さるおです。
スーパーポッタリアンなので、愛を込めて、さるおのハリポタツアーは、グリンゴッツ強盗団に参加しましょう。
『DH』の完全ネタバレです。コメント欄も含めて、すごーくご注意ください。(内容はすべて反転文字にしてあります。)
ハリポタ辞典のもくじはこちらです。
26:Gringotts
その小さな寝室で、トリオとグリップフックはすべての準備を整えました。
トリオを信用し切れないのか、グリップフックはなかなかトリオだけにしてくれません。ということは、残った問題は、いつ、どうやって、グリップフックに剣を渡しチームを解散するか、という、グリップフック抜きの最後のピースのみですね。一方では、ハリーもビルの忠告を忘れていないわけですが。
「ほんとにこの杖使うんだよ。そしたらちょっとはその気になれると思うから」ハリーはウォールナッツの杖を見て言います。「それ持ってればベラっぽくふるまえるんじゃね?」ロンもその忌まわしい杖を薦めます。
「あたしこの杖嫌い。うまく使えない気がする。だって彼女の一部みたいだもん。この杖、ネビルのパパママを拷問して、シリウスを殺した杖だもん!」ハーはちょっとそれが怖そうですね。
ハリーは頭の中で「ハーがぼくに言ったんじゃん、練習すればどんな杖でも使えるって」なんて思いますが、言わないでおいてあげましょう(笑)。ハリーだって内心は、そんな杖グリフィンドールの剣でぶった切ってやりてぇな、と思ってるわけです。
「オリバンダーさん、あたしにも新しい杖作ってくれたらいいのにー」
ハリーのほうはドラコから奪ったサンザシの杖がちゃんと使えているようですが、ハーはベラ姐から自力で杖を奪い取ったわけではないので不安になるのも無理ない。
ハリーはビルとフラーに、明日の早朝出発する、そして戻ってくることはできないと言いました。念のため、ビルにテントを借りて、ハーのおしゃれバッグに入れます。ハーは、スナッチャーたちに捕まってあげくの果てにベラの拷問に遭っても、バッグを守ってたんですね、靴下にねじこんで。
見送りはいらないとも言いました。なにしろ出発時にハーは最後のポリジュース薬を使ってベラの姿になっている予定だから、見られたくないわけです。
さて、強盗前夜、ハリーはなかなか眠れません。魔法省へ侵入したときと似ているようで、今回はなぜかうまくいかない気がします。ロンも眠れてない気配です。
朝6時。ハリーとロンは庭でハーとグリップフックを待ちます。寒いけど、5月の風が吹いています。波が断崖を洗う音を聞きながらドビーの赤いお墓を見ると、緑が芽吹き始めています。いつかそこは、花で覆われることでしょう。さよなら、ドビー。さるおはまた涙目です。
さて、ハーとグリップフックが出てきました。うぉ〜、ベラ姐だ、とも思うし、やっぱりハーだとも思えます。ブラック邸から失敬してきた古いマント姿ですね。
ヒゲは短いほうがいいだとか、鼻も低くしてだとか、なんだかんだと言いながら、ハーはロンを魔法で変装させ架空の人物に仕立て上げます。できあがったロンちんは、長い巻き毛に茶色のヒゲにたっぷりな眉毛、そばかすは消えて鼻が低く、背も小さくなりました。
トリオは1度シェルコテージを振り返り、門の外へ、Fidelius Charmの境界線の外へと歩き出します。門を出るとグリップフックはハリーの肩に乗り、ハーがふたりに透明マントをかぶせます。「行きましょう」
Leaky Cauldronへ。強く念じる。
ぼかんと瞬間移動して、目を開けるとマグルがせわしなく行き来するCharing Cross Roadです。マグルには見えないinnの入り口から入ると、トムはグラスを磨いていますが、このご時世なので閑散としてますね。
バーの奥に座っていた魔法使いは、ハーを見ると怯えてこそこそと隠れちゃいました。
「マダム・レストレンジ」トムはハーにうやうやしくお辞儀して話しかけます。「おはよう」ハーも返事を返します。すると・・・トムがびっくりしちゃった。このハーの対応は"礼儀正しすぎる"わけです(笑)。「ハーちん、もっと人をクズみたいに扱わないと!」「わかったわよー(汗)!」
店を通り抜け、壁のブロックを軽く叩き、ダイアゴン横丁へ。
時間が早いせいもあり、ほとんど人はいません。ここは買い物客で賑わう"銀座"だったわけですが、今ではほとんどの商店が入口も窓も板を打ち付けて"閉店"です。さらに、ダークアーツの専門店が出店してきてます。ノクターン横丁化してますよ。窓には、"UNDESIRABLE NUMBER ONE"のポスターがずらりだし。ある者はボロを纏い、またある者は血に染まった包帯を頭に巻き、店の入口に座って物乞いをしています。ハーが通ると皆フードで顔を隠し逃げていきます。
すると、頭に包帯を巻いた男がよろよろと近づいてきて、ハーを指差し叫びました。「うちの子たちをどこへやった!うちの子たちに、やつは何をしたんだ!」
「あわあわ、えっと、私は・・・」びっくらこけるハーにその人物は飛びかかり首を絞めようとします。
ぼかん!
赤い閃光走り、その人は吹っ飛んで気絶しました。ロンがハーを救ったんですね。
周囲の店の窓からたくさんの顔がのぞいます。通りにいた人々は、大急ぎで去っていきます。
ぐわぁー、しょっぱなから目立ちすぎ。今日のところは引き上げて、作戦を練り直してから出直そうかと考えはじめたそのとき、後ろからまたしても大声が。
「なぜだ、マダム・レストレンジ?」
振り返ると、ぼさぼさの灰色の髪に尖った鼻の背の高い魔法使いが近寄って来ます。ベラの"オトモダチ"Travers登場、ラブグッド家を襲ったひとりです。もう引き返せないっすね。
ハーはとにかくしゃきっと背筋を伸ばし、「何か用か?」と"できるだけ失礼に"振る舞います。
「あれはトラバーズ、DEだYO!」グリップフックからハリー経由で、慌ててハーに情報を伝えます。
ハーも慌てて取り繕い「調子はどう?」と聞き直す。
「あなたがここにいることに驚いているところだ。ドクロベエ様にお仕置きだべぇ〜って言われて、まるほい邸から出てはいけないんじゃなかったのか?」(ドクロベエ復活)
いきなりピンチっすね。
「ドクロベエ様はもっとも忠実なしもべを許すのよ」(ドクロベエ完全復活か)
ハーちん演技派です。いかにもドロンジョ様に聞こえる言い方です。「おまえは私ほど信用されていないのさ」
トラバーズさん、気分を害しつつも少しハーを信じたみたい。気絶している人を見下ろして話します。「杖を持たないこの手の連中は困るな。物乞いしてるだけならいいけど。こないだはオレに魔法省に取り次げと言う女がいた。『お願いよ、私は本当に魔法使いなの。杖を貸してくれたら証明して見せるわ』だってよ。オレが杖を貸すわけねーのに。・・・ところで姐さん、誰の杖を使ってるんだ?」
「私の杖よ」ハーは冷たく言うと、杖を持ち上げます。「どんな噂を聞いてるか知らないけど、おまえは何にも知らないようね」
今度はロンを見て「この人は誰だ?見た顔じゃないが」
「Dragomir Despard、彼は英語は話さない。トランシルバニアから来たドクロベエ様のサポよ」(しつこい)
「ところで姐さん、こんな早朝にダイアゴン横丁に何の用事だ?」トラバーズさん、質問攻めっす。
「グリンゴッツへ」ハーが答える。すると、「おや、あなたもか。金、汚い金、あの指の長い連中とは関わりたくないが、それが無ければ生きていけない。ご一緒しましょう」
まさかのアンラッキーです。断れませんがな。
ハーとトラバーズ、グリンゴッツへと並んで歩きます。
ブロンズの大きな扉に続く大理石の階段まで来ました。グリップフックの前情報通り、入口の警備はゴブリンではなく、"Probity Probe"と呼ばれる金色の警棒を持った魔法使いです。
トラバーズが警備に向かって軽く頷き階段をのぼると、警備員がその警棒で来客の身体をなぞります。怪しい魔法なんかをスキャンするんですね。
"Confundo!"
ハリーはとっさに警備員に呪文をかけます。
「マダム、お待ちください」とハーを呼び止めた警備員に、「何度チェックする気だ」とハーも強気で言い返す。トラバーズが振り返ります。
するともうひとりの警備員がぼーっとした様子で言います、「マリウス、そうだ、今チェックしたばかりだ」
危機一髪、どうやら呪文が効いたんすね。ブロンズの扉を通り抜けましょう。透明マントの肩車コンビもこっそりと続きます。
例の警告文が刻まれたシルバーの扉の前にはゴブリンが2人。
鮮やかに思い出します。11歳のあの日、人生で最高のぼくの誕生日、ぼくはここにハグリッドと立ってた。ハグリッドが言ったんだ「グリンゴッツを強盗するなんて正気の沙汰じゃない」って・・・今ここに、盗みにやってくることになったなんて・・・。
とにかく銀行に入ります。長いカウンターで、スツールに腰掛けたゴブリンたちが今日一番のお客さんたちの相手をしています。ハーとトラバーズはレプリカン金貨を見分けている年配のゴブリンに近づきます。トラバースが小さい金の鍵をそのゴブリンに渡し、ゴブリンは鍵を調べてから持ち主に返しました。今度はハーの番です。
「マダム・レストレンジ!これは驚いた。今日はどのような御用でしょうか」
「金庫に用がある」ハーは愛想なく演技を続けます。
ゴブリンが一瞬びくっとします。トラバーズが後ろからハーをじっと見つめている。他のゴブリンたちも、ハーを見ています。
「IDはお持ちですか?」
「IDですって!そんなものを要求されたことは今まで一度もない!失礼な!」
「ではその杖を見せていただきたい」
!!!
ハリーは気づきました。ゴブリンたちは、ベラの杖が盗まれたことを知っていると。
「気づかれたぞ!何とかしろ!ほら今だ!早く!」グリップフックがハリーに囁きます。
ハリーはサンザシの杖をカウンターのゴブリンに向け、生まれて初めてこの呪文を口にします、"Imperio!"
すぐったいような温かいような不思議な感覚が心臓から腕の血管を通って杖の先から抜ける感じがします。それはゴブリンまでつながっているのがわかる。これが"操る"魔法の感じなんすね。
ゴブリンはハーから杖を受けとり、入念に調べ、こう言いました。
「ああ、新しい杖をお使いですね、マダム・レストレンジ」
訳がわからないハーは動揺して取り繕おうとします。「何ですって?それは私の杖よ」
「新しい杖なのか?」背後のトラバーズが様子を見にハーに近寄ります。「なぜそんなことができた?誰に作らせたんだ?」
今度はこっちが辻褄が合わない(汗)。
"Imperio!"
考える暇はありません。ハリーはとっさにトラバーズをインペリオ。
「ああ、なるほど、いい杖だな。どうですか使い心地は?」ハーの杖を見ながらトラバーズが言います。
ハーにもだんだん状況がわかってきました。ここは黙ってたほうがよさそうっすね。
「"Clankers"を持って来い」年配のゴブリンが若いゴブリンに言います。金属がジャラジャラ入った皮の袋です。
「マダム・レストレンジ、どうぞこちらへ。金庫へお連れしましょう」年配のゴブリンはクランカーを受け取るとハーを金庫へ連れて行こうとします。
ところが、「待て、ボグロッド!決まった手続きがあるだろう!」別のゴブリンが来ました。まずい。
ハリーに操られているゴブリンは効く耳を持ちません。「手続きならわかっている。マダム・レストレンジは金庫へ御用だ。古い一族・・・昔からのお客様だ・・・」とつぶやきながら、ハーとロンをともない奥のドアへと歩き出します。
ハリーが振り返ると、トラバーズは見るからにぽかんとした表情で立っている。しかたないや、連れて行こう。ハリーは杖を振り、トラバーズも一緒にドアを出て、洞窟のような通路へでました。
「まずいよ、ぼくたち怪しまれてる」
ドアが閉まるなり、ハリーは透明マントを脱いで言います。グリップフックはハリーの肩から飛び降りました。操られているトラバーズとボグロッドはぼーっとしたままです。
「どうする?今のうちに逃げようか」とロン。「もし可能ならね」とハー。「もうここまで来ちゃったもん、先に進もう」とハリー。「そうしよう!」とグリップフック。
カートをコントロールするためにはボグロッドが必要です。一方でカートにはトラバーズが乗るスペースがありません。ハリーはトラバーズを薄暗いに通路の隅に立たせたままにしておくことにして、ボグロッドにカートを呼び寄せさせます。背後で叫び声が聞こえる。やっぱりバレちゃったんだ。
5人はカートに乗り込み、いざレストレンジの金庫へ、石の迷宮をゴトゴトと深く深くぶっ飛んで行きます。
【メモ】
ドラゴミア・デスパード(Dragomir Despard)さんはまったく架空の人物みたいです。
"Probity Probes"は魔法や魔法により隠されたモノを検出する棒状の道具っすね。
心ゆくまでさるお、もんち!
2007年11月14日
さるおのハリポタツアー Harry Potter and the Deathly Hallows Chapter 25
さるおです。
スーパーポッタリアンなので、愛を込めて、さるおのハリポタツアーは、絶望の中のたったひとつの吉報にしがみついていたいところですが、えっと、もうすぐ出かけなきゃ。
『DH』の完全ネタバレです。コメント欄も含めて、すごーくご注意ください。(内容はすべて反転文字にしてあります。)
ハリポタ辞典のもくじはこちらです。
25:Shell Cottage
ビルとフラーの新居、シェルコテージ。しっくいの壁に貝殻を埋め込んだその小さな家は、海を望む崖に、外界から切り離されて佇んでいます。美しい孤高の家ですね。
ハリーは何日もの間、言い訳を作ってはひとり崖に座り込んでいます。限りなく広い空、それと同じくらい広い海、波が激しく断崖を叩き、冷たい潮風が頬にあたります。
ヘビ男との杖取り合戦はやらない。その決断が大きな罪悪感となってのしかかってきます。思えば、ハリーさんという人はこれまで、"何かをする"という決断をしてきました。ところが今初めて、"行動しない"という決断をしている。校長のお墓が壊されるのを止めることもできなかったし、なんだか自信がなくなってきます。
手遅れだろうがなんだろうが杖を取りに行こうぜと言った、ほんとにすっかり頼もしいロンは、「ダンブルドアはぼくらに例のシンボルを解読して杖を手に入れてほしかったのかもしんないしさ、無敵の杖を取られた今となっては、どーやってヘビ野郎をやっつけよう?」なんて言い続け、ハリーの不安はどんどん煽られていきます。
ハーは懸命にハリー擁護。だけどそれすら、ハリーの自信喪失を加速させます。
ぼくは、ダンブルドアの生前の意思を、読み違えたのだろうか?
そしてやっぱりときどき、ダンブルドアが何も説明してくれなかったことに対する怒りがこみあげてきます。
「ダンブルドアって、ほんとに死んだのかな?」
そっか、ロンは、銀の雌鹿や剣や、ハリーが鏡のかけらの中に見た目のことを考え続けているんですね。
まるほい地下室に誰がドビーを送ったのかを崖の上でトリオが話し始めたとき、背後からフラーが呼びました。「ハリー、グリップフックが話したいってさー」あーあ、ゴブリンの使い走りなんてやらされて、ちょっと不機嫌そう(笑)。
コテージに戻ると、赤い木綿のカーテンを閉め切ったいちばん小さな寝室でグリップフックは待っていました。
「結論に達した、ハリー・ポッター。元同僚に裏切りだと思われっけど・・・おまえたちに手を貸す」
「ひゃっほーい!」ハリーさん、久々の"行動"に大喜びっす。
ところが、「ただし、見返りをもらう」うーん、さすがゴブリン。「ゴドリック・グリフィンドールの剣をよこせ」
まさかの逆提案。
それは無理だと言っても、代わりに他のモノをと言っても、レストレンジ家の金庫から選り取り見取りだZE!と言っても、聞いてくれません。
「おらちは盗っ人じゃねーぞこら!ばかにすなー!」
ハーも負けないように反論します。「でも、あの剣はハリーのだもん!」
しかーし、ゴブリンにはゴブリンの言い分がありました。
「あの剣は、グリフィンドールの前は誰が所有してた?あん?傲慢な魔法使いめ!あの剣は"Ragnuk"1世のものだ。それをゴドリック・グリフィンドールが盗んだんだYO!失われた宝、我らゴブリンの最高傑作!だからあの剣はゴブリンの所有物。嫌ならもうたすけてやらーん!」
困りました。困ったので、えっと、ここは、「相談してきます」と言ってとりあえず退室しましょう。
トリオは客間で相談をします。
「剣を渡すなんてできないよ」
「グリフィンドールが剣を盗んだってほんとかな」
「でっち上げだよ、きっと」
「ゴブリンが魔法使いを嫌いなのって、それなりに理由があるのよ」
「ゴブリンはフワフワのウサギちゃんじゃないんだぞ。昔、たくさんの魔法使いが殺された。あいつら、汚い戦い方するんだ」
「とにかく、どっちの種族が悪いのかって議論してもしょーがないじゃん。それよりグリップフックを説得しなきゃ」
トリオは問題(剣を渡すこと)を回避する方法を考えます。窓から外を見ると、ルナがジャムの瓶に入れた"sea lavender"でドビーのお墓を飾ってるのが見える。
「ほんじゃさ、金庫に入るまで剣が必要だから、入ったらあげるね、とか言っといて、贋物を渡しといて、バレるまえに逃げ出すとか」
「それって、卑怯よ。たすけてくれって言っといて裏切るなんて。だからゴブリンが魔法使いのこと嫌いなんじゃん。何か他のモノ、剣と同じくらい価値のある何かで納得させるのよ」
ハリーには分かっています、この取り引きは、グリフィンドールの剣でしか成立しない。他のすべての提案にグリップフックはノーと言うでしょう。でも、ホークラックスを壊すのにグリフィンドールの剣はどーしても必要です。
グリフィンドールのことをずっと誇りに思っていたのにな。マグル生まれを守って、純血一筋のスリザリンに立ち向かった、ドえらい人だと思ってたのにな。ハリーは思い直します、グリフィンドールは剣を盗んでなんかいないぞ、グリップフックが言っているのはゴブリン目線の歴史なんだ。
「グリップフックに、金庫に入るのを手伝ってくれた後で剣を渡すって言おう。"いつ"渡すかは言わないようにするんだ。ほんで、剣を渡すのはホークラックスをぜんぶ壊してから。そうしよ。時間かかるかもしんないけど、嘘はつかない」
ハーの視線はやや軽蔑的(笑)。「そーゆーのって気に入らないわ」
ロンは意気揚々と立ち上がります(笑)。「ぼきは天才的なアイデアだと思うけどなぁ」
FOR THE GREATER GOOD
偉大なる善のために。
Nurmengardの入口に刻まれたあの言葉が頭をよぎります。
トリオはグリップフックのところに戻り、剣を渡す"とき"を特定しないように言葉を選びながら話します。
「ハリー・ポッター、おまえをたすけたらグリフィンドールの剣を渡すって、ほんとに約束だぞ」
「うん」
「取引成立」
グリップフックはハリーだけを見つめています。信じてくれたみたいかな。そして両手を叩くと「なら早速はじめるぞ!」、あんたはシゴトがはやい(笑)。
トリオとグリップフックは計画を練り始めます。
それはまるで、魔法省に忍び込んだときのような、綿密で周到なプランです。思いつく限り、あらゆる不測の事態に備えます。グリップフックが手書きした見取り図がたよりです。
グリップフックによれば、レストレンジ家の金庫は、もっとも古い金庫のうちの1つで、グリンゴッツの最下層に位置します。純血魔法使いの古い一族が利用するそれらの金庫はいちばん厳しいセキュリティ下にあるんですね。
日に何時間も閉じこもり、やがて何週間にもなりました。時間はゆっくりと過ぎていきます。次から次へと問題点が浮き彫りになり、その都度、解決方法を慎重に検討します。が、いちばんの問題点は、ポリジュース薬のストックが残り少ないことです。
食事にしか姿を見せないトリオ、こりゃもう何か企んでるのはバレバレなわけで、コテージの全員が気付いているわけですが、誰も何も聞きません。外は激しい風が吹きすさぶ。もう4月です。
ハリーは自分のことを、ゴブリンを好きになれないタイプだな、と思います。たすけてくれるグリップフックですら驚くほど残忍で、"重要でない生物に苦痛を与える”可能性や、レストレンジの金庫にたどり着くまでの間に魔法使いに危害を加えるかもしれないという想像が、楽しくってしょーがないご様子。
それに、グリップフックは元気になってもみんなと食事をするのを嫌がっています。面倒をみるフラーはとうとう怒り爆発。グリップフックはしぶしぶ食卓を囲みます。グリップフックが食べるのは生肉ですね、あと根菜類やキノコ類。
ちなみに、最近のビルも生肉がお好き(涙)。お肉はレアがいちばん。これはさるおも同じですが(爆)。
ぼくがグリップフックをここに泊めてって言ったんだ。それに、ウィーズリー家のみんなはシゴトにも行けず軟禁状態、みんなぼくのせい。「迷惑かけてごめんなさい」ハリーは夕食の準備を手伝いながらフラーに謝ります。
「ハリー、妹を救ってくれたこと、私、忘れてないわ」
コジャレて気が強いフラーですが、優しいですね。ま、これはぶっちゃけ、ガブリエルちゃんはぜんぜん危機に瀕してなかったわけですが、それはそれ。要はハートです。
「オリバンダーさんが今夜ミュリエルおばさんちに発つの。そしたらゴブリンを下に移して、男のコらは(ハリーとロンとディーン)はあの部屋を使ってよ」
あはは、無理無理。グリップフックをソファーで寝かすなんて、機嫌悪くなっちゃう。
「いいんだ、ぼくらソファーでへいちゃら。それよりぼくら(トリオとグリップフック)、もうすぐ出かけるから」
「えー、どこ行くの?だめよ、出かけちゃ。ここにいれば安全だもん」
心配してくれるフラー、なんだかモリー的(笑)。
そこへルナとディーンがやってきます。ルナはディーンにしゃべりまくってるんですね、「・・・ほんで耳が小さくて、色は紫で毛むくじゃらだけど、ちょっとカバさんに似てる、パパが話してくれたんだ。ワルツをハミングすると寄ってくるんだってー。うちにおいでよ、角、見せてあげる。あたしもまだ見てないけど、ホグワーツ特急の中でDEに誘拐されちゃったから」、ディーンはあんまり興味なさそうですが、おかまいなし(笑)。
こーゆーのをハーが聞き逃すはずはありません。「ルナちんてば、言ったじゃん。あれ、爆発したんだよ。エランペットなんだってばー」
「違うわ。あれはスノーカック。パパが言ったもん。今ごろ自己復元してる」こーゆーときはルナのほうもしっかりと自信を持って否定します。
オリバンダーさんがビルに付き添われてよろよろと階段を下りてきました。
「行っちゃうのね、寂しくなるわ、オリバンダーさん」
「私も同じだよ、お嬢さん。まるほい地下室できみがどれほど私を勇気づけてくれたか。言葉では言い表せない。どうもありがとう」
そうっすね、ルナとオリバンダーさんは戦友同士。
フラーもオリバンダーさんの両頬にキスをして、お別れを言い、ひとつお願いごとをします。ミュリエルおばさんに返してほしいと、ベルベットのケースに入ったティアラを見せるんですね。オリバンダーさんは、フラーのホスピタリティに感謝して、役に立てて光栄だとそのティアラをあずかります。もちろん、「ムーンストーンとダイヤモンドのゴブリン製!ふんがー」と、ギラギラした目で見ているのはグリップフックさん。
「お金を払って買ったモノだよ」ビルが静かに言い、グリップフックが挑発的な眼差しを向けます。
窓の外で強い風がうなるのが聞こえます。ビルとオリバンダーさんは夜の帳へと消えて行きました。
さて、晩ごはんです。オリバンダーさんを送って行く、たったこれだけのことでも、心配のあまり食欲がないフラーねーさん。
ビルは戻ってくると報告です。「オリバンダーさんは無事。パパママとジニーがみんなによろしくってさ。フレッドとジョージはミュリエルおばさんを怒らせてばっかりだ、あの双子、裏の部屋でまーだ通信販売やってんの。ミュリエルおばさんね、ティアラ盗まれたぐらい思ってたみたい(汗)」
「あはは、あなたのおばちゃま、チャーミングねぇ」思いっきり不機嫌に乾いた笑いのねーさんでした。
夕食の席でルナが話します。「うちのパパね、ティアラ作ったんだ。レイヴンクロウの象徴だった失われた宝、それを創り直すんだって。基本的な構成元素はほとんど特定できたって言ってた。"Billywig"の羽がすごい効くみたい」
そのときです。玄関先でどっかーん!と爆音が。
瞬く間に杖を構えるビル。トリオもビルに倣います。グリップフックは静か〜にテーブルの下へ。
「私だ!リーマス・ジョン・ルーピン!ウェアウルフで、ニンファドーラ・トンクスと結婚して、ほんでビル、きみはここのシークレットキーパーで、緊急事態にだけ来ていいって、ここをおしえてくれた!」
ビルは玄関に駆け寄ってドアを開けます。転がり込んでくるリーマス、灰色の髪は風で乱れ、顔面蒼白です。全員が緊張して見守る中、リーマスは言いました。「男の子だYO!ドラのパパさんの名前をとって、テッド君だYO!」
ひゃっほーい!
部屋の中にはあっという間に歓喜と安堵が広がります。
女子ふたりはキャーキャーとはしゃぎ、みんなおめでとうを言います。
リーマスはまっすぐにハリーに近づくと、強く抱きしめました。「ゴッドファーザー(後見人)になってくれるかい?」
「ぼ、ぼきがぁ?・・・ぼく・・・えっと・・・すごいや!」
ヒデキ感激、ハリーも感激。(←ヒデキの部分はわからない人は無視してください)
「テディ・リーマス・ルーピンに!」
「未来の偉大なる魔法使いに乾杯!」
「もう帰らなくちゃ」とかなんとか言いながら、ビルが開けたワインをけっこう飲みまくるリーマス(笑)。テディ坊やの髪は少なめだけど、生まれたとき黒髪で、1時間後には赤毛、今ごろはブロンドかなと、で、お義母さんアンドロメダによれば、トンクスも生まれた瞬間からさっそくくるくると髪の色が変わっていたらしいです。
暖炉の火がはじけ、みんなでワイン飲んで、リーマスのニュースはつかの間のオアシスですね。こんなときでも、新しい生命が生まれて希望を運んでくれる。
ただひとり、ぜんぜん嬉しくなさそうなグリップフックは寝室へ(笑)。
リーマスも本格的に酔っぱらってもいられないのでおうちに帰ります。「近いうちに写真持ってくんねー!」にこやかに嵐の中へ消えました。
お祝いはまだ続いています。が、ビルがハリーひとりをこっそり呼び止めました。
「話があるんだ、ハリー。きみら、グリップフックと何か企んでんじゃん」質問ではありません。ハリーは黙って聞くことにします。
「ぼくはさ、ゴブリンを知ってる。グリンゴッツで働いてるから。魔法使いとゴブリンの間に成立し得る友情関係の範囲内でね、ぼくにはゴブリンの友だちがいる・・・っちゅーか、よく知ってて仲いいゴブリンがいる。だけどハリー、グリップフックに何を頼んだ?見返りに何を約束した?」さすが銀行員、ゴブリンのやり方はお見通し。けれどハリーにはそれを打ち明けることができません。
「ハリー、聞いて。これだけは言わなきゃ。もしきみがグリップフックとある取り引きをして、しかもそれが宝と関係あるなら、気をつけろ。所有権とか報酬とか返済とか、そーゆーのの考え方って、ゴブリンのぼくらじゃぜんぜん違うんだよ。彼らは異なった種族。ぼくらの常識は通じない。魔法使いとゴブリンは大昔から仲が悪かった。魔法使いが無実だって言うつもりはない。過ちは両方にあった。とにかく、特にグリンゴッツで働いているゴブリンは、ゴールドと宝に関しては魔法使いを信用しない。ゴブリンと一緒に過ごさないとわからないことなんだよ。ゴブリンにとって、たとえそれがどんな品物であろうと、正当な所有者はそれを作った者なんだ、ぼくらは買ったつもりでも、彼らは貸したと思ってる。ゴブリン製品はすべて、ゴブリンが所有者なんだよ。だから彼らは、ゴブリン製品を魔法使いから魔法使いへ受け継ぐなんてこと、理解してくれない。ティアラだってギラギラ見てたじゃん?グリップフックは強硬派。買った人間が死んだら宝はゴブリンに返却されなきゃおかしいって思ってる。・・・だからさ、気をつけて。約束破ったら、グリンゴッツに強盗に入るよりもっと危険な目に遭う」
ビルったら、どこまで見当つけてるんでしょう?
忠告をありがとうと言いながら、皮肉なことを思います。ぼくは、テディ・ルーピンの向こう見ずなゴッドファーザーになるんだな、シリウス・ブラックがぼくの無鉄砲なゴッドファーザーだったように。
【メモ】
ラグナック1世さん、これは剣を作ったゴブリンさんですね。
シーラベンダー、これはリモニウムっすね、キレイなお花っすよ。
ゴブリンを騙そうと提案するロン、等身大で好きですねー(笑)。正義を貫くハーも好きです。
そして、いつもはトリオの成長ぶりに感動するさるおですが、ここはフラーの描き方もステキ。オトナになるって、こーゆーことかと。
彼女はフランスの名門ボーバトンのチャンピオンだった人です。超危険なトライウィザード・トーナメントに立ち向かった勇敢で頭のいい魔女です。偽マッドアイも言ってました、フラーは"妖精版マッドアイ"だって。フラー・デラクール(宮廷の花)の名を持つ令嬢にしては、お転婆きわまりない、スゴイ人なんだ(笑)。ところが今はご結婚されて、立派な"オトナ"なんですね、だから、彼女なりに自分より年下のコドモらを守ろうという保護者的な気持ちが働いているんだと思います。そんでモリー的になっちゃう。よくわかります。オトナになるって、そーなんだよなぁ。
ま、もちろん、いざとなったら彼女は暴れまくって強いと思うけど(笑)。
心ゆくまでさるお、もんち!
