなくもない。で、これも重要です。
ロンのパトロナスはジャックラッセルテリヤ、ハーのはカワウソ、なんとなく、"自分が飼いたいペット"的なものでもあるかもしれない。ちなみにトンクスの事例があるので、パトロナスの形態は変化することもあるんすよね。
で、誰が雌鹿を呼んだのか。
リリーに思いを寄せている(寄せていた)かもしれない生存者です。こりゃもう、ジェームズ世代としか思えないっすよ、まぁホラスっちゅー例外があってもええけど(笑)。となると、リーマス、セヴルス、ピーターです。この3人は、常に何かしらの問題を抱えていた。オオカミだとか、いじめられっこだとか、友達たちほど才能がないとか。そのストレスの中において、リリーに優しくされたら、そりゃもう、恋ですわ、恋。ただし、ピーターについてはそのようなエピソードが登場していません。もしも重要ならばどこかで語られていたはずなので、ピーターは除外できるだろうと思います。リーマスとセヴルス、どっちも可能性あると思うんですが、特別に"1つの幸せな思い出"を情熱的に愛しているとすれば、それは間違いなくスネイプさんだろうと思う。リーマスには、友達と遊んだ思い出があるし、今現在ならトンクスがいるんだもん。セヴルスには、リリーしかいないのかもしれないのです。
ということは、雌鹿を呼んだのはセヴルス・スネイプだっちゅーことになります。
さるおはスネイプさんはシロだと思っているので、こりゃあり得るんじゃないか。これが当たってるとすると、彼はホグワーツを抜け出して"ディーンの森"に来てくれてたのかな。もしも、もしもセヴルスが未登録アニメーガスなら、やってきた"ふくろう"は、もしかしてよく見たらじつは"コウモリ"で、セヴルスだったんじゃないか。2本の樫の木の間にいたのかもよ、なんて思います。
さて、ハリーがパパさんに思いを寄せているからなのか、ジェームズが今も天国でハリーのために役に立とうとしているからなのか、これをセヴルスとリリーに置き換えると、セヴルスが今もリリーに思いを寄せているからなのか、リリーが今も天国からセヴルスをたすけようとしているからなのか、っちゅーことになります。ジェームズとケッコンしたれどセヴルスが好き、などというまさかのふしだら感が漂ってしまって困るので、ここは前者でしょう。さらにハリーのパトロナスに関する"ではなぜリリーの雌鹿ではないのか"については、リリーの側が、はたして複数の人のパトロナスになることは可能かっちゅー話しになりますが、仮にこれが不可能だとして、リリーのパトロナスがセヴルスを守る(昔のように)と決まっていたら、ハリーのところにはジェームズが行くしかないわけで、だから牡鹿なのかもしれないな、という、まぁどっちにしろふしだら感が漂ってしまいましたな(笑)。
ここまで考えてくると、ダンブルドアとフェニックスの関係も気になるなぁ!

ところで、"別の明かりが窓の外に"って、ロンちんは誰んちにいたのか。The Burrowとは思えないけど。

心ゆくまでさるお、もんち!

2007年09月19日

さるおのハリポタツアー Harry Potter and the Deathly Hallows Chapter 19 (1)

さるおです。
スーパーポッタリアンなので、愛を込めて、さるおのハリポタツアーはついに大きく動き出します!
『DH』の完全ネタバレです。コメント欄も含めて、すごーくご注意ください。
ハリポタ辞典のもくじはこちらです。

19:The Silver Doe

ハリーはおっかない夢を見ます。ナギニちゃんが現れたり消えたり、割れたでっかい指輪を通り抜け、クリスマスローズの花輪を通り抜ける。遠くで誰かが叫んでいる。そしてまた、足音と人の声を聞いたような気がして、こわくて目が覚める。
「もうちょっと寒さをしのげるとこに移動しようよ」とハリー。
「うん。あたし誰かがテントの外にいる気がしてしょーがないんだよね。人影が見えた気もするし。気のせいだと思うけど」
あれれ、ふたりとも"人の気配"を感じています。ハリーは思わずスニーコスコープに目をやります、が、回ってない、やっぱりただの気のせいなんでしょーか。
ふたりは早々に荷物をまとめ、透明マントをかぶり、手をつないでぼかんと瞬間移動。「ここはどこ?」「ディーンの森よ。昔来たことあるんだ、パパママと、キャンプしにね」移動はハーまかせっすね。
もちろんここも雪だけど、丘よりも少しだけ風をしのげそうです。テントを張り、ハーが青い炎を灯します。暖まることもできるし、瓶に入れて持ち運びもできる魔法の炎。
火があって風がしのげるといっても、薄いテントの外はパウダリースノーが降り続く銀世界。めっぽう寒い。持ってるセーターを全部重ね着してもあまりに寒い。震えながら、ふたりはそこで二晩を過ごします。

夜の見張りをしながら、ハリーは"Marauder's Map"を見ています。クリスマス休暇かぁ。ジニーはThe Burrowに里帰り中です。森で動いている小さな点は森に住む生き者たち。森で、ヘビ男(この場合はクィレルさん)が落ち葉の上を動いてマントを引きずる音を聞いたことがあったな。そう思ったときでした。またしても、それに似た物音が、テントの外から聞こえたような・・・
ハリーはうとうとし、真っ暗闇の中ではっと目を覚まします。すると、テントの外にまさかの光。明るい銀色の輝きは、だんだんこっちに近づいてくるじゃんよ。とっさに立ち上がり、ハーの杖を構え、外の様子をうかがいます。
木々の間を抜け、樫の木の向こうから姿を現したその光は、月のように明るくキラキラと輝く白銀の雌鹿!
積もった雪に足跡を残さず静かに近づいてきて立ち止まり、頭を上げて、まつげの長い大きな瞳でハリーを見つめています。
この美しい雌鹿を、知っている気がする。ハーを呼ぼうかと思ったけれど、きっとこの雌鹿は、ぼくに会いに来たんだ、なんとなくそれがわかる気がする。
雌鹿はハリーをじっと見つめ、そして振り向いて、歩き出しました。「待って!」思わず呼び止めます。
どうしよう。追いかけようか。でも罠かもしんない。どうしよう。
ハリーは思い切って、雌鹿について行くことにしました。
しばらく歩き、雌鹿が立ち止まる。振り返り、またハリーを見つめます。近寄って、何か言おうとした瞬間、雌鹿は消えてしまいました。
突然明るい光が消え、真っ暗闇にひとりぼっち。瞼には雌鹿の残光が残っています。雌鹿と一緒なら安全だった。ハーの杖に明かりを灯し、きょろきょろとあたりを見回します。枝が折れる音、雪を踏む音、杖の明かりが届かないところに誰かいる、こっちを見てる。やっぱ罠かも、まじやべぇ。
足元で、何かが、杖の光を反射して光ります。それは、氷の張った小さな池です。いや、それだけじゃない、分厚い氷の奥に、まだ何かあるぞ。銀の十字架、ルビーのはめ込まれた・・・ぶわぁーっ!グリフィンドールの剣、出たぁーっ!

なんでここに剣があるのか?あるいは、なんで自分たちは剣のある場所に来られたのか?
さっきの雌鹿はこの池の守り神なのかな?そーいえば、よく似たモノを知ってます。そう、パトロナス!ならば誰が呼んだパトロナスなのか?雌鹿は、ハリーに剣を見つけさせるためにここに連れ出したんでしょうか?
"Accio Sword!"
動かない。たしかに、それじゃ簡単すぎる。呼び寄せられるくらいなら、地面に置いてあったってよさそうなものです。
ダンブルドアの言葉を思い出します。Only a true Gryffindor could have pulled that out of the hat. 真のグリフィンドール生だけがこの剣を手に入れることができる。
真のグリフィンドールってなんだっけ。
Their daring, nerve and chivalry set Gryffindors apart.
勇気と騎士道が、グリフィンドールと他者の違い。

氷の下にあるってことは、えーっと、非常に寒いんですが、勇気を持って、アレですかね、つまり、まさかの寒中水泳。ハーを呼んで来て自分の代わりに剣を取りに行かせないことが騎士道(chivalry)じゃないとしたら、いったい何が騎士道なのだ(笑)、ハリーは寒さに震えながら思います。
ええい、ままよ。
どんどん服を脱いで行くハリー。手が震えます。歯がガチガチ鳴ります。どこかでふくろうが飛んでいる。思い出のすべてを詰め込んだハグリッドにもらったポーチとハーの杖を置き、夜の夜中に森でパンツいっちょ。素足で雪の上に立つ。寒いなんてもんじゃねぇ。
"Diffindo!"
氷を割りました。深くはない。やらねばならーん!と自分に言い聞かせ、うりゃぁーっ!と飛び込んだ。
冷たいどころか、まるでナイフで刺されるような激痛ですわ。冷たすぎる水が、炎のように身体を焼く。身体が悲鳴を上げてます。ガタガタ震え、呼吸がうまくできない。それでもド根性でうりゃぁーっ!と潜る。
ところが、あろうことか、何かが首に絡みつく。なぜか外さなかったロケットの鎖です。ロケットは、まるでハリーが剣を手に入れようとしているのがわかっているかのように、ハリーの首をどんどん締め上げる。うわぁー、息ができない。鎖を外したいけれど、冷たくかじかんだ手が動かない。暴れても暴れても、だめだー、ぐるぢぃーっ!
絶体絶命。もうだめぽ。

そのときでした。誰かの腕がハリーの身体を抱え、冷たい氷の池から、雪の上へと引き上げた。きっとハーが来てくれたんだ。今までみたいに、ハーがたすけてくれたんだ。
首に触ると、ひどく食い込んだ跡があります。ロケットがハリーの喉を絞め、まるで殺そうとしたみたい。あれ、ロケットは?誰かが外してくれたんだ。
そこへ声が聞こえます。「気はたしかかよ?」
この懐かしい声は!
「なんでこれ外してから飛び込まなかったのさ!」
この声に励まされてどうにか起き上がり、見るとそこには、片手にグリフィンドールの剣を持ち、もう片方の手に鎖の切れたロケットをぶらさげ、服を来たままびしょ濡れで顔に髪を貼り付かせている、ロンちーん!
ロンの前では雌鹿も霞みますね。ロンが、ロンが戻ってきた!ハリーの命を救ったんです。
「雌鹿もロンちんが?」
「違う違う。ハリーのパトロナスかと思ったよ。でもちょっと違った、枝角がなかったもんな」
服を着たハリーにロンが言います。
「戻ってきたよ、まだ、ぼくのこと必要だよね」
うんうん!必要。ふたりはまだちょっとぎこちない感じですが、さるおは嬉しい。
ロンは自分の手に持ったモノを見ます。「そっか、それで寒中水泳してたのかー。大きい森だからさ、キミたちを探してたんだ。木の下で野宿して、ほんで、朝になるのを待とうと思って、そしたらハリー、キミが現れた。あの木んとこで何か動いたような気がしたんだけど、そんときにはもうキミをたすけなきゃと思って池に向かって走り出してたから、確かめてないけど・・・」
ロンが指さしたのは、2本の樫の木が隣り合っているあたりです。もうそこには何もありません。
「なんで剣が池ん中にあったの?これ、ホンモノ?」
「雌鹿のパトロナスを誰が呼んだにしても、きっとその人が池に入れたんだよ。ホンモノかどうか確かめる方法はひとつ」
ロンが手にぶら下げたロケットは、身を捩るようにぶらんぶらんと揺れてます。嫌がっているんです、壊されるのを。
「ぼくがロケットを開けるから、ロンちん剣を刺すんだ。剣をとることができたのはロンだもん、ロンがやるんだよ」
ハリーは、手柄を譲ろうと気を遣ったわけではありません。ロンこそが、剣を使うことを許される人物なんだと、わかっているんです。
「どやって開けるの?」
「ヘビ語でやってみる」
「だめ!だめだめ!開けちゃだめ」
「なんで?」
「ぼくには無理だよ。できない。言い訳じゃなくてさ、ロケットにいちばん影響されたのぼくなんだもん。だからこれは無理だって」
「いいからやるの!いちにのさん、"Open"」
ロケットが開きました。中には、まさかの生きた"目"が入ってます。トム・リドルのふたつの目が。そしてロケットから声がする。
「おまえの心を見た。ロナルド・ウィーズリー。おまえの怖れや欲望や、すべてを見た。娘を望んだママさんに愛されることもなく、友人を選んだ恋人にも愛されなかった。いつだって2番目。いつまでたっても影の薄い、ロナルド・ウィーズリー」
「ロンちんてば!聞いちゃだめ!早く刺して!」
ロンは剣を振りかざしたまま動くことができません。ロケットの両目が真っ赤に光り、ぐわぁー、"赤い目のハリー"と"赤い目のハー"がにょきにょき出てきたぞ。ロンが思わず後ずさる。ロケットが白い炎のように光り、突然の熱さにハリーは思わず手を放します。
赤い目の"リドルハリー"がこう言います。「なんで戻ってきたんだよ。おまえなんかいない方がいいんだ。せっかく楽しくやってたのにさ。おまえはバカで臆病でずうずうしいって、せっかくふたりで笑ってたのにな」
「ずうずうしいだって!きゃはは!」ひどく美しい赤い目の"リドルハー"もこう言います。「誰があんたに注目するっての、ハリー・ポッターの横にいるあんたを。"選ばれし者"と比べたら、"生き残った男の子"と比べたら、あんたなんか屁よ」
「そーいや、おまえの母ちゃん、言ってたぞ、あなたが息子だったらよかったのにって。代わってやろうか?」
「息子があんたじゃ、屁だもんね。そりゃハリー・ポッターの方がいいわよね、きゃはは!」
勢いに乗ってチュッチュチュッチュですわ。
ロンはついに1歩踏み出す。ハリーは一瞬、ロンの目がほんのわずかに赤く光ったような気がしました。
「ロン?」
剣がひらめき、うりゃぁーっ!
あぶない!