スーパーポッタリアンなので、愛を込めて、さるおのハリポタツアーは、絶望の中のたったひとつの吉報にしがみついていたいところですが、えっと、もうすぐ出かけなきゃ。
『DH』の完全ネタバレです。コメント欄も含めて、すごーくご注意ください。(内容はすべて反転文字にしてあります。)
ハリポタ辞典のもくじはこちらです。
25:Shell Cottage
ビルとフラーの新居、シェルコテージ。しっくいの壁に貝殻を埋め込んだその小さな家は、海を望む崖に、外界から切り離されて佇んでいます。美しい孤高の家ですね。
ハリーは何日もの間、言い訳を作ってはひとり崖に座り込んでいます。限りなく広い空、それと同じくらい広い海、波が激しく断崖を叩き、冷たい潮風が頬にあたります。
ヘビ男との杖取り合戦はやらない。その決断が大きな罪悪感となってのしかかってきます。思えば、ハリーさんという人はこれまで、"何かをする"という決断をしてきました。ところが今初めて、"行動しない"という決断をしている。校長のお墓が壊されるのを止めることもできなかったし、なんだか自信がなくなってきます。
手遅れだろうがなんだろうが杖を取りに行こうぜと言った、ほんとにすっかり頼もしいロンは、「ダンブルドアはぼくらに例のシンボルを解読して杖を手に入れてほしかったのかもしんないしさ、無敵の杖を取られた今となっては、どーやってヘビ野郎をやっつけよう?」なんて言い続け、ハリーの不安はどんどん煽られていきます。
ハーは懸命にハリー擁護。だけどそれすら、ハリーの自信喪失を加速させます。
ぼくは、ダンブルドアの生前の意思を、読み違えたのだろうか?
そしてやっぱりときどき、ダンブルドアが何も説明してくれなかったことに対する怒りがこみあげてきます。
「ダンブルドアって、ほんとに死んだのかな?」
そっか、ロンは、銀の雌鹿や剣や、ハリーが鏡のかけらの中に見た目のことを考え続けているんですね。
まるほい地下室に誰がドビーを送ったのかを崖の上でトリオが話し始めたとき、背後からフラーが呼びました。「ハリー、グリップフックが話したいってさー」あーあ、ゴブリンの使い走りなんてやらされて、ちょっと不機嫌そう(笑)。
コテージに戻ると、赤い木綿のカーテンを閉め切ったいちばん小さな寝室でグリップフックは待っていました。
「結論に達した、ハリー・ポッター。元同僚に裏切りだと思われっけど・・・おまえたちに手を貸す」
「ひゃっほーい!」ハリーさん、久々の"行動"に大喜びっす。
ところが、「ただし、見返りをもらう」うーん、さすがゴブリン。「ゴドリック・グリフィンドールの剣をよこせ」
まさかの逆提案。
それは無理だと言っても、代わりに他のモノをと言っても、レストレンジ家の金庫から選り取り見取りだZE!と言っても、聞いてくれません。
「おらちは盗っ人じゃねーぞこら!ばかにすなー!」
ハーも負けないように反論します。「でも、あの剣はハリーのだもん!」
しかーし、ゴブリンにはゴブリンの言い分がありました。
「あの剣は、グリフィンドールの前は誰が所有してた?あん?傲慢な魔法使いめ!あの剣は"Ragnuk"1世のものだ。それをゴドリック・グリフィンドールが盗んだんだYO!失われた宝、我らゴブリンの最高傑作!だからあの剣はゴブリンの所有物。嫌ならもうたすけてやらーん!」
困りました。困ったので、えっと、ここは、「相談してきます」と言ってとりあえず退室しましょう。
トリオは客間で相談をします。
「剣を渡すなんてできないよ」
「グリフィンドールが剣を盗んだってほんとかな」
「でっち上げだよ、きっと」
「ゴブリンが魔法使いを嫌いなのって、それなりに理由があるのよ」
「ゴブリンはフワフワのウサギちゃんじゃないんだぞ。昔、たくさんの魔法使いが殺された。あいつら、汚い戦い方するんだ」
「とにかく、どっちの種族が悪いのかって議論してもしょーがないじゃん。それよりグリップフックを説得しなきゃ」
トリオは問題(剣を渡すこと)を回避する方法を考えます。窓から外を見ると、ルナがジャムの瓶に入れた"sea lavender"でドビーのお墓を飾ってるのが見える。
「ほんじゃさ、金庫に入るまで剣が必要だから、入ったらあげるね、とか言っといて、贋物を渡しといて、バレるまえに逃げ出すとか」
「それって、卑怯よ。たすけてくれって言っといて裏切るなんて。だからゴブリンが魔法使いのこと嫌いなんじゃん。何か他のモノ、剣と同じくらい価値のある何かで納得させるのよ」
ハリーには分かっています、この取り引きは、グリフィンドールの剣でしか成立しない。他のすべての提案にグリップフックはノーと言うでしょう。でも、ホークラックスを壊すのにグリフィンドールの剣はどーしても必要です。
グリフィンドールのことをずっと誇りに思っていたのにな。マグル生まれを守って、純血一筋のスリザリンに立ち向かった、ドえらい人だと思ってたのにな。ハリーは思い直します、グリフィンドールは剣を盗んでなんかいないぞ、グリップフックが言っているのはゴブリン目線の歴史なんだ。
「グリップフックに、金庫に入るのを手伝ってくれた後で剣を渡すって言おう。"いつ"渡すかは言わないようにするんだ。ほんで、剣を渡すのはホークラックスをぜんぶ壊してから。そうしよ。時間かかるかもしんないけど、嘘はつかない」
ハーの視線はやや軽蔑的(笑)。「そーゆーのって気に入らないわ」
ロンは意気揚々と立ち上がります(笑)。「ぼきは天才的なアイデアだと思うけどなぁ」
FOR THE GREATER GOOD
偉大なる善のために。
Nurmengardの入口に刻まれたあの言葉が頭をよぎります。
トリオはグリップフックのところに戻り、剣を渡す"とき"を特定しないように言葉を選びながら話します。
「ハリー・ポッター、おまえをたすけたらグリフィンドールの剣を渡すって、ほんとに約束だぞ」
「うん」
「取引成立」
グリップフックはハリーだけを見つめています。信じてくれたみたいかな。そして両手を叩くと「なら早速はじめるぞ!」、あんたはシゴトがはやい(笑)。
トリオとグリップフックは計画を練り始めます。
それはまるで、魔法省に忍び込んだときのような、綿密で周到なプランです。思いつく限り、あらゆる不測の事態に備えます。グリップフックが手書きした見取り図がたよりです。
グリップフックによれば、レストレンジ家の金庫は、もっとも古い金庫のうちの1つで、グリンゴッツの最下層に位置します。純血魔法使いの古い一族が利用するそれらの金庫はいちばん厳しいセキュリティ下にあるんですね。
日に何時間も閉じこもり、やがて何週間にもなりました。時間はゆっくりと過ぎていきます。次から次へと問題点が浮き彫りになり、その都度、解決方法を慎重に検討します。が、いちばんの問題点は、ポリジュース薬のストックが残り少ないことです。
食事にしか姿を見せないトリオ、こりゃもう何か企んでるのはバレバレなわけで、コテージの全員が気付いているわけですが、誰も何も聞きません。外は激しい風が吹きすさぶ。もう4月です。
ハリーは自分のことを、ゴブリンを好きになれないタイプだな、と思います。たすけてくれるグリップフックですら驚くほど残忍で、"重要でない生物に苦痛を与える”可能性や、レストレンジの金庫にたどり着くまでの間に魔法使いに危害を加えるかもしれないという想像が、楽しくってしょーがないご様子。
それに、グリップフックは元気になってもみんなと食事をするのを嫌がっています。面倒をみるフラーはとうとう怒り爆発。グリップフックはしぶしぶ食卓を囲みます。グリップフックが食べるのは生肉ですね、あと根菜類やキノコ類。
ちなみに、最近のビルも生肉がお好き(涙)。お肉はレアがいちばん。これはさるおも同じですが(爆)。
ぼくがグリップフックをここに泊めてって言ったんだ。それに、ウィーズリー家のみんなはシゴトにも行けず軟禁状態、みんなぼくのせい。「迷惑かけてごめんなさい」ハリーは夕食の準備を手伝いながらフラーに謝ります。
「ハリー、妹を救ってくれたこと、私、忘れてないわ」
コジャレて気が強いフラーですが、優しいですね。ま、これはぶっちゃけ、ガブリエルちゃんはぜんぜん危機に瀕してなかったわけですが、それはそれ。要はハートです。
「オリバンダーさんが今夜ミュリエルおばさんちに発つの。そしたらゴブリンを下に移して、男のコらは(ハリーとロンとディーン)はあの部屋を使ってよ」
あはは、無理無理。グリップフックをソファーで寝かすなんて、機嫌悪くなっちゃう。
「いいんだ、ぼくらソファーでへいちゃら。それよりぼくら(トリオとグリップフック)、もうすぐ出かけるから」
「えー、どこ行くの?だめよ、出かけちゃ。ここにいれば安全だもん」
心配してくれるフラー、なんだかモリー的(笑)。
そこへルナとディーンがやってきます。ルナはディーンにしゃべりまくってるんですね、「・・・ほんで耳が小さくて、色は紫で毛むくじゃらだけど、ちょっとカバさんに似てる、パパが話してくれたんだ。ワルツをハミングすると寄ってくるんだってー。うちにおいでよ、角、見せてあげる。あたしもまだ見てないけど、ホグワーツ特急の中でDEに誘拐されちゃったから」、ディーンはあんまり興味なさそうですが、おかまいなし(笑)。
こーゆーのをハーが聞き逃すはずはありません。「ルナちんてば、言ったじゃん。あれ、爆発したんだよ。エランペットなんだってばー」
「違うわ。あれはスノーカック。パパが言ったもん。今ごろ自己復元してる」こーゆーときはルナのほうもしっかりと自信を持って否定します。
オリバンダーさんがビルに付き添われてよろよろと階段を下りてきました。
「行っちゃうのね、寂しくなるわ、オリバンダーさん」
「私も同じだよ、お嬢さん。まるほい地下室できみがどれほど私を勇気づけてくれたか。言葉では言い表せない。どうもありがとう」
そうっすね、ルナとオリバンダーさんは戦友同士。
フラーもオリバンダーさんの両頬にキスをして、お別れを言い、ひとつお願いごとをします。ミュリエルおばさんに返してほしいと、ベルベットのケースに入ったティアラを見せるんですね。オリバンダーさんは、フラーのホスピタリティに感謝して、役に立てて光栄だとそのティアラをあずかります。もちろん、「ムーンストーンとダイヤモンドのゴブリン製!ふんがー」と、ギラギラした目で見ているのはグリップフックさん。
「お金を払って買ったモノだよ」ビルが静かに言い、グリップフックが挑発的な眼差しを向けます。
窓の外で強い風がうなるのが聞こえます。ビルとオリバンダーさんは夜の帳へと消えて行きました。
さて、晩ごはんです。オリバンダーさんを送って行く、たったこれだけのことでも、心配のあまり食欲がないフラーねーさん。
ビルは戻ってくると報告です。「オリバンダーさんは無事。パパママとジニーがみんなによろしくってさ。フレッドとジョージはミュリエルおばさんを怒らせてばっかりだ、あの双子、裏の部屋でまーだ通信販売やってんの。ミュリエルおばさんね、ティアラ盗まれたぐらい思ってたみたい(汗)」
「あはは、あなたのおばちゃま、チャーミングねぇ」思いっきり不機嫌に乾いた笑いのねーさんでした。
夕食の席でルナが話します。「うちのパパね、ティアラ作ったんだ。レイヴンクロウの象徴だった失われた宝、それを創り直すんだって。基本的な構成元素はほとんど特定できたって言ってた。"Billywig"の羽がすごい効くみたい」
そのときです。玄関先でどっかーん!と爆音が。
瞬く間に杖を構えるビル。トリオもビルに倣います。グリップフックは静か〜にテーブルの下へ。
「私だ!リーマス・ジョン・ルーピン!ウェアウルフで、ニンファドーラ・トンクスと結婚して、ほんでビル、きみはここのシークレットキーパーで、緊急事態にだけ来ていいって、ここをおしえてくれた!」
ビルは玄関に駆け寄ってドアを開けます。転がり込んでくるリーマス、灰色の髪は風で乱れ、顔面蒼白です。全員が緊張して見守る中、リーマスは言いました。「男の子だYO!ドラのパパさんの名前をとって、テッド君だYO!」
ひゃっほーい!
部屋の中にはあっという間に歓喜と安堵が広がります。
女子ふたりはキャーキャーとはしゃぎ、みんなおめでとうを言います。
リーマスはまっすぐにハリーに近づくと、強く抱きしめました。「ゴッドファーザー(後見人)になってくれるかい?」
「ぼ、ぼきがぁ?・・・ぼく・・・えっと・・・すごいや!」
ヒデキ感激、ハリーも感激。(←ヒデキの部分はわからない人は無視してください)
「テディ・リーマス・ルーピンに!」
「未来の偉大なる魔法使いに乾杯!」
「もう帰らなくちゃ」とかなんとか言いながら、ビルが開けたワインをけっこう飲みまくるリーマス(笑)。テディ坊やの髪は少なめだけど、生まれたとき黒髪で、1時間後には赤毛、今ごろはブロンドかなと、で、お義母さんアンドロメダによれば、トンクスも生まれた瞬間からさっそくくるくると髪の色が変わっていたらしいです。
暖炉の火がはじけ、みんなでワイン飲んで、リーマスのニュースはつかの間のオアシスですね。こんなときでも、新しい生命が生まれて希望を運んでくれる。
ただひとり、ぜんぜん嬉しくなさそうなグリップフックは寝室へ(笑)。
リーマスも本格的に酔っぱらってもいられないのでおうちに帰ります。「近いうちに写真持ってくんねー!」にこやかに嵐の中へ消えました。
お祝いはまだ続いています。が、ビルがハリーひとりをこっそり呼び止めました。
「話があるんだ、ハリー。きみら、グリップフックと何か企んでんじゃん」質問ではありません。ハリーは黙って聞くことにします。
「ぼくはさ、ゴブリンを知ってる。グリンゴッツで働いてるから。魔法使いとゴブリンの間に成立し得る友情関係の範囲内でね、ぼくにはゴブリンの友だちがいる・・・っちゅーか、よく知ってて仲いいゴブリンがいる。だけどハリー、グリップフックに何を頼んだ?見返りに何を約束した?」さすが銀行員、ゴブリンのやり方はお見通し。けれどハリーにはそれを打ち明けることができません。
「ハリー、聞いて。これだけは言わなきゃ。もしきみがグリップフックとある取り引きをして、しかもそれが宝と関係あるなら、気をつけろ。所有権とか報酬とか返済とか、そーゆーのの考え方って、ゴブリンのぼくらじゃぜんぜん違うんだよ。彼らは異なった種族。ぼくらの常識は通じない。魔法使いとゴブリンは大昔から仲が悪かった。魔法使いが無実だって言うつもりはない。過ちは両方にあった。とにかく、特にグリンゴッツで働いているゴブリンは、ゴールドと宝に関しては魔法使いを信用しない。ゴブリンと一緒に過ごさないとわからないことなんだよ。ゴブリンにとって、たとえそれがどんな品物であろうと、正当な所有者はそれを作った者なんだ、ぼくらは買ったつもりでも、彼らは貸したと思ってる。ゴブリン製品はすべて、ゴブリンが所有者なんだよ。だから彼らは、ゴブリン製品を魔法使いから魔法使いへ受け継ぐなんてこと、理解してくれない。ティアラだってギラギラ見てたじゃん?グリップフックは強硬派。買った人間が死んだら宝はゴブリンに返却されなきゃおかしいって思ってる。・・・だからさ、気をつけて。約束破ったら、グリンゴッツに強盗に入るよりもっと危険な目に遭う」
ビルったら、どこまで見当つけてるんでしょう?
忠告をありがとうと言いながら、皮肉なことを思います。ぼくは、テディ・ルーピンの向こう見ずなゴッドファーザーになるんだな、シリウス・ブラックがぼくの無鉄砲なゴッドファーザーだったように。
【メモ】
ラグナック1世さん、これは剣を作ったゴブリンさんですね。
シーラベンダー、これはリモニウムっすね、キレイなお花っすよ。
ゴブリンを騙そうと提案するロン、等身大で好きですねー(笑)。正義を貫くハーも好きです。
そして、いつもはトリオの成長ぶりに感動するさるおですが、ここはフラーの描き方もステキ。オトナになるって、こーゆーことかと。
彼女はフランスの名門ボーバトンのチャンピオンだった人です。超危険なトライウィザード・トーナメントに立ち向かった勇敢で頭のいい魔女です。偽マッドアイも言ってました、フラーは"妖精版マッドアイ"だって。フラー・デラクール(宮廷の花)の名を持つ令嬢にしては、お転婆きわまりない、スゴイ人なんだ(笑)。ところが今はご結婚されて、立派な"オトナ"なんですね、だから、彼女なりに自分より年下のコドモらを守ろうという保護者的な気持ちが働いているんだと思います。そんでモリー的になっちゃう。よくわかります。オトナになるって、そーなんだよなぁ。
ま、もちろん、いざとなったら彼女は暴れまくって強いと思うけど(笑)。
心ゆくまでさるお、もんち!
2007年11月12日
さるおのハリポタツアー Harry Potter and the Deathly Hallows Chapter 24 (2)
さるおです。
スーパーポッタリアンなので、愛を込めて、さるおのハリポタツアーは、きわめて重要な面会に参加します。
『DH』の完全ネタバレです。コメント欄も含めて、すごーくご注意ください。(内容はすべて反転文字にしてあります。)
ハリポタ辞典のもくじはこちらです。
グリップフックはまだグリフィンドールの剣を握りしめています。つっけんどんに怒っているような、好奇心が入り交じったような、そんな表情です。土色の肌、細くて長い指、黒い目。ハウスエルフよりもほんの少しだけ背が高く、人間よりもずっとでっかい頭。素足が汚れています。フラーが靴を脱がせたんすね。
「起こしてごめんなさい。えっと、覚えてないかもしれないけど・・・」
「覚えてる。おまえが初めてグリンゴッツに来た日のことなら、覚えてる。私がおまえを金庫室を案内した。ハリー・ポッター、おまえはゴブリンの間でも有名だ」
ハリーとグリップフックは見つめ合います。そう、相手はゴブリン、仲良くするんじゃなくて"取り引き"をしないとね。
「おまえは、あのエルフを埋葬した。私はそれを窓から見ていた。おまえは変わってる。ハリー・ポッター、あんたは変わり者だ。自分の手で墓穴を掘るなんて」グリップフックの口調は、思いがけないほどに意地悪な感じ。マグルみたいにスコップで掘ったからバカにされたのかと思いました。
「それに、おまえはゴブリンをたすけた。私を、救ってくれた。おまえは変な魔法使いだよ」
読者にはちゃんとわかります。魔法に頼らずエルフを埋葬したハリーを、自分を救った魔法使いを、グリップフックは彼なりに評価してくれてるんですね。でもこーゆーときのハリーさんは鈍い(笑)。
「えっとね、とにかく、たすけてほしいんだ。ぼくら、グリンゴッツの金庫室に入りたいの」
額の傷跡が痛い。目を閉じると、また見えます。見慣れた、懐かしいお城が。
「グリンゴッツに押し入るぅー?無理だ、それは無理だYO!」グリップフックもびっくりの、まさかの強盗予告。
「不可能じゃない、過去にあったじゃんか」ロンがハリーの味方をします。
「そうだよ。ぼくが初めてあなたに会った日、7年前のぼくの誕生日だよ」
「それは違う。あのときあの金庫は空だった。だからプロテクションは最小限だった」
「ぼくらが入りたい金庫は空っぽじゃないけど、えっとね、レストレンジ家のやつなの」
ロンとハーもびっくり。
「不可能だ、絶対無理。If you seek beneath our floors, a treasure that was never yours...(床の下まで探しても、宝は決しておまえのモノにはならない)」
「Thief, you have been warned, beware.(泥棒よ、警告したぞ、気をつけろ)でしょ、わかってるよ。どろぼうするんじゃないんだ。信じてよ」
グリップフックはハリーを観察しています。そしてこう言います。「銀行に押し入っといて盗まない、そんな魔法使いがいるとすれば、おまえしかおらんね、ハリー・ポッター。ゴブリンもエルフも、今夜あんたが見せてくれたようなリスペクトを"杖を持つ者"から受けたことはない。"杖を持つ権利"はずっと前からゴブリンと魔法使いの間で争われてきた。杖の秘密を他種族と共有することを、魔法使いどもは拒んだ!ゴブリンが魔力を発展させる道を断ってしまったんだ!」
「ゴブリンって杖がなくても魔法使えんじゃん。それに、ヒミツ持ってるのだって同じ。剣とか鎧とかさ、ヒミツの精練方法で作ってんじゃんか」と余計なことを言うロン(笑)。「まぁまぁまぁ、それはどーでもいいじゃない。魔法使い対ゴブリンとか、そーゆー話じゃなくってさ」とグリップフックをなだめたいハリーさん。
「ふん!問題はまさにそれだ!ダークロードが再び台頭してきた。グリンゴッツは新政府の支配下に落ち、ハウスエルフが殺される。なのにおまえら魔法使いどもはあいかわらず無駄に威張ってばかり!"杖を持つ者"の中には抵抗してやろうっちゅー骨のあるヤツはおらんのかYO!」
「あたしたちがいるわ!」
来たぁーっ!ハーちん、かっこええ!
「あたしたちが抵抗してる!あたしだってゴブリンやエルフと同じくらい狙われまくりなんよ!あたしは"穢れた血"なんよーっ!」
「自分で言うな」ロン、渾身のツッコミ。
「何よ!マッドブラッドで結構。誇りに思うくらいだわ!今じゃあたしの方があなたより指名手配の上位なんよ、グリップフック!だからまるほい邸であいつらが拷問相手に選らんだの、あたしだったんじゃん!」
ハーは自分の首を見せます。そこには、ベラ姐に切りつけられた血のネックレスが、今も深紅のまま残っています。えーん、ハーちんも満身創痍。
「ドビーを自由にしたのは他でもないハリーなんよ!あたしら、長いことエルフ解放活動をしてるんよ!あたしら、ヘビ男を倒したいって、あなたよりずっと強く思ってるんよ!ふんがー」
"Society for the Promotion of Elfish Welfare"、通称SPEW、ロンちん立場無し(笑)。
グリップフックは、ハリーを見るのと同じような、興味深そうな顔でハーを見つめます。「剣は贋作、こっちがホンモノ。なのにレストレンジの金庫で何を探す?」そしてトリオを見て考え込みます。「あんたらは若すぎる、そして戦う相手が多すぎる・・・ちょっと考えさせてくれ」
もう休むと言うグリップフックの手から、ハリーはグリフィンドールの剣をそっと取り上げました。グリップフックは抵抗しません。わかってくれたような気もするし、やっぱり魔法使いを見るゴブリンの目には敵意が込められているような気もするし・・・。
「ハリー、あなたが考えてること、あたしが思ってることと同じかな?」
「うん。あねごの取り乱しようって、そーゆーことじゃん?ぼくらが金庫に入ったって思って、そこにはきっと見られちゃいけないモノがあって、盗まれたら困るわけで、そんなんなったらヘビ男に怒られるんだよ」
「でもさ、ぼくらが捜し回ってたのって、ヘビ男ゆかりの地だったじゃん?」
額の傷跡が痛いけど我慢して、オリバンダーさんと話す前に、ロンとハーにわかってもらわなきゃ。
「ヘビ男ってマグル界で育って、魔法界の遺産なんかなかったからさ、学校入るときにダイアゴン横丁行って、初めて銀行見たわけじゃん。そしたらさ、ぼくもそーだったけどさ、こりゃすげーって驚くわけよ。ほんで、カギ持ってる人いいなって、カギ持ってたら魔法界の一員って感じだよなって、思ったんだと思う。ヘビ男ってあねごの旦那さん信頼してて、ヘビ男が失脚した後もちゃんと自分を探してくれたのあの夫婦だけなんだよね。ただ、あねごにホークラックスの秘密はしゃべってない。ドラコのとーちゃんに日記のこと言わなかったのと同じだよ。でも、金庫にちょっとモノ置かせて、とかは言ったと思う。ハグリッドが言ってたもん、ホグワーツを除けば、いちばん安全な場所はグリンゴッツだって」
今ではヘビ男のことがよくわかるようになったハリーさん、本当は、ダンブルドアのことをもっと理解できてたらなぁ。
次にトリオはオリバンダーさんに会います。
痩せこけて、弱々しく疲れ切ったオリバンダーさん。くぼんだ眼窩の銀色の瞳がずいぶん大きく見えます。
「オリバンダーさん、休んでるのに邪魔してごめんなさい。ぼくら、たすけてほしいんだ」
「きみらは私たちを救ってくれた。私は自分があの場所で朽ち果てる運命だとあきらめていた。どれほど感謝しているか、言葉には表せない。どんなことでも手伝わせてもらうよ」
ハリーにはわかっています。ヘビ男を食い止める時間はもうほとんど残されていません。傷跡が痛い。なんだか焦ってきます。でも、先にグリップフックと話すって言ったとき、もう決断したことなんだ。
首に掛けたハグリッドのポーチから折れた杖を取り出します。
「オリバンダーさん、これ、なおせる?」
「ヒイラギ、フェニックスの尾羽、11インチ、美しくしなやかな杖・・・えっと、残念、なおせない。こんなんなっちゃうと、どーにもならん」
想定内ですが、やっぱりちょっとがっかり。ハリーはポーチに杖をしまいます。オリバンダーさんはそれをじっと見ています。
ハリーはまるほい邸で奪ってきた2本の杖をポケットから出します。
「この2本はどう思う?ぼくが使えるかな」
「クルミ、ドラゴン、インチ、しっかりした杖だ。12と3/4インチ、これはベラトリクス・レストレンジのものだった。こっちはサンザシとユニコーン、ちょうど10インチ、適度な弾力がある。ドラコ・マルフォイ君のものだった」
「"だった"?」
「きみが取り上げたのなら、おそらくもうきみのものだろう。取り上げ方にもよるし、杖が決めることだけど。とにかく、杖は持ち主を選び、ときに、持ち主を変える。勝ち取られた杖は、その勝者を新たな持ち主として選ぶものだ。杖の所有権は、繊細な法則に支配されているが、力で奪い取った杖は、たいてい新しい主人に頭を垂れる」
なるほどー、杖を研究し伝承する者(杖職人)はこーゆー原理を知ってるんですね。
「たとえ杖に選ばれなくても、もちろん使うことくらいはできる。でも本当の力を最大限に発揮するには、杖と持ち主は強く結ばれていなければならない。杖と持ち主、お互いが経験を積み重ね、杖は魔法使いから学び、魔法使いは杖から学ぶ。そーゆーもんなんだよ」
ロンもオリバンダーさんに杖を見せます。
「チェスナッツ、ドラゴン、9と1/2インチ、私が誘拐されてすぐにピーター・ペティグリューのために作らされた脆弱な杖だ。きみが勝ち取ったのであれば、きみの言うことを聞く」
「その法則ってすべての杖に当てはまるの?」
「私はそう考えてるよ、ミスター・ポッター」
「ってことは、必ずしも前の持ち主を殺さなくても、奪いさえすれば新しい所有者になれるってこと?」
「・・・なんておそろしいことを・・・"殺し"など必要ではない」
「でも、伝説は?ある杖が、複数かもしれないけど、手から手へ、殺人によって受け継がれてきた、そーでしょ?」
ドキドキする質問です。額の傷跡もめちゃめちゃ痛い。ヘビ男は、ついに動こうとしている。
「・・・その杖は、1本だけだ」
オリバンダーさん、青ざめてます。何か、とても怖れている。
「そしてその杖を、ヘビ男は欲しがった」
「・・・なぜだ・・・なぜそれを知った?」
「ヘビ男はまずあなたから、兄弟杖の弱点を克服する方法を聞き出そうとした」
「私は・・・私は・・・拷問されて、知ってることを話すしかなかった、わかってくれ」
「わかってる。それはわかってる。で、あなたは誰かに杖を借りればいいっておしえた。だけどそれはうまくいかなかった。ぼくの杖は、その"借り物"もやっつけた。どーしてなのか、理由はわかりますか?」
ハリーがあまりにも知りすぎているので、オリバンダーさんびっくりです。ほとんど怖がって、震えながら、わからないと言います。
「ヘビ男は、ぼくの杖が"借り物"もやっつけたからすごく怒って、伝説の杖のことをあなたに聞いたんでしょ?」
「・・・なぜそれを知っている?・・・ヘビ卿は私の知識のすべてを欲しがった。"Deathstick"(死の杖)とか"Wand of Destiny"(運命の杖)とか"The Elder Wand"(ニワトコの杖)とか、いろいろ呼び名のあるその杖について」
これには、信じてなかったハーちんがびっくり。
「ヘビ卿はかつて、私が作った杖に満足していた。イチイ、フェニックスの尾羽、13と1/2インチ。兄弟杖のあの現象に出会うまでは。今はより力強な杖を探している、それを使えば、おまえを倒せると思っている」
「でも、どうせもう兄弟杖は存在しないって気づかれちゃう。"Priori Incantatem"・・・ハーちんの杖、まるほいんちに置いてきちゃったもん、調べられたらバレちゃうよ、ハーちんの杖がぼくのを破壊して、その後修理しようとしたって」
またしても罪悪感に駆られるハーです。
「ヘビ卿は、おまえを倒すためだけにニワトコの杖を探しているわけではない、ミスター・ポッター。その杖の所有者になれば、本当の意味で無敵だと信じているんだ。しかし、ニワトコの杖の所有者は、常に襲撃を怖れるようになる、そーゆー運命だ。ま、それがヘビ卿の持ち物になったら、実際問題、太刀打ちできないだろうけど」
ハリーは突然思い出します、初めてオリバンダーさんに会ったとき、あんまり好きになれないなって思ったんだっけ。そしてそれは今も変わらない、"わるもんがニワトコの杖の所有者になったら"という考えを、嫌悪しながらも魅了されているように見えるんですね。強力すぎるその杖をわるもんが所有したら大変、でも研究する立場から見れば、たしかに魅力的な杖です。
「ニワトコの杖を受け継ぐために、必ずしも殺人が条件かどうかはわからない。しかし歴史は血塗られている。あまりに魅力的なために魔法使いたちが殺人も厭わないほどに追い求めた結果というだけかもしれないが・・・」
「オリバンダーさん、ヘビ男に、グレゴロヴィッチが今のニワトコの杖の持ち主だっておしえたんでしょ?」
オリバンダーさん、驚愕のあまり顔面蒼白をとーりこして真っ青っす。
額の傷跡が焼ける。目を閉じると、まだ暗い(ここより北に位置するので)ホグズミードのメインストリートが見えます。
「遠い昔、噂が流れた。ニワトコの杖をグレゴロヴィッチが持っていると。私は、噂を流したのがグレゴロヴィッチ本人だと思っている。ニワトコの杖を調べつくした職人が作る杖となれば、バカ売れまちがいないしだから」
「オリバンダーさん、最後にもう1つだけ。"ですりーはろうず"って知ってますか?」
あれれ?オリバンダーさんはきょとんとしています。ハリーはその表情を見て、演技じゃないと考えます。「どうもありがとう。もう休んで、オリバンダーさん」
ふたりとの面会は終わりです。ダイニングキッチンでは、ビル、フラー、ルナ、ディーンが紅茶を前に座っています。そして顔を上げてハリーを見る。
ハリーはうなずき返しただけで、そのまま庭へ出ました。ドビーが眠っている赤土のお墓までやってくると、ロンとハーに向き直ります。
頭がかなーり痛い。押し寄せるイメージから心を閉ざすのに一苦労です。もう、とても疲れたよなぁ。でも、あと少し。ほんの少し、激痛に耐えて、ロンとハーに説明しなきゃ。
「ずっと昔、グレゴロヴィッチがニワトコの杖を持ってた。だからヘビ男はグレゴロヴィッチを捜してた。でも、居場所を突き止めたときにはもう、グレゴロヴィッチは何も持ってなかった。グリンデルバルドに盗まれたんだよ。グレゴロヴィッチが所有者だってことをどーやってグリンデルバルドが知ったのかはわからないけど。噂を流したりしたんなら、知るの簡単だっただろうし」
ホグスミードを抜け、ホグワーツの校門に立つヘビ男が見える。
「グリンデルバルドは自分が無敵になるためにその杖を使った。そしてグリンデルバルドが頂点に立ったとき、ダンブルドアにはわかったんだ、彼を止められるのは自分しかいないって。ほんでグリンデルバルドと決闘してやっつけて、ニワトコの杖を奪ったんだよ」
「ダンブルドアがニワトコの杖を持ってたってこと?ほんなら今どこにあんの?」とロン。
「ホグワーツ」
ハリーさん、そろそろ体力の限界っす。
「んじゃ早く行かなきゃ!ハリー、今すぐ行って、ヘビ男より先にみつけなきゃ!」
「もう間に合わない。ヘビ男は今ホグワーツに着いたよ」
ハリーさん、倒れそうですよ。
「ハリー!いつから知ってたんだよ、なんで時間を無駄にしたんだ!なんでグリップフックと先に話したんだってば!ほんとはもっと早く行けたんじゃんか!今からだってさ、行こうよ!」ロンの声、ほとんど怒ってます。
「違う。ハーちんが言ったとーりなんだよ。ダンブルドアは杖の取り合いを望んでない。彼はぼくに、ホークラックスを見つけろって、それがダンブルドアの求めたことなんだ」
ハリーさん、とうとう芝生に膝をついてしまいました。
「ほんなこと言ったって、無敵の杖じゃんよー!」
地平線の彼方から、朝陽が昇る。湖に向かって、すべるように進んで行くぜ。横にいるのはスネイプだぜ。
「あとで城で会おう。今は私を1人にしてくれ」
スネイプさんは頭を下げて踵を返します。黒いマントがなびいている。
ゆっくり歩く。スネイプの姿はもうありません。Disillusionment Charmを使うと、自分にも自分の姿が見えなくなりました。そして湖のほとりを歩き続ける。愛すべき城が見えます。最初に手にした王国、ホグワーツだぜ。
湖のほとりの白い大理石の墓が、懐かしい風景を無駄に汚している。この墓石を破壊して、それを手に入れる。その最後の偉大な所業に、イチイの杖はなんとふさわしいことか。
墓石が真っ二つに割れる。中には、生きているときと変わらず、背が高く痩せた遺体が布で覆われています。埋葬布がするりとほどける。半透明の、青白い顔。眼鏡は生前のようにかけられている。ざまーみろ、ダンブルドアをあざ笑うのは愉しい、ふんがー。
胸の上で組まれた両手、そこに、それは固く握られていた。
老いぼれた愚かなじじーめ、大理石や自らの死であの杖を隠せるとでも思ったのか、ばかちんが。
蜘蛛のような手が、その杖を無理矢理奪い取る。
杖の先からスパークがほとばしり、最後の所有者の亡き骸に降り注いだ。新しい持ち主に仕える準備が整ったであーる。
【メモ】
If you seek beneath our floors, a treasure that was never yours. Thief, you have been warned, beware. Of finding more than treasure there.