【メモ】

つきまとう人の気配、回らないスニーコスコープ、この章の前半は伏線だらけっすねー。

白銀の雌鹿、こりゃフツーに考えたらリリーさんです。

"真のグリフィンドールってなんだっけ"と考えて(計算して)しまったところが、今回のハリーの非常に"グリフィンドールらしくない"ところ(笑)。
ロケットがハリーを邪魔したわけで、もちろん結果論にすぎないですが、今回剣に選ばれたのはロンです。ロンは考える前に飛び込んだ。一瞬の判断です。すばらしい!

心ゆくまでさるお、もんち!

2007年09月16日

さるおのハリポタツアー Harry Potter and the Deathly Hallows Chapter 18

さるおです。
スーパーポッタリアンなので、愛を込めて、さるおのハリポタツアーは"そうではない"と信じていますが、ハリーさんはモーレツに怒っています。
『DH』の完全ネタバレです。コメント欄も含めて、すごーくご注意ください。
ハリポタ辞典のもくじはこちらです。

18:The Life and Lies of Albus Dumbledore

朝が来ました。ハリーが直面している大ピンチとは無関係の、とても透明な朝です。生きてこの朝日を見る、それはとてつもない宝なのだろうけれど、ハリーはそんな気になれません。杖を失い、心中穏やかではない。
額の稲妻型の傷跡と、手の甲にカエルおばばのせいでできた傷跡、今ではそれに、ロケットで焼かれた胸の傷跡とナギニちゃんに噛まれた腕の傷跡が加わっています。傷だらけになっても、それでもハリーは、自分は弱くなんかないと、まだ戦えると、自分に言い聞かせてきた。でも、とうとう杖を失った今、もうだめぽ、と弱気です。自分の手の中で磁石の針のようにスピンして敵を見つけどっかーんと金色の光を放った杖が、もうない。力のすべてを、守護のすべてを、失ってしまった。
ハグリッドがくれたロバ皮のポーチに折れた杖をしまい、皮の上から、スニッチに触れ、またダンブルドアのことを考えます。なして、なしてダンブルドアは何にも言ってくれなんだ。他のあらゆる感情を押し流すほどの怒りが、心を満たしています。ゴドリックホロウに答えがあると思ったけれど、ダンブルドアがどこかに導いてくれると思ったけれど、何もかも無駄じゃんか。ダンブルドアは、地図もなく宛てもない真っ暗闇に、何の説明もなくぼくを置き去りにした。杖はないわ剣はないわ、写真は落としてくるわで、ちくしょう、もうだめぽ。

ハーは泣き顔のまま、二人分の紅茶のカップを持って、テントから出てきました。「まだ怒ってる?話してもいいかな」
「だめ」
本当はハリーはハーのことを怒っているわけじゃない。ダンブルドアのことを怒っているんです。けど、なんだかハーに八つ当たりしそうな気分です。「杖が折れたのは事故だってわかってる。ハーちんはさ、ふたりで生還しようと必死でがんばってさ、んで、ぼくをたすけてくれてさ、すごかったんだ。ハーちんいなかったら死んでたもん」
ハーはハリーに本を差し出します。バチルダの家にあったリタの暴露本『The Life and Lies of Albus Dumbledore』です。
ページを開いた痕跡のまったくないその本をめくり、ハリーはカエル部屋で見た写真を探します。こないだは読んでる時間がなかったけれど、今度はその注釈を読む。

ケンドラの死から間もないころの、アルバス・ダンブルドアとゲラート・グリンデルバルド(Gellert Grindelwald)

なぬーっ!この爽やか極まりないニコニコ顔のハンサム青年が、悪名名高いグリンデルバルド?ダンブルドアの"ダチ"なのかよーっ!
びっくらこけるハリーとハー。暴露本の"The Greater Good"の章を読みます。

17歳の終わりに、ダンブルドアは栄光に包まれてホグワーツを卒業した。Head Boyで、Prefectで、Barnabus Finkley Prize for Exceptional Spell-Castingの勝者で、Wizengamotの若者代表に選ばれて、カイロで行われたGround-Breaking Contribution to the International Alchemical Conferenceの金メダリストとして。
卒業旅行で次の朝ギリシャに発つ予定で、エルファイアス・"犬の息"・ドージとリーキー・カルドロンに宿泊していたダンブルドアのもとへふくろう便がやってきて、母親の死を告げた。ダンブルドアは"超尊い自己犠牲とやらを払って"卒業旅行を中止し、っちゅーかほんとは嫌々ながら断念し、弟と妹の面倒をみるためにゴドリックホロウへ戻った。"面倒をみた"かどうかは怪しいもんだけど。
実際、ゴドリックホロウ郊外に住んでいたEnid Smeekはこう言っている。「両親を亡くして、まぁ気の毒だとは思うけど、やりたい放題だったよね。アバフォースなんか私の頭にヤギのうんち投げて遊んでたし。アルバスはそんな弟に興味なしだし。兄弟で一緒にいるとこなんて観たことないや」
ならばいったいアルバスは何をしてたのかというと、親から引き継いだシゴト、妹の監禁。
ダンブルドア家を最初に歓迎しようとしてケンドラに拒否られた、著名な歴史家バチルダ・バグショットは、Transfiguration Today誌に掲載されたアルバスの論文 『Trans-Species Transformation』に感銘を受けホグワーツのアルバスにふくろう便を送ったこともある人物で、ケンドラが亡くなったころ、ゴドリックホロウでただひとり、ダンブルドア家と交流があった。バチルダは今じゃもう、Ivor Dillonsby流に言えば"火はついてるけど鍋はからっぽ"、エニド・スミーク流に言うと"イカレててほとんどリスの糞"。そのバチルダから、私はダンブルドアのスキャンダラスな過去の全貌を明らかにした。まったく、ヴェリタセラムを手に入れた甲斐があったというものだ。彼女だけが、アルバス・ダンブルドアのファンがびっくらこけて落胆するような、病んだ側面を知っているのだから。
孤児として、一家の長として、ダンブルドアが実家に戻った夏、バチルダは大甥にあたるゲラート・グリンデルバルドを家に滞在させていた。ヘビ男が現れるまでは"最も危険なDark Wizards"のトップに君臨していたグリンデルバルドを。
グリンデルバルドは、ダンブルドアと同じくらいに"早熟な天才"だった。しかしその才覚が向かう先は、あまりに異常な実験の数々。ついに16歳のとき、ダーク・アーツに寛容なダームストラング校ですらグリンデルバルドを見逃せなくなり、なんと退学に。グリンデルバルドはその後大伯母バチルダを訪ね、アルバス・ダンブルドアとお友達になったのである。
バチルダはこう言っている。「ゲラートはいい子だったよ、後にあの子がどうなったにせよ。アルバスとゲラートはすぐに仲良くなった。アルバスは同世代の友達を必要としてたから」
そして保管していた一通の手紙を見せてくれた。ふくろう便は夜中に届くこともあった。ふたりの"早熟の天才"は、夢と理論を語り合い、アイデアがひらめくと時間などかまわずにすぐに知らせあっていたのだ。
@@@
ゲラートへ
魔法使いによる支配が"FOR THE MUGGLES' OWN GOOD"(マグルの利益のため)だという論点は、極めて重要だよね。実際、ぼくらには力が与えられている。その力はつまり、ぼくらが持つ"支配する権利"だよね。
だけど同時にそれは、支配される者(マグル)に対する責任でもある。ここがいちばん大事。これを基礎としてプランを考えなくちゃ。
ぼくらは"FOR THE GREATER GOOD"(より善きもののため)に支配する側になるんだよ。
抵抗勢力にあっても、必要最低限の力だけしか使っちゃいけないんだ。(キミが"必要最低限の力"に満足しなくて退学になったことを責めるつもりはないけど。おかげでぼくらは出会えたんだからさ)
アルバスより
@@@
これが"17才のヒーロー"の手紙である。驚きだろう。マグル擁護のために行われた数々のスピーチが、まるで空虚。ケンドラの死を悼みアリアナの世話をすべきときに、支配者になるプランを練っていたなんて!
ダンブルドアとグリンデルバルドは、一夏で袂を分かつ。そしてあの伝説的な決闘のときまで、再び会うことはなかった。
「アリアナの死が原因。それが起きたとき、ゲラートはあの家にいた。すっかり動揺して慌てて戻って来てね、明日実家に帰りたいって言うから、ポートキーを用意してやって、あの子はぼかんと飛んで帰った。それがゲラートを見た最後だね。とっても悲惨なできごとで、アルバスは取り乱してた。兄弟だけを残して、みんな死んじゃったわけだから。アバフォースはアルバスを責めた。アバフォースはもともとちょっと乱暴にしゃべる子だったけど、とにかく、アリアナの葬儀でアルバスの鼻を折っちゃった。もしもケンドラが、娘の遺体を間にはさんでケンカする息子たちを見ていたら、おどろいて死んじゃうわね。ゲラートが葬式に出られなかったのは残念。アルバスの慰めくらいにはなったのに」と語るバチルダ。
なぜ、アバフォースはアリアナの死についてアルバスを責めたのだろうか?単に深い哀しみゆえなのだろうか?
学校の友達にキケンすぎる攻撃をして放校になったグリンデルバルドは、少女の死から数時間後には国外へ。それ以来、アルバスは魔法界の要請で強制されるまで、彼に会わず、彼について語らなかった。
ダンブルドアが、5年におよぶ社会の混乱状態と多くの死傷者や行方不明者とひきかえにグリンデルバルドを放置していたことは、過ちだったかもしれないのである。
なぜダンブルドアは躊躇したのか?グリンデルバルドに対する友愛のせいか、それともそれが露見するのを恐れたのか?出会えたことをよろこんだのに、その友を葬るために、しかたなく出発したのだろうか?
そして、アリアナの死の真相は?闇の儀式の犠牲者?あるいは、栄光へと向かうふたりの"早熟の天才"の"実験"にたまたま出くわしてしまったのだろうか?
バチルダも、兄弟も、アリアナの死因は呪文のバックファイアーによるものだと言っている。
アリアナ・ダンブルドアが、"FOR THE GREATER GOOD"(より善きもののため)に死んだ最初の人物であった可能性は、はたしてあるのだろうか?

あぁ、ロンが去っていったときとまるで同じ感じ。ショックっす。
ダンブルドアは善と英知に満ちていたと信じていたのに。なにもかも、灰になってしまった。ロンを失い、ダンブルドアを失い、フェニックスの杖を失い、すべてを失った。
ハーは「リタが書いたのなんて信じたらあかーん」と言うけれど、そんなこと言ったって、あの手紙はだめぽ。
「"FOR THE GREATER GOOD"ってゆーのさ、後の、グリンデルバルドのスローガンなんよ。おっかないことしておいて、その言葉で正当化して。たしかにダンブルドアがアイデアを与えちゃったのかもしんないけど。"FOR THE GREATER GOOD"って、グリンデルバルドが抵抗勢力を収監するために作った刑務所"Nurmengard"のエントランスにも刻まれててさ、でも自分がそこへ入ることになっちゃったんだってー。結果としてダンブルドアがグリンデルバルドを手伝っちゃったってゆーのは残念だけど、もとは一夏のできごとじゃん、ふたりとも、ただ若かったんよ。ママさんが死んでさ、きっとひとりで大変で、こんな馬鹿げたこと考えついたんよ」
「ハーちんどうせそう言うと思ってたもん。"彼らは若かった"。でもぼくらだって、当時の彼らと同い年じゃんか。ぼくらは命がけでわるもんと戦ってるのに、ダンブルドアは友達つくってマグルを支配する計画を練ってたんじゃん!それに彼はひとりぼっちじゃなかったもん!弟もいたし、スクイブの妹もいたじゃん!」
思わず立ち上がるハリー。
「あたいは信じない」ハーも立ち上がる。「アリアナちゃんがスクイブだったとは思わない。うちらの知ってるダンブルドアは、スクイブだから閉じこめろだなんて、そんなこと絶対許さない人だもん」
「ぼくらが"知ってると思い込んでた"ダンブルドアは、マグルを力で征服しようなんて考える人じゃなかったよ!」
ハリーの叫び声が静かな丘に響く。クロウタドリが真珠色の空に舞い上がる。
「ダンブルドアは変わったんよ、ハリー、変わったんよ!17歳んときはちとオカシかったかもしれんけど、残りの人生はわるもんとの戦いに捧げられてきたんだもん!グリンデルバルドをぶっとばしたのも、マグル保護法やマグル生まれの権利のためにふんばったのも、ヘビ男と戦ってやっつけようとしたのも、ダンブルドアだもん!」
「ダンブルドアがぼくに何を望んだのか、考えてみてよ、ハーちん!『命をかけろハリー、何度でも、何度でも!説明はなしだ、私が何も明かさなくても私を信じろ!目なんか閉じたままでいいから、私を信じろ!たとえ私がキミを信じていなくても、キミは私を信じろ!ほんとのことは教えない!』こんなのひどいじゃん!」
真っ白な、そしてなんだかとても空っぽの、雪の丘に立ち尽くすハリーとハー。ぼくたちなんて、この広い空の下、虫みたいなもんだ。
「ダンブルドアはあなたを愛してた。私はそれを知ってる」
「彼が誰を愛してたか、ぼくは知らない、だけどそれは、ぼくじゃなかった。こんなところにぼくを残して、こんなのは愛じゃない。クソったれなプランをグリンデルバルドと共有したんだよ、ぼくなんかよりもさ」
ハーは、雪の上に落ちた本を拾い上げ、テントに向かって歩き出しました。ハリーとすれちがう瞬間、ハリーの頭を手でそっとなでて。
ハリーはとっさに目と閉じました。「ダンブルドアはあなたを愛してた」それが本当だったらよかったのに・・・。

【メモ】

Barnabus Finkley Prize for Exceptional Spell-Castingは、"例外的な魔法"のスキルがすげーっちゅことで与えられる賞のようです。
そして若者世代を代表して、在学中からWizengamotのメンバーになってたんですね。
さらに、カイロで行われた国際練金術コンファレンスへの革新的な貢献(Ground-Breaking Contribution to the International Alchemical Conference(革新的なConributiontoの国際練金術のコンファレンス)を評価されて金メダリスト。
なんだかわかんねー。けど凄そうです。

イヴォール・ディロンスビーさん、また出てきたな。

クロウタドリ(blackbird)は、悪の象徴、誘惑の象徴です。(スウェーデンの国鳥でもありますが(汗))

すべてを失った。
そうかもしれない。たしかにそうかもしれないんだけど、ハリーさんにはこう言い換えていただきたい気持ちっすね、「ぼくにはまだハーがついてる」と。

心ゆくまでさるお、もんち!