床の下まで探しても、宝は決しておまえのモノにはならない。泥棒よ、警告したぞ、気をつけろ。おまえは宝より恐ろしいモノを見つけることになる。
この懐かしい文章。"more than treasure"(宝以上のモノ)はもちろん地下に潜むドラゴンのことです。が、『DH』ではいったい何を指すことになるのかな。
心ゆくまでさるお、もんち!
スーパーポッタリアンなので、愛を込めて、さるおのハリポタツアーは、きわめて重要な面会に参加します。
『DH』の完全ネタバレです。コメント欄も含めて、すごーくご注意ください。(内容はすべて反転文字にしてあります。)
ハリポタ辞典のもくじはこちらです。
グリップフックはまだグリフィンドールの剣を握りしめています。つっけんどんに怒っているような、好奇心が入り交じったような、そんな表情です。土色の肌、細くて長い指、黒い目。ハウスエルフよりもほんの少しだけ背が高く、人間よりもずっとでっかい頭。素足が汚れています。フラーが靴を脱がせたんすね。
「起こしてごめんなさい。えっと、覚えてないかもしれないけど・・・」
「覚えてる。おまえが初めてグリンゴッツに来た日のことなら、覚えてる。私がおまえを金庫室を案内した。ハリー・ポッター、おまえはゴブリンの間でも有名だ」
ハリーとグリップフックは見つめ合います。そう、相手はゴブリン、仲良くするんじゃなくて"取り引き"をしないとね。
「おまえは、あのエルフを埋葬した。私はそれを窓から見ていた。おまえは変わってる。ハリー・ポッター、あんたは変わり者だ。自分の手で墓穴を掘るなんて」グリップフックの口調は、思いがけないほどに意地悪な感じ。マグルみたいにスコップで掘ったからバカにされたのかと思いました。
「それに、おまえはゴブリンをたすけた。私を、救ってくれた。おまえは変な魔法使いだよ」
読者にはちゃんとわかります。魔法に頼らずエルフを埋葬したハリーを、自分を救った魔法使いを、グリップフックは彼なりに評価してくれてるんですね。でもこーゆーときのハリーさんは鈍い(笑)。
「えっとね、とにかく、たすけてほしいんだ。ぼくら、グリンゴッツの金庫室に入りたいの」
額の傷跡が痛い。目を閉じると、また見えます。見慣れた、懐かしいお城が。
「グリンゴッツに押し入るぅー?無理だ、それは無理だYO!」グリップフックもびっくりの、まさかの強盗予告。
「不可能じゃない、過去にあったじゃんか」ロンがハリーの味方をします。
「そうだよ。ぼくが初めてあなたに会った日、7年前のぼくの誕生日だよ」
「それは違う。あのときあの金庫は空だった。だからプロテクションは最小限だった」
「ぼくらが入りたい金庫は空っぽじゃないけど、えっとね、レストレンジ家のやつなの」
ロンとハーもびっくり。
「不可能だ、絶対無理。If you seek beneath our floors, a treasure that was never yours...(床の下まで探しても、宝は決しておまえのモノにはならない)」
「Thief, you have been warned, beware.(泥棒よ、警告したぞ、気をつけろ)でしょ、わかってるよ。どろぼうするんじゃないんだ。信じてよ」
グリップフックはハリーを観察しています。そしてこう言います。「銀行に押し入っといて盗まない、そんな魔法使いがいるとすれば、おまえしかおらんね、ハリー・ポッター。ゴブリンもエルフも、今夜あんたが見せてくれたようなリスペクトを"杖を持つ者"から受けたことはない。"杖を持つ権利"はずっと前からゴブリンと魔法使いの間で争われてきた。杖の秘密を他種族と共有することを、魔法使いどもは拒んだ!ゴブリンが魔力を発展させる道を断ってしまったんだ!」
「ゴブリンって杖がなくても魔法使えんじゃん。それに、ヒミツ持ってるのだって同じ。剣とか鎧とかさ、ヒミツの精練方法で作ってんじゃんか」と余計なことを言うロン(笑)。「まぁまぁまぁ、それはどーでもいいじゃない。魔法使い対ゴブリンとか、そーゆー話じゃなくってさ」とグリップフックをなだめたいハリーさん。
「ふん!問題はまさにそれだ!ダークロードが再び台頭してきた。グリンゴッツは新政府の支配下に落ち、ハウスエルフが殺される。なのにおまえら魔法使いどもはあいかわらず無駄に威張ってばかり!"杖を持つ者"の中には抵抗してやろうっちゅー骨のあるヤツはおらんのかYO!」
「あたしたちがいるわ!」
来たぁーっ!ハーちん、かっこええ!
「あたしたちが抵抗してる!あたしだってゴブリンやエルフと同じくらい狙われまくりなんよ!あたしは"穢れた血"なんよーっ!」
「自分で言うな」ロン、渾身のツッコミ。
「何よ!マッドブラッドで結構。誇りに思うくらいだわ!今じゃあたしの方があなたより指名手配の上位なんよ、グリップフック!だからまるほい邸であいつらが拷問相手に選らんだの、あたしだったんじゃん!」
ハーは自分の首を見せます。そこには、ベラ姐に切りつけられた血のネックレスが、今も深紅のまま残っています。えーん、ハーちんも満身創痍。
「ドビーを自由にしたのは他でもないハリーなんよ!あたしら、長いことエルフ解放活動をしてるんよ!あたしら、ヘビ男を倒したいって、あなたよりずっと強く思ってるんよ!ふんがー」
"Society for the Promotion of Elfish Welfare"、通称SPEW、ロンちん立場無し(笑)。
グリップフックは、ハリーを見るのと同じような、興味深そうな顔でハーを見つめます。「剣は贋作、こっちがホンモノ。なのにレストレンジの金庫で何を探す?」そしてトリオを見て考え込みます。「あんたらは若すぎる、そして戦う相手が多すぎる・・・ちょっと考えさせてくれ」
もう休むと言うグリップフックの手から、ハリーはグリフィンドールの剣をそっと取り上げました。グリップフックは抵抗しません。わかってくれたような気もするし、やっぱり魔法使いを見るゴブリンの目には敵意が込められているような気もするし・・・。
「ハリー、あなたが考えてること、あたしが思ってることと同じかな?」
「うん。あねごの取り乱しようって、そーゆーことじゃん?ぼくらが金庫に入ったって思って、そこにはきっと見られちゃいけないモノがあって、盗まれたら困るわけで、そんなんなったらヘビ男に怒られるんだよ」
「でもさ、ぼくらが捜し回ってたのって、ヘビ男ゆかりの地だったじゃん?」
額の傷跡が痛いけど我慢して、オリバンダーさんと話す前に、ロンとハーにわかってもらわなきゃ。
「ヘビ男ってマグル界で育って、魔法界の遺産なんかなかったからさ、学校入るときにダイアゴン横丁行って、初めて銀行見たわけじゃん。そしたらさ、ぼくもそーだったけどさ、こりゃすげーって驚くわけよ。ほんで、カギ持ってる人いいなって、カギ持ってたら魔法界の一員って感じだよなって、思ったんだと思う。ヘビ男ってあねごの旦那さん信頼してて、ヘビ男が失脚した後もちゃんと自分を探してくれたのあの夫婦だけなんだよね。ただ、あねごにホークラックスの秘密はしゃべってない。ドラコのとーちゃんに日記のこと言わなかったのと同じだよ。でも、金庫にちょっとモノ置かせて、とかは言ったと思う。ハグリッドが言ってたもん、ホグワーツを除けば、いちばん安全な場所はグリンゴッツだって」
今ではヘビ男のことがよくわかるようになったハリーさん、本当は、ダンブルドアのことをもっと理解できてたらなぁ。
次にトリオはオリバンダーさんに会います。
痩せこけて、弱々しく疲れ切ったオリバンダーさん。くぼんだ眼窩の銀色の瞳がずいぶん大きく見えます。
「オリバンダーさん、休んでるのに邪魔してごめんなさい。ぼくら、たすけてほしいんだ」
「きみらは私たちを救ってくれた。私は自分があの場所で朽ち果てる運命だとあきらめていた。どれほど感謝しているか、言葉には表せない。どんなことでも手伝わせてもらうよ」
ハリーにはわかっています。ヘビ男を食い止める時間はもうほとんど残されていません。傷跡が痛い。なんだか焦ってきます。でも、先にグリップフックと話すって言ったとき、もう決断したことなんだ。
首に掛けたハグリッドのポーチから折れた杖を取り出します。
「オリバンダーさん、これ、なおせる?」
「ヒイラギ、フェニックスの尾羽、11インチ、美しくしなやかな杖・・・えっと、残念、なおせない。こんなんなっちゃうと、どーにもならん」
想定内ですが、やっぱりちょっとがっかり。ハリーはポーチに杖をしまいます。オリバンダーさんはそれをじっと見ています。
ハリーはまるほい邸で奪ってきた2本の杖をポケットから出します。
「この2本はどう思う?ぼくが使えるかな」
「クルミ、ドラゴン、インチ、しっかりした杖だ。12と3/4インチ、これはベラトリクス・レストレンジのものだった。こっちはサンザシとユニコーン、ちょうど10インチ、適度な弾力がある。ドラコ・マルフォイ君のものだった」
「"だった"?」
「きみが取り上げたのなら、おそらくもうきみのものだろう。取り上げ方にもよるし、杖が決めることだけど。とにかく、杖は持ち主を選び、ときに、持ち主を変える。勝ち取られた杖は、その勝者を新たな持ち主として選ぶものだ。杖の所有権は、繊細な法則に支配されているが、力で奪い取った杖は、たいてい新しい主人に頭を垂れる」
なるほどー、杖を研究し伝承する者(杖職人)はこーゆー原理を知ってるんですね。
「たとえ杖に選ばれなくても、もちろん使うことくらいはできる。でも本当の力を最大限に発揮するには、杖と持ち主は強く結ばれていなければならない。杖と持ち主、お互いが経験を積み重ね、杖は魔法使いから学び、魔法使いは杖から学ぶ。そーゆーもんなんだよ」
ロンもオリバンダーさんに杖を見せます。
「チェスナッツ、ドラゴン、9と1/2インチ、私が誘拐されてすぐにピーター・ペティグリューのために作らされた脆弱な杖だ。きみが勝ち取ったのであれば、きみの言うことを聞く」
「その法則ってすべての杖に当てはまるの?」
「私はそう考えてるよ、ミスター・ポッター」
「ってことは、必ずしも前の持ち主を殺さなくても、奪いさえすれば新しい所有者になれるってこと?」
「・・・なんておそろしいことを・・・"殺し"など必要ではない」
「でも、伝説は?ある杖が、複数かもしれないけど、手から手へ、殺人によって受け継がれてきた、そーでしょ?」
ドキドキする質問です。額の傷跡もめちゃめちゃ痛い。ヘビ男は、ついに動こうとしている。
「・・・その杖は、1本だけだ」
オリバンダーさん、青ざめてます。何か、とても怖れている。
「そしてその杖を、ヘビ男は欲しがった」
「・・・なぜだ・・・なぜそれを知った?」
「ヘビ男はまずあなたから、兄弟杖の弱点を克服する方法を聞き出そうとした」
「私は・・・私は・・・拷問されて、知ってることを話すしかなかった、わかってくれ」
「わかってる。それはわかってる。で、あなたは誰かに杖を借りればいいっておしえた。だけどそれはうまくいかなかった。ぼくの杖は、その"借り物"もやっつけた。どーしてなのか、理由はわかりますか?」
ハリーがあまりにも知りすぎているので、オリバンダーさんびっくりです。ほとんど怖がって、震えながら、わからないと言います。
「ヘビ男は、ぼくの杖が"借り物"もやっつけたからすごく怒って、伝説の杖のことをあなたに聞いたんでしょ?」
「・・・なぜそれを知っている?・・・ヘビ卿は私の知識のすべてを欲しがった。"Deathstick"(死の杖)とか"Wand of Destiny"(運命の杖)とか"The Elder Wand"(ニワトコの杖)とか、いろいろ呼び名のあるその杖について」
これには、信じてなかったハーちんがびっくり。
「ヘビ卿はかつて、私が作った杖に満足していた。イチイ、フェニックスの尾羽、13と1/2インチ。兄弟杖のあの現象に出会うまでは。今はより力強な杖を探している、それを使えば、おまえを倒せると思っている」
「でも、どうせもう兄弟杖は存在しないって気づかれちゃう。"Priori Incantatem"・・・ハーちんの杖、まるほいんちに置いてきちゃったもん、調べられたらバレちゃうよ、ハーちんの杖がぼくのを破壊して、その後修理しようとしたって」
またしても罪悪感に駆られるハーです。
「ヘビ卿は、おまえを倒すためだけにニワトコの杖を探しているわけではない、ミスター・ポッター。その杖の所有者になれば、本当の意味で無敵だと信じているんだ。しかし、ニワトコの杖の所有者は、常に襲撃を怖れるようになる、そーゆー運命だ。ま、それがヘビ卿の持ち物になったら、実際問題、太刀打ちできないだろうけど」
ハリーは突然思い出します、初めてオリバンダーさんに会ったとき、あんまり好きになれないなって思ったんだっけ。そしてそれは今も変わらない、"わるもんがニワトコの杖の所有者になったら"という考えを、嫌悪しながらも魅了されているように見えるんですね。強力すぎるその杖をわるもんが所有したら大変、でも研究する立場から見れば、たしかに魅力的な杖です。
「ニワトコの杖を受け継ぐために、必ずしも殺人が条件かどうかはわからない。しかし歴史は血塗られている。あまりに魅力的なために魔法使いたちが殺人も厭わないほどに追い求めた結果というだけかもしれないが・・・」
「オリバンダーさん、ヘビ男に、グレゴロヴィッチが今のニワトコの杖の持ち主だっておしえたんでしょ?」
オリバンダーさん、驚愕のあまり顔面蒼白をとーりこして真っ青っす。
額の傷跡が焼ける。目を閉じると、まだ暗い(ここより北に位置するので)ホグズミードのメインストリートが見えます。
「遠い昔、噂が流れた。ニワトコの杖をグレゴロヴィッチが持っていると。私は、噂を流したのがグレゴロヴィッチ本人だと思っている。ニワトコの杖を調べつくした職人が作る杖となれば、バカ売れまちがいないしだから」
「オリバンダーさん、最後にもう1つだけ。"ですりーはろうず"って知ってますか?」
あれれ?オリバンダーさんはきょとんとしています。ハリーはその表情を見て、演技じゃないと考えます。「どうもありがとう。もう休んで、オリバンダーさん」
ふたりとの面会は終わりです。ダイニングキッチンでは、ビル、フラー、ルナ、ディーンが紅茶を前に座っています。そして顔を上げてハリーを見る。
ハリーはうなずき返しただけで、そのまま庭へ出ました。ドビーが眠っている赤土のお墓までやってくると、ロンとハーに向き直ります。
頭がかなーり痛い。押し寄せるイメージから心を閉ざすのに一苦労です。もう、とても疲れたよなぁ。でも、あと少し。ほんの少し、激痛に耐えて、ロンとハーに説明しなきゃ。
「ずっと昔、グレゴロヴィッチがニワトコの杖を持ってた。だからヘビ男はグレゴロヴィッチを捜してた。でも、居場所を突き止めたときにはもう、グレゴロヴィッチは何も持ってなかった。グリンデルバルドに盗まれたんだよ。グレゴロヴィッチが所有者だってことをどーやってグリンデルバルドが知ったのかはわからないけど。噂を流したりしたんなら、知るの簡単だっただろうし」
ホグスミードを抜け、ホグワーツの校門に立つヘビ男が見える。
「グリンデルバルドは自分が無敵になるためにその杖を使った。そしてグリンデルバルドが頂点に立ったとき、ダンブルドアにはわかったんだ、彼を止められるのは自分しかいないって。ほんでグリンデルバルドと決闘してやっつけて、ニワトコの杖を奪ったんだよ」
「ダンブルドアがニワトコの杖を持ってたってこと?ほんなら今どこにあんの?」とロン。
「ホグワーツ」
ハリーさん、そろそろ体力の限界っす。
「んじゃ早く行かなきゃ!ハリー、今すぐ行って、ヘビ男より先にみつけなきゃ!」
「もう間に合わない。ヘビ男は今ホグワーツに着いたよ」
ハリーさん、倒れそうですよ。
「ハリー!いつから知ってたんだよ、なんで時間を無駄にしたんだ!なんでグリップフックと先に話したんだってば!ほんとはもっと早く行けたんじゃんか!今からだってさ、行こうよ!」ロンの声、ほとんど怒ってます。
「違う。ハーちんが言ったとーりなんだよ。ダンブルドアは杖の取り合いを望んでない。彼はぼくに、ホークラックスを見つけろって、それがダンブルドアの求めたことなんだ」
ハリーさん、とうとう芝生に膝をついてしまいました。
「ほんなこと言ったって、無敵の杖じゃんよー!」
地平線の彼方から、朝陽が昇る。湖に向かって、すべるように進んで行くぜ。横にいるのはスネイプだぜ。
「あとで城で会おう。今は私を1人にしてくれ」
スネイプさんは頭を下げて踵を返します。黒いマントがなびいている。
ゆっくり歩く。スネイプの姿はもうありません。Disillusionment Charmを使うと、自分にも自分の姿が見えなくなりました。そして湖のほとりを歩き続ける。愛すべき城が見えます。最初に手にした王国、ホグワーツだぜ。
湖のほとりの白い大理石の墓が、懐かしい風景を無駄に汚している。この墓石を破壊して、それを手に入れる。その最後の偉大な所業に、イチイの杖はなんとふさわしいことか。
墓石が真っ二つに割れる。中には、生きているときと変わらず、背が高く痩せた遺体が布で覆われています。埋葬布がするりとほどける。半透明の、青白い顔。眼鏡は生前のようにかけられている。ざまーみろ、ダンブルドアをあざ笑うのは愉しい、ふんがー。
胸の上で組まれた両手、そこに、それは固く握られていた。
老いぼれた愚かなじじーめ、大理石や自らの死であの杖を隠せるとでも思ったのか、ばかちんが。
蜘蛛のような手が、その杖を無理矢理奪い取る。
杖の先からスパークがほとばしり、最後の所有者の亡き骸に降り注いだ。新しい持ち主に仕える準備が整ったであーる。
【メモ】
If you seek beneath our floors, a treasure that was never yours. Thief, you have been warned, beware. Of finding more than treasure there.
床の下まで探しても、宝は決しておまえのモノにはならない。泥棒よ、警告したぞ、気をつけろ。おまえは宝より恐ろしいモノを見つけることになる。
この懐かしい文章。"more than treasure"(宝以上のモノ)はもちろん地下に潜むドラゴンのことです。が、『DH』ではいったい何を指すことになるのかな。
心ゆくまでさるお、もんち!
2007年11月08日
さるおのハリポタツアー Harry Potter and the Deathly Hallows Chapter 24 (1)
さるおです。
スーパーポッタリアンなので、愛を込めて、さるおのハリポタツアーは、また号泣しながらドビーを送り、ハリーと一緒に、決意も新たに進みます。
『DH』の完全ネタバレです。コメント欄も含めて、すごーくご注意ください。(内容はすべて反転文字にしてあります。)
ハリポタ辞典のもくじはこちらです。
24:The Wandmaker
「ドビー・・・ドビー・・・」
名前を呼び続けます。テニスボールの瞳に夜空の星を宿したままその薄い胸をナイフに貫かれた友人の名前を、呼び続ける、もう戻って来ないとわかっていても、呼び続けます。
ビル、フラー、ディーン、ルナが集まってきました。ハーはロンに連れられコテージの中です。
ハリーは手を伸ばしてドビーの胸に刺さった銀のナイフを引き抜きます。そして自分の上着で、大切にドビーを包み込む。波の音が聞こえています。
ディーンはグリップフックをシェルコテージに運び、フラーもそれを追い、ビルがエルフを埋葬しようと言います。そうだね、そうしよう。
ハリーの額の傷跡は焼けるように痛いままです。ヘビ男がまるほい邸で、お仲間を罰しているのが見えます。そのヘビ男の強烈な怒りさえ、今はかき消されていきます。ドビーを失った悲しみのほうがとてつもなく大きい。
「ちゃんとしてあげなくちゃ。魔法は使わないよ」
ハリーはスコップで穴を掘ります。シェルコテージの庭の外れの茂みの間に、ドビーが眠るお墓を、たったひとりで一心に掘る。魔法なんか使いたくない。せめて自分の身体を使ってドビーを送らなければ、だめなんだ。汗が流れ、手のひらにマメができても、一心不乱に掘り続けます。命を救ってくれた友人ドビーを、できるかぎりの誠意で送ろう。額の傷跡が激痛だけど、かまうもんか。
そうです、ついにハリーは"Occlumency"を習得したんですね。
ハリーがシリウスの死に涙を流しているとき、ヘビ男はハリーの心に入ってくることができなかった。あのときと同じです。今、ドビーの死を悲しんで、ハリーは"Occlumency"を使っているんですね。"深い悲しみ"、ダンブルドアはこれを"愛"と呼んだけれど、この"深い悲しみ"がヘビ男を遠ざけている。
冷たく固い大地が、汗といっしょにハリーの悲しみを吸い込んでいきます。額の傷跡の痛みも消えていく。深く掘った穴の暗闇の中で、自分の息づかいと波の音だけが聞こえます。
ですりーはろうず、ホークラックス、ですりーはろうず、ホークラックス・・・
穴を掘るリズムに重なります。
ですりーはろうずを求める強烈な気持ちも、怖れも、喪失感も、消えていきます。そしてまるで平手で頬をぶたれたように、今、はっきり理解した、今夜、何が起きたのかを。ヘビ男が今夜訪れた場所、会った人物、それが意味することを。"Nurmengard"の塔のてっぺんの独房で、ヘビ男が殺害した人物が誰なのか、そしてその理由。
ワームテイルのことも頭をよぎります。ほんの一瞬情けをかけたために死んだネズミ男の運命を、ダンブルドアは見抜いていた。
ダンブルドアは、いったいどこまで知っていたのか。
ロンとディーンが戻ってきました。ハーは徐々に回復しているらしい。フラーが介抱してくれているみたいです。
ハリーは一瞬、「なんで魔法でカンタンにお墓作んないの?」と質問されるんじゃないかと身構えます。でも、そんなことない。ロンとディーンはそれぞれスコップ片手に、穴に飛び込みました。そして3人で、また一心に穴を掘る。
墓穴の底に横たえたドビーを、ハリーは上着で丁寧に包み直しました。ロンは靴と靴下を脱ぐとドビーの裸の足にそっと乗せました。ディーンは杖を振って毛糸の帽子をつくり、ハリーはそれをドビーの頭にかぶせ尖がった耳を優しく覆いました。
みんなが集まってきます。外套を着たビル、大きな白いエプロンをしたフラー、フラーの茶色い部屋着を羽織ってまだちょっとフラフラしているハー、フラーのコートを着ているルナ。ハーをロンが支えます。
ルナは屈み込み、ドビーのまぶたに優しく手を置き、その大きな目を閉じます。「これでもう眠っていいのよ」
最後にもう一度だけ、茂みの隙間に粗っぽく掘られた墓穴の中の小さな友人を見下ろします。ハリーさん、ほとんど泣き崩れそうです。
幾重も並ぶ金色のベンチ、荘厳な白い大理石の墓石、大臣も来て、輝かしい功績が朗誦されて・・・ドビーの命だって、ダンブルドアの葬儀みたいなのに値するのに。ほんとはもっとちゃんとやってあげなきゃいけないのに。
「言葉を贈りましょ」ルナが言います。「ありがとう、ドビー、私たちをまるほい地下室から救ってくれてありがとう。あなたが死ぬなんて不公平。あなたがしてくれたことを忘れません。幸せに眠ってね」
「ありがとう、ドビー」「ありがとう」
ハリーも言います。「さよなら、ドビー」
ビルが杖を振ると、土がばっさりとドビーにかかります。そこは、赤土の、小さなお墓になりました。(a small, reddish mound)
みんなはコテージに歩き出し、ハリーはひとり残ります。
波に磨かれた大きな白い石を拾い上げ、枕のように、ドビーの頭があるあたりに置きました。そしてポケットの2本の杖の、短いほうを取り出して石に向かいます。こーゆーのはハーのほうが上手だけれど、ぼくが刻む。
HERE LIES DOBBY, A FREE ELF.