2007年09月09日

さるおのハリポタツアー Harry Potter and the Deathly Hallows Chapter 17

さるおです。
スーパーポッタリアンなので、愛を込めて、さるおのハリポタツアーは、修羅場を駆け抜けます。
『DH』の完全ネタバレです。コメント欄も含めて、すごーくご注意ください。
ハリポタ辞典のもくじはこちらです。

17:Bathilda's Secret

ハーの肩を抱いて、ハリーの背中を抱いて、墓地を後にするふたりですが、ハーが唐突に「ちと待て。誰かおるよ。こっち見てる、茂みの向こうから」と言います。ハリーには見えません。マグルに化けているけれど、ポッター家に花を手向けるマグルなんて変だもん。誰かに見られているなら、ちょっとまずいかもしれない。足早に墓地を出て、透明マントをかぶります。
時間も遅くなり、キャロルが、今度は人で溢れかえるパブから聞こえてきます。「こっち行こ」来た方角とは反対方向に、ハーがハリーを引っぱって行く。「バチルダんち、見つかるかな」
ところがいきなり発見したのは、"故郷"でした。"Fidelius Charm"は消失してるんですね、ちゃんと見えます、蔦に覆われ雪をかぶり、向かって右側の最上階が明らかに吹っ飛ばされている、その家が。吹っ飛ばされているのは、ヘビ男のAKがぼかんと跳ね返った場所に違いない。
ハリーは門に向かって踏み出します。そしてハリーが門に触れた瞬間、それが合図であるかのように庭の地面に文字が浮かび上がり、その文字は絡み合ったイラクサと雑草の表面を登り、周囲には花が咲きます。

1981年10月31日、リリーとジェームズが命を落とした場所。彼らの息子ハリーだけが、殺害呪文をただひとり生き延びて残された。マグルには見えないこの家は、ポッター家の記念碑として、破壊された当時のまま保管されている。暴力が家族を引き裂くことを、忘れないために。

この文章の周囲には、とてもたくさんの、様々な人の、サインが残されています。ハリーを応援するありがたい落書きです。
幸運を、ハリー、キミがどこにいても。
ハリー、キミの後ろにぼくらがついてる。
万歳、ハリー・ポッター。

そこへ、人影が近づきます。たくさん着込んだ、超高齢のとても小さな老婆です。ハリーたちから数ヤードのところで、こちらを向いて立ち止まりました。マグルだとしたら、見えるはずのない破壊された家を眺めてるなんておかしいし、透明マントのふたりも当然見えないはずです。いや、見えたとしても、今のハリーは禿げかかったマグルのおじさんです。
おかしい。彼女には、その家も、そして透明マントの下のふたりの正体も、見えているようです。
そして、手袋をした手を上げ、なんと手招きをしています。
何かが、とても変。怪しすぎる。
彼女はずっとここで、ハリーを待っていたのでしょうか?ダンブルドアにそう言われたのでしょうか、いつか必ず、ハリー・ポッターがここに来ると。ダンブルドアが透明マントを透かしてハリーを見ることができるように、この老婆もまた、そのような能力を持っているのでしょうか?「あなたはバチルダ?」ついにハリーがたずねます。すると老婆は頷き、また手招きをする。
思い切って、ふたりは老婆について行くことにしました。
老婆は黙ったまま、手入れのされていない庭を横切り、ある1軒の家に、ふたりを招き入れます。
おばぁちゃん、臭いんですね。加齢臭と、埃と、洗ってない衣類と、腐った食品と、混ぜ混ぜになったような強烈な悪臭を放ってます。
「バチルダ?」また彼女は黙って頷く。異様な状況にハーは不安になっています。
胸のロケットが、まるで間もなく破壊されると察知したかのように、トクントクンと鼓動しています。
「来なさい!」
初めてバチルダがしゃべりました。ハーはびっくりして、ハリーを止めようと腕をつかみます。
老婆は、魔法を使わず、マッチでロウソクを灯します。その部屋には写真立てがたくさんありますが、なぜか写真がほとんど抜き取られています。"Tergeo!" 埃をはらい、写真の入った写真立てを手に取ります。なんとそこに写っているのは、金髪でニコニコ顔の、あの"どろぼう青年"!そして気づきます。カエル部屋で見た暴露本の写真、ダンブルドアと腕を組んで笑っていた、あの顔じゃんよー!
ハリーはバチルダにたずねます。
バグショットさん、この人誰?知ってる人ですか?なんて名前の人ですか?なんて呼ばれてた人ですか?
ところが、老婆はまったく返事をしません。代わりに、ハリーを指さし、自分を指さし、天井を指さします。2階に行こうって意味だと理解したふたりですが、老婆はまた、ハリーと自分と天井を指さす。
「どうしてよ?彼女、正気?」と心配するハー。ハリーは「ダンブルドアが剣をぼくだけにって言ったのかもしれないし、ちょっと行ってみる。待っててー」と言うと、こっそりその写真をポケットに忍ばせ、老婆と階上に上がって行きました。

天井の低い寝室。真っ暗闇です。
"Lumos,"
杖の先に明かりを灯すと、いつ動いたのかわからないほどあっという間に、音もなく、老婆が突然すぐそばに立っている。気味わりぃー。そしてハリーに囁きます。「ポッターだな」
老婆は杖の明かりが嫌いなようです。
ロケットは、ますます速く鼓動しています。
そのとき老婆は目を閉じました。そして、複数のことが同時に起きた。
ハリーの額の傷跡が痛みだし、胸のロケットがハリーを引っぱり、暗くて臭いその部屋が一瞬"溶けた"ように感じる。甲高い冷たい声が叫びます、「ヤツを押さえとけ!」
やっぱり何かオカシイ。
老婆はまた囁く「そこだ」。ハリーは、カーテンのかかった窓の近くにある散らかった化粧台を見ます。老婆はじっと立っている。
老婆から目を離さずに化粧台に近づくハリーに、「それだ」と、老婆は洗濯物の山にようなものを指し示す。
一瞬、ほんの一瞬、ハリーの目は、そこにあるかもしれないグリフィンドールの剣を探します。そのとき、視界の隅で、見えた。バチルダの小さな身体の、首があった場所から、巨大なヘビが現れるのを。
ナギニちゃんがハリーに噛みつく。ハリーの手から杖がこぼれおちる。"Lumos"で灯した明かりが消え、部屋は暗闇に。ナギニちゃんの尾がぼっかーんとハリーを叩きます。
次の一撃をぎりぎりのところでかわすハリーの頭上に、粉々に割れたテーブルのガラスの雨が降る。ハリーはナギニちゃんに、床に押さえ付けられてしまいました。
「ハリー?」階下でハーが心配しています。
「おまえをつかまえたぞ」囁きが聞こえます。
"Accio Wand!" ところが何も起こらない。ナギニちゃんはハリーの身体に巻きついて、ぎゅうぎゅうと締め上げてきます。息ができない。冷たいロケットが胸に食い込みます。とても冷たくて、視界が真っ白、もうだめぽ。金属の冷たい心臓がドキンドキンと鼓動を刻み、あー、飛んでるんだ、ほうきもセストラルも必要なく、飛んでるんだ、勝利にひたって、飛んでる・・・

ナギニちゃんがハリーから離れます。そして上がってきたハーに向かって行く。ハーは横に飛び退いてナギニちゃんを避け、同時に呪文で応戦!ところがナギニちゃんにヒットせず、窓ガラスをふっ飛ばします。急に吹き込む冷たい風。再びハリーの頭上に、ガラスの雨が降る。よけようとすると何かコロコロした棒状のモノを踏んづけました。杖だー。慌てて杖を拾い上げると、どこか見えないところから赤い閃光がぶっ飛んで、ナギニちゃんにヒット。ハーが戦ってるんですね。
ナギニちゃんだって負けてないっすから、部屋いっぱいにとぐろを巻いて、頭を天井まで高く上げ、ふたりに襲いかかろうとします。棚は吹っ飛びチャイナ(食器)は砕け、部屋はもうぐっちゃぐちゃです。
"ヤツが来る!ハーちん、あいつが来る!"
ハリーの額はもう尋常じゃない激痛です。
なんとかしなきゃ。ヘビよりもっとおっかないヘビ男が来る。なんとかしなきゃ。
ハリーはベッドに飛び乗り、怪我をしているらしいハーをなんとか引きずるようにして、走り出そうとします。
"Confringo!" ハーだってへこたれない。ハーの呪文は洋服ダンスと鏡を大爆発させ、部屋中に破片が飛び散り、爆熱が広がります。
ハリーはハーを抱きかかえて、窓に向かって走り、外の暗闇へ飛び出した!
額の傷跡の痛みは、傷口がきっとぱっくり開いたっちゅーくらいに最高潮。ハリーはヘビ男で、窓に駆け寄り、白く長い指で窓枠をつかみ、身を捩りながら暗闇に飲まれていくマグルの夫婦を見ます。ヘビ男の激怒はハリーの激怒。ヘビ男の苦痛はハリーの苦痛。ヘビ男のものでもありハリーのものでもある、その絶叫が、クリスマスを告げる真夜中の鐘の音と重なる。

雨と風の夜、ふたりのコドモがハロウィーンの変装をして、ハロウィーンの飾り付けであふれる店に囲まれた広場を横切る。彼は、確信に満ち、正しさと力強さに溢れ、歩いて行く。このときを待っていた。
「おじさん、ナイスなコスチュームだNE!」
コドモが笑顔で近づき、フードの中の顔が見えると、恐怖で顔を引きつらせ去って行く。
広場から通りに入る。目的地はすぐそこ。"Fidelius Charm"が消失したことに彼らは気づいていない。
落ち葉の上をひきずる音だけ。静かに、静かに忍び寄る。
カーテンが開いている。黒い髪にメガネの男が、同じく黒髪の青いパジャマのガキと、呪文で煙を出して遊んでいる。煙をつかもうとしたり、煙にパンチしたり、そのガキはニコニコとあやされている。
暗い赤毛の女が部屋に入ってきて何か言い、ガキを連れて部屋から出る。男は杖を置き、あくびをして身体を伸ばしている。
門を軋ませ、庭に入る。ジェームズ・ポッターはその音に気づいていない。
杖を出し、玄関のドアを開ける。おどろいて玄関に飛び出してくるジェームズ。簡単だ、簡単すぎる、こいつは杖を持っていないじゃないか。
「リリーちん!ハリーを連れて逃げろ!走れー!こいつを足止めするから逃げるんだー!」
足止め?杖も持たずに?笑っちゃうね。"AK!"
緑色の光線で、ジェームズは糸の切れたあやつり人形のように倒れる。
階上から女の悲鳴。逃げ場はない。この女も丸腰で、ドアにバリケードって、こいつらバカか。
ドアを開け、積み重なった箱を杖の一振りでどかすと、女はガキを抱いて立っていた。そして、ガキをベビーベッド座らせると自分の背に庇い、両腕を大きく広げる。
「ハリーはやめてー。お願いだから。代わりにあたしを殺せばいいじゃん!」
「どけやこら、アホな小娘め」
「お願い、ハリーはやめてよー。どうか慈悲を。何でもするから」
「どけっちゅーとんねん!」
女をどかすこともできるけど、いいや、殺してまえ。"AK!"
ジェームズと同様に、糸の切れたあやつり人形のように倒れるリリー。
立てるようになって間もないガキは、ベビーベッドの囲いにつかまり、興味津々でこちらを見ている。パパが変装してやってきて、ママをやっつけたふりをして、これ何ごっこかな。
ガキの顔に杖を向ける。パパじゃないと気づいて、ガキが泣き出す。ガキが泣くのは大嫌い。孤児院でも我慢できなかった。
"AK!"
その瞬間、すべてを失っていた。苦痛と恐怖だけを残し、すべてを失った。ここから離れなければ。
そして彼は窓辺に立っていた。ちっくしょう。
ふと足元を見ると、信じられないモノが。
それは、探していた"どろぼう青年"の写真。

目を開けると、ハリーは寝かされています。毛布もある。ここはテントです。
「逃げて来られたね。"Hover Charm"であなたを運んで来たの。もうすぐ朝だよ。ヘビに噛まれたとこには"Ditteny"垂らしといた」
そうか。ハーがたすけてくれたんだ。目の下にクマをつくりながら懸命に救ってくれたんです。
「ロケットがね、あなたの胸にめり込んじゃって外せなくて、"Severing Charm"を使うしかなかったけど」
見るとハリーの胸には、ちょうど心臓の位置に、真っ赤な楕円形の跡がついている。ロケットに焼かれてしまいました。
「ロケットはバッグにしまった。ちょっとの間、身に付けるのやめようよ」
「ハーちん、ごめん。ゴドリックホロウに行くべきじゃなかったよ」
ハリーはハーに話します。「あの人、ヘビだったんだ」
細かいことは言わない、ばーさんの首からヘビが出てきたなんて、おっかないから。
「ヘビだから、ハーの前で話したがらなかったんだよ。しゃべるのヘビ語だから。ほんで、2階に行ったらあのヘビがヘビ男にメッセージを送った。ぼくの頭の中で、ぜんぶ聞こえたんだ」
今度はハーが話します。「たぶん私がやっちゃったんだと思う。ヘビが向かって来て、"Blasting Charm"をぶん投げたらあっちこっちに跳ね返って、ほんで・・・あなたの杖が折れちゃった。えーん。ごめん」
見るとまさかの真っ二つ。コアの羽がかろうじて木製部分をぶらさげています。ハリー呆然。
ハーが泣いている、ハリーもほとんど泣きそうですわ。「ハーちん、なおして!お願い、やってみて!」
ところが、"Reparo"はもちろん効きません。ハーが言います「杖はなおせないよ。ロンちんの杖が折れたときもどーにもなんなかったもん」と。
オリバンダーは捕らわれの身、グレゴロビッチは死んでしまった。いったいどこで新しい杖を手に入れればいのか。
矢尽き、弓折れました。どうしよう!