(自由なエルフ・ドビー、ここに眠る)
「・・・ジニーが休暇中でよかった。ホグワーツにいたら捕まっちゃってたよ」
ハリーがコテージに戻ると、ビルがみんなに話をしているところです。そしてハリーにも向かって、こう言います。「ウィーズリー家はミュリエルおばさんちに避難したよ。ロンがキミと一緒だって知られちゃったから、DEに狙われるんだよ。あ、責めてるわけじゃないからね。時間の問題だったんだ。パパもずっと前からそー言ってた。うちらって、最大の"裏切り者"一家だからさ。おばさんちには"Fidelius Charm"をかけてある。シークレットキーパはパパ。ここ(コテージ)も同じだよ、ここのシークレットキーパはぼく。もう仕事に行けないけどさ、今となってはそんなの大事じゃないしね。オリバンダーさんとグリップフックさんが回復したらおばさんちに連れて行こうと思うんだ。ここは狭いけど、彼女んちはでっかいからさ。フラーが"Skele-Gro"飲ませたから、グリップフックの足ももうすぐ治るし」
思いがけず、ハリーはこれに反対します。「だめ!ふたりと話があるんだ、大事なんだよ」ハリーの声は確信に満ちてしっかりしています。口調にも決意が表れています。
みんなびっくりして困惑顔です。
小さなキッチンで、血と泥にまみれた手を洗う。窓の向こうには海が広がり、シェルピンクとゴールドを混ぜたような朝陽が輝こうとしています。
もう、ドビーはおしえてくれない、誰がドビーをあの地下室に送ってくれたのか。でも、見たんだ、人の心を射貫くような、あの青く輝く瞳を。"Help will always be given at Hogwarts to those who ask for it." ホグワーツでたすけを求める者に、必ずそれは訪れる。
もうすぐ、ゴールはすぐそこまで近づいてる。
額の傷跡が疼きます。ヘビ男も同じ、核心に迫っている。
校長先生、あなたはロンにデルミネーターを与えた。わかってたんだ。ロンに戻る道をおしえたんだ。
校長先生、あなたはワームテイルのこともわかってた。彼の心に後悔のかけらが残っているって知ってたんだ。
校長先生、あなたはぼくの何を知ってる?
ぼくの使命は何だったの?探索?そーじゃなくて、理解すること?
ぼくの気持ちを知ってただろうか?どんなに辛かったか、知ってただろうか?あなたは、知っててこんなに難しくしたのか?
水平線から明るい光りが溢れ、太陽が昇る。
額の傷跡は怒っています。ヘビ男の見ている映像が、心の中に閃きます。見慣れた、懐かしい建物の輪郭。
ハリーは廊下に戻ります。「グリップフックさんとオリバンダーさんに話があるんだ。待てないんだよ、今すぐ話さなきゃ。プレイベートで。ひとりずつ」ハリーは感情を出さず、とても事務的な口調です。
「ハリー、どーなってんのさ?死んだハウスエルフと意識不明のゴブリンを連れて来て、ハーちんなんか拷問にあったみたいだし、どしたの?ロンは一言も説明してくれないし」ビルも心配しています。
「言えないんだよ」ハリーははっきりと言いました。「ビルはオーダーだから知ってるでしょ、ダンブルドアがぼくたちにミッションを残したって」
ビルはじっとハリーを見つめ、そして言いました。「わかった。どっちからにする?」
ハリーは迷います。ホークラックスか、それとも秘宝か。
そして決めた。「グリップフック」
「ならこっち。おいで」ビルが歩き出します。ハリーは後ろを振り返り、「ロンちん、ハーちん、一緒に来て」と呼びかけます。ロンとハー、遠慮がちに様子をうかがってたんですね。ハリーに呼ばれてなんだかほっとしてるみたい。
「ハーちんだいじょぶ?あんなに目に遭ったのにあの筋書きを思いつくなんて、ハーちんすごかった」ハーが少し微笑みます。
階段を上がると、ドアが3つ。新婚さんの寝室に入ります。ここも海を望んで、朝陽を受けてキラキラと、こじんまりとしていい部屋です。
ハリーは海に背を向け窓辺に立ちます。ハーは椅子に、ロンは椅子の肘掛けに腰掛けます。
ビルはゴブリンを抱いて来ると、部屋を出てドアを閉めました。
【メモ】
"spade"はほんとは"鋤"(すき)です。日本語で鋤だとあまりに"農"の香りがするので、そしてこれは"スペード"の形の道具ということで、勝手にスコップと書きました。
"a small, reddish mound"
出たぁーっ!"赤いお墓"!これだったんすね、3つ目は!(詳しくはこちらをご覧ください)
ということで、さるおはこの時点でハグリッドが死なないことを確信します。Joが発売前に言っていたことの一部はこれっすね、きっと。
"Skele-Gro"、懐かしい!フラーはマダム・ポムフリーと同じことできるんすね、すごいなぁ。
"Help will always be given at Hogwarts to those who ask for it."
ダンブルドアが言ってました、一言も聞き漏らさないように、とてもゆっくりと、とてもはっきりと。"I will only truly have left this school when none here are loyal to me." 私は決してホグワーツを去らない、私に忠実な人間がいなくならないかぎり。
心ゆくまでさるお、もんち!
スーパーポッタリアンなので、愛を込めて、さるおのハリポタツアーは、また号泣しながらドビーを送り、ハリーと一緒に、決意も新たに進みます。
『DH』の完全ネタバレです。コメント欄も含めて、すごーくご注意ください。(内容はすべて反転文字にしてあります。)
ハリポタ辞典のもくじはこちらです。
24:The Wandmaker
「ドビー・・・ドビー・・・」
名前を呼び続けます。テニスボールの瞳に夜空の星を宿したままその薄い胸をナイフに貫かれた友人の名前を、呼び続ける、もう戻って来ないとわかっていても、呼び続けます。
ビル、フラー、ディーン、ルナが集まってきました。ハーはロンに連れられコテージの中です。
ハリーは手を伸ばしてドビーの胸に刺さった銀のナイフを引き抜きます。そして自分の上着で、大切にドビーを包み込む。波の音が聞こえています。
ディーンはグリップフックをシェルコテージに運び、フラーもそれを追い、ビルがエルフを埋葬しようと言います。そうだね、そうしよう。
ハリーの額の傷跡は焼けるように痛いままです。ヘビ男がまるほい邸で、お仲間を罰しているのが見えます。そのヘビ男の強烈な怒りさえ、今はかき消されていきます。ドビーを失った悲しみのほうがとてつもなく大きい。
「ちゃんとしてあげなくちゃ。魔法は使わないよ」
ハリーはスコップで穴を掘ります。シェルコテージの庭の外れの茂みの間に、ドビーが眠るお墓を、たったひとりで一心に掘る。魔法なんか使いたくない。せめて自分の身体を使ってドビーを送らなければ、だめなんだ。汗が流れ、手のひらにマメができても、一心不乱に掘り続けます。命を救ってくれた友人ドビーを、できるかぎりの誠意で送ろう。額の傷跡が激痛だけど、かまうもんか。
そうです、ついにハリーは"Occlumency"を習得したんですね。
ハリーがシリウスの死に涙を流しているとき、ヘビ男はハリーの心に入ってくることができなかった。あのときと同じです。今、ドビーの死を悲しんで、ハリーは"Occlumency"を使っているんですね。"深い悲しみ"、ダンブルドアはこれを"愛"と呼んだけれど、この"深い悲しみ"がヘビ男を遠ざけている。
冷たく固い大地が、汗といっしょにハリーの悲しみを吸い込んでいきます。額の傷跡の痛みも消えていく。深く掘った穴の暗闇の中で、自分の息づかいと波の音だけが聞こえます。
ですりーはろうず、ホークラックス、ですりーはろうず、ホークラックス・・・
穴を掘るリズムに重なります。
ですりーはろうずを求める強烈な気持ちも、怖れも、喪失感も、消えていきます。そしてまるで平手で頬をぶたれたように、今、はっきり理解した、今夜、何が起きたのかを。ヘビ男が今夜訪れた場所、会った人物、それが意味することを。"Nurmengard"の塔のてっぺんの独房で、ヘビ男が殺害した人物が誰なのか、そしてその理由。
ワームテイルのことも頭をよぎります。ほんの一瞬情けをかけたために死んだネズミ男の運命を、ダンブルドアは見抜いていた。
ダンブルドアは、いったいどこまで知っていたのか。
ロンとディーンが戻ってきました。ハーは徐々に回復しているらしい。フラーが介抱してくれているみたいです。
ハリーは一瞬、「なんで魔法でカンタンにお墓作んないの?」と質問されるんじゃないかと身構えます。でも、そんなことない。ロンとディーンはそれぞれスコップ片手に、穴に飛び込みました。そして3人で、また一心に穴を掘る。
墓穴の底に横たえたドビーを、ハリーは上着で丁寧に包み直しました。ロンは靴と靴下を脱ぐとドビーの裸の足にそっと乗せました。ディーンは杖を振って毛糸の帽子をつくり、ハリーはそれをドビーの頭にかぶせ尖がった耳を優しく覆いました。
みんなが集まってきます。外套を着たビル、大きな白いエプロンをしたフラー、フラーの茶色い部屋着を羽織ってまだちょっとフラフラしているハー、フラーのコートを着ているルナ。ハーをロンが支えます。
ルナは屈み込み、ドビーのまぶたに優しく手を置き、その大きな目を閉じます。「これでもう眠っていいのよ」
最後にもう一度だけ、茂みの隙間に粗っぽく掘られた墓穴の中の小さな友人を見下ろします。ハリーさん、ほとんど泣き崩れそうです。
幾重も並ぶ金色のベンチ、荘厳な白い大理石の墓石、大臣も来て、輝かしい功績が朗誦されて・・・ドビーの命だって、ダンブルドアの葬儀みたいなのに値するのに。ほんとはもっとちゃんとやってあげなきゃいけないのに。
「言葉を贈りましょ」ルナが言います。「ありがとう、ドビー、私たちをまるほい地下室から救ってくれてありがとう。あなたが死ぬなんて不公平。あなたがしてくれたことを忘れません。幸せに眠ってね」
「ありがとう、ドビー」「ありがとう」
ハリーも言います。「さよなら、ドビー」
ビルが杖を振ると、土がばっさりとドビーにかかります。そこは、赤土の、小さなお墓になりました。(a small, reddish mound)
みんなはコテージに歩き出し、ハリーはひとり残ります。
波に磨かれた大きな白い石を拾い上げ、枕のように、ドビーの頭があるあたりに置きました。そしてポケットの2本の杖の、短いほうを取り出して石に向かいます。こーゆーのはハーのほうが上手だけれど、ぼくが刻む。
HERE LIES DOBBY, A FREE ELF.
(自由なエルフ・ドビー、ここに眠る)
「・・・ジニーが休暇中でよかった。ホグワーツにいたら捕まっちゃってたよ」
ハリーがコテージに戻ると、ビルがみんなに話をしているところです。そしてハリーにも向かって、こう言います。「ウィーズリー家はミュリエルおばさんちに避難したよ。ロンがキミと一緒だって知られちゃったから、DEに狙われるんだよ。あ、責めてるわけじゃないからね。時間の問題だったんだ。パパもずっと前からそー言ってた。うちらって、最大の"裏切り者"一家だからさ。おばさんちには"Fidelius Charm"をかけてある。シークレットキーパはパパ。ここ(コテージ)も同じだよ、ここのシークレットキーパはぼく。もう仕事に行けないけどさ、今となってはそんなの大事じゃないしね。オリバンダーさんとグリップフックさんが回復したらおばさんちに連れて行こうと思うんだ。ここは狭いけど、彼女んちはでっかいからさ。フラーが"Skele-Gro"飲ませたから、グリップフックの足ももうすぐ治るし」
思いがけず、ハリーはこれに反対します。「だめ!ふたりと話があるんだ、大事なんだよ」ハリーの声は確信に満ちてしっかりしています。口調にも決意が表れています。
みんなびっくりして困惑顔です。
小さなキッチンで、血と泥にまみれた手を洗う。窓の向こうには海が広がり、シェルピンクとゴールドを混ぜたような朝陽が輝こうとしています。
もう、ドビーはおしえてくれない、誰がドビーをあの地下室に送ってくれたのか。でも、見たんだ、人の心を射貫くような、あの青く輝く瞳を。"Help will always be given at Hogwarts to those who ask for it." ホグワーツでたすけを求める者に、必ずそれは訪れる。
もうすぐ、ゴールはすぐそこまで近づいてる。
額の傷跡が疼きます。ヘビ男も同じ、核心に迫っている。
校長先生、あなたはロンにデルミネーターを与えた。わかってたんだ。ロンに戻る道をおしえたんだ。
校長先生、あなたはワームテイルのこともわかってた。彼の心に後悔のかけらが残っているって知ってたんだ。
校長先生、あなたはぼくの何を知ってる?
ぼくの使命は何だったの?探索?そーじゃなくて、理解すること?
ぼくの気持ちを知ってただろうか?どんなに辛かったか、知ってただろうか?あなたは、知っててこんなに難しくしたのか?
水平線から明るい光りが溢れ、太陽が昇る。
額の傷跡は怒っています。ヘビ男の見ている映像が、心の中に閃きます。見慣れた、懐かしい建物の輪郭。
ハリーは廊下に戻ります。「グリップフックさんとオリバンダーさんに話があるんだ。待てないんだよ、今すぐ話さなきゃ。プレイベートで。ひとりずつ」ハリーは感情を出さず、とても事務的な口調です。
「ハリー、どーなってんのさ?死んだハウスエルフと意識不明のゴブリンを連れて来て、ハーちんなんか拷問にあったみたいだし、どしたの?ロンは一言も説明してくれないし」ビルも心配しています。
「言えないんだよ」ハリーははっきりと言いました。「ビルはオーダーだから知ってるでしょ、ダンブルドアがぼくたちにミッションを残したって」
ビルはじっとハリーを見つめ、そして言いました。「わかった。どっちからにする?」
ハリーは迷います。ホークラックスか、それとも秘宝か。
そして決めた。「グリップフック」
「ならこっち。おいで」ビルが歩き出します。ハリーは後ろを振り返り、「ロンちん、ハーちん、一緒に来て」と呼びかけます。ロンとハー、遠慮がちに様子をうかがってたんですね。ハリーに呼ばれてなんだかほっとしてるみたい。
「ハーちんだいじょぶ?あんなに目に遭ったのにあの筋書きを思いつくなんて、ハーちんすごかった」ハーが少し微笑みます。
階段を上がると、ドアが3つ。新婚さんの寝室に入ります。ここも海を望んで、朝陽を受けてキラキラと、こじんまりとしていい部屋です。
ハリーは海に背を向け窓辺に立ちます。ハーは椅子に、ロンは椅子の肘掛けに腰掛けます。
ビルはゴブリンを抱いて来ると、部屋を出てドアを閉めました。
【メモ】
"spade"はほんとは"鋤"(すき)です。日本語で鋤だとあまりに"農"の香りがするので、そしてこれは"スペード"の形の道具ということで、勝手にスコップと書きました。
"a small, reddish mound"
出たぁーっ!"赤いお墓"!これだったんすね、3つ目は!(詳しくはこちらをご覧ください)
ということで、さるおはこの時点でハグリッドが死なないことを確信します。Joが発売前に言っていたことの一部はこれっすね、きっと。
"Skele-Gro"、懐かしい!フラーはマダム・ポムフリーと同じことできるんすね、すごいなぁ。
"Help will always be given at Hogwarts to those who ask for it."
ダンブルドアが言ってました、一言も聞き漏らさないように、とてもゆっくりと、とてもはっきりと。"I will only truly have left this school when none here are loyal to me." 私は決してホグワーツを去らない、私に忠実な人間がいなくならないかぎり。
心ゆくまでさるお、もんち!
2007年10月17日
さるおのハリポタツアー Harry Potter and the Deathly Hallows Chapter 23 (2)
さるおです。
スーパーポッタリアンなので、愛を込めて、さるおのハリポタツアーは、あまりに絶体絶命すぎて、恐怖のあまり、タイムボカン化します。というか、ヤッターマンです。やっておしまい!アラホラサッサ!
そして号泣。本当に本当に、涙が止まりません。
『DH』の完全ネタバレです。コメント欄も含めて、すごーくご注意ください。(内容はすべて反転文字にしてあります。)
ハリポタ辞典のもくじはこちらです。
ベラ姐、登場。「お〜や、この娘は、穢れた血、グレンジャーだねぇ〜」
「隣にいるのはポッターだ!」
「ポッター?本当だろうね?ならばすぐドクロベーさまに知らせるんだよぅ〜!」
ベラ姐が袖をまくりあげる。Dark Markが見えます。
「私が呼ぼうとしていたのに!」まるで小学生のようなルシウス(笑)。ベラの手首をつかみます。
「ベラ、ヘビ男様は私が呼ぶ。ポッターはここに連れてこられた。ここは私の屋敷だぞ。勝手な真似をするな」
「勝手な真似だって!生意気なこと言うねぇ〜!ボヤッキー、その手をおはなしよぉ〜!」
「まるほいさんよー、ポッターを捕まえたのはオレたちだぜ。賞金を頂戴するのはオレだってことを忘れてもらっちゃ困るねぇ!」
「賞金!そんなものはくれてやるさ、ハイエナめ。あたしが賞金目当てだとでも思ったのかい、トンズラー?バカ言うんじゃないよ、あたしがほしいのはドクロベーさまから与えられる名誉さ!」
DEのみなさま、仲間なんだからケンカしなきゃいいのに、まるでバラバラ。
ドロンジョさまは、急に動きを止めます。目の届かないところにある何かをじっと見ています。彼女が抵抗をあきらめたと勘違いしたボヤッキーが自分の袖を引き裂く。
「ちょっと待ちなってばさぁ〜!」ドロンジョが金切り声で叫びます。
「今ドクロベーさまを呼ぶんじゃないよ!今ドクロベーさまが来たら、あたしたちみんな、おしおきじゃないかぁ〜!」
Dark Markに触れる一瞬手前でボヤッキーが凍りつきます。
「それは何なのさ?」
「剣です、あねさん」
「あたしによこしな」
「あねさん、これはあねさんのじゃねぇ。オレたちのもんだ」
バンッ!
赤い閃光が走る。
仲間内でマジ喧嘩勃発。スナッチャーのひとりが気絶しています。スナッチャーの一団は怒りの雄叫びをあげ、剣とドロンジョの間に立ち塞がります。喧嘩上等!Scabiorも杖を構える。
ところが、ドロンジョはスゴ腕。しかも情け容赦ないあねさんです。ぼかんぼかんと、4対1を一瞬で制して圧勝。3人は意識不明で床に倒れ、オオカミ男トンズラーは両腕を広げて膝をつく。ドロンジョは剣を奪い取り、トンズラーに迫ります。
「トンズラー、これをどこで手に入れたんだい?」ドロンジョが囁きます。
「ちくしょー、女め、オレを放せ!」トンズラーもついにドロンジョさまを"女"呼ばわり。
「この剣をどこで手に入れた?スネイプがグリンゴッツの私の金庫に入れたのにぃ〜!」ドロンジョの剣がトンズラーの鼻先まで迫る。
「こいつらのテントで見つけた」最強最悪のオオカミ男トンズラーでさえ、ドロンジョさまには逆らえない。ベラ姐、最強!
(緊迫のシーンが台無しになっているかもしれないということにやっと気づいたので、今週のビックリドッキリメカ終了)
「ドラコ、このクズどもを外に出して片づけな。怖くてできないなら庭にでも置いておきなよ、後であたしが始末するから」
「姉さん、うちのドラコにそーゆー口のきき方しないでちょーだい!」
「お黙り!あんたは状況がわかってないのよ、シシー!困ったことになったわ。こいつが本物のポッターなら、傷つけるわけにいかない。ドクロベーさまは(しつこい)ご自身でこのガキを片づけたいと思ってる。・・・確かめなければ・・・捕虜を地下室に閉じ込めるのよ!」
「ベラ、ここは私の家よ、命令なんか!」
「いいから早く!私たちがどれほど危険な状況か、あんたはわかってないんだってば!」
ナルシッサは少し迷ってから、グレイバックにハリーたちを連れて行かせようとします。ところが、「お待ち!穢れた血はここに残しなさい」
焦ったのはロンです。「だめ!ぼくがここに残る!ぼくが!」
うるせーなと言わんばかりにベラがロンをぶん殴る。「もしもこの娘が途中で死んだら、穢れた血の次に罪深い裏切り者のあんたを呼んでやるからね」そしてマントの下から小さな銀のナイフを取り出し、ハーの髪の毛をぐいぐいつかんで部屋の中央に引きずっていきます。
グレイバックとしてはハーを自分にくれたらいいのにと残念に思いながら、ハリーたち地下に連れて行きます。
そこは、湿っぽくてカビ臭い部屋。グレイバックは真っ暗闇にハリーたちを置き去りにして扉をバタン!と閉めました。そして扉の閉まる音の反響が鳴り止むより早く、階上からはあまりに悲痛なハーの絶叫が聞こえて来ます。
「ハーちーんっ!ハーちーんっ!」力の限り、ロンが叫ぶ。
「静かにして!何とかここから抜け出す方法を考えるんだよ、ロン。ロープを外さなきゃ」
「ハーちーんっ!ハーちーんっ!」ロンは叫び続けます。
すると、「ハリー?ロン?」暗闇からささやく声は、「ルナちん?」
ハリーには捕まってほしくなかった、と言うルナ、やっぱり彼女も戦っていたんすね!
暗闇の中でハリーたちのロープを外そうとするルナ、「オリバンダーさん、水差しの近くに古いクギがあったと思うの。少し動いてくれるかな?」ぐわぁーっ!オリバンダーさん、おひさしぶりです。ルナはクギを使ってロープを切ろうとしてるんすね。
階上からはハーの悲鳴が聞こえ続けています。どうやらベラは「この剣をどこで手に入れたぁーっ!」と尋問と拷問を繰り返しています。負けるな、ハー!
ロンはハーをたすけたい一心で身もだえし、ルナは暗闇の中でクギを落としてしまいます。「ぼくのポッケ!ルナちん、ぼくのポッケにデルミネーターがあるんだ!」
クリック!
テントのランプから吸い取った光が、球体となってデルミネーターからふわりと出ます。ランプがないために元の場所に戻れず、ふわっと宙に浮いたまま、まるで小さな3つの太陽のように、地下室を光で満たします。
明るくなって初めて周りを見回せば、青白い顔のルナ、丸まるように倒れて動かないオリバンダーさん、血まみれ痣だらけのディーン、ぐったりしているゴブリンのグリップフック。
「嘘つけ!穢れた血め!私の金庫に入ったな!他に何を盗んだ!白状しろ!白状しろ!でないとおまえを切り刻ーむ!ふんがー」
ハーが悲鳴をしぼり出している。
ロープが床に落ちました。ロンが、壁を叩き、ハーの名を叫び、杖もないのに瞬間移動を試し、半狂乱になって走り回っている。こんなのあまりに痛々しい。
「出口がないのよ、ロン。あたしもいろいろ試したけど、無理。オリバンダーさんもあらゆる手段を試したって」
ハーの絶叫は止みません。その声はまるで自分の身体を貫くようで、ハーの苦痛を感じるほど。ハリーの額の傷跡はずっと前から激痛なのに、それを忘れるほどに、大切なハーが苦しんでいる。
「何を盗んだ!白状しろ!Crucio!」
ハーの悲鳴が響き渡る。ロンが泣きながら、力いっぱいこぶしで壁を叩き続けます。
もうだめぽ。ハーが殺されちゃう。ハグリッドのポーチからスニッチを取り出して振ってみても、何も起きてくれない。折れたフェニックスの杖を振っても、何も起きてくれない。そしてあの鏡の破片が、きらりと床に落ち、明るく青く光った。「たすけて!まるほいんちの地下室にいるんだ、たすけてよ!」ダンブルドアの目がまばたいて、そして消えました。
今の光は?ダンブルドアの瞳は?
ハーの悲鳴はもう、今までにないほどに痛ましい。「ハーちーんっ!ハーちーんっ!」ロンが泣き叫ぶ。
「穢れた血め!どうやって私の金庫に忍び込んだ!地下室のゴブリンか!」
「初めて会ったのよ!金庫なんて知らない。これはニセモノよ!」ハーは涙声です。かわいそうだ。
「作り話を!」
「そんな嘘はすぐにバレるぞ!」ボヤッキー(しつこい)も参加。「ドラコ、ゴブリンを連れてこい。見分けさせればわかる!」
ハリーは慌ててグリップフックに駆け寄り、その尖った耳にささやきました「剣はニセモノだって言って!グリップフックさん、お願い!」
扉の向こうからドラコの声が聞こえる。「下がれ。後ろの壁に並んでろ。変な動きしたら殺すぞ!」
ロンが急いでデルミネーターをクリックします。地下室は元の暗闇に戻る。
ドラコは意を決したように地下室に入り、グリップフックを引きずって出て行きました。
バンッ!と扉が閉まると同時に、なんともうひとつ、バンッ!
ロンが再びデルミネーターで明かりつけると、そこにいたのは、「ド、ドビーさん!」
テニスボールのような大きな目を見開き、震えています。それでも、「ハリー・ポッター、ドビーはあなたをたすけに来ました」と言います。
そう、ハウスエルフは(ホグワーツのように)魔法で瞬間移動が禁じられた場所でも、瞬間移動ができるんだ!「ぼくらを連れて、ここから瞬間移動で逃げられる?」ドビーは耳をヒラヒラさせながら頷きました。
「ドビー、ルナとディーンとオリバンダーさんを連れて逃げて」「ビルとフラーのとこに」場所を提案してくれたのはロンです。
「"Tinworth"(ティンワーズ)近くのシェルコテージだよ!」
ドビーは3度うなずき、オリバンダーさんの手を握り、もう一方の手をルナとディーンに差し出します。ルナもディーンも「手伝うわ!」「置いてけないよ」と言ってくれてますね。
「3人を連れてって、ほんで戻ってきて、ドビー」「もちろんです。ハリー・ポッター」「ルナ、ディーン、逃げて!ビルとフラーんちで会おう!」
ハリーの額の傷跡が、ものすごい痛みです。
床を見下ろす。オリバンダーさんではない、年老いて痩せた別の男が、嘲笑っている。
「私を殺せ、ヴォルデモート。よろこんで死のう。さぁ殺せ!しかし私を殺しても、おまえのほしいモノは手に入らない。たくさんあるんだよ、おまえが理解していないことがな」
ルナとディーンがドビーの指を握る。ぼかん!
「何の音だ?ドラコ、ワームテールに調べに行かせろ!」ボヤッキー(しつこすぎ)に音を聞かれてしまいました。
こーなったら明かりをつけたままにして、入ってきた瞬間にピーターをねじ伏せるんだ。ハリーとロンは左右に分かれて扉の横の壁にぴたりと背中をつけます。「下がって扉から離れてろ。入るぞ」扉が開き、ピーターびっくり。次の瞬間、ハリーとロンが飛びかかる!ロンが杖を持っている手を押さえ付け、ハリーは顔を叩いて口を塞ぐ。しかーし!ピーターの銀色の手が、抗えないほどの力でハリーの喉元にじわじわと伸びてきます。
「おまえの命を助けてやったんだぞ!おまえはぼくに借りがあるんだ、ワームテール!」
その声で、なんと、銀の手から力がなくなりました。いや、そうじゃない、銀の手は今、ピーターの喉を目指している。ねずみ男の小さな涙目が、驚きで見開かれ、恐怖で満たされています。ピーターは、ほんの一瞬、弱気になったんですね。ほんの一瞬、ハリーに情けをかけた。銀の手はそれを知っている。ヘビ男が臆病な奴隷に与えた銀の手は、武器を奪われ敵に情けをかけた役立たずの裏切り者を殺そうとしているんです。
思わず、ハリーもロンもピーターをたすけようとします。ロンはピーターの杖をとり、"Relashio!"を試すけれど、これも効かない。
顔面紫色のピーターは膝をつき、眼球が上を向き、ビクっと痙攣すると、動かなくなりました。
ハーの悲鳴が合図のように、ハリーとロンは顔を見合わせると、ピーターを残して階段を駆け上がる。部屋をのぞくと、ベラが、剣を持ったグリップフックを見下ろしています。ハーはベラの足元に倒れて動きません。
「ニセモノですよ」
「本当だろうな!」
「ええ」
「よろしい」
ベラが、まるで何事でもないように杖を振る。グリップフックが顔に深い切り傷を負い崩れ落ちる。ベラは、倒れたグリップフックを、"邪魔な荷物"であるかのように、蹴飛ばしました。そして勝利の笑みを浮かべ、「ヘビ男様を召喚する!」と叫ぶと、袖をまくり、人差し指でDark Markに触れました。
ぐわぁーっ!頭が割れたっちゅーくらいに激痛っす!
目の前で、痩せ果てて歯の抜けた口が笑っている。
ハリー(ヘビ男)は、激しく怒っている。"ほしいモノは手に入らない"、その上、今オレ様を呼ぶとは!呼びつけといてポッターでなかったら、おまえら、おしおきだべぇ〜!(またドクロベーか)
「私を殺せ!ただし、おまえは勝てない。おまえは勝ち残ることができないぞ。あの杖は決しておまえの物にはならない」
ドクロベー(もうやめれ)怒り炸裂。緑の光が独房を満たし、その痩せた老人は、命を失った。
「トンズラー(ほんとにもう)、もうこの小娘に用は無い。好きにしな」
「させるかぁーっ!」
ロンが突進する。ベラが慌てて杖をロンに向けた瞬間、"Expelliarmus!"、ロンが吠える。ベラの杖は宙を舞い、ロンに続いたハリーがつかんだ!
"Stupefy!"
まずはボヤッキー(もうそれでいいや)あえなく敗北。
ドラコとナルシッサ、そしてグレイバックの杖から、同時にぼかーん!と呪文が飛んでくる。床に転がり身をかわし、ソファーの陰から見上げると、「そこまでだ!杖を捨てな!おまえら、この娘が死んでもいいのかい!」
ぶはー、ベラ姐さん、ハーの喉に銀のナイフを押し付けてまんがな。「さもなければ、この娘の穢れた血を流してやろうか!」ハーの首筋に、血のネックレスが浮かび上がる。
ちくしょう、やっぱりもうだめぽ。ハリーとロンは、両手を上げ、杖を床に落とします。
ハリーには分かってる。ヘビ男が、荒れ狂う海を飛び越え、遥か遠くから、ここに来る。もう、逃げられない。
ドラコが杖を拾い上げます。
「シシー、この可愛いヒーローたちは縛っておきましょう。穢れた血のお嬢ちゃんはトンズラーに片づけさせるわ。トンズラー、これでドクロベーさまに認めてもらえるわね」
すっかり落ち着いて上機嫌のベラ姐さんですが、どっかーん!なんと頭上のシャンデリアがチリチリと揺れ、チリンッ!ベラの真上に落っこってきたぁーっ!