【メモ】

"Tergeo!"は、表面に付着した血やインクや埃などを拭き取る魔法です。

ハリーはヘビ男とニアリーイコールな状態で、ついに(ヘビ男の記憶を)目撃しました、パパママが殺され、自分も殺されかけたシーンを。しかーし、ヘビ男の隣には誰もいません。いったい誰が、目に見えない状態で現場に居合わせたのか?

ハリーの杖は真っ二つっす。葬儀で歌われたあの歌のように。

心ゆくまでさるお、もんち!

2007年09月07日

さるおのハリポタツアー Harry Potter and the Deathly Hallows Chapter 16 (2)

さるおです。
スーパーポッタリアンなので、愛を込めて、さるおのハリポタツアーは、ハリーと一緒に泣きましょう。
『DH』の完全ネタバレです。コメント欄も含めて、すごーくご注意ください。
ハリポタ辞典のもくじはこちらです。

まだ見ぬ思い出の地へ、うりゃぁー!とぶっ飛び、手と手をつないで、一番星が煌めきはじめたばかりの雪の小道に降り立ったハリーとハー。家々の窓を覗けば、クリスマスのイルミネーションで飾られた室内が見えます。
「雪のこと考えてなかったわ。これじゃいくら透明マントをかぶっても足跡が残っちゃう!」
でも、ハリーとしては"家へ帰る"のにこそこそしてるのは嫌なわけで、禿げかかった中年男性と小柄な奥さんに化けていることだし、思い切ってマントを脱ぎます。

その小さな村の中央広場に戦没者慰霊塔。隣にクリスマスツリー。広場を囲んで商店や郵便局やパブ、そして小さな教会が建っています。人々が行き交い、笑い声や音楽が聞こえる。今夜はイブなんですね。
教会の裏に墓地をみつけると、いざ両親との対面を目前にしてビビりまくるハリーの心情を察したハーが、ハリーの手をとり歩き出します。そして広場を横切ろうと中央に差しかかる。すると、戦没者の名が彫り込まれたオベリスク(方尖塔)が、なんと、くしゃっとした髪にメガネの男性、優しい表情の髪の長い可愛い女性、そしてその母親に抱かれた、まだ額に傷跡のない幸せそうなベビーちゃん、うっすらを雪を頂いた3人の像に姿を変えます。そして通りすぎるとまた元の慰霊塔になりました。
教会からはキャロルが聞こえます。ポケットの中で杖を握り、門をくぐり墓地に足を踏み入れ、墓石の間を進みます。そこにはAbbott家のお墓もあります。同級生ハンナ・アボットの先祖か親戚かもしれない。さらに奥へ、ふたりは手分けをしながら、ハリーのパパママのお墓を探して進みます。

「来てみれー!」とハーが呼ぶ。それは、"KENDRA DUMBLEDORE AND HER DAUGHTER ARIANA"と刻まれた白い大理石の墓石です。生まれた日付と亡くなった日付、そして"Where your treasure is, there will your heart be also."という碑文も刻まれている。
ダンブルドア家のお墓もポッター家のお墓も同じ場所にあるのに、なんでダンブルドアは言ってくれなかったんだよ。もしかしたらふたりでここを訪れてたかもしれないのに。
なんだか複雑な気持ちになりながら、パパママのお墓探し再開。
「来てみれー!」とまたハーが呼ぶ。今度のは、とてもとても古そうな、風化しかけた墓石です。そこに、あの三角形の目のようなマークが彫ってあります。そして名前は、"Ignotus"と読めます。それが誰なのかはわかりません。
キャロルが終わり教会の明かりも消え、静けさの中、パパママのお墓探し再開。
「来てみれー!」その声から、ハーがついに見つけたんだとわかります。ダンブルドアが死んだときと同じ、深い哀しみが押し寄せる。ケンドラママのお墓のわずか2列後ろの、同じく白い大理石の墓石の文字は、なんだか光っているような気がします。
"JAMES POTTER BORN 27 MARCH 1960/DIED 31 OCTOBER 1981"
"LILY POTTER BORN 30 JANUARY 1960/DIED 31 OCTOBER 1981"
そして"The last enemy that shall be destroyed is death."の碑文。
これを読めるのは最初で最後、そんな気持ちで、大切に読みます。
"The last enemy that shall be destroyed is death."について、ハーは「死を乗り越えて生きること。それを言ってるのね」と言いますが、ハリーにはそんなふうに思えない。
パパママは、死んじゃったんだ。
涙があふれます。自分も一緒に死ねたらよかったのに。お墓の下で、一緒に眠れたらよかったのに。
ハーの手が、ハリーの手をしっかりと握ります。ハリーもその手を握り返します。
花を持ってくればよかったな。咲いている花なんて、雪の墓地にはありません。ハーが、杖で輪を描くと、そこにクリスマスローズが咲く。ハリーはそれを供えます。
悲しすぎて、これ以上ここにいられない。ハリーはハーの肩を、ハーはハリーの背中を、抱き合うようにして、歩き始めました。

【メモ】

Hannah Abbottは、ブロンドにピンク色の顔をした、ハリーたちと同級のハッフルパフ生でDAメンバーです。彼女はいつもハリーの味方っすね。『HBP』でDEにママさんを殺されたハンナ、『DH』で復讐に立ち上がるかな。

ケンドラとアリアナ、一緒に眠っています。リタが言うように、"どちらかがもう一方を故意に殺害した"なんてことは断じてないはず!ふたりとも、生まれた日付と亡くなった日付は具体的には書かれていません。
"Where your treasure is, there will your heart be also." あなたの宝がある場所にあなたのハートもあるよ、という意味。"宝"とは、母にとっての娘、娘にとっての母親ですね。

"Ignotus"さんが誰なのか、まだわかりませんが、超重要な大昔の人に違いない!ちなみに"Ignotus"はラテン語で、意味は"unknown"です。

"The last enemy that shall be destroyed is death." 滅ぼされるべき最後の敵は死、ですね。
ダンブルドアが友人ニコラス・フラメルの死について語った言葉を思い出します。"it really is like going to bed after a very, very long day. After all, to the well-organised mind, death is but the next great adventure." 死は、次の冒険のはじまりであって、長い長い1日の終わりにすぎない。本当の終わりではない。そう言ってました。
死を怖れてはいけない。まだ続きがあるから。死は人生の一部にすぎないんだよ。ハリーのパパママもそう教えてくれているんだな。

心ゆくまでさるお、もんち!

2007年09月06日

さるおのハリポタツアー Harry Potter and the Deathly Hallows Chapter 16 (1)

さるおです。
スーパーポッタリアンなので、愛を込めて、さるおのハリポタツアーは、とっても苦しい"新婚生活"を経て、すべてが始まったあの場所へぶっ飛んで行きましょう。
『DH』の完全ネタバレです。コメント欄も含めて、すごーくご注意ください。
ハリポタ辞典のもくじはこちらです。

16:Godric's Hollow

ふたりきりの息苦しいような朝。ほとんどしゃべらず、目も合わせず、ふたりきりの気まずい朝食。雨はまだ降り続いています。
ロンが今にもこのテントに戻ってくるかもしれない。そう思ってハーもハリーも、小さな音に反応します。でも、戻ってこないんだよね。たとえロンが戻りたくても、もう戻れないんです、だって、プロテクションを張り巡らせてあるから。一度出て行ったら、もうロンにはふたりを見つけることができません。
ロンは出て行ったんだ。もう戻ってこないんだ。何度も自分に言い聞かせる。
「自分が何をしてるかくらい、わかってると思ってたんだよ!」
ロンの声が、今もこだまするようです。胸が痛い。

振り続けた雨で川は増水、ふたりは荷造りも終わって、これ以上時間を引き伸ばす理由がみつからなくなってしまいました。心のどこかで、ロンを待っていたんだよな。哀しい気持ちのまま、ふたりは手をつないで瞬間移動。ヒースに覆われた丘へやってきました。
ハーはすぐにハリーの手を離し、座り込んで泣き続けます。ハーのかわりにプロテクションを張るのはハリーのシゴトですね。ハーを中心に、大きな円を描いて歩きながら、ハーがやってたのと同じことをします。ふたりだけのキャンプ生活がはじまる。
ハーは夜も泣いてます。
ロンの話はしない。
来る日も来る日も、とても静かに暮らします。かわいそうだ、3人とも。
しゃべることといえば、剣がどこにあるか、それだけです。だけど、これだという場所を思いつかない。
「ダンブルドアがきみに何をすればいいか言ったはずだって、ぼくらは思ったんだよ!ちゃんとしたプランがあると思ったんだよ!」
ロンの言葉が幾度も胸に突き刺さります。ロンは正しかった。たった1つ見つけたロケットも、壊し方がわからないまま。悲壮な決意で出発したけれど、ゴールを見失ったこの旅に、ハリー自身も自信が揺らいできます。ハーだって、去ってしまうかもしれない。
苦し紛れにフィニアスとのトリオ生活を試みますが(笑)、もちろん長居はしてくれません。
ハリーは"Marauder's Map"を出して眺めます。ロンはホグワーツに戻っていません。代わりに、ハリーが見つめているのはジニーです。どうやらジニーはホグスミード行きを禁止されているようです。同じく居残り組のネビルやルナと一緒に、DAを続けようとふんばっている様子。
ジニーに会いたい。とても会いたい。
だけど会えるはずもありません。ハリーの首には1万ガリオンが懸かってます。

日に日に寒さは厳しくなります。それでも、山の中へ、平原へ、水辺へ、湖の小島へ、旅を続ける。雪がテントの半分を埋めるようになりました。泣きたくなるなぁ。
町にはクリスマスツリーが飾られはじめました。ハーはせっせと透明マントでスーパーマーケットに忍び込み、食材を取ってはお金を置き、家事をこなします。そして時間があれば、『Spellman's Syllabary』をかたわらに置き『The Tales of Beedle the Bard』を読んでいます。
「ハリー、見て見てー。童話集にこのマーク、ルーン文字じゃないんだわ、シラベリーにも載ってないし」
それは三角形の目のような、ルナパパが持っていた、例のアレによく似ています。しかも、本に印刷されているイラストではなく、誰かがそこにインクで描き込んだものです。「グリンデルバルドの印だってクラムが言ってたよ」「グリンデルバルドが"印"を使ってたなんて聞いたことない。それに、なんかヘンじゃん?コドモの童話にそんな悪いもん描くなんて」
三角形の目の謎は解けないまま、ハリーはこう切り出します。「やっぱさ、ゴドリックホロウにさ、行きたいと思うんだけど」
すると、ハーちん、今度は反対しないんですね。しかも、そこに剣があるような気がすると言うんです。ゴドリックホロウは、ゴドリック・グリフィンドール生誕の地。この関連性を無視できないわけです。
ハリーは、「えーっ!ゴドリックホロウは、ゴドリック・グリフィンドールが生まれたとこなのーっ?」とか言って驚いちゃって、ハリポタマニアに言わせれば、今ごろ何だよおまえ、と、まさかのハリポタ初心者的なハリーさん(笑)。ハーも呆れて「あんたさ、『A History of Magic』とか読まねーわけ?」と怒ってますよ。少しだけ、ほんの少しだけ、"いつもの会話"になったみたいで嬉しいよね、ハリー。
ハーはいつものように、『A History of Magic』の一部を読んで聞かせてくれます。

1689年の"the International Statute of Secrecy"制定以降、魔法使いたちはマグルから隔絶された小さな社会を形成し、魔法界の存在というヒミツを守ってきた。CornwallのTinworth村、YorkshireのUpper Flagley、そしてOttery St. Catchpoleなど多くの小村が、互助的なサポートとプロテクションにより、魔法使いの家族の隠れ場所となった。
もっとも有名な場所が、ゴドリック・グリフィンドール誕生の地であり、また、魔法鍛冶職人Bowman Wrightが初めて金のスニッチを制作した場所でもある、イギリス西部の、マグルも住む村、ゴドリックホロウである。墓地には、古くからの魔法使い一家の墓石が多い。

『A History of Magic』といえば、ムリエルおばはんが言ってましたね、ダンブルドアの友人マチルダ・バグショットは今もゴドリックホロウに住んでいると。ハーはここで思いつきます。バチルダが、ダンブルドアから剣をあずかってるかも!

やっと、家に帰るんだ。ヘビ男さえいなければ今もハリーの家があったはずのその場所へ、家族が暮らしすべてが始まったその場所へ、帰るんだ。ハグリッドにもらったアルバムを開くハリーさん。ぼくはついに、ここに帰るんだ!
ハリーははやる気持ちを抑えて、ハーと1週間がかりで準備をします。透明マントをかぶってふたり一緒に確実に瞬間移動できるように、それと"Disillusionment Charm"を練習し、ポリジュース薬を飲んで変身するためのマグルご夫婦の髪の毛を手に入れた。
よっしゃ、まだ見ぬ思い出の地へ。瞬間移動だ、うりゃぁー!

【メモ】

『Spellman's Syllabary』は音節文字表・字音表です。日本語なら50音とか、英語ならアルファベットとかが表になってる。ハーが持ってるのは魔法使い用なので、ルーン文字とか、特殊なもんだろうと思います。

"the International Statute of Secrecy"(秘密尊守の国際法令)が制定された1689年っちゅーのはイギリス革命の翌年っすね。魔法界が存在するということをヒミツにして自分たちを守ろう(= こっそりとマグルと共存しよう)、っちゅー国際的なルールを定めたわけです。

"Disillusionment Charm"は『OotP』でマッドアイがハリーにかけた魔法です。背景と同じ色にして、見つからないようにする、いわば"カモフラージュ"。カメレオンみたいだな。マグルは迷彩服を着てこれをやってます。

心ゆくまでさるお、もんち!

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