ベラはハーを放して横っ飛び。シャンデリアは砕け散り、クリスタルの鋭い破片の雨が降る。あらまぁ、ドラコも血まみれ。
ロンが破片の海からハーを救出する。ハリーは思い切ってドラコの手から3本の杖を奪い取り、3本合わせてグレイバックに"Stupefy!"
"Stupefy"×3、さすがのグレイバックも吹っ飛んだ!
ナルシッサはドラコを引きずり部屋の隅に行こうとしている。ベラは髪を振り乱してさっさと立ち上がり、銀のナイフを構えた。あ、ナルシッサが自分の杖を構えてます、ドアに向かって。「ドビー!おめーかぁ!おんどりゃぁ!」おしとやかっぽいナルシッサが、ベラですら凍りつく、まさかの怒号。
ドビーは小走りで前へ進むと、震えながらも、かつての主人ナルシッサに指を突き出しました。「ハリー・ポッターを傷つけさせません」そしてナルシッサの杖を奪い取る。
「薄汚いサル公め!」ベラったらまたひどい怒りようです。「魔女の杖を奪うとは!無礼者!よくも主人を裏切ったわね!」ナルシッサも怒り心頭。
「ドビーには主人はいません。自由なエルフとして、ドビーはハリー・ポッターとおともだちをたすけに来ました!」
ヘビ男が来る。時間がない。
「行くんだ!」ハリーは杖を1本ロンに投げ、剣を握りしめたままのグリップフックをたすけ起こして肩に担ぎ、ドビーの手を掴む。
ぼかん!
暗闇が身体を飲み込みます。
最後の一瞬に振り向くと、ナルシッサとドラコが立ち尽くしているのが見える。ロンの赤毛が風になびくのも見える。そしてベラが、こちらに向かって、青く光るナイフを投げた。ナイフが空気を裂いて飛んでくる。ビルとフラーのところへ。行かなきゃ、シェルコテージへ。ビルとフラーの家へ・・・。
その場所は知らない。だから懸命に"シェルコテージへ"と祈る。
額が痛い。グリップフックが重たい。剣が背中に当たっているのを感じる。ドビーの小さな手がハリーの手の中でビクリと動く。
ドビー、シェルコテージにぼくらを連れてって。ハリーはドビーの手を強く握り返します。ドビーについて行くからね。
潮の香りがします。ハリーはドビーの手を放し、ぐったりしたグリップフックを優しく地面に下ろしました。
夜空で星がきらめいています。コテージらしきものがうっすらと見える。
「ドビー、あれがシェルコテージ?」
返事はありません。
「ここであってるよね、ドビー?」
返事はない。
見ると、ドビーがほんの少し離れたところに、立っています。その小さな身体が揺れる。テニスボールのような、輝く大きな瞳は、キラキラと星たちを映しています。ドビーが、ハリーと同じモノを見ている、苦しそうに、その薄い胸に突き刺さったナイフを。
「ドビー!ドビー!たすけて!誰かたすけて!」力の限り叫びます。
たすけに来るのが、マグルだろうと、味方だろうと敵だろうと、かまわない。ハリーはドビーを冷たい草の上に横たえます。ドビーの胸に黒いシミがみるみる広がっていく。
「ドビー!ドビー!死なないで、ドビー!死んじゃだめだ!」
小さなエルフは、その大きな瞳でハリーを見つめ、両手を広げる。そして、震えながら、懸命に、言葉をしぼりだそうとします。
「ハリー・・・ポッター・・・」
そして、動かなくなった。
テニスボールの瞳に、もう見ることができない夜空の星を宿したままで。
【メモ】
あまりのショックにさるお呆然。今夜は泣きます。号泣です。止めないでください。
心ゆくまでさるお、もんち!
スーパーポッタリアンなので、愛を込めて、さるおのハリポタツアーは、あまりに絶体絶命すぎて、恐怖のあまり、タイムボカン化します。というか、ヤッターマンです。やっておしまい!アラホラサッサ!
そして号泣。本当に本当に、涙が止まりません。
『DH』の完全ネタバレです。コメント欄も含めて、すごーくご注意ください。(内容はすべて反転文字にしてあります。)
ハリポタ辞典のもくじはこちらです。
ベラ姐、登場。「お〜や、この娘は、穢れた血、グレンジャーだねぇ〜」
「隣にいるのはポッターだ!」
「ポッター?本当だろうね?ならばすぐドクロベーさまに知らせるんだよぅ〜!」
ベラ姐が袖をまくりあげる。Dark Markが見えます。
「私が呼ぼうとしていたのに!」まるで小学生のようなルシウス(笑)。ベラの手首をつかみます。
「ベラ、ヘビ男様は私が呼ぶ。ポッターはここに連れてこられた。ここは私の屋敷だぞ。勝手な真似をするな」
「勝手な真似だって!生意気なこと言うねぇ〜!ボヤッキー、その手をおはなしよぉ〜!」
「まるほいさんよー、ポッターを捕まえたのはオレたちだぜ。賞金を頂戴するのはオレだってことを忘れてもらっちゃ困るねぇ!」
「賞金!そんなものはくれてやるさ、ハイエナめ。あたしが賞金目当てだとでも思ったのかい、トンズラー?バカ言うんじゃないよ、あたしがほしいのはドクロベーさまから与えられる名誉さ!」
DEのみなさま、仲間なんだからケンカしなきゃいいのに、まるでバラバラ。
ドロンジョさまは、急に動きを止めます。目の届かないところにある何かをじっと見ています。彼女が抵抗をあきらめたと勘違いしたボヤッキーが自分の袖を引き裂く。
「ちょっと待ちなってばさぁ〜!」ドロンジョが金切り声で叫びます。
「今ドクロベーさまを呼ぶんじゃないよ!今ドクロベーさまが来たら、あたしたちみんな、おしおきじゃないかぁ〜!」
Dark Markに触れる一瞬手前でボヤッキーが凍りつきます。
「それは何なのさ?」
「剣です、あねさん」
「あたしによこしな」
「あねさん、これはあねさんのじゃねぇ。オレたちのもんだ」
バンッ!
赤い閃光が走る。
仲間内でマジ喧嘩勃発。スナッチャーのひとりが気絶しています。スナッチャーの一団は怒りの雄叫びをあげ、剣とドロンジョの間に立ち塞がります。喧嘩上等!Scabiorも杖を構える。
ところが、ドロンジョはスゴ腕。しかも情け容赦ないあねさんです。ぼかんぼかんと、4対1を一瞬で制して圧勝。3人は意識不明で床に倒れ、オオカミ男トンズラーは両腕を広げて膝をつく。ドロンジョは剣を奪い取り、トンズラーに迫ります。
「トンズラー、これをどこで手に入れたんだい?」ドロンジョが囁きます。
「ちくしょー、女め、オレを放せ!」トンズラーもついにドロンジョさまを"女"呼ばわり。
「この剣をどこで手に入れた?スネイプがグリンゴッツの私の金庫に入れたのにぃ〜!」ドロンジョの剣がトンズラーの鼻先まで迫る。
「こいつらのテントで見つけた」最強最悪のオオカミ男トンズラーでさえ、ドロンジョさまには逆らえない。ベラ姐、最強!
(緊迫のシーンが台無しになっているかもしれないということにやっと気づいたので、今週のビックリドッキリメカ終了)
「ドラコ、このクズどもを外に出して片づけな。怖くてできないなら庭にでも置いておきなよ、後であたしが始末するから」
「姉さん、うちのドラコにそーゆー口のきき方しないでちょーだい!」
「お黙り!あんたは状況がわかってないのよ、シシー!困ったことになったわ。こいつが本物のポッターなら、傷つけるわけにいかない。ドクロベーさまは(しつこい)ご自身でこのガキを片づけたいと思ってる。・・・確かめなければ・・・捕虜を地下室に閉じ込めるのよ!」
「ベラ、ここは私の家よ、命令なんか!」
「いいから早く!私たちがどれほど危険な状況か、あんたはわかってないんだってば!」
ナルシッサは少し迷ってから、グレイバックにハリーたちを連れて行かせようとします。ところが、「お待ち!穢れた血はここに残しなさい」
焦ったのはロンです。「だめ!ぼくがここに残る!ぼくが!」
うるせーなと言わんばかりにベラがロンをぶん殴る。「もしもこの娘が途中で死んだら、穢れた血の次に罪深い裏切り者のあんたを呼んでやるからね」そしてマントの下から小さな銀のナイフを取り出し、ハーの髪の毛をぐいぐいつかんで部屋の中央に引きずっていきます。
グレイバックとしてはハーを自分にくれたらいいのにと残念に思いながら、ハリーたち地下に連れて行きます。
そこは、湿っぽくてカビ臭い部屋。グレイバックは真っ暗闇にハリーたちを置き去りにして扉をバタン!と閉めました。そして扉の閉まる音の反響が鳴り止むより早く、階上からはあまりに悲痛なハーの絶叫が聞こえて来ます。
「ハーちーんっ!ハーちーんっ!」力の限り、ロンが叫ぶ。
「静かにして!何とかここから抜け出す方法を考えるんだよ、ロン。ロープを外さなきゃ」
「ハーちーんっ!ハーちーんっ!」ロンは叫び続けます。
すると、「ハリー?ロン?」暗闇からささやく声は、「ルナちん?」
ハリーには捕まってほしくなかった、と言うルナ、やっぱり彼女も戦っていたんすね!
暗闇の中でハリーたちのロープを外そうとするルナ、「オリバンダーさん、水差しの近くに古いクギがあったと思うの。少し動いてくれるかな?」ぐわぁーっ!オリバンダーさん、おひさしぶりです。ルナはクギを使ってロープを切ろうとしてるんすね。
階上からはハーの悲鳴が聞こえ続けています。どうやらベラは「この剣をどこで手に入れたぁーっ!」と尋問と拷問を繰り返しています。負けるな、ハー!
ロンはハーをたすけたい一心で身もだえし、ルナは暗闇の中でクギを落としてしまいます。「ぼくのポッケ!ルナちん、ぼくのポッケにデルミネーターがあるんだ!」
クリック!
テントのランプから吸い取った光が、球体となってデルミネーターからふわりと出ます。ランプがないために元の場所に戻れず、ふわっと宙に浮いたまま、まるで小さな3つの太陽のように、地下室を光で満たします。
明るくなって初めて周りを見回せば、青白い顔のルナ、丸まるように倒れて動かないオリバンダーさん、血まみれ痣だらけのディーン、ぐったりしているゴブリンのグリップフック。
「嘘つけ!穢れた血め!私の金庫に入ったな!他に何を盗んだ!白状しろ!白状しろ!でないとおまえを切り刻ーむ!ふんがー」
ハーが悲鳴をしぼり出している。
ロープが床に落ちました。ロンが、壁を叩き、ハーの名を叫び、杖もないのに瞬間移動を試し、半狂乱になって走り回っている。こんなのあまりに痛々しい。
「出口がないのよ、ロン。あたしもいろいろ試したけど、無理。オリバンダーさんもあらゆる手段を試したって」
ハーの絶叫は止みません。その声はまるで自分の身体を貫くようで、ハーの苦痛を感じるほど。ハリーの額の傷跡はずっと前から激痛なのに、それを忘れるほどに、大切なハーが苦しんでいる。
「何を盗んだ!白状しろ!Crucio!」
ハーの悲鳴が響き渡る。ロンが泣きながら、力いっぱいこぶしで壁を叩き続けます。
もうだめぽ。ハーが殺されちゃう。ハグリッドのポーチからスニッチを取り出して振ってみても、何も起きてくれない。折れたフェニックスの杖を振っても、何も起きてくれない。そしてあの鏡の破片が、きらりと床に落ち、明るく青く光った。「たすけて!まるほいんちの地下室にいるんだ、たすけてよ!」ダンブルドアの目がまばたいて、そして消えました。
今の光は?ダンブルドアの瞳は?
ハーの悲鳴はもう、今までにないほどに痛ましい。「ハーちーんっ!ハーちーんっ!」ロンが泣き叫ぶ。
「穢れた血め!どうやって私の金庫に忍び込んだ!地下室のゴブリンか!」
「初めて会ったのよ!金庫なんて知らない。これはニセモノよ!」ハーは涙声です。かわいそうだ。
「作り話を!」
「そんな嘘はすぐにバレるぞ!」ボヤッキー(しつこい)も参加。「ドラコ、ゴブリンを連れてこい。見分けさせればわかる!」
ハリーは慌ててグリップフックに駆け寄り、その尖った耳にささやきました「剣はニセモノだって言って!グリップフックさん、お願い!」
扉の向こうからドラコの声が聞こえる。「下がれ。後ろの壁に並んでろ。変な動きしたら殺すぞ!」
ロンが急いでデルミネーターをクリックします。地下室は元の暗闇に戻る。
ドラコは意を決したように地下室に入り、グリップフックを引きずって出て行きました。
バンッ!と扉が閉まると同時に、なんともうひとつ、バンッ!
ロンが再びデルミネーターで明かりつけると、そこにいたのは、「ド、ドビーさん!」
テニスボールのような大きな目を見開き、震えています。それでも、「ハリー・ポッター、ドビーはあなたをたすけに来ました」と言います。
そう、ハウスエルフは(ホグワーツのように)魔法で瞬間移動が禁じられた場所でも、瞬間移動ができるんだ!「ぼくらを連れて、ここから瞬間移動で逃げられる?」ドビーは耳をヒラヒラさせながら頷きました。
「ドビー、ルナとディーンとオリバンダーさんを連れて逃げて」「ビルとフラーのとこに」場所を提案してくれたのはロンです。
「"Tinworth"(ティンワーズ)近くのシェルコテージだよ!」
ドビーは3度うなずき、オリバンダーさんの手を握り、もう一方の手をルナとディーンに差し出します。ルナもディーンも「手伝うわ!」「置いてけないよ」と言ってくれてますね。
「3人を連れてって、ほんで戻ってきて、ドビー」「もちろんです。ハリー・ポッター」「ルナ、ディーン、逃げて!ビルとフラーんちで会おう!」
ハリーの額の傷跡が、ものすごい痛みです。
床を見下ろす。オリバンダーさんではない、年老いて痩せた別の男が、嘲笑っている。
「私を殺せ、ヴォルデモート。よろこんで死のう。さぁ殺せ!しかし私を殺しても、おまえのほしいモノは手に入らない。たくさんあるんだよ、おまえが理解していないことがな」
ルナとディーンがドビーの指を握る。ぼかん!
「何の音だ?ドラコ、ワームテールに調べに行かせろ!」ボヤッキー(しつこすぎ)に音を聞かれてしまいました。
こーなったら明かりをつけたままにして、入ってきた瞬間にピーターをねじ伏せるんだ。ハリーとロンは左右に分かれて扉の横の壁にぴたりと背中をつけます。「下がって扉から離れてろ。入るぞ」扉が開き、ピーターびっくり。次の瞬間、ハリーとロンが飛びかかる!ロンが杖を持っている手を押さえ付け、ハリーは顔を叩いて口を塞ぐ。しかーし!ピーターの銀色の手が、抗えないほどの力でハリーの喉元にじわじわと伸びてきます。
「おまえの命を助けてやったんだぞ!おまえはぼくに借りがあるんだ、ワームテール!」
その声で、なんと、銀の手から力がなくなりました。いや、そうじゃない、銀の手は今、ピーターの喉を目指している。ねずみ男の小さな涙目が、驚きで見開かれ、恐怖で満たされています。ピーターは、ほんの一瞬、弱気になったんですね。ほんの一瞬、ハリーに情けをかけた。銀の手はそれを知っている。ヘビ男が臆病な奴隷に与えた銀の手は、武器を奪われ敵に情けをかけた役立たずの裏切り者を殺そうとしているんです。
思わず、ハリーもロンもピーターをたすけようとします。ロンはピーターの杖をとり、"Relashio!"を試すけれど、これも効かない。
顔面紫色のピーターは膝をつき、眼球が上を向き、ビクっと痙攣すると、動かなくなりました。
ハーの悲鳴が合図のように、ハリーとロンは顔を見合わせると、ピーターを残して階段を駆け上がる。部屋をのぞくと、ベラが、剣を持ったグリップフックを見下ろしています。ハーはベラの足元に倒れて動きません。
「ニセモノですよ」
「本当だろうな!」
「ええ」
「よろしい」
ベラが、まるで何事でもないように杖を振る。グリップフックが顔に深い切り傷を負い崩れ落ちる。ベラは、倒れたグリップフックを、"邪魔な荷物"であるかのように、蹴飛ばしました。そして勝利の笑みを浮かべ、「ヘビ男様を召喚する!」と叫ぶと、袖をまくり、人差し指でDark Markに触れました。
ぐわぁーっ!頭が割れたっちゅーくらいに激痛っす!
目の前で、痩せ果てて歯の抜けた口が笑っている。
ハリー(ヘビ男)は、激しく怒っている。"ほしいモノは手に入らない"、その上、今オレ様を呼ぶとは!呼びつけといてポッターでなかったら、おまえら、おしおきだべぇ〜!(またドクロベーか)
「私を殺せ!ただし、おまえは勝てない。おまえは勝ち残ることができないぞ。あの杖は決しておまえの物にはならない」
ドクロベー(もうやめれ)怒り炸裂。緑の光が独房を満たし、その痩せた老人は、命を失った。
「トンズラー(ほんとにもう)、もうこの小娘に用は無い。好きにしな」
「させるかぁーっ!」
ロンが突進する。ベラが慌てて杖をロンに向けた瞬間、"Expelliarmus!"、ロンが吠える。ベラの杖は宙を舞い、ロンに続いたハリーがつかんだ!
"Stupefy!"
まずはボヤッキー(もうそれでいいや)あえなく敗北。
ドラコとナルシッサ、そしてグレイバックの杖から、同時にぼかーん!と呪文が飛んでくる。床に転がり身をかわし、ソファーの陰から見上げると、「そこまでだ!杖を捨てな!おまえら、この娘が死んでもいいのかい!」
ぶはー、ベラ姐さん、ハーの喉に銀のナイフを押し付けてまんがな。「さもなければ、この娘の穢れた血を流してやろうか!」ハーの首筋に、血のネックレスが浮かび上がる。
ちくしょう、やっぱりもうだめぽ。ハリーとロンは、両手を上げ、杖を床に落とします。
ハリーには分かってる。ヘビ男が、荒れ狂う海を飛び越え、遥か遠くから、ここに来る。もう、逃げられない。
ドラコが杖を拾い上げます。
「シシー、この可愛いヒーローたちは縛っておきましょう。穢れた血のお嬢ちゃんはトンズラーに片づけさせるわ。トンズラー、これでドクロベーさまに認めてもらえるわね」
すっかり落ち着いて上機嫌のベラ姐さんですが、どっかーん!なんと頭上のシャンデリアがチリチリと揺れ、チリンッ!ベラの真上に落っこってきたぁーっ!
ベラはハーを放して横っ飛び。シャンデリアは砕け散り、クリスタルの鋭い破片の雨が降る。あらまぁ、ドラコも血まみれ。
ロンが破片の海からハーを救出する。ハリーは思い切ってドラコの手から3本の杖を奪い取り、3本合わせてグレイバックに"Stupefy!"
"Stupefy"×3、さすがのグレイバックも吹っ飛んだ!
ナルシッサはドラコを引きずり部屋の隅に行こうとしている。ベラは髪を振り乱してさっさと立ち上がり、銀のナイフを構えた。あ、ナルシッサが自分の杖を構えてます、ドアに向かって。「ドビー!おめーかぁ!おんどりゃぁ!」おしとやかっぽいナルシッサが、ベラですら凍りつく、まさかの怒号。
ドビーは小走りで前へ進むと、震えながらも、かつての主人ナルシッサに指を突き出しました。「ハリー・ポッターを傷つけさせません」そしてナルシッサの杖を奪い取る。
「薄汚いサル公め!」ベラったらまたひどい怒りようです。「魔女の杖を奪うとは!無礼者!よくも主人を裏切ったわね!」ナルシッサも怒り心頭。
「ドビーには主人はいません。自由なエルフとして、ドビーはハリー・ポッターとおともだちをたすけに来ました!」
ヘビ男が来る。時間がない。
「行くんだ!」ハリーは杖を1本ロンに投げ、剣を握りしめたままのグリップフックをたすけ起こして肩に担ぎ、ドビーの手を掴む。
ぼかん!
暗闇が身体を飲み込みます。
最後の一瞬に振り向くと、ナルシッサとドラコが立ち尽くしているのが見える。ロンの赤毛が風になびくのも見える。そしてベラが、こちらに向かって、青く光るナイフを投げた。ナイフが空気を裂いて飛んでくる。ビルとフラーのところへ。行かなきゃ、シェルコテージへ。ビルとフラーの家へ・・・。
その場所は知らない。だから懸命に"シェルコテージへ"と祈る。
額が痛い。グリップフックが重たい。剣が背中に当たっているのを感じる。ドビーの小さな手がハリーの手の中でビクリと動く。
ドビー、シェルコテージにぼくらを連れてって。ハリーはドビーの手を強く握り返します。ドビーについて行くからね。
潮の香りがします。ハリーはドビーの手を放し、ぐったりしたグリップフックを優しく地面に下ろしました。
夜空で星がきらめいています。コテージらしきものがうっすらと見える。
「ドビー、あれがシェルコテージ?」
返事はありません。
「ここであってるよね、ドビー?」
返事はない。
見ると、ドビーがほんの少し離れたところに、立っています。その小さな身体が揺れる。テニスボールのような、輝く大きな瞳は、キラキラと星たちを映しています。ドビーが、ハリーと同じモノを見ている、苦しそうに、その薄い胸に突き刺さったナイフを。
「ドビー!ドビー!たすけて!誰かたすけて!」力の限り叫びます。
たすけに来るのが、マグルだろうと、味方だろうと敵だろうと、かまわない。ハリーはドビーを冷たい草の上に横たえます。ドビーの胸に黒いシミがみるみる広がっていく。
「ドビー!ドビー!死なないで、ドビー!死んじゃだめだ!」
小さなエルフは、その大きな瞳でハリーを見つめ、両手を広げる。そして、震えながら、懸命に、言葉をしぼりだそうとします。
「ハリー・・・ポッター・・・」
そして、動かなくなった。
テニスボールの瞳に、もう見ることができない夜空の星を宿したままで。
【メモ】
あまりのショックにさるお呆然。今夜は泣きます。号泣です。止めないでください。
心ゆくまでさるお、もんち!
2007年10月13日
さるおのハリポタツアー Harry Potter and the Deathly Hallows Chapter 23 (1)
さるおです。
スーパーポッタリアンなので、愛を込めて、さるおのハリポタツアーは、またしても、絶体絶命。
『DH』の完全ネタバレです。コメント欄も含めて、すごーくご注意ください。(内容はすべて反転文字にしてあります。)
ハリポタ辞典のもくじはこちらです。
23:Malfoy Manor
「両手を上げて出てこいや、ゴルァァァ!」
ハリーがかすかな輪郭だけのふたりを見る。ハーは杖を上げ、なんと、外じゃなくて、ハリーの顔を向いてます。
ぼかーん!
白い閃光が走り、あたたたたっ!顔が痛い!
「起きろ、虫ケラめ」
何人もの手がハリーを乱暴につかみ上げ、ポケットをかき回してサンザシの杖を取り上げました。しかーし、顔が痛くて無抵抗っす(涙)。両手で顔を覆ってますが、なんか知らんけど顔がね、ひどいアレルギーみたいに腫れ上がってまんがな。目なんか埋まっちゃってて、開けないし見えない、メガネなんかもうどっかいっちゃいました、まいった。やっとの思いでうっすら目を開けると、ロンとハーがそれぞれ4、5人の人影と大乱闘っす。
「彼女を放せーっ!」ロンが叫ぶ。
「彼を放してーっ!」ハーも叫ぶ。
ぼかんぼかんとロンが殴られています。ハーだってもうぐっちゃぐちゃですわー。
「リストにおまえのボーイフレンドが載ってたら、こんなもんじゃすまないぜ。美味そうな小娘だ。むはー」
あ!このザラついたた恐ろしい声は、フェンリル・グレイバック、出たぁーっ!ハリーは愕然とします。DEのマントを着ることを許された残虐なオオカミ男です。やばーい。
こいつら、テントの中も荒らしまくって捜索してますよ。
ハリーはうつ伏せに地面に放り投げられます。隣にロンがドサッと落ちてくる。ハリーは転がされて仰向けになり、杖の光が顔を照らします。
「なんだおまえ、醜い顔だな。バタービールで洗わなきゃだ、わはは。その顔はどーした?」
答えないとぼかんと殴る。
しょーがないから「刺されたんだ」と答えます。「名前は?」「ダドリー」「ファーストネームは?」「えっと、ぼく、バーノン・ダドリー」
ハリーさんてば、まさかの偽名(笑)。
「リストと照合しろ、Scabior」
お次はロンです。
「赤毛野郎、おまえは?」「スタン・シャンパイク」
「ばれちまったな。オレらスタンを知ってんだぜ。あいつはオレらの仲間さ」Scabiorさんがそう言い、またまたぼかんとぶん殴る。
「ぼく、バーディ」ロンの2つ目の偽名ですね。声を聞いてわかります、ロンの口の中が血でいっぱいです。「バーディ・ウィードリー」
しかーし、またまたばれちゃう。「ウィーズリーだと?」
「ほんじゃおまえは裏切り者だな」
「そして最後におまえらの可愛い小さなオトモダチ、むはー」
グレイバックめ、なんともぞっとする享楽的な口ぶりです。ハーちんがあぶない。
「この小娘はバーニー君より早く名前を言えるかな。お嬢ちゃん、あんたは誰だい?」
「ペネロペ・クリアウォーター」怯えてはいるけれど、ハーの声には説得力があります。「血筋は?」「ハーフブラッド」「調べればすぐにわかるぞ」「こいつら、ホグワーツの生徒じゃねーのか?まだガキだぜ」
「出てきた」なんとか割って入ろうとするロンちん。
「赤毛のにーちゃん、学校放り出してキャンプごっこか、あん?そんで、ヘビ男様を笑ってたんか?」
「笑ってない。ただのアクシデントだ」
「アクシデントだってよ、笑わせるぜ。ヘビ男様の名を口にする連中がどんなやつらかわかってっか、ウィーズリー?オーダーのやつらだよ」
「関係ないよ」
「オーダーってのはヘビ男様に逆らうやつらだ。このタブーの呪文でオーダーの何人かは居場所を突き止めたぜ。こいつらを他の2人と一緒に縛っとけ!」
トリオは乱暴に引きずられ、誰かわからない他の2人と一緒に背中合わせに縛られてしまいます。みんな杖を取り上げられて丸腰です。
「ぼくがいけなかったんだ。ぼくが名前を言ったから。ごめん」
「その声は、ハリー?」
「ディーン?」
ディーン・トーマスがハリーの真後ろから声をかけます。
「穢れた血が1人、逃亡中のゴブリンが1人、ズル休みしてる悪い子が3人。悪くねーな」
「ヴァーノン・ダドリーはリストに載ってねーぞ」
「興味深い、じつに興味深いね」グレイバックが汗と汚れと血の匂いをさせてハリーをのぞき込みます。
「ヴァーノン、ホグワーツでどの寮だ、言ってみろ」
「スリザリン」
「ははーん、おもしれぇ。談話室の場所も言えるかな?」
「地下牢。壁を通り抜けて入る。ガイコツとかガラクタだらけで、湖の下にあるから明かりは緑色」
「・・・オレら、本物のスリザリンの坊やを捕まえちゃったんか」
「おまえのおやっさんは?」
「魔法省で働いてる。Department of Magical Accidents and Catastrophesで」
たったひとつの小さな綻びですべてが崩れる綱渡りの嘘です。ところが。
「そーいやいたね、ダドリーっちゅーのが」
まさかの幸運!
しかーしそこへ、まさかの不運です。
「グレイバック、これを見てくれ!」
あー、見つかっちゃった、グリフィンドールの剣が。
「すばらしい、ゴブリン製か。おまえら、これをどこで手に入れた?」
「父さんの。薪を切るのに借りてきたんだ」ハリーは嘘をつき続けます。"GG"の銘に気づかなきゃいいけど。
「ちょっと待て!グレイバック!このプロフェットを見ろ!」
立て続けにまさかの不運。
ハリーの額の傷もまた痛くなってきました。漆黒の要塞が見える。ヘビ男の思考が、はっきりと感じられる。探し求めていたモノが、もうすぐ、もうすぐ手に入る。
「ハーマイオニー・グレンジャー、ハリー・ポッターとともに行動していると思われるマッドブラッドね。・・・お嬢ちゃん、この写真はあんたによく似てるじゃねーか」
「ちがう!あたしじゃない!」ハーの声もついに震えてます。Yesと言ってしまったも同然。
静寂の中で、スナッチャーたちがハリーをじっと見ています。隣でハーが震えている。
「ヴァーノン君、おまえの額にあるのは何かな?」猫なで声でしゃべるオオカミ男。
「メガネを見つけたぞ!」
「オレらが捕まえたのはハリー・ポッターじゃん!ひゃっほーい!」
漆黒の要塞。高い壁。
ぼくはハリーだ、こんなときに、しっかりしろ。
高い塔。最上階の窓。飛ぶときが来た。
グレイバックとその仲間は、ハリーたちをどこに連れて行くべきか相談しています。
魔法省か、それとも直接ヘビ男様に引き渡すか。でも、仲間たちはヘビ男を"呼ぶ"というのが怖いらしいです。「ヘビ男様はまるほい邸を拠点にしている。そこへ連れて行くぞ」そっか、グレイバックはDEの装束は許されたけれども、DEではない。腕にDark Markはまだ無いんだ。
ふわりと夜空に舞い上がる。塔のてっぺんの窓へ滑るように飛んで行く。
「もし人違いだったら、オレら殺されちゃうぜ、グレイバック」
「こいつらと、杖まで入れて20万ガリオン。嫌なら来るな。オレが全部もらうだけだ、あの小娘も。むはー」
窓というより黒い岩の裂け目。人が入れるような大きさではない。痩せこけた人影が毛布の下で丸くなっている。死んでいるのか?眠っているのか?
「穢れた血が2人で10ガリオン。剣の石がルビーなら、いい儲けだ。行くぞ!1、2、3!」ぼかん。
ヘビのように、するりと隙間をすり抜ける。音もなくふわりと、独房に降り立つ。
瞬間移動で連れて来られたところは、長い道、門扉が見えます。
ハリーはわかっています、ヘビ男は、黒い塔の上にいると。
ヘビ男が戻ってくるまで、どれほどの時間があるのか。
門扉に近づき、鍵のかかった鉄の扉を揺する。とぐろを巻いた鋼鉄が歪み、捻れて、恐ろしい顔の形になる。
「おまえたちの目的を述べよ」
「ポッターを連れてきたんだYO!」グレイバックさん、ウハウハです。
門が開き、生け垣に隠された小道を進みます。頭上を、アルビノの孔雀が横切る。
薄い毛布の下の痩せた身体が動き、こちらを向く。弱々しい体。落ちくぼんだ目。歯はほとんど抜け落ちている。その口元が、笑った。
来たのか。いつか来ると思ってた。だが無意味だ。私はそれを手にしたことなどない。
嘘をつくな!
ヘビ男がモーレツに怒ってます。額の傷跡は、あまりの激痛にはり裂けそう。ぐわぁーっ、いだい、けど、がまんがまん。
「何ごとなの?」冷たい声が聞こえます。
「ヘビ男様に会いに来た!フェンリル・グレイバックだ!ハリー・ポッターを捕まえたぞ!」
ハリーはナルシッサの前に突き出されます。
「よく見なよ、奥さん、額の傷を。この小娘は"連れ"の穢れた血。杖もあるぜ」
ナルシッサがハリーの顔をまじまじと見つめます。
「連れてきなさい」
玄関ホールを横切り、石の階段を上がり、ハリーたちは肖像画が並ぶ廊下に連れていかれます。イースター休暇で家にいるドラコに確認させるんすね。
大きな部屋に入ります。さすがまるほい邸、シャンデリアがキラキラっす。大理石のゴージャスな暖炉、その前に置かれた椅子から2人が立ち上がります。ルシウスとドラコちゃんです。
「この人たち、ポッターを捕まえたんですって。ドラコ、来なさい」
ハリーはシャンデリアの真下に連れてこられます。鏡に自分が映っている。ぶはー、ぼくじゃないみたい。ハーの呪文でものすごい顔んなってます。しゃべるのよそう、声出したらバレちゃう。
ハリーはドラコを見ることができません。そしてドラコもまた、ハリーを見ることができない。
「・・・(ポッターかどうか)わかんない」
「よく見ろ、ドラコ!ヘビ男様にポッターを渡せば、許されるんだぞ!」まるほいパパもコーフン。
「まるほいさんよ、ポッターを捕まえたのはオレらだぜ」
「なんだこの顔?毒針に刺されたのか?・・・額に傷があるような・・・」まるほいパパもびっくりの腫れ上がった顔です。
ドラコはハリーを直視することなく、暖炉に向き直ってしまいました。
「ルシウス、確証がないとヘビ男様を呼べないわ」ナルシッサはサンザシの杖をじっくり眺めます。「これ、オリバンダー製には見えないわね」
「ほんなら穢れた血はどうだ!」グレイバックが怒鳴ります。
今度はハーがシャンデリアの真下です。
「そうよ!この娘はマダム・マルキンのお店でポッターと一緒にいたわよ!ドラコ、この娘はグレンジャーよね?」
「・・・たぶん・・・そうかも」
「そしてこっちにはウィーズリーのガキだ!そうだろ、ドラコ!」
「・・・まぁ・・・そうかも」
そこへ、背後でドアが開きました。「何の騒ぎよ、シシー?」
ぐわぁーっ!ベラ姐、登場!
もうだめぽ。
【メモ】
Fenrir(フェンリル)は北欧神話に出てくるオオカミですね。終末戦争で主神オーディンを呑み込んで、その後オーディンの息子ヴィーダルに殺されます。
心ゆくまでさるお、もんち!
スーパーポッタリアンなので、愛を込めて、さるおのハリポタツアーは、またしても、絶体絶命。
『DH』の完全ネタバレです。コメント欄も含めて、すごーくご注意ください。(内容はすべて反転文字にしてあります。)
ハリポタ辞典のもくじはこちらです。
23:Malfoy Manor
「両手を上げて出てこいや、ゴルァァァ!」
ハリーがかすかな輪郭だけのふたりを見る。ハーは杖を上げ、なんと、外じゃなくて、ハリーの顔を向いてます。
ぼかーん!
白い閃光が走り、あたたたたっ!顔が痛い!
「起きろ、虫ケラめ」
何人もの手がハリーを乱暴につかみ上げ、ポケットをかき回してサンザシの杖を取り上げました。しかーし、顔が痛くて無抵抗っす(涙)。両手で顔を覆ってますが、なんか知らんけど顔がね、ひどいアレルギーみたいに腫れ上がってまんがな。目なんか埋まっちゃってて、開けないし見えない、メガネなんかもうどっかいっちゃいました、まいった。やっとの思いでうっすら目を開けると、ロンとハーがそれぞれ4、5人の人影と大乱闘っす。
「彼女を放せーっ!」ロンが叫ぶ。
「彼を放してーっ!」ハーも叫ぶ。
ぼかんぼかんとロンが殴られています。ハーだってもうぐっちゃぐちゃですわー。
「リストにおまえのボーイフレンドが載ってたら、こんなもんじゃすまないぜ。美味そうな小娘だ。むはー」
あ!このザラついたた恐ろしい声は、フェンリル・グレイバック、出たぁーっ!ハリーは愕然とします。DEのマントを着ることを許された残虐なオオカミ男です。やばーい。
こいつら、テントの中も荒らしまくって捜索してますよ。
ハリーはうつ伏せに地面に放り投げられます。隣にロンがドサッと落ちてくる。ハリーは転がされて仰向けになり、杖の光が顔を照らします。
「なんだおまえ、醜い顔だな。バタービールで洗わなきゃだ、わはは。その顔はどーした?」
答えないとぼかんと殴る。
しょーがないから「刺されたんだ」と答えます。「名前は?」「ダドリー」「ファーストネームは?」「えっと、ぼく、バーノン・ダドリー」
ハリーさんてば、まさかの偽名(笑)。
「リストと照合しろ、Scabior」
お次はロンです。
「赤毛野郎、おまえは?」「スタン・シャンパイク」
「ばれちまったな。オレらスタンを知ってんだぜ。あいつはオレらの仲間さ」Scabiorさんがそう言い、またまたぼかんとぶん殴る。
「ぼく、バーディ」ロンの2つ目の偽名ですね。声を聞いてわかります、ロンの口の中が血でいっぱいです。「バーディ・ウィードリー」
しかーし、またまたばれちゃう。「ウィーズリーだと?」
「ほんじゃおまえは裏切り者だな」
「そして最後におまえらの可愛い小さなオトモダチ、むはー」
グレイバックめ、なんともぞっとする享楽的な口ぶりです。ハーちんがあぶない。
「この小娘はバーニー君より早く名前を言えるかな。お嬢ちゃん、あんたは誰だい?」
「ペネロペ・クリアウォーター」怯えてはいるけれど、ハーの声には説得力があります。「血筋は?」「ハーフブラッド」「調べればすぐにわかるぞ」「こいつら、ホグワーツの生徒じゃねーのか?まだガキだぜ」
「出てきた」なんとか割って入ろうとするロンちん。
「赤毛のにーちゃん、学校放り出してキャンプごっこか、あん?そんで、ヘビ男様を笑ってたんか?」
「笑ってない。ただのアクシデントだ」
「アクシデントだってよ、笑わせるぜ。ヘビ男様の名を口にする連中がどんなやつらかわかってっか、ウィーズリー?オーダーのやつらだよ」
「関係ないよ」
「オーダーってのはヘビ男様に逆らうやつらだ。このタブーの呪文でオーダーの何人かは居場所を突き止めたぜ。こいつらを他の2人と一緒に縛っとけ!」
トリオは乱暴に引きずられ、誰かわからない他の2人と一緒に背中合わせに縛られてしまいます。みんな杖を取り上げられて丸腰です。
「ぼくがいけなかったんだ。ぼくが名前を言ったから。ごめん」
「その声は、ハリー?」
「ディーン?」
ディーン・トーマスがハリーの真後ろから声をかけます。
「穢れた血が1人、逃亡中のゴブリンが1人、ズル休みしてる悪い子が3人。悪くねーな」
「ヴァーノン・ダドリーはリストに載ってねーぞ」
「興味深い、じつに興味深いね」グレイバックが汗と汚れと血の匂いをさせてハリーをのぞき込みます。
「ヴァーノン、ホグワーツでどの寮だ、言ってみろ」
「スリザリン」
「ははーん、おもしれぇ。談話室の場所も言えるかな?」
「地下牢。壁を通り抜けて入る。ガイコツとかガラクタだらけで、湖の下にあるから明かりは緑色」
「・・・オレら、本物のスリザリンの坊やを捕まえちゃったんか」
「おまえのおやっさんは?」
「魔法省で働いてる。Department of Magical Accidents and Catastrophesで」
たったひとつの小さな綻びですべてが崩れる綱渡りの嘘です。ところが。
「そーいやいたね、ダドリーっちゅーのが」
まさかの幸運!
しかーしそこへ、まさかの不運です。
「グレイバック、これを見てくれ!」
あー、見つかっちゃった、グリフィンドールの剣が。
「すばらしい、ゴブリン製か。おまえら、これをどこで手に入れた?」
「父さんの。薪を切るのに借りてきたんだ」ハリーは嘘をつき続けます。"GG"の銘に気づかなきゃいいけど。
「ちょっと待て!グレイバック!このプロフェットを見ろ!」
立て続けにまさかの不運。
ハリーの額の傷もまた痛くなってきました。漆黒の要塞が見える。ヘビ男の思考が、はっきりと感じられる。探し求めていたモノが、もうすぐ、もうすぐ手に入る。
「ハーマイオニー・グレンジャー、ハリー・ポッターとともに行動していると思われるマッドブラッドね。・・・お嬢ちゃん、この写真はあんたによく似てるじゃねーか」
「ちがう!あたしじゃない!」ハーの声もついに震えてます。Yesと言ってしまったも同然。
静寂の中で、スナッチャーたちがハリーをじっと見ています。隣でハーが震えている。
「ヴァーノン君、おまえの額にあるのは何かな?」猫なで声でしゃべるオオカミ男。
「メガネを見つけたぞ!」
「オレらが捕まえたのはハリー・ポッターじゃん!ひゃっほーい!」
漆黒の要塞。高い壁。
ぼくはハリーだ、こんなときに、しっかりしろ。
高い塔。最上階の窓。飛ぶときが来た。
グレイバックとその仲間は、ハリーたちをどこに連れて行くべきか相談しています。
魔法省か、それとも直接ヘビ男様に引き渡すか。でも、仲間たちはヘビ男を"呼ぶ"というのが怖いらしいです。「ヘビ男様はまるほい邸を拠点にしている。そこへ連れて行くぞ」そっか、グレイバックはDEの装束は許されたけれども、DEではない。腕にDark Markはまだ無いんだ。
ふわりと夜空に舞い上がる。塔のてっぺんの窓へ滑るように飛んで行く。
「もし人違いだったら、オレら殺されちゃうぜ、グレイバック」
「こいつらと、杖まで入れて20万ガリオン。嫌なら来るな。オレが全部もらうだけだ、あの小娘も。むはー」
窓というより黒い岩の裂け目。人が入れるような大きさではない。痩せこけた人影が毛布の下で丸くなっている。死んでいるのか?眠っているのか?
「穢れた血が2人で10ガリオン。剣の石がルビーなら、いい儲けだ。行くぞ!1、2、3!」ぼかん。
ヘビのように、するりと隙間をすり抜ける。音もなくふわりと、独房に降り立つ。
瞬間移動で連れて来られたところは、長い道、門扉が見えます。
ハリーはわかっています、ヘビ男は、黒い塔の上にいると。
ヘビ男が戻ってくるまで、どれほどの時間があるのか。
門扉に近づき、鍵のかかった鉄の扉を揺する。とぐろを巻いた鋼鉄が歪み、捻れて、恐ろしい顔の形になる。
「おまえたちの目的を述べよ」
「ポッターを連れてきたんだYO!」グレイバックさん、ウハウハです。
門が開き、生け垣に隠された小道を進みます。頭上を、アルビノの孔雀が横切る。
薄い毛布の下の痩せた身体が動き、こちらを向く。弱々しい体。落ちくぼんだ目。歯はほとんど抜け落ちている。その口元が、笑った。
来たのか。いつか来ると思ってた。だが無意味だ。私はそれを手にしたことなどない。
嘘をつくな!
ヘビ男がモーレツに怒ってます。額の傷跡は、あまりの激痛にはり裂けそう。ぐわぁーっ、いだい、けど、がまんがまん。
「何ごとなの?」冷たい声が聞こえます。
「ヘビ男様に会いに来た!フェンリル・グレイバックだ!ハリー・ポッターを捕まえたぞ!」
ハリーはナルシッサの前に突き出されます。
「よく見なよ、奥さん、額の傷を。この小娘は"連れ"の穢れた血。杖もあるぜ」
ナルシッサがハリーの顔をまじまじと見つめます。
「連れてきなさい」
玄関ホールを横切り、石の階段を上がり、ハリーたちは肖像画が並ぶ廊下に連れていかれます。イースター休暇で家にいるドラコに確認させるんすね。
大きな部屋に入ります。さすがまるほい邸、シャンデリアがキラキラっす。大理石のゴージャスな暖炉、その前に置かれた椅子から2人が立ち上がります。ルシウスとドラコちゃんです。
「この人たち、ポッターを捕まえたんですって。ドラコ、来なさい」
ハリーはシャンデリアの真下に連れてこられます。鏡に自分が映っている。ぶはー、ぼくじゃないみたい。ハーの呪文でものすごい顔んなってます。しゃべるのよそう、声出したらバレちゃう。
ハリーはドラコを見ることができません。そしてドラコもまた、ハリーを見ることができない。
「・・・(ポッターかどうか)わかんない」
「よく見ろ、ドラコ!ヘビ男様にポッターを渡せば、許されるんだぞ!」まるほいパパもコーフン。
「まるほいさんよ、ポッターを捕まえたのはオレらだぜ」
「なんだこの顔?毒針に刺されたのか?・・・額に傷があるような・・・」まるほいパパもびっくりの腫れ上がった顔です。
ドラコはハリーを直視することなく、暖炉に向き直ってしまいました。
「ルシウス、確証がないとヘビ男様を呼べないわ」ナルシッサはサンザシの杖をじっくり眺めます。「これ、オリバンダー製には見えないわね」
「ほんなら穢れた血はどうだ!」グレイバックが怒鳴ります。
今度はハーがシャンデリアの真下です。
「そうよ!この娘はマダム・マルキンのお店でポッターと一緒にいたわよ!ドラコ、この娘はグレンジャーよね?」
「・・・たぶん・・・そうかも」
「そしてこっちにはウィーズリーのガキだ!そうだろ、ドラコ!」
「・・・まぁ・・・そうかも」
そこへ、背後でドアが開きました。「何の騒ぎよ、シシー?」
ぐわぁーっ!ベラ姐、登場!
もうだめぽ。
【メモ】
Fenrir(フェンリル)は北欧神話に出てくるオオカミですね。終末戦争で主神オーディンを呑み込んで、その後オーディンの息子ヴィーダルに殺されます。
心ゆくまでさるお、もんち!
2007年10月12日
さるおのハリポタツアー Harry Potter and the Deathly Hallows Chapter 22 (2)
さるおです。
スーパーポッタリアンなので、愛を込めて、さるおのハリポタツアーは、ちょっとラジオでも聴きますかー。
『DH』の完全ネタバレです。コメント欄も含めて、すごーくご注意ください。(内容はすべて反転文字にしてあります。)
ハリポタ辞典のもくじはこちらです。
リスナーのみなさん、しばらくオンエアできなくて淋しかったかーい?
可愛いDEちゃんたちがぼくらの地元で家庭訪問しまくってくれたおかげさ、まったく。
「この声!リー・ジョーダン!」
「ほらね!この番組、クールだろ!」
もうだいじょぶさ、安全な場所をみつけたからね。
今夜はここにお馴染みのゲストふたりが来てくれてます。こんばんわ、ボーイズ!
やぁ。
こんばんわ、リヴァー。
「リヴァーって、リーのコードネームだよ」
さて、ロイヤルとロミュラスから話を聞く前に、いくつか残念なお知らせがある。
魔法ワイヤレス・ネットワーク・ニュースやデイリープロフェットじゃ決して取り上げられない、悲しい知らせだ。リスナーのみんなこんな話するなんて悲しいことさ。
テッド・トンクスとダーク・クレスウェルが殺害された。ゴブリンの"ゴーナック"も殺された。マグル生まれのディーン・トーマスとゴブリンがもう1人と殺害された3人とが逃亡中に襲撃されたんだ。ディーンともう1人のゴブリンは逃げのびたよ。
ディーン、聴いてるか?誰かディーンのことを知ってるリスナーはいるかい?パパママも妹さんも心配してるんだ。
それから、ガドリー(Gaddley)で、マグル一家が死体で発見された。マグルの警察はガス漏れだなんて言ってるけど、オーダーによればAKに間違いないらしい。新体制になって、マグル殺しは、"スポーツ"以上のものになってしまったわけさ。
最後にもうひとつ、バチルダ・バグショットの死体の一部がゴドリックホロウで見つかった。何ヶ月も前に亡くなったらしい。オーダーによれば、遺体に残った傷跡はダークアーツによるものだ。
リスナーのみんな、一緒に1分間の黙祷を捧げよう。テッド・トンクス、ダーク・クレスウェル、バチルダ・バグショット、ゴーナック、そしてマグルたちのために。
トリオも静かにしてます。決死の覚悟で飛び出して以来、初めての外界とのつながり。そうだ、みんなだって必死で戦ってるんだ。
ありがとう。
ほんじゃいつもの放送に戻ろう。ロイヤル、政府の新体制がマグル界に与える影響について、最新情報を聞かせてくれるかい?
ありがとう、リヴァー。マグルの死傷者はかなりの数に上る。でも彼らはまだその原因に気がついてない。
「キングスレーだ!」
「わかってるわよ!」
ははーん、キングスレーのコードネームは"ロイヤル"なんすね。
だけどね、勇気ある魔法使いや魔女はちゃんといる。リスク覚悟でマグルの友人や隣人を守ろうとしてるよ。もちろんマグルの側はこのことを知らない。リスナー諸君、お願いがある。みなさんも彼らの例を見習ってくれ。難しくはない。マグルのご近所さんにプロテクションを掛けるだけで、多くの命が救われるんだ。おそれるあまり"魔法使い優先"と考えたくなるかもしれないが、それは"純血優先"と変わらない。"DE優先"だってその延長線上にある考え方だ。みんな同じ、人間だろ?命の価値は同じだろ?どんな命も救う価値はあるんだ。
ロイヤル、いいこと言ってくれるぅー。この混乱から抜け出したら、大臣候補として1票投じるよ。
次はロムルスの"Pals of Potter"!
ありがとう、リヴァー。
「ルーピンじゃん!」
今度はロムルス(ローミュラス)がコードネームっすね。オオカミに育てられたローマ建国者です。
ロムルス、今でもハリー・ポッターがまだ生きていると思うかい?
ああ。考えは変わらない。もしポッターが死んだら、DEが有頂天で公表するさ。ポッターの死は、新体制の邪魔をするレジスタンスたちへの致命的な一撃になるから。"The Boy Who Lived"は、我々が戦い続ける理由そのもの。正義は勝利する、無垢でいることの力、抗い続けることの大切さ、すべての象徴なんだ。
こんなふうに言ってくれるなんて。ぼく、ケンカしちゃったのに。許してくれたのかな。
ロムルス、ハリーがこの放送を聞いているとしたら、何か言いたいことは?
私たちの心は、いつだってキミのそばにいる。それから、直感を信じろと、そう伝えたいね。彼の本能は優れてるんだよ、ほとんどの場合、彼は正しい選択をする。
ハーちん、涙ぐんでます。「ほとんどの場合、彼は正しい選択をする」か・・・。
「そうそう、リーマスはまたトンクスと暮らしてるんだってビルが言ってた。トンクスのおなか、どんどんでっかくなってるってさ」とロンちん。
ロムルス、ポッター派だってゆー理由で被害に遭った人々の最新情報はあるかい?
そうだな、ハリー・ポッターを支持してるって公言してた何人かが投獄されてる。The Quibbler's編集者のゼノフィリアス・ラブグッドも含めてね。
「まだ生きてるってことだよね」ロンが小さくつぶやく。
それから、ついさっき聞いた情報で、ホグワーツのルビウス・ハグリッドが逃亡生活に入った。ホグワーツ敷地内の自宅で"サポート・ハリー・ポッター・パーティ"なんか開いて、それで襲撃されたらしい。逮捕されそうになったところをギリギリで逃げ切った。
6フィート(5m)の異母兄弟がその場にいたらたすけになっただろうね。
そうだね。私はハグリッドの勇気や信念に拍手を送っている。けど、このご時世で"ポッターを励ます会"はキケンすぎるよ。
まったく。リスナーのみなさんはパーティを開かずに、この放送を聞いてハリー・ポッターを応援しようなー。
さるおも、今"ポッターを励ます会"は勇敢すぎると思います(泣)。
さて、お次は、ハリー・ポッターと同じくらいに神出鬼没なこいつの登場!まるで"Chief DE"みたいに、こいつの周りは正気とは思えない噂でいっぱいなんだから!おまえの出番だ、ローデント!
ローデントじぇねーよ、ありえねぇ、ふざけんな。"レイピア"にしてくれって言ったじゃねーか!
「フレッド!」
「いや、ジョージ?」
(ロンの聞き分けスキルによれば、これはフレッドらしいです)
わはは!ローデント(Rodent)って、"げっ歯類"のことっすね。ネズミとかリスとかです。っちゅーか、おまえはイタチ(weasel)だ!(イタチはげっ歯類ではありません)
ほんでレイピア(Rapier)は両刃の剣。フェンシングとかやるような細身のやつです。
しょーがねーなー、そんじゃレイピア、DEの親方(Chief DE)について話してくれるかい?
庭の池の底みたいな所を逃げ回ってる連中はともかくとして、リスナーのみんなが知ってるように、自分は物陰に潜んでいて混乱で人を惑わせる、そーゆーのがユーノーフーの戦略。みんなよく聞けよ。もしもすべての目撃情報が本当だとしたら、19人のユーノーフーがあちこちをうろついてることになる。謎めいてるほうが実際に姿を見せるよりも怖いからね。だけどみんな、ちょっと落ち着こうぜ。そんじゃなくてもひどい状況なんだから、さらに噂に躍らされたってしょーがないじゃん、な?たとえば、ユーノーフーと目が合ったら死んじゃうってバカな噂があるけど、そりゃバジリスク。ちゃんと確かめろや、睨みつけてくるおっさんに足があるかどうかを。
強い!強いぞ、フレッド!さるおは大笑いしつつも大感動っす!
あんなに孤独だったハリーも久々に大笑い。フレッド、あんたって最高!
レイピア、ユーノーフーがバカンスで海外旅行中って本当かい?
あったりまえじゃん。激務の後のバケーション、たまには遊ばなきゃ。ただし、ユーノーフーが海外にいるから安全とか思って油断したらあぶない。外国で楽しんでるかもしれないし、そーじゃないかもしれない。どっちにしたってユーノーフーは、セヴルス・スネイプがシャンプーぶっかけられて逃げるより速く移動できるんだから。
強い!強いぞ、ふたりとも!もしここにジョージがいたら間違いなくこの会話に乗っかってるので、強いぞ、こっちのトリオも強い!
ありがとう、レイピア。今日のポッターウォッチはこれでおしまい。次回オンエアがいつになるか分からないけど、必ずぼくらは戻ってくる。だからダイヤルを回し続けろ。次回のパスワードは"マッドアイ"。
みんな元気で!信念を貫け!それじゃ、またねー。
トリオはなんだかニコニコ。元気出ました。
「おもしろかたっしょ?」
「うん!」
「みんながんばってるね」
ぼくらだけじゃない。みんなヘビ男と戦ってるんだ。
ところが、「ねぇねぇ、フレッドの言ったこと聞いたでしょ?あいつ、まだ外国で杖さがしてるんだよ!」ハリーはどーしてもここに戻ってしまいます。
「ハリーってばぁ」
「やめてよハーちん、そんな決めつけなくたっていいじゃん。ヴォル」
「ぶわぁーっ!やめれー!」必死で止めるロン。
「デモートは例の杖を追ってるんだって」
「ぶわぁーっ!やめれっつってんのに!その名前はタブーだっちゅーの!」ロンちん、大慌てです。
テントの外でミシッと大きな物音が!
ロンが立ち上がる。
「言ったじゃんよ、ハリー、言ったじゃんかよ!プロテクションの掛け直しだ!急いで!見つかっちゃう!」
ロンが急に静かになる。見るとテーブルの上のスニーコスコープが光を放って回り始めています。
荒々しくコーフンしたたくさんの声が近づいてくる。
ロンはデルミネーターをポケットから出し、クリック。真っ暗闇の向こうから、耳障りな声が聞こえます。
「両手を上げて出てこいや!」
暗闇の中から声が響いた。
「そこにいるのはわかってる。半ダースの杖がそっちを向いてるぞ。出てこなければ、誰であろうと攻撃するぞ!」
【メモ】
いろいろ悲しいですが、一瞬、ほんの一瞬、太陽が昇ったと思いました。リーもフレッドも、かっこええ。
リーマスは、やっぱあんたはジェームズのダチだと、嬉しくなったっす。
あまりにも儚い歓びでしたが(涙)。
どぼちよう(涙)。
心ゆくまでさるお、もんち!
スーパーポッタリアンなので、愛を込めて、さるおのハリポタツアーは、ちょっとラジオでも聴きますかー。
『DH』の完全ネタバレです。コメント欄も含めて、すごーくご注意ください。(内容はすべて反転文字にしてあります。)
ハリポタ辞典のもくじはこちらです。
リスナーのみなさん、しばらくオンエアできなくて淋しかったかーい?
可愛いDEちゃんたちがぼくらの地元で家庭訪問しまくってくれたおかげさ、まったく。
「この声!リー・ジョーダン!」
「ほらね!この番組、クールだろ!」
もうだいじょぶさ、安全な場所をみつけたからね。
今夜はここにお馴染みのゲストふたりが来てくれてます。こんばんわ、ボーイズ!
やぁ。
こんばんわ、リヴァー。
「リヴァーって、リーのコードネームだよ」
さて、ロイヤルとロミュラスから話を聞く前に、いくつか残念なお知らせがある。
魔法ワイヤレス・ネットワーク・ニュースやデイリープロフェットじゃ決して取り上げられない、悲しい知らせだ。リスナーのみんなこんな話するなんて悲しいことさ。
テッド・トンクスとダーク・クレスウェルが殺害された。ゴブリンの"ゴーナック"も殺された。マグル生まれのディーン・トーマスとゴブリンがもう1人と殺害された3人とが逃亡中に襲撃されたんだ。ディーンともう1人のゴブリンは逃げのびたよ。
ディーン、聴いてるか?誰かディーンのことを知ってるリスナーはいるかい?パパママも妹さんも心配してるんだ。
それから、ガドリー(Gaddley)で、マグル一家が死体で発見された。マグルの警察はガス漏れだなんて言ってるけど、オーダーによればAKに間違いないらしい。新体制になって、マグル殺しは、"スポーツ"以上のものになってしまったわけさ。
最後にもうひとつ、バチルダ・バグショットの死体の一部がゴドリックホロウで見つかった。何ヶ月も前に亡くなったらしい。オーダーによれば、遺体に残った傷跡はダークアーツによるものだ。
リスナーのみんな、一緒に1分間の黙祷を捧げよう。テッド・トンクス、ダーク・クレスウェル、バチルダ・バグショット、ゴーナック、そしてマグルたちのために。
トリオも静かにしてます。決死の覚悟で飛び出して以来、初めての外界とのつながり。そうだ、みんなだって必死で戦ってるんだ。
ありがとう。
ほんじゃいつもの放送に戻ろう。ロイヤル、政府の新体制がマグル界に与える影響について、最新情報を聞かせてくれるかい?
ありがとう、リヴァー。マグルの死傷者はかなりの数に上る。でも彼らはまだその原因に気がついてない。
「キングスレーだ!」
「わかってるわよ!」
ははーん、キングスレーのコードネームは"ロイヤル"なんすね。
だけどね、勇気ある魔法使いや魔女はちゃんといる。リスク覚悟でマグルの友人や隣人を守ろうとしてるよ。もちろんマグルの側はこのことを知らない。リスナー諸君、お願いがある。みなさんも彼らの例を見習ってくれ。難しくはない。マグルのご近所さんにプロテクションを掛けるだけで、多くの命が救われるんだ。おそれるあまり"魔法使い優先"と考えたくなるかもしれないが、それは"純血優先"と変わらない。"DE優先"だってその延長線上にある考え方だ。みんな同じ、人間だろ?命の価値は同じだろ?どんな命も救う価値はあるんだ。
ロイヤル、いいこと言ってくれるぅー。この混乱から抜け出したら、大臣候補として1票投じるよ。
次はロムルスの"Pals of Potter"!
ありがとう、リヴァー。
「ルーピンじゃん!」
今度はロムルス(ローミュラス)がコードネームっすね。オオカミに育てられたローマ建国者です。
ロムルス、今でもハリー・ポッターがまだ生きていると思うかい?
ああ。考えは変わらない。もしポッターが死んだら、DEが有頂天で公表するさ。ポッターの死は、新体制の邪魔をするレジスタンスたちへの致命的な一撃になるから。"The Boy Who Lived"は、我々が戦い続ける理由そのもの。正義は勝利する、無垢でいることの力、抗い続けることの大切さ、すべての象徴なんだ。
こんなふうに言ってくれるなんて。ぼく、ケンカしちゃったのに。許してくれたのかな。
ロムルス、ハリーがこの放送を聞いているとしたら、何か言いたいことは?
私たちの心は、いつだってキミのそばにいる。それから、直感を信じろと、そう伝えたいね。彼の本能は優れてるんだよ、ほとんどの場合、彼は正しい選択をする。
ハーちん、涙ぐんでます。「ほとんどの場合、彼は正しい選択をする」か・・・。
「そうそう、リーマスはまたトンクスと暮らしてるんだってビルが言ってた。トンクスのおなか、どんどんでっかくなってるってさ」とロンちん。
ロムルス、ポッター派だってゆー理由で被害に遭った人々の最新情報はあるかい?
そうだな、ハリー・ポッターを支持してるって公言してた何人かが投獄されてる。The Quibbler's編集者のゼノフィリアス・ラブグッドも含めてね。
「まだ生きてるってことだよね」ロンが小さくつぶやく。
それから、ついさっき聞いた情報で、ホグワーツのルビウス・ハグリッドが逃亡生活に入った。ホグワーツ敷地内の自宅で"サポート・ハリー・ポッター・パーティ"なんか開いて、それで襲撃されたらしい。逮捕されそうになったところをギリギリで逃げ切った。
6フィート(5m)の異母兄弟がその場にいたらたすけになっただろうね。
そうだね。私はハグリッドの勇気や信念に拍手を送っている。けど、このご時世で"ポッターを励ます会"はキケンすぎるよ。
まったく。リスナーのみなさんはパーティを開かずに、この放送を聞いてハリー・ポッターを応援しようなー。
さるおも、今"ポッターを励ます会"は勇敢すぎると思います(泣)。
さて、お次は、ハリー・ポッターと同じくらいに神出鬼没なこいつの登場!まるで"Chief DE"みたいに、こいつの周りは正気とは思えない噂でいっぱいなんだから!おまえの出番だ、ローデント!
ローデントじぇねーよ、ありえねぇ、ふざけんな。"レイピア"にしてくれって言ったじゃねーか!
「フレッド!」
「いや、ジョージ?」
(ロンの聞き分けスキルによれば、これはフレッドらしいです)
わはは!ローデント(Rodent)って、"げっ歯類"のことっすね。ネズミとかリスとかです。っちゅーか、おまえはイタチ(weasel)だ!(イタチはげっ歯類ではありません)
ほんでレイピア(Rapier)は両刃の剣。フェンシングとかやるような細身のやつです。
しょーがねーなー、そんじゃレイピア、DEの親方(Chief DE)について話してくれるかい?
庭の池の底みたいな所を逃げ回ってる連中はともかくとして、リスナーのみんなが知ってるように、自分は物陰に潜んでいて混乱で人を惑わせる、そーゆーのがユーノーフーの戦略。みんなよく聞けよ。もしもすべての目撃情報が本当だとしたら、19人のユーノーフーがあちこちをうろついてることになる。謎めいてるほうが実際に姿を見せるよりも怖いからね。だけどみんな、ちょっと落ち着こうぜ。そんじゃなくてもひどい状況なんだから、さらに噂に躍らされたってしょーがないじゃん、な?たとえば、ユーノーフーと目が合ったら死んじゃうってバカな噂があるけど、そりゃバジリスク。ちゃんと確かめろや、睨みつけてくるおっさんに足があるかどうかを。
強い!強いぞ、フレッド!さるおは大笑いしつつも大感動っす!
あんなに孤独だったハリーも久々に大笑い。フレッド、あんたって最高!
レイピア、ユーノーフーがバカンスで海外旅行中って本当かい?
あったりまえじゃん。激務の後のバケーション、たまには遊ばなきゃ。ただし、ユーノーフーが海外にいるから安全とか思って油断したらあぶない。外国で楽しんでるかもしれないし、そーじゃないかもしれない。どっちにしたってユーノーフーは、セヴルス・スネイプがシャンプーぶっかけられて逃げるより速く移動できるんだから。
強い!強いぞ、ふたりとも!もしここにジョージがいたら間違いなくこの会話に乗っかってるので、強いぞ、こっちのトリオも強い!
ありがとう、レイピア。今日のポッターウォッチはこれでおしまい。次回オンエアがいつになるか分からないけど、必ずぼくらは戻ってくる。だからダイヤルを回し続けろ。次回のパスワードは"マッドアイ"。
みんな元気で!信念を貫け!それじゃ、またねー。
トリオはなんだかニコニコ。元気出ました。
「おもしろかたっしょ?」
「うん!」
「みんながんばってるね」
ぼくらだけじゃない。みんなヘビ男と戦ってるんだ。
ところが、「ねぇねぇ、フレッドの言ったこと聞いたでしょ?あいつ、まだ外国で杖さがしてるんだよ!」ハリーはどーしてもここに戻ってしまいます。
「ハリーってばぁ」
「やめてよハーちん、そんな決めつけなくたっていいじゃん。ヴォル」
「ぶわぁーっ!やめれー!」必死で止めるロン。
「デモートは例の杖を追ってるんだって」
「ぶわぁーっ!やめれっつってんのに!その名前はタブーだっちゅーの!」ロンちん、大慌てです。
テントの外でミシッと大きな物音が!
ロンが立ち上がる。
「言ったじゃんよ、ハリー、言ったじゃんかよ!プロテクションの掛け直しだ!急いで!見つかっちゃう!」
ロンが急に静かになる。見るとテーブルの上のスニーコスコープが光を放って回り始めています。
荒々しくコーフンしたたくさんの声が近づいてくる。
ロンはデルミネーターをポケットから出し、クリック。真っ暗闇の向こうから、耳障りな声が聞こえます。
「両手を上げて出てこいや!」
暗闇の中から声が響いた。
「そこにいるのはわかってる。半ダースの杖がそっちを向いてるぞ。出てこなければ、誰であろうと攻撃するぞ!」
【メモ】
いろいろ悲しいですが、一瞬、ほんの一瞬、太陽が昇ったと思いました。リーもフレッドも、かっこええ。
リーマスは、やっぱあんたはジェームズのダチだと、嬉しくなったっす。
あまりにも儚い歓びでしたが(涙)。
どぼちよう(涙)。
心ゆくまでさるお、もんち!
2007年10月11日
さるおのハリポタツアー Harry Potter and the Deathly Hallows Chapter 22 (1)
さるおです。
スーパーポッタリアンなので、愛を込めて、さるおのハリポタツアーはもうほとんど取り憑かれたような状態になりつつも、懐かしい声でリフレッシュしたい!
『DH』の完全ネタバレです。コメント欄も含めて、すごーくご注意ください。(内容はすべて反転文字にしてあります。)
ハリポタ辞典のもくじはこちらです。
22:The Deathly Hallows
草の上に落っこちたハリー、すぐに起き上がってあたりを見回すと、さらに素早いハーがもう小走りでプロテクションを張りめぐらせています。"Protego Totalum(完全防御) ... Salvio Hexia(呪文保護) ..."
夕闇がせまってますね。
ロンが「あのおっさんめー、裏切りやがってー」とまずは文句をたれてからですが(笑)、ふたりしてハーをベタ褒めですわ。「ハーちん、あんたは天才!あの状況から脱出なんてもう、あんたが大将!」さるおもそう思います。
「エランペントの角だっつったのにまったくぅー、ラブグッド家、吹っ飛んじゃったわー」
ハーはちょっと微笑んだものの、すぐに真顔に戻ります。
「おじさんが嘘ついたんじゃないってわからせるためにハリーを一瞬見せて、ほんで脱出しなきゃと思ったんだけど、おじさん、殺されないといいなぁ」
まだわからないロンが「なんでぼくがマントかぶったの?」と聞くと、ハーは「あんたはThe Burrowでビョーキで寝てんでしょーが。ルナパパはハリー派だったせいでルナを誘拐されたんだもん、あんたがハリーと一緒だなんて知られたら、家族みんな大変なことんなっちゃうよ」
「えー、ほんじゃハーちんのパパママは?」
「うちの親はオーストラリアだし、何も知らないからきっと平気なはずよ」
ハーったら、泣かせるなぁ。ロンとロンの家族をしっかり守ったんですね。マグル生まれでハリーと一緒にいるなんて、自分(とパパママ)がいちばんキケンにさらされてるのに。
「ルナ、どーしてるかな」
まだおまえは人の心配をするのか、ハー、あんたって子は、あんたって子は。(涙目)
ルナの生死を案ずるロン、生きてると信じようとするハー、そしてハリーは「ルナって強いもん。すごく強いもん。たとえアズカバンに入れられたって、囚人仲間に"Wrackspurts"とか"Nargles"のこと話して聞かせてるさ」
そうっすね、ルナは強い。彼女は負けない。さるおも信じてる。
テントを張ると、ロンちんがお茶を煎れてくれました。大ピンチを乗り切った後では、寒くてカビ臭いテントですら"我が家"っすね。
ハー:「行くんじゃなかった。ですりーはろうずなんてバカバカしい話聞かされて、時間の無駄。おじさん、時間稼ぎに作り話したのよ」
ロン:「そうかな。切羽詰まってるときに作り話ってうまくいかないもんじゃん。ぼくスナッチャーに捕まったときそーだったもん。おっさんもさ、ぼくらを引き止めようと必死んなってたはずだから、少なくとも自分が真実だと信じていることを話したんじゃないかな」
ハー:「だとしても、あの話はナンセンスよねー」
ロン:「待って、"秘密の部屋"だって作り話って思われてたのに、ほんとだったじゃん」
ハー:「でもですりーはろうずの方は"存在するはずがない"のよ!」
ロン:「マントがあるじゃんか」
ハー:「とにかく作り話なのよ!人がどれほど死を怖れるか、そーゆー話なの。マントで死神から逃げ回れるなら、うちら、もう足りてんでしょーが」
ハリー:「でもさ、無敵の杖なんてあったらよくね?」
ハー:「そんなもんは"無い"んだってばー」
ロン:「いろんな名前で、いっぱいあるって言ったのハーちんじゃん」
ハー:「ほんじゃ"復活の石"はどうなのよ?死んだ人を生き返らせる魔法なんか無いんだからね」
ハリー:「でもあの話に出てきた"次男坊の恋人さん"は戻ってきたわけでしょ?"この世に属する者ではない"っつっても、いちおう戻って来たってことでしょ?」
ハーがちらりとロンを見ます。ははーん、ハーちん、"ハリーが死人と暮らしたがってる"と思って怖がってるんですね。
「それじゃさ、ペヴェレルは?何か知らないの?」話題を変えつつ、正気だとアピールするハリーさんです。
ハー:「調べたんだけどさ、わかんないんだよねー。『Nature's Nobility : A Wizarding Genealogy』にしか載ってない。あ、その本はクリーチャーから借りたんだわ。消滅した純血一族のリストが載ってる本なんだけど、明らかにペヴェレル一族は、最も早く消滅した一族のひとつなのよ。ペヴェレルの名はもう存在しない。姓が変わって、子孫はるかもしれないけど」
このときです。思い出したぁーっ!
「マーヴォロ・ゴーントだっ!ユーノーフーのじっさま!」
その記憶についてハリーが話すと、ハーちん、指輪に彫られていた"ペヴェレルの紋章"に反応します。「それどんなの?」
でもハリーが覚えているのは"ひっかき傷"みたいなかすかな模様だけ。実際に間近で指輪を見たのはすでに割られた後のことです。
ハーが目を丸くします。ハリーの考えていることがわかった(その紋章が、例のですりーはろうずのマークだ!かなんか思ってるんでしょ、あんた)、というように。
ハリーは、じっさまがその紋章の本当の意味を知らなかっただろうと考えています。"おとぎ話"をコドモに聞かせるような家庭じゃないもんな。
「ハリー、もしあなたが、私と同じこと考えてるんだったら・・・」
「あれが石って意味でしょ、ハーちん!ふんがー」勢い込んでハリーが答える。
ロンもあんぐりですわ。「ダンブルドアが壊しても、まだちゃんと機能すんのかな?」
「機能?機能て、ロン、あんたまで!そんな石は無いんだってばよ!ハリー、あんた何でもかんでもですりーはろうずに結びつけて考えすぎじゃね?」
「ぼくが何でもですりーはろうずに結びつけてんじゃなくてさ、話がそーゆー展開なだけじゃんか。じっさまが自分でペヴェレルの末裔だって言ったんだもん」
「さっきは石にあったのひっかき傷だ、かなんか言ったくせに」
もうハリーの頭の中はひとりでに大暴走。
ですりーはろうずを3つ集めたら、死すら征服できる。そう、パパママの墓石には"The last enemy that shall be destroyed is death."の文字が。もしぼくが、ですりーはろうず3つ持ってヘビ男と戦ったら?"Neither can live while the other survives."(一方が生きるかぎり、他方は生きられぬ) これってひょっとして、ですりーはろうずvs.ホークラックスってこと?ぼくが勝ち残れる確実な方法ってこと?
ハリーは透明マントを引っぱり出して感触をたしかめます。
水のようにしなやかで、空気のように軽く、どんな呪文にも耐える、今も古びていない透明マント。やっぱこれ、ホンモノだよ。
そしてまた、思い出したぁーっ!
「ぼくのパパママが死んだとき、これ、ダンブルドアが持ってたんじゃん!ママがシリウスに書いた手紙に書いてあったじゃん!ダンブルドアはこれを確かめたかったんだ。ホンモノだって。イグノートゥス・ペヴェレルのお墓もゴドリックホロウだし・・・ぐわぁーっ!わかっちゃった!イグノートゥス・ペヴェレルて人、ぼくちんのご先祖だ!ぼくちん、末っ子の子孫だYO!」
ハリーさん、大コーフンっす。
「ちょっとハリーさんてば、大暴走してね?」と言いかけるハーに、ハリーはリリーがシリウスに書いた手紙を押し付けます。「読んで、読んで。よく読んで。ダンブルドアはマント無しでも透明になれるのに、これを持ってたんだよ。ふんがー」
すると、手紙を出した拍子に、キラキラ光るスニッチが転がり落ちます。
そしてまたまた、わかっちゃったぁーっ!
「こんなかにゆびわがあるんだぁーっ!」
そうだ、そうだよ、これで辻褄が合うじゃん。ハリーはマントを持ってて、ほんでスニッチを開けたら石も手に入る。ぶっはぁーっ!あとは杖だけだZE!
ひゃっほーい!と思いましたが、ここには重大な問題があることに突然気づきます。そう、ヘビ男が追っているのは"その杖"なんだと。がっくし。
ヘビ男は、新しい杖を探していたんじゃない。いにしえの杖を探していたんだ。
ヘビ男は『だんご三兄弟物語』を知っていただろうか。いいえ、マグルの孤児院にいたんだもん、知らないはずです。もし知っていたなら、ホークラックスなんか作ってないで、さっさとですりーはろうずを探せばいいわけです。そもそも石を一度は手にしておきながら、それをホークラックスに使っちゃうなんておかしいもん。やっぱヘビ男はですりーはろうずを知らないんだ。ただ"無敵の杖"だから欲しいだけなんだ。
止まらないハリーの大暴走。ふたりを置き去りにしてしまったことに気づいて、ちょっと歯がゆい思いです。説明してふたりにわかってもらおうとするハリーですが、「ハリー、こんなこと言ってごめん。でもあたし、あんた間違ってると思うよ」とハーったらつれないお言葉ですわ。
「だってこれって辻褄が合うじゃん」
「そーじゃなくてさ、お願いだから我を忘れて大暴走しないで。もしもですりーはろうずが実在して、ダンブルドアもそれについて知ってたなら、なんで生前にあなたに教えなかったの?どう思う?」
「そんなの、ハーが言ったんじゃんか、"自力で辿り着かなきゃならない"んだって。クエスト(探求)なんだよ、これ。ダンブルドアはいつだってぼくを試してた。ぼくの力を試してたんだよ。その続きなんだ」
「ハリー、これは遊びじゃないのよ。練習でもない。ダンブルドアはあなたに、ものすごい明確な指示を残した、ホークラックスを見つけて壊せ、と。私たちがやらなきゃいけないのはそれよ。ですりーはろうずを追ってる余裕はないんだってば」
「えっと、よくわかんないけどさ、たしかに辻褄は合うよね、だけど、えっと、なんちゅーか、やっぱぼくらはホークラックスを壊すほうをやらないといけないんじゃないかと思う。ハリー、ダンブルドアがぼくらにやれって言ったことをやろうよ。ですりーはろうずのことはとりあえず忘れようよ」ためらいながらですが、ロンもハーと同意見です。
ハリーさん、大コーフンで夜も眠れません。
"I open at the close."
閉じるときに開く。どーゆー意味だろう。スニッチは開かずじまいです。
ヘビ男はどこにいるのかな。あーあ、こーなったらもう、額の傷が痛ければいいのに。ヘビ男のことが見えればいいのに。
たしかに、今初めて、ハリーとヘビ男は同じモノを探し求めています。
朝が近づくころ、ハリーはルナのことを考えます。アズカバンの独房にひとりぼっちで、ディメンターに囲まれてるのかもしれない。なのにぼくは宝探しでコーフンしてたなんて、なんだか恥ずかしい。ルナを救出できたらいいのに。起きたらのリンボク(blackthorn)の杖でパトロナスの練習しなきゃ。杖かぁ、杖と言えば、やっぱ"無敵の杖"、ほしいなぁ。
ということで、どこまでもコーフンしっぱなし。
朝になると、トリオは雨の中また引っ越しです。来る日も来る日も、春の雨の中を移動し続ける。
ハリーはですりーはろうずのことしか考えられなくなりました。ハーが信じなくても、ロンが信じなくても、それでもハリーの心はですりーはろうずに奪われたままです。「ですりーはろうずがほしい」その思いは消えない炎のように、どんどん燃え上がっていきます。信じてくれないなんて、ロンもハーもひどいや。心の中でふたりを責めます。そしてだんだん、ひとりでいることが多くなり、しゃべらなくなり、ふたりとの間にずいぶん距離ができてしまいました。
ある夜、ハーがついにハリーを叱り飛ばします。「あたしらはホークラックスへの妄執に捕らわれてんじゃないのよ!あたしらはね、ダンブルドアがあたしらにやらせようとしたことを、ただやり遂げようとしてんのよ!」
ハリーに言わせれば、ですりーはろうずのマークを解読させようとハーに本を遺したのはダンブルドアなわけだし、予言によれば自分は命がかかってるわけだし、こっちだって大事だろうと思うわけで、「The last enemy that shall be destroyed is death.(滅ぼす最後の敵は死)って・・・」なんて言いかけようもんなら、「滅ぼす最後の敵はユーノーフーかと思ってたけど!」なんてまた怒られてます。
ふたりは雌鹿のパトロナスのことも考え続けていたけれど、ハリーはこれにもだんだん興味がなくなっていってます。
最近は、ヘビ男のヴィションが、パッとしません。頭蓋骨みたいなモノや、影というか山というか、とにかくはっきりしないモノばかり。ハリーの杖が折れてからというもの、ハリーとヘビ男をつなぐインターフェースはどーなっちゃったんでしょう。
出て行ったことの埋め合わせをしようと決めたのか、それとも真のリーダーシップなのか、今ではトリオを率いているのはロンちんです。ハーとハリーを励まし、おしりを叩いて前に進ませようとがんばっている。
「まだ3つ残ってるんだ、行動しなきゃ、計画立てて、がんばらなきゃ。あちこち行って、探し回るんだよ」
孤児院、ダイアゴン横町、ホグワーツ、リドル実家、B&B、アルバニア・・・ロンとハーはそれらを何度も検討しなおします。そしてトリオで出かけて行っては歩き回る。行く先々でスナッチャーたちを見かけます。
「スナッチャーの中にはDEぐらい危ないやつらもいるんだってビルは考えてる。"Potterwatch"でも言ってたよ」
「ぽったーうぉっちぃ?」
「うん。ぼくが聴こうとし続けてるラジオ番組。何が起きているか、本当のことを報道する唯一の番組!今じゃほとんどのラジオ局がユーノーフーの傘下なんだ、ただひとつ、ポッターウォッチを除いてね。ハリーにも聴かせたいんだけど、チューニングがちょっと難しくて・・・」
毎晩、杖でラジオをこつこつ叩きながら、ぶつぶつ言い続けるロンちん。5月になって、努力の甲斐あって、ついにポッターウォッチのチューニング・パスワードに辿り着いた!「やたっ!やたっ!パスワードは"アルバス"だっ!やたっ!ハリー!来て来て!」
グリフィンドールの剣を磨いていたハーも手を休め、トリオはラジオを囲んで座ります。
リスナーのみなさん、しばらくオンエアできなくて淋しかったかーい?
可愛いDEちゃんたちがぼくらの地元で家庭訪問しまくってくれたおかげさ、まったく。
!!!
ぶわぁーっ!この声は!懐かしいこの声は!
ヘビ男を"ユーノープー"呼ばわりした勇気あるF&G同様、DEを"チャーミング"だと言う、勇気あるこの明るい声!
【メモ】
『Nature's Nobility : A Wizarding Genealogy』は魔法使い一族の系譜が載った本です。これ、読んでみたいなぁ。
心ゆくまでさるお、もんち!
スーパーポッタリアンなので、愛を込めて、さるおのハリポタツアーはもうほとんど取り憑かれたような状態になりつつも、懐かしい声でリフレッシュしたい!
『DH』の完全ネタバレです。コメント欄も含めて、すごーくご注意ください。(内容はすべて反転文字にしてあります。)
ハリポタ辞典のもくじはこちらです。
22:The Deathly Hallows
草の上に落っこちたハリー、すぐに起き上がってあたりを見回すと、さらに素早いハーがもう小走りでプロテクションを張りめぐらせています。"Protego Totalum(完全防御) ... Salvio Hexia(呪文保護) ..."
夕闇がせまってますね。
ロンが「あのおっさんめー、裏切りやがってー」とまずは文句をたれてからですが(笑)、ふたりしてハーをベタ褒めですわ。「ハーちん、あんたは天才!あの状況から脱出なんてもう、あんたが大将!」さるおもそう思います。
「エランペントの角だっつったのにまったくぅー、ラブグッド家、吹っ飛んじゃったわー」
ハーはちょっと微笑んだものの、すぐに真顔に戻ります。
「おじさんが嘘ついたんじゃないってわからせるためにハリーを一瞬見せて、ほんで脱出しなきゃと思ったんだけど、おじさん、殺されないといいなぁ」
まだわからないロンが「なんでぼくがマントかぶったの?」と聞くと、ハーは「あんたはThe Burrowでビョーキで寝てんでしょーが。ルナパパはハリー派だったせいでルナを誘拐されたんだもん、あんたがハリーと一緒だなんて知られたら、家族みんな大変なことんなっちゃうよ」
「えー、ほんじゃハーちんのパパママは?」
「うちの親はオーストラリアだし、何も知らないからきっと平気なはずよ」
ハーったら、泣かせるなぁ。ロンとロンの家族をしっかり守ったんですね。マグル生まれでハリーと一緒にいるなんて、自分(とパパママ)がいちばんキケンにさらされてるのに。
「ルナ、どーしてるかな」
まだおまえは人の心配をするのか、ハー、あんたって子は、あんたって子は。(涙目)
ルナの生死を案ずるロン、生きてると信じようとするハー、そしてハリーは「ルナって強いもん。すごく強いもん。たとえアズカバンに入れられたって、囚人仲間に"Wrackspurts"とか"Nargles"のこと話して聞かせてるさ」
そうっすね、ルナは強い。彼女は負けない。さるおも信じてる。
テントを張ると、ロンちんがお茶を煎れてくれました。大ピンチを乗り切った後では、寒くてカビ臭いテントですら"我が家"っすね。
ハー:「行くんじゃなかった。ですりーはろうずなんてバカバカしい話聞かされて、時間の無駄。おじさん、時間稼ぎに作り話したのよ」
ロン:「そうかな。切羽詰まってるときに作り話ってうまくいかないもんじゃん。ぼくスナッチャーに捕まったときそーだったもん。おっさんもさ、ぼくらを引き止めようと必死んなってたはずだから、少なくとも自分が真実だと信じていることを話したんじゃないかな」
ハー:「だとしても、あの話はナンセンスよねー」
ロン:「待って、"秘密の部屋"だって作り話って思われてたのに、ほんとだったじゃん」
ハー:「でもですりーはろうずの方は"存在するはずがない"のよ!」
ロン:「マントがあるじゃんか」
ハー:「とにかく作り話なのよ!人がどれほど死を怖れるか、そーゆー話なの。マントで死神から逃げ回れるなら、うちら、もう足りてんでしょーが」
ハリー:「でもさ、無敵の杖なんてあったらよくね?」
ハー:「そんなもんは"無い"んだってばー」
ロン:「いろんな名前で、いっぱいあるって言ったのハーちんじゃん」
ハー:「ほんじゃ"復活の石"はどうなのよ?死んだ人を生き返らせる魔法なんか無いんだからね」
ハリー:「でもあの話に出てきた"次男坊の恋人さん"は戻ってきたわけでしょ?"この世に属する者ではない"っつっても、いちおう戻って来たってことでしょ?」
ハーがちらりとロンを見ます。ははーん、ハーちん、"ハリーが死人と暮らしたがってる"と思って怖がってるんですね。
「それじゃさ、ペヴェレルは?何か知らないの?」話題を変えつつ、正気だとアピールするハリーさんです。
ハー:「調べたんだけどさ、わかんないんだよねー。『Nature's Nobility : A Wizarding Genealogy』にしか載ってない。あ、その本はクリーチャーから借りたんだわ。消滅した純血一族のリストが載ってる本なんだけど、明らかにペヴェレル一族は、最も早く消滅した一族のひとつなのよ。ペヴェレルの名はもう存在しない。姓が変わって、子孫はるかもしれないけど」
このときです。思い出したぁーっ!
「マーヴォロ・ゴーントだっ!ユーノーフーのじっさま!」
その記憶についてハリーが話すと、ハーちん、指輪に彫られていた"ペヴェレルの紋章"に反応します。「それどんなの?」
でもハリーが覚えているのは"ひっかき傷"みたいなかすかな模様だけ。実際に間近で指輪を見たのはすでに割られた後のことです。
ハーが目を丸くします。ハリーの考えていることがわかった(その紋章が、例のですりーはろうずのマークだ!かなんか思ってるんでしょ、あんた)、というように。
ハリーは、じっさまがその紋章の本当の意味を知らなかっただろうと考えています。"おとぎ話"をコドモに聞かせるような家庭じゃないもんな。
「ハリー、もしあなたが、私と同じこと考えてるんだったら・・・」
「あれが石って意味でしょ、ハーちん!ふんがー」勢い込んでハリーが答える。
ロンもあんぐりですわ。「ダンブルドアが壊しても、まだちゃんと機能すんのかな?」
「機能?機能て、ロン、あんたまで!そんな石は無いんだってばよ!ハリー、あんた何でもかんでもですりーはろうずに結びつけて考えすぎじゃね?」
「ぼくが何でもですりーはろうずに結びつけてんじゃなくてさ、話がそーゆー展開なだけじゃんか。じっさまが自分でペヴェレルの末裔だって言ったんだもん」
「さっきは石にあったのひっかき傷だ、かなんか言ったくせに」
もうハリーの頭の中はひとりでに大暴走。
ですりーはろうずを3つ集めたら、死すら征服できる。そう、パパママの墓石には"The last enemy that shall be destroyed is death."の文字が。もしぼくが、ですりーはろうず3つ持ってヘビ男と戦ったら?"Neither can live while the other survives."(一方が生きるかぎり、他方は生きられぬ) これってひょっとして、ですりーはろうずvs.ホークラックスってこと?ぼくが勝ち残れる確実な方法ってこと?
ハリーは透明マントを引っぱり出して感触をたしかめます。
水のようにしなやかで、空気のように軽く、どんな呪文にも耐える、今も古びていない透明マント。やっぱこれ、ホンモノだよ。
そしてまた、思い出したぁーっ!
「ぼくのパパママが死んだとき、これ、ダンブルドアが持ってたんじゃん!ママがシリウスに書いた手紙に書いてあったじゃん!ダンブルドアはこれを確かめたかったんだ。ホンモノだって。イグノートゥス・ペヴェレルのお墓もゴドリックホロウだし・・・ぐわぁーっ!わかっちゃった!イグノートゥス・ペヴェレルて人、ぼくちんのご先祖だ!ぼくちん、末っ子の子孫だYO!」
ハリーさん、大コーフンっす。
「ちょっとハリーさんてば、大暴走してね?」と言いかけるハーに、ハリーはリリーがシリウスに書いた手紙を押し付けます。「読んで、読んで。よく読んで。ダンブルドアはマント無しでも透明になれるのに、これを持ってたんだよ。ふんがー」
すると、手紙を出した拍子に、キラキラ光るスニッチが転がり落ちます。
そしてまたまた、わかっちゃったぁーっ!
「こんなかにゆびわがあるんだぁーっ!」
そうだ、そうだよ、これで辻褄が合うじゃん。ハリーはマントを持ってて、ほんでスニッチを開けたら石も手に入る。ぶっはぁーっ!あとは杖だけだZE!
ひゃっほーい!と思いましたが、ここには重大な問題があることに突然気づきます。そう、ヘビ男が追っているのは"その杖"なんだと。がっくし。
ヘビ男は、新しい杖を探していたんじゃない。いにしえの杖を探していたんだ。
ヘビ男は『だんご三兄弟物語』を知っていただろうか。いいえ、マグルの孤児院にいたんだもん、知らないはずです。もし知っていたなら、ホークラックスなんか作ってないで、さっさとですりーはろうずを探せばいいわけです。そもそも石を一度は手にしておきながら、それをホークラックスに使っちゃうなんておかしいもん。やっぱヘビ男はですりーはろうずを知らないんだ。ただ"無敵の杖"だから欲しいだけなんだ。
止まらないハリーの大暴走。ふたりを置き去りにしてしまったことに気づいて、ちょっと歯がゆい思いです。説明してふたりにわかってもらおうとするハリーですが、「ハリー、こんなこと言ってごめん。でもあたし、あんた間違ってると思うよ」とハーったらつれないお言葉ですわ。
「だってこれって辻褄が合うじゃん」
「そーじゃなくてさ、お願いだから我を忘れて大暴走しないで。もしもですりーはろうずが実在して、ダンブルドアもそれについて知ってたなら、なんで生前にあなたに教えなかったの?どう思う?」
「そんなの、ハーが言ったんじゃんか、"自力で辿り着かなきゃならない"んだって。クエスト(探求)なんだよ、これ。ダンブルドアはいつだってぼくを試してた。ぼくの力を試してたんだよ。その続きなんだ」
「ハリー、これは遊びじゃないのよ。練習でもない。ダンブルドアはあなたに、ものすごい明確な指示を残した、ホークラックスを見つけて壊せ、と。私たちがやらなきゃいけないのはそれよ。ですりーはろうずを追ってる余裕はないんだってば」
「えっと、よくわかんないけどさ、たしかに辻褄は合うよね、だけど、えっと、なんちゅーか、やっぱぼくらはホークラックスを壊すほうをやらないといけないんじゃないかと思う。ハリー、ダンブルドアがぼくらにやれって言ったことをやろうよ。ですりーはろうずのことはとりあえず忘れようよ」ためらいながらですが、ロンもハーと同意見です。
ハリーさん、大コーフンで夜も眠れません。
"I open at the close."
閉じるときに開く。どーゆー意味だろう。スニッチは開かずじまいです。
ヘビ男はどこにいるのかな。あーあ、こーなったらもう、額の傷が痛ければいいのに。ヘビ男のことが見えればいいのに。
たしかに、今初めて、ハリーとヘビ男は同じモノを探し求めています。
朝が近づくころ、ハリーはルナのことを考えます。アズカバンの独房にひとりぼっちで、ディメンターに囲まれてるのかもしれない。なのにぼくは宝探しでコーフンしてたなんて、なんだか恥ずかしい。ルナを救出できたらいいのに。起きたらのリンボク(blackthorn)の杖でパトロナスの練習しなきゃ。杖かぁ、杖と言えば、やっぱ"無敵の杖"、ほしいなぁ。
ということで、どこまでもコーフンしっぱなし。
朝になると、トリオは雨の中また引っ越しです。来る日も来る日も、春の雨の中を移動し続ける。
ハリーはですりーはろうずのことしか考えられなくなりました。ハーが信じなくても、ロンが信じなくても、それでもハリーの心はですりーはろうずに奪われたままです。「ですりーはろうずがほしい」その思いは消えない炎のように、どんどん燃え上がっていきます。信じてくれないなんて、ロンもハーもひどいや。心の中でふたりを責めます。そしてだんだん、ひとりでいることが多くなり、しゃべらなくなり、ふたりとの間にずいぶん距離ができてしまいました。
ある夜、ハーがついにハリーを叱り飛ばします。「あたしらはホークラックスへの妄執に捕らわれてんじゃないのよ!あたしらはね、ダンブルドアがあたしらにやらせようとしたことを、ただやり遂げようとしてんのよ!」
ハリーに言わせれば、ですりーはろうずのマークを解読させようとハーに本を遺したのはダンブルドアなわけだし、予言によれば自分は命がかかってるわけだし、こっちだって大事だろうと思うわけで、「The last enemy that shall be destroyed is death.(滅ぼす最後の敵は死)って・・・」なんて言いかけようもんなら、「滅ぼす最後の敵はユーノーフーかと思ってたけど!」なんてまた怒られてます。
ふたりは雌鹿のパトロナスのことも考え続けていたけれど、ハリーはこれにもだんだん興味がなくなっていってます。
最近は、ヘビ男のヴィションが、パッとしません。頭蓋骨みたいなモノや、影というか山というか、とにかくはっきりしないモノばかり。ハリーの杖が折れてからというもの、ハリーとヘビ男をつなぐインターフェースはどーなっちゃったんでしょう。
出て行ったことの埋め合わせをしようと決めたのか、それとも真のリーダーシップなのか、今ではトリオを率いているのはロンちんです。ハーとハリーを励まし、おしりを叩いて前に進ませようとがんばっている。
「まだ3つ残ってるんだ、行動しなきゃ、計画立てて、がんばらなきゃ。あちこち行って、探し回るんだよ」
孤児院、ダイアゴン横町、ホグワーツ、リドル実家、B&B、アルバニア・・・ロンとハーはそれらを何度も検討しなおします。そしてトリオで出かけて行っては歩き回る。行く先々でスナッチャーたちを見かけます。
「スナッチャーの中にはDEぐらい危ないやつらもいるんだってビルは考えてる。"Potterwatch"でも言ってたよ」
「ぽったーうぉっちぃ?」
「うん。ぼくが聴こうとし続けてるラジオ番組。何が起きているか、本当のことを報道する唯一の番組!今じゃほとんどのラジオ局がユーノーフーの傘下なんだ、ただひとつ、ポッターウォッチを除いてね。ハリーにも聴かせたいんだけど、チューニングがちょっと難しくて・・・」
毎晩、杖でラジオをこつこつ叩きながら、ぶつぶつ言い続けるロンちん。5月になって、努力の甲斐あって、ついにポッターウォッチのチューニング・パスワードに辿り着いた!「やたっ!やたっ!パスワードは"アルバス"だっ!やたっ!ハリー!来て来て!」
グリフィンドールの剣を磨いていたハーも手を休め、トリオはラジオを囲んで座ります。
リスナーのみなさん、しばらくオンエアできなくて淋しかったかーい?
可愛いDEちゃんたちがぼくらの地元で家庭訪問しまくってくれたおかげさ、まったく。
!!!
ぶわぁーっ!この声は!懐かしいこの声は!
ヘビ男を"ユーノープー"呼ばわりした勇気あるF&G同様、DEを"チャーミング"だと言う、勇気あるこの明るい声!
【メモ】
『Nature's Nobility : A Wizarding Genealogy』は魔法使い一族の系譜が載った本です。これ、読んでみたいなぁ。
心ゆくまでさるお、もんち!
2007年10月04日
さるおのハリポタツアー Harry Potter and the Deathly Hallows Chapter 21 (2)
さるおです。
スーパーポッタリアンなので、愛を込めて、さるおのハリポタツアーのラブグッド家ご訪問、やはりただでは終わりませんでした。
『DH』の完全ネタバレです。コメント欄も含めて、すごーくご注意ください。(内容はすべて反転文字にしてあります。)
ハリポタ辞典のもくじはこちらです。
2階に残されたトリオは秘宝についてあれこれ考え始めます。
「みんな作り話よ。せっかくここまで来たのに、時間の無駄だったわ」ハーは信じていません。
「こーゆー話って、コドモに教訓を教えるためのものでしょ。余計なことに首突っ込むのやめようよ。他の迷信と同じだよ、5月生まれの魔女はマグルと結婚するとか、たそがれどきの呪文は真夜中に消えるとか、ニワトコの杖は成功しない、とかさ」ロンも信じない。
「そうよね、だってこの話、どれがいちばんいい贈り物かは一目瞭然だもん」
トリオは同時に言います(笑)。
ハー:「透明マント」
ロン:「杖」
ハリー:「石」
「透明マントって言うと思ったよー。でも負け知らずの杖だぜー、杖があればマントなんかいらないよー!」とロン。「マントはもうぼくら持ってるじゃん」とハリー。
「やっだぁー、杖なんかただのトラブルの元じゃん。でもそんなことよりただひとつ、おじさんが言ったことで真実なのは、強力な杖があるってことよ。Deathstick(死のステッキ)とかWand of Destiny(運命の杖)とかいろいろ呼ばれて、何世紀も前からずっと存在する。ビンズ先生が授業で言ってたもん。・・・だけどどーせ全部くだらないわ。杖の強さは持ち主の魔力しだい。自分の杖はすごいぞって自慢したい人もいるっていうだけよ」
ハリーは自分の杖のことを考えます。たしかにハリーの杖は、勝手に動いてヘビ男から持ち主を守った。けど、ニワトコじゃなくてヒイラギだし、ですりーはろうずなら折れたりするもんか。
「なんで"石"なの?」ロンがハリーに聞くと、「だって一緒にいてほしいじゃん、シリウスも、マッドアイも、ダンブルドアも、それからぼくのパパママもさ」
「ビードル(『The Tales of Beedle the Bard』の著者)さん、きっと賢者の石からアイデアをもらったのよ」
階下のキッチンからは、アンダーパンツを燃やしているような、たまらない匂いがしてきます(涙)。"おともだちのお父さん"がせっかく作ってくれてるわけで、食わないわけにもいかないけれど、泣きそうですよね。
「マントは"ホンモノ"じゃね?かぶってて見つかったことないし、ハリーはパパさんから相続したんだから古いのにさ、新品同様じゃん?」
ロンとハーは話を続けています。
ハリーは部屋の中を見て回ります。そしてらせん階段から上を、ふと見上げる。すると、ふんがー!なんじゃありゃ!"ハリーが"こちらを見下ろしてるー!
鏡かな?どーなってるんだろう?ハリーはひとりで階段を上り始めます。そして気づきました。なんとそれは、ルナが描いた天井画です。ハリーと、ロンと、ハーと、ネビルと、ジニー、5人の肖像画です。学校の絵みたいに動いたりはしないけれど、それらはただの絵ではない、呼吸している。5人をひとつに囲むように、リボンのような金色の鎖が描かれています。よく見ると、鎖じゃないや、それは"friends... friends... friends..."という金文字です。
ルナを愛おしいと思う感情が込み上げてきます。(ハリーさんもですが、さるおもです)
部屋を見回すと、大きな写真が1枚。まだ幼いルナちんと、ルナによく似た女性が抱き合っている。ママさんですね。
写真は埃をかぶっています。なんだか妙な感じです。うすいブルーのカーペットも埃だらけ。半開きの洋服だんすには服がありません。もう長いこと誰も寝ていないようなベッド。窓には蜘蛛の巣。明らかにルナの部屋なのに、何かがオカシイ。
2階に戻ったハリーは、スープのお盆を持って上がってきたゼノに問いただします。「おじさん、ルナちゃんどこ?なんでスープが4人分しかないの?」
ゼノは答えることができません。カタカタ鳴る印刷機の音だけが聞こえます。ゼノの手も震え、こちらもカタカタ音を立てる。
「おじさんてば、ルナちゃんここにいないんでしょ。おじさん変だよ、さっきからどーして窓の外ばっかり見てんの?」
ゼノがお盆を落とします。スープ皿が砕ける。ゼノの手がポケットの杖をつかむより一瞬早く、トリオは杖を構えます。印刷機がぼっかーんと爆音をあげ、"The Quibbler's"が床に散らばる。ハーはルナパパに杖を向けたまま、その中の1部を取り上げました。「ちょっと見てこれ」
表紙には、まさかの"Undesirable Number One"ですわ。ハリーの首にかかった1万ガリオンについての説明まで書かれている。
「"The Quibbler's"は見解を変えたんだ。おじさん、さっき庭に出て、魔法省にふくろう飛ばしたんでしょ」とハリー。
ゼノはとうとう話します。「やつら、うちの子連れてっちゃった。私が書いてきたことのせいで、やつら、うちの子を連れてったんだよ。どこにいるかもわからない。何をされたかわからない。でももし、もし私が・・・」
「ハリーを引き渡したらルナを返してもらえると?」ハーが続きを言い終えました。
「おじさん、ハリーは渡さない。そこどいて。ぼくら帰る」ロンがきっぱりと言います。
「もうやつらが来る。どうしても、うちの子をたすけなきゃならないんだ。ルナを失うことはできない。だからキミらを帰らせるわけにはいかない」ゼノは階段の前で両腕を大きく広げました。そう、まるでリリーのように。
窓の外をほうきに乗った人かげが通りすぎる。ほんの一瞬、トリオはそれを見ます。その瞬間にゼノは杖を構えました。
うりゃぁー!
ハリーはロンとハーを突き飛ばし、横に飛び退いてゼノのStunning Spellをよけます。まさに危機一髪。ゼノの呪文はエランペットの角に当たり、ぼっかーんと大爆発です。紙や瓦礫や木の破片がぶっ飛び、もうもうと埃が立ちこめます。
破片の雨と埃の中で、ハリーは床に叩きつけられます。ハーの悲鳴と、ロンの叫び声が聞こえる。ゼノがらせん階段を転がり落ちる。やっと上を見上げれば、2階の天井の半分が落ち、ルナのベッドが頭の上にぶら下がっています。レイヴンクロウの胸像は顔の顔を吹き飛ばされて転がり、印刷機は横倒しになってらせん階段を塞いでいます。
「しっ!」
ハーが人差し指を唇に押し当てる。
階下でドアがバーンと開き、声が聞こえます。「トラヴァース、急いで来たって、こいつ、どーせまたいつもの戯言だ」
ゼノの悲鳴が聞こえる。「やめれー・・・2階に・・・ポッターが!」
「ほんとだろーなー、おっさんよぅ。嘘だったらしょーちしないぞ。あん?」
ゼノの悲鳴が大きくなる。「やめれー・・・ポッターがいるんだ・・・」
「さてはおっさん、我々をここに呼んどいて、爆発でふっ飛ばそうとしたんだなーっ!」
DEたちはゼノを拷問し続けます。「本当にポッターが・・・誓う・・・誓う」
「セルウィン、ここ崩れそうじゃね?」
"Homenum revelio!"
「たしかに誰か上にいるな、セルウィン」
「だからポッターだってばぁー(涙声)、うちの子を返しちくりー」かわいそうなゼノ。
「おっさんここにポッターを連れてこい。そしたら娘は返してやる。でないと、おまえの葬式まで娘を生かしておけるかどうか考えないとな」
ゼノが恐怖と絶望で泣きながら、それでも階段を上がろうと必死でもがく音が聞こえます。
「ここから逃げなきゃ」ハリーがささやく。ところがロンちん、なんと洋服ダンスの下敷きです。ゼノが瓦礫に埋もれた階段を登ってくる。ハーはHover Charmでロンを救うと、意を決したように言います。
「よっしゃ。ハリー、私を信じるわね?」
頷くハリー。
「透明マントを貸して。これはロンがかぶるのよ。ハリー、私の手をしっかり握って。ロン、あなたは私の肩にしっかりつかまって」
ゼノがHover Charmで印刷機を動かそうとしています。
「ふたりとも、しっかりつかまって・・・いくわよー」
ゼノの姿が見えた。
"Obliviate!"
"Deprimo!"
1発目はゼノに向かって、2発目は足元に、ハーが立て続けに叫びます。
足元の床が崩れ、トリオが床と共に1階に落下する。ハリーもロンも必死こいてハーにつかまったままです。
1階のDEたちが驚いて右往左往するのがちらりと見えます。
ハーが空中で身体をひねる。そしてハリーとロンを引っぱりながら、暗闇に飲まれて行きました。
【メモ】
ルナちーん!さるおは号泣です。さるおはルナが大好きだから、6人目の似顔絵に入れてくれー。
"Deprimo!"は目標物に下方向のものすごい圧力をかける呪文です。
しかしまぁ、ハーはすげぇ!
心ゆくまでさるお、もんち!
スーパーポッタリアンなので、愛を込めて、さるおのハリポタツアーのラブグッド家ご訪問、やはりただでは終わりませんでした。
『DH』の完全ネタバレです。コメント欄も含めて、すごーくご注意ください。(内容はすべて反転文字にしてあります。)
ハリポタ辞典のもくじはこちらです。
2階に残されたトリオは秘宝についてあれこれ考え始めます。
「みんな作り話よ。せっかくここまで来たのに、時間の無駄だったわ」ハーは信じていません。
「こーゆー話って、コドモに教訓を教えるためのものでしょ。余計なことに首突っ込むのやめようよ。他の迷信と同じだよ、5月生まれの魔女はマグルと結婚するとか、たそがれどきの呪文は真夜中に消えるとか、ニワトコの杖は成功しない、とかさ」ロンも信じない。
「そうよね、だってこの話、どれがいちばんいい贈り物かは一目瞭然だもん」
トリオは同時に言います(笑)。
ハー:「透明マント」
ロン:「杖」
ハリー:「石」
「透明マントって言うと思ったよー。でも負け知らずの杖だぜー、杖があればマントなんかいらないよー!」とロン。「マントはもうぼくら持ってるじゃん」とハリー。
「やっだぁー、杖なんかただのトラブルの元じゃん。でもそんなことよりただひとつ、おじさんが言ったことで真実なのは、強力な杖があるってことよ。Deathstick(死のステッキ)とかWand of Destiny(運命の杖)とかいろいろ呼ばれて、何世紀も前からずっと存在する。ビンズ先生が授業で言ってたもん。・・・だけどどーせ全部くだらないわ。杖の強さは持ち主の魔力しだい。自分の杖はすごいぞって自慢したい人もいるっていうだけよ」
ハリーは自分の杖のことを考えます。たしかにハリーの杖は、勝手に動いてヘビ男から持ち主を守った。けど、ニワトコじゃなくてヒイラギだし、ですりーはろうずなら折れたりするもんか。
「なんで"石"なの?」ロンがハリーに聞くと、「だって一緒にいてほしいじゃん、シリウスも、マッドアイも、ダンブルドアも、それからぼくのパパママもさ」
「ビードル(『The Tales of Beedle the Bard』の著者)さん、きっと賢者の石からアイデアをもらったのよ」
階下のキッチンからは、アンダーパンツを燃やしているような、たまらない匂いがしてきます(涙)。"おともだちのお父さん"がせっかく作ってくれてるわけで、食わないわけにもいかないけれど、泣きそうですよね。
「マントは"ホンモノ"じゃね?かぶってて見つかったことないし、ハリーはパパさんから相続したんだから古いのにさ、新品同様じゃん?」
ロンとハーは話を続けています。
ハリーは部屋の中を見て回ります。そしてらせん階段から上を、ふと見上げる。すると、ふんがー!なんじゃありゃ!"ハリーが"こちらを見下ろしてるー!
鏡かな?どーなってるんだろう?ハリーはひとりで階段を上り始めます。そして気づきました。なんとそれは、ルナが描いた天井画です。ハリーと、ロンと、ハーと、ネビルと、ジニー、5人の肖像画です。学校の絵みたいに動いたりはしないけれど、それらはただの絵ではない、呼吸している。5人をひとつに囲むように、リボンのような金色の鎖が描かれています。よく見ると、鎖じゃないや、それは"friends... friends... friends..."という金文字です。
ルナを愛おしいと思う感情が込み上げてきます。(ハリーさんもですが、さるおもです)
部屋を見回すと、大きな写真が1枚。まだ幼いルナちんと、ルナによく似た女性が抱き合っている。ママさんですね。
写真は埃をかぶっています。なんだか妙な感じです。うすいブルーのカーペットも埃だらけ。半開きの洋服だんすには服がありません。もう長いこと誰も寝ていないようなベッド。窓には蜘蛛の巣。明らかにルナの部屋なのに、何かがオカシイ。
2階に戻ったハリーは、スープのお盆を持って上がってきたゼノに問いただします。「おじさん、ルナちゃんどこ?なんでスープが4人分しかないの?」
ゼノは答えることができません。カタカタ鳴る印刷機の音だけが聞こえます。ゼノの手も震え、こちらもカタカタ音を立てる。
「おじさんてば、ルナちゃんここにいないんでしょ。おじさん変だよ、さっきからどーして窓の外ばっかり見てんの?」
ゼノがお盆を落とします。スープ皿が砕ける。ゼノの手がポケットの杖をつかむより一瞬早く、トリオは杖を構えます。印刷機がぼっかーんと爆音をあげ、"The Quibbler's"が床に散らばる。ハーはルナパパに杖を向けたまま、その中の1部を取り上げました。「ちょっと見てこれ」
表紙には、まさかの"Undesirable Number One"ですわ。ハリーの首にかかった1万ガリオンについての説明まで書かれている。
「"The Quibbler's"は見解を変えたんだ。おじさん、さっき庭に出て、魔法省にふくろう飛ばしたんでしょ」とハリー。
ゼノはとうとう話します。「やつら、うちの子連れてっちゃった。私が書いてきたことのせいで、やつら、うちの子を連れてったんだよ。どこにいるかもわからない。何をされたかわからない。でももし、もし私が・・・」
「ハリーを引き渡したらルナを返してもらえると?」ハーが続きを言い終えました。
「おじさん、ハリーは渡さない。そこどいて。ぼくら帰る」ロンがきっぱりと言います。
「もうやつらが来る。どうしても、うちの子をたすけなきゃならないんだ。ルナを失うことはできない。だからキミらを帰らせるわけにはいかない」ゼノは階段の前で両腕を大きく広げました。そう、まるでリリーのように。
窓の外をほうきに乗った人かげが通りすぎる。ほんの一瞬、トリオはそれを見ます。その瞬間にゼノは杖を構えました。
うりゃぁー!
ハリーはロンとハーを突き飛ばし、横に飛び退いてゼノのStunning Spellをよけます。まさに危機一髪。ゼノの呪文はエランペットの角に当たり、ぼっかーんと大爆発です。紙や瓦礫や木の破片がぶっ飛び、もうもうと埃が立ちこめます。
破片の雨と埃の中で、ハリーは床に叩きつけられます。ハーの悲鳴と、ロンの叫び声が聞こえる。ゼノがらせん階段を転がり落ちる。やっと上を見上げれば、2階の天井の半分が落ち、ルナのベッドが頭の上にぶら下がっています。レイヴンクロウの胸像は顔の顔を吹き飛ばされて転がり、印刷機は横倒しになってらせん階段を塞いでいます。
「しっ!」
ハーが人差し指を唇に押し当てる。
階下でドアがバーンと開き、声が聞こえます。「トラヴァース、急いで来たって、こいつ、どーせまたいつもの戯言だ」
ゼノの悲鳴が聞こえる。「やめれー・・・2階に・・・ポッターが!」
「ほんとだろーなー、おっさんよぅ。嘘だったらしょーちしないぞ。あん?」
ゼノの悲鳴が大きくなる。「やめれー・・・ポッターがいるんだ・・・」
「さてはおっさん、我々をここに呼んどいて、爆発でふっ飛ばそうとしたんだなーっ!」
DEたちはゼノを拷問し続けます。「本当にポッターが・・・誓う・・・誓う」
「セルウィン、ここ崩れそうじゃね?」
"Homenum revelio!"
「たしかに誰か上にいるな、セルウィン」
「だからポッターだってばぁー(涙声)、うちの子を返しちくりー」かわいそうなゼノ。
「おっさんここにポッターを連れてこい。そしたら娘は返してやる。でないと、おまえの葬式まで娘を生かしておけるかどうか考えないとな」
ゼノが恐怖と絶望で泣きながら、それでも階段を上がろうと必死でもがく音が聞こえます。
「ここから逃げなきゃ」ハリーがささやく。ところがロンちん、なんと洋服ダンスの下敷きです。ゼノが瓦礫に埋もれた階段を登ってくる。ハーはHover Charmでロンを救うと、意を決したように言います。
「よっしゃ。ハリー、私を信じるわね?」
頷くハリー。
「透明マントを貸して。これはロンがかぶるのよ。ハリー、私の手をしっかり握って。ロン、あなたは私の肩にしっかりつかまって」
ゼノがHover Charmで印刷機を動かそうとしています。
「ふたりとも、しっかりつかまって・・・いくわよー」
ゼノの姿が見えた。
"Obliviate!"
"Deprimo!"
1発目はゼノに向かって、2発目は足元に、ハーが立て続けに叫びます。
足元の床が崩れ、トリオが床と共に1階に落下する。ハリーもロンも必死こいてハーにつかまったままです。
1階のDEたちが驚いて右往左往するのがちらりと見えます。
ハーが空中で身体をひねる。そしてハリーとロンを引っぱりながら、暗闇に飲まれて行きました。
【メモ】
ルナちーん!さるおは号泣です。さるおはルナが大好きだから、6人目の似顔絵に入れてくれー。
"Deprimo!"は目標物に下方向のものすごい圧力をかける呪文です。
しかしまぁ、ハーはすげぇ!
心ゆくまでさるお、もんち!
2007年10月02日
さるおのハリポタツアー Harry Potter and the Deathly Hallows Chapter 21 (1)
さるおです。
スーパーポッタリアンなので、愛を込めて、さるおのハリポタツアーは、ですりーはろうずが何なのかをついに知ることになります。
『DH』の完全ネタバレです。コメント欄も含めて、すごーくご注意ください。(内容はすべて反転文字にしてあります。)
ハリポタ辞典のもくじはこちらです。
21:The Tale of the Three Brothers
「ですりーはろうず?何それー?」
「キミら、聞いたことないの?信じている人はごくわずか。こないだの結婚式に来てたバカちんは、私が着けていたのが闇の魔術使いのシンボルだとか言って襲ってきたけど、そーゆー意味ではあのシンボルに闇など無い。私は、もしかしたら同士が秘宝の探求を手助けしてくれるかもって思って、自分はあの話を信じているってアピールしてるだけなんだ」
ゼノは"Gurdyroot"茶に角砂糖を入れて美味しそうに飲み始めます。えっと、味はまさかの、はなくそ味の百味ビーンズということで、想像を絶する素晴らしさですよね(涙)。
「キミたち、"The Tale of the Three Brothers"の話を知ってるだろう?」
ハリーはNoです。ロンとハーはYesです。
「おじさん、私、本持ってる」
ハーが、ダンブルドアにもらった古い『The Tales of Beedle the Bard』を出します。
「それオリジナル?」ゼノは鋭い視線を投げかけて聞き、全員の理解のために「ハーさん、音読よろしくお願いします」と、朗読会がはじまりました。『だんご三兄弟物語』、あのシンボルが描かれているページから物語ははじまっています。
@@@
『だんご三兄弟物語』
夕暮れ時、3人の兄弟が、曲がりくねった人気のない道を歩いていました。 どんどん歩いて行くと、深くて広い、危険な川がありました。歩くには深すぎ、泳ぐには広すぎ、渡ることができません。そこで兄弟は、魔法の杖をひと振りし、橋を作りました。
橋の中ほどまで歩くと、フードをかぶった者が行く手をさえぎりました。
"死"は兄弟にこう言いました。「おまえらー、こんな橋なんか造っちゃって、この川を渡る旅人が死ななくなったら、おらちが商売あがったりじゃんよー!」
ところが、狡猾な"死"は、死を回避した知恵と素晴らしい魔法の褒美として、兄弟のほしいモノを与えてやると言いました。
いちばん年上の戦士は「ほんなら杖をくれ。最強のやつね。"死"に勝った者にふさわしい、負け知らずのやつ、ちょーだい」と言いました。"死"は、土手のニワトコの木の太い枝から杖を創り出し、それを長男に与えました。(Elder Wand)
高慢な次男は、さらに"死"に恥をかかせてやろうと、「ほんなら死んだ人を呼び戻せるモノをちょーだい」と言いました。"死"は、土手の石ころを次男に与え、「これは"復活の石"、これで死んだ人が帰ってくっからよ」と言いました。(Resurrection Stone)
いちばん若く、謙虚で頭の良い三男は、"死"を信用しませんでした。「"死"に跡を追われずにすむようになるモノをちょーだい」と言いました。"死"は、嫌々ながら、自分の透明マントを三男に与えました。(Cloak of Invisibility)
"死"は兄弟のために道をあけ、3人の兄弟は橋を渡りそれぞれ別の道を旅して行きました。
いちばん年上の戦士は、ある村に辿り着きました。長男は、自分と対立する仲間の魔法使いを探し出し、決闘をしました。無敵のElder Wandは負けることがありません。長男は、決闘の相手の死体を床に置き去りにし、「無敵の杖があるから誰もオレ様には勝て
スーパーポッタリアンなので、愛を込めて、さるおのハリポタツアーは、ですりーはろうずが何なのかをついに知ることになります。
『DH』の完全ネタバレです。コメント欄も含めて、すごーくご注意ください。(内容はすべて反転文字にしてあります。)
ハリポタ辞典のもくじはこちらです。
21:The Tale of the Three Brothers
「ですりーはろうず?何それー?」
「キミら、聞いたことないの?信じている人はごくわずか。こないだの結婚式に来てたバカちんは、私が着けていたのが闇の魔術使いのシンボルだとか言って襲ってきたけど、そーゆー意味ではあのシンボルに闇など無い。私は、もしかしたら同士が秘宝の探求を手助けしてくれるかもって思って、自分はあの話を信じているってアピールしてるだけなんだ」
ゼノは"Gurdyroot"茶に角砂糖を入れて美味しそうに飲み始めます。えっと、味はまさかの、はなくそ味の百味ビーンズということで、想像を絶する素晴らしさですよね(涙)。
「キミたち、"The Tale of the Three Brothers"の話を知ってるだろう?」
ハリーはNoです。ロンとハーはYesです。
「おじさん、私、本持ってる」
ハーが、ダンブルドアにもらった古い『The Tales of Beedle the Bard』を出します。
「それオリジナル?」ゼノは鋭い視線を投げかけて聞き、全員の理解のために「ハーさん、音読よろしくお願いします」と、朗読会がはじまりました。『だんご三兄弟物語』、あのシンボルが描かれているページから物語ははじまっています。
@@@
『だんご三兄弟物語』
夕暮れ時、3人の兄弟が、曲がりくねった人気のない道を歩いていました。 どんどん歩いて行くと、深くて広い、危険な川がありました。歩くには深すぎ、泳ぐには広すぎ、渡ることができません。そこで兄弟は、魔法の杖をひと振りし、橋を作りました。
橋の中ほどまで歩くと、フードをかぶった者が行く手をさえぎりました。
"死"は兄弟にこう言いました。「おまえらー、こんな橋なんか造っちゃって、この川を渡る旅人が死ななくなったら、おらちが商売あがったりじゃんよー!」
ところが、狡猾な"死"は、死を回避した知恵と素晴らしい魔法の褒美として、兄弟のほしいモノを与えてやると言いました。
いちばん年上の戦士は「ほんなら杖をくれ。最強のやつね。"死"に勝った者にふさわしい、負け知らずのやつ、ちょーだい」と言いました。"死"は、土手のニワトコの木の太い枝から杖を創り出し、それを長男に与えました。(Elder Wand)
高慢な次男は、さらに"死"に恥をかかせてやろうと、「ほんなら死んだ人を呼び戻せるモノをちょーだい」と言いました。"死"は、土手の石ころを次男に与え、「これは"復活の石"、これで死んだ人が帰ってくっからよ」と言いました。(Resurrection Stone)
いちばん若く、謙虚で頭の良い三男は、"死"を信用しませんでした。「"死"に跡を追われずにすむようになるモノをちょーだい」と言いました。"死"は、嫌々ながら、自分の透明マントを三男に与えました。(Cloak of Invisibility)
"死"は兄弟のために道をあけ、3人の兄弟は橋を渡りそれぞれ別の道を旅して行きました。
いちばん年上の戦士は、ある村に辿り着きました。長男は、自分と対立する仲間の魔法使いを探し出し、決闘をしました。無敵のElder Wandは負けることがありません。長男は、決闘の相手の死体を床に置き去りにし、「無敵の杖があるから誰もオレ様には勝て

